JPH078357Y2 - 4輪操舵装置 - Google Patents

4輪操舵装置

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JPH078357Y2
JPH078357Y2 JP1987177872U JP17787287U JPH078357Y2 JP H078357 Y2 JPH078357 Y2 JP H078357Y2 JP 1987177872 U JP1987177872 U JP 1987177872U JP 17787287 U JP17787287 U JP 17787287U JP H078357 Y2 JPH078357 Y2 JP H078357Y2
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oil
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oil passage
pressure chamber
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政義 西森
正紀 谷
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Description

【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この考案は、車両の前輪と共に後輪を操舵する4輪操舵
装置に関する。
(従来の技術及びその問題点) 車両の高速走行時の操安性及び狭い路地等への進入を容
易にする小回り性の向上を図るため、前輪の操舵に加え
後輪の操舵も同時に行う4輪操舵装置が提案されてい
る。この操舵装置としては、前輪の操舵はパワーステア
リング装置等の従来の操舵装置により行い、後輪の操舵
は、左右の後輪ハブないしはトレーリングアームに取り
つけた油圧シリンダないしはパワーシリンダに作動油圧
を供給して行う油圧式のものが知られている。
この油圧式の後輪操舵装置には油圧シリンダに供給する
作動油圧の制御をデジタル信号を用いて電子的に行うも
のが知られており、油圧シリンダへの作動油圧供給経路
途中に電磁切換弁等を配設し、これらを電子制御装置に
より車速センサが検出した車速信号、操舵角センサが検
出した操舵角信号等に応じて制御することにより油圧シ
リンダへの作動油圧を制御している。
電子制御式のものは制御パラメータが多くなっても油圧
経路が複雑になることがなく、きめの細かい制御が出来
る利点があるが、重要保安部品である後輪操舵装置の制
御を全て電子的に行うために、電波障害、断線、ショー
ト等による誤作動の虞があり、信頼性に欠けるという重
要な問題がある。
上述の油圧式のものに代えて純機械式のものも提案され
ている。この機械式の操舵装置は前輪側のステアリング
ギアボックスと後輪側のステアリングギアボックス間を
偏心シャフトやプラネタリアギア等の機構により接続す
るもので、ステアリングホイールの切り角(ハンドル
角)のみによって後輪の操舵角を制御するもので、ステ
アリングホイールの切り角が所定角度までは前輪と後輪
とを同位相で操舵し、切り角が所定角度を超えると逆位
相で操舵されるようになっている。純機械的に後輪を操
舵すると機構が極めて複雑になり、純機械的機構により
後輪の操舵を実現するためには制御パラメータの数が上
述のように制限され、ステアリングホイールの切り角の
外に、車速や操舵力等の複数のパラメータにより後輪舵
角を制御することが困難であるという問題がある。
そこで、制御自由度が高く、且つ、電波障害による誤作
動の心配がなく信頼性の高い全油圧制御式の油圧制御装
置が望まれる。ところで、ハンドル角及び車速に応じて
前後輪の転舵比を決定する所謂車速感応型の4輪操舵装
置に使用されるような油圧制御装置は、低速時には前輪
と逆位相で、且つ、車速の上昇と共に減少する操舵角
で、高速時には前輪と同位相で、且つ、車速の上昇と共
に増加する操舵角で後輪を操舵することが望ましい。
又、運転状態によってはハンドル角と車速とによって決
定される基本的な転舵比特性とは異なる特性で操舵する
ことが望ましい場合があり、上述の操舵制御パラメータ
に加え、別のパラメータによる付加的な転舵比制御が要
請される。
本考案は斯かる要請に鑑みてなされたもので、誤作動に
対する安全性が高く制御自由度が高い4輪操舵装置を提
供することを目的とする。
(問題点を解決するための手段) 上述の目的を達成するために本考案の4輪操舵装置は、
動力油圧源と、該動力油圧源から供給される作動油圧に
応動して後輪を操舵するパワーシリンダと、前記動力油
圧源とパワーシリンダ間に介装され、パワーシリンダへ
の作動油圧の供給を制御する制御弁と、前輪操舵機構に
機械的に連結され前記前輪の操舵量に応じた変位量を出
力する第1制御機構と、駆動手段、車両の走行状態を検
出するセンサ、および該センサの出力に応じて前記駆動
手段の作動を制御するコントローラを有する第2制御機
構と、前記第1制御機構の変位出力部と前記駆動手段の
変位出力部と前記制御弁とを連結し、前記第1制御機構
からの変位と前記駆動手段からの変位とを加算的に前記
制御弁に作用させて前記制御弁を駆動するリンク機構と
を備えてなることを特徴とする。
(作用) 前輪操舵機構に機械的に連結された第1制御機構は、前
輪の操舵量に応じた変位量を出力するので、これにより
前輪の操舵量に対応した後輪操舵の基本特性を得る。ま
た、第2制御機構が車両の走行状態に応じて駆動手段の
作動を制御するので駆動手段の出力により補正制御量を
得ることができる。そして、リンク機構が第1制御機構
からの変位と駆動手段からの変位とを加算的に制御弁に
作用させて該制御弁を駆動するので、第1制御機構の作
動により決定される後輪操舵の基本特性が第2制御機構
からの出力で加算的に補正される。
そして、本願考案装置は、前輪操舵量に対応した基本特
性に対して加算的な補正を行うことができると共に加算
的な補正量を出力する第2制御機構に電子制御が使用さ
れているため、制御自由度が高くなり、また、前輪の操
舵状態に対する後輪操舵の基本特性を設定する第1制御
機構が前輪操舵機構に機械的に連結されているため、第
2制御機構の誤作動に対する安全性を確保することがで
きる。すなわち、第2制御機構による制御量は第1制御
機構により設定される基本特性に対して加算的に補正を
行うものであると同時に第1制御機構は前輪操舵機構に
機械的に連結され高い信頼性を確保することができるこ
とから、電子制御を使用する第2制御機構に誤作動が生
じたとしても、前輪操舵量に対応した基本特性から後輪
操舵量が極端に外れることがなく、誤作動に対する安全
性が高くなる。
(実施例) 以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。
先ず、第1図を参照して、本考案に係る4輪操舵装置
の、後輪を操舵する油圧回路を説明する。尚、第1図に
示す4輪操舵装置には前輪側の操舵装置が省略されてい
る。
後輪1,1はパワーシリンダ2の作動により操舵され、パ
ワーシリンダ2にはオイルポンプ16から吐出され、変位
追従型サーボバルブ(第1の制御弁)4により調圧され
た作動油が供給される。より詳細には、後輪1,1は、例
えばトレーリングアーム式サスペンション装置により車
体に懸架され、左右のトレーリングアーム1aの先端部は
水平方向にのみ屈曲可能な関節を介してサブフレーム
(いずれも図示せず)に接続され、このトレーリングア
ーム1aの各先端部に、パワーシリンダ2のピストン2aか
ら左右に延びるタイロッド2b,2bが接続されている。パ
ワーシリンダ2にはピストン2aにより画成される左圧力
室2c及び右圧力室2dが形成され、各圧力室2c,2dにはバ
ネ2g,2hが縮設されている。左右の圧力室2c,2dに供給さ
れる作動油の差圧に応じてピストン2aが変位すると、タ
イロッド2bによりピストン2aの変位した方向のトレーリ
ングアーム1aが押圧されて後輪1は該変位方向に操舵さ
れる。
変位追従型サーボバルブ4は、バルブ本体40と、このバ
ルブ本体40に摺動自在に嵌装されるスプール41とを備え
て構成され、スプール41の右端面はロッド44を介して後
述するリンク機構60に接続されている(第2図参照)。
サーボバルブ4は4つのポート4a〜4dを有し、ポート4a
にはオイルポンプ16の吐出側に連通する油路22が接続さ
れており、ポート4bにはオイルタンク18に連通する排油
路26に接続されている。サーボバルブ4のポート4cは油
路23を介してパワーシリンダ2の左圧力室2cに、ポート
4dは油路24を介して右圧力室2dに夫々連通している。
サーボバルブ4のバルブ本体40はスプール41の軸方向に
沿って相対移動可能であり、バルブ本体40はアーム3を
介して前述した左側タイロッド2bに係合しており、パワ
ーシリンダ2のピストン2aの変位に応動してアーム3が
支点3aを揺動中心として揺動するとバルブ本体40もピス
トン2aの変位に伴ってピストン2aの変位方向とは逆の方
向に変位することになる。
前記オイルポンプ16はエンジンEにより常時駆動され、
オイルタンク18の作動油をオイルフィルタ18a及び油路2
1を介して汲み揚げ、サーボバルブ4側に吐出する。そ
して、油路22の途中にはオイルタンク18に連通する分岐
油路22aが分岐接続され、分岐油路22aの途中にはリリー
フ弁19が配設されている。このリリーフ弁19はオイルポ
ンプ16から吐出される作動油圧を所定値に規定してい
る。
サーボバルブ4のスプール41は本考案に係るリンク機構
及び加算制御機構を備えた油圧アクチュエータ8により
駆動され、油圧アクチュエータ8に供給される作動油は
油圧制御弁装置(第2の制御弁)7により制御される。
第2図及び第3図は油圧アクチュエータ8、リンク機構
60及び加算制御機構6の詳細を示し、油圧アクチュエー
タ8はピストン8a、シリンダ8b及びピストン8aの両受圧
面を夫々押圧してピストン8aを平衡位置に保持するバネ
8c,8dから構成され、ピストン8aの図示下端面はロッド8
gを介して後述するリンク機構60に接続されている。ピ
ストン8aが摺動自在に嵌装されるシリンダ8bはピストン
8aにより上圧力室8e及び下圧力室8fが画成されている。
リンク機構60のプレート60aは長手の板状をなし、支点
となる下端部にプレート60aの長手方向に長軸を有する
長孔60dが形成されており、この長孔60dに支軸60eが摺
動自在に嵌合され、該支軸60dに後述する加算制御機構
6のロッド68の一端が回動自在に軸支されている。プレ
ート60aの上端部には長軸がプレート60aの長手方向に所
定の角度で傾斜する長孔60bが形成され、この長孔60bに
支軸60cが摺動自在に嵌合され、該支軸60cに前述した油
圧アクチュエータ8のロッド8gの先端が回動自在に軸支
されている。そして、プレート60aの上述の上端部に形
成した長孔60bと下端部に形成した長孔60d間の所定中間
位置にサーボバルブ4のロッド44の先端が回動自在に軸
支されている。
加算制御機構6は前述のロッド68と、これを駆動するモ
ータ61と、モータ61の回転運動を並進運動に変換する歯
車機構67と、モータ61の作動を制御するコントローラ63
とから構成される。加算制御機構6の歯車機構67はボー
ルねじを利用したもので、前記ロッド68の他端部にボー
ルねじのボールが装着されるモール溝67cが形成されて
いる。そして、歯車機構67は、このボール溝67cが形成
されたロッド68と、モータ61の出力軸61aの先端に固設
されるウォーム67aと、一端に該ウォーム67aに噛合する
ウォームホィール67b′が一体に形成されると共に中心
軸に沿って穿設された中心孔にロッド68の、ボール溝67
cを刻設した前記他端を嵌装させ、該中心孔の内周壁に
複数ボール溝が刻設されると共に内部にボールを循環さ
せるボール循環路(いずれも図示せず)が形成されたボ
ールねじ本体67bとから構成されている。
尚、ボールねじ本体67bは回転のみ許容して移動不能に
支持され、ロッド68はボールねじ本体67bの回転に伴っ
て該ボールねじ本体67bの中心孔に沿う方向にのみ出没
可能に支持体68aにより支持されている。又、サーボバ
ルブ4のロッド44はプレート60aの長手方向に直交する
方向にのみ移動可能に支持体44aにより支持されてい
る。
加算制御機構6のコントローラ63の入力側には、例えば
後述するステアリングホィール11に取り付けられ、前輪
の操舵角(操舵量)を検出する操舵角センサ64、車速を
検出する車速センサ65等が接続され、各センサは検出し
た操舵制御パラメータ値信号をコントローラ63に供給す
る。コントローラ63の出力側はモータ61に接続されてお
り、コントローラ63は供給される各種の操舵制御パラメ
ータ値信号に基づきリンク機構60のリンク比を演算し、
該演算値に応じてモータ61を駆動する駆動信号を出力す
る。
油圧制御弁装置7は5つのポート7a〜7eを有し、ポート
7aには油路28が、ポート7bには油路29が接続されてい
る。油圧制御弁装置7のポート7cは油路32を介して油圧
アクチュエータ8の上圧力室8eに連通し、ポート7dは油
路34を介して下圧力室8fに連通している。油圧制御弁装
置7のポート7eは油路30を介してオイルタンク18に連通
している。
第4図は油圧制御弁装置7の構成の一例を示し、バルブ
本体70と、このバルブ本体70に摺動自在に嵌装されたス
プール71と、4つのパイロットチェック弁74〜77及び2
つのチェック弁78,79とで構成される。
スプール71は5つのランド71a〜71eを有し、中央のラン
ド71cを中心に左右略対称形状をなしている。スプール7
1が嵌装されるバルブ本体70の嵌装孔内周壁には、各ラ
ンド71a,71b,71d,70eに対応して環状溝70a,70b,70e,70f
が、ランド71cに対応して2つの環状溝70c及び70dが夫
々形成されている。そして、スプール嵌装孔にはスプー
ル71によって、ランド71aと71b間、ランド71bと71c間、
ランド71cと71d間、ランド71dと71e間に夫々第1乃至第
4の圧力室70A〜70Dが画成され、ランド71aの右端面周
縁と環状溝70aの右側壁とにより絞り部72Aを形成して第
1の圧力室70Aに臨む環状溝70aの開口面積(絞り面積)
を規定している。同様に、ランド71bの左端面周縁と環
状溝70bの左側壁とにより絞り部72Bが、ランド71bの右
端面周縁と環状溝70bの右側壁とにより絞り部72Cが、ラ
ンド71cの左端面周縁と環状溝70cの左側壁により絞り部
72Dが、ランド71cの右端面周縁と環状溝70dの右側壁に
より絞り部72Eが、ランド71dの左端面周縁と環状溝70e
の左側壁により絞り部72Fが、ランド71dの右端面周縁と
環状溝70eの右側壁により絞り部70Gが、ランド71eの左
端面周縁と環状溝70fの左側壁により絞り部72Hが夫々形
成されている。
油圧制御弁装置7のポート7aは油路28aを介して環状溝7
0a及び70cに連通しており、油路28a途中にはチェック弁
78が配設されている。このチェック弁78は環状溝70a及
び70c側からポート7a側に向かう作動油の流れを阻止す
るものである。油圧制御弁装置7のポート7bは油路29a
を介して環状溝70d及び70fに連通しており、油路29a途
中には環状溝70d及び70f側からポート7b側に向かう作動
油の流れを阻止するチェック弁79が配設されている。油
圧制御弁装置7のポート7eは油路30aを介して環状溝70b
及び70eに連通している。
パルブ本体70には、一端が第1の圧力室70Aに臨んで開
口する油路34a、及び一端が第4の圧力室70Dに臨んで開
口する油路34bが形成されており、これらの油路34a,34b
の他端はポート7dを介して油路34に接続されている。各
油路34a及び34bにはパイロットチェック弁74及び77が配
設されている。バルブ本体70には、又、一端が第2の圧
力室70Bに臨んで開口する油路32a、及び一端が第3の圧
力室70Cに臨んで開口する油路32bが形成されており、こ
れらの油路32a,32bの他端はポート7cを介して油路32に
接続されている。各油路32a及び32bにはパイロットチェ
ック弁75及び76が配設されている。パイロットチェック
弁74より第1の圧力室70A側の油路34aには分岐路34a′
が分岐しており、該分岐路34a′はパイロットチェック
弁75に接続され第1の圧力室70Aの作動油圧をパイロッ
ト油圧としてこれをチェック弁75に供給する。同様に、
パイロットチェック弁75より第2の圧力室70B側の油路3
2aには分岐路32a′が分岐しており、該分岐路32a′はパ
イロットチェック弁74に接続され第2の圧力室70Bの作
動油圧をパイロット油圧としてこれをチェック弁74に供
給する。パイロットチェック弁76より第3の圧力室70C
側の油路32bには分岐路32b′が分岐しており、該分岐路
32a′はパイロットチェック弁77に接続され第3の圧力
室70Cの作動油圧をパイロット油圧としてこれをチェッ
ク弁77に供給する。パイロットチェック弁77より第4の
圧力室70D側の油路34bには分岐路34b′が分岐してお
り、該分岐路34b′はパイロットチェック弁76に接続さ
れ第4の圧力室70Dの作動油圧をパイロット油圧として
これをチェック弁76に供給する。
スプール71の右端面(ランド71eの右端面)にはロッド7
3が接続され、このロッド73はステアリングホイール11
の回動に伴いスプール71を軸方向にステアリングホイー
ル11の切り角(ハンドル角)に応じた変位量だけ変位さ
せ、ステアリングホイール11を左に回動させると、スプ
ール71は図示左方向に、右に回動させると図示右方向に
変位する。
油路(オイル吐出油路)28及び29には可変容量双方向吐
出型のオイルポンプ10から作動油が供給される。即ち、
油路28はオイルポンプ10のポート10a側に接続され、油
路29はオイルポンプ10のポート10b側に接続されてい
る。そして、オイルポンプ10のポート10a側は油路28bを
介して油路21に接続され、ポート10b側は油路28cを介し
て油路21に夫々接続されている。油路28b及び28cには夫
々チェック弁28e,28fが配設され、オイルポンプ10から
吐出される作動油がオイルタンク18に逆流することを防
止している。又、油路28及び29の各油路途中にはリリー
フ油路28d及び29bが夫々分岐接続され、これらのリリー
フ油路28d及び29bはオイルタンク18に連通している。そ
して、各リリーフ油路28d及び29bにはリリーフ弁28g及
び29cが夫々配設され、オイルポンプ10から各油路28,29
に吐出される作動圧を所定圧に規定している。
前記オイルポンプ10は遊星歯装置9のキャリア9aに固設
された駆動軸9bに接続され、キャリア9aには遊星歯車
(プラネタアギア)9cが回転自在に軸支されている。こ
の遊星歯車9cはサンギア9dとリングギア9e間に嵌装さ
れ、これらのギア9d,9eに噛合している。サンギア9dを
回転させる駆動軸9d′はトランスミッションの出力軸
(第1図において「T/M」で略示されている)に歯車結
合されて該出力軸により駆動され、リングギア9eを回転
させる駆動軸9e′は電動モータの出力軸(第1図におい
て「M」で略示されている)に歯車結合されて該出力軸
により駆動される。
次に、上述のように構成される油圧回路の作用を説明す
る。
オイルポンプ16は、エンジンEにより駆動されこのエン
ジンEが作動している限り所定の作動油圧を発生させ
る。一方、オイルポンプ10はトランスミッションの出力
軸T/Mと電動モータMの回転差に応じてポート10a及び10
bの何れか一方に作動油圧を発生させる。より具体的に
は、第5図(a)に示すように電動モータMは車速に関
係なく常時一定回転数で回転され、従ってリングギヤ9e
も一定回転数で所定方向に回転している。一方、トラン
スミッションの出力軸T/Mは車速に対応する回転数で回
転され、車両前進時にはサンギア9dはリングギア9eと逆
方向に回転している。今、車両が停止していてリングギ
ア9eだけがモータMにより回転しているとすると、遊星
歯車9cはサンギア9dの外周を自転しながらリングギア9e
と同じ回転方向に公転し、キャリア9a、従って駆動軸9b
をリングギア9eと同じ方向に回転させる。この駆動軸9b
の回転に伴ってオイルポンプ10はオイルタンク18の作動
油をオイルフィルタ18a→油路21→油路28c→チェック弁
28f→ポート10bを介して汲み上げ、ポート10aに吐出量Q
0で吐出させ(第5図(b)参照)、車速Vの増加と共
に第5図(b)に示す実線に沿って作動油の吐出量を、
従って吐出圧を減少させる。
車速Vが上昇して、サンギア9dの回転数が増加し、これ
に伴って遊星歯車9cの公転速度が徐々に低下し、車速V
が所定速度V0に到達した時点で遊星歯車9cの公転速度が
0になり、駆動軸9bの回転が停止し、オイルポンプ10も
駆動されなくなって、ポート10a及び10bの何れにも作動
油が吐出されない。
車速Vが前記所定速度V0を超えて更に上昇すると、遊星
歯車9cはサンギア9dの外周をリングギア9eの回転方向と
は逆の方向に公転し、駆動軸9bは逆転を開始し、オイル
ポンプ10はオイルタンク18の作動油をオイルフィルタ18
a→油路21→油路28b→チェック弁28e→ポート10aを介し
て汲み上げ、ポート10bに作動油を吐出させ、車速Vの
増加と共に第5図(b)に示す破線に沿って作動油の吐
出量を、従って吐出圧を増加させる。
斯して、オイルポンプ10により、車速Vが所定速度V0
り小さいときにはオイル吐出油路である油路28に車速の
上昇と共に吐出量を減少させて、所定速度V0より大きい
ときには油路29に車速の上昇と共に吐出量を増加させて
夫々作動油が吐出される。尚、オイルポンプ10の各ポー
ト10a及び10bから吐出される作動油圧が規定値を超える
とリリーフ弁28g,29cが開成して作動油の一部をオイル
タンク18に還流させ、作動油圧が所定上限値以下に保持
される。又、車両後進時にはモータMを不作動にしてポ
ンプ10の過回転を防止することが望ましい。
次に、油圧制御弁装置7の作動を説明する。尚、油圧制
御弁装置7の作動説明にあたり、理解を容易にするた
め、後述する加算制御機構6により制御するリンク機構
60のリンク比を基準値に保持し、後輪1は基本転舵比特
性に基づいて操舵されるものと仮定して説明する。
先ず、油路29を介して油圧制御弁装置7に作動油圧が供
給される場合から説明する。今、油圧制御弁装置7のス
プール71が中立状態にあるとき、絞り部72E及び72Hの開
口面積は略等しく、又、絞り部72F及び72Gの開口面積も
略等しい。このため、油路29→チェック弁79→油路29a
を介して第3及び第4の各圧力室70C及び70Dには作動油
が略同じ量だけ供給され、同じ量の作動油が油路30a→
油路30を介してオイルタンク18に排出される。従って、
各圧力室70C及び70Dの作動油圧は略等しくなり、圧力室
70Cから油路32b→パイロットチェック弁76→油路32を介
して油圧アクチュエータ8の上圧力室8eに供給される作
動油圧と、圧力室70Dから油路34b→パイロットチェック
弁77→油路34を介して油圧アクチュエータ8の下圧力室
8fに供給される作動油圧とが略等しくなってピストン8a
はバネ8c,8dのバネ力が平衡する位置に保持される。こ
のとき、油圧アクチュエータ8のロッド8gの先端はリン
クプレート60aの上端部の長孔60bの略中央位置(中立位
置)に位置しており、ロッド8gがこの中立状態にあると
きにはサーボバルブ4のスプール41も中立状態にある。
次に、ステアリングホイール11が左に回動され、油圧制
御弁装置7のスプール71が左方向に変位したとすると、
絞り部72Eの開口面積が増加すると共に絞り部72Fの開口
面積が減少する一方、絞り部72Hの開口面積が減少する
と共に絞り部72Gの開口面積が増加する。このため、第
3の圧力室70Cの作動油圧が上昇する一方、第4の圧力
室70Dの作動油圧が低下することになり、第3の圧力室7
0Cの作動油はパイロットチェック弁76を押し開けて油路
32b→油路32を介して油圧アクチュエータ8の上圧力室8
eに流入すると共に、油路32b→油路32b′を介してパイ
ロットチェック弁77に供給されて該チェック弁77を開成
する。パイロットチェック弁77の開成により油圧アクチ
ュエータ8の下圧力室8f内の作動油は油路34→油路34b
→開成されたパイロットチェック弁77→第4の圧力室70
D→油路30a→油路30を介してオイルタンク18に排出さ
れ、油圧アクチュエータ8のピストン8aは下方に移動す
ることになる。
このとき、油圧アクチュエータ8のロッド8gの先端がリ
ンクプレート60aの長孔60bに沿って下方に移動するた
め、リンクプレート60aは下端部の支軸60eを支点として
図示右側に揺動することになり、ロッド44がサーボバル
ブ4のスプール41と共に右動する。又、油圧アクチュエ
ータ8から排出される作動油が油路34→油路34aを介し
て圧力室70Aに流入しようとしてもパイロットチェック
弁74に阻止される。尚、油圧アクチュエータ8のピスト
ン8aの出力中立点からの変位量は油圧制御弁装置7のス
プール71の変位量、即ち、ステアリングホイール11の切
り角(ハンドル角)及び油路29を介して油圧制御弁装置
7に供給される作動油圧の大きさ、即ち、車速Vに応じ
て決定されることになる。
逆に、ステアリングホイール11が右に回動され、油圧制
御弁装置7のスプール71が右方向に変位したとすると、
絞り部72Hの開口面積が増加すると共に絞り部72Gの開口
面積が減少する一方、絞り部72Eの開口面積が減少する
と共に絞り部72Fの開口面積が増加する。このため、第
4の圧力室70Dの作動油圧が上昇する一方、第3の圧力
室70Cの作動油圧が低下することになり、第4の圧力室7
0Dの作動油はパイロットチェック弁77を押し開けて油路
34b→油路34を介して油圧アクチュエータ8の下圧力室8
fに流入すると共に、パイロットチェック弁76を開成す
る。パイロットチェック弁76の開成により油圧アクチュ
エータ8の上圧力室8e内の作動油は油路32→油路32b→
開成状態にあるパイロットチェック弁76→第3の圧力室
70C→油路30a→油路30を介してオイルタンク18に排出さ
れ、油圧アクチュエータ8のピストン8aはステアリング
ホイール11の切り角及び車速Vに応じて上方に移動する
ことになる。このとき、油圧アクチュエータ8のロッド
8gの先端がリンクプレート60aの長孔60bに沿って上方に
移動するため、リンクプレート60aは下端部の支軸60eを
支点として図示左側に揺動することになり、ロッド44が
サーボバルブ4のスプール41と共に左動する。
次に、油路28を介して油圧制御弁装置7に作動油圧が供
給される場合について説明する。今、油圧制御弁装置7
のスプール71が中立状態にあるとき、絞り部72A及び72D
の開口面積は略等しく、又絞り部72B及び72Cの開口面積
も略等しい。このため、油路28→チェック弁78→油路28
aを介して第1及び第2の各圧力室70A及び70Bに供給さ
れる作動油圧は略等しくなり、油圧室70Aから油路34a→
パイロットチェック弁74→油路34を介して油圧アクチュ
エータ8の下圧力室8fに供給される作動油圧と、圧力室
70Bから油路32a→パイロットチェック弁75→油路32を介
して油圧アクチュエータ8の上圧力室8eに供給される作
動油圧とが略等しくなってピストン8aはバネ8c,8dのバ
ネ力が平衡する位置に保持される。
次に、ステアリングホイール11が左に回動され、油圧制
御弁装置7のスプール71が左方向に変位したとすると、
絞り部72Aの開口面積が増加すると共に絞り部72Bの開口
面積が減少する一方、絞り部72Dの開口面積が減少する
と共に絞り部72Cの開口面積が増加する。このため、第
1の圧力室70Aの作動油圧が上昇する一方、第2の圧力
室70Bの作動油圧が低下することになり、第1の圧力室7
0Aの作動油はパイロットチェック弁74を押し開けて油路
34a→油路34を介して油圧アクチュエータ8の下圧力室8
fに流入すると共に、パイロットチェック弁75を開成す
る。パイロットチェック弁75の開成により油圧アクチュ
エータ8の上圧力室8e内の作動油は油路32→油路32a→
パイロットチェック弁75→第2の圧力室70B→油路30a→
油路30を介してオイルタンク18に排出され、油圧アクチ
ュエータ8のピストン8aはステアリングホイール11の切
り角及び車速Vに応じて上方に移動することになる。
一方、ステアリングホイール11が逆に右に回動され、油
圧制御弁装置7のスプール71が右方向に変位したとする
と、絞り部72Dの開口面積が増加すると共に絞り部72Cの
開口面積が減少する一方、絞り部72Aの開口面積が減少
すると共に絞り部72Bの開口面積が増加する。このた
め、第2の圧力室70Bの作動油圧が上昇する一方、第1
の圧力室70Aの作動油圧が低下することになり、第2の
圧力室70Bの作動油はパイロットチェック弁75を押し開
けて油路32a→油路32を介して油圧アクチュエータ8の
上圧力室8eに流入すると共に、パイロットチェック弁74
を開成する。パイロットチェック弁74の開成により油圧
アクチュエータ8の下圧力室8f内の作動油は油路34→油
路34a→開成状態にあるパイロットチェック弁74→第1
の圧力室70A→油路30a→油路30を介してオイルタンク18
に排出され、油圧アクチュエータ8のピストン8aはステ
アリングホイール11の切り角及び車速Vに応じて下方に
移動することになる。
上述のように、油路29から作動油が油圧制御弁装置7に
供給されたとき、スプール71の左動によりポート7cに高
圧の作動油圧が発生して油圧アクチュエータ8のピスト
ン8aは下方に移動したのに対し、油路28から作動油が油
圧制御弁装置7に供給されたとき、スプール71の左動に
よりポート7dに高圧の作動油圧が発生して油圧アクチュ
エータ8のピストン8aは上方に移動することになり、同
じステアリングホイール11の切り角であっても油圧アク
チュエータ8の作動は逆になる。同様に、スプール71の
右動により油圧アクチュエータ8の作動は油路29から油
圧制御弁装置7に作動油が供給される場合と、油路28か
ら供給される場合とでは油圧アクチュエータ8の作動が
逆になっている。
次に、サーボバルブ4及びパワーシリンダ2の作動を説
明する。サーボバルブ4はオイルポンプ16から供給され
る作動油圧をバルブ本体40とスプール41の相対変位量に
応じて調圧し、これをパワーシリンダ2の左右の圧力室
2c,2dに供給するものである。より具体的には、油圧ア
クチュエータ8が中立点位置に保持され、且つ、リンク
機構60の支点60eも正規位置に保持されると、サーボバ
ルブ4のバルブ本体40とスプール41の相対変位量が0と
なって中立状態にあり、ポート4aからポート4cを介して
パワーシリンダ2の左圧力室2cに供給される作動油圧と
ポート4aからポート4dを介して右圧力室2dに供給される
作動油圧が実質的に等しくなり、パワーシリンダ2も中
立状態に保持され、後輪1の操舵角は0、即ち、後輪1
は中立状態に保持される。尚、このとき、オイルタンク
18からオイルポンプ16により汲み上げられた作動油は油
路22→サーボバルブ4のポート4a→ポート4b→油路26を
介してオイルタンク18に循環することになる。
次に、ステアリングホイールの回動により油圧アクチュ
エータ8のピストン8aが上方に移動し、サーボバルブ4
のスプール41がバルブ本体40に対して左方向に変位する
と、ポート4dとポート4b間を作動油が流れ易くなり、パ
ワーシリンダ2の右圧力室2dの油圧が低下する一方、ポ
ート4aとポート4b間乃至はポート4cとポート4b間の作動
油の流れが制限されと共にポート4aとポート4c間を作動
油が流れ易くなり、パワーシリンダ2の左圧力室2cの油
圧が上昇してスプール41とバルブ本体40との相対変位量
に応じた差圧がピストン2aに作用することになり、ピス
トン2aは右動し、タイロッド2bにより右側のトレーリン
グアーム1aを押圧して後輪1を右方向に操舵することに
なる。即ち、油圧アクチュエータ8のピストン8aの上方
移動により後輪1は右に操舵されることになる。
パワーシリンダ2のピストン2aの右動によりタイロッド
2bが右方向に変位するとアーム3が支点3aを中心として
反時計回り方向に揺動しサーボバルブ4のバルブ本体40
をロッド2bとは逆方向、即ち、スプール41が変位した方
向と同じ方向に移動させる。このため、スプール41とバ
ルブ本体40との相対変位量が小さくなり、パワーシリン
ダ2の右圧力室2dと左圧力室2cの圧力差が小さくなる。
そして、ピストン2aは各圧力室2c,2dに縮設されるバネ2
g,2hのバネ力と差圧とが釣り合う位置に移動してその位
置に保持されることになり、ステアリングホイールの回
動保持位置に対応する釣り合い位置にピストン2aが保持
され、後輪1も操舵状態に保持される。
尚、サーボバルブ4が変位追従型であるので、路面状態
や走行状態に応じて路面反力が変化してもこの路面反力
に関係なく後輪操舵角を正確に制御することが出来る。
即ち、路面反力の変化によりタイロッド2bが新たな釣り
合い位置に変位しようとするとこの変位に伴いアーム3
が回動し、タイロッド2bの変位方向と反対方向にバルブ
本体40を移動させ、バルブ本体40とスプール41の相対変
位量をタイロッド2bの変位を補正するように増減させる
ので、タイロッド2bは油圧アクチュエータ8により設定
されたスプール41の移動位置に対応する位置に保持され
ることになる。
次に、油圧アクチュエータ8のピストン8aが中立位置に
戻り、ロッド44の先端も中立位置に戻ると、サーボバル
ブ4のスプール41とバルブ本体40との間に相対変位が生
じてバルブ本体40に対して右動したことになり、上述の
場合とは逆にパワーシリンダ2の右圧力室2dに供給され
る作動油圧が左圧力室2cに供給される作動油圧より大き
くなり、ピストン2aは中立位置に向かって移動すること
になる。このピストン2aの移動によりサーボバルブ4の
バルブ本体40はスプール41の変位に追従するように変位
し、バルブ本体40はスプール41とバルブ本体40の相対変
位量が0になる位置、即ち、元の中立位置に戻り、バル
ブ本体40が中立位置に戻るときにはパワーシリンダ2の
ピストン2a、即ち、後輪1も中立位置に戻っている。
油圧アクチュエータ8のピストン8aが下方に、ロッド44
が右方向に移動してサーボバルブ4のスプール41が右動
し、スプール41がバルブ本体40に対して右方向に変位す
ると、ポート4cとポート4b間を作動油が流れ易くなり、
パワーシリンダ2の左圧力室2cの油圧が低下する一方、
ポート4aとポート4b間乃至はポート4dとポート4b間の作
動油の流れが制限されと共にポート4aとポート4d間を作
動油が流れ易くなり、パワーシリンダ2の右圧力室2dの
油圧が上昇してスプール41とバルブ本体40との相対変位
量に応じた差圧がピストン2aに作用することになり、ピ
ストン2aは左動し、タイロッド2bにより左側のトレーリ
ングアーム1aを押圧して後輪1を左方向に操舵すること
になる。即ち、油圧アクチュエータ8のピストン8aの下
方移動により後輪1は左に操舵されることになる。この
ときのサーボバルブ4のバルブ本体40等の詳細な作動は
上述した油圧アクチュエータ8のピストン8aが上方に移
動する場合の説明から容易に推考できるのでその説明を
省略する。
斯くして、車速Vが前記所定速度V0より小さいとき、作
動油は油路28を介して油圧制御弁装置7に供給され、こ
のとき、ステアリングホイール11が左に回動されると油
圧アクチュエータ8のピストン8aは上方に、サーボバル
ブ4のスプール41は左方に移動し、後輪1は右に操舵さ
れることになる。一方、ステアリングホイール11が右に
回動されると油圧アクチュエータ8のピストン8aは下方
に、サーボバルブ4のスプール41は右方に移動し、後輪
1は左に操舵されることになり、結局、車速Vが前記所
定速度V0より小さいときには後輪1はステアリングホイ
ール11と逆の方向、即ち、前輪と逆位相で操舵されるこ
とになる。そして、油路28を介して油圧制御弁装置7に
供給される作動油圧は車速Vの増加と共に減少するの
で、前輪の操舵角Fθに対する後輪1の操舵角Rθの
比、即ち、転舵比Rθ/Fθは、車速Vに応じて減少する
ことになる。
車速Vが前記所定速度V0と等しいときにはオイルポンプ
10の何れのポート10a,10bからも作動油が吐出されない
ので、ステアリングホイール11が回動され、その切り角
がいかなる値であっても油圧制御弁装置7のポート7c及
び7dに作動油圧が発生せず、油圧アクチュエータ8は出
力中立点位置に保持され、後輪1も中立位置に保持され
る。
車速Vが前記所定速度V0より大きいとき、作動油は油路
29を介して油圧制御弁装置7に供給され、このとき、ス
テアリングホイール11が左に回動されると油圧アクチュ
エータ8のピストン8aは下方に、サーボバルブ4のスプ
ール41は右方に移動し、後輪1は左に操舵されることに
なる。一方、ステアリングホイール11が右に回動される
と油圧アクチュエータ8のピストン8aは上方に、サーボ
バルブ4のスプール41は左方に移動し、後輪1は右に操
舵されることになり、結局、車速Vが前記所定速度V0
り大きいときには後輪1はステアリングホイール11と同
じ方向、即ち、前輪と同位相で操舵されることになる。
そして、油路29を介して油圧制御弁装置7に供給される
作動油圧は車速Vの増加と共に増加するので転舵比Rθ
/Fθは、車速Vに応じて増加することになる。
次に、加算制御機構6及びリンク機構60の作用を説明す
る。この加算制御機構6はリンク機構60の支点位置を移
動させることによりリンク比を変化させ、上述した基本
転舵比特性を変更するものであり、転舵比特性を変化さ
せる操舵制御パラメータとしては種々のものが考えられ
るが、例えば、車速が、操舵時に前輪と後輪が同位相で
操舵される所定値V0以上である場合に、操舵開始時点か
らの経過時間に応じて上述した転舵比特性を変化させる
ものが考えられ、これを例に、第6図の示すフローチャ
ートを参照しながら説明する。
先ず、コントローラ63は、ステップS1において入力され
る車速センサ65からの車速信号に基づき検出した車速V
が前輪と後輪を同位相で操舵すべき所定車速V0以上であ
るか否かを判別し、ステップS2において操舵角センサ64
からの操舵角信号に基づきステアリングホィール11が回
動され操舵が開始されたか否かを判別する。ステップS2
での判別は、例えば操舵角θの絶対値が所定の不感帯上
下限値であるθより大きいか否かにより判別するよう
にしてもよい。
ステップS1及びS2の何れか一方の判別結果が否定(No)
の場合、コントローラ63はモータ61に駆動信号を出力せ
ず、リンク機構60の支点であるリンクプレート60aの下
端部の支軸60eの位置(支点)を正規位置に保持して
(ステップS6)、ステップS1及びS2の判別を繰り返し実
行している。尚、ステップS1及びS2の何れか一方の判別
において否定と判別された時点でリンクプレート60aの
支点60eが正規位置にない場合にはコントローラ63はモ
ータ61を作動させてリンクプレート60aの支点60eを正規
位置に戻した後、その正規位置を保持する。車速Vが前
記所定値V0以下の運転時に操舵された場合にはリンクプ
レート60aの支点60eが正規位置に保持されるために上述
した基本転舵比特性に基づいて操舵されることになる。
ステップS1及びS2の判別結果がいずれも肯定(YES)の
場合、ステアリングの開始時点(ステップS2の判別が否
定から肯定に変化した時点)からの経過時間Tを計時
し、所定時間Tstrが経過したか否かを判別する(ステッ
プS3)。そして、所定時間Tstrが経過していない場合に
は、即ち、ステップS3の判別結果が否定の場合にはモー
タ61を作動させて後輪舵角が減少する方向にリンクプレ
ート60aの支点60eを移動させる。例えば、ステアリング
ホィール11が右に回動された場合、油圧アクチュエータ
8のピストン8aは上方に、サーボバルブ4のスプール41
は左方に移動しようとするが、ロッド68を図示右方向に
移動させる方向にモータ61を駆動し、リンクプレート60
aの支点60eを正規位置より右方向に変位させる。する
と、リンク機構60のリンク比が変化してロッド44の左動
がが阻止され、その左方への移動量が減少することにな
る。コントローラ63はステップS4が繰り返し実行される
毎にモータ61を一定角度宛、即ち、リンクプレート60a
の支点60eを一定量宛右方へ変位させる。
ステップS3の判別において所定時間Tstrが経過したと判
別すると、コントローラ63はステップS5を実行して今度
はモータ61を作動させて後輪舵角が増加する方向にリン
クプレート60aの支点60eを移動させる。例えば、上述の
通りステアリングホィール11が右に回動されたとすれ
ば、所定時間Tstrが経過するまでは後輪舵角が減少する
方向にリンクプレート60aの支点60eを正規位置より右方
向に変位させるが、今度はリンクプレート60aの支点60e
を正規位置方向(左方向)に向かって変位させる。
このように車両が前輪と後輪が同位相で操舵する際に、
操舵の始まりにおいて後輪の舵角を基本転舵比特性で与
えられる値より小さい値に設定することによりヨーイン
グの発生を早め、コーナリング状態に入ると後輪舵角を
増加させることによりステアリング感を高めることがで
きる。斯くして、操舵開始時点からの経過時間を操舵制
御パラメータとして付加的に転舵比特性を変更すること
によりより好適な操舵フィーリングを得ることが出来
る。
加算制御機構6はコントローラ63によりモータ61の作動
制御を電子的に行うものであるが、油圧制御弁装置7に
より車速及びステアリングホィールの操舵角に応じた基
本的な操舵制御を全油圧式で行い、上述の加算制御機構
6により加算的に転舵比特性に補正を加えるものである
から、たとえ加算制御機構6が故障してもシステム全体
が作動不能に陥ることがなく電波障害の影響が少なく信
頼性の高い4輪操舵装置が提供される。
尚、上述の実施例における操舵開始時点からの経過時間
Tstrは車速に応じた値に設定することが望ましい。又、
転舵比特性を付加的に補正するための第2の操舵制御パ
ラメータとしては上述の実施例のパラメータに限定され
ることはない。
(考案の効果) 以上詳述したように本考案の4輪操舵装置は、動力油圧
源と、該動力油圧源から供給される作動油圧に応動して
後輪を操舵するパワーシリンダと、前記動力油圧源とパ
ワーシリンダ間に介装され、パワーシリンダへの作動油
圧の供給を制御する制御弁と、前輪操舵機構に機械的に
連結され前輪の操舵量に応じた変位量を出力する第1制
御機構と、駆動手段、車両の走行状態を検出するセン
サ、および該センサの出力に応じて駆動手段の作動を制
御するコントローラを有する第2制御機構と、第1制御
機構の変位出力部と駆動手段の変位出力部と制御弁とを
連結し、第1制御機構からの変位と駆動手段からの変位
とを加算的に制御弁に作用させて制御弁を駆動するリン
ク機構とを備えて構成したので、第1制御機構により制
御される後輪の操舵特性を第2制御機構により付加的に
補正することができ、制御自由度が高く誤動作に対する
安全性が高いという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案に係る4輪操舵装置の油圧回路図、第2
図及び第3図は第1図に示す油圧アクチュエータ8、リ
ンク機構60及び加算制御機構6の詳細構成を示すブロッ
ク図、第4図は第1図に示す油圧制御弁装置7の詳細油
圧回路図、第5図は第1図に示すオイルポンプ10の作動
特性図、第6図は加算制御機構6による操舵制御手順を
示すフローチャートである。 1……後輪、2……パワーシリンダ、4……サーボバル
ブ(第1の制御弁)、6……加算制御機構、7……油圧
制御弁装(第2の制御弁)、8……油圧アクチュエー
タ、10……オイルポンプ(制御油圧源)、11……ステア
リングホィール、16……オイルポンプ(動力油圧源)、
60……リンク機構、61……モータ、62……歯車機構、63
……コントローラ、64……操舵角センサ、65……車速セ
ンサ、67……歯車機構。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 藤井 啓史 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭60−45266(JP,U) 実開 昭62−38782(JP,U) 実開 昭62−139783(JP,U)

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】動力油圧源と、 該動力油圧源から供給される作動油圧に応動して後輪を
    操舵するパワーシリンダと、 前記動力油圧源とパワーシリンダ間に介装され、パワー
    シリンダへの作動油圧の供給を制御する制御弁と、 前輪操舵機構に機械的に連結され前記前輪の操舵量に応
    じた変位量を出力する第1制御機構と、 駆動手段、車両の走行状態を検出するセンサ、および該
    センサの出力に応じて前記駆動手段の作動を制御するコ
    ントローラを有する第2制御機構と 前記第1制御機構の変位出力部と前記駆動手段の変位出
    力部と前記制御弁とを連結し、前記第1制御機構からの
    変位と前記駆動手段からの変位とを加算的に前記制御弁
    に作用させて前記制御弁を駆動するリンク機構と を備えてなることを特徴とする4輪操舵装置。
JP1987177872U 1987-11-20 1987-11-20 4輪操舵装置 Expired - Lifetime JPH078357Y2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6045266U (ja) * 1983-09-05 1985-03-30 トヨタ自動車株式会社 車両の後輪操舵装置
JPS6238782U (ja) * 1985-08-28 1987-03-07

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