JPH0723262B2 - グラファイトの製造方法 - Google Patents

グラファイトの製造方法

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JPH0723262B2
JPH0723262B2 JP63235219A JP23521988A JPH0723262B2 JP H0723262 B2 JPH0723262 B2 JP H0723262B2 JP 63235219 A JP63235219 A JP 63235219A JP 23521988 A JP23521988 A JP 23521988A JP H0723262 B2 JPH0723262 B2 JP H0723262B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、X線光学素子、X線モノクロメータ、中性
子線回折ミラー、中性子線フィルタ等として利用される
ブロック状グラファイトの製造方法に関するものであ
る。
従来の技術 グラファイトは、抜群の耐熱性や耐薬品性、高電導性等
を備えているため、工業材料として重要な位置を占め、
電極や発熱体、構造材として広く使用されている。なか
でも、単結晶グラファイトは、X線や中性子線に対する
優れた分光、反射特性を有するため、X線や中性子線の
モノクロメータ、フィルタあるいは分光結晶として広く
用いられている。
このような単結晶グラファイトを得るには、天然に産す
るものを利用するのが簡単であるが、良質の天然グラフ
ァイトは、生産量が非常に限られており、しかも、取り
扱いが困難な粉末状、あるいは非常に小さなブロック状
であるため、使用できる用途が限定されてしまう。
そこで、上記のような天然の単結晶グラファイトと同等
の特性を有する人工グラファイトを製造することが考え
られた。一般的な人工グラファイトの製造方法は、主と
して次の2つの方法に分類することができる。
第1の方法は、Fe,Ni/C系溶融体からの析出、Si,Al等の
炭化物の分解、あるいは高温、高圧下での炭素融液の冷
却によってグラファイトを製造する方法である。このよ
うな方法によって得られたグラファイトは、キッシュグ
ラファイトと呼ばれ、天然グラファイトと同等の物性を
示す。しかし、上記のような方法では、微小な薄片状の
グラファイトしか得られず、製造工程の煩雑さやコスト
的に高くつくこともあって、工業的にはほとんど利用さ
れていない。
第2の方法は、気相中での炭化水素ガスの高温分解沈積
と、その熱間加工による方法であり、圧力を印加しつつ
3400℃で長時間再焼鈍するという工程によってグラファ
イトが製造される。このようにして得られたグラファイ
トは、高配向パイログラファイト(HOPG)と呼ばれ、そ
の特性は天然グラファイトとほぼ同等の優れたものであ
る。この方法では、前記キッシュグラファイトとは異な
り、かなり大きなサイズのものも製造できるが、製造工
程が複雑であって歩留りが低く、非常に高価であるとい
う欠点がある。
これらの2つの製造方法の欠点を解消し、製造が容易で
コスト安価なグラファイトの製造方法として、様々な有
機物あるいは炭素質物を、3000℃以上で加熱してグラフ
ァイト化する方法が考えられた。しかし、この方法で
は、天然グラファイトやキッシュグラファイトと同等の
優れた特性を有するグラファイトを得ることはできなか
った。例えば、グラファイトの最も典型的な物性である
ab面方向の電気伝導度は、天然グラファイトやキッシュ
グラファイトでは1〜2.5×104S/cmであるのに対し、上
記方法のものでは、一般に1〜2×103S/cmのものしか
得られない。このことは、上記方法ではグラファイト化
が完全には進行しないことを示している。
上記方法の場合、通常は、出発原料としてコークスなど
の炭素質物とコールタール等のバインダーが使用される
が、コークスやチャーコールを3000度程度に加熱するこ
とによって生成される炭素の構造は、比較的グラファイ
ト(黒鉛)構造に近いものから、それとは程遠いものま
で、様々な種類のものが存在する。このような炭素の構
造のうち、単なる熱処理によって比較的容易に黒鉛的な
構造に変わる炭素を易黒鉛化性炭素と呼び、そうでない
ものを難黒鉛化炭素と呼んでいる。このような構造上の
相違が生じる原因は、黒鉛化の機構と密接に関連してい
て、炭素前駆体中に存在する構造欠陥が、より高温での
加熱処理によって除去され易いか否かによる。したがっ
て、炭素前駆体の微細構造が黒鉛化性に対して重要な役
割を果たすことになる。
上記のようなコークス等の出発原料とする方法に対し、
高分子材料を用いて、これを熱処理することによってグ
ラファイトフィルムを製造する方法に関して、いくつか
の研究が行われており、この方法は、高分子材料の分子
構造を生かすことによって、炭素前駆体の微細構造を制
御しようとするものである。
上記方法は、高分子を真空中あるいは不活性気体中で熱
処理し、分解および重縮合反応を経て炭素質物に変え、
この炭素質物をさらにグラファイト化する方法である。
しかし、この方法の場合、任意の高分子を出発原料とし
て用いても、優れた特性のグラファイトフィルムが得ら
れる訳ではなく、むしろほとんどの高分子材料は、この
目的には使用できないことが判っている。例えば、上記
のようなグラファイト化を目的として熱処理が試みられ
た高分子としては、フェノールホルムアルデヒド樹脂、
ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンオキシド、ポ
リ塩化ビニルなどがあるが、これらの高分子は、いずれ
も難黒鉛化材料に属しており、高いグラファイト化率を
有するものではなかった。
本発明者らは、上記のような高分子を用いるグラファイ
トの製造方法の問題点を解決するために種々の研究を行
い、数多くの高分子についてグラファイト化を試みた結
果、フィルム状のポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾ
ール(POD)、芳香族ポリイミド(PI)、3種類のポリ
ベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリベンゾオキサゾー
ル(PBO)、ポリベンゾビスオキサゾール(PBBO)、ポ
リチアゾール(PT)等の高分子を特定の温度で熱処理す
るときに、従来既知の高分子材料よりも容易にグラファ
イト化することを見出した。それらの知見に基づき、本
発明者らは特許出願を行っており、これらは、特開昭61
−275114号公報、特開昭61−275115号公報、特開昭61−
275117号公報等に開示されている。この方法によれば、
上記のような高分子を、1800℃以上、好ましくは2500℃
以上で加熱することによって、グラファイト化率の高い
グラファイトを容易に短時間で製造することが出来るよ
うになった。
グラファイト化の程度を表すには、格子定数、C軸方向
の結晶子の大きさなどX線回折のパラメータ、あるいは
それから算出される黒鉛化率等がよく用いられ、また、
電気伝導度値もしばしば用いられる。格子定数は、X線
の(002)回折線の位置から計算され、天然単結晶グラ
ファイトの格子定数である6.708Aに近い程、グラファイ
ト構造が発達していることを示している。C軸方向の結
晶子の大きさは、(002)回折線の半値幅から計算さ
れ、結晶子の値が大きい程、グラファイトの平面構造が
良く発達していることを示しており、天然単結晶グラフ
ァイトの結晶子の大きさは1000A以上である。黒鉛化率
は、結晶面間隔(d022)から計算される(文献:ル・カ
ルボン第1巻129頁、1965年−Les Carbons Vol.1 P129,
1965参照)。そして、天然単結晶グラファイトの黒鉛化
率は勿論100%である。電気伝導度数は、グラファイト
のab面方向の値で示し、電導度値が大きい程、グラファ
イト構造に近いことを示しており、天然単結晶グラファ
イトでは1〜2.5×104S/cmである。
さらに、グラファイト構造を評価するためのX線回折パ
ラメータの一つに、ab面の重なり方を示すロッキング特
性がある。これは、回折強度曲線と言われ、単色で平行
なX線束が入射したときに結晶を回転して得られる回折
強度曲線であって(00l)回折線の出現する角度で2θ
を固定し、θを回転することによって測定される。この
値は、吸収の半値幅をもって評価され、回転角度(°)
で表される。この値が小さい程、ab面がきれいに重なっ
ていることを示している。
発明が解決しようとする課題 先に述べた、特定の高分子フィルムからグラファイトを
製造する方法は、容易でコスト安価である等、非常に優
れた方法であるが、この方法についても、その後いろい
ろな検討を加えた結果、次のような、いくつかの改良す
べき問題点があることが明らかとなった。
その第1の問題点は、この方法では厚手のグラファイト
すなわちブロック状のグラファイトを製造することがで
きないということである。グラファイト化の反応は一
見、出発原料フィルムの厚さとは無関係のように考えら
れるが、実際には、グラファイト化反応は原料の厚さに
強く依存している。このことは従来全く知られていなか
ったことがあるが、発明者らは、種々の実験を行った結
果、上記のような問題を見出した。例えば、第1表は、
厚さの異なる4種類のPODフィルムをグラファイト化
し、そのグラファイトの格子定数、黒鉛化率、ab面方向
の電気伝導度の値を測定した結果を示している。
上記のような結果から、PODフィルムの厚さによって、
明らかにグラファイト化反応の進行程度が異なっている
ことが判る。例えば、グラファイト化率についてみる
と、厚さの相違によって99〜87%まで変化している。こ
のことは、同じPODを材料としても、薄いフィルム状の
グラファイトは得られるが、厚いブロック状のグラファ
イトを得るのは困難であることを示している。
つぎに、前記先行技術の製造方法の第2の問題点は、高
分子原料を加熱するだけでは、グラファイトのab面軸方
向の面がc軸方向にいかに奇麗に重なっているかとい
う、前記ロッキング特性が向上しないということであ
る。
ロッキング特性は、グラファイト結晶をX線光学素子な
どの使用する場合に重要な特性であり、ab面の重なり方
を測定するには、先に述べたX線回折によるロッキング
法が用いられる。グラファイト結晶をX線等の光学結晶
として用いる場合のロッキング特性としては、その用途
によっても異なるが、一般的には、100μm以下の薄い
グラファイトフィルムでは0.4°以下、1mm以上の厚いグ
ラファイトブロックでは3°以下であることが必要とさ
れている。これに対し、前掲の第1表に示したPODグラ
ファイトの場合、ロッキング特性は、6.7°(出発フィ
ルム厚5μm、以下同様)、10.5°(25μm)、12°
(100μm)、17°(400μm)となっており、何れも要
求されるロッキング特性を満足できない。このことは、
ロッキング特性に関しては、高分子フィルムを単に加熱
してグラファイト化しただけでは、優れた放射線光学素
子は製造できないことを示している。このようにロッキ
ング特性が良くない原因は、フィルム厚が厚くなるほ
ど、熱処理に伴う試料内部からのガス発生のために、ab
面が配向しにくくなるためであると考えられる。
そこで、この発明の課題は、以上に述べたような、高分
子フィルムを熱処理するグラファイトの製造方法の問題
点を解消し、ロッキング特性等のグラファイトとしての
特性に優れているとともに厚手のブロック状のグラファ
イトを製造する方法を提供することにある。
課題を解決するための手段 上記課題を解決する本発明は、請求項1においては、芳
香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、及びポリオキサジ
アゾールの中から選ばれた厚さが1μm以上400μm以
下の範囲の高分子フィルムを、450℃以上2000℃以下の
温度範囲で熱処理を行い炭素質フィルムに変換する炭素
質フィルム変換工程と、前記炭素質フィルム変換工程で
得られた炭素質フィルムを複数枚重ね合わせる重ね合わ
せ工程と、前記重ね合わせ工程で得られた重ね合わされ
た炭素質フィルムをホットプレスする工程とを有するグ
ラファイトの製造方法であって、前記ホットプレス工程
は、2800℃以下の温度範囲で20kg/cm2以下の圧力を印加
する第1のホットプレス工程と、2800℃以上の温度範囲
で20kg/cm2以上の圧力を印加する第2のホットプレス工
程とを有するグラファイトの製造方法である。
又、請求項2においては、芳香族ポリイミド、芳香族ポ
リアミド、及びポリオキサジアゾールの中から選ばれた
厚さが1μm以上400μm以下の範囲の高分子フィルム
を、450℃以上2000℃以下の温度範囲で熱処理を行い炭
素質フィルムに変換する炭素質フィルム変換工程と、前
記炭素質フィルム変換工程で得られた炭素質フィルムを
複数枚重ね合わせる重ね合わせ工程と、前記重ね合わせ
工程で得られた重ね合わされた炭素質フィルムをホット
プレスする工程とを有するグラファイトの製造方法であ
って、前記ホットプレス工程は、800℃以上の温度範囲
で行い、50kg/cm2以下の圧力を印加し、前記圧力を変化
させる範囲を設けたグラファイトの製造方法としてい
る。
作用 請求項1記載の発明によれば、前記特定の高分子フィル
ムを熱処理することによって良好な品質の炭素質フィル
ムが作製でき、この炭素質フィルムを複数枚重ねて加熱
圧着することによって、ロッキング特性等の諸特性に優
れているとともに、単層のフィルムでは得られない分厚
いブロック状のグラファイトを製造できる。
請求項2記載の発明によれば、前記特定の高分子フィル
ムを熱処理することによって良好な品質の炭素質フィル
ムを作製でき、この炭素質フィルムを複数枚重ねて加熱
圧着する際に、圧力を断続的に、つまり圧力の増加減少
を所定回数繰り返す変化する範囲を設けながら加えるこ
とによって、ロッキング特性等の諸特性に非常に優れて
いるとともに、単層のフィルムでは得られない分厚いブ
ロック状のグラファイトを製造することができる。
実施例 まず、この発明では、出発原料となる高分子フィルムと
して、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリオキ
サジアゾールの中から選ばれた高分子からなるフィルム
を用いる。具体的な高分子フィルムの材料組成や配合
は、用途や製造条件によって適宜選択して実施される。
高分子フィルムの厚みは、400μm以下、好ましい1〜4
00μmの範囲のものが用いられる。フィルム厚が400μ
mよりも厚くなると、炭素化およびグラファイト化の過
程において発生するガスのために、内部構造の乱れた炭
素前駆体(すなわち難黒鉛化炭素)しかできず、その後
に加熱圧着すなわちホットプレス工程を行っても良質の
グラファイトを得ることができない。フィルム厚が薄い
場合には特に大きな制限はないが、1μmよりも薄くな
ると、同じ厚さのグラファイトブロックを製造するの
に、より多数枚の炭素質フィルムを製造しておく必要が
あるので、経済的に不利である。
炭素質フィルムを製造するための熱処理温度は450〜200
0℃の範囲で実施される。2000℃以上の温度領域で熱処
理を行うこともできるが、上記温度範囲内で熱処理した
ものをホットプレスしたほうが、最終的に製造されるグ
ラファイトの品質に良い結果を与える。この工程は、ホ
ットプレスの前の予備的な熱処理工程であるが、この段
階では高分子フィルムを重ねないで別々に熱処理したほ
うがよく、特に、400μm以上の厚さには重ねないほう
がよい。これは、高分子フィルムを重ねた状態で熱処理
すると、高分子フィルムからのガス発生が抑えられ、厚
いフィルムを使用したのと同じような欠点が生じるから
である。
上記のような予備的な熱処理工程を経て炭素質フィルム
を製造した後、複数枚の炭素質フィルムを重ねて、本格
的な加熱および圧着工程であるホットプレス工程を行
い、炭素質のグラファイト化を進行させて、ブロック状
のグラファイトを製造する。このホットプレス工程で
は、圧力印加の方法と温度制御が重要である。すなわ
ち、このホットプレス工程では、熱処理中に炭素質フィ
ルムに発生するシワを取り除きながら圧着することが必
要である。そのような処理条件を研究した結果、2800℃
以下の温度領域では20kg/cm2以下の圧力であることが必
要であり、この温度領域で上記圧力以上に圧力印加する
と、炭素質フィルムが割れてしまう。なお、圧力を急激
に印加せず徐々に圧力を加えるようにすれば、割れを防
ぐ上でより有効である。2800℃以上の温度領域では、完
全な接着を実現するために20kg/cm2以上の圧力が必要で
あり、それ以下の圧力では圧着が充分に行われない。
上記のような製造工程を経ることによって、分厚いブロ
ック状をなすとともにロッキング特性が著しく改良され
たグラファイトを製造することができる。例えば、従来
技術で挙げた前記PODフィルム(厚み4,25,100,450μ
m)を100℃で熱処理して炭素質フィルムを製造した
後、それぞれの厚みのフィルムを10枚づつ重ねてホット
プレス工程を行う。ホットプレス工程は、昇温過程で、
2800℃までは4kg/cm2の圧力を印加し、 2800℃以上になると20kg/cm2の圧力を印加し、3000℃で
一定時間処理を行ってブロック状のグラファイトを製造
する。上記のような処理条件で実際にグラファイトを製
造したところ、そのロッキング特性は、1.0°(4μ
m、1.2°(25μm)、1.5°(100μm)、1.8°(450
μm)となり、ロッキング特性の著しい向上が認められ
た。
つぎに、上記方法とは一部異なる製造方法であって、同
様にロッキング特性等に優れるとともに、分厚いブロッ
ク状のグラファイトを製造できる方法について説明す
る。
高分子フィルムの材質や、炭素質フィルムを製造するた
めの熱処理工程については、前記した実施例の製造工程
と同様に実施できるので、詳細な説明は省略する。この
実施例の製造方法では、ホットプレス工程において、80
0℃以上の温度領域で圧力を断続的に、つまり圧力の増
加減少を所定回数繰り返す変化する範囲を設けながら加
えることを特徴とする。前記したように、炭素質フィル
ムのホットプレス工程においては、熱処理によって生じ
るシワや歪みをいかにうまく取り除くかということが重
要であり、この点で、圧力をこのように断続的に印加す
ることが非常に有効である。
このように断続的な圧力の加え方としては、熱処理過程
の低い温度領域では、加える圧力の最大値を比較的小さ
くしておき、高い温度領域では圧力の最大値を大きくし
ていくようにすると、より効果が大きい。加える圧力の
最大値は、2000℃以下では20kg/cm2以下であることが最
も望ましいが、50kg/cm2以下であれば有効である。2000
℃以上では、20kg/cm2以上であることが望ましいが、50
kg/cm2以上の圧力は必要ではない。
−実施例− ついで、この発明の製造方法によってグラファイトを製
造した、具体的実施例について説明する。各実施例にお
いて、グラファイト化の程度を評価するために、前記し
た格子定数、黒鉛化率、電気伝導度、ロッキング特性を
測定しており、これらの物性の測定条件は下記のとおり
である。
(1)格子定数(Co) フィリップ社製PW−1051型X線ディフラクトメータを用
い、CuKα線を使用して試料のX線回折線を測定した。C
oの値は、2θ=26〜27°付近に現れる。(002)回折線
から、グラフの式nλ=2d sinθ(だたし2d=Co)を用
いて計算した。ここで、n=2、λはX線の波長であ
る。
(2)黒鉛化率(%) 黒鉛化率は面間隔(d)の値より次式を用いて計算し
た。
d002=3.354g+3.44(1−g) ここで、gは黒鉛化の程度を示し、g=1は完全な黒
鉛、g=0は無定形炭素を表す。
(3)電気伝導度(S/cm) 試料に銀ベーストと金線を用いて4端子電極を取り付
け、外側電極から一定電流を流し、内側電極においてそ
の電圧降下を検出することによって測定した。試料の
幅、長さ、厚さを顕微鏡によって測定した結果から、電
気伝導度を計算した。
(4)ロッキング特性(°) 理学電機社製ロータフレックスRU−200B型X線回折装置
を用い、グラファイト(002)線のピーク位置における
ロッキング特性を測定した。得られた吸収曲線の半値幅
をもってロッキング特性とした。
−実施例A− 10μmの厚さのPOD,PA,PIの各高分子フィルムを黒鉛板
に挾んで、窒素雰囲気中で毎分20℃の昇温速度で1000℃
まで昇温した後、1000℃で1時間保持して熱処理を行
い、炭素質フィルムを得た。
それぞれの材料からなる炭素質フィルムを20枚づつ重
ね、中外炉工業株式会社製、超高温ホットプレスを用い
てホットプレス工程を行い、グラファイトブロックを得
た。ホットプレス工程の処理条件は、毎分10℃の昇温速
度で昇温し、1000〜2800℃の温度領域で圧力を徐々に加
え、最終的に20kg/cm2まで増加させた。2800℃以上の温
度領域では圧力を40kg/cm2にし、3000℃で1時間プレス
した。このようにして得られたグラファイトブロックの
物性値を第2表に示している。
上記の結果によれば、得られたグラファイトブロックの
ロッキング特性は、0.9〜0.65°の範囲にあり、請求項
1記載の発明にかかる製造方法によって、優れたロッキ
ング特性を有するブロック状グラファイトが製造できる
ことが実証できた。
−実施例B− 2,10,25,50,100,200μmの厚さを有するPIフィルムを、
それぞれ1000℃で熱処理して炭素質フィルムを製造し
た。それぞれの炭素質フィルムを2〜20枚重ねて、合計
厚みが種々異なる状態で、前記実施例1と同様の処理条
件でホットプレス工程を行った。
得られたグラファイトブロックのロッキング特性を第3
表に示している。
以上の結果から、出発原料である高分子フィルムの厚み
が厚くなる程、ロッキング特性が悪くなり、ロッキング
特性を1°以内に抑えるには、400μm以上の高分子フ
ィルムを用いる必要があることが判る。なお、高分子フ
ィルムの積み重ね枚数が多くなる程、ロッキング特性が
悪くなる傾向があるが、その程度はあまり顕著ではな
い。
−実施例C− 25μmの厚さのPOD,PA,PIの各高分子フレームを黒鉛板
に挾んで、窒素雰囲気中で毎分20℃の昇温速度で1000℃
まで昇温した後、1000℃で1時間保持して熱処理を行
い、炭素質フィルムを得た。
それぞれの材料からなる炭素質フィルムを20枚づつ重
ね、中外炉工業株式会社製、超高温ホットプレスを用い
てホットプレス工程を行い、グラファイトブロックを得
た。ホットプレス工程の処理条件は、毎分10℃の昇温速
度で昇温し、1000〜2800℃の温度領域で、0〜20kg/cm2
の圧力を断続的に12回印加した。圧力印加の方法は、圧
力0の状態から徐々に圧力を増加して約2分で20kg/cm2
の最高圧力にし、この最高圧力を2分間保持した後、約
1分間で圧力0の状態に戻した。圧力0の状態で3分間
保持した後、上記同様の加圧操作を繰り返した。つぎ
に、2800℃以上の温度領域に昇温した状態では、最高圧
力を50kg/cm2にして、前記同様の断続的な圧力印加を行
った。最高温度3000℃まで昇温した後、3000℃で1時間
プレスした。このようにして得られたグラファイトブロ
ックの物性値を第4表に示している。
以上の結果から、得られたグラファイトブロックのロッ
キング特性は、0.62〜0.51°の範囲であり、請求項2記
載の発明にかかる製造方法によって、優れたロッキング
特性を有するブロック状のグラファイトが製造できるこ
とが実証できた。また、この実施例Cの結果を前記実施
例Aの結果と比べると、ロッキング特性が高くなってお
り、ホットプレス工程で断続的に、つまり圧力の増加減
少を所定回数繰り返す変化する範囲を設けながら圧力を
加えることが、ロッキング特性の向上により有効である
ことが実証できた。
発明の効果 以上に説明した、この発明にかかるグラファイトの製造
方法のうち、請求項1記載の発明によれば、特定の高分
子フィルムを熱処理し炭素質フィルムを製造した後、複
数枚の炭素質フィルムを重ねて、ホットプレスすなわち
加熱圧着することによって、ロッキング特性等の諸特性
に優れているとともに、分厚いブロック状をなすグラフ
ァイトを製造することができる。従来方法のように、1
枚の高分子フィルムを熱処理するだけでは、フィルムが
分厚くなるとともにグラファイトの特性が悪くなる問題
があるが、この発明の製造方法であれば、薄い高分子フ
ィルムを予備的に熱処理して良質の炭素質フィルムを得
た後、この炭素質フィルムをホットプレス工程で加熱圧
着して、所定の厚みを有するブロック状のグラファイト
を得るので、製造するグラファイトの厚みが分厚くなっ
ても特性が悪くならず、分厚いブロック状のグラファイ
トでありながら、薄い高分子フィルム単体からなるグラ
ファイト等と同様の優れた特性を有するものを得ること
ができる。
したがって、従来、製造することが困難であった、優れ
た特性を有するグラファイトを容易に製造することがで
き、特に、従来の製造方法に比べ著しくロッキング特性
等が向上したブロック状グラファイトを得ることが可能
になる。この発明の製造方法によって製造され、ロッキ
ング特性等に優れた分厚いブロック状のグラファイト
は、X線や中性子線モノクロメータ、フィルタ等に広く
使用することができる。
また、請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載
の発明と同様にして炭素質フィルムを製造した後、ホッ
トプレス工程で圧力を断続的に、つまり圧力の増加減少
を所定回数繰り返す変化する範囲を設けながら加えるこ
とによって、請求項1記載の発明の上記効果に加え、ロ
ッキング特性等をより向上させることが可能である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、及
    びポリオキサジアゾールの中から選ばれた厚さが1μm
    以上400μm以下の範囲の高分子フィルムを、450℃以上
    2000℃以下の温度範囲で熱処理を行い炭素質フィルムに
    変換する炭素質フィルム変換工程と、前記炭素質フィル
    ム変換工程で得られた炭素質フィルムを複数枚重ね合わ
    せる重ね合わせ工程と、前記重ね合わせ工程で得られた
    重ね合わされた炭素質フィルムをホットプレスする工程
    とを有するグラファイトの製造方法であって、前記ホッ
    トプレス工程は、2800℃以下の温度範囲で20kg/cm2以下
    の圧力を印加する第1のホットプレス工程と、2800℃以
    上の温度範囲で20kg/cm2以上の圧力を印加する第2のホ
    ットプレス工程とを有するグラファイトの製造方法。
  2. 【請求項2】芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、及
    びポリオキサジアゾールの中から選ばれた厚さが1μm
    以上400μm以下の範囲の高分子フィルムを、450℃以上
    2000℃以下の温度範囲で熱処理を行い炭素質フィルムに
    変換する炭素質フィルム変換工程と、前記炭素質フィル
    ム変換工程で得られた炭素質フィルムを複数枚重ね合わ
    せる重ね合わせ工程と、前記重ね合わせ工程で得られた
    重ね合わされた炭素質フィルムをホットプレスする工程
    とを有するグラファイトの製造方法であって、前記ホッ
    トプレス工程は、800℃以上の温度範囲で行い、50kg/cm
    2以下の圧力を印加し、前記圧力を変化させる範囲を設
    けたグラファイトの製造方法。
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