JPH0781751A - ボディセンタリング治具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、ボディ移載時の位置決め精
度の向上を図ることが可能であり、かつボディを正しい
位置に載せ直す作業が不要であって、作業性を向上させ
ることが可能なボディセンタリング治具を提供すること
にある。 【構成】 本発明に係るボディセンタリング治具１で
は、スラットコンベア３に前後一対のセンタリング治具
本体４，５を設け、これらセンタリング治具本体４，５
に位置決め方向へ回転可能なキャスタ８，９，２９，３
０のローラ１６，１７，３５，３６を取付け、該ローラ
１６，１７，３５，３６にボディフロア４６のトンネル
部４７の左右両側壁４７ａ，４７ｂをそれぞれ当接させ
ることによって、スラットコンベア３に設けた前後のボ
ディ受け台２４，３９にボディ２を位置決めした状態で
設置するように構成している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両のボディ艤装組立
ラインにおいて使用されるボディセンタリング治具に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、車両のボディ艤装組立ラインの
最先端は、スラットコンベアが設置されたトリム（内
装）工程となっており、塗装されたボディはスラットコ
ンベアのボディ受け部の上に移載される。すなわち、こ
のボディをスラットコンベアのボディ受け部上に載せる
ときには、その途中で該ボディを一時サイドリフタ（昇
降装置）にて仮受けする。次いで、サイドリフタをスラ
ットコンベアと同期させ、さらに当該サイドリフタを下
降させることにより、スラットコンベアのボディ受け部
の上にボディを降ろしている。また、別の方法として
は、艤装組立ラインを一時停止させておいてから、ボデ
ィ受け部にボディを降ろすことも可能である。

【０００３】ところで、トリム工程に搬送されるボディ
は、スラットコンベアのボディ受け部に正しい位置で載
せる必要がある。このようなボディが正確な位置からズ
レた状態でトリム工程に搬送されて来て、そのままスラ
ットコンベアのボディ受け部に載せられてしまうと、次
のような問題が生じる。すなわち、ボディの下から作業
する場合に、ボディ受け部が邪魔になって、作業者がボ
ディを載せ直す必要性が出てくる。また、ボディが正し
い位置でボディ受け部に載っていないと、移載時におい
て当該ボディがボディ受け部から落下するおそれがあ
る。

【０００４】そこで、従来の艤装組立ラインにおいて
は、図１１に示すようなボディセンタリング装置５１を
用いて、ボディフロア５２ａ下面の対称位置（例えばサ
イドシル５３など）を押え込んでボディ５２の位置決め
を行っている。このため、ボディセンタリング装置５１
は、ボディ５２を載せるボディ受け台５４と、ボディ５
２のサイドシル５３を矢印方向へ押圧する押え部材５５
とを備えており、ボディ受け台５４はスラットコンベア
５６の上部に矢印方向へ移動可能な状態で取付けられて
いる。

【０００５】また、上記したボディを正しく位置決めす
る別の方法としては、フロア下部の形状を画像処理シス
テムを用いて位置ズレを判断し、そのズレ量を外部の力
によって補正した後に、当該ボディをボディ受け台上に
降ろすことが行われている。なお、通常は何も手を加え
ずにボディをそのままボディ受け台に降ろす方法が採ら
れている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のボディセンタリング装置５１等にあっては、ボ
ディの位置調整を行うための構造が複雑であるので、製
作コストが掛かりすぎて設備費が嵩むとともに、メンテ
ナンスが必要になるという不具合を有していた。また、
同期移載の場合はスラットコンベアがチェーン駆動であ
るため、サージング（動揺）によって同期ズレを生じや
すく、ボディ移載時の位置決め精度を高めることができ
なかった。一方、艤装組立ラインを止めてボディの移載
を行うと、止めた時間分の稼動率が低下して、生産性の
向上が図れなくなるという不都合を有していた。

【０００７】本発明はこのような実状に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、ボディ移載時の位置決め精
度の向上を図ることが可能であり、かつボディを正しい
位置に載せ直す作業が不要であって、作業性を向上させ
ることが可能なボディセンタリング治具を提供すること
にある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記従来技術の有する課
題を解決するために、本発明においては、搬送手段に前
後一対のセンタリング治具本体を設け、これらセンタリ
ング治具本体に位置決め方向へ回転可能なローラを取付
け、該ローラにボディの前後部をそれぞれ当接させるこ
とによって、前記搬送手段のボディ受け部に前記ボディ
を位置決めした状態で設置するように構成している。

【０００９】

【作用】本発明に係るボディセンタリング治具では、搬
送手段に前後一対のセンタリング治具本体を設け、これ
らセンタリング治具本体に位置決め方向へ回転可能なロ
ーラを取付け、該ローラにボディの前後部をそれぞれ当
接させているため、ボディが正しい位置からズレていて
も、当該ボディがローラを介して前後部の外側形状に沿
って自重で移動し、ボディ受け部に載った時にはボディ
が自然に位置決めされることになる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細
に説明する。

【００１１】図１〜図１０は、本発明に係るボディセン
タリング治具の一実施例を示している。図において、１
は四輪車を構成するボディ２の車巾方向の位置決めを行
うボディセンタリング治具であり、このボディセンタリ
ング治具１は搬送手段のスラットコンベア３が設置され
たトリム工程に配設されている。トリム工程はボディ艤
装組立ラインの最先端に位置し、該トリム工程には塗装
されたボディ２が搬送されるように設定されており、搬
送されたボディ２はさらにスラットコンベア３にて次工
程に搬出されるようになっている。

【００１２】上記ボディセンタリング治具１は、前後一
対のセンタリング治具本体４，５を備えており、これら
センタリング治具本体４，５は、図１に示すように、ボ
ディ２の前後部２ａ，２ｂとほぼ対応させた間隔でスラ
ットコンベア３上に立設されている。フロントセンタリ
ング治具本体４は、図１〜図４に示す如く、下端部がス
ラットコンベア３にボルト締めされる支柱６と、この支
柱６の上端部に固着される支持プレート７とをそれぞれ
有している。そして、支持プレート７には、左右一対の
キャスタ８，９およびフロント位置決め治具１０，１１
が取付けられている。

【００１３】左右一対のキャスタ８，９は、台車などに
使用されるもので、後述のローラを上向きにしながらフ
ロントセンタリング治具本体４の巾方向の中心線（ボデ
ィ２の巾方向の中心線に相当）Ｃを間に置いて横並びに
配置されており、支持プレート７の上面にボルト１２お
よびナット１３で締付け固定される支台１４，１５と、
該支台１４，１５に軸支されるローラ１６，１７とから
それぞれ構成されている。これらローラ１６，１７は、
水平軸１８，１９を中心にしてボディ２の巾方向（位置
決め方向）へ回転可能に取付けられている。なお、キャ
スタ８，９は、ボディ２を載せるためのものではなく、
一時的に荷重を受ける程度なので市販品レベルの物を使
用することが可能である。

【００１４】上記フロント位置決め治具１０，１１は、
キャスタ８，９に対して車体前方側の位置であって、支
持プレート７の左右両側に配置されるようになってお
り、支持プレート７にボルト締めされる治具台２０，２
１と、該治具台２０，２１にボルト締めされる位置決め
用ブロック２２，２３とからそれぞれ構成されている。
これら位置決め用ブロック２２，２３の後面部は、ボデ
ィ２の後方側（キャスタ８，９側）に向かって下方へ傾
斜する傾斜面２２ａ，２３ａとなっており、該傾斜面２
２ａ，２３ａにボディ前部２ａを当接させることによっ
てボディ前方側の位置決めを行うようにしている。

【００１５】また、上記フロントセンタリング治具本体
４の後方位置には、ボディ前部２ａを支持するフロント
側ボディ受け台２４が配設されている。このフロント側
ボディ受け台２４は、下端部がスラットコンベア３のボ
ルト締めされる支柱２５と、この支柱２５の上端部に取
付けられる受け体２６とをそれぞれ有している。しかし
て、受け体２６の高さ位置は、支持するボディ前部２ａ
と対応してキャスタ８，９やフロント位置決め治具１
０，１１よりも低くなるように設定されている。

【００１６】一方、上記リヤセンタリング治具本体５
は、図５および図６に示す如く、下端部がスラットコン
ベア３にボルト締めされる支柱２７と、この支柱２７の
上端部に固着される支持プレート２８とをそれぞれ有し
ている。そして、支持プレート２８には、左右一対のキ
ャスタ２９，３０が取付けられている。左右一対のキャ
スタ２９，３０は、後述のローラを上向きにしながらリ
ヤセンタリング治具本体５の巾方向の中心線（ボディ２
の巾方向の中心線に相当）Ｃを間に置いて横並びに配置
されており、支持プレート２８の上面にボルト３１およ
びナット３２で締付け固定される支台３３，３４と、該
支台３３，３４に軸支されるローラ３５，３６とからそ
れぞれ構成されている。これらローラ３５，３６は、水
平軸３７，３８を中心にしてボディ２の巾方向（位置決
め方向）へ回転可能に取付けられている。

【００１７】また、上記リヤセンタリング治具本体５の
後方位置には、ボディ後部２ｂを支持するリヤ側ボディ
受け台３９が配設されている。このリヤ側ボディ受け台
３９は、図７〜図９に示す如く、下端部がスラットコン
ベア３のボルト締めされる支柱４０と、この支柱４０の
上端部に取付けられる支持プレート４１とをそれぞれ有
している。そして、支持プレート４１には、受け体４２
およびリヤ位置決め治具４３が取付けられており、受け
体４２の高さ位置は、支持するボディ後部２ｂと対応し
てキャスタ２９，３０やリヤ位置決め治具４３よりも低
くなるように設定されている。

【００１８】上記リヤ位置決め治具４３は、受け体４２
に対して車体後方側の位置に配置されるようになってお
り、支持プレート４１に固定される治具台４４と、該治
具台４４にボルト締めされる位置決め用ブロック４５と
から構成されている。位置決め用ブロック４５の前面部
は、ボディ２の前方側（受け体４２側）に向かって下方
へ傾斜する傾斜面４５ａとなっており、該傾斜面４５ａ
にボディ後部２ｂを当接させることによってボディ後方
側の位置決めを行うようにしている。

【００１９】一般に、四輪車のボディ２の場合、ボディ
フロア４６の巾方向の中心線Ｃ上には、凸形のトンネル
部４７が車体前後方向に沿って設けられており、このト
ンネル部４７の左右両側壁４７ａ，４７ｂは下方に向か
って開口部が広がるようなテーパ面に形成されている。
しかして、トンネル部４７の左右両側壁４７ａ，４７ｂ
は、ボディ２をボディ受け台２４，３９上に降ろす際に
当該ボディ２の位置がズレていると、キャスタ８，９，
２９，３０のローラ１６，１７，３５，３６に当接する
ようになっている。

【００２０】ところで、通常人手による艤装組立ライン
の場合、搭載補助装置や移載時の位置ズレによるボディ
２の落下を防ぐには、そのズレ量が±１０ｍｍ程度に納
まっていればよいとされている。このため、ボディ２と
スラットコンベア３の巾方向の中心位置が一致するよう
に移載された場合において、キャスタ８，９，２９，３
０のローラ１６，１７，３５，３６とボディフロア４６
のトンネル部４７との間は上記ズレ許容量に見合った隙
間となるようにそれぞれの寸法関係が設定されている。

【００２１】このように構成されたボディセンタリング
治具１を使用し、艤装組立ラインにおいてボディ２をス
ラットコンベア３のボディ受け台２４，３９上に移載す
るには、まず塗装されたボディ２をサイドリフタなど
（図示せず）で保持し、トリム工程まで搬送する。次い
で、当該サイドリフタを下降させて前後のボディ受け台
２４，３９上にボディ２を降ろす。この時にボディ２が
正しい位置からズレていると、ボディフロア４６に設け
たトンネル部４７の左右両側壁４７ａ，４７ｂがキャス
タ８，９，２９，３０のローラ１６，１７，３５，３６
のいずれかに当接する。

【００２２】したがって、これらローラ１６，１７，３
５，３６のうち、トンネル部４７の左右両側壁４７ａ，
４７ｂに押し付けられたローラ１６などはボディ２の巾
方向へ回転する。これに伴ってボディ２は、図１０の矢
印に示すように、ローラ１６などを介してトンネル部４
７内にズレ落ちるように移動し、ボディ受け台２４，３
９上に載った時には巾方向の中心線Ｃ上に位置決めされ
ることになる（図２および図５参照）。また、ボディ２
の長さ方向の位置決めは、ボディ前後部２ａ，２ｂをフ
ロント位置決め治具１０，１１の位置決め用ブロック２
２，２３やリヤ位置決め治具４３の位置決め用ブロック
４５の傾斜面２２ａ，２３ａ，４５ａに当接させること
によって、行われることになる（図１参照）。

【００２３】本実施例においては、ボディ２をボディ受
け台２４，３９上に移載する時に、ボディ２の自重を利
用するとともに、トンネル部４７の左右両側壁４７ａ，
４７ｂを利用して、そのテーパ面を前後のセンタリング
治具本体４，５におけるキャスタ８，９，２９，３０の
ローラ１６，１７，３５，３６に当接させるため、当該
ボディ２がローラ１６などを介して自然に巾方向へ移動
することになり、特別の補助装置などを用いることな
く、ボディ受け台２４，３９に載った時にはボディ２を
巾方向の中心線Ｃ上に常時位置決めすることができる。
しかも、上記キャスタ８，９，２９，３０は、市販品レ
ベルの物を使用することが可能であるため、本実施例の
ボディセンタリング治具１を安価に製作できる。

【００２４】以上、本発明の一実施例につき述べたが、
本発明は既述の実施例に限定されるものではなく、本発
明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能
である。

【００２５】例えば、既述の実施例においては、ボディ
センタリング治具１をボディ２の巾方向の位置決めに用
いたが、当該ボディセンタリング治具１によってボディ
２の長さ方向の位置決めも行うことができる。また、本
実施例ではキャスタ８，９，２９，３０をスラットコン
ベア３に取付けたが、サイドリフタなど他の搬送手段に
も取付けることができる。

【００２６】

【発明の効果】上述の如く、本発明に係るボディセンタ
リング治具は、搬送手段に前後一対のセンタリング治具
本体を設け、これらセンタリング治具本体に位置決め方
向へ回転可能なローラを取付け、該ローラにボディの前
後部をそれぞれ当接させることによって、前記搬送手段
のボディ受け部に前記ボディを位置決めした状態で設置
するように構成したので、ボディ移載時に当該ボディが
自然に位置決めされて位置ズレが解消され、作業者がボ
ディを正しい位置に載せ直す必要がなくなる上、位置ズ
レによるボディの落下を防ぐことができ、ボディ移載時
の位置決め精度と作業性の向上を図ることができる。ま
た、本発明のボディセンタリング治具は、構造が簡単
で、かつ一度取付けてしまえば以後そのメンテナンスが
不要であるとともに、これを駆動させる原動機を使用し
ないで済むので、製作コストが安価であって、光熱費も
掛からず、設備費を低減させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るボディセンタリング治
具を用いてボディをボディ受け台に移載する状態を示す
概念図である。

【図２】上記ボディセンタリング治具を構成するフロン
トセンタリング治具本体を示す正面図である。

【図３】上記フロントセンタリング治具本体を示す平面
図である。

【図４】上記フロントセンタリング治具本体を示す側面
図である。

【図５】上記ボディセンタリング治具を構成するリヤセ
ンタリング治具本体を示す正面図である。

【図６】上記リヤセンタリング治具本体を示す側面図で
ある。

【図７】リヤ側ボディ受け台およびリヤ位置決め治具を
示す正面図である。

【図８】上記リヤ側ボディ受け台およびリヤ位置決め治
具を示す平面図である。

【図９】上記リヤ側ボディ受け台およびリヤ位置決め治
具を示す左側側面図である。

【図１０】図１において矢印Ａ方向から見た正面図であ
る。

【図１１】従来のボディセンタリング装置を用いてボデ
ィをボディ受け台に移載する状態を示す概念図である。

【符号の説明】

１ ボディセンタリング治具 ２ ボディ ２ａ ボディ前部 ２ｂ ボディ後部 ３ スラットコンベア ４ フロントセンタリング治具本体 ５ リヤセンタリング治具本体 ６ 支柱 ７ 支持プレート ８，９ キャスタ １０，１１ フロント位置決め治具 １２ ボルト １３ ナット １４，１５ 支台 １６，１７ ローラ １８，１９ 水平軸 ２０，２１ 治具台 ２２，２３ 位置決め用ブロック ２４ フロント側ボディ受け台 ２５ 支柱 ２６ 受け体 ２７ 支柱 ２８ 支持プレート ２９，３０ キャスタ ３１ ボルト ３２ ナット ３３，３４ 支台 ３５，３６ ローラ ３７，３８ 水平軸 ３９ リヤ側ボディ受け台 ４０ 支柱 ４１ 支持プレート ４２ 受け体 ４３ リヤ位置決め治具 ４４ 治具台 ４５ 位置決め用ブロック ４６ ボディフロア ４７ トンネル部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 搬送手段に前後一対のセンタリング治具
   本体を設け、これらセンタリング治具本体に位置決め方
   向へ回転可能なローラを取付け、該ローラにボディの前
   後部をそれぞれ当接させることによって、前記搬送手段
   のボディ受け部に前記ボディを位置決めした状態で設置
   するように構成したことを特徴とするボディセンタリン
   グ治具。