JPH0791047B2 - 放射線光学素子の製造方法 - Google Patents

放射線光学素子の製造方法

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JPH0791047B2
JPH0791047B2 JP63235217A JP23521788A JPH0791047B2 JP H0791047 B2 JPH0791047 B2 JP H0791047B2 JP 63235217 A JP63235217 A JP 63235217A JP 23521788 A JP23521788 A JP 23521788A JP H0791047 B2 JPH0791047 B2 JP H0791047B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、グラファイトからなり、X線光学素子、X
線モノクロメータ、中性子線回析ミラー、中性子線フィ
ルタ等として利用されるシングルベント型あるいはダブ
ルベント型の放射線光学素子の製造方法に関するもので
ある。
従来の技術 グラファイトは、抜群の耐熱性や耐薬品性、高電導性等
を備えているため、工業材料として重要な位置を占め、
電極や発熱体、構造材として広く使用されている。なか
でも、単結晶グラファイトは、X線や中性子線に対する
優れた分光、反射特性を有するため、X線や中性子線の
モノクロメータ、フィルタあるいは分光結晶として広く
用いられている。
このような分光結晶グラファイトは、気相中での炭化水
素ガスの高温分解沈積と、その熱間加工によって作ら
れ、一般的には、圧力を印加しつつ3400℃で長時間再焼
純するという工程によってグラファイトが製造される。
このようにして得られたグラファイトは、高配向パイロ
グラファイト(HOPG)と呼ばれ、その特性は天然グラフ
ァイトとほぼ同等の優れたものである。しかし、この方
法は、製造工程が複雑であって歩留りが低く、非常に高
価であるという欠点がある。
また、グラファイトやシリコン等の結晶をX線や中性子
線などの放射線用ミラーやモノクロメータとして使用す
る場合は、この結晶を湾曲させて用いることによって放
射線を集光させれば、その性能が大きく向上することが
知られている。第1図および第2図は、このような目的
で用いられる湾曲型すなわちベント型グラファイト結晶
の模式的構造を示している。例えば、フラットな結晶と
比較して、第1図に示すような、一方向に湾曲したシン
グルベント型結晶1では、その性能は計算上3倍向上
し、第2図に示すような、縦横両方向に凹面鏡型に湾曲
したダブルベント型結晶2では、その性能が18倍にも向
上することが知られている。
しかしながら、前記したHOPGの場合、このようなベント
型の結晶を作製するのが非常に難しく、従来は、シング
ルベント型で曲率の非常に小さなものが作製されている
にすぎない。この曲率が小さいということは、それだけ
焦点距離が大きくなることを意味しており、装置を小さ
くすることができないという欠点になる。
このようなHOPGの欠点を解消するために、高分子材料を
用いて、これを熱処理することによって、グラファイト
フィルムを製造する方法に関して、いくつかの研究が行
われており、この方法は、高分子材料の分子構造を生か
しながら炭素前駆体の微細構造を制御しようとするもの
である。この方法は、高分子を真空中あるいは不活性気
体中で熱処理し、分解および重縮合反応を経て炭素質物
を形成させ、この炭素質物をさらにグラファイト化する
方法である。しかし、この方法の場合、任意の高分子を
出発原料として用いても、優れた特性のグラファイトフ
ィルムが得られる訳ではなく、むしろほとんどの高分子
材料は、この目的には使用できないことが判っている。
すなわち、高分子等の有機材料を3000℃程度に加熱する
ことによって生成される炭素の構造は、比較的グラファ
イト(黒鉛)構造に近いものから、それとは程遠いもの
まで、様々な種類のものが存在する。このような炭素の
構造のうち、単なる熱処理によって比較的容易に黒鉛的
な構造に変わる炭素を易黒鉛変性炭素と呼び、そうでな
いものを難黒鉛化炭素と呼んでいる。このような構造上
の相違が生じる原因は、黒鉛化の機構と密接に関連して
いて、炭素前駆体中に存在する構造欠陥が、引き続いて
行われるより高温での加熱処理によって除去され易いか
否かによる。したがって、炭素前駆体の微細構造が黒鉛
化性に対して重要な役割を果たすことになる。そして、
高分子材料の場合は、ほとんどが難黒鉛化材料に属して
いるのである。
例えば、上記のようなグラファイト化を目的として熱処
理が試みられた高分子としては、フェノ−ルホルムアル
デヒド樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリパラフェニレ
ン、ポリパラフェニレンオキシド、ポリ塩化ビニールな
どがあるが、これらの高分子はいずれも難黒鉛化材料に
属しており、高いグラファイト化率を有するものではな
かった。
本発明者らは、このような問題点を解消すべく研究を進
め、数多くの高分子についてグラファイト化を試みた結
果、フィルム状のポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾ
ール(POD)、芳香族ポリイミド(PI)、3種類のポリ
ベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリベンゾオキサゾー
ル(PBO)、ポリベンゾビスオキサゾール(PBBO)、ポ
リチアゾール(PT)等の高分子を特定の温度で熱処理す
るときに、従来既知の高分子材料よりも容易にグラファ
イト化することを見出した。それらの知見に基づき、本
発明者らは特許出願を行っており、これらは特開昭61−
275114号公報、特開昭61−275115号公報、特開昭61−27
5117号公報等に開示されている。
この方法によれば、上記のような高分子を、1800度以
上、好ましくは2500℃以上で加熱することによって、グ
ラファイト化率の高いグラファイトを容易に短時間で製
造することが出来るようになった。
グラファイト化の程度を表すには、格子定数、C軸方向
の結晶子の大きさほどX線回析のパラメータ、あるいは
それから算出される黒鉛化率等がよく用いられ、また、
電気伝導度値もしばしば用いられる。格子定数は、X線
の(002)回析線の位置から計算され、天然単結晶グラ
ファイトの格子定数である6.708Åに近い程、グラファ
イト構造が発達していることを示している。C軸方向の
結晶子の大きさは、(002)回析線の半値幅から計算さ
れ、結晶子の値が大きい程、グラファイトの平面構造が
良く発達していることを示しており、天然単結晶グラフ
ァイトの結晶子の大きさは1000Å以上である。黒鉛化率
は、結晶面間隔(d022)から計算される(文献:ル・カ
ルボン第1巻129頁、1965年−Les Carbons Vol.1p129,1
965参照)。そして、天然単結晶グラファイトの黒鉛化
率は勿論100%である。電気伝導度値は、グラファイト
のab面方向の値で示し、伝導度値が大きい程、グラファ
イト構造に近いことを示しており、天然単結晶グラファ
イトでは1〜2.5×104S/cmである。
さらに、グラファイト構造を評価するためのX線回析パ
ラメータの一つに、ab面の重なり方を示すロッキング特
性がある。これは、回析強度曲線と言われ、単色で平行
なX線束が入射したときに結晶に回転して得られる回析
強度曲線であって、(00)回析線の出現する角度で2
θを固定し、θを回転することによって測定される。こ
の値は、吸収の半値幅をもって評価され、回転角度
(゜)で表されるこの値が小さい程、ab面がきれいに重
なっていることを示している。
発明が解決しようとする課題 先に述べた、特定の高分子のフィルムからグラファイト
を製造する方法は、容易でコスト安価である等、非常に
優れた方法であるが、この方法についても、その後いろ
いろな検討を加えた結果、次のような、いくつかの改良
すべき問題点があることが明らかとなった。
その第1の問題点は、この方法では、厚手のグラファイ
トすなわちブロック状のグラファイトを製造することが
できないということである。グラファイト化の反応は一
見、出発原料フィルムの厚さとは無関係のように考えら
れるが、実際には、グラファイト化反応は原料の厚さに
強く依存している。このことは、従来全く知られていな
かったことがあるが、発明者らは、種々の実験を行った
結果、上記のような問題を見出した。例えば、第1表
は、厚さの異なる4種類のPODフィルムをグラファイト
化し、そのグラファイトの格子定数、黒鉛化率、ab面方
向の電気伝導度の値を測定した結果を示している。
上記のような結果から、PODフィルムの厚さによって、
明らかにグラファイト化反応の進行程度が異なっている
ことが判る。例えば、グラファイト化率についてみる
と、厚さの相違によって99〜87%まで変化している。こ
のことは、同じPODを材料としても、薄いフィルム状の
グラファイトは得られるが、厚いブロック状のグラファ
イトを得るのは困難であることを示している。
つぎに、前記先行技術の製造方法の第2の問題点は、高
分子原料を単に加熱するだけでは、ロッキング特性が向
上しないということである。このロッキング特性は、グ
ラファイト結晶をX線光学素子などに使用する場合に重
要な特性である。グラファイト結晶をX線等の光学結晶
として用いる場合のロッキング特性としては、その用途
によっても異なるが、一般的には、100μm以下の薄い
グラファイトフィルムでは0.4゜以下、1mm以下の厚いグ
ラファイトブロックでは3゜以下であることが必要とさ
れている。これに対し、前掲の第1表に示したPODグラ
ファイトの場合、ロッキング特性は、6.7゜(出発フィ
ルム厚5μm、以下同様)、10.5゜(25μm)、12゜
(100μm)、17゜(400μm)となっており、何れも要
求されるロッキング特性を満足できない。このことは、
ロッキング特性に関しては、高分子フィルムを単に加熱
してグラファイト化しただけでは、優れた放射線光学素
子は製造できないことを示している。このようにロッキ
ング特性が良くない原因は、フィルム厚が厚くなるほ
ど、熱処理に伴う試料内部からのガス発生のために、ab
面が配向しにくくなるためであると考えられる。
さらに、第3の問題点は、このような方法によって、フ
ラットなグラファイト結晶が得られたとしても、ベント
型のグラファイト結晶を得ることが難しいという点であ
る。すなわち、高分子フィルムを単に加熱しただけで
は、一定の曲率を有するベント型グラファイト結晶は得
られないのである。
そこで、この発明の課題は、以上に述べたような、高分
子フィルムを熱処理してグラファイトを得るという放射
線光学素子の製造方法の問題点を解消し、ロッキング特
性等、放射線光学素子に要求されるグラファイトとして
の諸特性に優れているとともに、厚手のブロック状グラ
ファイトからなる放射線光学素子を製造する方法を提供
することにある。また、従来、製造が非常に困難であっ
たシングルベント型あるいばダブルベント型の湾曲状グ
ラファイト結晶からなる放射線光学素子を容易に製造す
る方法を提供することにある。
課題を解決するための手段 上記課題を解決するこの発明のうち、請求項1記載の発
明は、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリオキ
サジアゾールのなかから選ばれた厚さ1〜200μmの高
分子フィルムを熱処理して炭素質フィルムを作製し、得
られた炭素質フィルムを複数枚重ねて、2500℃以上の温
度領域で4Kg/cm2以上の圧力を加えながら、湾曲面に沿
って圧着成形することにより湾曲グラファイトを得るよ
うにしている。
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の実施
に際し、高分子フィルムとして、予めドーム状に形成さ
れた高分子フィルムを用い、この高分子フィルムから得
られたドーム状の炭素質フィルムをドーム状の湾曲面に
沿って圧着成形することによりダブルベント型グラファ
イトを得るようにしている。
作 用 請求項1記載の発明によれば、前記特定の高分子フィル
ムを熱処理することによって良好な品質の炭素質フィル
ムが作製でき、この炭素質フィルムを複数枚重ねて加熱
圧着することによって、ロッキング特性等の諸特性に優
れているとともに、単層のフィルムでは得られない分厚
いブロック状のグラファイトを製造できる。また、炭素
質フィルムを加熱圧着すると同時に、所定の湾曲面に沿
って成形することによって、所望の湾曲状をなすグラフ
ァイト結晶を得ることができる。
請求項2記載の発明によれば、予めドーム状すなわちダ
ブルベント型に湾曲成形された高分子フィルムを用いる
ことによって、高分子フィルムに対応するドーム状の炭
素質フィルムが得られ、このドーム状の炭素質フィルム
をドーム状の湾曲面に沿って圧着成形することによっ
て、ダブルベント型グラファイト結晶が容易に製造でき
る。
実施例 まず、この発明では、出発原料となる高分子フィルムと
して、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリオキ
サジアゾールの中から選ばれた高分子からなるフィルム
を用いる。具体的な高分子フィルムの材料組成や配合
は、用地や製造条件によって適宜選択して実施される。
高分子フィルムの厚みは、1〜200μmの範囲のものが
用いられる。フィルム厚が200μmよりも厚くなると、
特性の劣化が生じ、1μm未満の厚さのフィルムを用い
た場合は、グラファイトの特性は良好であるが、同じ厚
さのグラファイトブロックを製造するのに、より多数枚
の炭素質フィルム重ねる必要があるので、経済的に不利
であって実用的ではない。
炭素質フィルムを製造するための熱処理温度は、PA、P
I、PODの熱分解温度より高ければよく、一般には450℃
以上で実施される。この発明は放射線光学素子を製造す
るものであるので、グラファイトとしてベント型の結晶
を製造する必要があり、そのためには、上記熱処理温度
は2000℃以上であることが望ましい。これは、20000℃
以下の熱処理によって得られる炭素質フィルムは固いカ
ーボンの状態であるため、フィルムに柔軟性がなく湾曲
させることが困難であるのに対し、2000℃以上で熱処理
を行ったフィルムは柔軟性に富み、容易に湾曲させるこ
とができるからである。
この発明では、放射線光学素子となるグラファイトを、
上記の炭素質フィルムを複数枚重ねて圧着することによ
って、必要な厚みのブロック状をなすグラファイトを作
製する。このように炭素質フィルムを、わざわざ複数枚
重ねる理由は、先に述べたように、例えば200μm以上
の分厚い高分子フィルムを直接熱処理しても良好な特性
を有するグムファイトが得られないためである。これに
対し、200μm以下の比較的薄い高分子フィルムを熱処
理して、良質の炭素質フィルムを作製した後、この炭素
質フィルムを複数枚重ねて圧着すれば、良好な特性を有
するグラファイトが得られるとともに、重ねる枚数によ
って所望の厚さのグラファイトを製造することができる
のである。
上記のような予備的な熱処理工程を経て炭素質フィルム
を製造した後、複数枚の炭素質フィルムを重ねて、加熱
圧着することによってグラファイト化を進めるととも
に、ベンド型の放射線光学素子に必要な湾曲形状に成形
する。放射線光学素子の要求形状に対応して、所定形状
の湾曲面に沿って炭素質フィルムを成形するが、湾曲形
状がシングルベント型である場合には、このような成形
は比較的容易で行えるので、シングルベント型グラファ
イト結晶は容易に製造できる。
しかし、湾曲形状がダブルベント型、すなわちドーム型
である場合、炭素質フィルム自体にはあまり可塑性がな
いので、うまく成形できない場合がある。そこで、ダブ
ルベント型のグラファイト結晶を得ようとする場合に
は、予め高分子フィルムの段階でドーム状に成形された
ものを用いる方法が有効である。このようなドーム状の
高分子フィルムを得るには、溶液タイプの高分子材料を
用いて、キャスト法等の手段を採用すれば、所望の湾曲
形状を有するドーム状高分子フィルムが得られる。
つぎに、炭素質フィルムを重ねて、圧着成形する際の熱
処理条件は、2500℃以上で4Kg/cm2以上の圧力を加えて
実施する。圧力や温度が上記条件以下であると、圧着お
よび成形が充分に行えず、各層の炭素質フィルムが剥が
れ易いグラファイト結晶しか得られない。
以上のような工程を経て製造されたグラファイト放射性
光学素子は、グラファイト結晶のab面がきれいに重なっ
て、ロッキング特性等の諸特性に優れているとともに、
シングルベト型あるいはダブルベント型の任意の湾曲形
状を有するものとなる。
−実施例− ついで、この発明の製造方法によってグラファイトを製
造した、具体的実施例について説明する。
−実施例1− 12.5μmの厚さの、デュポン株式会社製ポリイミドフィ
ルム(商品名:カプトンHフィルム)を石英板に挾ん
で、窒素雰囲気中の毎分20℃の昇温速度で1000℃まで昇
温した後、1000℃で1時間保持して熱処理を行った。こ
の熱処理フィルムを黒鉛基板でサンドイッチし、アルゴ
ン気流中で室温から毎分10℃の昇温速度で昇温し、1600
℃で1時間熱処理を行った後、毎分20℃で降温させて、
炭素質フィルムを得た。このとき使用した加熱炉は、進
成電炉社製46−1型カーボンヒータ炉であった。
こうして得られた炭素質フィルム50枚を、曲率半径γが
13.4cmのシングルベント型湾曲面を有するグラファイト
ブレス治具に沿ってホットプレスした。ここで用いたホ
ットプレス装置は、中外炉工業株式会社製、超高温ホッ
トプレスであった。プレス温度を3000℃として20Kg/cm2
の圧力で1時間プレスしたところ、350μmの厚みを有
するシングルベント型グラファイト結晶が得られた。こ
の結晶のロッキング特性は0.32゜であった。
上記のようにして得られたグラファイト結晶のX線に対
する特性をX線分光器を用いて測定した。グラファイト
結晶面に対し、Mo板に貫通された1mmφの孔を通してCuK
α線を入射させ、焦点位置に置かれた写真乾板上でX線
を測定した。乾板上でX線の像は長さ1mm、幅が約18mm
となり、良い集光性が得られた。また、X線の強度は、
フラットなグラファイト結晶に比べて2.8倍となり、強
度的にも優れていることが判った。
−実施例2− 25、50、125、200、400μmの厚さを有する前記カプト
ンHフィルムから、実施例1と同様の熱処理工程を経
て、それぞれ炭素質フィルムを作製した。それぞれの炭
素質フィルムを25、13、7、4、2枚ずつ重ねて、それ
ぞれを実施例1と同様の工程でホットプレスしてグラス
ファイト結晶を製造した。
こうして得られたグラファイト結晶のロッキング特性
は、順に0.35、0.41、0.47、0.61、0.95゜となった。分
光結晶として利用できるグラファイト結晶のロッキング
特性を0.5゜以下とすれば、上記試料のうち、250μm以
上の高分子フィルムを用いたものは使用できないことが
判るとともに、この発明における高分子フィルムの厚み
1〜200μmの範囲のものは、かなり分厚く重ねても良
好な特性を発揮できることが実証できた。
−実施例3− 溶液状態で供給されるポリイミド材料(東レ株式会社
製、商品名:トレニース)を用いて、ドクターブレード
法によって、基板上に50μmの厚さのフィルムを作製
し、160℃まで加熱して溶媒の一部を蒸発させた。こう
して得られた、未だ充分な可塑性を有する高分子フィル
ムを基板から剥がし、真空成形機において、50mmφの口
径を有するドーム状の成形型を用いて、ドーム型に成形
した。こうして得られた高分子フィルム成形体を180℃
の電気炉で2時間加熱処理して硬化させた後、実施例1
と同様の熱処理によって、ドーム状の炭素質フィルムを
作製し、ついで実施例1と同様のホットプレス工程を経
て、ドーム状のグラファイト結晶を製造した。ドーム状
炭素質フィルムを重ね合わせ枚数は20枚であった。
こうして得られたダブルベント型ドーム状グラファイト
結晶のロッキング特性は0.48゜と良好であった。このグ
ラファイト結晶に対してもX線に対する特性を測定し
た。グラファイト結晶面に対して、Mo板上に空けられた
1mmφのスリット孔を通してCuKα線を入射させ、焦点位
置に置かれた写真乾板上で反射X線を測定した。乾板上
でのX線の像は、約22μmφのスポットとなり、良い集
光性が確認された。また、X線の強度は約15倍にも高ま
った。
−実施例4− 25μmの厚さのポリアミドフィルム(旭化成工業株式会
社製)およびポリオキサジアゾールフィルム(古河電工
株式会社製)に対して、実施例1と同様の熱処理および
ホットプレス工程の経て、シングルベント型のグラファ
イト結晶を得た。なお、炭素質フィルムの積層枚数は40
枚であった。
こうして得られたグラファイト結晶のロッキング特性
は、それぞれ0.40、0.38゜であり、前記実施例1等のポ
リイミドフィルムとほぼ同様の優れた特性を発揮でき
た。CuKα線に対する集光性もほぼ同等であり、X線強
度はフラット結晶に比べて、それぞれ2.5、2.6倍であっ
た。
発明の効果 以上に説明した、この発明にかかるグラファイトの製造
方法のうち、請求項1記載の発明によれば、特定の高分
子フィルムを熱処理し炭素質フィルムを製造した後、複
数枚の炭素質フィルムを重ねて、ホットプレスすなわち
加熱圧着することによって、放射線光学素子に必要とさ
れる、ロッキング特性等の諸特性に優れていると同時に
分厚いブロック状をなすグラファイトが得られ、高性能
な放射線光学素子を製造できる。従来方法のように、1
枚の高分子フィルムを熱処理するだけでは、フィルムが
分厚くなるとともにグラファイトの特性が悪くなる問題
があるが、この発明の製造方法であれば、薄い高分子フ
ィルムを予備的に熱処理して良質の炭素質フィルムを得
た後、この炭素質フィルムをホットプレス工程で加熱圧
着して、所定の厚みを有するブロック状のグラファイト
を得るので、製造するグラファイトの厚みが分厚くなっ
ても特性が悪くならず、分厚いブロック状のグラファイ
トでありながら、薄い高分子フィルム単体からなるグラ
ファイト等と同等の優れた特性を有するものを得ること
ができる。
また、重ねた炭素質フィルムを加熱圧着すると同時に、
放射線光学素子として必要な湾曲形状に成形するので、
シングルベント型あるいはダブルベント型の、集光性や
X線強度に優れた放射線光学素子を、極めて容易に製造
することができる。
したがって、従来は製造することが困難であった、ほぼ
完全なシングルベント型あるいはダブルベント型のグラ
ファイト結晶を製造することが可能になり、この発明の
製造方法によって製造され、ロッキング特性等に優れた
分厚いブロック状のベント型グラファイトからなる放射
線光学素子は、X線や中性子線モノクロメータ、フィル
タ等に広く使用することができ、従来のものに比べて、
はるかに優れた使用性能を発揮することができる。
また、請求項2記載の発明によれば、高分子フィルムと
して、予めドーム状に成形されたものを用いることによ
って、複雑な形状のダブルベント型グラファイトを、極
めて容易に得ることができ、より性能の高い放射線光学
素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はシングルベント型グラファイトからなる放射線
光学素子の外観を示す斜視図、第2図はダブルベント型
グラファイトからなる放射線光学素子の外観を示す斜視
図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポ
    リオキサジアゾールのなかから選ばれた厚さ1〜200μ
    mの高分子フィルムを熱処理して炭素質フイルムを作製
    し、得られた炭素質フィルムを複数枚重ねて、2500℃以
    上の温度領域で4Kg/cm2以上の圧力を加えながら、湾曲
    面に沿って圧着成形することにより湾曲グラファイトを
    得る放射線光学素子の製造方法。
  2. 【請求項2】高分子フィルムとして、予めドーム状に成
    形された高分子フィルムを用い、この高分子フィルムか
    ら得られたドーム状の炭素質フィルムをドーム状の湾曲
    面に沿って圧着成形することによりダブルベント型グラ
    ファイトを得る請求項1記載の放射線光学素子の製造方
    法。
JP63235217A 1988-09-20 1988-09-20 放射線光学素子の製造方法 Expired - Lifetime JPH0791047B2 (ja)

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DE89117296T DE68911810D1 (de) 1988-09-20 1989-09-19 Verfahren zur Herstellung von Graphitblöcken.
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