JPH0784898B2 - ベルトテンション装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はベルト伝動装置におけるベルトテンション装置
に係り、詳しくは伝動ベルト走行時におけるベルトの張
力の変化に起因する各種の事故を未然に防止し、ベルト
駆動中においてもベルトの駆動を停止することなく、ベ
ルト張力を検知し張力調整を可能ならしめるベルトテン
ション装置に関するものである。

（従来技術） ベルト伝動装置、なかでも特に歯付ベルト伝動は嵌合伝
動であるため歯付ベルトと歯付プーリとの噛み合い、即
ちベルトのピッチ長さが重要視され、ワイヤーロープ、
ガラスロープ、ケブラー（商品名：芳香族ポリアミド）
ロープ等のような低伸度、高強力ロープを抗張体として
使用し、張力変化を可及的僅少ならしめていた。

そのため、ベルトの張力調整としては、特公昭60−5568
3号公報で開示されたように例えば自動車エンジン用歯
付ベルトにおいては、ベルトをエンジンのプーリに組み
込む時にベルト張力を測定調整して組み込み、ベルト取
付後にあっては張力を測定調整し直しすることは殆ど実
施されていない実状である。

ところで、上記のようなベルトの張力調整は、上記組み
込み時のベルト張力が大き過ぎるとベルトの屈曲疲労が
増大し、音が高く、歯低帆布の破損等の問題があり、ま
た逆に組み込み時のベルト初張力が小さいと、ベルト走
行中に張力が低下したとき、ベルトのジャンピング、歯
部への応力集中、振動の問題が生じてくる。

そして、これらのことは歯付プーリ以外のＶベルト、平
ベルト等の摩擦伝動ベルトにおいても多かれ少なかれ同
様で、張力不足によりスリップによる伝達不足が騒音を
起こしたり、更に発熱によりベルト寿命を短縮するとい
う事態を起こす。

そこで、これらに対する対策が考究され、自動車用エン
ジンのベルト駆動用テンション装置として第３図に図示
するようなフランジ（Pf）のついたテンションプーリ
（Ｐ）をテンションアーム（２）の略中央に取り付け、
アーム（２）の略中央に取り付け、アーム（２）の下端
部（2a）を係止棒（３）でエンジン本体（図示せず）に
回転自在に取り付ける一方、長孔（４）を設けたアーム
上部（2b）に上部長孔（４）を貫通して係止ボルト
（Ｖ）が本体に取り付けられ、テンションプーリ（Ｐ）
でベルト（Ｂ）背面を押圧し、長孔（４）の適宜位置で
ナットを締付固定する方式のベルトテンション装置が使
用されている。

しかしながら、このような方式のテンション装置にあっ
ても、その後使用が進むに従い、更に以下のような問題
が生じてきた。即ち、ベルトの張力が低下してくるとベ
ルト駆動を停止し、ナット（Ｎ）を弛めて長孔（４）位
置を右方向に移動し、再度ナット（Ｎ）で締付固定しな
おさなければならないという煩わしさがある。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は上述の如き実状に対応し、更に上記ベルトテン
ション装置の改善された構成を見出すことを課題とする
もので、電動機を作動させることにより、張力の設定を
容易に行えるように構成し、またテンションアームとケ
ージ棒を歪ケージが貼着された軸受を介して連結し、ベ
ルト張力の変化を歪ケージの変化で捉え、歪ケージの信
号に応じて電動機を動作し、ベルトの張力を適正に調節
可能ならしめることにより走行中の伝動ベルトを停止す
ることなく、張力調整を可能ならしめ、ベルト走行中の
張力低下によるベルトのジャンピング、歯部への応力集
中、振動、騒音等の問題を解決することを目的とするも
のである。

（問題点を解決するための手段） しかして、上記目的に適合する本発明の特徴はプーリが
回転自在に取り付けられたテンションアームは、一端を
中心として揺動可能に固定部材に固定され、かつ該テン
ションアームには揺動中心から一定の距離を離れた位置
にネジを有するガイド棒が揺動可能に固定され、このガ
イド棒は固定部材から片持ち状に張り出され中間部に歪
みゲージが貼着された軸受部材によって軸方向の力が支
えられ、かつガイド棒のネジ部には、中心部分に雌ネジ
を有する円板状伝動部材の当該雌ネジが嵌合しており、
さらに該円板状伝動部材には電動機に結合された今一つ
の円板状伝動部材が嵌合しており、歪みゲージの信号と
予め設定された信号を比較し、その差によって電動機を
正逆回転させることを特徴とするベルトテンション装置
にある。

（作用） 上述の如き構成を有する本発明装置は以下のような作用
をする。

即ち、本発明におけるテンションアームは従来技術のそ
れと略同様であり、テンションアームを揺動中心として
動かすことによりベルトに与える張力を調整することが
できる。

そして、本発明のベルトテンション装置は電動機を回転
することにより回転が円板状上伝動部材を経て、連結棒
に嵌合する円板上伝動部材に伝えられ、該円板状伝動部
材の回転により中心に設けられた雌ネジに嵌合するガイ
ド棒が軸方向に移動する。そのため、ガイド棒とともに
テンションアームが移動し所望の張力を与えることがで
きる。

特に上記する円板状伝動部材にウォームギアとウォーム
ホイルの組合せを選択した場合はウォームギア、ウォー
ムホイルの性質からガイド棒の逆まわりが防止される。

そして、本発明のベルトテンション装置のガイド棒は軸
受部材によって支承され、この軸受部材によって棒方向
の力が支えられるから、ベルトの張力は直接、軸受部材
にかかる。

ここで軸受部材は、固定部材から片持ち状に張り出され
たものであるから、ベルトの張力を受けることによって
微小にたわむ。

軸受部材には歪ゲージが貼着されているから、歪ゲージ
はある一定の抵抗値を示す。

この状態でベルト駆動中にベルトの張力が緩むと、軸受
部材のたわみ量が減少し、歪ゲージの抵抗値が変化す
る。この抵抗値と予め設定された抵抗値を比較して、予
め設定された抵抗値にもどるようにベルトの張力は常に
一定に保持される。

（実施例） 以下更に添付図面を参照し、本考案の実施例を説明す
る。

第１図は本発明に係るベルトテンション装置の一例を示
し、図において（10）は歯付ベルトであり、図示しない
駆動プーリや複数の従動プーリ間に巻きかけられてい
る。ベルト（10）の背面にはテンションアーム（11）に
取り付けられたフランジ付きのテンションプーリ（12）
が押圧されて上記ベルト（10）に張力が付与されてい
る。

テンションアーム（11）は逆Ｌ字形の形状を有し、その
略中部に前記テンションプーリ（12）が取り付けられて
おり、下端部はピン（13）によりエンジン本体への固定
部材であるブラケット（14）に揺動自在に取り付けられ
ている。

一方、テンションアーム（11）上部には突出部（15）が
一体化して形成されると共にブラケット（14）に固定さ
れたガイドピン（16）に沿って左右に揺動可能な如く長
孔（17）が設けられており、更に突出部（15）の先端に
は断面円形の突起ピン（18）がアーム（11）方向に対し
直行し、アームと鉤形になるようにして軸方向に溶接固
定されていて、第２図に示す如きブッシュ（８）の孔部
（７）を先端に有するネジ（6a）付きガイド棒（６）が
回転可能に連結されている。

そして、ネジ付きガイド棒（６）はブラケット（14）か
ら片持ち状に張り出され、中央部に細部（19）を有し先
端に孔（20）を有しスラスト軸受が設けられた軸受部材
（21）の当該孔（20）内に挿入され、スラスト軸受け
（22）を介して中央に雌ネジが設けられたウォームホイ
ル（23）の前記雌ネジに嵌入されている。

そして、ウォームホイール（23）は更にギャードモータ
等の減速機能が付加された電動機（24）に結合されたウ
ォームギア（30）と噛み合っている。また、前記した軸
受部材（21）の細部（19）には歪ケージ（25A）（25B）
が貼着され、歪ケージの信号は各々図面下部の荷重計
（31）と図示しない制御回路に入力されている。かくし
て、上述の如き構成において、テンションプーリ（12）
でベルト（10）に張力をかけた時はテンションプーリ
（12）のアーム（11）と連結されている軸受（21）は左
方向に僅かに湾曲状に歪み、右側の歪ゲージ（25B）の
金属線は伸長され、一方左側のゲージ（25A）の金属線
は収縮され両金属線は夫々異なった金属抵抗値を示し、
換算した荷重が荷重計（31）に示される。

そして、その後ベルト駆動中にベルト（10）のテンショ
ンが緩むと湾曲した軸受（21）が元の位置に戻って直線
状になり、このとき金属線の電気抵抗値も夫々変化し、
荷重計（31）にその変動が表れ、ベルト張力が低下した
ことがわかる。

また、電気回路内で予め設定された信号と、歪ゲージか
らの信号が比較され、その差に応じて伝動機が回転す
る。

そして、このテンション低下による電気抵抗の変化によ
り電動機（24）が正逆回転されテンションアーム（11）
を揺動し元の適正なベルトテンションを得る。

また、高温時、ベルト本体の膨張によりベルトが緊張状
態となった場合も同様に歪ゲージの電気抵抗値が変化し
電動機が回転されベルト張力を適正化する。

（効果） 本発明のベルトテンション装置は、電動機を回転するこ
とによりベルト張力の設定調節が容易に行うことがで
き、ベルト駆動を停止することなくベルト走行中のまま
で係止調整具の操作によりベルト張力を適宜調整し、適
性に保持することができ、ベルト走行中の張力低下によ
るベルトのジャンピング、ベルト歯部への応力集中によ
るベルトの破損、振動、騒音等を防止する顕著な効果を
有する。

また、本発明は、軸受部材に歪ゲージが貼着されている
ためベルトに加わる張力値の変化に応じて電動機が正逆
転し、ベルト走行中の張力を一定に保持することができ
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るベルトテンション装置の一例を示
す概要正面図、第２図は同装置に使用する連結棒の正面
図、第３図は従来のベルトテンション装置の概要正面図
である。 （６）……ガイド棒 （７）……孔部 （８）……ブッシュ （10）……ベルト （11）……テンションアーム （12）……テンションプーリ （14）……ブラケット （15）……テンションアーム突出部 （16）……ガイドピン （17）……ガイド用長孔 （18）……突起ピン （20）……長孔 （21）……軸受板 （25A）（25B）……歪ゲージ （31）……荷重計

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】プーリが回転自在に取り付けられたテンシ
   ョンアームは、一端を中心として揺動可能に固定部材に
   固定され、かつ該テンションアームには揺動中心から一
   定の距離を離れた位置にネジを有するガイド棒が揺動可
   能に固定され、このガイド棒は固定部材から片持ち状に
   張り出され中間部に歪みゲージが貼着された軸受部材に
   よって軸方向の力が支えられ、かつガイド棒のネジ部に
   は、中心部分に雌ネジを有する円板状伝動部材の当該雌
   ネジが嵌合しており、さらに該円板状伝動部材には電動
   機に結合された今一つの円板状伝動部材が嵌合してお
   り、歪みゲージの信号と予め設定された信号を比較し、
   その差によって電動機を正逆回転させることを特徴とす
   るベルトテンション装置。
2. 【請求項２】２つの円板状伝動部材がウオームギヤとウ
   オームホイールとの組み合わせである特許請求の範囲第
   １項記載のベルトテンション装置。