JPH0715306B2 - ベルトテンション装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はベルト伝動装置におけるベルトテンション装置
に係り、詳しくは、伝動ベルト走行時におけるベルトの
張力の変化に起因する各種の事故を未然に防止し、ベル
ト駆動中においてもベルトの駆動を停止することなく、
ベルト張力を検知し張力調整を可能ならしめるベルトテ
ンション装置に関するものである。

（従来の技術） ベルト伝動装置、なかでも特に歯付ベルト伝動は噛合伝
動であるため歯付ベルトと歯付プーリとの噛合、即ち、
ベルトのピッチ長さが重要視され、ワイヤーロープ，ガ
ラスロープ，ケブラー（商品名：芳香族ポリアミド）ロ
ープなどのような低伸度，高強力ロープ抗張体として使
用し、張力変化を可及的僅少ならしめていた。

そのためベルトの張力調整としては、特公昭60−55683
号公報で開示されたように自動車エンジンの歯付ベルト
においては、ベルトをエンジンのプーリに組み込む時に
ベルト張力を測定調整して組み込み、ベルト取付後にあ
っては張力の測定調整することは殆ど実施されていない
実状である。

ところで、上記のようなベルトの張力調整は、上記組み
込み時のベルト張力が大きすぎるとベルトの屈曲疲労が
増大し、音が高く、歯底帆布の破損などの問題があり、
また逆に組み込み時のベルト初張力が小さいと、ベルト
走行中に張力が低下したとき、ベルトのジャンピング，
歯部への応力集中，振動の問題が生じて来る。

そして、これらのことはまた歯付プーリ以外のＶベル
ト，平ベルトなどの摩擦伝動ベルトにおいても多かれ、
少なかれ同様で、張力不足によりスリップによる伝動不
足や騒音を起こしたり、更に発熱によりベルト寿命を短
縮するという事態を起こす。

そこで、これらに対する対策が考究され、自動車用エン
ジンのベルト駆動用テンション装置として第４図に図示
する如きフランジ（Pf）のついたテンション（Ｐ）をテ
ンションアーム（２）の略中央に取り付け、アーム
（２）の下端部（2a）を係止棒（３）でエンジン本体
（図示せず）に回転自在に取り付ける一方、長孔（４）
を設けたアーム上部（2b）に上記長孔（４）を貫通して
係止ボルト（Ｖ）が本体に取り付けられ、テンションプ
ーリ（Ｐ）でベルト（Ｂ）背面を押圧し、長孔（４）の
適宜位置でナットで締付固定する方式のベルトテンショ
ン装置が考えられ、その使用が試みられて来た。

しかしながら、このような方式のテンション装置にあっ
ても、その後、使用が進むに従い、更に以下のような問
題が生じて来た。即ち、ベルトの張力が低下してくると
ベルト駆動を停止し、ナット（Ｎ）を緩めて長孔（４）
位置を右方向に移動し、再度ナット（Ｎ）で締付固定す
るという煩わしさである。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は叙上の如き実状に対処し、更に上記ベルトテン
ション装置の改善された構成を見出すことを課題とする
もので、テンションアームと連結棒を歪ゲージ板を介し
て連結し、ベルト張力の変化を歪ゲージの変化で捉え、
歪ゲージと連続せる荷重計で検知すると共に、歪ゲージ
を適正張力に調整可能ならしめることにより走行中の伝
動ベルトを停止することなく、走行中のベルト張力を検
知し、張力調整を可能ならしめ、ベルト走行中の張力低
下によるベルトのジャンピング，歯部への応力集中，振
動，騒音などの問題を解消することを目的とするもので
ある。

（問題点を解決するための手段） しかして、上記目的に適合する本発明の特徴とするとこ
ろは、第１図にその１例を示しているが、テンションプ
ーリを中間に取り付けたテンションアーム下端部をブラ
ケットに回転自在に係着する一方、アーム上部はガイド
用長孔を介してブラケットに設けたガイド棒に沿って揺
動可能にする。

そして、上記テンションアーム上部の突出部先端に突起
ピンを取り付け、これにブッシュ入り孔部を先端に有す
るねじ付連結棒を該ブッシュ入り孔部を介して回転自在
に連結すると共に、中央に歪ゲージを取り付け、荷重計
を接続した歪ゲージ板を、一端をブラケットに固定して
その他端部長孔を前記連結棒の中間に通し、歪ゲージ板
外側に突出した連結棒突出部にナットからなる係止調整
具を移動調整可能に嵌着係止し、連結棒の移動による歪
ゲージの変化を荷重計で検知しベルト張力の変化を上記
連結棒の移動量で調整可能ならしめた構成にある。

（作用） しかして、叙上の如き構成を有する本発明装置は以下の
如き作用を有する。

先ず、当初、所定の荷重が荷重計に表示されているとし
て、この状態でベルト駆動中にベルトのテンションが緩
むと、歪ゲージ板が変化し、これによって金属線の伸縮
が起こり、これに起因して金属線の電気抵抗値が変動
し、この変動が荷重計に表れベルトテンションの低下を
知る。

そこで、歪ゲージ板より突出した連結棒突出部のナット
からなる係止調整具を締付操作し、右へ廻すと、連結棒
が右方向へ動いてテンションプーリ、ベルト、テンショ
ンアーム突出部及び突起ピンはアーム支点となる係止棒
を中心として右へ動き、歪ゲージ板を所定方向に湾曲せ
しめることによりテンションを調整し適正な張力に保持
させる。

一方、ベルトが異常な緊張状態となるときは、上記と反
対に連結棒の係止調整具をゆるめて同様にして適正なベ
ルト張力に戻し、ベルト駆動中にベルト駆動を停止する
ことなくベルト張力を検知し、張力を適宜調整すること
を可能ならしめる。

（実施例） 以下、更に添付図面を参照し、本発明の実施例を説明す
る。

第１図は本発明に係るベルトテンション装置の１例を示
し、図において、（Ｂ）は図示しないが、駆動プーリ，
複数の従動プーリ間に巻掛けられた歯付ベルトであり、
ベルト（Ｂ）の背面にはテンションアーム（２）に取り
付けられたフランジ（Pf）つきのテンションプーリ
（Ｐ）が押圧されて上記ベルト（Ｂ）に張力が付与され
ている。

テンションアーム（２）は逆Ｌ字形の形状を有し、その
略中間部に前記テンションプーリ（Ｐ）を取り付けてお
り、下端部（2a）は係止棒（３）によりエンジン本体の
ブラケット（１）に回転自在に取り付けられている。

一方、テンションアーム（２）上部に（2b）には突出部
（2c）が一体化して形成されると共にブラケット（１）
に固定されたガイド棒（３）′に沿って左右に揺動可能
な如く長孔（４）が設けられており、更に突出部（2c）
の先端には断面円形の突起ピン（５）がアーム（２）方
向に対し直交し、アームと鉤形になるようにして軸方向
に溶接固着されていて、第２図に示す如きブッシュ
（８）入り孔部（７）を先端に有するねじ（6a）付き連
結棒（６）が回転可能に連結されている。

しかして、上記図示構造において、（10）は本発明の要
部をなす歪ゲージ板で、中央に細部（10b）を有して後
述する歪ゲージ（12）（12′）が荷重計（13）に金属線
（14）（14′）で接続されて取り付けられ、下部の基端
部（10c）には角状体（15）が直角方向に一体的に設け
られ、基端部（10c），角状体（15）を貫通するボルト
（16）によってブラケット（１）に締付固定されている
と共に、上部（10a）は前記連結棒（６）の中間部に長
孔（11）を介して連結されていて、その外側における連
結棒（６）の突出部にはナットの如き係止調整具（９）
が嵌着され、係止固定されている。

第３図は上記図示例における歪ゲージ板（10）の詳細を
示し、図より明らかなように歪ゲージ板（10）の中央細
部（10b）表面にはジグザグ状の細い金属線（14）を絶
縁膜で貼付した歪ゲージ（12）が設置され裏面にも図で
は示していないが表面と同様に金属線（14′）を貼付し
た歪ゲージ（12′）が設定されていて、前記金属線（1
4）（14′）は各々下部の荷重計（第１図（13）参照）
と接続されている。

そして、金属線（14）（14′）は通電され、これが歪で
伸縮されることによってその電気抵抗に変化を来たし、
この変化を荷重計（単位はKg）で検知するようになって
いる。

かくして、叙上の如き構成において、テンションプーリ
（Ｐ）でベルト（Ｂ）に張力をかけた時はテンションプ
ーリ（Ｐ）のアーム（２）と連結されている歪ゲージ板
（10）は左方向に僅かに湾曲状に歪んでおり、右側の歪
ゲージ（12）の金属線（14）は伸張され、一方、左側の
歪ゲージ（12′）の金属線（14′）は収縮され両金属線
（14）（14′）は夫々異なった電気抵抗を示し、換算し
た荷重が荷重計（13）に示される。

そして、その後、ベルト駆動中にベルト（Ｂ）のテンシ
ョンが緩むと湾曲した歪ゲージ板（10）が元の位置に戻
って直線状になり、このとき金属線（14）（14′）の電
気抵抗値も夫々変化し、元の抵抗値，更に元の荷重に戻
り、荷重計（13）にその変動が表われ、ベルトテンショ
ンが低下したことが分かる。

かくて、このテンション低下の表示によりナット等の係
止調整具（９）を左方向に締付けて歪ゲージ板（10）を
左方向に湾曲せしめることにより元の適正なベルトテン
ションを得る。

なお、高温時、ベルト本体の膨張と相俟って、ベルト
（Ｂ）が異常な緊張状態となるため、連結棒（６）の係
止調整具（９）を逆に緩めて右方向に移動することによ
り適正なベルト張力を保持することができる。

（発明の効果） 以上の如く、本発明のベルトテンション装置はテンショ
ンプーリを有するテンションアームの下端部を本体ブラ
ケットに回転自在に取り付け、一方、アーム上部にはガ
イド用長孔を設けると共に先端に突起ピンを取り付けた
突出部を形成し、上記突起ピンと、先端にブッシュ入り
孔部を設けた連結棒を歪ゲージ板を介して回転自在に連
結すると共に上記連結棒突出部に係止調整具を嵌着係止
し、連結棒の移動による歪ゲージの伸縮を荷重計で検知
調整する機構であるため、ベルト駆動を停止することな
く、ベルト走行中のままで係止調整具の操作によりベル
ト張力を適宜調整し、適正に保持することができ、ベル
ト走行中の張力低下によるベルトのジャンピング，ベル
ト歯部への応力集中によるベルトの破損，振動，騒音な
どを防止する顕著な効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るベルトテンション装置の１例を示
す概要正面図、第２図は同装置に使用する連結棒の正面
図、第３図は同装置に使用する歪ゲージ板の側面図、第
４図は従来のベルトテンション装置の概要正面図であ
る。 （Ｐ）……テンションプーリ、（Ｂ）……ベルト，
（１）……ブラケット，（２）……テンションアーム，
（2a）……テンションアーム下端部，（2b）……テンシ
ョンアーム上部，（2c）……テンションアーム突出部，
（３′）……ガイド棒，（４）……ガイド用長孔，
（５）……突起ピン，（６）……連結棒，（７）……孔
部，（８）……ブッシュ，（９）……係止調整具，（1
0）……歪ゲージ板，（10a）……歪ゲージ板上部，（1
1）……長孔，（12）（12′）……歪ゲージ，（13）…
…荷重計，（14）（14′）……金属線，

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のプーリ間に伝動ベルトを巻掛け、ベ
   ルト背面にテンションプーリを設置したベルト伝動装置
   において、テンションプーリを中間に取り付けたテンシ
   ョンアームの下端部をブラケットに回転自在に係着する
   一方、該アーム上部をガイド用長孔を介してブラケット
   に設けたガイド棒に沿って揺動可能となし、かつ、上記
   テンションアーム上部の突出部先端に突起ピンを取り付
   け、これにブッシュ入り孔部を先端に有するねじ付連結
   棒を該ブッシュ入り孔部を介して回転自在に連結すると
   共に、中央に歪ゲージを取り付け、荷重計を接続した歪
   ゲージ板を、一端をブラケットに固定してその他端部長
   孔を前記連結棒の中間に通し、歪ゲージ板外側に突出し
   た連結棒突出部にナットからなる係止調整具を移動調整
   可能に嵌着係止し、連結棒の移動による歪ゲージの変化
   を荷重計で検知しベルト張力の変化を上記連結棒の移動
   量で調整可能ならしめたことを特徴とするベルトテンシ
   ョン装置。