JPH0778865B2 - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH0778865B2
JPH0778865B2 JP59214205A JP21420584A JPH0778865B2 JP H0778865 B2 JPH0778865 B2 JP H0778865B2 JP 59214205 A JP59214205 A JP 59214205A JP 21420584 A JP21420584 A JP 21420584A JP H0778865 B2 JPH0778865 B2 JP H0778865B2
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polymer film
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弘喜 中村
義昭 大内
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Toshiba Corp
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Tokyo Shibaura Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 (発明の属する技術分野) 本発明は磁気記録媒体、特に垂直磁化記録に使用して好
適な磁気記録媒体及びその製造方法に関する。
(発明の技術的背景とその問題点) 近年、磁気記録媒体の媒体面に垂直な方向の磁化を利用
して高密度の記録を行なう垂直磁化記録が注目されてい
る。この垂直磁化記録のための垂直磁気記録媒体として
は、膜面に垂直な方向に磁化容易軸を有するCo−Cr系ス
パツタ薄膜を記録膜とするものが代表的である。このよ
うな垂直磁気記録媒体は、ポリイミド,ポリエチレンテ
レフタレート等の高分子フイルムを基体とし、その片面
または両面にCo−Cr系スパツタ膜が形成され、またCo−
Cr系スパツタ膜の上には耐摩耗膜(保護膜)が形成され
ている。このような垂直磁気記録媒体は、磁気テープや
フロツピ・デイスクに適用する場合には、磁気ヘツドを
介して情報の記録、再生及び消去を行なう。
Co−Cr膜は、アルゴン雰囲気中での通常のスパツタリン
グ法或は、マグネトロン・スパツタリング法により形成
される。形成されたCo−Cr膜は、C軸に配向された柱状
構造であり、磁気特性としての主として膜形成によつて
決まる飽和磁化Msの他に膜面に垂直な磁気異方性エネル
ギKuが大きく、また膜面に垂直な方向の保磁力HCLが大
きく、高記録密度となる条件を備えている。
ところで、上述の垂直磁気記録媒体を、潤滑油例えばフ
ルオロ・カーボン(フツ素油)を介して磁気ヘツドで同
一トラツク上を走行させる走行試験を行なうと、その寿
命が極めて短かいという欠点があつた。面内磁化の磁気
記録媒体では、通常1000万パスの寿命が要求されるが、
従来の垂直磁気記録媒体では100万パス未満であること
がしばしば生じた。最高の寿命でも300万パスを越える
ことは殆ど無い。走行試験での不良を解析すると、Co−
Cr膜の高分子フイルム基体からの剥離の原因のものが多
く、次いで耐摩耗膜の寿命,潤滑油の涸渇等によるもの
が多い。
従つて、磁気記録媒体の長寿命化の為には、強磁性体層
の高分子フイルム基体に対する付着力を増加させること
が重要である。
(発明の目的) 本発明は、長寿命、高信頼性の磁気記録媒体を提供する
ものである。
(発明の概要) 本発明は、特に高分子フイルム基体上に形成される強磁
性体膜が、高分子フイルム基体との界面近傍に酸素濃縮
領域が形成されていることを特徴とする磁気記録媒体で
あり、また高分子フイルム基体をプラズマ酸化処理した
後、磁性体膜を高分子フイルム基体上に形成することを
特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
(発明の実施例) 以下、実施例を参照して本発明を説明する。
第1図は本発明の一実施例による垂直磁気記録媒体を示
し、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート(以下PE
Tと略す)の高分子フイルムからなる基体(1)の両面
には、Co−Cr膜(2)、耐摩耗膜(3)及び潤滑層
(4)が形成されている。この垂直磁気記録媒体の製造
には、第2図に示す連続薄膜形成装置を用いた。膜成形
には、高分子フイルム基体の前処理としてプラズマ酸化
処理後、Co−Cr強磁性体膜及び耐摩耗性をマグネトロン
スパツタ方式でアルゴン雰囲気中でスパツタを行つた。
垂直磁気記録媒体の具体的な形成方法は次の如くであ
る。
先ずPETフイルムの脱ガスを行なう。条件は、例えば120
℃,1×10-7Torr,30分である。脱ガス方法は、第2図に
於ける装置では、次の如くである。PETフイルム(1)
の加熱は、主ローラ(14)a及び(14)bにより行な
う。主ローラ(14)a及び(14)bの中には、図示しな
いシリコーン油が装填されており、シリコーン油を加熱
することにより、主ローラ(14)a及び(14)bを加熱
し、PETフイルム基体(1)の脱ガスを行なう。脱ガス
方法は、例えば、第2図に示す如く、一定速度にて、PE
Tフイルム基体(1)を、供給ローラ(11)→補助ロー
ラ(13)a→主ローラ(14)a→補助ローラ(13)b→
主ローラ(14)b→補助ローラ(13)c→巻取ローラ
(16)の順にて走行させることにより行なう。PETフイ
ルム基体(1)は、主ローラ(14)a及び(14)bに接
して通過する際に加熱・脱ガスされる。
次に高周波電極(17)a及び(17)bに高周波をかける
ことにより、PETフイルムの両面に亘つてプラズマ酸化
を行なう。雰囲気を酸素とし、酸素圧力は、例えば8×
10-1Torrであり、RF電力は例えば300Wである。概略、投
入電力としては0.1乃至1.5W/cm2の範囲で行なうことに
より効果的にプラズマ酸化が行なわれる。高分子フイル
ム基体の処理時間は、走行速度により制御し得るが、例
えば10分行なう。プラズマ酸化処理は、上述の脱ガスの
場合の走行方向と逆の方向に送り出して行なう。
次に雰囲気をアルゴンに変えて、また主ローラ(14)a
及び(14)bの温度を例えば90℃に下げて強磁性体膜Co
−Cr膜を形成する。プラズマ酸化処理により供給ロール
(11)にPETフイルム基体(1)を巻取つけているの
で、PETフイルム基体(1)を、脱ガス処理と同じ走行
方向に送り出し、主ローラ(14)a上を基体(1)が走
行する際に主ローラ(14)aと対向して置かれたスパツ
タ・ターゲツト(15)aから基体(1)上にCo−Cr膜を
被着形成することによつて連続薄膜を形成する。
さらに両面に記録膜を有するフロツピー・デイスクを作
る場合にはスパツタ・ターゲツト(15)aからPETフイ
ルム基体(1)の片面にCo−Crの薄膜を形成した後、主
ローラ(14)a→補助ローラ(13)b→主ローラ(14)
bとPETフイルム基体(1)を送り出し、主ローラ(1
4)b上を基体(1)が走行する際に、主ローラ(14)
bと対向して置かれたスパツタ・ターゲツト(15)bか
ら、基体(1)の他の面にCo−Cr膜を形成する。次いで
補助ローラ(13)c→巻取りローラ(16)と走行し巻き
取る。
上述の如く、供給ローラ(11)より出たPETフイルム基
体は、脱ガス処理された後巻取りローラ(16)に巻取ら
せ、フイルム基体のプラズマ酸化工程を経て、更に両面
にCo−Cr膜が形成された後、巻取りローラ(16)に巻取
られる。Co−Cr膜用のターゲツトとしては、120mm×250
mm×8mm,Co−21〔at%〕Cr組成のものを用い、膜厚5000
Åを上述の方法により両面に形成した。
次にダーゲツト(15)a,(15)bとして耐摩耗耗膜用例
えば酸化アルミニウム膜形成用のターゲツトに交換す
る。酸化アルミニウム膜形成用のターゲツトは、Co−Cr
膜用と同じ寸法で酸化アルミニウムの焼結体を用いる。
上述と同様の走行方法により、Co−Cr膜上に両面に亘つ
てアルゴン雰囲気中で約200Åマグネトロン・スパツタ
を行ない、耐摩耗膜として酸化アルミニウム膜を形成す
る。耐摩耗膜は、酸化アルミニウムの他、酸化シリコ
ン、酸化ジルコニウム等の金属酸化物や窒化シリコンや
窒化チタンのような窒化物でもよい。
本発明による高分子フイルム基体をプラズマ酸化処理し
た後、強磁性体膜を形成した垂直磁気記録媒体と、プラ
ズマ酸化処理を施さない従来技術の垂直磁気記録媒体と
を、同一トラツク上での走行試験による寿命試験を行な
つた。寿命試験の結果を第3図に示す。潤滑油はフルオ
ロ・カーボンを用いて行ない、サンプル数はそれぞれ10
個である。図中の丸印はその平均値を示す。同図から明
らかなように、プラズマ酸化処理を施した高分子フイル
ム基体上に強磁性体膜を形成したものは、寿命が飛躍的
に向上する。
強磁性体膜としてCo−Crを用いた場合の本発明による磁
気記録媒体の、強磁性体膜と高分子フイルム界面近付を
オージエ電子分光法によりCo,Cr,O,C及びNの深さ方向
の濃度分布を分析した結果を第4図に示す。第4図より
Co−Cr強磁性体膜と高分子フイルム基体との界面に、酸
素濃縮領域が形成されていることが判る。この酸素濃縮
領域(酸化層)が強磁性体膜と高分子フイルム基体との
付着力を増加させ、長寿命化に寄与している。
なお上述の実施例では、高分子フイルム基体としてポリ
エチレンテレフタレートを用いたが、他の高分子フイル
ム例えばポリイミドフイルムにおいても同様な効果が得
られ、オージエ電子分光法の結果も一致した。
なお、上述実施例では酸素分圧を8×10-1Torrとしてプ
ラズマ酸化処理を行つたが、酸素分圧はコンベンシヨナ
ル方式、スパツタ方式等放電の方式により変り得る。即
ちコンベンシヨナル方式では導入酸素圧力を高くするこ
とが可能であり(例えば10-1Torr台)、またスパツタ方
式では導入酸素圧力を低くすることが可能である(例え
ば10-5Torr台)。プラズマ酸化処理を施した高分子フイ
ルム基体上に形成されたCo−Cr膜の磁気特性は未処理の
ものと殆ど変らず、保磁力として1000θのものが得ら
れた。
また、上述の実施例では、強磁性体膜の高分子フイルム
基体との界面での酸素濃縮領域の形成を、高分子フイル
ムのプラズマ酸化という前処理によつて行なつたが、強
磁性体膜形成時のフイルム基体へのプラズマの流入量や
基板温度を変えることによつても形成できる。
更に、上述実施例では強磁性合金層がCo−Cr膜単層の場
合につき説明したが、Co−Crの膜の下地としてFe−Ni合
金を基とするパーマロイ等の軟磁性膜を裏打ちした場合
にも、高分子フイルム基体をプラズマ酸化する本発明の
製造方法が適用できる。またCo−Cr合金のみならずCoを
基とする他の強磁性合金にも本発明は適用できる。
(発明の効果) 本発明によれば、高分子フイルム基体と強磁性体膜との
付着力が向上し、長寿命の磁気記録媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は垂直磁気記録媒体の断面図、第2図は連続薄膜
形成装置の概略を示す図、第3図は本発明及び従来技術
の垂直磁気記録媒体の寿命特性を比較して示す図、第4
図は本発明の一実施例の垂直磁気記録媒体におけるCo,C
r,O,N及びCの深さ方向の濃度分布を示す図である。 (1)……高分子フイルム基体,(2)……Co−Cr膜 (3)……耐摩耗膜,(14)a,(14)b……主ローラ (15)a,(15)b……スパツタ・ターゲツト。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子フィルム基体と、この高分子フィル
    ム基体上に形成された強磁性体膜を有する磁気記録媒体
    において、 前記強磁性膜の前記高分子フィルム基体と接する界面近
    傍の領域に酸素濃縮領域が形成されていることを特徴と
    する磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】高分子フィルム基体を酸化性雰囲気下でプ
    ラズマ酸化処理し、表面領域に酸素濃縮領域を形成する
    工程と、前記高分子フィルム基体上の前記酸素濃縮領域
    を含む基体表面に強磁性体を堆積させて強磁性体膜を形
    成する工程とを有することを特徴とする磁気記録体の製
    造方法。
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