JPH078529B2 - 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法

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JPH078529B2
JPH078529B2 JP1061869A JP6186989A JPH078529B2 JP H078529 B2 JPH078529 B2 JP H078529B2 JP 1061869 A JP1061869 A JP 1061869A JP 6186989 A JP6186989 A JP 6186989A JP H078529 B2 JPH078529 B2 JP H078529B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法に
関するものであり、さらに詳しくは、磁気記録媒体用途
として特に有効な二軸配向ポリエステルフィルムの製造
方法に関するものである。
[従来の技術] 従来、磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムと
して不活性無機粒子を含有せしめたものとしては、特開
昭59-171623号公報や特開昭59-203228号公報などで知ら
れている。また、水膜を冷却ドラム表面に介在させ成形
させる方法は、特開昭58-63415号公報などで知られてい
る。
[発明が解決しようとする課題] しかし、上記従来の磁気記録媒体用二軸配向ポリエステ
ルフィルムではフィルムの加工工程、例えば磁性層塗
布、カレンダー工程などで接触するロール等によってフ
ィルム表面に傷が入るなど、まだ十分な耐摩耗性に優れ
た磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムが得ら
れていないのが現状である。
本発明の目的は、十分な滑り性、走行性、平滑性を得、
かつ耐摩耗性に優れた磁気記録媒体用二軸配向ポリエス
テルフィルムの製造方法を提供することを目的とするも
のである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、不活性無機粒子を0.01〜5.0wt%を含有して
なるポリエステル溶融シートを、静電荷を印加させなが
ら冷却ドラム表面に密着させて製造するポリエステルフ
ィルムの製造方法において、該ドラム表面に水の液膜を
介在させる磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィル
ムの製造方法を特徴とするものである。
本発明におけるポリエステルとは、ジカルボン酸とジオ
ールとから縮重合により得られるエステル結合を有する
ポリマーの総称で、その代表的なものとしては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメ
チレンテレフタレート、ポリエチレンα,β−ビス(2
−クロルフェノキシ)エタン4,4′−ジカルボキシレー
トなどである。
不活性無機粒子としては、例えば酸化チタン、炭酸カル
シウム、シリカ、アルミナ、タルク、クレー、硫酸バリ
ウムなどが挙げられるが、特にアルミナ、シリカ、酸化
チタンなどが好ましい。
ここで、不活性無機粒子の粒径比(粒子の長径/短径)
が1.0〜1.3の球形状の粒子とすることにより、より一層
耐摩耗性に優れたものが得られるので望ましい。
また、本発明で用いる不活性無機粒子の平均粒子径は10
〜500nm、さらには30〜450nmの範囲であるのが望まし
い。10nm未満では滑り性が不十分となり、500nmを越え
るものでは耐摩耗性が不十分となる。
また、不活性無機粒子の含有量は、0.01〜5.0wt%であ
る必要がある。上記範囲より少なくても、逆に多くても
耐摩耗性が不良となり好ましくない。
尚、上記不活性無機粒子とともに架橋高分子による不活
性な粒子を通常使用する程度含有していても良い。
静電荷を印加させながら冷却ドラム表面に密着させてキ
ャストする方法は、特公昭37-6142号公報などですでに
公知である。
冷却体としては、ドラムの例を示したが、ベルトの如き
移動可能な冷却体であっても良い。
冷却ドラム表面としては鏡面クロムメッキ仕上げ(0.2S
以下)したものが本発明にとって好ましいが、必要によ
っては表面をエッチングやサンドブラストで加工した粗
面化したものでも、親水化したものでもよい。
冷却ドラム表面に水の液膜を介在させながら、静電荷を
印加させるキャスト方法は、BP1140175や特公昭63-4492
号公報などで公知である。
冷却ドラム表面に水の液膜を介在させる方法としては、
湿気を含んだ空気をその露点以下に保たれた冷却ドラム
表面に吹き付けて結露させる方法(結露法)や、静電荷
を帯びた水蒸気を噴霧する方法や、しみ出しローラで塗
布する方法などがあるが、液膜の見かけの厚さdが3μ
m以下、好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.0
μm以下と薄い時や、さらには冷却ドラム表面が鏡面ク
ロムメッキの場合には、安定な液膜が得られるで結露法
が好ましい。結露法による水滴最大径は50μm以下、10
0〜1000個/0.1mm2のものが良い。
また、この平均液膜の見かけの厚さdと溶融シートと冷
却ドラム表面との接する位置に形成されるメニスカスの
高さhとの関係がh>dであることが望ましい。この見
かけの水膜厚さdは、赤外線水分計により求めた値であ
る。h≦dの場合は、冷却表面上に生じた水膜の厚さの
変動をそのままキャストシートに転写されてしまうので
長時間安定した高速キャストが出来ない。メニスカスの
高さhは、溶融シートのドラムへの密着する角度、溶融
シートの表面粗さ、表面張力などで変化する。
もちろん、シートが冷却ドラムから剥離されたあとのド
ラム上には液が不均一に残存するため、完全に残存液膜
を除去する必要があり、真空、空気吹き付け、両者を併
用したものや吸引ロール法などで除去する必要がある。
除去が不十分である場合、前述の様な液膜の塗布状態が
得られず、フィルムの表面欠点を生ずることになる。
また、本発明の製造方法においては、前述した方法によ
り得たフィルムを二軸配向せしめる必要がある。一軸あ
るいは無配向では得られるフィルムの耐摩耗性が不良と
なるので好ましくない。この配向程度は特に限定されな
いが、高分子の分子配向の程度の目安であるヤング率が
長手方向、幅方向ともに350kg/mm2以上である場合が耐
摩耗性をより一層良好とさせるので望ましい。
また、本発明製造方法により得られるフィルムの表面の
平均突起高さは、20〜300nm、好ましくは30〜200nm、よ
り好ましくは35〜150nmの範囲であるのが良く、上記範
囲外では耐摩耗性、耐ダビング性が悪化するので好まし
くない。さらに、平均突起間隔は6μm以下、好ましく
は4μm以下であるのが耐摩耗性より望ましい。
すなわち、不活性無機粒子を特定濃度含有するポリエス
テル溶融シートに、特定のキャスト方法を用いることに
より、平滑で易滑性、走行性に優れ、かつ耐摩耗性に優
れた磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムが得
られたものであり、本方式のキャスト方法を用いたもの
でないと前記特性を兼そなえたものは得られない。
すなわち、水膜の存在した冷却ドラム上で静電荷を印加
させながらキャストしたフィルムは、その表層部分が吸
水したことにより低配向、低結晶性となり、前記特性の
達成が可能となったものである。
また、両面に同様の特性を与えたい場合は、非冷却ドラ
ム表面側に、ロールを配置し、溶融ポリマーシートの表
面温度が(融点−30)〜(結晶化ピーク温度+5)℃の
温度にある部分で前述の水膜を介在させる同様の手法で
達成することが可能である。
また、本発明は複合フィルム形態であっても良く、この
場合、前述したポリエステルや特定の不活性無機粒子含
有量は、その外層部分で満足しておれば良く、内層部分
によって影響を受けるものではない。
[発明の効果] 不活性無機粒子を特定の含有量含んだポリエステル溶融
シートを特定のキャスト条件で製膜することにより、以
下の様な優れた効果が得られたものである。
(1)平滑性に優れ、易滑で、走行性に優れ、金属材料
との接触によっても十分な耐摩耗性のあるフィルムが得
られる。
(2)耐ダビング性に優れたフィルムが得られる。
[物性の評価方法及び効果の評価方法] (1)粒子の平均粒子径 フィルムからポリエステルをプラズマ低温灰化処理法
(例、ヤマト科学製PR-503型)で除去し、粒子を露出さ
せる。処理条件としては、ポリエステルは灰化されるが
粒子はダメージを受けない条件を選択する。これをSEM
(走査型電子顕微鏡)で観察し、粒子の画像(粒子によ
ってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(例、ケ
ンブリッジインスツルメント製QTM900)に結び付け、観
察箇所を変えて粒子数5000個以上で次の数値処理を行な
い、それによって求めた数平均径Dを平均粒子径とす
る。
D=ΣDi/N ここで、Diは粒子の円相当径、Nは個数である。
(2)不活性無機粒子の含有量 ポリエステル100gにo−クロルフェノール1.01を加えて
120℃で3時間加熱した後、日立工機(株)製超遠心機5
5P-72を用い、30000rpmで40分間遠心分離を行ない、得
られた粒子を100℃で真空乾燥する。微粒子を走査型差
動熱量計にて測定した時、ポリマーに相当する溶融ピー
クが認められる場合は、微粒子にo−クロルフェノール
を加え、加熱冷却後再び遠心分離操作を行なう。溶融ピ
ークが認められなくなった時、微粒子を析出粒子とす
る。このようにして分離された粒子の全体重量に体する
比率(wt%)をもって粒子含有量とする。
(3)表面の平均突起高さ 2検出器方式の走査型電子顕微鏡(ESM-3200、エリオニ
クス(株)製)と断面測定装置(PMS-1、エリオニクス
(株)製)においてフィルム表面の平坦面の高さを0と
して走査した時の突起の高さ測定値を画像処理装置(IB
AS2000、カールツァイス(株)製)に送り、画像処理装
置上にフィルム表面突起画像を再構築する。次に、この
表面突起画像で突起部分を2値化して得られた個々の突
起の面積から円相当径を求めこれをその突起の平均径と
する。また、この2値化された個々の突起部分の中で最
も高い値をその突起高さとし、これを個々の突起につい
て求める。この測定場所を変えて500回繰返し、測定さ
れた突起についての高さ分布を正規分布とみなして、最
小2乗法で近似して求めた。また走査型電子顕微鏡の倍
率は1000〜8000倍の間の値を選択する。
(4)ヤング率 JIS-Z-1702に規定された方法に従ってインストロンタイ
プの引張り試験機を用いて、25℃、65%RHにて測定し
た。
(5)固有粘度[η](単位はdl/g) オルソクロルフェノール中、25℃で測定した溶融粘度か
ら下記式から計算される値を用いる。
ηSP/C=[η]+K[η]・C ここで、ηSP=(溶融粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒
100ml当たりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.
2)、Kはハギンス定数(0.343とする)。また、溶液粘
度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
(6)粒径比 上記(1)の測定において下式で求められる個々の粒子
の長径(平均値)/短径(平均値)の比である。
長径=ΣD1i/N 短径=ΣD2i/N D1i、D2iはそれぞれ個々の粒子の長径(最大径)、短径
(最短径)、Nは総個数である。
(7)耐摩耗性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたもの
をテープ走行性試験機を使用して、ガイドピン(表面粗
度:Raで100nm)上を走行させる(走行速度:500m/分、走
行回数:100パス、巻き付け角:180°)。
この時、フィルムに入った傷を顕微鏡で観察し、傷がテ
ープ幅当たり2本以上入った場合を耐巻耗性不良と判定
し、×印で示し、2本未満を良好として○印で示した。
(8)滑り性 摩擦係数μkで評価した。摩擦係数μkは、フィルムを
幅1/2インチのテープ状にスリットしたものをテープ走
行性試験機TBT-300型((株)横浜システム研究所製)
を使用し、60℃、80%RH雰囲気で走行させ、初期の摩擦
係数を下記の式より求めた(フィルム幅は1/2インチと
した)。
μk=0.733log(T2/T1) ここで、T1は入側張力、T2は出側張力である。ガイド径
は6mmφであり、ガイド材質はSUS27(表面粗度0.2S)、
巻き付け角は180°、走行速度は3.3cm/秒である。この
測定によって得られたμkが0.35以下の場合は摩擦係
数:良好(○)、0.35越える場合は摩擦係数:不良
(×)と判定した。このμkはフィルムを磁気記録媒
体、コンデンサ包装用などに加工する時にハンドリング
性を左右する臨界点である。
(9)耐ダビング性 フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビヤロールにより
塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型テス
トカレンダー装置(スチールロール/ナイロンロール、
5段)で温度:70℃、線圧:200kg/cmでカレンダー処理し
た後、70℃、48時間キュアリングする。上記テープ原反
を1/2インチにスリットし、パンケーキを作成した。こ
のパンケーキから長さ250mをVTRカセットに組込みVTRカ
セットテープとした。
(磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄(BET値50m2/g) :100重量部 ・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビミル共
重合体) : 10重量部 ・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエ
ラストマ) : 10重量部 ・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネー
ト) : 5重量部 ・レシチン : 1重量部 ・メチルエチルケトン : 75重量部 ・メチルイソブチルケトン : 75重量部 ・トルエン : 75重量部 ・カーボンブラック : 2重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部 この試料テープに家庭用VTRを用いてシバソク製のテレ
ビ試験波形発生器(TG7/U706)により100%クロマ信号
を記録し、その再生信号からシバソク製カラービデオノ
イズ測定機(925D/1)でクロマS/Nを測定しAとした。
また上記と同じ信号を記録したテープ(マザー)を磁界
転写方式のビデオソフト高速プリントシステム(例えば
ソニーマグネスケール(株)製のスプリンタ)を用いて
同じ種類の試料のテープ(未記録)のパンケーキへダビ
ングした後のテープのクロマS/Nを上記と同様にして測
定し、Bとした。このダビングによるクロマS/Nの低下
(A-B)が4.0dB未満の場合は耐ダビング性良好として○
印で示し、4.0dB以上の場合は耐ダビング性不良として
×印で示した。
[実施例] 本発明を実施例に基づき説明する。
実施例1〜2、比較例1〜4 シリカ粒子を含有するエチレングリコールスラリーを作
り、これをテレフタル酸ジメチルとエステル交換反応
後、重縮合し、該粒子を1.0wt%(比較例1〜2、実施
例1)、5wt%(比較例3、実施例2)、及び7wt%(比
較例4)を含有するポリエチレンテレフタレートのペレ
ットを作った。この時、重縮合時間を調節し、固有粘度
を0.68とした(以下ポリエステルAと呼ぶ)。また、常
法により固有粘度0.62の実質的に無機粒子を含有しない
ポリエチレンテレフタレートを製造し、ポリエステルB
とした。
これらの2種類のポリマーを、それぞれ180℃で3時間
減圧乾燥した。このポリエステルA、Bをそれぞれ第1
表の割合で押出機に供給し、290℃で溶融し、Tダイよ
り押出しし、20℃に保たれた冷却ドラム上に静電印加を
行ない、キャストした。この冷却ドラム上は第1表に示
したように、水膜条件を変更しキャストした。
このキャストシートを、90℃に加熱されたロール上で予
熱し、長手方向に4.2倍延伸し、つづいて、100℃に加熱
されたテンター内で4.3倍に幅方向に延伸後210℃で5秒
間、165℃で3秒間熱処理し、厚さ15μmの二軸配向フ
ィルムを得た。
このフィルムの特性を第1表に示したが、ポリエステル
に特定量の不活性無機粒子を添加し、特定のキャスト条
件を採ることにより、耐摩耗性に優れた磁気記録媒体用
二軸配向ポリエステルフィルムが得られることがわか
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−171623(JP,A) 特開 昭59−203228(JP,A) 特公 昭63−4492(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不活性無機粒子を0.01〜5.0wt%含有して
    なるポリエステル溶融シートを、静電荷を印加させなが
    ら冷却ドラム表面に密着させて製造するポリエステルフ
    ィルムの製造方法において、該ドラム表面に水の液膜を
    介在させることを特徴とする磁気記録媒体用二軸配向ポ
    リエステルフィルムの製造方法。
JP1061869A 1989-03-13 1989-03-13 磁気記録媒体用二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法 Expired - Fee Related JPH078529B2 (ja)

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JPS634492A (ja) * 1986-06-23 1988-01-09 Mitsubishi Electric Corp 半導体記憶装置

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