JP2005097707A - アルミニウム陽極酸化皮膜の封孔処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 陽極酸化皮膜の細孔を、容易かつ簡便に封孔して、アルミニウムの耐食性を向上させることができるアルミニウム陽極酸化皮膜の封孔処理方法を提供する。
【解決手段】 アルミニウム陽極酸化皮膜を、Zr 、Si、Ti、Au、Ag、Co、Ni、Mo、Mn、Nb、Ta、W、Zn、Fe、Ir、又はScのフルオロ錯塩を含む水溶液に浸漬させることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 アルミニウム陽極酸化皮膜を、Zr 、Si、Ti、Au、Ag、Co、Ni、Mo、Mn、Nb、Ta、W、Zn、Fe、Ir、又はScのフルオロ錯塩を含む水溶液に浸漬させることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、アルミニウム又はその合金の表面に形成した陽極酸化皮膜の封孔処理方法に関する。
金属アルミニウムの耐食性、耐磨耗性等を向上させる目的で、通常、硫酸、シュウ酸、あるいはクロム酸水溶液からなる電解液にアルミニウムを浸して、陽極酸化処理を施し、保護膜である陽極酸化皮膜(アルマイト皮膜)をアルミニウム表面に形成させることが広く実用的に行われている。
このアルミニウム陽極酸化皮膜は、多孔性の硬い酸化皮膜であり、その表面には直径数十〜数百nmの微細な細孔(針孔)が無数に存在している。そして、これらの細孔は、該酸化皮膜の保護膜性能を低下させる原因となるため、上記細孔を封孔する処理を施すのが一般的である。
アルミニウム陽極酸化皮膜の簡便な封孔処理方法としては、例えば、アルミニウム陽極酸化皮膜を、90℃以上の沸騰水に浸漬させたり、又は高温水蒸気中に放置して、水和作用により、該酸化皮膜の表面にγ−Al2O3・H2O(ベーマイト)、水和酸化物層を形成させて封孔する方法がある。
しかし、この封孔処理方法は、高温での処理が必要となるため、簡便な方法であるとは必ずしも言えないこと、また、生成したベーマイトが表面から脱落して、耐食性等の低下を招く恐れがあること、などの問題がある。
このアルミニウム陽極酸化皮膜は、多孔性の硬い酸化皮膜であり、その表面には直径数十〜数百nmの微細な細孔(針孔)が無数に存在している。そして、これらの細孔は、該酸化皮膜の保護膜性能を低下させる原因となるため、上記細孔を封孔する処理を施すのが一般的である。
アルミニウム陽極酸化皮膜の簡便な封孔処理方法としては、例えば、アルミニウム陽極酸化皮膜を、90℃以上の沸騰水に浸漬させたり、又は高温水蒸気中に放置して、水和作用により、該酸化皮膜の表面にγ−Al2O3・H2O(ベーマイト)、水和酸化物層を形成させて封孔する方法がある。
しかし、この封孔処理方法は、高温での処理が必要となるため、簡便な方法であるとは必ずしも言えないこと、また、生成したベーマイトが表面から脱落して、耐食性等の低下を招く恐れがあること、などの問題がある。
また、上記以外の簡便な封孔処理方法として、酢酸ニッケル、酢酸コバルト等の金属塩水溶液に、アルミニウム陽極酸化皮膜を数十分間浸漬して、ニッケル塩、コバルト塩等の金属錯塩や加水分解物を細孔内に析出・沈着させて封孔する方法も知られている。
しかし、この封孔処理方法は、アルミニウム陽極酸化皮膜の細孔を封孔するための材料が、ニッケル塩、コバルト塩等に限られており、アルミニウム表面の保護性能をあまり向上させることができないという問題がある。
しかし、この封孔処理方法は、アルミニウム陽極酸化皮膜の細孔を封孔するための材料が、ニッケル塩、コバルト塩等に限られており、アルミニウム表面の保護性能をあまり向上させることができないという問題がある。
さらに、アルミニウム陽極酸化皮膜の封孔処理方法として、ゾル−ゲル法も知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、金属アルコキシドを含むゾル溶液を陽極酸化皮膜上にコーティングする方法であり、この方法によって、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物等が細孔中に充填されると共に、これらの酸化物からなる被覆層が陽極酸化皮膜の表面に形成される。
しかし、ゾル−ゲル法は、湿度の調整装置や焼成炉等の付帯設備を要したり、ゾル溶液の塗布、乾燥、ゾル化、ゲル化、および加熱からなる一連の工程を繰り返す必要があるため、処理に時間や手間がかかること、複雑な形状をもつ対象物にはコーティングが困難であること、厚くコーティングすると、ひび割れや剥離を生じる恐れがあること、金属アルコキシドが高価であること、などの問題がある。
しかし、ゾル−ゲル法は、湿度の調整装置や焼成炉等の付帯設備を要したり、ゾル溶液の塗布、乾燥、ゾル化、ゲル化、および加熱からなる一連の工程を繰り返す必要があるため、処理に時間や手間がかかること、複雑な形状をもつ対象物にはコーティングが困難であること、厚くコーティングすると、ひび割れや剥離を生じる恐れがあること、金属アルコキシドが高価であること、などの問題がある。
一方、基材がアルミニウム合金の場合は、それ自体の耐食性が極めて低く、陽極酸化処理を行っても、合金成分の存在によって陽極酸化皮膜の耐食性が不十分であることが多い。そのため、陽極酸化皮膜の細孔を封孔すると共に、高い耐食性を付与することができる封孔処理方法が求められていた。
本発明は、上記の従来技術が有する問題点を解決した封孔処理方法、すなわち、アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、特に断りがない限り、単に「アルミニウム」という。)の表面に形成された多孔性の陽極酸化皮膜の細孔を、容易かつ簡便に封孔して、アルミニウムの耐食性を向上させることができると共に、さらに、陽極酸化皮膜の表面に被覆膜を形成させることによって、保護膜性能に優れたアルミニウム陽極酸化皮膜を得ることができる、アルミニウム陽極酸化皮膜の封孔処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、アルミニウム陽極酸化皮膜を、所定のフルオロ錯塩を含む水溶液に浸漬させて、該水溶液中で自己析出・成長型の成膜反応を行わせることにより、上記問題点を解決できることを見出し、かかる知見に基づき、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、アルミニウム陽極酸化皮膜を、Zr 、Si、Ti、Au、Ag、Co、Ni、Mo、Mn、Nb、Ta、W、Zn、Fe、Ir、又はScのフルオロ錯塩を含む水溶液に浸漬させることを特徴とするアルミニウム陽極酸化皮膜の封孔処理方法である。
本発明の封孔処理方法によれば、アルミニウム陽極酸化皮膜の細孔を、簡便な操作で容易に封孔することができ、保護膜性能に優れたアルミニウム陽極酸化皮膜を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の封孔処理方法を行う対象となるアルミニウム陽極酸化皮膜は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材の表面に、通常の陽極処理を施して形成させた陽極酸化皮膜である。通常の陽極処理とは、例えば、硫酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸等の有機酸、又は水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ水溶液の電解浴中にて電圧を印加して、陽極電解を行う処理である。この陽極酸化皮膜の厚さは、特に限定されない。
基材を構成する上記アルミニウム又はアルミニウム合金は、特に限定されず、純アルミニウムのほか、Al−Cu系合金、Al−Mn系合金、Al−Si系合金、Al−Mg系合金、Al−Zn系合金等が例示される。
本発明の封孔処理方法を行う対象となるアルミニウム陽極酸化皮膜は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材の表面に、通常の陽極処理を施して形成させた陽極酸化皮膜である。通常の陽極処理とは、例えば、硫酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、シュウ酸、クエン酸、マロン酸等の有機酸、又は水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ水溶液の電解浴中にて電圧を印加して、陽極電解を行う処理である。この陽極酸化皮膜の厚さは、特に限定されない。
基材を構成する上記アルミニウム又はアルミニウム合金は、特に限定されず、純アルミニウムのほか、Al−Cu系合金、Al−Mn系合金、Al−Si系合金、Al−Mg系合金、Al−Zn系合金等が例示される。
本発明の封孔処理方法は、上記アルミニウム陽極酸化皮膜を、Zr 、Si、Ti、Au、Ag、Co、Ni、Mo、Mn、Nb、Ta、W、Zn、Fe、Ir、又はScのうちの、いずれかの金属元素のフルオロ錯塩を含む水溶液に浸漬させることを特徴とする。
本発明の原理は、必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、まず、上記金属元素のフルオロ錯塩は、水溶液中でフルオロ錯イオンに解離する。次いで、この水溶液にアルミニウム陽極酸化皮膜を浸漬することにより、フルオロ錯イオンが加水分解する。そして、この加水分解により、アルミニウム陽極酸化皮膜の表面に上記金属元素の酸化物が析出し、成長・堆積することによって細孔を封孔して、アルミニウムの耐食性を向上させ、さらには、該酸化物の被覆層を形成し、その結果、保護膜性能が非常に向上したアルミニウム陽極酸化皮膜が得られるというものである。本発明の封孔処理方法によれば、複雑な形状をもつアルミニウム陽極酸化皮膜であっても、1回の浸漬処理で、細孔を完全に塞ぐことができる。また、得られたアルミニウム陽極酸化皮膜は、その表面に上記酸化物が化学吸着しているため、洗浄等を繰り返しても容易に剥離することがなく、長期にわたって高い耐食性が保持される。
本発明の原理は、必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、まず、上記金属元素のフルオロ錯塩は、水溶液中でフルオロ錯イオンに解離する。次いで、この水溶液にアルミニウム陽極酸化皮膜を浸漬することにより、フルオロ錯イオンが加水分解する。そして、この加水分解により、アルミニウム陽極酸化皮膜の表面に上記金属元素の酸化物が析出し、成長・堆積することによって細孔を封孔して、アルミニウムの耐食性を向上させ、さらには、該酸化物の被覆層を形成し、その結果、保護膜性能が非常に向上したアルミニウム陽極酸化皮膜が得られるというものである。本発明の封孔処理方法によれば、複雑な形状をもつアルミニウム陽極酸化皮膜であっても、1回の浸漬処理で、細孔を完全に塞ぐことができる。また、得られたアルミニウム陽極酸化皮膜は、その表面に上記酸化物が化学吸着しているため、洗浄等を繰り返しても容易に剥離することがなく、長期にわたって高い耐食性が保持される。
上記金属元素のフルオロ錯塩は、上記金属元素にフッ素イオンが配位したフルオロ錯体の塩(電解質錯体)であり、その具体例としては、Mg[SiF6]、(NH4)2 [SiF6]、K2[ZrF6] 、K2[TiF5]、K[AuF4]、K[AgF4] 、K[MoF6] 、K[WF6] 、NH4[NbF6]等が挙げられる。
上記金属元素のフルオロ錯塩を作製するには、公知の方法を利用すればよく、例えば、フッ化物塩と中性の無機フッ化物を溶媒中で反応させる方法が通常用いられている(J.Fluorine Chem.,25,91(1984))。また、金属をフッ化水素酸に溶解させたものを用いてもよい。
上記金属のフルオロ錯塩は、水溶液中、上記金属の量が、0.0005〜0.1mol/lとなるように配合することが好ましい。また、これらのフルオロ錯塩は、単独で用いるだけでなく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記金属元素のフルオロ錯塩を作製するには、公知の方法を利用すればよく、例えば、フッ化物塩と中性の無機フッ化物を溶媒中で反応させる方法が通常用いられている(J.Fluorine Chem.,25,91(1984))。また、金属をフッ化水素酸に溶解させたものを用いてもよい。
上記金属のフルオロ錯塩は、水溶液中、上記金属の量が、0.0005〜0.1mol/lとなるように配合することが好ましい。また、これらのフルオロ錯塩は、単独で用いるだけでなく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記金属のフルオロ錯塩を含む水溶液には、ポリアクリル酸又はそのエステルを添加することが好ましい。それによって、上記金属酸化物の析出・堆積を制御して、酸化皮膜の耐食性をより一層向上させると共に、上記金属水酸化物が沈殿するのを抑制する効果が得られる。ポリアクリル酸又はそのエステルの添加量は、適宜決定すればよいが、上記金属元素のフルオロ錯塩を含む水溶液中、0.1〜50g/lとするのが上記効果を得る上で好ましい。
また、上記金属元素のフルオロ錯塩を含む水溶液のpHは、2〜8の範囲が好ましく、そのために、水酸化ナトリウム、アンモニア等のpH調整剤を配合することができる。さらに、フルオロ錯イオンの加水分解を促し、封孔処理を促進するために、フッ素イオンの捕捉剤として、アルミニウム、ホウ酸等を配合することができる。その場合、水溶液中におけるアルミニウム、ホウ素の濃度が、0.001〜0.1mol/lとするのが好適である。
また、上記金属元素のフルオロ錯塩を含む水溶液のpHは、2〜8の範囲が好ましく、そのために、水酸化ナトリウム、アンモニア等のpH調整剤を配合することができる。さらに、フルオロ錯イオンの加水分解を促し、封孔処理を促進するために、フッ素イオンの捕捉剤として、アルミニウム、ホウ酸等を配合することができる。その場合、水溶液中におけるアルミニウム、ホウ素の濃度が、0.001〜0.1mol/lとするのが好適である。
アルミニウム陽極酸化皮膜を上記水溶液中に浸漬する際における、該水溶液の温度は、特に限定されないが、通常、20〜80℃の範囲である。また、浸漬時間についても特に限定されず、細孔の大きさ等に応じて適宜決定すればよい。アルミニウム陽極酸化皮膜を上記水溶液中に浸漬した後は、乾燥させることで、封孔処理が達成される。なお、上記水溶液には、上記成分のほか、界面活性剤、抗菌剤等の各種添加剤を添加することができる。
(実施例1)
アルミニウム合金A5052を、温度30℃、100g/lのシュウ酸二水和物水溶液中に浸漬して、電流密度3A/dm2で30分間、陽極酸化を行い、該アルミニウム合金表面に陽極酸化皮膜を形成させた試験片を作製した。
次いで、ヘキサフルオロケイ酸マグネシウム六水和物が1.5g/l、ポリアクリル酸が36g/lとなるように、これらをイオン交換水に溶解して、封孔液を調製した。
そして、上記試験片を、50℃の上記封孔液に20分間浸漬し、水洗した後、150℃にて約1時間乾燥させて封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面にケイ素酸化物が析出・堆積し、光沢のある干渉色を示す試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、221秒であった。
アルミニウム合金A5052を、温度30℃、100g/lのシュウ酸二水和物水溶液中に浸漬して、電流密度3A/dm2で30分間、陽極酸化を行い、該アルミニウム合金表面に陽極酸化皮膜を形成させた試験片を作製した。
次いで、ヘキサフルオロケイ酸マグネシウム六水和物が1.5g/l、ポリアクリル酸が36g/lとなるように、これらをイオン交換水に溶解して、封孔液を調製した。
そして、上記試験片を、50℃の上記封孔液に20分間浸漬し、水洗した後、150℃にて約1時間乾燥させて封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面にケイ素酸化物が析出・堆積し、光沢のある干渉色を示す試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、221秒であった。
(比較例1)
実施例1で作製した試験片(封孔処理前のもの)を、95℃のイオン交換水中に20分間浸漬して封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面に水和酸化物が形成した試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、205秒であった。
実施例1で作製した試験片(封孔処理前のもの)を、95℃のイオン交換水中に20分間浸漬して封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面に水和酸化物が形成した試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、205秒であった。
(実施例2)
純度99.99%のアルミニウムを、温度20℃、38g/lのシュウ酸二水和物水溶液中に浸漬して、電流密度3A/dm2で20分間、陽極酸化を行い、該アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を形成させた試験片を作製した。
次いで、ヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムが2.8g/lとなるように、これをイオン交換水に溶解して、封孔液を調製した。
そして、上記試験片を、50℃の上記封孔液に2時間浸漬し、水洗した後、150℃にて約1時間乾燥させて封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面にジルコニウム酸化物が析出・堆積した試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、235秒であった。
純度99.99%のアルミニウムを、温度20℃、38g/lのシュウ酸二水和物水溶液中に浸漬して、電流密度3A/dm2で20分間、陽極酸化を行い、該アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を形成させた試験片を作製した。
次いで、ヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムが2.8g/lとなるように、これをイオン交換水に溶解して、封孔液を調製した。
そして、上記試験片を、50℃の上記封孔液に2時間浸漬し、水洗した後、150℃にて約1時間乾燥させて封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面にジルコニウム酸化物が析出・堆積した試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、235秒であった。
(実施例3)
純度99.99%のアルミニウムを、温度20℃、38g/lのシュウ酸二水和物水溶液中に浸漬して、電流密度3A/dm2で20分間、陽極酸化を行い、該アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を形成させた試験片を作製した。
次いで、ヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムが2.8g/l、ポリアクリル酸が0.4g/l、水酸化アンモニウムが30mg/lとなるように、これらをイオン交換水に溶解して、封孔液を調製した。
そして、上記試験片を、50℃の上記封孔液に2時間浸漬し、水洗した後、150℃にて約1時間乾燥させて封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面にジルコニウム酸化物が析出・堆積した試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、452秒であった。
純度99.99%のアルミニウムを、温度20℃、38g/lのシュウ酸二水和物水溶液中に浸漬して、電流密度3A/dm2で20分間、陽極酸化を行い、該アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を形成させた試験片を作製した。
次いで、ヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムが2.8g/l、ポリアクリル酸が0.4g/l、水酸化アンモニウムが30mg/lとなるように、これらをイオン交換水に溶解して、封孔液を調製した。
そして、上記試験片を、50℃の上記封孔液に2時間浸漬し、水洗した後、150℃にて約1時間乾燥させて封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面にジルコニウム酸化物が析出・堆積した試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、452秒であった。
(比較例2)
実施例2で作製した試験片(封孔処理前のもの)を、95℃のイオン交換水中に20分間浸漬して封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面に水和酸化物が形成した試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、188秒であった。
実施例2で作製した試験片(封孔処理前のもの)を、95℃のイオン交換水中に20分間浸漬して封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面に水和酸化物が形成した試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、188秒であった。
(実施例4)
純度99.99%のアルミニウムを、80g/lのスルホサリチル酸と2g/lの硫酸からなる温度25℃の混合水溶液中に浸漬して、電流密度3A/dm2で20分間、陽極酸化を行い、該アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を形成させた試験片を作製した。
次いで、ヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムが2.8g/l、ポリアクリル酸が0.4g/l、水酸化アンモニウムが30mg/lとなるように、これらをイオン交換水に溶解して、封孔液を調製した。
そして、上記試験片を、50℃の上記封孔液に2時間浸漬し、水洗した後、150℃にて約1時間乾燥させて封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面にジルコニウム酸化物が析出・堆積した試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、2323秒であった。
純度99.99%のアルミニウムを、80g/lのスルホサリチル酸と2g/lの硫酸からなる温度25℃の混合水溶液中に浸漬して、電流密度3A/dm2で20分間、陽極酸化を行い、該アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を形成させた試験片を作製した。
次いで、ヘキサフルオロジルコニウム酸カリウムが2.8g/l、ポリアクリル酸が0.4g/l、水酸化アンモニウムが30mg/lとなるように、これらをイオン交換水に溶解して、封孔液を調製した。
そして、上記試験片を、50℃の上記封孔液に2時間浸漬し、水洗した後、150℃にて約1時間乾燥させて封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面にジルコニウム酸化物が析出・堆積した試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、2323秒であった。
(比較例3)
実施例4で作製した試験片(封孔処理前のもの)を、95℃のイオン交換水中に20分間浸漬して封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面に水和酸化物が形成した試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、367秒であった。
実施例4で作製した試験片(封孔処理前のもの)を、95℃のイオン交換水中に20分間浸漬して封孔処理を行った。この封孔処理を行うことにより、陽極酸化皮膜の細孔内および表面に水和酸化物が形成した試験片を得た。
この封孔処理後の試験片に対して、起電力測定試験法(JIS H8681)を用いて耐食性試験を行ったところ、367秒であった。
(評価)
以上の試験結果から明らかであるように、本発明の封孔処理方法を行うことにより、アルミニウム陽極酸化皮膜に対して、高い耐食性を付与することができた。
以上の試験結果から明らかであるように、本発明の封孔処理方法を行うことにより、アルミニウム陽極酸化皮膜に対して、高い耐食性を付与することができた。
Claims (3)
- アルミニウム陽極酸化皮膜を、Zr 、Si、Ti、Au、Ag、Co、Ni、Mo、Mn、Nb、Ta、W、Zn、Fe、Ir、又はScのフルオロ錯塩を含む水溶液に浸漬させることを特徴とするアルミニウム陽極酸化皮膜の封孔処理方法。
- フルオロ錯塩を含む水溶液が、ポリアクリル酸又はそのエステルを配合したものである請求項1記載の封孔処理方法。
- 請求項1又は2記載の封孔処理方法によって得られたアルミニウム陽極酸化皮膜。
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