JPH0789928B2 - アミノ酸ラセマ−ゼ - Google Patents

アミノ酸ラセマ−ゼ

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JPH0789928B2
JPH0789928B2 JP7629087A JP7629087A JPH0789928B2 JP H0789928 B2 JPH0789928 B2 JP H0789928B2 JP 7629087 A JP7629087 A JP 7629087A JP 7629087 A JP7629087 A JP 7629087A JP H0789928 B2 JPH0789928 B2 JP H0789928B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、アミノ酸ラセマーゼに関する。
〔従来の技術〕
左右田及び大隅、Methods in Enzymology,17B,629(197
1)にはシュードモナス・ストリアタ(プチダ)〔Pseud
omonas striata(putida)〕により生産される低基質特
異性アミノ酸ラセマーゼが記載されているが、この酵素
は分子量が110,000である点等において本発明のアミノ
酸ラセマーゼとは異なり、また前記文献にはそのアミノ
酸ラセマーゼが芳香族アミノ酸に作用する旨の記載はな
い。
G.Rosso等、Biochemical and Biophysical Research Co
mmunication,34,134(1969)にはシュードモナス・プチ
ダ(P.putida)により生産されるアラニンラセマーゼが
記載されているが、この酵素が芳香族アミノ酸に作用す
る旨の記載はない。
山田等、The Journal of Biochemistry,66,529(1969)
にはバシルス・ブレビス(Bacillus brevis)により生
産されるフェニルアラニンラセマーゼが記載されている
が、生産微生物の属が異る点、分子量が100,000である
点、及び補酵素としてATPを必要とする点等において本
発明の酵素とは全く異る。
稲垣等、Agricultural and Biological Chemistry,51,1
73(1987)には低基質特異性アミノ酸ラセマーゼが記載
されているが、この酵素は、生産微生物の属が異る点等
において本発明の酵素とは全く異り、またこの文献には
その酵素が芳香族アミノ酸に作用することは記載されて
いない。
寄藤等、The Journal of Biological Chemistry,246,50
85(1971)にはアルギニンラセマーゼが記載それている
が、この酵素は169,000の分子量を有する点において本
発明の酵素とは異る。また、この文献には、その酵素が
芳香族アミノ酸に作用する旨の記載はない。
また、田中、日本農芸化学会誌、34,1022(1960)には
ラクトバチルス・ファーメンティ(Lactobacillus fer
menti)のアセトン処理菌体によりL−フェニルアラニ
ンからD−フェニルアラニンが生じることが記載されて
いるが、酵素の精製はなされておらずその性質の詳細に
ついては不明である。さらに、生産微生物の属が異る点
において、本発明の酵素とは全く異る。
以上のごとく、補酵素としてATPを必要とせず、フェニ
ルアラニン、トリプトファン、チロシン等の芳香族アミ
ン酸に作用する酵素は、本発明のアミノ酸ラセマーゼ以
外に全く知られていない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
従って本発明は、今まで芳香族アミノ酸をラセミ化する
ことが知られていなかった、微生物由来のアミノ酸ラセ
マーゼを提供しようとするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
前記の目的は、次の性質: (1)L−あるいはD−アミノ酸に作用してラセミ体を
生成する反応を触媒する; (2)高速液体クロマトグラフィーゲル濾過法において
約60,000〜80,000の分子量を示しSDS−ポリアクリルア
ミドディスク電気泳動法において約30,000〜42,000の分
子量を有するサブユニットを示す; (3)芳香族アミノ酸であるフェニルアラニン、トリプ
トファン、及びチロシンに作用する; (4)至適pH:pH8.0付近が至適である; (5)pH安定性:各pHの緩衝液(0.1M)中30℃にて1時
間保温した後の残存活性を測定した場合、pH7.0〜11.0
において安定である;及び (6)至適温度:50〜60℃付近における活性が最大であ
る; を有することを特徴とするアミノ酸ラセマーゼを提供す
ることにより達成される。
〔具体的な説明〕
(1)微生物 本発明において使用する微生物としてはシュードモナス
属に属し、アミノ酸ラセマーゼを生産することができる
ものであればよく、このような微生物は保存菌の中から
選択することができる場合もあり、また、自然界から新
たに分離することができる。
このような微生物としては、シュードモナス・プチダを
挙げることができる。この種に属する新菌株として、本
発明者等が分離したシュードモナス・プチダSCRC−744
を挙げることができる。本菌は、微生物工業技術研究所
に微工研菌寄第9039号(FERM P−9039)として寄託され
ている。
前記の新菌株は次の第1表に示す組成の培地を用いて神
奈川県相模原市の土壌より分離した。
第 1 表 D−フェニルアラニン 0.2% 酵母エキス 0.05 リン酸二カリウム 0.2 塩化ナトリウム 0.1 硫酸マグネシウム 0.05 ビタミン混液(*) 0.1 水道水 pH7.0 ビタミン混液(*) ビオチン 2μg パントテン酸カルシウム 400 イノシトール 2000 塩酸チアミン 400 塩酸ピリドキシン 200 ニコチン酸 400 p−アミノ安息香酸 200 リボフラビン 200 葉酸 10 蒸留水 100ml この培地を試験管(φ18mm)に5mlずつ分注し、120℃で
15分間滅菌した。この培地に各地より採集した土壌サン
プルを少量加え、37℃で2〜3日間振盪培養した。この
培養液を一白金耳とり、同じ培地に接種し、さらに37℃
で2日間培養した。第1表の培地に2%の寒天を加えた
平板培地に培養液の一部を白金耳を用いて画線塗布し、
30℃で数日保温した。出現したコロニーを同じ培地組成
の斜面培地に釣菌し、多数の菌株を分離した。
次に、表の培地5mlを同試験管に分注し、同様に滅菌し
た。それぞれの菌株をこの培地で37℃、20時間振盪培養
し、上清中のD−フェニルアラニンの減少が顕著な菌株
を選抜した。この菌株の培養物を、表に示した培地200m
lを500ml容の三角フラスコに分注し同様に滅菌したもの
に接種し、37℃で20時間回転振盪培養した。この培養液
から遠心分離で得られた菌体を超音波により破砕した。
これを12,000×gで遠心分離して得られた上清を、0.1m
MのEDTA、5mMの2−メルカプトエタノール、及び0.1mM
のピリドキサール5′−リン酸を含む0.01Mリン酸カリ
ウム緩衝液(pH7.0)で透析した。この上清に含まれる
アミノ酸ラセマーゼ活性を、L−またはD−フェニルア
ラニンより生ずるそれぞれの光学異性体を定量すること
により測定した。なお、D−フェニルアラニンはD−ア
ミノ酸オキンダーゼにより定量し、L−フェニルアラニ
ンの定量はL−アミノ酸オキシダーゼ又は、ペディオコ
ッカス・アシディラクティシ(Pediococus acidilactc
i)ATCC8042を用いる微生物定量法によった。
以上のようにして得た前記の新規な菌株は第2表に示す
ような菌学的性質を有する。
第 2 表 観察項目 SCRC−744 a)形 態 1 細胞の型 桿菌 大きさ 1.8×0.7μm 2 多形性の有無 なし 3 運動性の有無 + 鞭毛の着生状態 極鞭毛 4 胞子の有無 なし 5 グラム染色 − 6抗酸性 − b)各培地における生育状態 1 肉汁寒天平板培養(30℃、3日間) イ)コロニー形状(直径) 3mm ロ)コロニーの形 円形 ハ)コロニー表面の形状 平滑 ニ)コロニーの隆起状態 半レンズ状 ホ)コロニーの周縁 全縁 ヘ)コロニーの色調 淡黄 ト)コロニーの透明度 不透明 チ)コロニーの光沢 輝光 リ)可容性色素の生成 − 2 肉汁寒天斜面培養(30℃、3日間) イ)生育の良否 生育良好 ロ)コロニーの光沢 輝光 3 肉汁液体培養(30℃、7日間) イ)表面の生育 あり(菌環) ロ)濁度 やや濁る ハ)沈殿 粉状 ニ)ガス発生 なし 4 肉汁ゼラチン(30℃、7日間) ゼラチン液化 − 5 リトマスミルク(30℃、7日間)アルカリ c)生理学的性質 1 硝酸塩の還元 − 2 脱窒 − 3 MR − 4 VP − 5 インドール生成 − 6 硫化水素の生成 − 7 デンプンの加水分解 − 8 クエン酸利用 イ)Koser + ロ)Simmons + ハ)Christensen + 9 硝酸塩の利用 − 10 色素生成 イ)King A 培地 − ロ)King B 培地 + 11 ウレアーゼ + 12 オキンダーゼ + 13 カタラーゼ + 14 生育の範囲 イ)pH 5.0−9.0 ロ)温度 5−40℃ 15 酸素に対する態度 好気性 16 O−Fテスト(グルコース) 酸化 17 糖類からの酸およびガスの生成 酸 ガス 1 L−アラビノース − − 2 D−キシロース − − 3 D−グルコース − − 4 D−マンノース − − 5 D−フラクトース − − 6 D−ガラクトース − − 7 麦芽糖 − − 8 ショ糖 − − 9 乳糖 − − 10 トレハロース − − 11 D−ソルビット − − 12 D−マンニット − − 13 グリセリン − − 14 デンプン − − 15 ラフィノース − − 16 イヌリン − − 17 D−リボース − − 18 ソルボース − − 19 カルボキシメチル − − セルロース 20 グリコーゲン − − d)抗生物質に対する感受性 1 ペニシリンG − 2 ストレプトマイシン + 3 クロラムフェニコール + 4 セトラサイクリン + 5 ノボビオシン − 6 ポリミキシンB + e)その他の諸性質 DNase − リパーゼ − レシチナーゼ − アルギニンの分解 + ゼラチンの分解性 − ビタミン要求性 − 耐塩性 5% + 7% − 10% − 上記の菌学的性質に基づきBergey′s Manual of System
atic Bacteriology、第巻、1984年の分類基準およびG
ibbs & SkinnerによるIdentific−ation Methods for
Microbiologistsに従って、前記の菌株を次のように同
定した。
本菌は、好気性で極鞭毛を持ち運動性を有するグラム陰
性の桿菌であり、肉エキスやペプトンに生育する。ま
た、オキシダーゼ反応陽性でグルコースを酸化的に分解
することから、シュードモナス属に属する細菌であると
同定した。さらに、キングA培地で発色せず、橙色の不
容色素や緑色の結晶を生成しないが、キングB培地で緑
色の蛍光色素を産生すること、また42℃で生育せず、ゼ
ラチンを液化しないこと及び炭素源の利用能等から、シ
ュードモナス・プチダ(Pseudomonas pu−tida)であ
ると同定した。
なお、本菌に変異を生じさせて一層生産性の高い菌株を
得ることもできる。また、本菌株の細胞中に存在するア
ミノ酸ラセマーゼの生産に関与する遺伝子を切り出し、
これを適当なベクター例えばプラスミドに挿入し、この
ベクターを用いて適当な宿主、例えばエッシュリッヒア
・コリ(Escherichia coli)や酵母のごとき異種宿主ま
たはシェードモナス属菌のごとき同種宿主を形質転換す
ることにより、本発明のアミノ酸ラセマーゼ生産株を人
為的に創成することもできる。
この発明の菌株は、常法に従って保存することができ、
例えば寒天スラント上で、または凍結乾燥法により保存
することができる。寒天スラント培地としてはシュード
モナス属菌の保存に常用されている培地、例えば菌の分
離に関して前記した培地を使用することができる。また
凍結乾燥も常法に従って行なうことができる。
(2)酵素の製造方法 前記の微生物を培養して本発明のアミノ酸ラセマーゼを
製造しようとする場合、基礎栄養培地として、この発明
の微生物が増殖し得るものであればいずれを使用しても
よい。この培地は、窒素源として例えば酵母エキス、ペ
プトン、肉エキス等の1種類又は複数種類を含有する。
また、この培地には必要に応じて炭素源としてグルコー
ス、澱粉、グリセリン等を加えることができる。この培
地には無機塩類、例えばリン酸二カリウム、塩化ナトリ
ウム、硫酸マグネシウム等を加えることが好ましい。
アミノ酸ラセマーゼの製造に当っては前記基礎培地に、
誘導物質として小量のL−またはD−フェニルアラニン
もしくはDL−フェニルアラニンを添加するのが好まし
い。このフェニルアラニンの添加量は、基礎培地の組
成、培養する菌株の性質等による異なるがおよそ0.01〜
5w/v%である。
培養は固体培地又は液体培地のいずれを用いてもよい
が、目的酵素を多量に得るためには、液体培地を用い、
振盪培養、通気・撹拌培養等により好気的条件下で培養
を行なうのが好ましい。培養温度は菌が生育し、アミノ
酸ラセマーゼが生産される温度範囲内であればいずれの
温度でも良いが、好ましくは25〜37℃である。pHは5〜
9の範囲である。培養時間は酵素活性が発現される時間
を選べば良いが好ましくは6〜48時間である。
次に得られた培養物から本発明のアミノ酸ラセマーゼが
採取されるが、精製法として通常の酵素精製法を用いる
ことが出来る。遠心分離等によって菌体を集め、超音波
処理、ダイノミル等の機械的方法によって菌体を破砕す
る。細胞片等の固形物を遠心分離等によって除き、粗酵
素を得、さらにこれに硫酸プロタミン又は硫酸ストレプ
トマイシンを加えて処理を行ない、塩析、有機溶媒沈
殿、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラ
フィー、ゲル瀘過クロマトグラフィー等を行ない、均一
の酵素標品を得ることが出来る。なお、本発明の酵素の
製造方法の具体的な一例を実施例に記載する。
(3)力価の測定法 本発明においては次の方法により力価を測定した。
トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)50μmol、ピリドキサール
5′−リン酸0.02μmol、D−アミノ酸20μmol、及び適
当量のサンプルを0.5mlになるように混合して37℃にお
いて反応せしめ、生じたL−アミノ酸を、L−アミノ酸
オキシダーゼあるいはペディオコッカス・アシディラク
ティシ(Pediococcus acidilactici)ATCC8042を用い
る微生物定量法により測定した。1分間当り1μmolの
L−メチオニンが生じる酵素量を1単位とした。
(4)酵素の性質 本発明のアミノ酸ラセマーゼは次の性質を有する。
(1)作用:L−あるいはD−アミノ酸に作用してラセミ
体を生成する反応を触媒する。
(2)基質特異性:本アミノ酸ラセマーゼは第3表に示
すように、グルタミンに高い活性を示し、フェニルアラ
ニン、トリプトファン、チロシン等の芳香族アミノ酸に
作用する。
基質濃度はD−トリプトファンを20mM、D−チロシンを
4mMとしたのを除き、40mMとした。
(3)至適pH:pH8.0付近が至適である(第1図)。
(4)pH安定性:各pHの緩衝液(0.1M)中30℃にて1時
間保温した後の残存活性を測定した場合、第2図に示す
(処理前の活性を100%とする)ようにpH7.0〜11.0にお
いて安定である(第2図)。
(5)至適温度:50〜60℃付近における活性が最大であ
る(第3図)。
(6)温度安定性:0.2Mグルシン−KCl−KOH緩衝液(pH1
0.0)中、各温度において10分間処理した後の残存活性
を測定する場合、第4図に示す(処理前の活性を100%
とする)ように、pH10.0においては67℃で活性が半減す
る。
(7)吸収スペクトル:279nm及び417nm付近に極大吸収
を有する(第5図)。
(8)金属イオン、及び阻害剤の影響:ニッケル、亜鉛
等の金属イオン及びヒドロキシルアミン、D−ペニシラ
ミン、D−サイクロセリン等のカルボニル試薬によっえ
活性が阻害される(第4表及び第5表)。
第 5 表 阻害剤 相対活性(%) NaN3 98 ヒドロキシルアミン 35 KCN(0.4mM) 93 L−ペニシラミン 110 D−ペニシラミン 12 D−サイクロセリン 17 セミカルバジド 114 o−フェナンロリン 100 α,α′−ジピリジル 95 8−オキシキノリン(0.8mM) 98 EDTA 91 PCMB(0.15mM) 89 5,5′−ジチオビス 95 (2−ニトロ安息香酸)(0.13mM) N−エチルマレイミド 96 ヨード酢酸 101 無添加 100 金属イオン及び阻害剤の濃度は特に記さない限り1mMで
ある。
(9)等電点:アンホラインを用いる焦点電気泳動によ
り測定した場合7.6である。
(10)分子量:高速液体クロマトグラフィー(TSK gel
G3000 SW)により約60,000〜80,000と算出される。
(11)サブユニットの分子量:SDS−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動により30,000〜42,000と算出される。
(12)均一性:ポリアクリルアミドゲル電気泳動(7.5
%,pH8.4)により第6図Aに示す如く単一のバンドを与
える。また、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(1
0.0%,pH7.2)により第6図Bに示す如く単一のバンド
を与える。
以上のように、本発明のアミノ酸ラセマーゼは、他の微
生物起源のそれとは異なっている。
次に実施例によりこの発明をさらに具体的に説明する。
実施例 シュードモナス・プチダSCRC−744からのアミノ酸ラセ
マーゼの精製 DL−フェニルアラニン0.2%、酵母エキス0.5%、ペプト
ン1.0%、肉エキス1.0%、K2HPO40.2%、NaCl0.1%及び
MgSO4・7H2O0.05%を含有し、pH7.0に調製した培地120
リッターを120℃、15分間加熱殺菌した後、シュードモ
ナス・プチダSCRC−744(微工研菌寄第9039号)を接種
し、30℃で20時間好気的に培養した。培養後、遠心分離
機で菌体を採取し、湿重量約919gの菌体を得た。菌体を
生理的食塩水で洗浄した後、0.1mM EDTA及び5mMの2−
メルカプトエタノール、0.01mMピリドキサール5′−リ
ン酸を含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)3リッターに懸
濁し、9KHzにおける超音波処理を20時間行ない菌体を破
砕した。破砕菌体は14,000Xg、20分間の遠心分離で除去
し、アミノ酸ラセマーゼを含む粗抽出液を得た。この無
細胞抽出液に5%プロタミン硫酸液を1g蛋白当り0.1gと
なるように添加し、30分間撹拌した。この液(3,220m
l)に固形硫酸アンモニウム(567g)を加え30%硫酸ア
ンモニウム飽和とした。30分間撹拌の後、14,000Xgで20
分間遠心分離して得られる上清(3,160ml)にさらに固
形硫酸アンモニウム(626g)を加え60%硫酸アンモニウ
ム飽和とした。14,000Xgで20分間遠心分離して得られ
る、酵素活性を有する沈殿を少量の0.01Mリン酸緩衝液
(pH7.0)に溶解し、さらに0.1mM EDTA及び5mMの2−メ
ルカプトエタノール、0.01mMピリドキサール5′−リン
酸を含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で透析した。この
酵素液をあらかじめ0.1mM EDTA及び5mMの2−メルカプ
トエタノール、0.01mMピリドキサール5′−リン酸を含
む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化したDEAE−セル
ロースのカラムに通過させ、同緩衝液(pH7.0)で洗浄
し、さらに0.1mM EDTA及び5mMの2−メルカプトエタノ
ール、0.01mMピリドキサール5′−リン酸を含む0.05M
リン酸緩衝液(pH7.0)で溶出した。
活性区分を集め、0.1mM EDTA及び5mMの2−メルカプト
エタノール、0.01mMピリドキサール5′−リン酸を含む
0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で透析後、あらかじめ同じ
緩衝液を平衡化したDEAE−セルロースのカラムに再び通
過させ、同様に0.1mM EDTA及び5mMの2−メルカプトエ
タノール、0.01mMピリドキサール5′−リン酸を含む0.
05Mリン酸緩衝液(pH7.0)で溶出した。
活性区分を集め、0.1mM EDTA及び5mMの2−メルカプト
エタノール、0.01mMピリドキサール5′−リン酸を含む
0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で透析し(2,315ml)、固
形硫酸アンモニウム(407g)を加え30%硫酸アンモニウ
ム飽和とした。この酵素液を、同様に30%硫酸アンモニ
ウム飽和とした0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で平衡化し
たブチレートヨパール650Mのカラムに通過させ、30%硫
酸アンモニウム飽和から0%の同じ緩衝液の(pH7.0)
の直線的な濃度勾配で酵素を溶出させた。
活性区分を集め、0.1mM EDTA及び5mMの2−メルカプト
エタノール、0.01mMピリドキサール5′−リン酸を含む
0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で透析後、あらかじめ同じ
緩衝液で平衡化したとヒドロキシアパタイトのカラムに
通過させ、0.1mM EDTA及び5mMの2−メルカプトエタノ
ール、0.01mMピリドキサール5′−リン酸を含む0.01M
から0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0)の直線的の濃度勾配で
酵素を溶出させた。この活性区分を集め、0.1mM EDTA及
び5mMの2−メルカプトエタノール、0.01mMピリドキサ
ール5′−リン酸及び0.1M NaClを含む0.05Mリン酸緩衝
液(pH7.0)で平衡化したセファデックスG−200による
ゲル瀘過クロマトグラフィーを行たった。このようにし
て得られた酵素液を限外瀘過より濃縮し、以下のように
高速液体クロマトグラフィーを行なった。すなわち、0.
2MのNaClを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で初期化し
たTSK gel G3000SWのカラムにつけ、流速0.4ml/minで同
じ緩衝液により溶出した。
活性区分を集め、0.1mM EDTA及び5mMの2−メルカプト
エタノール、0.01mMピリドキサール5′−リン酸を含む
0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で透析後、限外瀘過により
濃縮した。これを0.02Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
0)で初期化したAsahipak ES−502Cのカラムにつけ、
流速0.5ml/minで同じ緩衝液により溶出した。
活性区分を集め、0.1mM EDTA及び5mMの2−メルカプト
エタノール、0.01mMピリドキサール5′−リン酸を含む
0.01Mリン酸緩衝液(pH7.0)で透析後、限外瀘過により
濃縮した。これを、0.02Mトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
75%、0.2M NaClを含む同緩衝液25%の溶媒で初期化し
たTSK gel DEAE−5PWのカラムにつけ、上記緩衝液の割
合が20分間で後者100%になるNaClの直線的な濃度勾配
で、流速0.3ml/minで溶出したこうして、アミノ酸ラセ
マーゼを約0.06%の収率で約2,960倍に精製した。この
精製過程における比活性及び回収率を第6表に示す。こ
の酵素標品はポリアクリルアミドゲル電気泳動及びSDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動において均一であっ
た。
参考例 第6表に示した工程7セファデックスG−200まで精製
したアミノ酸ラセマーゼを用いて、以下のように反応を
行なった。すなわち、トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)35
μmol、ピリドキサール5′−リン酸2μmol、D−また
はL−アミノ酸40μmol、アミノ酸ラセマーゼ0.41Uを含
む反応液1mlを37℃で20分間反応させ、沸とう水中に1
分間つけて反応を止めた後、生じたL−アミノ酸および
D−アミノ酸をそれぞれL−アミノ酸オキシダーゼ、D
−アミノ酸オキシダーゼを用いて定量した。結果は第7
表に示す通りであった。
*1はD体を基質として生じたL体の量を示してある。
*2はL体を基質として生じたD体の量を示してある。
【図面の簡単な説明】 第1図はシュードモナス・プチダSCRC−744株が生産す
るアミノ酸ラセマーゼのpHと反応速度の関係を表わすグ
ラフであり; 第2図はシュードモナス・プチダSCRC−744株が生産す
るアミノ酸ラセマーゼのpH安定性を示すグラフであり; 第3図はシュードモナス・プチダSCRC−744株が生産す
るアミノ酸ラセマーゼの温度と反応速度の関係を表わす
グラフであり; 第4図はシュードモナス・プチダSCRC−744株が生産す
るアミノ酸ラセマーゼの温度安定性を示すグラフであ
り; 第5図はシュードモナス・プチダSCRC−744株が生産す
るアミノ酸ラセマーゼの紫外部吸収スペクトラムであ
り;そして 第6図はシュードモナス・プチダSCRC−744株が生産す
るアミノ酸ラセマーゼの均一性を示す電気泳動図であっ
て、Aはポリアクリルアミド電気泳動(7.5%、pH8.4)
を示し、そしてBはSDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動(10.0%、pH7.2)を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の性質: (1)L−又はD−アミノ酸に作用してラセミ体を生成
    する反応を触媒する; (2)高速液体クロマトグラフィーゲル濾過法において
    約60,000〜80,000の分子量を示し、SDS−ポリアクリル
    アミドディスク電気泳動法において約30,000〜42,000の
    分子量を有するサブユニットを示す; (3)芳香族アミノ酸であるフェニルアラニン、トリプ
    トファン、及びチロシンに作用する; (4)至適pH:pH8.0付近が至適である; (5)pH安定性:各pHの緩衝液(0.1M)中30℃にて1時
    間保温した後の残存活性を測定した場合、pH7.0〜11.0
    において安定である;及び (6)至適温度:50〜60℃付近における活性が最大であ
    る; を有することを特徴とするアミノ酸ラセマーゼ。
  2. 【請求項2】シュードモナス(Pseudomonas)属細菌に
    より生産される特許請求の範囲第1項記載のアミノ酸ラ
    セマーゼ。
  3. 【請求項3】前記細菌がシュードモナス・プチダ(Pseu
    domonas putida)SCRC−744株(FERM P−9039)である
    特許請求の範囲第2項記載のアミノ酸ラセマーゼ。
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