JPH078096A - 脱穀機の揺動選別構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 扱室の下方に、脱穀処理物を比重選別するグ
レンパン１３と、脱穀処理物中の穀粒を漏下選別するグ
レンシーブ１５とを備えた選別ケース８を配設し、この
選別ケース８に脱穀処理物の移送方向に沿う揺動運動を
付与する選別駆動機構９を設け、グレンシーブ１５に対
して、選別ケース８の揺動運動とは異なる特性の運動を
付与するシーブ駆動機構３０を設ける。 【効果】 グレンシーブ上に位置する脱穀処理物中の穀
粒と藁屑等との分離作用を促進することによって、グレ
ンシーブの漏下選別性能の向上を図ることができるか
ら、例え、単位時間当たりの脱穀処理量が増大した条件
下でも、良好な漏下選別処理を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、扱室の下方に、当該扱
室から供給される脱穀処理物を比重選別するグレンパン
と、脱穀処理物中の穀粒を漏下選別するグレンシーブと
を備えた選別ケースを配設し、この選別ケースに脱穀処
理物の移送方向に沿う揺動運動を付与する選別駆動機構
を設けてある脱穀機の揺動選別構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の脱穀機の揺動選別構造で
は、前記選別駆動機構にて常に一定の揺動運動を選別ケ
ースに付与することにより、当該選別ケースに装備され
たグレンパン及びグレンシーブを一体的に揺動運動さ
せ、扱室から供給された脱穀処理物を比重選別したの
ち、この比重選別で脱穀処理物中の下層に位置する穀粒
を漏下選別するように構成していた（例えば、特開平５
−１５２４８号公報）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の揺動選別構造で
は、前記グレンパンやグレンシーブ等が選別ケースと一
体的に揺動運動するため、グレンシーブ上に位置する脱
穀処理物と当該グレンシーブ以外の部位に位置する脱穀
処理物とが共にほぼ同じ運動を単調に繰り返すことにな
り、その結果、特に、漏下選別処理を司るグレンシーブ
上での穀粒と藁屑等との分離作用が促進されず、その分
だけ漏下選別性能が低下していた。この場合でも、扱室
からの脱穀処理物の供給量が設定量以下であれば、良好
な漏下選別処理を行うことができるが、実際には、扱室
に投入される刈取穀稈の着粒状態や穀稈投入量の変動に
よって、単位時間当たりの脱穀処理量が設定量以上に増
大することがあり、特に、近年では、脱穀作業の高速
化、或いは、この種の脱穀機を搭載したコンバインにお
いては、刈取脱穀作業の高速化が要望されているため、
単位時間当たりの脱穀処理量が増加する傾向にある。そ
して、このように単位時間当たりの脱穀処理量が増加し
た場合、従来では、グレンシーブ上での穀粒と藁屑等と
の分離作用が悪いため、一番物としての回収効率が低下
するばかりでなく、穀粒が切れ藁に混入したまま機外に
放出されることに起因する穀物ロスが増加する問題があ
る。本発明は、上述の実情に鑑みて為されたものであっ
て、その目的は、グレンシーブ上に供給される脱穀処理
物に複雑な運動を付与して、当該脱穀処理物中の穀粒と
藁屑等との分離作用を促進し、例え、単位時間当たりの
脱穀処理量が増大した条件下でも、良好な漏下選別処理
を行うことができるようにする点にある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、扱室の下方に、当該扱室から供給され
る脱穀処理物を比重選別するグレンパンと、脱穀処理物
中の穀粒を漏下選別するグレンシーブとを備えた選別ケ
ースを配設し、この選別ケースに脱穀処理物の移送方向
に沿う揺動運動を付与する選別駆動機構を設けてある脱
穀機の揺動選別構造において、前記グレンシーブに対し
て、前記選別ケースの揺動運動とは異なる特性の運動を
付与するシーブ駆動機構を設けてある事を特徴とするも
のであり、それによる作用・効果は次の通りである。

【０００５】

【作用】前記選別駆動機構によって選別ケース全体に揺
動運動を付与すると同時に、前記シーブ駆動機構によっ
てグレンシーブに選別ケースの揺動運動とは異なる特性
の運動を付与するから、グレンシーブ上に位置する脱穀
処理物とグレンシーブ以外の部位に位置する脱穀処理物
とが互いに異なった運動を行うことと、脱穀処理物同士
の衝突による衝撃作用が加わることとによって、グレン
シーブ上での脱穀処理物中の穀粒と藁屑等との分離作用
を促進化することができる。

【０００６】

【発明の効果】従って、グレンシーブ上に位置する脱穀
処理物中の穀粒と藁屑等との分離作用を促進することに
よって、グレンシーブの漏下選別性能の向上を図ること
ができるから、例え、単位時間当たりの脱穀処理量が増
大した条件下でも、良好な漏下選別処理を行うことがで
きる。

【０００７】

【実施例】

〔第１実施例〕図１はコンバイン搭載用脱穀機を示し、
脱穀ケース１内の上半部に、扱室２と排塵処理室３とが
前後方向に沿って形成されているとともに、前記脱穀ケ
ース１内の下半部には選別処理室４が形成されている。
前記扱室１には、前後方向に沿う水平軸芯周りで駆動回
転される扱胴５が架設されているとともに、当該扱胴５
の下半部側には、当該扱胴５の扱歯先端移動軌跡に沿っ
て湾曲する受網６が張設されている。前記排塵処理室３
には、扱室２及び選別処理室４の各々で発生した塵埃を
機外に排出する排塵用ファン７が設けられている。前記
選別処理室４には、選別ケース８と、当該選別ケース８
に対して脱穀処理物の移送方向（前後方向）に沿う揺動
運動を付与する選別駆動機構９と、選別風を発生する唐
箕１０と、選別処理された一番穀物を回収して穀物貯留
タンク等に搬送する一番物回収部１１と、選別処理され
た二番穀物を回収して選別ケース８の前部側（脱穀処理
物の移送方向上手側）に還元搬送する二番物回収部１２
とが配設されている。前記選別ケース８には、図１及び
図２に示すように、前記受網６から漏下してくる脱穀処
理物を比重選別するためのグレンパン１３、当該グレン
パン１３の後方位置において脱穀処理物を漏下選別する
粗選別用のチャフシーブ１４、当該チャフシーブ１４か
ら漏下する脱穀処理物を漏下選別する精選別用のグレン
シーブ１５、切れ藁中の穀粒を漏下選別するストローラ
ック１６、前記受網６の後部に形成された開口１７から
落下する脱穀処理物を受け止める第２ストローラック１
８、当該第２ストローラック１８から落下する脱穀処理
物を比重選別する第２グレンパン１９が設けられてお
り、更に、当該選別ケース８には、前記選別駆動機構９
に連動して、グレンシーブ１５に選別ケース８の揺動運
動とは異なる特性の運動を付与するシーブ駆動機構３０
が設けられている。前記選別駆動機構９は、図１及び図
２に示すように、前記脱穀ケース１の左右の側板１ａ，
１ｂに亘って、ベルト伝動装置２０によって駆動される
クランク軸２１を架設し、このクランク軸２１の中央側
の第１偏心軸部２１ａに、前記選別ケース８の後部壁８
ａに固着した左右一対のホルダー２２を相対回転自在に
外嵌保持させるとともに、前記選別ケース８の前部側の
左右両側部の各々には、これに相対応する脱穀ケース１
の左右の側板１ａ，１ｂに固着されたＵの字状のガイド
レール２３に沿って前後方向に転動案内されるローラ２
４を付設して構成されている。そして、前記クランク軸
２１の第１偏心軸部２１ａの偏心回転による選別ケース
８の後部での回転運動と、前記ガイドレール２３に沿っ
てローラ２４が転動することによる選別ケース８の前部
での前後運動とによって、選別ケース８全体が揺動運動
を繰り返すことになる。

【０００８】次に、前記シーブ駆動機構３０の構成につ
いて説明する。図２〜図４に示すように、前記選別ケー
ス８の底面近傍に、グレンシーブ１５の前端側の左右両
側部に付設した前部ローラ３１の各々を前後方向に転動
案内する第１ガイドレール３２と、グレンシーブ１５の
後端側の左右両側部に付設した後部ローラ３３の各々を
前後方向に転動案内する第２ガイドレール３４とを固着
するとともに、前記クランク軸２１の一端側に、前記第
１偏心軸部２１ａとは１８０度位相が異なる第２偏心軸
部２１ｂを形成し、この第２偏心軸部２１ｂに回動自在
に外嵌保持された揺動部材３５と前記グレンシーブ１５
の後端側に固着されたブラケット３６とに亘って、長さ
調節用のターンバックル部３７を備えた連動ロッド３８
を架設してある。そして、前記クランク軸２１の第２偏
心軸部２１ｂの偏心回転により、グレンシーブ１５が選
別ケース８の第１ガイドレール３２及び第２ガイドレー
ル３４に沿って前後方向に往復移動されるのであるが、
前記第２偏心軸部２１ｂが第１偏心軸部２１ａとは１８
０度位相が異なるため、選別ケース８が後方に移動する
とき、グレンシーブ１５は前方に移動し、又、選別ケー
ス８が前方に移動するとき、グレンシーブ１５は後方に
移動することになる。尚、図１中の２５は、前記チャフ
シーブ１４上の脱穀処理物の流量（処理量）を検出する
ボリュームセンサである。

【０００９】〔第２実施例〕図５はシーブ駆動機構３０
の駆動部分の別実施例を示し、これは、前記クランク軸
２１の第２偏心軸部２１ｂを別部材から構成するととも
に、前記クランク軸２１に固着した左右一対のブラケッ
ト部２１ｃには、前記第２偏心軸部２１ｂを付け替え自
在に保持する複数の取付け孔２１ｄを、回転半径方向に
所定ピッチを隔てて形成してある。そして、前記ブラケ
ット部２１ｃの複数の取付け孔２１ｄに対する第２偏心
軸部２１ｂの取付け位置を選択することにより、当該第
２偏心軸部２１ｂの回転半径が変更され、グレンシーブ
１５の前後方向での移動量が複数段に切替られることに
なる。それ故に、グレンシーブ１５の前後方向での移動
量を作物に合わせて調節することができる。

【００１０】〔第３実施例〕図６はシーブ駆動機構３０
の駆動部分の別実施例を示し、これは、前記選別ケース
８に、前記選別駆動機構９のクランク軸２１と平行な水
平軸芯周りで回転自在な回転軸４０を架設し、この回転
軸４０に、前記クランク軸２１に外嵌固定した大径ギヤ
４１に噛合する小径ギヤ４２を外嵌固定するとともに、
前記回転軸４０に固着した回転アーム４３の先端に、前
記グレンシーブ１５のブラケット３６に連動ロッド３８
を介して連結された前記揺動部材３５を揺動自在に枢着
してある。この実施例の場合、前記選別駆動機構９のク
ランク軸２１から回転軸４０への動力伝達系の途中で増
速されているため、グレンシーブ１５の単位時間当たり
の運動数が選別ケース８の単位時間当たりの運動数より
も多くなる。

【００１１】〔第４実施例〕図７はシーブ駆動機構３０
の駆動部分の別実施例を示し、これは、前記選別ケース
８に、前記選別駆動機構９のクランク軸２１と平行な水
平軸芯周りで回転自在な回転軸４５を架設し、この回転
軸４５に固着した回転アーム４６の先端に、前記グレン
シーブ１５のブラケット３６に連動ロッド３８を介して
連結された前記揺動部材３５を揺動自在に枢着するとと
もに、前記クランク軸２１から回転軸４５への動力伝達
系に、割りプーリ４７Ａと受動プーリ４７Ｂとに亘って
巻回した伝動ベルト４７Ｃに対してテンションプーリ４
７Ｄを遠近方向に揺動操作することにより、前記受動プ
ーリ４７Ｂでのベルト巻掛け径を変更して変速するベル
ト式無段変速機構４７を設けてある。この実施例の場
合、脱穀処理物の流量を検出するボリュームセンサ２５
（図１参照）の検出結果に基づいて、高流量時にはグレ
ンシーブ１５の単位時間当たりの運動回数を高めるべく
ベルト式無段変速機構４７を高速に変速操作し、低流量
時にはグレンシーブ１５の単位時間当たりの運動回数を
低くするべくベルト式無段変速機構４７を低速に変速操
作する。尚、前記ベルト式無段変速機構４７の操作は、
ボリュームセンサ２５の検出結果に基づいて手動操作す
る手動操作系とボリュームセンサ２５の検出結果に基づ
いて自動操作する自動操作系統とに切替え可能に構成さ
れている。

【００１２】〔その他の実施例〕 上述の各実施例では、シーブ駆動機構３０の駆動源
として、前記選別駆動機構９から動力を取り出すべく構
成したが、この選別駆動機構９とは別系統から動力を取
り出すべく構成してもよく、更に、油圧モータや電動モ
ータ等の専用の駆動源を設けて実施してもよい。

【００１３】 上述の各実施例では、前記シーブ駆動
機構３０によって前記グレンシーブ１５を前後方向に往
復移動させるべく構成したが、当該グレンシーブ１５を
上下方向に振動させてもよく、又、上下方向と前後方向
の合成方向に揺動させてもよい。要するに、前記シーブ
駆動機構３０としては、グレンシーブ１５に選別ケース
８の揺動運動とは異なる特性の運動を付与するものであ
ればよい。

【００１４】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例を示す脱穀機全体の断面側面図

【図２】揺動選別部の拡大断面側面図

【図３】シーブ駆動機構の拡大側面図

【図４】選別駆動機構及びシーブ駆動機構の拡大背面図

【図５】第２実施例を示すシーブ駆動機構の駆動部分の
拡大側面図

【図６】第３実施例を示すシーブ駆動機構の駆動部分の
拡大側面図

【図７】第４実施例を示すシーブ駆動機構の駆動部分の
拡大側面図

【符号の説明】

２ 扱室 ８ 選別ケース ９ 選別駆動機構 １３ グレンパン １５ グレンシーブ ３０ シーブ駆動機構

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川本 佳伸 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボ タ堺製造所内 (72)発明者 永田 哲治 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボ タ堺製造所内 (72)発明者 安藤 勝 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボ タ堺製造所内 (72)発明者 冨賀 潔 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社クボ タ堺製造所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 扱室（２）の下方に、当該扱室（２）か
   ら供給される脱穀処理物を比重選別するグレンパン（１
   ３）と、脱穀処理物中の穀粒を漏下選別するグレンシー
   ブ（１５）とを備えた選別ケース（８）を配設し、この
   選別ケース（８）に脱穀処理物の移送方向に沿う揺動運
   動を付与する選別駆動機構（９）を設けてある脱穀機の
   揺動選別構造において、前記グレンシーブ（１５）に対
   して、前記選別ケース（８）の揺動運動とは異なる特性
   の運動を付与するシーブ駆動機構（３０）を設けてある
   脱穀機の揺動選別構造。