JP3968052B2 - 大豆や蕎麦の脱穀装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大豆や蕎麦などの穀稈を脱穀する脱穀装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、脱穀部と選別部とからなる汎用コンバインの脱穀装置においては、大豆や蕎麦などの刈取穀稈は、脱穀部の扱胴等により搬送されながら脱粒され、扱胴下部周囲に配設された受網から穀粒や莢屑、排稈などの処理物は脱穀部の下方に配設された選別部の揺動選別装置に漏下して選別される。そして、揺動選別装置から落下する処理物のうち、穀粒は一番物として一番コンベアにより搬送されてグレンタンク等に収納され、未脱粒のものや莢屑、排稈などが混じった二番物は唐箕から供給される選別風により揺動選別装置下方の中途位置に配設された流穀板に沿って後方へ搬送されて機外に排出されるように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−176838号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の脱穀装置においては、唐箕からの選別風による風選別は、揺動選別装置による揺動選別に比して選別性能が低いため、脱穀部から落下する処理物の選別は主に揺動選別装置で行われていた。そのため、十分な選別性能を得るためには、揺動選別装置を大きくしなければならず、脱穀装置全体が大型化していた。特に、脱穀部において径が一定の扱胴を用いる場合、脱穀装置の処理能力を向上させるためには扱胴の全長を大きくする必要があり、結果、揺動選別装置も大きくせざるをえず、脱穀装置全体が大きなものとなっていた。そこで本発明は、脱穀装置の選別部における選別性能を向上させることによって、脱穀装置を小型化することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
請求項1においては、脱穀部(5)と選別部(6)とからなる大豆や蕎麦の脱穀装置であって、該脱穀部(5)の受網(8)下方に揺動選別装置(10)を配置し、該揺動選別装置(10)の下方に、選別風を送風する唐箕(11)と、一番物を搬送する一番コンベア(18)と、該一番コンベア(18)側へ下がるように傾斜して配置する選別ベルト(20)を設けるとともに、該選別ベルト(20)の排出側には、セカンドファン(28)と二番物回収手段と搬送コンベア(25)を配置し、該搬送コンベア(25)は、前後両端部に設けたプーリ(26・26)にベルト(27)を架渡し、前端部を前記選別ベルト(20)の後端の下方に配置し、機体後部において前端のプーリ(26)の駆動軸を中心に回動自在に支持し、後端部を機体外後方に延出し、脱穀装置(1)の使用時には後端部を高くして後上がりに傾斜した状態に配置し、脱穀装置(1)の未使用時には上方に回動し、機体後部に当接した状態で係止し収納すべく構成したものである。
【0007】
請求項2においては、前記選別ベルト(20)を正逆転可能な構成としたものである。
【0008】
請求項3においては、前記選別ベルト(20)の変速比を無段階に変更可能に構成したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の脱穀装置を主体とした脱穀機の前方斜視図、図2は同じく後方斜視図、図3は脱穀装置の側断面図、図4は本発明の脱穀装置を主体とした別実施例の脱穀機の前方斜視図、図5は脱穀装置の側断面図である。
【0010】
本発明の脱穀装置1を主体として構成した定置式の脱穀機30について説明する。図1乃至図3に示すように、脱穀装置1の機体正面に穀稈の投入口2が設けられ、背面には排出口3が設けられ、側方にはエンジン4が搭載されている。なお、図1における矢印Aの方向を便宜的に前方向とする。該脱穀装置1の内部は脱穀部5と選別部6とから構成されており、該脱穀部5に形成された扱室に機体の左右方向に軸架された扱胴7がその一面を投入口2と面するように内設されている。該扱胴7の周囲には扱刃7aが植設されて脱粒が行われるとともに、扱胴7下部周囲には受網8が設けられて処理物のみ漏下するように構成され、穀粒や莢屑、排稈などの処理物から穀粒が脱穀部5の下方に配置された選別部6で選別され、機体側面に配設された揚穀装置9に搬送される。
【0011】
前記選別部6においては、揺動選別装置10による揺動選別と唐箕11による風選別とが行われる。揺動選別装置10は機体前後方向に揺動可能に配設され、その前部が扱胴7の下方に配置され、後部が排出口3近傍まで延設されている。該揺動選別装置10の前部には、穀粒を後方に搬送し易くなるように形成した前流穀板13が設けられ、該前流穀板13の後下方には第一選別部であるチャフシーブ14の前部が配設され、該チャフシーブ14の下方には後流穀板15が形成されている。そして、前記後流穀板15後部には、第二選別部である漏下体16が連設され、該漏下体16の後方にはストローラック17が配設されている。
【0012】
前記揺動選別装置10下方の前後途中位置には、左右方向に一番コンベア18が横設され、該一番コンベア18の終端部に前記揚穀装置9が連結されている。そして、該一番コンベア18の後方に選別ベルト20が配設されている。該選別ベルト20は、前後両端部に設けたプーリ21・21にベルト22を環状に掛け渡して構成されており、前端部が一番コンベア18の後上方に配置されている。選別ベルト20の後端部は揺動選別装置10の後端部下方であって、セカンドファン28の選別風出口上方に配置され、該選別ベルト20が排出口3に向けて後上がりに傾斜した状態で配置されている。なお、選別ベルト20の傾斜角度を穀粒が自然落下する最低限度の角度として、選別部6の全高を低いものとしている。
【0013】
該選別ベルト20は、ベルト22の上面が排出口3に向かって後方に移動する方向、又は逆に一番コンベア18に向かって前方に移動する方向に駆動するように正逆転可能に構成され、作物の種類に応じて回転方向を選択できるようにしている。この正逆転機構の構成は限定するものではなく、例えば、操作部に設けたレバーを回動して正転歯車と逆転歯車を選択したり、クラッチを「入」「切」したりすることで正逆転を変更可能としている。また、該選別ベルト20、すなわち、プーリ21を駆動する変速比を無段階に変更できるように構成されており、選別時の状況に応じて処理物の搬送速度を操作部に設けた作業変速レバーを回動して調節できるようにしている。この変速比を無段階に変更する構成として割りプーリ式無段変速装置(CVT)などを用いることができ、限定するものではない。
【0014】
さらに、前記選別ベルト20の後方(排出側)には搬送コンベア25が配設されている。該搬送コンベア25は、前後両端部に設けたプーリ26・26にベルト27を環状に架渡して構成されており、前端部が排出口3、つまり、揺動選別装置10及び選別ベルト20の後端の下方に配置され、機体後部において搬送コンベア25の前端のプーリ26の駆動軸を中心に回動自在に支持され、後端部が機体外後方に延出され、脱穀装置1の使用時には後端部を高くして後上がりに傾斜した状態に配置されて固定される。なお、該搬送コンベア25は、脱穀装置1の未使用時には、図2に示すように上方に回動されて機体後部に当接した状態で係止部材24により係止され、収納や移動の邪魔にならないようになっている。また、該搬送コンベア25は搬送速度を変速できるように構成することもできる。更に、傾斜角度も変更可能に構成することもでき、二番物の選別精度を向上するように構成することもできる。
【0015】
そして、前記揺動選別装置10前部の下方位置に唐箕11が設けられ、該唐箕11から漏下体16やチャフシーブ14、選別ベルト20に選別風が送風される。さらに、一番コンベア18後方の選別ベルト20の下方にもセカンドファン28が配設され、該セカンドファン28から選別ベルト20後端下方と搬送コンベア25の前端上方の間に選別風が送風され、揺動選別装置10及び選別ベルト20後端から落下する未脱粒のものや莢屑、排稈などが混じった二番物を風選別できるようにしている。
【0016】
このような構成において、投入口2から脱穀部5内に投入された穀稈は、扱胴7の回転によって脱穀され、処理物となって受網8から漏下する。このように漏下した処理物は揺動選別装置10により揺動選別されて、選別ベルト20上に落下する。ここで、穀粒が大豆などのように球形状である場合、選別ベルト20はベルト22の上面が排出口3に向かって後方に移動するように駆動される。したがって、選別ベルト20上へ落下した処理物のうち、転動し易い穀粒は自然落下でベルト22上を流下して、該選別ベルト20前方に設けられた一番コンベア18に落下して回収される。そして、一番コンベア18に回収された一番物である穀粒は、該一番コンベア18によって揚穀装置9下部に搬送された後、揚穀装置で上方へ搬送され、機体側方に配設された取出口から適宜機体外部へ取り出されて回収される。
【0017】
そして、前記処理物のうち、ベルト22上において転動し難い未脱粒のものや重量の軽い莢屑などが混じった二番物は、選別ベルト20と唐箕11から送風される選別風とにより後上方へ搬送され、該選別ベルト20後方に設けられた排出口3から機体外部へ排出される。そして、これらの排出物は該排出口3の下方位置に前端部を臨ませた搬送コンベア25のベルト27上へ落下する。この際、該ベルト27は、その上面が後方に向けて移動するように駆動されている。したがって、該ベルト27上へ落下した排出物のうち、重量の大きい未脱粒のものはその自重により搬送コンベア25の前(始端側)下方に配置した二番物回収手段となる回収容器29へ流下して回収される。また、ベルト27上において重量の軽い莢屑や排稈などは、セカンドファン28から送風される選別風と搬送コンベア25とにより後上方に搬送され、機体後方へ放出される。
【0018】
一方、穀粒が蕎麦などのように球形状でない場合、穀粒はベルト22上を転動し難く自然落下ではあまり流下しない。そこで、穀粒を一番コンベア18に強制的に搬送するために、ベルト22はその上面が一番コンベア18に向かって前方に移動するように駆動される。したがって、ベルト22上に落下した処理物のうち、重量の大きい穀粒は選別ベルト20により前下方に搬送され、該選別ベルト20前方に設けられた一番コンベア18に落下して回収される。そして、一番コンベア18に回収された一番物である穀粒は、該一番コンベア18によって揚穀装置9下部に搬送された後、揚穀装置9で上方へ搬送され、機体側方に配設された取出口23から適宜機体外部へ取り出されて回収される。
【0019】
そして、前記処理物のうち、ベルト22上において未脱粒のものや重量の軽い排稈などが混じった二番物は、唐箕11から送風される選別風により後上方へ搬送され、該選別ベルト20後方に設けられた排出口3から機体外部へ排出される。そして、これらの排出物は該排出口3の下方位置に前端部を臨ませた搬送コンベア25のベルト27上へ落下する。この際、該ベルト27は、その上面が後方に向けて移動するように駆動されている。したがって、該ベルト27上へ落下した排出物のうち、重量の大きい未脱粒のものはその自重により搬送コンベア25の前下方に配置した容器29に流下して回収される。また、ベルト27上において重量の軽い排稈などは、セカンドファン28から送風される選別風と搬送コンベア25とにより後上方に搬送され、機体後方へ放出される。
【0020】
以上のように、脱穀装置1の選別部6において、脱穀部5の受網8から漏下する処理物を受けて揺動選別する揺動選別装置10下方の前後中央位置に選別ベルト20を設け、該選別ベルト20により揺動選別装置10から落下する処理物を搬送可能としたので、選別部6における選別性能が向上する。よって、揺動選別装置10を従来に比して小型化でき、脱穀装置1全体をコンパクトに構成できる。結果、該脱穀装置をコンバインや刈取部を有しない脱穀機などのさまざまな大きさの機械に適用することが可能となる。また、該選別ベルト20を正逆転可能な構成としたので、大豆などの球形状の穀類だけでなく、蕎麦などの球形状でない穀類の選別性能も向上する。さらに、選別ベルト20を無段階に変速可能な構成としたので、選別時の状況に応じて処理物の搬送速度を調節でき、選別性能の向上を図ることができる。
【0021】
なお、本発明の脱穀装置の適用形態は特に限定するものではなく、例えば、図4、図5に示すように、機体をクローラ式走行装置41に戴置して構成した自走式の脱穀機39を脱穀装置40を主体として構成することもできる。この場合、脱穀装置40を構成する脱穀部42と選別部43のうち、選別部43を上記実施例の選別部6と同様に揺動選別装置44や選別ベルト45、唐箕46、一番コンベア47、セカンドファン48、搬送コンベア49などを備えて構成する一方、該選別部42の上方に扱胴50を機体前後方向に軸架して脱穀部42を構成し、該扱胴50の一面と面するように投入口51を機体側面に設け、機体背面に排出口52を設けて脱穀装置40は構成される。なお、図4における矢印Bの方向を便宜的に前方向とする。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0023】
即ち、請求項1に示す如く、脱穀部(5)と選別部(6)とからなる大豆や蕎麦の脱穀装置であって、該脱穀部(5)の受網(8)下方に揺動選別装置(10)を配置し、該揺動選別装置(10)の下方に、選別風を送風する唐箕(11)と、一番物を搬送する一番コンベア(18)と、該一番コンベア(18)側へ下がるように傾斜して配置する選別ベルト(20)を設けるとともに、該選別ベルト(20)の排出側には、セカンドファン(28)と二番物回収手段と搬送コンベア(25)を配置し、該搬送コンベア(25)は、前後両端部に設けたプーリ(26・26)にベルト(27)を架渡し、前端部を前記選別ベルト(20)の後端の下方に配置し、機体後部において前端のプーリ(26)の駆動軸を中心に回動自在に支持し、後端部を機体外後方に延出し、脱穀装置(1)の使用時には後端部を高くして後上がりに傾斜した状態に配置し、脱穀装置(1)の未使用時には上方に回動し、機体後部に当接した状態で係止し収納すべく構成したので、揺動選別装置から落下する処理物を選別ベルトにより搬送可能となり、選別部における選別性能が向上する。よって、揺動選別装置を従来に比して小型化でき、脱穀装置全体をコンパクトに構成できる。結果、該脱穀装置をコンバインや刈取部を有しない脱穀機などのさまざまな大きさの機械に適用することが可能となる。
また、該搬送コンベア25は、脱穀装置1の未使用時には、図2に示すように上方に回動されて機体後部に当接した状態で係止部材24により係止されるので、収納や移動の邪魔にならないようになったのである。
【0024】
請求項2に示す如く、前記選別ベルトを正逆転可能な構成としたので、大豆などの球形状の穀類だけでなく、蕎麦などの球形状でない穀類の選別性能も向上する。
【0025】
請求項3に示す如く、前記選別ベルトの変速比を無段階に変更可能に構成したので、選別時の状況に応じて処理物の搬送速度を調節でき、選別性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の脱穀装置を主体とした脱穀機の前方斜視図。
【図2】 同じく後方斜視図。
【図3】 脱穀装置の側断面図。
【図4】 本発明の脱穀装置を主体とした別実施例の脱穀機の前方斜視図。
【図5】 脱穀装置の側断面図。
【符号の説明】
1 脱穀装置
5 脱穀部
6 選別部
8 受網
10 揺動選別装置
11 唐箕
18 一番コンベア
20 選別ベルト
25 搬送コンベア
28 セカンドファン
29 回収容器
Claims (3)
- 脱穀部(5)と選別部(6)とからなる大豆や蕎麦の脱穀装置であって、該脱穀部(5)の受網(8)下方に揺動選別装置(10)を配置し、該揺動選別装置(10)の下方に、選別風を送風する唐箕(11)と、一番物を搬送する一番コンベア(18)と、該一番コンベア(18)側へ下がるように傾斜して配置する選別ベルト(20)を設けるとともに、該選別ベルト(20)の排出側には、セカンドファン(28)と二番物回収手段と搬送コンベア(25)を配置し、該搬送コンベア(25)は、前後両端部に設けたプーリ(26・26)にベルト(27)を架渡し、前端部を前記選別ベルト(20)の後端の下方に配置し、機体後部において前端のプーリ(26)の駆動軸を中心に回動自在に支持し、後端部を機体外後方に延出し、脱穀装置(1)の使用時には後端部を高くして後上がりに傾斜した状態に配置し、脱穀装置(1)の未使用時には上方に回動し、機体後部に当接した状態で係止し収納すべく構成したことを特徴とする大豆や蕎麦の脱穀装置。
- 前記選別ベルト(20)を正逆転可能な構成としたことを特徴とする請求項1に記載の大豆や蕎麦の脱穀装置。
- 前記選別ベルト(20)の変速比を無段階に変更可能に構成したことを特徴とする請求項2に記載の大豆や蕎麦の脱穀装置。
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