JPH0790614A - アルミニウムまたはアルミニウム合金類およびこれらの化成処理方法 - Google Patents

アルミニウムまたはアルミニウム合金類およびこれらの化成処理方法

Info

Publication number
JPH0790614A
JPH0790614A JP25930093A JP25930093A JPH0790614A JP H0790614 A JPH0790614 A JP H0790614A JP 25930093 A JP25930093 A JP 25930093A JP 25930093 A JP25930093 A JP 25930093A JP H0790614 A JPH0790614 A JP H0790614A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
chemical conversion
acid
phosphorus
conversion treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25930093A
Other languages
English (en)
Inventor
Manabu Kazuhara
学 数原
Noboru Haga
昇 羽賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Elna Co Ltd
Original Assignee
Elna Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Elna Co Ltd filed Critical Elna Co Ltd
Priority to JP25930093A priority Critical patent/JPH0790614A/ja
Publication of JPH0790614A publication Critical patent/JPH0790614A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】アルミニウムまたはアルミニウム合金類の表面
に化学的な化成処理方法により酸化皮膜を形成して耐薬
品性を向上させる際に、クロム酸類を用いることなく、
アルミニウムまたはアルミニウム合金類を低公害で安価
に供給する。 【構成】アルミニウムまたはアルミニウム合金類を化学
的な化成処理方法を行なうに際して、リンを含有する化
合物類と過酸化物類からなる溶液(ただし、クロム酸類
を含まない。)を化成溶液として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金類を化学的に化成処理を行ない、その表
面に酸化皮膜層を形成するアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金類の化成処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムまたはアルミニウム合金類
などの弁作用金属類は、その表面に自然の酸化皮膜層を
形成しているが、これら弁作用金属類は耐蝕性や耐摩耗
性などを向上させるために化学的に化成処理を行なう
か、陽極酸化法による電解化成処理にて酸化皮膜層の厚
さを増大させている。特に、アルミニウムまたはアルミ
ニウム合金類においては、上述した化成処理方法がよく
行なわれている。(例えば、金属表面技術便覧、日刊工
業新聞社発刊、昭和51年11月30日発行、第581
頁〜第708頁、第733頁〜第748頁参照)これら
のうち、薬剤による化学的な化成処理方法が安価であ
り、かつ容易に酸化皮膜を形成できるために多用されて
いる。
【0003】特に、酸化皮膜の耐蝕性および製造コスト
などの面から、アルミニウムまたはアルミニウム合金類
の化学的な化成処理方法には、クロム酸類を用いたクロ
メート処理法などが主として行なわれている。このよう
な化学的な化成処理を行なったアルミニウムまたはアル
ミニウム合金類は、建築や装飾用金具など幅広く様々な
用途に使用されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】しかし、主として行なわれているクロム酸
類を用いたアルミニウムまたはアルミニウム合金類の化
学的な化成方法は、排水中のクロム規制(例えば、「排
水基準を定める総理府令」昭和46年6月21日総理府
令第35号、平成3年6月21日総理府令第29号改
正)により廃液処理の問題があった。
【0005】このためにクロム酸類を用いないで、アル
ミニウムまたはアルミニウム合金類を化学的に化成処理
する化成処理方法が種々検討されてきた。例えば、蓚酸
を用いたアルミニウムまたはアルミニウム合金類の化学
的な化成方法などである。しかし、未だ生産コスト、耐
蝕性などの性能においてクロム酸類を含む化学的な化成
方法と同等以上の方法は提案されていない。このような
状態であるので、排水中のクロム酸類を取り除くために
高価な設備を導入し、クロム酸類を用いて化学的にアル
ミニウムまたはアルミニウム合金類の化成処理を行なっ
ているのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0006】本発明者らは上述した課題に鑑み、クロム
酸類を用いずに環境への影響が少なく、安価でありかつ
耐蝕性に優れたアルミニウムおよびアルミニウム合金類
の化学的な化成方法を見い出した。
【0007】すなわち、本発明はリンを含有した化合物
類と過酸化物類との各々1種類以上を混合した溶液(た
だし、クロム酸類を含まない。)にてアルミニウムまた
はアルミニウム合金類を化学的に化成処理を行なったも
のである。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明の化成処理方法により化成処理され
る金属は、純アルミニウムまたは金属成分が2成分以上
のアルミニウム合金類である。例えば、金属成分が2成
分のアルミニウム合金類としては主にAl−Mg合金、
Al−Si合金、Al−Cu合金、Al−Mn合金、A
l−Zn合金、Al−Fe合金、Al−Ni合金、Al
−Cr合金、Al−Ti合金などが挙げられる。
【0009】また、アルミニウムまたはアルミニウム合
金類以外の弁作用金属類およびそれらの合金類、例えば
タンタル、ニオブ、チタンおよびそれらの合金類におい
ても、本発明によるリンを含有した化合物類の1種類以
上と過酸化物類の1種類以上からなる溶液(ただし、ク
ロム酸類を含まない。)にて化学的な化成処理を行なう
ことは可能である。
【0010】本発明の化成処理方法により化成処理され
るアルミニウムまたはアルミニウム合金類の形状は、シ
ート、線、容器、フィン状、棒状などが挙げることがで
きるが、またこれらに限定されるものではない。
【0011】本発明によるアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金類の化学的な化成処理を行なう化成溶液の基本
構成は、リンを含有した化合物類の1種類以上と過酸化
物類の1種類以上の水溶液またはアルコール溶液などか
らなる溶液(ただし、クロム酸類を含まない。)であ
る。この化成溶液にてアルミニウムまたはアルミニウム
合金類を、浸漬またはスプレーなどにより化学的に化成
処理を行なって酸化皮膜を形成する。この酸化皮膜を形
成するための化成処理形式は、自由に選択できる。これ
により形成された酸化皮膜はリン含有酸化皮膜である。
【0012】本発明の化成処理方法によりアルミニウム
またはアルミニウム合金類の表面には、2〜1000n
mのリン含有酸化皮膜層が形成される。これらは絶縁性
は乏しいものの極めて耐薬品性に優れている。
【0013】本発明においては、耐蝕性のさらなる向上
を目指して化成液中に添加剤を添加してもよい。その添
加剤としてはフッ酸、ジルコニウム、亜鉛などが挙げら
れる。
【0014】本発明によるアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金類を化成処理を行なう溶液中に含まれるリンを
含有した化合物類としては、正リン酸またはその塩、メ
タリン酸またはその塩、ピロリン酸またはその塩、三リ
ン酸またはその塩、四リン酸またはその塩、亜リン酸ま
たはその塩、次亜リン酸またはその塩、ポリリン酸また
はその塩およびヘテロポリリン酸またはその塩などが好
ましいが、これらに限定されるものではない。さらに
は、これらの中でも正リン酸またはその塩が安価で好ま
しい。
【0015】また、本発明においてリンを含有した化合
物類の化成溶液中の濃度は0.1〜20重量%が選択さ
れ、好ましくは1〜10重量%が選択される。リンを含
有した化合物類の化成溶液中の濃度が0.1重量%未満
であるとリンの効果が不充分であり、アルミニウムまた
はアルミニウム合金類の表面の酸化皮膜の耐蝕性が乏し
くなる。また、リンを含有した化合物類の化成溶液中の
濃度が20重量%を超えると、リンを含有した化合物類
の化成溶液中の濃度が20重量%以下の場合と比較して
もアルミニウムまたはアルミニウム合金類の表面の酸化
皮膜の耐蝕性の向上がみられなくなるからである。
【0016】本発明によるアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金類を化成処理するための溶液中に含まれる過酸
化物類としては、ペルオクソ酸またはその塩、過硫酸ま
たはその塩、過酸化硼酸またはその塩および過炭酸また
はその塩などが用いられる。塩のカチオン種としては
H,Na,K,Li,NH4 が選択される。特に、過硫
酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムが安価であるので好
ましい。また、過酸化物類の化成溶液中の濃度は0.1
〜20重量%が選択され、好ましくは1〜10重量%選
択される。過酸化物類の化成溶液中の濃度が0.1重量
%未満であると、アルミニウムまたはアルミニウム合金
類の化成処理の効果が不充分となる。過酸化物類の化成
溶液中の濃度が20重量%を超えると過酸化物類の化成
溶液中の濃度が20重量%以下の場合と、アルミニウム
またはアルミニウム合金類の化成処理の効果が何ら変わ
ることがないからである。
【0017】本発明による化成処理方法を行なうに際
し、化成溶液の液温は0〜100℃程度が好ましく、特
に好ましくは室温程度から90℃である。また、化成処
理時間は通常30秒〜60分程度が採用される。化成処
理時間が30秒未満であると酸化皮膜の形成が不充分で
あり、60分を超えることは工業的な生産性の面から好
ましくはない。
【0018】本発明による化成溶液のpHは、3〜10
程度に調整される。このpHの範囲を外れるとアルミニ
ウムまたはアルミニウム合金類の溶解が顕著となるので
好ましくない。さらに好ましくはpHが5〜9の範囲で
ある。
【0019】本発明による化成処理を行なうに先立っ
て、アルミニウムまたはアルミニウム合金類の表面を清
浄化してもよい。この清浄化前処理を行なうことによっ
て、アルミニウムまたはアルミニウム合金類の表面の汚
れ、油脂および自然に形成された酸化皮膜などが除去さ
れ、本発明による化成処理がより一層の効果を得る。
【0020】アルミニウムまたはアルミニウム合金類の
清浄化前処理方法としては、バフ研磨、サンドブラスト
などの機械的研磨方法、苛性ソーダ水溶液、トリクロロ
エチレン、フッ酸水溶液、弱アルカリ脱脂剤などによる
化学的清浄化方法、あるいは電解脱脂など公知の清浄化
方法で行なうのがよい。また、これらを組み合わせて行
なってもよい。これらの清浄化前処理方法の中で特に好
ましくは、弱アルカリ性水溶液またはアルカリ水溶液に
て行なうのが安価であり、かつ容易であるので好まし
い。
【0021】本発明による化成処理を行なう前に、アル
ミニウムまたはアルミニウム合金類を熱湯や沸騰水など
に浸漬し、もしくは水蒸気雰囲気中に放置するなどし
て、それらの水分により疑ベーマイトと呼ばれる水酸化
膜をアルミニウムまたはアルミニウム合金類の表面に形
成するのがより好ましい。また、水酸化膜を形成する際
に熱湯や沸騰水中にアミンなどの添加物を添加してもよ
い。
【0022】また、本発明による化成処理を行なってア
ルミニウムまたはアルミニウム合金類の表面にリン含有
酸化アルミニウム皮膜を形成した後に、後処理として酸
化皮膜中の微小な孔を水蒸気、沸騰水、無機水溶液、有
機水溶液などにて封じる封孔処理を行ない、水和多孔質
酸化皮膜へと変化させてもよい。
【0023】本発明によるアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金類などの表面処理方法において、本発明の化成
処理工程、前処理工程および後処理工程は、連続式と回
分式のいずれを採用してもよい。
【0024】
【実施例】以下、実施例および従来例を挙げて具体的に
説明する。 〈実施例1〉直径1.0mm、長さ250mmの純アル
ミニウム線材を用意した。
【0025】一方、前処理洗浄としてメタケイ酸ソーダ
1.0重量%の水溶液を液温75℃に維持し、洗浄浴と
した。この洗浄浴中に該アルミニウム線材を4分間浸漬
し、次に水洗浄を行なった。
【0026】次に、過硫酸アンモニウム5重量%および
リン酸アンモニウム3重量%からなる水溶液を液温70
℃に維持して化成浴とした。この化成浴中に該アルミニ
ウム線材を浸漬し、40分間化成処理した。該アルミニ
ウム線材の表面にはリン含有酸化皮膜が形成された。
【0027】次に、該アルミニウム線材を洗浄し乾燥し
た後に、水酸化テトラメチルアンモニウム10重量%、
γ−ブチロラクトン40重量%および水50重量%から
なる系の溶解試験液(85℃)中に該アルミニウム線材
を100時間浸漬して溶解試験を行なった。この溶液中
に溶出したアルミニウムイオンをプラズマ発光分析装置
(I.C.P.)により、発光分光分析を行なった。こ
れにより、アルミニウム単位面積当たりのアルミニウム
溶解量(mg/cm2 )を測定した。この結果、アルミ
ニウムの溶解量は0mg/cm2 であった。
【0028】〈実施例2〉実施例1と同様の純アルミニ
ウム線材を用意し、液温30℃のフロン113に3分間
浸漬して、その後、風乾させて前処理洗浄とした。次
に、過炭酸ナトリウム5.0重量%およびリン酸アンモ
ニウム3.0重量%からなる水溶液を液温70℃に維持
して化成浴とした。この化成浴中に該アルミニウム線材
を浸漬して40分間化成処理を行ない、該アルミニウム
線材の表面にリン含有酸化皮膜を形成した。その後、実
施例1と同様の溶解試験液にて同様の溶解試験を行な
い、該アルミニウム線材のアルミニウム溶解量を測定し
た。アルミニウムの溶解量は0mg/cm2 であった。
【0029】〈実施例3〉実施例1と同様の純アルミニ
ウム線材を用意し、実施例1と同様の前処理洗浄を行な
った。次に、実施例1の化成浴に代えて、過硼酸ナトリ
ウム5.0重量%およびリン酸アンモニウム3.0重量
%からなる水溶液(70℃)を化成浴とし、それ以外は
実施例1と同様の化成処理を行なってアルミニウム線材
の表面にリン含有酸化皮膜を形成した。その後、実施例
1と同様の溶解試験液にて同様の溶解試験を行ない、該
アルミニウム線材のアルミニウム溶解量を測定した。ア
ルミニウムの溶解量は1.2mg/cm2 であった。
【0030】〈実施例4〉実施例1と同様の純アルミニ
ウム線材を用意し、実施例1と同様の前処理洗浄を行な
った。次に、実施例1の化成浴に代えて、実施例3と同
様の溶液である過硼酸ナトリウム5.0重量%およびリ
ン酸アンモニウム3.0重量%からなる水溶液(70
℃)を化成浴とし、それ以外は実施例1と同様の化成処
理を行なってアルミニウム線材の表面にリン含有酸化皮
膜を形成した。さらに該アルミニウム線材を沸騰水中に
20分間浸漬し、封孔処理を行なった。
【0031】〈実施例5〉実施例1と同様の純アルミニ
ウム線材を用意し、実施例1と同様の前処理洗浄を行な
った。次に、該アルミニウム線材を沸騰水中に5分間浸
漬して、その表面に水和酸化皮膜を形成した。この後
に、実施例1の化成浴に代えて、実施例3と同様の溶液
である過硼酸ナトリウム5.0重量%およびリン酸アン
モニウム3.0重量%からなる水溶液(70℃)を化成
浴とし、それ以外は実施例1と同様の化成処理を行なっ
てアルミニウム線材の表面にリン含有酸化皮膜を形成し
た。その後、実施例1と同様の溶解試験液にて同様の溶
解試験を行い、該アルミニウム線材のアルミニウム溶解
量を測定した。アルミニウムの溶解量は0.5mg/c
2 であった。
【0033】〈実施例6〉実施例1と同様の純アルミニ
ウム線材を用意し、実施例1と同様の前処理洗浄を行な
った。次に、実施例1の化成浴に代えて、過硫酸ナトリ
ウム2.0重量%およびリン酸アンモニウム3.0重量
%からなる水溶液(70℃)を化成浴とした。それ以外
は実施例1と同様の化成処理を行なってアルミニウム線
材の表面にリン含有酸化皮膜を形成した。その後、実施
例1と同様の溶解試験液にて同様の溶解試験を行い、該
アルミニウム線材のアルミニウム溶解量を測定した。ア
ルミニウムの溶解量は0mg/cm2 であった。
【0034】〈実施例7〉実施例1のアルミニウム線材
に代えて実施例1と同様の直径と長さを有するAl−M
g合金線材を用意し、実施例1と同様の前処理洗浄を行
なった。次に、実施例1と同様の化成処理行なってAl
−Mg合金線材の表面にリン含有酸化皮膜を形成した。
その後、実施例1と同様の溶解試験液にて同様の溶解試
験を行ない、該Al−Mg合金線材のAl−Mg溶解量
を測定した。Al−Mgの溶解量は0mg/cm2 であ
った。
【0035】〈実施例8〉実施例1のアルミニウム線材
に代えて実施例1と同様の直径と長さを有するAl−C
u合金線材を用意し、実施例1と同様の前処理洗浄を行
なった。次に、実施例1の化成浴に代えて、実施例3と
同様の溶液である過硼酸ナトリウム5.0重量%および
リン酸アンモニウム3.0重量%からなる水溶液(70
℃)を化成浴とし、それ以外は実施例1と同様の化成処
理を行なってAl−Cu合金線材の表面にリン含有酸化
皮膜を形成した。その後、実施例1と同様の溶解試験液
にて同様の溶解試験を行ない、該Al−Cu合金線材の
Al−Cu溶解量を測定した。Al−Cuの溶解量は
1.1mg/cm2 であった。
【0036】〈実施例9〉実施例1のアルミニウム線材
に代えて実施例1と同様の直径と長さを有するAl−C
u合金線材を用意し、実施例1と同様の前処理洗浄を行
なった。次に、実施例1の化成浴に代えて、実施例3と
同様の溶液である過硼酸ナトリウム5.0重量%および
リン酸アンモニウム3.0重量%からなる水溶液(70
℃)を化成浴とし、それ以外は実施例1と同様の化成処
理を行なってAl−Cu合金線材の表面にリン含有酸化
皮膜を形成した。さらに、該Al−Cu合金線材を沸騰
水中に20分間浸漬し、封孔処理を行なった。
【0037】〈従来例1〉実施例1と同様の純アルミニ
ウム線材を用意した。該アルミニウム線材には前処理洗
浄も化成処理も行なわなかった。該アルミニウム線材の
表面には自然な酸化皮膜が形成されている。該アルミニ
ウム線材を実施例1と同様の溶解試験液にて同様の溶解
試験を行ない、アルミニウム溶解量の測定を行なった。
アルミニウムの溶解量は4.0mg/cm2 であった。
【0038】〈従来例2〉実施例1と同様の純アルミニ
ウム線材を用意し、実施例1と同様の前処理洗浄を行な
った。次に、電解による陽極酸化法にて該アルミニウム
線材の化成処理を行なった。化成液はアジピン酸アンモ
ニウム3.0重量%の水溶液であり、液温を50℃に維
持して化成浴とした。この化成液中へ純アルミニウム線
材を陽極として浸漬し、ステンレス板を陰極として直流
電圧を徐々に印加して200Vで1時間の陽極酸化を行
なった。これにより、該アルミニウム線材の表面には陽
極酸化皮膜が形成された。この後、該アルミニウム線材
を実施例1と同様の溶解試験液にて同様の溶解試験を行
ない、アルミニウム溶解量の測定を行なった。アルミニ
ウムの溶解量は2.7mg/cm2 であった。
【0039】実施例1乃至実施例3および実施例5乃至
実施例8のアルミニウムまたはアルミニウム合金類の溶
解量は0〜1.2mg/cm2 である。これに対して、
従来例1および従来例2のアルミニウム溶解量は2.7
〜4.0mg/cm2 と溶解量において倍以上の数値で
あり、アルミニウムまたはアルミニウム合金類の表面に
形成された酸化皮膜が著しく劣化して、アルミニウムま
たはアルミニウム合金類の溶解が激しいことが分かる。
実施例1乃至実施例3および実施例5乃至実施例8の溶
解量を表1に、従来例1および従来例2の溶解量を表2
に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【発明の効果】
【0042】本発明においては、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金類をリンを含有した化合物類の1種類以
上および過酸化物類の1種類以上からなる溶液(ただ
し、クロム酸類を含まない。)にて化学的に化成処理を
行なってアルミニウムまたはアルミニウム合金類の表面
に2〜1000nmのリン含有酸化皮膜層を形成する。
このリン含有酸化皮膜層は薬剤への耐蝕性に優れ、アル
ミニウムの溶解量を他の化成処理方法よりも抑えること
ができるものである。
【0043】さらには、現在主として行なわれているク
ロム酸類を使用したアルミニウムまたはアルミニウム合
金類の化成方法よりも環境への影響が少なく、処理設備
が安価で済むために工業的に有利である。また、アルミ
ニウムまたはアルミニウム合金類の表面の酸化皮膜の形
成を電解処理にて行なう陽極酸化法と比較をしても、酸
化皮膜の形成に電解処理を要しないことから、その設備
も簡素なものとなる。さらには、電気を消費しないため
に極めて安価に酸化皮膜を形成できる。
【0044】したがって、薬剤への耐蝕性に優れた酸化
皮膜を表面に形成したアルミニウムまたはアルミニウム
合金類を環境に悪影響を及ぼすことなく、安価に提供で
きるものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムまたはアルミニウム合金類
    において、リンを含有した化合物類の1種類以上と過酸
    化物類の1種類以上からなる溶液(ただし、クロム酸類
    を含まない。)にて、アルミニウムまたはアルミニウム
    合金類を化学的に化成処理してその表面にリン含有酸化
    皮膜を形成することを特徴としたアルミニウムまたはア
    ルミニウム合金類。
  2. 【請求項2】 アルミニウムまたはアルミニウム合金類
    において、水酸化皮膜を形成した後にリンを含有した化
    合物類の1種類以上と過酸化物類の1種類以上からなる
    溶液(ただし、クロム酸類を含まない。)にて、アルミ
    ニウムまたはアルミニウム合金類を化学的に化成処理し
    てその表面にリン含有酸化皮膜を形成することを特徴と
    したアルミニウムまたはアルミニウム合金類。
  3. 【請求項3】 アルミニウムまたはアルミニウム合金類
    において、リンを含有した化合物類の1種類以上と過酸
    化物類の1種類以上からなる溶液(ただし、クロム酸類
    を含まない。)にて、アルミニウムまたはアルミニウム
    合金類を化学的に化成処理した後に封孔処理を行なうこ
    とを特徴とした請求項1または請求項2に記載のアルミ
    ニウムまたはアルミニウム合金類。
  4. 【請求項4】 アルミニウムまたはアルミニウム合金類
    の化成処理方法において、リンを含有した化合物類の1
    種類以上と過酸化物類の1種類以上からなる溶液(ただ
    し、クロム酸類を含まない。)にてアルミニウムまたは
    アルミニウム合金類を化学的に化成処理してその表面に
    リン含有酸化皮膜を形成することを特徴としたアルミニ
    ウムまたはアルミニウム合金類の化成処理方法。
  5. 【請求項5】 アルミニウムまたはアルミニウム合金類
    の化成処理方法において、水酸化皮膜を形成した後にリ
    ンを含有した化合物類の1種類以上と過酸化物類の1種
    類以上からなる溶液(ただし、クロム酸類を含まな
    い。)にてアルミニウムまたはアルミニウム合金類を化
    学的に化成処理してその表面にリン含有酸化皮膜を形成
    することを特徴としたアルミニウムまたはアルミニウム
    合金類の化成処理方法。
  6. 【請求項6】 リンを含有した化合物類の1種類以上と
    過酸化物類の1種類以上からなる溶液(ただし、クロム
    酸類を含まない。)にてアルミニウムまたはアルミニウ
    ム合金類を化学的に化成処理してその表面にリン含有酸
    化皮膜を形成するアルミニウムまたはアルミニウム合金
    類の化成処理方法において、過酸化物類が過硫酸塩、過
    酸化硼酸塩、過炭酸塩の少なくとも1つからなることを
    特徴とした請求項4または請求項5に記載のアルミニウ
    ムまたはアルミニウム合金類の化成処理方法。
  7. 【請求項7】 リンを含有した化合物類の1種類以上と
    過酸化物類の1種類以上からなる溶液(ただし、クロム
    酸類を含まない。)にてアルミニウムまたはアルミニウ
    ム合金類を化学的に化成処理してその表面にリン含有酸
    化皮膜を形成するアルミニウムまたはアルミニウム合金
    類の化成処理方法において、リンを含有した化合物類が
    正リン酸またはその塩、メタリン酸またはその塩、ピロ
    リン酸またはその塩、三リン酸またはその塩、四リン酸
    またはその塩、亜リン酸またはその塩、次亜リン酸また
    はその塩、ポリリン酸またはその塩、ヘテロポリリン酸
    またはその塩の少なくとも1つからなることを特徴とし
    た請求項4または請求項5に記載のアルミニウムまたは
    アルミニウム合金類の化成処理方法。
JP25930093A 1993-09-22 1993-09-22 アルミニウムまたはアルミニウム合金類およびこれらの化成処理方法 Pending JPH0790614A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25930093A JPH0790614A (ja) 1993-09-22 1993-09-22 アルミニウムまたはアルミニウム合金類およびこれらの化成処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25930093A JPH0790614A (ja) 1993-09-22 1993-09-22 アルミニウムまたはアルミニウム合金類およびこれらの化成処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0790614A true JPH0790614A (ja) 1995-04-04

Family

ID=17332166

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25930093A Pending JPH0790614A (ja) 1993-09-22 1993-09-22 アルミニウムまたはアルミニウム合金類およびこれらの化成処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0790614A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006527306A (ja) * 2003-06-11 2006-11-30 アルカン レナリュ アルミニウム合金の板材および帯材のための表面処理方法
JPWO2007080849A1 (ja) * 2006-01-10 2009-06-11 三井金属鉱業株式会社 アルミニウム材表面の化成処理方法及びアルミニウム材

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5080238A (ja) * 1973-11-20 1975-06-30
JPS5159035A (ja) * 1974-11-21 1976-05-22 Nippon Packaging Kk Kuroozudoshisutemuyorinsanenhimakukaseishorieki
JPS5286937A (en) * 1976-01-16 1977-07-20 Rasa Industries Surface treatment of aluminum or its alloy
JPS5424232A (en) * 1977-07-26 1979-02-23 Nippon Packaging Kk Surface treating method of aluminum
JPS60159175A (ja) * 1984-01-07 1985-08-20 ゲルハルト・コラルデイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング リン酸化した金属表面の不動態化処理の方法
JPS61222629A (ja) * 1985-03-28 1986-10-03 Mitsubishi Alum Co Ltd 熱交換器材料及び熱交換器製造法
JPS6281232A (ja) * 1985-10-07 1987-04-14 Mitsubishi Alum Co Ltd 熱交換媒体製造法
JPH0219475A (ja) * 1988-07-08 1990-01-23 Mitsubishi Alum Co Ltd 複合皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材及びその製造法
JPH0387374A (ja) * 1989-08-22 1991-04-12 Metallges Ag 金属上にリン酸塩被膜をつくる方法及びこの方法の使用用途

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5080238A (ja) * 1973-11-20 1975-06-30
JPS5159035A (ja) * 1974-11-21 1976-05-22 Nippon Packaging Kk Kuroozudoshisutemuyorinsanenhimakukaseishorieki
JPS5286937A (en) * 1976-01-16 1977-07-20 Rasa Industries Surface treatment of aluminum or its alloy
JPS5424232A (en) * 1977-07-26 1979-02-23 Nippon Packaging Kk Surface treating method of aluminum
JPS60159175A (ja) * 1984-01-07 1985-08-20 ゲルハルト・コラルデイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング リン酸化した金属表面の不動態化処理の方法
JPS61222629A (ja) * 1985-03-28 1986-10-03 Mitsubishi Alum Co Ltd 熱交換器材料及び熱交換器製造法
JPS6281232A (ja) * 1985-10-07 1987-04-14 Mitsubishi Alum Co Ltd 熱交換媒体製造法
JPH0219475A (ja) * 1988-07-08 1990-01-23 Mitsubishi Alum Co Ltd 複合皮膜を有するアルミニウム又はアルミニウム合金材及びその製造法
JPH0387374A (ja) * 1989-08-22 1991-04-12 Metallges Ag 金属上にリン酸塩被膜をつくる方法及びこの方法の使用用途

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006527306A (ja) * 2003-06-11 2006-11-30 アルカン レナリュ アルミニウム合金の板材および帯材のための表面処理方法
JPWO2007080849A1 (ja) * 2006-01-10 2009-06-11 三井金属鉱業株式会社 アルミニウム材表面の化成処理方法及びアルミニウム材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2912101B2 (ja) 隔離層を生成する金属上に、必要に応じて改質した酸化物セラミックス層を作りだす方法と、これから作られる物体
EP0171799B1 (en) Sealant compositions for anodized aluminum
JP5595874B2 (ja) マグネシウム合金の表面処理方法
JPH0551679B2 (ja)
JPS63501802A (ja) マグネシウムの物品を被覆する方法とそのための電解浴
JP2004502877A (ja) アルカンスルホン酸を含有する配合による、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面処理方法
JP3183512B2 (ja) マグネシウムコーティングの2段階化学/電気化学的方法
NO309660B1 (no) Fremgangsmåte for dannelse av et forbedret korrosjonsbestandig belegg på en magnesiuminneholdende artikkel
JP3894950B2 (ja) アルミニウムまたはアルミニウム合金の処理
JP6369745B2 (ja) 陽極酸化皮膜及びその封孔処理方法
US20030127338A1 (en) Process for brightening aluminum, and use of same
US5667599A (en) Process for forming a black oxide on aluminum alloys and a solution therefor
JPH0790614A (ja) アルミニウムまたはアルミニウム合金類およびこれらの化成処理方法
JPH09184094A (ja) 表面処理アルミニウム材及びその製造方法
JP2005097707A (ja) アルミニウム陽極酸化皮膜の封孔処理方法
JP4583408B2 (ja) アルミニウム材の表面処理方法
JP3916222B2 (ja) マグネシウム合金の表面処理法
JP4151301B2 (ja) アルミニウム又はアルミニウム合金の表面処理方法及び処理液
JP3625502B2 (ja) アルミニウム塗装材の製造方法
JP2004018901A (ja) マグネシウム材料製品の表面処理方法
JP3858257B2 (ja) マグネシウムまたはマグネシウム合金の表面処理方法
JP2005325403A (ja) アルミニウムダイキャスト材の表面処理方法
JP2002220697A (ja) マグネシウム合金の皮膜生成方法及びその電解液
JP3176470B2 (ja) 多層皮膜形成方法
JP3143225B2 (ja) アルミニウムまたはアルミニウム合金基体の表面被覆方法