JPH0790341A - 高Mn鋼の脱炭精錬方法 - Google Patents

高Mn鋼の脱炭精錬方法

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JPH0790341A JP22893493A JP22893493A JPH0790341A JP H0790341 A JPH0790341 A JP H0790341A JP 22893493 A JP22893493 A JP 22893493A JP 22893493 A JP22893493 A JP 22893493A JP H0790341 A JPH0790341 A JP H0790341A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 [Mn]≧3wt%の高Mn鋼の減圧下での脱炭精錬
において、酸化性ガスを溶鋼表面に吹き付ける第1脱炭
工程と、Mn酸化物を含有する粉体状の脱炭精錬用添加剤
を溶鋼中に十分侵入し得る速度で溶鋼表面に吹き付ける
第2脱炭工程とを備え、第1脱炭工程を昇温手段、第2
脱炭工程を冷却手段として溶鋼温度を制御し、少なくと
も、第1脱炭工程の後に第2脱炭工程を行うことを特徴
とする高Mn鋼の脱炭精錬方法。 【効果】 Mn損失を極力少ない状態で、溶鋼温度をあ
る一定範囲に制御しながら、短時間で、炭素濃度0.1 %
以下の低炭域まで脱炭でき、低C高Mn鋼が容易に溶製で
きるようになった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、[Mn]≧3wt%の高Mn溶
鋼の脱炭精錬方法に関する。ただし、ここで高Mn溶鋼
は、[Cr]≧1wt%の溶鋼をも包含するものとする。
【0002】
【従来の技術】近年、鋼材の使用分野が多様化するなか
で、多くの新鋼種の開発がみられるが、Mn含有量がおよ
そ3% (以後特に断らない限り、%は「重量%」を意味
する)以上の高Mn鋼もその一つである。
【0003】高Mn鋼は、組織としてはオーステナイトで
あって、Niを含有するオーステナイト系ステンレス鋼に
比べて安価であるだけでなく、高強度、低透磁率という
利点を有しており、近年、磁気浮上鉄道用部材、核融合
装置用部材、消磁装置用部材、電気機器用部材等に非磁
性鋼、構造用鋼、耐摩耗鋼として用途が拡大している。
【0004】高Mn鋼は一般に[C] が高いと、透磁率、溶
接性、切削性が悪化するため、従来はMn源として高価な
金属Mnを用い、安価なフェロマンガンは[C] 規格の許容
する範囲内で使用していた。場合によっては、さらに
[P] も規格の許容する限り添加することもある。したが
ってこの方法では、高価な金属Mnを多量に使用し、溶製
コストが高くなる欠点があった。
【0005】近年高Mn鋼の[C] 低減についての要求が一
段と厳しくなってきており、0.1 〜0.2 %以下の[C] 規
格も多く、ますます溶製コストが高くなっきている。そ
こで、大部分のMn分をかなり安価である高Cフェロマン
ガンとして配合し、得られるC含有量の高い高Mn溶鋼を
脱炭処理して低C高Mn溶鋼を製造するといった、より安
価な技術の確立が求められている。
【0006】今日、一般的な脱炭精錬法としては、溶鋼
を真空下で精錬する方法が広く用いられている。その代
表的なものとして、ステンレス鋼製造法で知られるVOD
(Vacuum Oxygen Decarburization、真空下O2上吹法) が
ある。この方法は、高Mn鋼に許容される[C] が高い場合
には適用できたが、低C高Mn鋼を製造する場合、[C]≦
0.2 %の領域では次のような問題点が生じる。
【0007】 脱炭速度は極めて遅く、 Mnのみが上吹O2により酸化ロスし、 上記Mnの酸化熱により溶鋼温度が上昇し、 上記Mnの酸化により、高MnO スラグが生成し、 、により耐火物の溶損が激しくなる。
【0008】そこで本発明者らは、[Mn]≧3%の高Mn溶
鋼を脱炭精錬して、[C] <0.1 %にまで脱炭できる、高
Mn鋼のより安価な脱ガス精錬方法について以下の如く開
発してきた。
【0009】すなわち、日本国特許第 1539737号 (特公
平1−25370 号公報、特開昭58−113314号公報) にて
「真空下の脱炭精錬において、溶鋼表面に粉体状の脱炭
精錬用添加剤を精錬用気体、キャリア気体などで溶鋼中
に十分侵入しうる速度で吹き付けることにより、[C] 10
ppm 以下の極低C鋼を溶製する」方法を開示した。添加
剤の例としては、Cr酸化物、Mn酸化物、そしてFe酸化物
をそれぞれ主成分とするものが例示されている。
【0010】しかしながら、上記方法はその対象が高々
[Mn]が1.7 %の溶鋼であって、しかも粉体上吹後では[M
n]=1.12%と大幅なMnロスが見られた。[Mn]≧3%の溶
鋼に対しても脱炭精錬が効率的に行われ得るか否か、Mn
ロスが見られるか否かについては全く教えることがなか
った。まして、[Mn]≧3%の溶鋼の場合の最適な粉体組
成、還元精錬条件などについて何一つ教えることがなか
った。
【0011】次いで、本発明者らは、特開平5−125428
号公報( 特願平3−288011号)にて、[Mn]≧8%の高Mn
鋼を減圧下で脱炭精錬する際に、Mn酸化物を含有する粉
体状の脱炭精錬用添加剤を、精錬用気体および/または
他のキャリアガスによって、前記添加剤が溶鋼中に十分
侵入し得る速度で、[Mn]≧8%の溶鋼表面に吹き付ける
ことを特徴とする高Mn鋼の脱炭精錬方法を開示した。
【0012】この方法によれば、溶鋼表面に上吹きされ
た粉体中のMnO2は、溶鋼中へ分散され、下記の反応をす
る。これは吸熱反応である。 MnO2 + 2[C] → [Mn] + 2CO ・・・(1) ここで、Mn酸化物を含有する粉体によりMnロスを伴うこ
となく脱炭が効果的に進行するのは、下記の作用による
ことが開示されている。 粉体が脱炭気泡の生成核としての役割を果たし、脱炭
反応が促進される、 上吹きで導入された粉体中のMn酸化物により、溶鋼中
の脱炭サイトの[MnO] が高まるため、溶鋼中Mnの酸化が
抑制される 粉体が冷材として働き、さらにMn酸化物が式(1) に示
す吸熱反応を起こすため、溶鋼が冷却され、溶鋼中の脱
炭サイトでのMnの蒸発が抑制される。
【0013】さらに低Mn鋼の場合は問題ないが、高Mn鋼
の場合は、Mn酸化物以外の他の酸化物(例えばFeその他
の金属酸化物)を添加すると、Mnの酸化損失が進行し、
スラグが増加し、耐火物の侵食が激しくなる。従って、
高Mn鋼の場合、酸化剤として、Mn酸化物を選択しないと
良好な効果は得られないことが開示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
特開平5−125428号公報の方法で、Mn源として高炭素フ
ェロマンガンを使用した場合( 溶け落ち後の[C] は 1.5
〜2.5 %となる) 以下の懸案が残っていた。
【0015】Mn酸化物粉体の上吹速度には、装置上の
上限値があり、O2上吹に比べ高速脱炭できず、処理に長
時間を要した。 Mn酸化物粉体の上吹により、溶鋼温度が低下し、かつ
の如く長時間処理を要するため、溶鋼の昇温手段を要
した。
【0016】すなわち、5〜20トン級の小型炉のように
放熱量が大きい炉の場合、電気、高周波などの加熱手段
を有しない限り適用は困難であり、適用しても処理に長
時間を要した。
【0017】本発明の目的は、Mn損失を極力少ない状態
で、低炭域まで脱炭することのできる特開平5−125428
号公報に示した方法を改良することにより、さらに脱炭
反応に直接かかわらない上記昇温手段を用いずに溶鋼温
度を制御し、短時間で脱炭する方法を提供することであ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、 前述の特開平5−125428号公報に示したMn損失を抑制
しつつ、かつ低炭域([C]≦0.1 %) まで脱炭できる方法
と、 従来のO2上吹きに代表されるような酸化性ガスを上吹
し、高速脱炭処理しながら昇温させる方法を交互に組み
合わすことにより、上記課題を解決することを見出し
た。
【0019】ここに本発明は[Mn]≧3wt%の高Mn鋼の減
圧下での脱炭精錬において、酸化性ガスを溶鋼表面に吹
き付け、高速で脱炭しながら昇温させる第1脱炭工程
と、Mn酸化物を含有する粉体状の脱炭精錬用添加剤を、
キャリアガスによって、前記添加剤が溶鋼中に十分侵入
し得る速度で溶鋼表面に吹き付け、溶鋼を冷却しながら
脱炭する第2脱炭工程とを備え、第1脱炭工程を昇温手
段、第2脱炭工程を冷却手段として溶鋼温度を制御し、
少なくとも、第1脱炭工程の後に第2脱炭工程を行うこ
とを特徴とする高Mn鋼の脱炭精錬方法である。
【0020】さらに前記脱炭精錬が終了してから、Siを
含有する合金およびCaO を含有する化合物をスラグ中に
添加し、スラグ中のMn酸化物を還元することを特徴とす
る高Mn鋼の脱炭精錬方法である。
【0021】
【作用】溶鋼温度制御について 溶鋼温度が1650℃以上では、Mnの蒸発が進行するためMn
損失が多くなり、またMnO 含有スラグが溶鋼表面に存在
している場合においては、耐火物溶損が促進されるなど
問題が生じる。
【0022】一方、溶鋼温度が1550℃以下ではMnの酸化
が進み、かつ脱炭反応そのものが遅れ気味となる問題が
生じる。さらに低下すると溶鋼が凝固する問題が生じ
る。したがって、溶鋼温度は、1650〜1550℃が望まし
い。溶鋼を冷却したい場合、既に述べたようにMnO2上吹
を実施し(第2脱炭工程)、溶鋼温度が上昇しないよう
に脱炭することが効果的である。
【0023】MnO2の分解反応および粉体による溶鋼温度
の低下の度合は、炉のスケール、耐火物厚み、炉の形な
どローカル条件により様々であるが、概して 脱炭量 [C] 1%に対し、−30〜−100 ℃ である。
【0024】なお、MnO2上吹におけるMn損失は、溶鋼の
攪拌、スラグの有無、スラグの性質により様々である
が、概して 脱炭量 [C] 1%に対し、−2〜+2% である。
【0025】一方溶鋼を加熱したい場合には、酸化性ガ
スを上吹きし(第1脱炭工程)、昇温しながら (Mnも若
干燃焼する) 脱炭することが効果的である。ここで酸化
性ガスとは具体的にはO2、CO2 等を示す。
【0026】例えばO2上吹法の場合、概して 脱炭量 [C] 1%に対し、溶鋼温度は +100 〜+200 ℃ 〃 Mn損失は −2 〜−4% である。
【0027】脱炭速度について O2上吹法は、上記のMn酸化物上吹に比べ、約2〜3倍脱
炭速度を上昇させることが可能で、短時間で処理が可能
である。しかしながら、O2上吹法の場合[C] ≦0.2 %の
低炭化は困難であるので、低[C] 域( 現実的には[C] ≦
0.4 %) においては、主にMn酸化物上吹により脱炭し、
同時にMn損失 (酸化、あるいは蒸発による) を抑制する
ことが好ましい。
【0028】したがって、好ましい実施態様は、精錬初
期にはO2上吹を行い、脱炭を短時間で進行させ、精錬中
は、O2およびMn酸化物上吹を適宜組み合わせて行うこと
で温度制御等を行い、精錬末期にはMn酸化物上吹を行い
低[C] 域までの脱炭をしながらMn損失を抑制することで
ある。具体的には、O2上吹の後Mn酸化物上吹を行う方
法、前記のにひき続きO2の上吹を行い、その後Mn酸
化物上吹を行う方法(実施例の方法)、前記のにひ
き続きO2上吹を行う方法(Mn損失が許容できる場合) が
例示できる。
【0029】脱炭精錬用粉体の上吹きについて 上吹きする粉体の種類については、Mnの酸化物を含有す
る化合物、例えば純MnO2、Mn鉱石などが適している。な
お、本発明のような高Mn鋼の精錬の場合は、Mn酸化物以
外の他の酸化物の添加が適当でないことは前述の通りで
ある。
【0030】粉体の供給速度を過度に高めると、溶鋼表
面に堆積するMn酸化物を含むスラグによって、溶鋼の攪
拌および溶鋼−スラグ間の攪拌が阻害される。したがっ
て、粉体の供給速度は0.1 〜1.0 kg/min・トン( 「ト
ン」は溶鋼1トンあたりを示す) が好ましい。
【0031】粉体の総供給量は、酸化剤成分、粉体上吹
き前の[C] 値により変わるが、およそ20〜120kg/トンが
好ましい。脱炭精錬用粉体の吹き付けは、具体的には、
例えばキャリアガスとともにマッハ1で溶鋼表面に吹き
付けたが、速度は溶鋼中に十分侵入し得る範囲であれば
よく、この例示によって制限されるものではない。キャ
リアガスは通常使用されるガス例えばArを用いる。
【0032】還元精錬について 脱炭精錬の終了後において、スラグ中のMnを溶鋼に回収
するため、Fe−Siを含有する合金を添加し、さらにスラ
グの融点降下、塩基度調整のためCaO を含有する化合物
を添加し、(2) 式に示すようにMnO を還元してもよい。 2MnO + [Si] → SiO2 + [Mn] ・・・(2) 還元精錬時のスラグの条件を以下に挙げる。
【0033】溶鋼−スラグ間での(2) 式の反応を進行
させるため、スラグの融点は低い方が有利で、その範囲
は、(CaO)/(SiO2)=1〜2とするのが好ましい。 MnO の還元を促進させるためには、MnO の溶解度を下
げることが望ましいと考えられ、MnO が弱いながらも塩
基性酸化物であることから、スラグの塩基度は高い方が
望ましい。その点からもCaO を添加した。
【0034】溶鋼の攪拌について 溶鋼の攪拌が不十分であれば、低[C] 域において溶鋼中
のCの移動 (溶鋼内バルクから脱炭サイトへの) が阻害
されることにより、(1) 式の反応が遅れ、脱炭速度が低
下すると考えられる。従って、脱炭速度を十分保つに
は、溶鋼攪拌は重要である。そこで、場合により底吹き
等の攪拌強化を行ってもよい。次に、実施例を挙げて本
発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であ
って、不当に本発明を制限するためのものではない。
【0035】
【実施例】
(予備実験)図1(a) に示す10トン炉を用いて行った予
備実験の結果(成分、温度の変化のグラフ)を図2に示
す。また、図1(b) に本発明に使用するランスを例示す
る。本発明のランスは直径5mm のストレート型中心孔8
と直径2mmの内向き角度3°のラバール型側孔9 (3
孔) からなる。
【0036】電気炉出鋼時の初期溶鋼成分は、[C] =
2.1 %、 [Mn] = 18.4 %、精錬処理前温度は1520℃で
あった。まず、ダクト4を介して、雰囲気30Torrまで排
気した。さらに、溶鋼に熱付与すべく上吹ランス6にて
O2上吹し、脱炭を行った。
【0037】O2上吹時には側孔9より0.5 Nm3/min・ト
ン (5kg/cm2)のO2ガスと中心孔8より詰まり防止のAr
0.1 Nm3/min・トン (3kg/cm2)を上吹きした。さらに上
吹きランス6の下端と溶鋼3湯面との間の距離は、1100
mmとした。
【0038】このO2上吹では、Fe、Mnが酸化され MnO−
FeO 系スラグが溶鋼表面に若干堆積した。また、O2上吹
き20分により溶鋼温度は1610℃まで上昇できた。次い
で、Mn酸化物粉体による脱炭を雰囲気20Torrで行った。
【0039】溶鋼3の表面に吹き付ける脱炭剤粉体5と
しては、Mn鉱石(T.Mn =54.4%、T.Fe=1.9 %、Al2O3
=3.9 %、SiO2=1.7 %) を適用した。脱炭剤粉体5は
150〜200 メッシュとし、これを中心孔8からキャリア
ガスのArと共に溶鋼3へマッハ1の高速度で吹き付け
た。また、側孔9からは、中心孔8から吹き出される脱
炭剤粉体の加速のために、Arをマッハ3.8 で吹き出させ
た。なお、中心孔8のキャリアガスのArの圧力は、3kg
/cm2、ガス流量は0.2 〜0.4Nm3/min・トン 、また側孔
のそれらは5kg/cm2、0.4 〜0.5Nm3/min・トン とし
た。
【0040】一方、脱炭剤粉体の供給速度は、0.8 kg/m
in・トンで総供給量は、40 kg/トンであった。さらに上
吹きランス6の下端と溶鋼3湯面との間の距離は、600
mmとした。
【0041】さらに、ポーラスプラグ2を介して、攪拌
用ガスとしてArを1〜2 Nl/min ・トン炉底から吹き込
んだ。このMnO2上吹き50分により、溶鋼温度は1570℃ま
で低下し、先程堆積しつつあった Mn0−FeO スラグは、
高[C] 溶鋼により還元されスラグが減少した。
【0042】この後、O2上吹、MnO2上吹を再度繰り返す
ことで、図2に示すように溶鋼温度を1600℃前後に制御
しながら [C]≦0.1 %の脱炭を達成した。また、粉体上
吹終了後、Fe−SiおよびCaO を添加した。この還元精錬
によってスラグ中のMnを溶鋼に回収し、溶鋼中の[Mn]は
約2%上昇した。なお、還元処理後のスラグの(CaO) /
(SiO2)は約1.5 であった。
【0043】(実施例)本実験として、予備実験より大
きな炉である20トン電気炉および20トンVOD 炉を使用
し、本発明の脱炭精錬(実施例No.1) と、比較のための
O2上吹のみ(比較例No.2)、およびMnO2上吹のみ(比較
例No.3)の脱炭精錬を行った。装置の構造、操作は予備
試験に準じた。
【0044】Mn源としては、主に高炭素フェロマンガン
を用いて慣用手段で大気溶解したものを使用し、得られ
た高C高Mn溶鋼([C]≒2.0 〜2.1 %、[Mn]≒18〜19%)
18トンに対し脱炭および還元精錬を行った。なお、いず
れの場合にもキャリアガスとしてマッハ1のArガスを使
用した。表1に脱炭精錬条件および結果を示す。
【0045】実施例No.1に示すように、本発明によれば
最終的に[C] は0.1 %以下となり、また還元精錬により
[Mn]も約2%回収でき、低C高Mn鋼が得られた。また、
処理温度も、電気、高周波誘導、Al、Si昇温など脱炭に
直接かかわらない加熱手段を使用せずに、約1550〜1650
℃の間で脱炭できた。
【0046】一方、比較例No.2に示すようにO2上吹きの
みでは、脱炭が0.4 %付近で停滞し、かつMn酸化が進
み、低C高Mn鋼が得られなかった。しかも溶鋼温度も18
00℃を越え、耐火物溶損の懸念があったので、脱炭を中
止する事態になった。
【0047】また、比較例No.3に示すようにMnO2上吹き
のみでは、[C] は0.1 %まで低減できるものの、溶鋼温
度が極端に低下し、取鍋底部、壁部の溶鋼が凝固し始
め、操業に支障をきたした。
【0048】なお、脱炭処理時間の観点から実施例No.1
と比較例No.3を比較すれば、実施例1では、比較的脱炭
速度の大きなO2上吹を40分間使用したので、比較例No.3
の200 分から実施例1の140 分と約30%時間を短縮でき
た。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】本発明の方法によれば、Mn損失を極力少
ない状態で、脱炭に直接かかわらない昇温手段なしに溶
鋼温度をある一定範囲に制御しながら、短時間で、[C]
=0.1%以下の低炭域まで脱炭できる。したがって本発
明の方法は、近年生産量の増加している低C高Mn鋼を低
コストで製造するのに極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) は本発明の方法に使用する炉および実
施状態の説明図、図1(b)は上吹用ランスの下面図の一例
である。
【図2】本発明の方法(予備実験)による高Mn溶鋼の脱
炭の経過を示すもので、処理時間に対しC濃度、Mn濃
度、溶鋼温度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 : 脱炭精錬用容器 2 : ポーラスプラグ 3 : 溶鋼 4 : ダクト 5 : 脱炭精錬用添加剤 6 : 上吹きランス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 英良 大阪市此花区島屋5丁目1番109号 住友 金属工業株式会社製鋼所内 (72)発明者 室井 健 大阪市此花区島屋5丁目1番109号 住友 金属工業株式会社製鋼所内 (72)発明者 森谷 徹 大阪市此花区島屋5丁目1番109号 住友 金属工業株式会社製鋼所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 [Mn]≧3wt%の高Mn鋼の減圧下での脱炭
    精錬において、酸化性ガスを溶鋼表面に吹き付け、高速
    で脱炭しながら昇温させる第1脱炭工程と、Mn酸化物を
    含有する粉体状の脱炭精錬用添加剤を、キャリアガスに
    よって、前記添加剤が溶鋼中に十分侵入し得る速度で溶
    鋼表面に吹き付け、溶鋼を冷却しながら脱炭する第2脱
    炭工程とを備え、第1脱炭工程を昇温手段、第2脱炭工
    程を冷却手段として溶鋼温度を制御し、少なくとも、第
    1脱炭工程の後に第2脱炭工程を行うことを特徴とする
    高Mn鋼の脱炭精錬方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の脱炭精錬が終了してか
    ら、Siを含有する合金およびCaO を含有する化合物をス
    ラグ中に添加し、スラグ中のMn酸化物を還元することを
    特徴とする高Mn鋼の脱炭精錬方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101387333B1 (ko) * 2012-07-20 2014-04-21 (주)포스코 오스테나이트계 스테인리스강의 용강 정련방법

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KR101387333B1 (ko) * 2012-07-20 2014-04-21 (주)포스코 오스테나이트계 스테인리스강의 용강 정련방법

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