JPH078398U - 作業車の安全装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 安全性に欠ける作業車の設置が行われること
を未然に防止する。 【構成】 この安全装置によれば、作業車１０を所定角
度以上前上がりに傾斜した状態で停車させ、ジャッキ１
５を接地作動させようと所定の操作を行ったときは、こ
の操作を検出した操作検出手段からの信号と、車体１１
の傾斜状態を検出した傾斜検出手段からの検出信号とに
よって警報手段２３ｂ，２３ｃが警報作動する。作業者
は、この警報作動により安全性に欠ける車体１１の設置
作業を未然に回避することができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、高所作業車等に取り付けられる安全装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

高所作業車の車体には、作業台を昇降させるブームが取り付けられている。作 業台には作業者が搭乗することができ、この作業者は、ブームの作動を通じて任 意の高所に移動することができる。ところで、このブームを作動させる場合には 、車体の安定を確保しておくことが必要である。このため、車体の前後左右には 、下端部を接地させて車体を支持し、その場所に作業車を固定設置するジャッキ が取り付けられている。

【０００３】 ここで、傾斜地に高所作業車を設置する場合には、車体が前下がりになるよう に停車させるのが望ましいとされている。そして、まず低くなっている前側のジ ャッキのみを先に接地作動させる。この間後輪をパーキングブレーキによってロ ックしておけば、車体が勝手に走り出す心配はない。次に後側のジャッキを適宜 接地作動させる。これにより、傾斜地でも安全に車体を水平に近付けた状態で支 持することができる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、誤って車体が前上がりになるように停車させ、しかも低くなっ ている後側のジャッキを先に接地作動させてしまう場合がある。この場合には、 ブレーキがきいていない前輪が回転して、車体が走り出してしまうおそれがある という問題がある。

【０００５】 本考案はこのような問題に鑑みてなされたものであり、このような安全性に欠 ける作業車の設置が行われることを未然に防止できるようにした作業車の安全装 置を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、本考案の安全装置は、車体が前上がり状態で所 定角度以上傾斜していることを検出する傾斜検出手段と、ジャッキを作動させる ための操作が行われたことを検出する操作検出手段と、傾斜検出手段による検出 がなされた場合において操作検出手段による検出がなされたときに、所定の警報 作動を行う警報手段とから構成される。なお、ジャッキが油圧によって作動する ものにおいては、「ジャッキを作動させるための操作」には、車体に搭載された 油圧ポンプの作動を開始させる操作を含む。

【０００７】

【作用】

このような安全装置によれば、作業車を所定角度以上前上がりに傾斜した状態 で停車させ、ジャッキを接地作動させようと所定の操作を行ったときは、この操 作を検出した操作検出手段からの信号と、車体の傾斜状態を検出した傾斜検出手 段からの検出信号とによって警報手段が警報作動する。作業者は、この警報作動 により安全性に欠ける車体の設置作業を未然に回避することができる。なお、こ こにいう警報作動とは、ブザーによる警報音の発生やランプの点滅等をいう。

【０００８】

【実施例】

以下、本考案の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。まず、 図１には、本考案に係る安全装置を備えた高所作業車１０を示している。この高 所作業車１０の車体１１の後部には、車体１１に対して水平旋回が自在な旋回台 １２が取り付けられている。この旋回台１２の上部には、入れ子式に伸縮自在に 構成されたブーム１３が起伏自在に取り付けられている。このブーム１３の先端 には、作業台１４が水平に取り付けられている。

【０００９】 また、車体１１の前後左右の４箇所には、ジャッキ１５，１５，…が取り付け られている（ただし、図には車体右側のもののみ表れている。）。各ジャッキ１ ５は、車体１１に取り付けれれたアウタポスト１５ａと、このアウタポスト１５ ａ内に入れ子式に挿入され、下方に向かって伸縮が自在なインナポスト１５ｂと 、このインナポスト１５ｂの下端部に取り付けられた接地板１５ｃとから構成さ れている。

【００１０】 ここで、これらジャッキ１５，１５，…，旋回台１２およびブーム１３は、油 圧を利用して駆動される。このため、車体１１の前部には、エンジンＥからその 出力の一部を取り出して油圧ポンプＰを駆動するパワーテイクオフ１８が取り付 けられている。このパワーテイクオフ１８には、パワーテイクオフスイッチ１８ ａが設けられており、このスイッチ１８ａの切換えにより、油圧ポンプＰを作動 させたり停止させたりすることができる。

【００１１】 このように構成された高所作業車１０を用いて作業を行う場合には、まず、作 業車１０を適当な場所（水平な所が望ましい。）に停止させて、パワーテイクオ フスイッチ１８ａをポンプ駆動側に切り換える。そして、車体１１の後部に取り 付けられたジャッキ操作装置１６を操作して、ジャッキ１５のインナポスト１５ ｂを伸長作動させ、接地板１５ｃを接地させる（以下、これをジャッキ１５の張 出しという。）。なお、４本のジャッキ１５，１５，…はそれぞれ独立して伸縮 制御される。次に、作業者（図示せず）は作業台１４に搭乗し、作業台１４に取 り付けられた上部操作装置（図示せず）を操作して旋回台１２やブーム１３を作 動させ、任意の高所に移動する。なお、４本のジャッキ１５，１５，…によって 車体１１が安定に水平支持されているため、広い高所範囲で移動することができ る。

【００１２】 ただし、場所によっては傾斜地に作業車１０を停止させ、各ジャッキ１５の伸 長量を調節して車体１１を水平に近付けた状態で支持しなければならない場合が ある。このような場合に、作業の安全を確保するための安全装置（本考案に係る 安全装置）がこの作業車１０に取り付けられている。

【００１３】 図２に示すように、安全装置２０は、傾斜検出器２１と、ジャッキ操作検出器 ２２と、警報器２３とから構成されている。

【００１４】 傾斜検出器２１は、車体１１に取り付けられており、図３に示すように、車体 １１が前上がり状態で所定角度（例えば、３°）以上傾斜していることを検出し て、検出信号を出力する。

【００１５】 操作検出器２２は、パワーテイクオフ１８に取り付けられており、パワーテイ クオフスイッチ１８ａがポンプ駆動側に切り換えられたとき（即ち、ジャッキ１ ５を作動させるための最初の操作が行われたとき）にこれを検出して、検出信号 を出力する。

【００１６】 警報器２３は、コントローラ２３ａと、ブザー２３ｂと、ランプ２３ｃとから 構成されている。コントローラ２３ａは、傾斜検出器２１からの検出信号と操作 検出器２２からの検出信号の双方が入力されたときに、警報信号を出力する。ブ ザー２３ｂは、この警報信号を受けて警報音を発生する。また、ランプ２３ｃは 上記警報信号を受けて点滅する。

【００１７】 このように構成された安全装置２０によれば、図３に示すように、車体１１を 所定角度を超えた前上がり状態で停止させ、作業者Ｍがパワーテイクオフスイッ チ１８ａをポンプ駆動側に切り換えると、ブザー２３ｂから警報音が発せられる とともに、ランプ２３ｃが点滅する。これにより、作業者Ｍは、このような状態 でのジャッキ１５の張り出しは安全性に欠ける旨を認識する。したがって、例え ば、ブレーキのきいていない前輪を接地させたまま、低くなっている車体後部の ジャッキ１５，１５だけを伸長させて、作業車１０が勝手に走りだしてしまうよ うな危険な事態を未然に防止することができる。

【００１８】 一方、図４に示すように、車体１１が所定角度を超えて傾斜するが、前下がり 状態で停止しているときは、パワーテイクオフスイッチ１８ａをポンプ駆動側に 切り換えても警報音等は発せられない。このような前下がり状態では、パーキン グブレーキによってロックされている後輪を接地させた状態で、まず前部のジャ ッキ１５，１５を伸長させ、次に後部のジャッキ１５を伸長させて車体１１を水 平にすれば、安全に車体１１の支持を行うことができるからである。

【００１９】

【考案の効果】

以上のように本考案の安全装置では、作業車を所定角度以上前上がりに傾斜し た状態で停車させて、ジャッキを接地作動させようと操作を行ったときには、警 報手段による警報作動が行われる。このため、本安全装置を用いれば、このよう な前上がり停止状態においてジャッキが接地作動し、車体が勝手に走行してしま うような事態を未然に阻止し、作業の安全を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る安全装置を備えた高所作業車の側
面図である。

【図２】上記安全装置のブロック図である。

【図３】上記高所作業車の側面図である。

【図４】上記高所作業車の側面図である。

【符号の説明】

１０ 高所作業車 １５ ジャッキ １８ パワーテイクオフ ２０ 安全装置 ２３ 警報器 ２３ｂ ブザー ２３ｃ ランプ Ｐ 油圧ポンプ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体の前後左右に、この車体を地面に対
   して支持するジャッキを備えてなる作業車の安全装置で
   あって、 前記車体が前上がり状態で所定角度以上傾斜しているこ
   とを検出する傾斜検出手段と、 前記ジャッキを作動させるための操作が行われたことを
   検出する操作検出手段と、 前記傾斜検出手段による検出がなされた場合において前
   記操作検出手段による検出がなされたときに、所定の警
   報作動を行う警報手段とから構成されることを特徴とす
   る作業車の安全装置。