JPH0788207B2 - グラフアイトフイルムの製造方法 - Google Patents

グラフアイトフイルムの製造方法

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JPH0788207B2
JPH0788207B2 JP62092535A JP9253587A JPH0788207B2 JP H0788207 B2 JPH0788207 B2 JP H0788207B2 JP 62092535 A JP62092535 A JP 62092535A JP 9253587 A JP9253587 A JP 9253587A JP H0788207 B2 JPH0788207 B2 JP H0788207B2
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睦明 村上
和廣 渡辺
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は電極、発熱体、構造材、高温高圧機器用ガスケ
ット、断熱材、耐食性シール材、電機用ブラシ、X線モ
ノクロメーターなどに利用されるグラファイトフィルム
の製造方法に関し、特に、特殊な高分子材料を原料と
し、これを特定の温度で熱処理する事からなるグラファ
イトフィルムの製造方法に関する。
従来の技術 グラファイトは抜群の耐熱性や耐薬品性、高電導性など
のため工業材料として重要な地位をしめ、電極、発熱
体、構造材として広く使用されている。この様なグラフ
ァイトとしては天然に産するものを使用するのが一つの
方法であるが、良質のグラファイトは生産量が非常に限
られており、しかも取り扱いにくい粉末状又はブロック
状のため人工的にグラファイトを製造する事が行なわれ
ている。
その様な人造グラファイトの製造方法は主として次の4
つの方法に分類する事が出来る。
第1はFe,Ni/C系融体からの析出、Si,Al等の炭化物の分
解、あるいは高温、高圧下での炭素融液の冷却によって
作る方法である。この様にして得られたグラファイトは
キャッシュグラファイトと呼ばれ天然のグラファイトと
同じ物性を有している。しかしながら、この方法によっ
ては微少な薄片状のグラファイトしか得られず、製造法
の煩雑さやコスト高と相まって工業的には使われていな
い。
第2は多様な有機物あるいは炭素質物を3000℃以上で加
熱してグラファイト化する方法であるが、この方法では
天然グラファイトやキャッシュグラファイトと同じ物性
のグラファイトは得られない。例えば、グラファイトの
最も典型的な物性であるC軸方向の電気伝導度は、天然
グラファイトやキャッシュグラファイトでは1〜2.5×1
04S/cmであるのに対し、この方法では一般に1〜2×10
3S/cmの電導度の生成物しか得られない。すなわち、こ
の事はこの様な方法では一般にグラファイト化が完全に
は進行しない事を示している。しかし、この第2の方法
は製造法が簡単であるため必ずしも完全なグラファイト
化が必要でない様な用途に広く使用されている。したが
って、この方法によって天然グラファイトと同じ様な特
性を有するグラファイトが出来るならば、その工業的な
意義は非常に大きい。
第3は気相炭化水素の高温分解沈積とその熱間加工によ
って作る方法であり、10Kg/cm3の圧力をかけ3400℃で長
時間再焼鈍すると言う工程により作成される。この様に
して得られたグラファイトは高配向パイログラファイト
と呼ばれ、その特性は天然グラファイトと同じである。
例えばC軸方向の電気伝導度は2.5×104S/cmである。こ
の方法ではキャッシュグラファイトと異なりかなり大き
なものも作成出来るが、製造法が複雑であり非常に高価
であると言う欠点がある。
第4は第2の方法と第3の方法によって得られるグラフ
ァイトの間を埋める商品であって、天然グラファイトを
濃硝酸と濃硫酸の混合液に浸せきし、その後、加熱によ
りグラファイト層間を拡げる事により作成する。この様
にして製造されたグラファイトはエクスパンドグラファ
イトと言われるが、粉末状であるためシート状グラファ
イトとするためにはさらに粘結剤と共に高圧プレス加工
をする必要がある。この様にして得られたシート状グラ
ファイトの特性は天然の単結晶グラファイトには及ば
ず、例えば電導度は通常1.2×103S/cm程度である。また
工程上多量の酸が必要であり、SOx,NOxガス発生の問題
や、残留酸の浸出による金属の腐食など多くの問題があ
る。
以上、述べた様に従来法1〜4のうち、第2、第4の方
法では天然の単結晶グラファイトと同じ特性のグラファ
イトは出来ず、一方、第1、第3の方法は天然の単結晶
グラファイトと同等な特性のグラファイトが得られる
が、工程が複雑で生成物が非常に高価になると言う欠点
がある。また第4の方法も工程上多くの問題を含んでい
る。
この様な問題を解決すべく、我々は高分子フィルムを直
接高品質グラファイトフィルムに転換する事を目的とし
て研究を行なった。そして本発明者らは先に特許出願し
た(特願昭−60−115415号明細書)においてポリオキサ
ジアゾール(以下PODと略す)が1600℃以上の温度で熱
処理する事によって従来のどの様な高分子よりも容易に
グラファイト化でき、良質のグラファイトフィルムに転
換出来る事を述べた。又、特願昭60−115416号明細書に
おいてポリベンゾチアゾール(PBTと略す)、ポリベン
ゾビスチアゾール(PBBTと略す)、ポリベンゾオキサゾ
ール(PBOと略す)、ポリベンゾビスオキサゾール(PBB
Oと略す)、ポリチヤゾール(PBTと略す)等の高分子も
良質なグラファイトフィルムに転換出来る事を述べた。
さらに特願昭60−115411において、ポリ(ピメリットイ
ミド)、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)、ポ
リ(m−フェニレンベンゾイミダゾール)、ポリ(m−
フェニレンベンゾビスイミダゾール)などの高分子フィ
ルムを自己収縮を防止する様に熱処理し、その後1800℃
以上の温度で熱処理する事によってやはり良質なグラフ
ァイトフィルムに転換出来る事を述べた。
これらは単に高分子を不活性ガス中或いは真空中で熱処
理すると言う極めて簡単な操作により、従来、製造する
ことが不可能であったころのほぼ完全なグラファイトフ
ィルムを得る事が出来、すぐれた製造方法であるという
ことができる。
発明が解決しようとする問題点 しかしながら、これらの製造方法にも大きな欠点があ
る。それは大面積のグラファイトフィルムを得ようとす
る場合には、それだけ大きな高温炉が必要となると言う
点である。連続的に熱処理を行なう事はこの問題の有力
な解決法である。しかし、これらの高分子フィルムは50
0〜1600℃の間ではきわめて脆く、割れ易いため、事実
上連続的に焼成を行う事は不可能に近い。したがって現
在はバッチ式での生産が行われている。この場合、試料
の大きさは用いられるヒーターの大きさによって制限さ
れるためあまり大きなグラファイトフィルムは作る事が
出来なかった。
本発明は、以上のような人造グラファイトフィルムの製
造における問題点を解決するためになされたもので、上
記の様な特殊な構造を有する高分子フィルムを不活性ガ
ス中または真空中で熱処理すると言う容易な方法によ
り、天然グラファイトと同等の特性を有する良質のグラ
ファイトを提供することを目的とし、特にバッチ法によ
って大面積のグラファイトフィルムを得ることを目的と
するものである。
問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために、本発明は高分子フィルムを
円筒状グラファイト質炭素に巻き付けて不活性ガス中又
は真空中で熱処理するようにしたグラファイトフィルム
の製造方法である。
作用 高分子フィルムを円筒状グラファイト質炭素に巻き付
け、この円筒状グラファイト質炭素と共に熱処理するこ
とによってしわの少ない大面積高品質のグラファイトフ
ィルムを作成する事が可能となる。
実 施 例 以下本発明の実施例について図面とともに詳細に説明す
る。
第2図(a),(b)に一般に3000℃までの高温を得る
ためのヒーターの構造を示す。ヒーター1は円筒状のグ
ラファイト質炭素より成り、これに大電流を印加し、ヒ
ーターの細い部分2を赤熱する。試料はこのヒーター1
の内部に置かれヒーターと共に加熱される。
したがって、平面状の試料を用いる限りはヒーター1の
内径より大きな試料は熱処理出来ない事になる。フィル
ム状試料は曲げて入れる事は出来るが、この場合熱処理
過程で試料の収縮が起きるため、試料に多数のしわが生
じてしまう。
本発明においては試料を円筒型のグラファイト質炭素に
まきつけ、それを第2図のヒーター1内部にセットす
る。その概念図を第1図に示す。試料である高分子フィ
ルム3は熱処理過程で収縮しようとするがその収縮は円
筒状グラファイト質炭素4によってさまたげられしわを
生じない。
すでに述べた様に試料高分子フィルム3は500〜1600℃
の間ではきわめて脆いが、1800℃以上では可撓性のある
グラファイトフィルムに変化する。したがって1800℃以
上に加熱した場合には試料高分子フィルム3を円筒状グ
ラファイト質炭素4から容易に取り除く事が出来る。こ
の様にして得られたグラファイトフィルムは円筒形の履
歴を有しているがこの様な履歴はロールがけなどの手法
によって極めて容易に取り除くことが出来る。試料高分
子フィルム3は必要に応じて何重にも円筒状グラファイ
ト質炭素4にまき付ける事が出来、長さ方向には十分大
きなフィルムを作成する事が出来る。一方、試料の幅は
円筒状グラファイト質炭素4の長さによって規定され
る。また円筒状グラファイト質炭素4を2個用いてその
間に試料をはさみ込む事は極めて有効な手法である。す
なわち第3図に示す様に2本の円筒状グラファイト質炭
素4,5のうち小さい方の円筒4の外径が大きい方の円筒
5の内径より少し小さくなるようにしておき、その間に
試料高分子フィルム3をはさみ込む様にする訳である。
この様な方法によって試料高分子フィルム3を傷つける
事なくヒーター1から出し入れする事が出来る。試料高
分子フィルム3の熱処理を2段階に分けて行い、第1段
階の熱処理が1000℃以下であれば第1段階の熱処理には
石英管や、セラミック管を使用する事が出来る。この場
合には第2段階の1000℃以上の熱処理を行う前に管をグ
ラファイト質炭素管に変える必要がある。
以下に具体的実施例によって本発明を説明するが、本発
明がこれらに限定されるものでないことは言うまでもな
い。
なお、グラファイト化の程度は上記格子定数、黒鉛化
率、電気伝導度などの値より評価した。
グラファイトの各物性の測定は下記に従って行なった。
1.格子定数(Co) フィリップス社製PW−1051型X線デイフラクトメーター
を用い、CuKα線を使用して試料X線回折線を測定し
た。Coの値は2θ=26〜27゜付近に現われる(002)回
折線よりブラッグの式nλ=2dsinθ(ただし2d=Co)
を用いて計算した。ここでn=2、λはX線の波長であ
る。
2.結晶子(Lc) 結晶子の大きさ(Lc)は(002)回折線に諸補正をほど
こした回折線の半価幅(β)より次の関係式に従って計
算した。
ここでKは形状因子である。
3.黒鉛化率(%) 黒鉛化率は面間隔(d)の値より次式を用いて計算し
た。
d002=3.354g+3.44(1−g) ここでgは黒鉛化の程度を示しg=1は完全な黒鉛、g
=0は無定形炭素を示す。
4.電気伝導度(S/cm) 試料に銀ベーストと金線を用いて4端子電極を取り付
け、外側電極より一定電流を流し、内側電極においてそ
の電圧降下を測定する事によって測定した。試料の幅、
長さ、厚さを顕微鏡によって決定し電気伝導度値を決定
した。
実施例1 幅180mm厚さ50μmのPODフィルムを外径68mm、内径64m
m、長さ200mmのグラファイト質炭素円筒に3重まき付
け、アルゴン気流中で室温より毎分10℃の速度で昇温
し、所望の温度Tpで1時間処理し、毎分20℃の速度で降
温させた。使用した炉は進成電炉社製46−6型カーボン
ヒーター炉である。得られた黒色のフィルムはTpが1600
℃以下ではもろくフレキシビリティのないものであった
が、1800℃以上ではフレキシビリティのあるフィルムに
なった。フィルムの大きさは170×180mmであった。
第1表には種々の温度で処理したPODフィルムの電導
度、格子定数、結晶子の大きさ黒鉛化率を示す。
この熱処理の条件下では1600℃以上で黒鉛化が開始さ
れ、2000〜2500℃で急激に黒鉛化が進行する。2500℃に
おいてすでに黒鉛化率は97%に達し、2800℃では完全な
黒鉛となる。この時の格子定数、結晶子の大きさなどは
天然の単結晶グラファイトと同じである。
実施例2 PBT−1、PBT−2、PBT−3、PBBT、PBO、PBBO及びポリ
イミド(Kapton )、ポリアミド(Kevlar )、ポリア
ミドイミドの9種類の高分子を選択し熱処理を行なっ
た。処理温度は2500℃及び3000℃である。また熱処理の
方法は実施例1と同じである。第2表には各高分子の各
構造式を示し結果を第3表にまとめて示す。PBT−1、P
BT−2、PBT−3、PBBT、PBO、PBBOはいずれも2500℃の
温度処理によって80%以上がグラファイト化し、3000℃
の処理によってほぼ完全な大面積グラファイトになる。
発明の効果 以上の様に本発明はPOD、PBT、PBBT、PBO、PBBO、PT、P
A、PIなどの高分子フィルムを円筒状グラファイト質炭
素に巻き付け、この円筒状グラファイト質炭素と共に不
活性ガス中、あるいは真空中1800℃以上で加熱する事を
特徴とするグラファイトフィルムの製造方法であって、
本発明により大面積グラファイトフィルムが容易に得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるグラファイトフィルムの製造方法
を示す概念図、第2図(a),(b)は本発明に用いら
れるグラファイト質炭素ヒーターの実施例を示す側面図
およびそのX−X線断面図、第3図は本発明の他の実施
例におけるグラファイトフィルムの製造方法を示す概念
図である。 1……ヒーター、3……高分子フィルム、4,5……円筒
状グラファイト質炭素。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子フィルムを円筒状グラファイト質炭
    素に巻き付け、不活性ガス中あるいは真空中、1800℃以
    上で加熱する事を特徴とするグラファイトフィルムの製
    造方法。
  2. 【請求項2】高分子フィルムがポリフェニレンオキサジ
    アゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチア
    ゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキ
    サゾール、ポリチアゾール、芳香族ポリアミド、芳香族
    ポリイミドから選択されたいずれかである事を特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載のグラファイトフィルムの
    製造方法。
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