JPH078652A - ポケット付け機能を有するミシン及びこれを用いた２列縫い方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポケットセッターにおいて、折り機の動作を
全て停止させ、簡易に、低価格で２列縫いを行う。 【構成】 機械制御データにより、折り機を制御する手
段を備え、折り機の動作を全て停止できるようにし、通
常の型板、押えにより１度縫製した後、大きさの異なる
型板、押えに交換すると共に、折り機の動作を全て停止
し、２回目の縫製を行うことにより、簡易２列縫いを達
成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、折り部において折り機
により布を折り込んでから、縫い目形成部に移送してポ
ケットを付ける機能を有するミシン（以降ポケットセッ
ターと称する）に係り、特に、折り機の動作を全て停止
できる機能を有するポケットセッターと、それを用いた
２列縫い方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】図１に従来のポケットセッターの外観を
示す。

【０００３】図１において、１０は身頃をセットするた
めのテーブル、１２は型板、１４は折り機、１６は押
え、１８はミシン頭部、２０はスタッカ、２２はキー入
力部である。

【０００４】図１のポケットセッターの全体動作を、図
２のフローチャートを参照して説明する。

【０００５】図２のステップ１００において、身頃をテ
ーブル１０上におき、ポケットの布（以降ポケ布と称す
る）を型板１２にセットする。ステップ１０２で、布セ
ット終了後身頃押えスイッチを押し、身頃を押さえ、ス
テップ１０４で身頃位置、ポケ布位置を確認し、もし、
位置が良くなければ再びステップ１００へ戻り、布セッ
トをやり直し、又位置が良ければ、次のステップ１０６
へ進みセット終了スイッチを押す。

【０００６】次にステップ１０８で折り機１４を作動さ
せ、ポケ布の端を折り込み、ステップ１１０で、押え６
が図１の型板１２の位置まで移動し、身頃及びポケ布を
型板１２と共に、ミシン頭部１８の位置まで搬送し、ス
テップ１１２でポケ布の端に沿って縫製が行われ、ステ
ップ１１４で縫製の終った製品をスタッカ２０にスタッ
クする。

【０００７】以上が図１のポケットセッターの基本的動
作であり、これによりポケットの端に沿って１列縫いが
行われる。

【０００８】従って、従来のポケットセッターで２列縫
いをするためには、２列縫い専用の折り機、押え、型板
等を使用していた。又、機種によっては機械本体も２列
縫い専用の物を必要としていた。これら、２列縫い専用
機を用いれば、１度のスタートで外側及び内側の縫製を
行えるようになっていた。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】従来の２列縫い専用の
折り機、布押え等を備えたポケットセッターは非常に高
価であるという問題があった。

【００１０】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、折り機の動作を全て停止できる機能
を有するポケットセッターと、それを用いて、高額な従
来の２列縫い装置の代用として、簡易的に低価格で２列
縫いを行える方法を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、折り部におい
て折り機により布を折り込んでから、縫い目形成部に移
送してポケットを付ける機能を有するミシンにおいて、
機械制御データを入力する手段と、折り機を駆動する手
段と、前記入力された機械制御データを読み出し、折り
機を制御する手段とを備え、前記機械制御データにより
折り機の動作を全て停止できる機能を有するようにし
て、前記目的を達成したものである。

【００１２】本発明は又、折り部において折り機により
布を折り込んでから、縫い目形成部に移送してポケット
を付ける機能を有するミシンによりポケット付けをする
際、通常の型板と押えを用いた１列縫いを行い、その
後、大きさの異なる型板と押えに交換し、折り機の動作
を全て停止して、２列目を縫うことにより、簡易に２列
縫いを行うことにより、同様に前記目的を達成したもの
である。

【００１３】

【作用】図１のようなポケットセッターで、１度縫製し
たポケットに再度縫製を行い、簡易的な２列縫いを行い
たい場合、２回目の縫製の際には折り機の動作が不用に
なる。従って、折り機の全ての動作を停止させる機能が
必要となる。

【００１４】本発明によれば、図１のキー入力部２２よ
り、折り機の動作を全て停止させる制御データを入力す
ることにより、実際の縫製時に、折り機を制御する手段
が、該入力データに従って折り機の働きを止めるので、
型板１２と押え１６のみ動いて、あとは通常の縫製が行
われる。

【００１５】又、本発明によれば、図１のようなポケッ
トセッターで、通常の型板を用いて通常の縫製を行い、
ポケットを１列縫いで身頃に縫い付けた後、型板と押え
を１回目の縫製時と異なる物に交換し該当する機械的制
御を読み出した後、この型板に１度縫製したポケットを
セットし、折り機の動作を停止して、ミシンをスタート
すれば、折り込みは行われず、押え１６が型板１２と共
に１度縫製済みのポケットをミシン頭部１８まで搬送
し、２列目の縫製が行われる。

【００１６】これによって、型板と押えを交換するのみ
で、特別な装置を必要とせず安価に、簡易的に２列縫い
を行うことができる。

【００１７】

【実施例】以下図面を参照して、本発明の実施例を詳細
に説明する。

【００１８】図３は、本発明による折り機の動作停止機
能を含むミシンの制御手段の一実施例を示すブロック線
図である。

【００１９】図３において、３０はＣＰＵ、３２はフロ
ッピーディスクドライブ（ＦＤＤ）、３４は各種制御デ
ータを入力するためのキー、３６はサーボモータコント
ローラで、ミシンモータ（Ｍ）、ＸＹテーブルを駆動す
るモータ（Ｘ，Ｙ）を制御する。又ＣＰＵ３０には表示
装置やＲＯＭ、ＲＡＭあるいは他の記憶装置も接続され
ており、Ｉ／Ｏインタフェースを通じて、押え制御機構
３８及び折り機制御機構がＣＰＵによりコントロールさ
れる。折り機制御機構において、４０はＢ及びＡ１〜Ａ
５までのシリンダ、４２は折り機上下シリンダＳＶ６、
４４は２段押え上下シリンダＳＶ７、４６は折り機上検
出センサＳＮＵ１、４７は折り機下検出センサＳＮＤ
１、４８は二段押え上検出センサＰＲＳＵ１、４９は二
段押え下検出センサＰＲＳＤ１である。

【００２０】折り機の詳細を示す平面図を図４に示す。
図４において、５０はシリンダＢ、５１はシリンダＡ
１、５２はシリンダＡ２、５３はシリンダＡ３、５４は
シリンダＡ４、５５はシリンダＡ５であり、これらは図
３において、符号４０で一括して表わされたものであ
る。

【００２１】又、図５はポケットセッターの通常機能に
おいて用いられる型板と押えを表わす外観図であり、６
０は型板Ａ、６０′は押えＡである。

【００２２】ここで比較し易いように図６に、後で説明
する簡易２列縫いの時に用いられる、通常より少し小さ
めの型板と押えを示す。６２は型板Ｂ、６２′は押えＢ
である。

【００２３】次に図７のフローチャートを参照して、折
り機の動作を説明する。図７のフローチャートは、図２
のフローチャートのステップ１０８、「折り込み」の部
分を詳しく表現したものである。

【００２４】図７のステップ２００において、折り機、
型板は初期位置にある。これは図８に側面図で示すよう
に、折り機上下シリンダ（ＳＶ６）４２及び２段押え上
下シリンダ（ＳＶ７）４４が矢印方向に作用するため、
型板１２はテーブル１０より上に、折り機１４は型板１
２の更にその上に位置している。この状態で身頃７２が
テーブル１０上に、ポケット布７０が型板１２にセット
される。図８のIX−IXラインによる断面を、図９に示
す。ここで、７４は図４においてシリンダＢ５０、シリ
ンダＡ１〜Ａ５（５１〜５５）のいずれかと同一であ
り、７６はポケ布を折り込むための折り歯である。

【００２５】布のセットが終了すると、ステップ２０２
において、図１０に、その側面図で示すように、折り機
上下シリンダ（ＳＶ６）４２が矢印方向に作動し、折り
機１４が型板１２の位置まで下降する。図１０のXI−XI
ラインによる断面を図１１に示す。次に、後で述べるよ
うな方法で、予め設定された時間により、図４に示す折
り歯動作シリンダＢ及びＡ１〜Ａ５が動作し、図１２
に、図１１と同じ断面を正面図で示すように、折り歯７
６が動作して、ポケット布７０を型板１２の下へ折り込
む。

【００２６】折り込み終了後、ステップ２０４におい
て、２段押え上下シリンダ（ＳＶ７）４４をＯＦＦにし
て、図１３に側面図を示すように、折り機１４及び型板
１２を共にテーブル１０まで下降する。この状態の、図
１３のXIV −XIV ラインの断面を図１４に示す。次に図
１５に示すように、折り歯動作シリンダをＯＦＦにして
折り歯を抜く。

【００２７】最後に、ステップ２０６において、折り機
上下シリンダ（ＳＶ６）４２をＯＮにして、図１６に側
面図を示すように、折り機１４を上昇させる。この状態
の図１６のXVII−XVIIラインの断面を図１７に示す。

【００２８】以上で折り込みは終了し、押え１６による
搬送へと進む。

【００２９】次に、折り歯動作シリンダＡ１〜Ａ５及び
Ｂの動作するタイミングを設定／変更する方法を説明す
る。

【００３０】ミシン制御のためのデータは、フロッピー
ディスクに格納されており、縫製用パターンデータと機
械制御データがある。この機械制御データ部に、折り歯
動作シリンダＡ１〜Ａ５、ＢのＯＮ、ＯＦＦタイミング
を設定するデータがある。

【００３１】この入力は図１のキー入力部２２より行わ
れ、図１８にその画面表示を示す。この画面の液晶パネ
ル上の当該文字を押せばスイッチが入るタッチキーとな
っている。図１８（Ａ）はキー入力部２２の標準画面で
あり、ここで「モード変更」キーを押すと図１８（Ｂ）
に示すようなモード選択画面となり、図１８（Ｂ）の画
面において「１０」キーを押し、折りタイミング変更モ
ードを選択することで、例えば図１８（Ｃ）に示す折り
タイミング変更画面となる。

【００３２】図１８（Ｃ）の画面表示は各シリンダＡ１
〜Ａ５、ＢのＯＮ、ＯＦＦのタイミングをmsで表わして
いる。即ち、まず折り腕下検出信号４７が入ると、まず
シリンダＢが動作し、次に検出信号から１００ms経過
後、Ａ１、Ａ５、２００ms経過後、Ａ２、Ａ４が動作す
る。Ａ３は動作しない。

【００３３】又ＯＦＦ時は二段押え下信号検出信号４９
が入ると、シリンダＢを動作させ、次に５０ms経過後Ａ
１、Ａ５を次に１００ms経過後Ａ２、Ａ３を動作させ
る。Ａ３は全く動作しないことを表わしている。

【００３４】ここで、Ａ１の折りタイミングを設定／変
更しようとする時は「Ａ１」キーを押すと、図１８
（Ｄ）のような画面になるので、「＋」、「−」キーで
ＯＮ、ＯＦＦの表示を「−−−」に設定し、シリンダの
動作を停止することができる。このようにして、Ａ１〜
Ａ５、Ｂを全て「−−−」に設定し、このデータをフロ
ッピーディスクに書き込む。この時のデータ構成は、図
１９のようなデータで、ＯＮタイミングデータを全て−
１に設定（表示は−）することで、折り機の全ての動作
を禁止し、折り込み動作を行わずミシンを動作できる。

【００３５】次に、この折り機動作停止機能を用いて、
簡易２列縫いを行う方法について説明する。

【００３６】本実施例では、図５に示す型板Ａ、押えＡ
と、これより少し小さめの、図６に示す型板Ｂ、押え
Ｂ、及び図２０に示す縫製用パターンＡ、Ｂを使用す
る。

【００３７】縫製順序は図２１に示すように、まずＳＴ
ＥＰ１で、通常に動作する折り機と型板Ａ、押えＡと、
それにパターンＡを用いて、図２２（Ａ）に示すように
身頃７２にポケ布７０を付ける。次に、折り機の動作を
全て停止して、型板Ｂ、押えＢとパターンＢを用い、Ｓ
ＴＥＰ１で縫製した身頃を図２３に示すように型板Ｂに
セットする。図２３のXXIV−XXIVラインによる断面を図
２４に示す。折り機の動作は停止してあるので、この状
態で図２２（Ｂ）に示すように２回目の縫製が行われ、
図２２（Ｃ）に示すように２列縫いと同等の縫製状態と
なり、２列縫いが完成する。

【００３８】なお、本実施例では、はじめに外側を縫
い、次に内側を縫ったが、縫う順序は、これに限定され
るものでないことは明らかである。

【００３９】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、制
御データ入力により折り機の動作を全て停止させること
ができ、型板、押えを交換するのみで、簡易に低価格で
２列縫いを実現できるという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来のポケットセッターの外観を示す斜視図

【図２】従来のポケットセッターの基本動作を示すフロ
ーチャート

【図３】本発明による折り機動作停止機能を含むミシン
制御手段の実施例を示すブロック線図

【図４】折り機の詳細を示す平面図

【図５】通常の型板及び押えを示す斜視図

【図６】本実施例の簡易２列縫いで使用する型板及び押
えの斜視図

【図７】折り機の動作を示すフローチャート

【図８】折り機、型板初期位置と身頃、ポケ布セット状
態を示す側面図

【図９】図８のIX−IXラインによる断面図

【図１０】折り機が型板位置まで下降した状態を示す側
面図

【図１１】図１０のXI−XIラインによる断面図

【図１２】図１１でポケ布を折り込んだ状態を示す正面
図

【図１３】折り機、型板がテーブルまで下降した状態を
示す側面図

【図１４】図１３のXIV −XIV ラインによる断面図

【図１５】図１４で折り歯が抜かれた状態を示す正面図

【図１６】ポケ布折り込み、セットが終り折り機が上昇
した状態を示す側面図

【図１７】図１６のXVII−XVIIラインによる断面図

【図１８】キー入力画面を示す説明図

【図１９】制御データ格納状態を示す説明図

【図２０】縫製用パターンを示す線図

【図２１】本実施例の簡易２列縫いの手順を示すフロー
チャート

【図２２】同じく簡易２列縫いの縫製状態を示す説明図

【図２３】同じく簡易２列縫いで２列目を縫うために身
頃を型板Ｂにセットした状態を示す斜視図

【図２４】図２３のXXIV−XXIVラインによる断面図

【符号の説明】

１０…テーブル １２…型板 １４…折り機 １６…押え ２２…キー入力部 ３２…フロッピーディスクドライブＦＤＤ ４０…シリンダＢ、Ａ１〜Ａ５ ４２…折り機上下シリンダＳＶ６ ４４…２段押え上下シリンダＳＶ７ ６０、６０′…型板Ａ、押えＡ ６２、６２′…型板Ｂ、押えＢ ７０…ポケ布 ７２…身頃

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】折り部において折り機により布を折り込ん
   でから、縫い目形成部に移送してポケットを付ける機能
   を有するミシンにおいて、 機械制御データを入力する手段と、 折り機を駆動する手段と、 前記入力された機械制御データを読み出し、折り機を制
   御する手段とを備え、 前記機械制御データにより折り機の動作を全て停止でき
   る機能を有することを特徴とするポケット付け機能を有
   するミシン。
2. 【請求項２】折り部において折り機により布を折り込ん
   でから、縫い目形成部に移送してポケットを付ける機能
   を有するミシンによりポケット付けをする際、 通常の型板と押えを用いた１列縫いを行い、 その後、大きさの異なる型板と押えに交換し、 折り機の動作を全て停止して、２列目を縫うことによ
   り、 簡易に２列縫いを行うことを特徴とする２列縫い方法。