JP2770052B2 - 四輪操舵装置 - Google Patents

四輪操舵装置

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JP2770052B2
JP2770052B2 JP1183510A JP18351089A JP2770052B2 JP 2770052 B2 JP2770052 B2 JP 2770052B2 JP 1183510 A JP1183510 A JP 1183510A JP 18351089 A JP18351089 A JP 18351089A JP 2770052 B2 JP2770052 B2 JP 2770052B2
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寛 吉田
忠夫 田中
政義 西森
裕毅 阿部
周司 池田
広之 増田
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Mitsubishi Automotive Engineering Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、前輪および後輪を操舵する四輪操舵装置の
改良に関する。
(従来の技術) 従来、四輪操舵装置においては、後輪を前輪と同相方
向に操舵することにより車両旋回時の安定性が向上し、
また後輪を前輪とは逆相方向に操舵することにより車両
の旋回半径を縮小できることが知られている。
そして、このような同相操舵および逆相操舵の両方の
機能を有する四輪操舵装置として、例えば、実開昭62−
54882号公報に開示されるものが知られている。
この従来例は、後輪操舵用の油圧アクチュエータへの
油圧の供給を、ステアリングホイールの操舵操作に応動
して作動するロータリバルブにより制御し、小舵角操舵
時に同相操舵を行い大舵角操舵時に逆相操舵を行うよう
にしたものである。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上記従来例のものは、大舵角時の逆相
操舵の特性は好適なものが得られるが、同相操舵の特性
は必ずしも好適なものとはなっていなかった。すなわ
ち、同相操舵の制御においては車両の旋回状況に応じて
後輪の発生するコーナリングフォースを制御する必要が
あり、このような要求を満たすためには車体に作用する
横加速度あるいは操舵力に応じて後輪の舵角を制御する
ことが好ましいことが知られているが、上記従来例はス
テアリングホイールの操舵角に応じて後輪の舵角を制御
するものに過ぎないため、同相操舵の特性は必ずしも好
適なものとは言えなかった。
一方、実開昭62−79669号公報には、操舵力に対応す
るパワーステアリング装置の発生油圧に応じて後輪を前
輪と同相方向に操舵するものが開示されているが、この
従来例には逆相操舵を行うことはできないものとなって
いた。
このため、従来から理想的な逆相操舵特性と、理想的
な同相操舵特性を兼ね備えた四輪操舵装置を簡単な構成
で達成することが望まれている。
(課題を解決するための手段) 本発明は、上記の課題を解決するために創案されたも
ので、前輪操舵用のパワーステアリング装置と、後輪を
操舵するよう設けられた油圧アクチュエータと、同相操
舵用油圧ポンプと、上記同相操舵用油圧ポンプと上記油
圧アクチュエータとの間に設けられ上記パワーステアリ
ング装置の発生油圧をパイロット圧として受けて作動し
上記後輪を上記前輪と同相方向に操舵させる油圧出力を
発生するよう構成された同相制御バルブと、逆相操舵用
油圧ポンプと、上記逆相操舵用油圧ポンプと上記油圧ア
クチュエータとの間に設けられステアリングホイールの
操舵操作に応動して作動し上記ステアリングホイールの
操舵角が所定値以上になると上記後輪を上記前輪とは逆
相方向に操舵させる油圧出力を発生するよう設けられた
逆相制御バルブと、上記同相制御バルブ及び上記逆相制
御バルブと上記油圧アクチュエータとの間に設けられ、
通常時は上記同相制御バルブの油圧出力を上記油圧アク
チュエータに導入し、上記逆相制御バルブの出力をパイ
ロット圧として受けて作動すると上記同相制御バルブの
油圧出力を遮断して上記逆相制御弁の油圧出力を上記油
圧アクチュエータに導入するよう構成された同逆相切換
制御バルブとを有することを特徴とする四輪操舵装置で
ある。
(作用) 本発明によれば、ステアリングホイールの操舵角が所
定値に満たない通常時は、同逆相切換制御バルブが同相
制御バルブの油圧出力を油圧アクチュエータに導入する
ため、パワーステアリング装置の発生油圧をパイロット
圧として受けて作動する同相制御バルブの作用により、
後輪が前輪と同相方向にパワーステアリング装置の発生
油圧(すなわち操舵力)に応じて操舵されるものであ
り、また、ステアリングホイールの操舵角が所定値以上
になると、同相逆相切換制御バルブが逆相制御バルブの
出力をパイロット圧として受けて作動し、同相制御バル
ブの油圧出力を遮断して逆相制御バルブの油圧出力を上
記油圧アクチュエータに導入するため、ステアリングホ
イールの操舵操作に応動する逆相制御バルブの作用によ
り、後輪が前輪とは逆相方向にステアリングホイールの
操舵操作に応じて操舵されるものである。
すなわち、ステアリングホイールの舵角により同相操
舵と逆相操舵が切換えられるが、同相操舵は、操舵力に
応じた制御となり、逆相操舵はステアリングホイールの
操舵操作に応動することとなって、理想的な同相操舵お
よび逆相操舵が達成されるものである。
また、同相操舵用および逆相操舵用にそれぞれ別の油
圧ポンプを使用するため、ポンプの特性の設定からも、
同相操舵および逆相操舵の特性を個別に設定することが
できるものである。
(実施例) 以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説
明する。
第1〜第12図は本発明の一実施例を示すものである。
第1,2図は、この四輪操舵装置の概略構成図である。
左右の前輪1L,1Rは、ナックル2L,2Rに回転自在に支持さ
れている。また、ナックル2L,2Rは、タイロッド3L,3Rを
介してパワーステアリング装置4のピストンロッド5の
左右端に連結されている。ピストンロッド5は、シリン
ダ6を挿通して設けられ、シリンダ6内にシリンダ6内
を左右の圧力室7L,7Rに隔成するピストン8を有してい
る。また、ピストンロッド5はステアリングギヤボック
ス9内のピニオンギヤに噛み合うラックを有している。
ステアリングホイール10からの操舵入力をコラムシャフ
ト11から受ける第1ステアリングシャフト12と、ステア
リングギヤボックス9に連結される第2ステアリングシ
ャフト13との間にはギヤ比可変機構14が介装されてい
る。このため、ステアリングホイール10からの操舵入力
は、ギヤ比可変機構14を介してステアリングギヤボック
ス9に伝達されるものとなっている。また、第2ステア
リングシャフト13と上記ピニオンギヤとの間には自体公
知のパワーステアリング用バルブが設けられており、圧
力室7L,7Rへの油圧の供給を制御するものとなってい
る。なお、パワーステアリング装置4用のオイルポンプ
15は、エンジン16により駆動され、エンジン16の回転数
が所定値以上に達した後はエンジン回転数の上昇と共に
吐出流量が低下する形式のものが使用されている。ここ
で、ギヤ比可変機構14について説明すると、第1ステア
リングシャフト12の下端部には第1ロータ18が設けられ
ており、また第2ステアリングシャフト13の上端部には
第2ロータ20が設けられている。そして、第1ロータ18
の一方の側面には油圧により突没して第2ロータ20の対
向する側面に当接する第1プランジャ22が設けられてお
り、また第2ロータ20の一方の側面には油圧により突没
して第1ロータ18の対向する側面に当接する第2プラン
ジャ23がそれぞれ設けられている。さらに、第1ロータ
18には第1プランジャ22の突出量を調整する油圧室24が
設けられており、同様に第2ロータ20には第2プランジ
ャ23の突出量を調整する油圧室25が設けられている。こ
のため、第1ポート33から油圧室24に圧油が導入されて
第1プランジャ22が突出すると第2ロータ20が第1ロー
タ18に対して第1図中時計回り方向に相対回転し、逆に
第2ポート34から油圧室25に圧油が導入されて第2プラ
ンジャ23が突出すると第2ロータ20が第1ロータ18に対
して第1図中反時計回り方向に相対回転するものとなっ
ている。なお、ギヤ比可変機構14の詳細構造について
は、本願出願人が先に出願した特願平1−31306号明細
書に記載してあるので、これを参照すればより一層理解
が容易になる筈である。
次に、後輪操舵系について説明する。左右の後輪82L,
82Rは、トーコントロール機構付ダブルウイッシュボー
ン式の後輪サスペンションのトレーリングアーム87の後
端に回転支持されている。すなわち、後輪サスペンショ
ンは、クロスメンバ83に、アッパーアーム84およびロワ
アーム85で構成される上下一対のラテラルアームと、ト
ーコントロールアーム86とを設けるとともに、トーコン
トロールアーム86とトレーリングアーム87の前端とを中
間調節で連結する一方、各ラテラルリンク84,85とトレ
ーリングアーム87の後端とボールジョイントにより連結
して構成されている。この中間関節は、回転軸線を鉛直
方向に配置したピン等の枢支軸89を有して構成されてお
り、このため、中間関節点の車幅方向変位によって後輪
82L,82Rの操舵が可能になるものとなっている。
そして、トレーリングアーム87,87の前端が、左右の
タイロッドを介して後輪操舵用の油圧アクチュエータで
あるリヤパワーシリンダ90の左右出力端に連結されてお
り、リヤパワーシリンダ90はクロスメンバ83に固定され
ている。このリヤパワーシリンダ90は、二連式のもの
で、中央に大径なシリンダ室91が形成されると共に両側
に小径なシリンダ室92R,92Lが形成されたシリンダ94内
に、シリンダ室91に応じた径のピストン部95aを中央部
に有すると共にその両側にシリンダ室92R,92Lに応じた
径のピストン部95bが有してなるピストンロッド95がス
ライド自在に設けられて構成されている。そして、ピス
トン部95aで区画される大径なシリンダ室91内に後輪操
舵用の油圧出力を受ける左右の圧力室97L,97Rが形成さ
れると共に、シリンダ室92R,92Lには補助操舵用の油圧
が作用するものとなっており、ピストンロッド95の車幅
方向変位によって後輪82L,82Rが左右に操舵されるもの
となっている。左右の圧力室97L,97Rは油路99L,99Rを介
して同逆相切換制御バルブ35に接続されており、この同
逆相切換制御バルブ35は、同相制御バルブ98、及び逆相
制御バルブ150の油圧出力を選択的に左右の圧力室97L,9
7Rに導入するものとなっている。また、リヤパワーシリ
ンダ90のシリンダ室92R,92Lは油路101L,101Rを介して補
助操舵制御バルブ100に接続されている。なお、各バル
ブ35,98,100,150については後述する。
また、リヤパワーシリンダ90には、後輪を中立位置に
付勢する中立復帰機構53が設けられている。この中立復
帰機構53は、リヤパワーシリンダ90のシリンダ94に連結
されたケーシング54を有しており、このケーシング54内
に、第1スプリング55と第2スプリング56L,56Rとが直
列に配置されて収容されている。第1スプリング55は、
ケーシング54の大径室の両端にそれぞれ当接する左右の
第1リテーナ57L,57R間にプリロードを付与されて介装
されており、第1リテーナ57L,57Rはリヤパワーシリン
ダ90のピストンロッド95を挿通するものとなっている。
第2スプリング56L,56Rは、それぞれ第1リテーナ57Lと
第2リテーナ58Lとの間、及び第1リテーナ57Rと第2リ
テーナ57Rとの間に介装されており、第1スプリング55
よりばね定数の高いものが使用されている。第2リテー
ナ58L,58Rは、それぞれケーシング54の左右の小径室59
L,59Rの端面に当接するものとなっており、ピストンロ
ッド95を挿通するものとなっている。ピストンロッド95
の第2リテーナ58L,58Rの外側に位置する部分には拡径
された左右の支持部60L,60Rが設けられている。
このため、例えばピストンロッド95は左方に変位する
と、支持部60Rにより第2リテーナ58Rが変位するが、第
1スプリング55にはプリロードが付与されていることに
より、初期変位では第1スプリング55は縮まず、第2ス
プリング56Rのみが縮むことになり、この時の作用する
ばね定数は第2スプリング56Rのばね定数K2となる。ま
た、ピストンロッド95が第1スプリング55のプリロード
量(K2・X)に対応したストロークXを越えると、第1
リテーナ57Rも変位することになり、この時の作用する
ばね定数は第1スプリング55のばね定数K1が合成される
ことから、K1・K2/(K1+K2)となり、初期変位の状態
よりも作用するばね定数が小さくなる。すなわち、中立
復帰機構53の上記した特性は第3図に示すようになり、
中立域では中立方向への付勢力が大きいが、ピストンロ
ッド95のストロークが大きくなるとばね定数が減少して
大操舵時の操舵力を軽減するものとなっている。
前述の同相制御バルブ98は、絞り制御型のスプールバ
ブルにて構成されており、両端を左右一対のスプリング
220にて中立付勢され3つのランド部を有するスプール2
21がシリンダ状のケース102内に設けられている。そし
て、ケース102には、圧油が流入する二つの流入ポート2
25L,225Rと、流入ポート225L,225R間に設けられた圧油
を排出するリターンポート224と、流入ポート225L,225R
とリターンポート224との間にそれぞれ設けられた左右
の出力ポート226L,226Rが設けられている。そして、ス
プール221の変位に応じて3つのランド部が、隣合う各
ポート間の連通・絞り量を変化させ、これにより左右の
出力ポート226L,226R間の差圧が制御されるものとなっ
ている。また、ケース102内におけるスプール221の両側
には、スプール221の作動を制御するためのパイロット
圧が導入される左右のパイロット圧室228L,228Rが設け
られており、各パイロット圧室228L,228Rは、それぞれ
パイロット油路103L,103Rを介してパワーステアリング
装置4の左右の圧力室7L,7Rに連通されている。二つの
流入ポート225L,225Rは油路222を介してオイルポンプ10
5の吐出口に接続されており、このオイルポンプ105は、
後輪駆動用のディファレンシャル装置内のリングギヤに
より駆動され、油路223を介してリザーバタンク106内の
オイルを吸入して車速に応じた油量を吐出するものとな
っている。なお、オイルポンプ105の吐出口には図示し
ないリリーフ弁が設けられており、相当な高速域に対応
する所定車速以上では流量が一定になるものとなってい
る。また、リターンポート224は油路229を介してリザー
バタンク106に接続されており、左右の出力ポート226L,
226Rは、油路230L,230R,同逆相切換制御バルブ35,及び9
9L,99Rを介してリヤパワーシリンダ90の左右の圧力室97
L,97Rに接続されている。
上記のような構成を有する同相操舵用の同相制御98
は、パワーステアリング装置4の発生油圧によりスプー
ルの移動量(絞り量)が制御されると共に、車速に応じ
て流入するオイルの流入量が制御されるものとなってい
る。このため、左右の出力ポート226L,226R間(圧力室9
7L,97R間)に発生する差圧は、パワーステアリング装置
4の発生油圧が高い程(操舵力が大きい程)、また車速
が速い程大きくなるこのため、同逆相切換制御バルブ35
が油路230L,230Rと油路99L,99Rとをそれぞれ連通してい
る時に、リヤパワーシリンダ90が発生する同相操舵方向
の力は、この差圧に応じて増大するものとなる。
続いて、前述の逆相制御バルブ150について説明す
る。逆相制御バルブ150は、ロータリ式のバルブにより
構成され、ステアリングギヤボックス9の下部に設けら
れており、その詳細が第4〜6図に示されている。
第4図において、ステアリングギヤボックス9は、前
述の第2ステアリングシャフト13に連結されたトーショ
ンバー151の下端にピン結合された第3ステアリングシ
ャフト152と、第3ステアリングシャフト152の外周に設
けられたピニオンギヤ153と、前述のピストンロッド5
に形成されると共にピニオンギヤ153に噛み合って配置
されたラックギヤ154とが、ケーシング155内に収容され
て構成されている。なお、パワーステアリング装置4用
の図示しない制御バルブは、前述の第2ステアリングシ
ャフト13と第3ステアリングシャフト152との間に設け
られるものとなっている。
逆相制御バルブ150のバルブケース156は、内部に円筒
状の空間を形成するものとなっており、ステアリングギ
ヤボックス9のケーシング155の下方に位置してこのケ
ーシング155の下部に締結部材157により固定されてい
る。バルブケース156の側壁部には、第5図に示すよう
に入力ポート158と、左右の出力ポート159L,159Rが穿設
されており、また、バルブケース156の上壁部にはリタ
ーンポート160が穿設されている。また、バルブケース1
56の内側壁部には円環状に形成されたアウタバルブ161
が油密に挿入されており、各ポート158,159L,159Rに対
応する位置に穿設された連通孔を有するものとなってい
る。アウタバルブ161の内周側には円環状に形成された
インナバルブ162が回転自在に挿入されており、その外
周側に畝状に突出した2条の環状突起163,164が形成さ
れ、この環状突起163,164がアウタバルブ161の内周面に
摺接するものとなっている。そして、インナバルブ162
はアウタバルブ161と協同して環状突起163,164間に高圧
室165を隔成すると共に、環状突起163の上側および環状
突起164の下側に、低圧室166,167を隔成するものとなっ
ている。そして、入力ポート158は第6図に示すよう
に、常に環状突起163,164間に開口して高圧室165に連通
するものとなっている。また、環状突起163,164は、第
6図に示すように、平坦部163a,164aと、急勾配の一対
の第1傾斜部163b,164bと、この第1傾斜部より緩勾配
の一対の第2傾斜部163c,164cとをそれぞれ有してイン
ナバルブ162の周方向に対して屈折して形成されてお
り、左右の出力ポート159L,159Rに対向して位置するも
のとなっている。このため、左右の出力ポート159L,159
Rの高圧室165と低圧室166,167とに対する連通割合は、
インナバルブ162の回転変位に応じて変化するものとな
っている。なお、環状突起163,164は、出力ポート159L,
159Rに対して対称に作用するものとなっており、出力ポ
ート159L,159Rの周方向距離に応じた長さ分だけ位相を
ずらせて同様の形状に形成されている。前述のリターン
ポート160は、インナバルブ162の内方に開口するものと
なっており、インナバルブ162の上下両端周縁部に形成
された切欠状のリターン通路169,170を介して両低圧室1
66,167に連通するものとなっている。
一方、インナバルブ162の内周部には、リングギヤ171
が刻設されており、リングギヤ171に噛み合うギヤ部172
が外周に形成された中空状の入力シャフト173が、バル
ブケース156に油密に且つ回転自在に装着されている。
入力シャフト173の内周部にはキー溝175が設けられてお
り、前述のトーションバー151の下部に延設された延長
部176にキー177を介して連結されている。このため、入
力シャフト173は、ステアリングホイール10の回転と共
に回転変位するものとなっており、入力シャフト173の
回転がギヤ部172およびリングギヤ171により減速されて
インナバルブ162に伝達され、インナバルブ162がステア
リングホイール10の回転と共に回転するものとなってい
る。なお、この場合、入力シャフト173に対するインナ
バルブ162の減速比は、ステアリングホイール10を中立
位置からフル操舵した場合のインナバルブ162の回転が1
80°より小さくなるように設定されており、最大操舵時
に左右の出力ポート159L,159Rが第6図に示す環状突起1
63,164の大屈曲部163d,164dに達しない範囲で近接する
ように設定されている。
また、高圧室165に連通する入力ポート158は、油路18
0を介して前記のオイルポンプ15と共にエンジン16によ
り駆動される定流量型のオイルポンプ143の吐出口に接
続されている。このオイルポンプ143の吐出流量特性は
第7図に示すようなものとなっており、入力ポート158
に一定流量のオイルを供給できるようになっている。ま
た、リターンポート160は、後述の補助操舵制御バルブ1
00に油路144を介して接続され、リターンされるオイル
を補助操舵制御バルブ100に供給するものとなってい
る。また、左右の出力ポート159L,159Rは、油路181L,18
1R,同逆相制御バルブ35,及び99L,99Rを介してリヤパワ
ーシリンダ90の左右の圧力室97L,97Rにそれぞれ接続さ
れている。
上記のような構成を有する逆相操舵用の逆相制御バル
ブ150は、ステアリングホイール10の舵角が少ない中立
領域では、インナバルブ162の変位が少なく第6図に示
すように左右の出力ポート159L,159Rが環状突起163,164
の平坦部163a,164aに対向しているので、高圧室165と低
圧室166,167とが、左右の出力ポート159L,159Rを介して
均等に連通される。このため、入力ポート158から高圧
室165に導入されるオイルは、左右の出力ポート159L,15
9Rを介して低圧室166,167へ流れ、ほぼ全量がリターン
通路169,170を介してインナバルブ162の内方に流入し
て、リターンポート160から油路144を経て補助操舵制御
バルブ100に供給されることになる。
一方、ステアリングホイール10が大きく操舵されて、
左右の出力ポート159L,159Rが環状突起163,164の第1傾
斜部163b,164bに対向する領域までインナバルブ162が変
位すると、舵角の増大(インナバルブ162の変位)に応
じて、一方の出力ポートでは高圧室165に連通する割合
が大きくなり、また他方の出力ポートは低圧室166ある
いは167に連通する割合が大きくなることになる。この
ため、左右の出力ポート159L,159R間に作用する差圧が
舵角の増大に応じて増大することになる。また、ステア
リングホイール10が更に大きく操舵されて左右の出力ポ
ート159L,159Rが環状突起163,164の第2傾斜部163c,164
cに対向する領域までインナバルブ162が変位すると、第
2傾斜部163c,164cは第1傾斜部163b,164bより緩勾配で
あることから、舵角の増大に応じて増大に対する上記差
圧の上昇割合は低下する。
このため、ステアリングホイール10の操舵角に対する
逆相制御バルブ150の出力特性は、第8図に示すような
傾向を示すものとなっている。
そして、同逆相切換制御バルブ35が油路181L,181Rと
油路99L,99Rとをそれぞれ連通している時に、リヤパワ
ーシリンダ90が発生する逆相操舵方向の力は、この差圧
に応じて増大するものとなる。
また、上記した第8図に示すような特性は、前述の中
立復帰機構53のばね定数可変特性に合わせた逆相制御バ
ルブ150の出力特性を設定することにより、効率よく後
輪が逆相操舵されるようにしたものである。
次に、同逆相切換制御バルブ35について説明する。同
逆相制御バルブ35は、同相制御バルブ98及び逆相制御バ
ルブ150と、リヤパワーシリンダ90との間に設けられ、
リヤパワーシリンダ98の左右の圧力室97L,97Rに接続さ
れた油路99L,99Rと、同相制御バルブ98の左右の出力ポ
ート226L,226Rに接続された油路230L,230R、及び逆相制
御バルブ150の左右の出力ポート159L,159Rに接続された
油路181L,181Rとの連通を選択的に切り換えるように構
成されている。
同逆相切換制御バルブ35は、スプールバルブにて構成
されており、両端を左右一対のスプリング36にて中立付
勢されたスプール37がシリンダ状のケース38内に設けら
れている。そして、ケース38には、各油路230L,230R,18
1L,181R,99L,99Rにそれぞれ接続される独立したポート4
4L,44R,45L,45R,46L,46Rが設けられている。スプール37
は、3つのランド部37L,37C,37Rを有し、各ランド部を
挟んで4つの油室41L,40L,40R,41Rを、ケース38との間
に形成するものとなっている。さらに、ケース38内にお
けるスプール37の両側には、スプール37の作動を制御す
るためのパイロット圧が導入される左右のパイロット圧
室42L,42Rが設けられており、各パイロット圧室42L,42R
は、それぞれパイロット油路43L,43Rを介して油路181L,
181Rに接続され、逆相制御バルブ150の左右の出力ポー
ト159L,159Rに連通されている。
このため、スプール37は逆相制御バルブ150の油圧出
力によりスライド変位するものとなっており、スプール
37の中立時には第1図に示すように油路230L,230Rが油
室40L,40Rを介して油路99L,99Rに連通するものとなって
いる。したがって、スプール37の中立時には同相制御バ
ルブ98の油圧出力がリヤパワーシリンダ98の左右の圧力
室97L,97Rに作用するものとなっている。なお、このと
き油路181L,181Rはスプール37のランド部37L,37Rにより
遮断されるものとなっている。
また、逆相制御バルブ150の左右の出力ポート159L,15
9R間に差圧出力が発生すると、パイロット圧室42L,42R
間にこの差圧が導入され、スプール37がスライド変位す
る。この場合、中立付勢用のスプリング36は比較的ばね
定数の小さいものが使用されており、逆相制御バルブ15
0から出力される差圧が比較的小さなものであっても、
スプール37がフルストロークするものとなっている。そ
して、例えば、逆相制御バルブ150の出力ポート159R側
に高圧が発生したとすると、パイロット油路43Rを経て
パイロット圧室42Rに導入される高油圧によりスプール3
7が第1図中左方に変位し、油路181Rを油室41Rを介して
油路99Rと連通する一方、油路181Lと油路99Lとが油室40
Lを介して連通する。また、このとき油路230Lと230Rと
は油室40Rを介して連通される。
このように、同逆相切換制御バルブ35は、逆相制御バ
ルブ150に油圧出力が発生しない状態では、同相制御バ
ルブ98の油圧出力をリヤパワーシリンダ90の圧力室97L,
97Rに導入し、逆相制御バルブ150に油圧出力が発生する
と切換作動して逆相制御バルブ150の油圧出力をリヤパ
ワーシリンダ90の圧力室97L,97Rに導入するものとなっ
ている。
前述した補助操舵制御バルブ100は、第1図に示すよ
うに、パワーステアリング装置4の出力圧を受けて作動
するピストン110と、ピストン110の変位により体積変化
を生じる一対の出力圧室111L,111R間の連通絞り量を制
御する絞り制御弁112と、出力圧室111L,111Rに発生する
油圧をパイロット圧として受けて作動するメインスプー
ル113とを有するものとなっている。
ピストン110は、第1図に示すようにカップ状に形成
された左右のピストン部材の底部を突き合わせた形で一
体に構成され、バルブケース116に形成されたシリンダ
部に挿入されている。また、ピストン110は央部が小径
で端部に段付の大径部が形成されるものとなっており、
この左右の大径部間には一対のカラーを介して中立スプ
リング119が組み込まれるものとなっている。ピストン1
10の両端部外周とバルブケース116の両端部内周との間
には、円筒状に形成された左右一対のアダプタ120L,120
Rがバルブケース116と一体に組み込まれ、ピストン110
はアダプタ120L,120R対してスライド自在に配置される
ものとなっている。更にケーシング116の左右外端から
内方に向かって突出する左右一対のプラグ部121L,121R
の内端側がピストン110の内部に挿入されており、ピス
トン110はプラグ部121L,121R対してもスライド自在に配
置されるものとなっている。そして、プラグ部121L,121
Rは、ピストン110と協動して左右一対の受圧室122L,122
Rを隔成すると共に、ピストン110の左右端部及びアダプ
タ120L,120Rの内周と協動して左右一対の出力圧室111L,
111Rを隔成している。更に、プラグ部121L,121Rには、
受圧室122L,122Rにそれぞれ連通する左右の入力ポートF
L,FRが穿設されている。そして、これらの入力ポートF
L,FRは、第1図に示すように油路125L,125Rを介してパ
ワーステアリング装置の左右の圧力室7L,7Rに連通接続
されている。このため、ピストン110は受圧室122L,122R
に導入されるパイロット圧に応じてスライド変位し、こ
れに伴い出力圧室111L,111Rには互に相反する体積変化
が生じるものとなっている。
出力圧室111L,111Rと絞り制御弁112に設けられる左右
の油室129L,129Rとはアダプタ120L,120Rの外端部に形成
された切欠部およびバルブケース116に穿設された油路1
28L,128Rを介して連通されている。そして、絞り制御弁
112は左右の油室129L,129R間の連通絞り状態を制御し
て、出力圧室111L,111R間の絞り量を制御するものとな
っており、ディファレンシャル装置により駆動され車速
の上昇と共に吐出流量が上昇するオイルポンプ105側か
ら得られる油圧によって作動し、車速に応じて絞り量が
変化するものとなっている。この絞り制御弁112は、油
室129L,129R間に於ける車速感応スプール130とバルブケ
ース16との間の絞り部190におけるオーバラップ量を制
御することにより、油室129L,129R間の絞り量が調整さ
れるものとなっている。すなわち、スプリング49により
第1図中右方に付勢されてスライド自在に配置された車
速感応スプール130の両側には、油室173P,173Rが設けら
れており、これらの油室173P,173Rに連通してバルブケ
ース116に穿設されたポートPV,RVに、油路51,52を介し
てオイルポンプ105の吐出油路に介装した絞り50の上流
圧VPと下流圧VRとがそれぞれ導入されるものとなってい
る。このため車速感応スプール130は上流圧VPと下流圧V
Rとの差圧により作動することになり、車速の増大に伴
い上昇する差圧(VP−VR)応じて車速感応スプール130
がスプリング49の付勢力に抗してスライド変位すること
により、車速の上昇に対して絞り部190の長さが減少し
て絞り量が減少するものとなっている。
メインバルブ113は、スプールバルブ式の4ポート絞
り切換弁として構成され、バルブケース116に形成され
たシリンダ部内に3つのランド部を有するメインスプー
ル132がバルブ本体として設けられ、メインスプール132
は軸心方向にスライド自在に配置されている。バルブケ
ース116と、メインスプール132の両端との間には一対の
スプリング134L,134Rが介装されており、メインスプー
ル132を中立位置に付勢している。これらのスプリング1
34L,134Rは、メインスプール132の両端部とバルブケー
ス116とにより協動して隔成された左右のパイロット圧
導入室135L,135R内に収容されており、パイロット圧導
入室135L,135Rは、バルブケース116に穿設された油路13
6L,136Rを介して、前述した左右の出力圧室111L,111Rに
連通されている。なお、この場合パイロット圧導入室13
5L,135Rと出力圧室111L,111Rとの連通は、絞り制御弁11
2の油室129L,129Rを介して行うものとなっているが、直
接連通させるものとしてもよい。
メインスプール132の外周面には、3つのランドの間
に位置する環状の溝部で構成された2つの室137L,137R
が並設されている。またシリンダ部の内周面には、室13
7L,137Rの境界部分に位置して、環状の溝部で構成され
た3つの室138〜140が設けられている。そのうちの室13
7L,137Rはそれぞれバルブケース116に穿設された油路を
介してバルブケース116外面に穿設した左右の出力ポー
トA,Bに連通している。そして、これら出力ポートA,B
は、それぞれ油路101R,101Lを介してリヤパワーシリン
ダ90のシリンダ室92R,92Lに接続されている。また、室1
39は流入ポートPに連通しており、この流入ポートP
は、油路144を介して前記の逆相制御バルブ150のリター
ンポート160に接続されている。このため、逆相制御バ
ルブ150が中立状態にある時に、オイルポンプ143から吐
出されるオイルのほぼ全量が供給されるものとなってい
る。また、残る室138,140は、リターンポートRに連通
している。そして、リターンポートRは油路145により
上記のリザーバタンク106に接続されている。
なお、、逆止弁148L,148Rは左右の出力圧室111L,111R
が異常な負圧状態になると開弁してリザーバタンク106
側から必要量の作動油を出力圧室111L,111Rに供給する
ための安全装置である。
ここで、補助操舵制御バルブ100の作動を簡単に説明
すると、ピストン110は、受圧室122L,122Rにパイロット
圧として導入されるパワーステアリング装置発生油圧に
応じてスライド変位して、これにより出力圧室111L,111
R間に体積変化が生じる。そして、出力圧室111L,111R間
は絞り制御弁112を介して連通されていることによりピ
ストン110の変位速度が速い場合には出力圧室111L,111R
間に大きな差圧が生じるが、ピストン110の変位速度が
遅い場合には出力圧室111L,111R間に生じる差圧は小さ
くなる。このようにしてピストン110の変位速度に応じ
た油圧が差圧としてメインバルブ113のパイロット圧導
入室135L,135Rに導入されたメインスプール132がこの差
圧に応じて変位し、メインスプール132の変位に応じた
油圧が出力ポートA,Bから出力されることになる。すな
わち、コントロールバルブ100から出力される油圧は、
メインスプール132の相対変位が大きい程大きくなるも
のであり、ピストン110の変位速度に影響するパワース
テアリング油圧の変動率が大きいほど、またピストン11
0の変位抵抗となる絞り制御弁121の絞り量(絞り部190
の長さ)は車速の上昇と共に小さくなるため車速が低い
ほど、出力される油圧は大きくなる。そして、補助操舵
制御バルブ100から出力される油圧は、リヤパワーシリ
ンダ90のシリンダ室92R,92Lに供給され、後輪を前輪と
は逆相方向に操舵させる力として作用する。なお、絞り
制御弁112はパワーステアリング油圧の微分要素として
作用するものであるため、前輪操舵時であっても保舵状
態のようなパワーステアリング油圧の変動がなくなる状
態ではスプリング119によってピストン110が中立位置に
戻り、メインスプール132も中立位置に復帰し発生油圧
はなくなる。このため、コントロールバルブ100からの
油圧出力は近似的にステアリングホイールの操舵速度に
応じて制御されるものとなる。
リヤパワーシリンダ90は、同逆相切換制御バルブ35か
ら圧力室97L,97Rに作用する後輪操舵力と、補助操舵制
御バルブ100からシリンダ室92R,92Lに作用する逆相方向
への補助操舵力との合成力によって、その作動方向およ
び作動量が制御されるものとなっており、換言すれば二
つの対向入力の合成値に応じて後輪を操舵変位させるも
のとなっている。
また、補助操舵制御バルブ100の出力ポートに接続さ
れた油路101R,101Lの中途部には前述したギヤ比可変機
構14の第1ポート33および第2ポート34が油路141A,141
Bを介してそれぞれ連通されており、補助操舵制御バル
ブ100からの出力油圧が前輪の舵角を切り増しする方向
にギヤ比可変機構14にも作用するものとなっている。こ
のため、補助操舵制御バルブ100は後輪の逆相方向への
補助操舵と前輪の進相操舵(切り増し)とを統合して制
御するものとなっている。
続いて、上記のような構成を有する四輪操舵装置の作
用について説明する。
先ず、車両がある程度高速で走行している場合につい
て説明する。
直進走行状態からステアリングホイール10を右方向に
操舵した場合、パワーステアリングバルブから出力され
る油圧は、シリンダ6の右側の圧力室7Rに作用し、前輪
の右操舵をパワーアシストする。この状態でシリンダ6
の右側の圧力室7Rは高圧状態に、また左側の圧力室7Lは
低圧状態になっており、この左右の圧力室7L,7Rの圧力
状態がそれぞれ油路103L,103Rおよび125L,125Rを介し
て、同相制御バルブ98および補助操舵制御バルブ100に
パイロット圧として導入される。
この時、車両はある程度高速で走行しているため、ス
テアリングホイール10が大きく操舵されることはなく、
逆相制御バルブ150の左右の出力ポート159L,159Rには差
圧が発生しない。このため、同逆相切換制御バルブ35は
中立状態に保たれると共に、オイルポンプ143から逆相
制御バルブ150に流入するオイルのほぼ全量がリターン
ポート160から流出し、油路144を経て補助操舵制御バル
ブ100に供給される。
同相制御バルブ98においては、パイロット圧室228Rが
高圧、パイロット圧室228Lが低圧になり、スプール221
がパワーステアリング油圧に応じて図中左方に変位す
る。このため、スプールの変位とオイルポンプ105から
供給される油量に応じて発生する油圧は、出力ポート22
6Lが高圧、出力ポート226Rが低圧となって、それぞれ油
路230L,230Rを介して同逆相制御バルブ35に供給され
る。このとき、前述したように同逆相制御バルブ35は中
立状態に保たれているので、同相制御バルブ98において
発生した油圧は、そのまま油路99L,99Rを介してリヤパ
ワーシリンダ90の左右の圧力室97L,97Rに作用し、圧力
室97Lが高圧、圧力室97Rが低圧となる。これによって、
リヤパワーシリンダ90のピストンロッドには、左側の圧
力室97Lから後輪を右方向(同相方向)に操舵させる油
圧が作用することになり、この油圧力は車速とパワース
テアリング発生油圧に応じたものとなる。
一方、補助操舵制御バルブ100においては、油路125L,
125Rを介してポートFL,FRから導入されるパワーステア
リング発生油圧により、受圧室122Rが高圧、受圧室122L
が低圧となり、ピストン110がパワーステアリング油圧
に応じて図中左方に変位する。このピストン110の変位
速度はパワーステアリング油圧の変化速度に対応したも
のとなるが、ピストン110の両端に位置してピストン110
の変位に伴い体積変化を発生する出力圧室111L,111Rが
絞り制御弁112を介して連通され、この絞り制御弁112が
出力圧室111L,111Rの体積変化に対する抵抗として作用
するので、出力圧室111Lが高圧、出力圧室111Rが低圧と
なり、両出力圧室間に差圧が生じることになる。そし
て、出力圧室111L,111Rの体積変化により発生する圧力
変化はピストン110の変位速度が速いほど(パワーステ
アリング油圧の変化率が大きいほど)または絞り量が大
きい(絞り部190の長さが長い)ほど(車速が低いほ
ど)大きいものとなる。そして、この圧力変化により生
じる出力圧室111L,111Rの差圧に応じてメインスプール1
32が図中右方に変位し、逆相制御バルブ150を経てオイ
ルポンプ143から供給される油量は一定であるので、主
としてメインスプール132の変位量のみに応じた油圧が
発生し、出力ポートAが高圧、出力ポートBが低圧とな
って、それぞれ油路101R,101Lを介してリヤパワーシリ
ンダ90のシリンダ室92R,9Lに作用することになる。これ
によって、リヤパワーシリンダ90のピストンロッドは、
右側のシリンダ室92Rから後輪を左方向(逆相方向)に
操舵させる油圧が作用することになり、この油圧力は車
速が低い程またパワーステアリング油圧の変化率が大き
い程大きなものとなる。なお、コントロールバルブ100
における入力パイロット圧と発生油圧の関係は第9図に
示すようになる。
そして、リヤパワーシリンダ90においては、圧力室97
Lに作用する後輪を右方向(同相方向)に操舵させる油
圧と、シリンダ室92Rに作用する後輪を左方向(逆相方
向)に操舵させる油圧とが対向してピストンロッドに作
用することになり、両者の合成力によってピストンロッ
ドの作動が制御されることになる。すなわち、パワース
テアリング油圧に対応して発生する同相操舵力と、パワ
ーステアリング油圧の変化率に対応して発生する逆相操
舵力の関係は、第10図に示すようになり、両操舵力が合
成されることによって第11図のような特性の後輪舵角が
発生するものとなっている。つまり、中立状態からステ
アリングホイールを操舵操作する場合のようにパワース
テアリング油圧が上昇する場合には、パワーステアリン
グ油圧と共に増大する同相方向の後輪舵角が、パワース
テアリング油圧の変化率に応じて減少されることにな
り、実質的には、前輪の操舵初期に後輪が一瞬逆相方向
に操舵された後、同相方向に操舵される現象が発生す
る。また、車速が高いほど、同相操舵力が増大し逆相操
舵力が低下するので、操舵初期の逆相操舵量が少なくな
るとともに同相方向への操舵角が増大する。車速が低い
場合は、逆に同相操舵力が低下し逆相操舵力が増大する
ので、操舵初期の逆相操舵量が大きくなるとともに同相
方向への操舵角が減少する。
また、ステアリングホイールが保舵状態にある場合の
ようにパワーステアリング油圧に変化が発生しない場合
には、補助操舵制御バルブ100からの油圧出力はなくな
るので、パワーステアリング油圧に応じた同相方向の後
輪舵角が得られることになる。
さらに、ステアリングホイールを操舵状態から中立方
向に戻す場合のようにパワーステアリング油圧が減少す
る場合は、補助操舵制御バルブ100からの油圧出力が逆
転するので、パワーステアリング油圧と共に減少する同
相方向の後輪舵角が、パワーステアリング油圧の変化率
に応じて増加されることになる。
ところで、補助操舵制御バルブ100から出力される油
圧は、上記のようにリヤパワーシリンダ90に作用して後
輪舵角を逆相方向に補正するほか、油路141A,141Bを介
してギヤ比可変機構14にも作用する。ステアリングホイ
ール10の右操舵時に補助操舵制御バルブ100の出力ポー
トAに発生する高油圧は、油路141Aを介して第1ポート
33に導入され、第1ロータ18の油圧室24に供給される。
一方ロータ20の油圧室25は、油路141Bを介して補助操舵
制御バルブ100の出力ポートBに連通されているため、
低圧状態となる。そして油圧室24に供給される油圧によ
って第1プランジャ22が突出し、第1ロータ18と第2ロ
ータ20との間に相対変位が発生し、油圧室25が低圧状態
にある第2プランジャ23は没入する。この状態は、ステ
アリングホイール入力により右回転している第1ステア
リングシャフト12に対して、第2ステアリングシャフト
13が更に右回転させられることになり、第2ステアリン
グシャフト13はステアリングホイール10の舵角以上に回
転することとなる。これによって、等価的なステアリン
グギヤ比が変化し、パワーステアリング油圧の変化率に
応じて前輪の舵角を増加させる進相制御が達成される。
なお、補助操舵制御バルブ100の油圧出力は、パワース
テアリング油圧が変化する時のみに発生するので、第12
図に示すように上記の進相制御はステアリングホイール
を切り込む時に発生し、保舵状態になるとこの進相制御
は停止される。また、ステアリングホイールを操舵状態
から中立方向に戻す場合のようにパワーステアリング油
圧が減少する場合は、補助操舵制御バルブ100からの油
圧出力が逆転するので、前輪の舵角は、パワーステアリ
ング油圧の変化率に応じて減少されることになる。
このように、車速がある程度高い時には、第11,12図
に示すような後輪及び前輪の舵角特性が得られるので、
車両のヨー応答と横加速度応答とを共に向上させること
ができ、操舵応答性と操舵安定性を高い次元で両立でき
るものとなる。
次に、車速が低い場合について説明すると、車速が低
い場合には、オイルポンプ105の吐出するオイルの流量
は少ないので、パワーステアリング装置4の発生油圧が
高い時でも、同相制御バルブ98は、大きな同相操舵用の
油圧出力を発生しなくなる。一方、補助操舵制御バルブ
100の油圧出力は、前述した車速がある程度高い場合に
比べて大きくなるので、急操舵時の逆相操舵量及び進相
操舵量が増大して車両の旋回性が向上する。
また、車速が低い場合には、ステアリングホイール10
を大きく操舵することがあるが、ここで大操舵時の作用
を右操舵時を例に取って説明する。ステアリングホイー
ル10が大きく右に操舵され、逆相制御バルブ150の左右
の出力ポート159L,159Rが環状突起163,164の第1傾斜部
163b,164bに対向するようになると、右出力ポート159R
では高圧室165に連通する割合が大きくなり、また左出
力ポート159Lでは高圧室167に連通する割合が大きくな
る。このため、右出力ポート159Rが高圧、左出力ポート
159Lが低圧となり、この圧力状態が、それぞれ油路181
R,181L及び油路43R,43Lを介して同逆相切換制御バルブ3
5に作用する。このため、同逆相切換制御バルブ35のパ
イロット圧室42Rが高圧になると共に42Lが低圧となり、
スプール37が図中左方に変位し、油路181Rから供給され
る高油圧が油路99Rを介してリヤパワーシリンダ90の圧
力室97Rに作用することになる。一方、リヤパワーシリ
ンダ90の圧力室97Lは、油路99L,同逆相切換制御バルブ3
5,油路181Lを経て左出力ポート159L(低圧)に連通され
ることになる。このため、リヤパワーシリンダ90は逆相
制御バルブ150の油圧出力に応じた油圧が、後輪を左方
向(逆相方向)に操舵させる方向に作用して、後輪が逆
相方向に操舵されることになる。なお、このとき同相制
御バルブ98の左右の出力ポート226L,226Rは同逆相切換
制御バルブ35内で連通されるため、同相制御バルブ98の
油圧出力がリヤパワーシリンダ90に作用することはな
く、また、逆相制御バルブ150から補助操舵制御バルブ1
00へ供給されるオイル量が大幅に減少するので、補助操
舵制御バルブ100による逆相操舵および進相操舵も殆ど
発生しなくなる。
そして、逆相制御バルブ150の油圧出力はステアリン
グホイールの舵角の増大に応じて増大するため、これに
応じて後輪の逆相操舵量が増大することになり、車両の
旋回半径が縮小され小回り性が向上する。
上記実施例による四輪操舵装置によれば、車速がある
程度高い時には、実質的に操舵力に対応したパワーステ
アリング油圧に応じて制御される同相制御に対応して、
実質的に操舵速度に対応するパワーステアリング油圧変
動率に応じて後輪舵角を減少させると共に前輪舵角を増
加させるので、車両のヨー応答と横加速度応答とを共に
向上させることができ、操舵応答性と操舵安定性を高い
次元で両立できる効果を奏する。また、同時に旋回過渡
時の重心スリップ角を0がゼロに近づき、旋回フィーリ
ングが向上する効果を奏する。
また、ステアリングホイールの大舵角時には、ステア
リングホイールの舵角に応じて後輪が逆相操舵されるの
で、車両の旋回半径が効率良く縮小され小回り性も向上
される効果も奏する。
特に、上記四輪操舵装置は、理想的な同相操舵および
逆相操舵、更には前輪の進相操舵を全油圧制御により達
成するので、信頼性および耐久性に優れる利点もある。
また、逆相制御バルブ150の油圧出力のステアリング
ホイールの舵角に対する特性は、中立復帰機構53のばね
定数特性に合わせて、大舵角時に舵角の増大に対する油
圧出力の上昇率が低減されるものとなっているので、中
立復帰機構53のばね定数が切り換わっても後輪の舵角特
性が急変することがなく、比較的小さな油圧出力により
効率良くしかも適切に後輪を大きく逆相に操舵すること
ができる利点がある。
更に、逆相制御バルブ150は、ステアリングギヤボッ
クスの下方に配置され、しかもインナバルブ162の内方
をリターン通路とし、リターンポート160をバルブケー
ス150の上面に形成しているため、通常のステアリング
ギヤボックスを若干改修するだけで、逆相制御バルブ15
0の取付けが可能となり、逆相制御バルブ150自体も薄型
で小型になり、しかもリターンオイルによりギヤ部172
およびリングギヤ171の潤滑を行うことができる。この
ため、逆相制御バルブ150が、小型で且つ簡素な構造で
しかも取付けが容易で安価なものとなる効果を奏する。
また、補助操舵制御バルブ100は逆相制御バルブ150の
下流側に設けられ、逆相制御バルブ150から流出するオ
イルを利用して油圧出力を発生するものとしているの
で、不都合を発生させることなく、使用するポンプ数の
増加を効率よく抑制することができ、装置全体が簡素な
ものとなる利点がある。
加えて、補助操舵制御バルブ100は、パワーステアリ
ング発生油圧の変化速度と、車速に対応した油圧とに応
じてメインバルブにて発生する油圧を制御することがで
きるので、2つのパイロット圧に対して微分制御と逆比
例制御(あるいは比例制御)とを組み合わせて複雑かつ
高度な油圧制御を実現できる効果を奏する。
なお、本発明は上記実施例に何ら限定されるものでは
なく、例えば、補助操舵制御バルブ100による制御系を
廃止してもよく、本発明の構成を逸脱しない範囲内で種
々の変形実施が可能であることは言うまでもない。
(発明の効果) 以上、実施例とともに具体的に説明したように、本発
明によれば、ステアリングホイールの舵角により同相操
舵と逆相操舵が切り換えられ、同相操舵は操舵力に対応
するパワーステアリング油圧に応じて制御されると共
に、逆相操舵はステアリングホイールの操舵操作に応動
するものとなり、理想的な同相操舵および逆相操舵が全
油圧制御により達成され、安全性および信頼性にすぐれ
る四輪操舵装置を比較的簡単な構成により提供する効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す概略構成図、第2図は
同油圧回路図、第3図は中立復帰機構53の特性図、第4
図は逆相制御バルブ150の縦断面図、第5図は第4図の
V−V矢視図、第6図はインナバルブ162の展開図、第
7図はオイルポンプ143の流量特性図、第8図は逆相制
御バルブ150の出力特性図、第9図は補助操舵制御バル
ブ100における入力パイロット圧と出力油圧の関係を示
す説明図、第10図はリヤパワーシリンダ90に供給される
同相操舵力と逆相操舵力の特性を示す説明図、第11図は
後輪の舵角特性図、第12図は前輪の舵角特性図である。 4……パワーステアリング装置 10……ステアリングホイール 14……ギヤ比可変機構 35……同逆相切換制御バルブ 90……リヤパワーシリンダ 98……同相制御バルブ 100……補助操舵制御バルブ 150……逆相制御バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 裕毅 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 池田 周司 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 増田 広之 愛知県岡崎市橋目町字中新切1番地 三 菱自動車エンジニアリング株式会社岡崎 事業所内 審査官 山内 康明 (56)参考文献 特開 平1−101269(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B62D 7/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前輪操舵用のパワーステアリング装置と、
    後輪を操舵するよう設けられた油圧アクチュエータと、
    同相操舵用油圧ポンプと、上記同相操舵用油圧ポンプと
    上記油圧アクチュエータとの間に設けられた上記パワー
    ステアリング装置の発生油圧をパイロット圧として受け
    て作動し上記後輪を上記前輪と同相方向に操舵させる油
    圧出力を発生するよう構成された同相制御バルブと、逆
    相操舵用油圧ポンプと、上記逆相操舵用油圧ポンプと上
    記油圧アクチュエータとの間に設けられステアリングホ
    イールの操舵操作に応動して作動し上記ステアリングホ
    イールの操舵角が所定値以上になると上記後輪を上記前
    輪とは逆相方向に操舵させる油圧出力を発生するよう設
    けられた逆相制御バルブと、上記同相制御バルブ及び上
    記逆相制御バルブと上記油圧アクチュエータとの間に設
    けられ、通常時は上記同相制御バルブの油圧出力を上記
    油圧アクチュエータに導入し、上記逆相制御バルブの出
    力をパイロット圧として受けて作動すると上記同相制御
    バルブの油圧出力を遮断して上記逆相制御弁の油圧出力
    を上記油圧アクチュエータに導入するよう構成された同
    逆相切換制御バルブとを有することを特徴とする四輪操
    舵装置
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