JPH0757261A - 磁気記録媒体及び磁気ヘッド並びにその製造方法及び製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気ヘッド並びにその製造方法及び製造装置

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JPH0757261A
JPH0757261A JP20333693A JP20333693A JPH0757261A JP H0757261 A JPH0757261 A JP H0757261A JP 20333693 A JP20333693 A JP 20333693A JP 20333693 A JP20333693 A JP 20333693A JP H0757261 A JPH0757261 A JP H0757261A
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magnetic
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magnetic recording
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JP20333693A
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English (en)
Inventor
Akira Ishikawa
石川  晃
Yoshihiro Shiroishi
芳博 城石
Yuzuru Hosoe
譲 細江
Kiwamu Tanahashi
究 棚橋
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Magnetic Heads (AREA)
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  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヘッド低浮上が可能で、高密度記録が可能な
磁気記録媒体及び高感度な磁気抵抗効果素子を有する磁
気ヘッドを提供する。 【構成】 複数の蒸着用ターゲット23〜25から選択
されたターゲット23にレーザー光202を照射して蒸
発させ、蒸発したターゲット材料粒子205のうち高エ
ネルギーの帯電粒子を蒸着粒子運動エネルギー制御部2
06で除去した後、赤外線ランプ201によって所定温
度に加熱され、回転軸29に支持されて回転駆動される
基板28の表面に堆積させることによって、磁気記録媒
体あるいは磁気ヘッドの下地膜、磁性膜、保護膜の少な
くとも一つの膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ドラム、磁気テー
プ、磁気ディスク、磁気カード等の磁気記録媒体及び磁
気ヘッド、並びにそれらを用いた磁気記録装置に係り、
特に高密度の磁気記録再生に好適な磁気抵抗効果型磁気
ヘッド、薄膜型磁気記録媒体、及びこれらを用いた小型
で大容量の磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子計算機等の情報処理装置の小
型化・高速化に伴い、磁気ディスク装置その他の外部記
憶装置の大容量化、及び高速アクセス化に対する要求が
高まっている。特に、磁気ディスク記録装置は高密度化
・高速化に適した情報記憶装置であり、その需要は一段
と強まりつつある。磁気ディスク装置に用いられる記録
媒体としては、酸化物磁性体の粉末を基板上に塗布する
ことにより形成した媒体と、例えば雑誌IEEE Tr
ans. Magn.,vol.MAG−3(1967)の
第205頁、特開昭58−7806号公報、特開昭60
−111323号公報に示されるように、金属磁性体薄
膜を基板上にスパッタリング法により形成した薄膜媒体
が開発されている。
【0003】この中で薄膜媒体は、塗布型の媒体に比べ
磁気記録膜に含まれる磁性体の密度が高く、磁気記録膜
を薄く形成できるため高密度の記録再生に適している。
薄膜媒体のディスク基板としては通常Ni−P膜がめっ
きされたAl−Mg合金が用いられ、さらに基板表面に
は磁気ヘッドの粘着防止、あるいは基板円周方向の磁気
特性向上の目的で表面中心線平均粗さ(以後Raと略記
する)が2〜100nm程度のテクスチャーと呼ばれる
微細な溝や突起が形成される場合がある。
【0004】薄膜媒体の磁性体材料としては主に結晶磁
気異方性定数の大きいCo基合金が用いられる。Co基
合金は六方最密充填型(hexagonal close-packed:以後
hcpと略記する)の結晶構造を有し、磁化容易方向が
hcp構造のc軸と平行であるため、この方向に高い保
磁力Hc、残留磁化Mr、及び角形比Sを有する。この
ため、媒体形成に際してはCo基合金のc軸がディスク
面と略平行な成分を多く有するように結晶成長させる必
要がある。この目的のため、磁性膜の下地膜として体心
立方構造(body-centered cubic:以後bccと略記す
る)のCrあるいはCr基合金膜を形成し、Co基合金
の結晶配向性を制御する方法が用いられている。
【0005】また、媒体ノイズを低減するために磁性膜
を2膜以上に多層化することが知られている。特に、C
r等の非磁性中間膜で磁性膜を多層化すると、媒体ノイ
ズが著しく減少する。さらに、媒体の信頼性を確保する
ための保護膜として、カーボン、水素添加カーボン、W
−C、(W−Mo)−C等の炭化物、(Zr−Nb)−
N、Si34等の窒化物、SiO2、ZrO2等の酸化
物、B、B4C、MoS2、Rh等の非磁性材料が10〜
50nmの膜厚で形成される。
【0006】一方、高密度記録に適した磁気ヘッドとし
て、再生部に磁気抵抗効果型あるいは巨大磁気抵抗効果
型(以後、これらをMRと略記する)素子を用いたもの
が開発されている。このMRヘッドは従来の誘導型の磁
気ヘッドに比べて再生感度が著しく高いため、記録密度
の増加に伴い記録ビットの面積が減少しても充分な再生
出力が得られ、媒体の記録密度を飛躍的に向上すること
ができる。MRヘッドの再生部においては、媒体側表面
にカーボン等の保護膜が膜厚20nm程度形成される場
合がある。これは、ヘッドが浮上中に媒体と一時的に接
触した時に、再生部の温度が上昇して再生信号中にノイ
ズとして検出されるのを防ぎ、かつ、耐食性を向上させ
るためである。
【0007】これらの磁気記録薄膜物品における下地
膜、磁性膜、保護膜、MR膜、あるいは電極膜等の薄膜
の工業的生産には、主に生産性や組成制御性に優れたメ
ッキ法やスパッタリング法が用いられる。また、磁性薄
膜形成法として、真空蒸着法〔例えば、IEEE Tr
ans. Magn.,vol.MAG−3(1967)の
第205頁にCo/Cr積層膜の例が記載〕や、イオン
ビームスパッタ蒸着法〔例えば、IEEE Tran
s. Magn.,vol.MAG−19(1983)の第
1644頁や、IEEE Trans. Magn.,vo
l.MAG−20(1984)の第776頁等にCo−
Cr合金膜の例が記載〕が知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】今後、記録密度をさら
に向上するためには再生感度の高いMRヘッドの開発が
必須であり、さらに該MRヘッドに適した媒体として低
ノイズで、ヘッド浮上量を低減すべく表面が平滑な磁気
記録媒体を開発することが重要である。MRヘッドは磁
気シールド膜、バイアス印加膜、MR膜、電極膜、保護
膜等を有するが、バルクハウゼンノイズを低減するには
シールド膜、バイアス印加膜等の下地膜の表面を微視的
に凹凸の少ない平滑な面とすることが重要である。これ
は、下地膜を平滑化することによりMR膜が膜厚変動の
少ない平滑な薄膜となり、膜内の局所的な応力が低減
し、バルクハウゼンノイズの発生を抑制できるためであ
る。また、MRヘッド再生部の媒体側の表面にはカーボ
ン保護膜が形成されているが、この保護膜も微視的に凹
凸の少ない平滑な面とすることが重要である。これは、
保護膜を平滑化することによりMRヘッドの浮上性や耐
食性が向上するためである。
【0009】しかし、従来のスパッタリング法による膜
形成では成膜用の真空槽内にArガスを例えば1〜30
mTorrの範囲で導入する必要があるため、蒸着源で
あるターゲットからスパッタリングされた蒸着粒子がA
r原子やArイオンと高い頻度で衝突し、不規則な方向
に散乱されて基板表面に到達するとともにArガスが膜
中に含有される。その結果、形成された膜の表面は結晶
粒に対応した、粗さ1〜100nm程度の凹凸が不可避
的に生じ、磁化の分散が大きくなり、さらに膜中に取り
込まれたArガスのため欠陥が生じ、磁気特性も低下す
る。メッキ法による場合にはPやS等が不純物として膜
中に取り込まれ、表面の凹凸についてはスパッタリング
法と同様である。
【0010】さらに、ヘッド浮上量を低減するには、平
滑なディスク基板を用いるとともに、下地膜や磁性膜を
微視的な凹凸の少ない、均一な膜厚とすることが有効で
ある。しかし、非磁性下地膜、非磁性中間膜や磁性膜は
従来よりメッキ法やスパッタリング法により形成され、
上述のごとく、メッキ法ではイオンが、スパッタリング
法ではターゲットからスパッタリングされた蒸着粒子は
Ar原子、Arイオンと高い頻度で衝突し、不規則な方
向に散乱される。このため、得られる膜の表面は粗さ1
〜100nm程度の凹凸が不可避的に生じる。このよう
に非磁性下地膜、非磁性中間膜や磁性膜表面に微細な凹
凸が生じると、特に、磁性膜を多膜化する際に各膜を膜
厚5〜10nmで均一に形成することが困難となり、磁
性層間で交換相互作用が働いてしまい、ノイズが増大し
てしまう。特に、非磁性中間膜の膜厚を3nm以下とす
る場合には、非磁性中間膜形成前の磁性膜表面を微視的
に平滑化する必要がある。
【0011】また、磁気ディスク基板としてテクスチャ
ー溝を形成した基板を用いる場合、下地膜や磁性膜をス
パッタリング法により形成すると、テクスチャーの突起
部で結晶粒が異常成長し、膜表面に突起を生じやすい。
その結果、磁性膜を多膜化する際に各膜を均一な膜厚で
形成することが困難となるとともに、ヘッド浮上性が低
下する問題もある。
【0012】また、媒体の保護膜も下地膜や磁性膜と同
様、均一な膜厚で高強度に形成し、浮上量0.01〜
0.1μmでヘッドが安定に浮上するよう成膜する必要
がある。しかし、上記と同様の原因により従来のスパッ
タリング法では保護膜表面に凹凸が生じやすく、低浮上
時の信頼性を充分に確保できないという問題がある。成
膜時に成膜装置内にAr等のガスを導入しない方法とし
ては、電子ビームや抵抗加熱による真空蒸着法やイオン
ビームスパッタ蒸着法が知られている。しかし、真空蒸
着法では合金膜を蒸着する際に蒸着源の組成が時間と共
に変化するため、得られる膜の組成が変化する等、組成
制御性が悪いという問題がある。また、イオンビームス
パッタ蒸着法では装置が複雑化する上、イオンビームの
径が数cm程度と小さいため、得られる膜の膜厚分布が
非常に大きいことや、面内記録媒体として用いる場合に
保磁力が500Oe程度以下と、充分に高い保磁力が得
られないという問題がある。
【0013】以上の課題及び状況を鑑み、本発明の第一
の目的は、再生感度の高いMRヘッド、及びS/Nの高
い記録媒体を提供することである。すなわち、MRヘッ
ドの浮上量0.01μm〜0.1μmにおいて線記録密
度100kBPI以上、トラック密度3.5kTPI以
上(面記録密度で350Mb/in2 以上)での記録再
生時のS/Nの値が4以上のMRヘッド、磁気記録媒体
を提供することである。さらに、第二の目的はこのよう
なMRヘッド、磁気記録媒体を再現性良く製造する方法
及び装置を提供することであり、第三の目的は、このよ
うな媒体を用いた大容量で高信頼性の磁気記録装置を提
供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは各種の薄膜
形成技術と、薄膜の膜厚均一性及び磁気特性の関係を評
価した結果、光線を熱源とする蒸着法によりMRヘッド
あるいは磁気記録媒体の下地膜、磁性膜、保護膜の少な
くとも一種類の膜を形成することにより、膜中にAr、
He、Ne、Kr、Xe、P、S等の不純物が取り込ま
れることなく、上記目的が達せられることを見出した。
【0015】光線としては、集光したレーザー光を用い
ると蒸着速度が向上し、生産性が向上するので好まし
い。レーザーは連続発振のものもパルス発振のものも利
用可能である。パルス発振レーザーを用いる場合、蒸着
源に照射するレーザーの1パルスあたりのエネルギー密
度を5〜100J/cm2 とすると蒸着が安定に進行
し、膜厚が均一な薄膜が得られるので好ましい。レーザ
ー1パルスあたりの成膜量は0.001〜0.1nmと
すると膜厚や膜質均一性が向上するので好ましい。パル
ス発振レーザーの発振周波数は、1〜100Hzとする
と成膜速度の制御が容易となるので好ましい。また、蒸
着中に蒸着源上のレーザー照射位置を0.1mm/s〜
1cm/s以下の速度で移動すると、蒸着源が均一に消
耗され、蒸着源の使用効率が向上するとともに膜厚の均
一性が向上するので好ましい。蒸着源と基板間の最短距
離を5〜30cmとすることにより、蒸着粒子が均一に
基板上に付着するので膜厚の均一性をさらに向上でき
る。蒸着源と基板の間隔を5cm以下とすると膜厚分布
すなわち膜厚変動は5%以上となり、間隔を30cm以
上とするとレーザー1パルスあたりの成膜量が0.00
1nm未満となって成膜速度が遅くなり、実用性に欠け
るので好ましくない。
【0016】磁気記録媒体を形成する場合には、成膜中
にディスク基板を250℃以上、550℃以下に加熱す
ると、蒸着膜の付着強度、膜厚の均一性、及び磁気特性
が向上するので好ましい。成膜装置内の基板とターゲッ
トの間に、磁場発生部や偏向電極からなる帯電電蒸着粒
子運動エネルギー制御部を設けることにより、運動エネ
ルギーの高い帯電した蒸着粒子を取り除き、基板に到達
する蒸着粒子の運動エネルギーを0.1〜50eVとす
ると、磁性膜結晶がhcp構造となり、Hc等の磁気特
性が向上するので好ましい。
【0017】本方法により作成した薄膜媒体において
は、円周方向に測定した磁性膜の残留磁化Br1と膜厚
δの積Br1δが過度に大きいと、MR膜の磁化回転が
不安定となるためバルクハウゼンノイズが発生する。ま
た、Br1δを増すと記録ビットの遷移領域において反
磁界Hdが増して磁化の揺らぎが大きくなるため、再生
感度が高いMRヘッドを用いた場合に媒体ノイズNdが
著しく大きくなる。また、MRヘッドは再生感度が高い
ため、Br1δが180Gμmを超えると再生出力が飽
和して出力信号の波形が非対称となる。一方、Br1δ
が5Gμm未満では再生出力が小さく、媒体ノイズの大
きさと同程度となるため高い信号S/Nが得られない。
従って、使用するMRヘッドの再生感度に合わせて媒体
のBr1δを5〜180Gμmの範囲に制御することが
高いS/Nを得る上で好ましい。
【0018】さらに、円周方向に測定した磁性膜の残留
磁化Br1 と半径方向に測定した残留磁化Br2 との比
Br1 /Br2 が1〜1.2である略等方的な磁気特性
を有する従来媒体では、線記録密度が100kBPI以
上になると媒体からヘッドに流れ込む漏洩磁束量が減少
し、MRヘッドの感度を増しても高い信号S/Nが得ら
れない。しかし、Br1 /Br2 を1.3〜3とする
と、磁化遷移領域の磁化変化が急峻となるため、線記録
密度を増した場合でも媒体からの出力が減少せず、高い
S/Nが得られる。一方、Br1 /Br2 が3.1を上
回ると、磁化遷移領域間の磁気的相互作用が急激に大き
くなるため、媒体ノイズが増加して高い信号S/Nが得
られない。また、媒体の記録トラック密度を3.5kT
PI以上とすると、等方的な磁気特性を有する従来媒体
では100kBPI程度の高記録密度では記録トラック
幅が減少する傾向がある。このため、MRヘッドのトラ
ック幅が小さい場合に充分な記録トラック幅が確保でき
ない。しかし、Br1 /Br 2 を1.3〜3とすると、
トラック幅方向の書きにじみ量が従来媒体より増加する
ため、MRヘッドのトラック幅が小さい場合でも充分な
記録トラック幅が確保できる。
【0019】また、上記磁気記録媒体において、総磁性
膜厚δを5nm以上、60nm以下とし、保磁力Hcを
1800Oe以上とすると、磁化遷移領域の幅が減少し
て出力半減記録密度D50が向上するため、高線記録密度
時にも高い出力が得られ、同時に媒体ノイズNdが減少
するため再生信号のS/Nが向上する。また、Hcを3
500Oeよりも高くするとオーバーライト特性が20
dB以下となるので、Hcを3500Oe以下とするこ
とが好ましい。ここで、媒体の総磁性膜厚δを5nm以
下とすると、δが減少するに従い磁性膜の結晶粒径が小
さくなり熱ゆらぎの効果等により室温での保磁力Hcは
低下する。また、磁性膜厚δを60nm以上とすると、
磁性膜が垂直方向に磁化しやすくなるため面内方向に測
定されたHcは低下する。従って、Hcを1800Oe
以上とするためには、δを5nm以上、60nm以下の
値とする必要がある。
【0020】媒体からの磁束をMRヘッドで有効に検出
するためには、ヘッドの浮上量を減少することが効果的
である。上記磁気記録媒体において、ヘッド走行方向と
垂直の方向に測定した媒体保護膜表面の中心線平均粗さ
Raを3nm以下とすると浮上量が0.01〜0.1μ
mにおいてヘッドが安定に浮上するため好ましい。また
磁性膜表面の、ヘッド走行方向と垂直の方向に測定した
中心線平均粗さRaを1.9nm以下とすると媒体表面
が平滑となるので、ヘッドが安定に低浮上する。ここ
で、媒体表面の中心線平均粗さRaは針先径が0.2μ
m以下の触針式表面粗さ計、走査トンネル顕微鏡、電子
線三次元粗さ測定装置等により求められ、測定距離は1
0μm以上であることが正確な測定値を得る上で好まし
い。
【0021】上記中心線平均粗さを有する基板において
Br1 /Br2 を1.3〜3とするためには、基板表面
のヘッド走行方向と垂直方向に測定される溝の平均密度
を高くすることが有効である。すなわち、磁気異方性付
与に有効な深さ1nm〜50nmのテクスチャー溝の、
ヘッド走行方向と垂直方向の距離1μm中の平均密度N
を0.3〜100とすることが好ましい。また、溝の方
向、間隔を不規則とすると、均一なテクスチャーを形成
した媒体に比べてBrの配向比が向上すると共に、ヘッ
ド媒体間の接触面積が減少しコンタクト・スタート・スト
ップ(以後、CSSと略記する)時のヘッドの粘着力が
抑制されるので好ましい。さらに、媒体回転時のヘッド
位置制御用サーボ信号のゆらぎも低減でき、フォロイン
グ精度が向上する利点があるので好ましい。
【0022】媒体を形成するにあたっては、出力密度3
0〜1000mW/cm2 のアルゴンプラズマにより基
板をエッチングすると、非磁性下地層もしくは磁性膜の
結晶性が向上し、ヘッド走行方向の磁気異方性が向上す
るため、Brの配向比が高くなる。さらに、成膜真空槽
の排気速度や膜の成長速度を増したり、基板に負のバイ
アス電圧を10〜500V印加して成膜すると、磁性膜
や下地膜中に混入する水や酸素等の不純物濃度が低減し
て下地層もしくは磁性膜の結晶性がさらに向上するた
め、ヘッド走行方向の磁気異方性が一層向上してBrの
配向比が著しく向上する。
【0023】また、Co系の合金からなる磁性膜にN
i、Cr、Mo、W、Zr、Ta、Nb、Al、Si、
Pt、B又はPのいずれか少なくとも1種の元素を添加
すると、高いHcが得られるので好ましい。また、媒体
成膜時の基板温度を200〜500℃とすると、磁性膜
中の偏析構造が促進されてHcが向上するので好まし
い。
【0024】さらに、Cr、Mo、W、V、Ta、N
b、Zr、Ti、B、Be、C、Ni−Pの少なくとも
一つを主たる成分として、膜厚が0.5〜5nmである
非磁性中間膜により、磁性膜を2膜以上に多膜化すると
単膜の磁性膜に比べて媒体ノイズNdが低下するので好
ましい。また、Cr、Mo、あるいはWを主たる成分と
し、Ti、Ta、Pt、Pd、Si、Fe、V、Pのい
ずれか少なくとも1種の元素を添加した合金下地膜を膜
厚1〜500nmとなるよう形成すると、媒体ノイズN
dが低下するので好ましい。
【0025】磁性膜としてはCo、Fe、Niもしくは
これらを主たる成分とする合金が望ましく、特にCo−
Ni、Co−Cr、Co−Fe、Co−Mo、Co−
W、Co−Re等の合金を主たる成分とし、磁化容易軸
であるc軸を実質的に基板面内の方向に配向させるとヘ
ッド走行方向の磁気異方性が向上し、Brの配向比が向
上するので好ましい。また、優れた耐食性を求める場合
には磁性膜を構成する磁性体としてCo−Ni−Zr、
Co−Cr−Ta、Co−Ni−Cr、Co−Cr−P
tを主たる成分とする合金を用いることが望ましい。
【0026】さらに、磁性膜の保護膜としてカーボン、
水素添加カーボン、もしくはカーボンを主たる成分とす
る非磁性材料を膜厚10〜50nm形成し、さらに吸着
性のパーフルオロアルキルポリエーテル等の潤滑膜を膜
厚3〜20nm設けることにより信頼性が高く、高密度
記録が可能な磁気記録媒体が得られる。保護膜にはW−
C、(W−Mo)−C等の炭化物、(Zr−Nb)−
N、Si34 等の窒化物、SiO2 、ZrO2 等の酸
化物、あるいはB、B4C、MoS2 、Rh等を用いる
と耐摺動性、耐食性を向上できるので好ましい。
【0027】また、媒体表面の中心線平均粗さRaを上
記範囲の値とした場合に、CSS動作時のヘッドの粘着
を抑制するには、磁性膜上に保護膜を形成した後に微細
マスクを用いてプラズマエッチングすることで、表面に
高さ20nm以下の微細な突起を面積比で1〜20%の
大きさで設けるか、W−C等の化合物や、WとCとの混
合物等のターゲットを用いて保護膜表面に微細な突起を
生じせしめたり、あるいは熱処理によって表面に微細な
凹凸を形成すると、ヘッドと媒体と接触面積、摩擦力が
低減するため、ヘッドが媒体に粘着する問題が回避され
る。従って、上記処理等により保護膜が磁性膜表面に比
べて大きな面粗さを有するよう成膜することが好まし
い。
【0028】本発明による媒体はS/Nが極めて高いた
め、トラック幅が5μm以下のMRヘッドを用い、磁気
ヘッドの浮上量を0.01〜0.1μmとし、媒体の線
記録度を100kBPI以上、記録トラック密度を3.
5kTPI以上とした場合にS/Nが4以上となり、大
容量で高信頼性の磁気記録装置を提供することができ
る。また、最尤復号法による信号処理回路とを組み合わ
せるとさらに記録密度を向上できるのでより好ましい。
【0029】
【作用】レーザー光を熱源とするレーザー蒸着法により
MRヘッドあるいは磁気記録媒体の下地膜、磁性膜、保
護膜の少なくとも一種類の膜を形成する場合は、従来の
スパッタリング法のように成膜真空槽内にArガスを導
入する必要がないため、蒸着源であるターゲットからス
パッタリングされた蒸着粒子は散乱されずに基板表面に
到達する。その結果、得られた膜の表面は従来技術によ
る膜に比べ緻密で結晶粒が小さく、平滑なものとなり、
膜中にAr等の不活性ガス取り込まれることがなくな
る。従って、下地膜、MR膜、磁気記録膜、非磁性中間
膜、保護膜を極めて薄い膜厚で、しかも優れた膜厚均一
性で高強度に、かつ不均一歪がなく形成することが可能
となる。膜中に取り込まれるHe、Ne、Ar、Kr、
Rn不活性ガスの総量、もしくはP、Sの総量のいずれ
かが0.1at%以下であれば本効果は認められた。
【0030】レーザーのエネルギー密度を5〜100J
/cm2 とすると、レーザー1パルスあたりの成膜量が
0.001〜0.1nmと制御しやすい成膜条件となる
上、膜厚の均一性が向上する。また、爆発的蒸着により
粒径の大きな異物が薄膜中に混入することが防げる。レ
ーザーの発振周波数を1〜100Hzとすると成膜速度
の制御が容易となる。
【0031】また、蒸着中にレーザー光を光学系により
走査したり、蒸着源をレーザー光に対して相対的に移動
することにより、蒸着源上のレーザー光照射位置を0.
1mm/s〜1cm/sの速度で走査させると、蒸着源
が均一に消耗されるため、蒸着源の使用効率や膜厚の均
一性が向上する。特に、レーザー光照射位置を成膜面積
に応じた方向及び距離だけ、基板位置に対して相対的に
走査することにより、膜厚変動を5%以下にすることが
できる。例えば、ディスク基板に成膜する場合は、レー
ザー光照射位置を基板の半径方向に、基板の直径程度の
距離走査しながら、同時にディスク基板を回転すると、
基板全面に蒸発粒子を付着することが可能となるため、
膜厚変動は5%以下となる。
【0032】蒸着源とターゲットの距離を5〜30cm
とすると基板表面の広い範囲にわたって蒸着粒子が均一
に付着し、膜厚分布がさらに向上するので好ましい。成
膜中にディスク基板を250〜550℃に加熱すること
により、結晶性の向上や応力制御、組成偏析の促進効果
により磁気特性を制御することが可能となる。
【0033】また、本発明の方法を用いてMR膜素子を
有する薄膜磁気ヘッドを形成すると、シールド膜、バイ
アス印加膜等の下地膜、MR膜の表面は、スパッタリン
グ法により形成された従来の薄膜に比べ微視的凹凸が少
なく、中心線平均面粗さの波長が1〜40nmと膜厚変
動が少なく、その波長も短い平滑な薄膜となる。その結
果、膜厚の揺らぎに起因するMR膜と磁化バイアス膜と
の余分な磁気的な相互作用や、膜内の局所的な応力の発
生が抑制され、再生出力感度が高められるとともに、バ
ルクハウゼンノイズを低減できる。また、MR膜素子の
媒体側表面に本発明の方法によりカーボン等の保護膜を
形成すると、スパッタリング法により形成された従来の
保護膜に比べ緻密で高強度の保護膜が得られる。このた
め、膜厚を5〜10nmと薄くしても腐食や、媒体に接
触した時の温度変化による出力変動を抑えることがで
き、ヘッド−媒体間のスペーシングを低減できる。
【0034】また、本発明の方法により磁気記録媒体を
形成すると、下地膜や磁性膜を微視的な凹凸の少ない、
均一な膜厚とすることが可能である。その結果、磁気ヘ
ッドの浮上量を0.01〜0.1μmに低減した場合で
もヘッドと媒体の接触が起こらず、信頼性が向上する。
特に、磁気ディスク基板としてテクスチャー溝が形成さ
れた基板を用いる場合でも、本発明の方法によればテク
スチャー突起部での結晶粒の異常成長が抑制され、従来
より平滑な膜表面が得られる。また、本発明の方法によ
り磁性膜内に非磁性中間膜を有する媒体を形成する場
合、磁性膜や非磁性中間膜を極めて薄い膜厚で、しかも
優れた膜厚均一性で形成することが可能である。特に、
非磁性中間膜の膜厚を1nm以下とする場合でも、連続
的な非磁性中間膜の形成が可能である。
【0035】本発明の方法により磁気記録媒体を形成す
る際、成膜中に基板に到達する蒸着粒子の運動エネルギ
ーを0.1〜50eVとすると、下地Cr膜の結晶がb
cc構造、磁性膜結晶がhcp構造となり、高いHcが
得られる。もし、蒸着粒子の運動エネルギーが上記範囲
以上になると、下地Cr膜が実質的に非晶質となる。ま
た、磁性膜結晶は面心立方構造(face-centered cubi
c:以後fccと略記する)となり、Hcが500Oe
以下と低くなり、記録媒体として好ましくない。
【0036】ただし、本発明の方法により磁気ヘッド用
の軟磁性膜を形成する場合は、Hcが低い方が好ましい
ため、上記蒸着粒子の運動エネルギー制御は必ずしも必
要がない場合もある。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。 〔実施例1〕図1は、本発明に係る薄膜媒体の断面構造
を模式的に示したものである。同図において、符号11
はAl−Mg合金、化学強化ガラス、有機樹脂、Ti、
Si、カーボン、あるいはTiO2 、SiC等のセラミ
ックス等からなる磁気ディスク基板、12及び12’は
基板11の両面に形成したNi−P、Ni−W−P等か
らなる非磁性メッキ層である。Al−Mg合金を基板と
して用いた場合にはこのようなメッキ層を備えたものを
基板として用いる。13及び13’はCr、Mo、W、
又はCr、Mo、Wのいずれかを主な成分とする合金か
らなる非磁性下地膜、14及び14’は当該下地膜の上
に形成したCo−Ni、Co−Cr、Co−Fe、Co
−Mo、Co−W、Co−Pt、Co−Re、Co−
P、Co−Ni−Zr、Co−Cr−Ta、Co−Cr
−Pt、Co−Ni−Cr、Co−Cr−Al、Co−
Cr−Nb、Co−Ni−P、又はCo−Cr−Si等
からなる金属磁性層、15及び15’は当該磁性膜の上
に形成したカーボン、W−C、(W−Mo)−C、(W
−Zr)−C、SiC、(Zr−Nb)−N、Si34
、SiO2 、ZrO2 、ボロン、B4C、MoS2 、又
はRh等からなる非磁性保護膜をそれぞれ示す。
【0038】外径65mm、内径20mm、厚さ0.6
4mmのAl−4Mg(原子記号の前に付した数字は当
該素材の含有量を示す。この場合の含有量の単位は重量
%)からなるディスク基板の両面にNi−12P(重量
%)からなるメッキ層を膜厚10μm形成した。この非
磁性基板の表面をラッピングマシンを用いて中心線平均
粗さRaが1.5nmとなるまで平滑に研磨し、洗浄及
び乾燥した。次に、テープポリッシングマシンを用い、
砥粒平均径1μm以下の研磨剤を有する研磨テープをコ
ンタクトロールを通してディスク基板11を回転させな
がらディスク面の両側に押しつけることにより、基板表
面にヘッド走行方向に深さや密度が不規則なテクスチャ
ー溝を形成した。その後、基板に付着した研磨剤等の汚
れを洗浄して乾燥した。表面に形成された溝の中心線平
均粗さRaを半径方向に測定した値は0.3nm、ヘッ
ド走行方向と略垂直方向の距離1μmにおける、深さ1
nm以上、50nm以下のテクスチャー溝の平均密度N
は30本〜50本の範囲とし、溝の方向は円周方向に対
して0〜±45度の範囲で無秩序とした。
【0039】上記ディスク基板を真空装置内で、真空槽
体積当りの水蒸気の排気速度300l/s以上の排気ポ
ンプを用いて真空保持しながら、250℃まで加熱した
後、アルゴンガスを用いてプラズマ出力密度100mW
/cm2 においてプラズマエッチングし、表面の酸化物
等の汚染皮膜を除去した。その後、該基板を真空中で搬
送し、図2に示すレーザー蒸着室内に装着した。
【0040】図2において、符号21はレーザー発振装
置、22は集光走査レンズ系、23は非磁性下地膜蒸着
源、24は磁性膜蒸着源、25は非磁性保護膜蒸着源、
26はこれらの蒸着源を装着して回転可能な蒸着源移動
系、27はシャッター、28は基板、29は基板回転
軸、201は基板加熱用赤外線ランプ、203は石英
窓、204は蒸着室、206は電荷を有する蒸着粒子の
運動エネルギー制御部である。蒸着粒子運動エネルギー
制御部206は、図3に示すように、帯電粒子を偏向し
て除去するための磁場発生部31及び偏向電極32を組
み込んでいる。磁場発生部と偏向電極は、必ずしも両方
を備える必要はなく、いずれか一方を備えるだけでもよ
い。
【0041】成膜時には、図示しない排気手段により蒸
着室204内を50mTorr以下に真空排気した。レ
ーザー発振装置21は、充填するガス種を変えることに
より波長、エネルギーの異なるレーザー光を発振可能で
ある。一例として、純度99.99%のHeを1726
Torr、純度99.99%のKrを90Torr、純
度99.9%のHe(95mol%)−F2(5mol
%)混合ガスを60Torr充填することにより、波長
248nmのエキシマレーザー光を25Hzでパルス発
振した。この時のレーザー光1パルスあたりのエネルギ
ーは約500mJである。
【0042】非磁性下地膜蒸着源23にはCr、金属磁
性膜蒸着源24にはCo−25Cr−20Pt合金(以
後、合金膜組成の単位は原子%で表す)、非磁性保護膜
蒸着源25にはCからなる板状ターゲット材を用い、タ
ーゲット背面を水冷した。また、各蒸着源の表面は研磨
により鏡面状に平滑加工した。レーザー光をレンズ系2
2によりスポット径1〜5mm程度に集光し、Cr蒸着
源23上を0.1mm/s以上、1cm/s以下の速度
で二次元的に往復走査させ、Cr蒸着源表面が均一に蒸
発するようにした。この時の、蒸着源上のレーザー照射
エネルギー密度はレーザー光1パルスあたり20J/c
2 であり、これによりCr粒子が205に示すように
蒸発して、レーザー光1パルスあたりの成膜量0.00
5nmにおいて、蒸着源より7cm離れたディスク基板
28上に堆積した。その際、蒸着粒子の運動エネルギー
制御部206により、成膜中に基板に到達する帯電した
蒸着粒子の運動エネルギーを0.1eV以上、50eV
以下とした。成膜中は基板回転軸29により基板を10
0rpmで回転し、基板上の膜厚分布を均一化した。上
述のようなレーザー光走査及び基板回転を行うことによ
り、Cr膜の膜厚分布は±3%と実用上充分に小さくす
ることが可能であった。成膜中は赤外線ランプ201に
より基板の温度を約300℃に保った。膜厚の制御はシ
ャッター27の開閉により行った。
【0043】本方法によりCr下地膜を膜厚50nm形
成した後、蒸着源移動系26により蒸着源の位置を移動
し、Co−25Cr−20Pt合金蒸着源24上にレー
ザー光を集光、二次元走査しながら照射し、膜厚10n
mの該合金膜を上述のCr膜上に成膜した。その後、蒸
着源移動系26により蒸着源の位置を移動し、Cr蒸着
源23上にレーザー光を照射し、膜厚1nmの非磁性中
間Cr膜をCo−25Cr−20Pt合金磁性膜上に成
膜した。さらに、蒸着源移動系26により蒸着源を移動
し、Co−25Cr−20Pt合金蒸着源24上にレー
ザー光を照射し、膜厚10nmのCo−25Cr−20
Pt合金磁性膜を非磁性中間Cr膜上に成膜した。さら
に、蒸着源移動系26により蒸着源を移動し、C蒸着源
25上にレーザー光を照射し、膜厚10nmのC保護膜
をCo−25Cr−20Pt合金磁性膜上に成膜した。
最後に保護膜上に吸着性のパーフルオロアルキルポリエ
ーテル等の潤滑層を形成した。
【0044】また、従来技術を用いた比較例として、上
記媒体試料と全く同じ膜厚構成の試料を、直流マグネト
ロンスパッタリング法によりアルゴン圧15mTorr
において成膜し、イオンビームスパッタリング法により
アルゴン圧0.2mTorrにおいて成膜した。媒体の
静磁気特性(Hc、Br)を最大印加磁界14kOeの
振動式磁化測定機(VSM)により求めた。また、記録
再生特性をヘッド浮上量0.08μm、実効ギャップ長
0.4μm、トラック幅3μmで再生部にMR素子を有
する複合型薄膜磁気ヘッドを用いて線記録密度100k
BPIにおいて再生信号のS/Nの値を求めた。
【0045】異なる種類のレーザーを用いた蒸着法、及
び比較例としてのスパッタリング法、及びイオンビーム
スパッタリング法により作成した磁気記録媒体の特性を
表1に示す。ここでは、透過電子顕微鏡により求めたC
r下地膜、磁性膜の平均結晶粒径、非磁性Cr中間膜の
膜厚分布、半径方向に測定した媒体表面の中心線平均粗
さRa、浮上量0.05μmにおいてヘッドを媒体内周
から外周まで10万回シーク試験した時のヘッド−媒体
間の接触回数、X線回折分析によるCr下地膜の(20
0)格子面及び磁性膜の(110)格子面の回折ピーク
強度、円周方向に測定した保磁力Hc、円周方向に測定
した磁性膜の残留磁化Br1と膜厚δとの積Br1δ、円
周方向に測定した磁性膜の残留磁化Br1 と半径方向に
測定した残留磁化Br2 との比Br1 /Br2 、再生信
号のS/Nを示した。本実施例による磁気記録媒体にお
ける中心線平均面粗さの微細な変動の波長は、いずれも
30nm程度であった。
【0046】
【表1】
【0047】表1から明らかなように、スパッタリング
法を用いた比較例に較べ、本実施例のレーザー蒸着法に
よる試料では結晶粒径が小さいため、Cr中間膜の膜厚
分布、媒体表面の中心線平均粗さ、及びヘッドシーク試
験時の接触回数を著しく小さい値とすることができた。
また、Cr下地膜及び磁性膜のX線回折ピーク強度が比
較例より増した。これはレーザー蒸着により得られた膜
が比較例より緻密であること、及び結晶粒径が比較例よ
り小さいため膜表面が平滑となり、格子面が実質的に基
板面と平行となるためである。従って、この時には磁性
膜の磁化容易方向であるc軸は実質的に基板面と平行で
ある。本実施例では膜中のArガスの成分は0.05a
t%以下であった。
【0048】以上のような結晶配向性の結果、レーザー
蒸着法による試料ではHc及びBr 1/Br2が比較例に
比べ向上している。さらに、再生信号のS/Nもレーザ
ー蒸着法による試料の方が比較例に較べ増加した。これ
は、上述の磁性膜の結晶粒径の微細化、非磁性中間層の
膜厚均一化、結晶配向性の向上、Hc及びBr1 /Br
2 の向上、及びArガスの混入による欠陥等がないこと
によるものである。
【0049】以上の効果はレーザーの種類を変えた場合
でも同様に認められ、1パルスあたりのエネルギー密度
を1J/cm2 以上、100J/cm2 以下、発振周波
数を1Hz以上、100Hz以下とした場合でも同様に
認められた。また、磁性膜にCo−10Ni−10Cr
(原子%)、Co−40Ni−5Zr(原子%)、Co
−30Ni−20Pt(原子%)を用いた場合でも上記
効果は確認された。
【0050】上記磁気記録媒体の磁性膜のみをレーザー
蒸着法により作成し、それ以外の膜を従来のマグネトロ
ンスパッタリングにより作成した場合でも、全ての膜を
マグネトロンスパッタリングにより作成した比較例に較
べ、媒体表面の中心線平均粗さRaが20〜40%低減
し、その結果、ヘッド浮上量0.05μmにおける接触
回数が20〜40%減少し、再生信号のS/Nが増加す
るなどの特性向上が確認された。
【0051】上記磁気記録媒体のカーボン、W−C、
(W−Mo)−C、(W−Zr)−C、SiC、(Zr
−Nb)−N、Si34 、SiO2 、ZrO2 、ボロ
ン、B4C、MoS2 、又はRh等の保護膜のみをレー
ザー蒸着法により作成し、それ以外の膜を従来のマグネ
トロンスパッタリングにより作成した場合でも、全ての
膜をマグネトロンスパッタリングにより作成した比較例
に較べ、媒体表面の中心線平均粗さRaが20〜40%
低減し、その結果、ヘッド浮上量0.05μmにおける
接触回数が20〜40%減少するなどの特性向上が確認
された。また、下地膜を形成せずとも同等の特性のもの
が得られた。
【0052】〔実施例2〕外径48mm、内径12m
m、厚さ0.44mmのカーボンディスク基板上に実施
例1と同様のレーザー蒸着装置を用いて、膜厚50nm
のNi−30P(原子%)下地膜、その上に膜厚150
nmのCr−20Ti(原子%)下地膜を形成した。さ
らに下地膜上に膜厚15nmのCo−25Cr−20P
t(原子%)合金系磁性膜、及び膜厚20nmの水素含
有カーボン保護膜を形成した。この時、蒸着源上の1パ
ルスあたりのレーザー照射エネルギー密度は10J/c
2 、発振周波数は100Hz、蒸着源と基板との間隔
は10cm、レーザー1パルスあたりの成膜量は0.0
01nmとした。最後に保護膜上に吸着性のパーフルオ
ロアルキルポリエーテル等の潤滑層を形成した。
【0053】上記方法により形成された磁気記録媒体を
X線回折分析した結果、Cr下地層では体心立方構造の
(110)結晶格子面が基板面と略並行となるよう結晶
が配向成長していた。また、磁性層では六方晶構造の
(100)面がディスク基板表面と略並行となるよう配
向していた。また、膜中に不活性ガスは0.01at%
以下の感度で全く認められなかった。
【0054】本実施例の媒体を用いて、浮上量0.03
μmにおいてMRヘッドを媒体内周から外周まで10万
回シークした結果、ヘッドと媒体の接触は全く起こらな
いことが確認された。また、比較例として、上記媒体試
料と全く同じ膜厚構成の試料を、直流マグネトロンスパ
ッタリング法を用いてアルゴン圧15mTorrで形成
し、本実施例のレーザー蒸着法により作成した試料と比
較した。また、本媒体の静磁気特性、及びMRヘッドを
用いた場合の記録再生特性を実施例1と同様に求めた。
【0055】下地膜及び磁性膜を形成する際の基板加熱
温度と記録再生信号のS/Nの関係を図4に示す。基板
加熱温度を250℃以上、550℃以下とすることによ
りS/Nは4以上となり、従来技術による比較例のS/
Nの値1.5に較べ高い値を示した。以上の効果はTi
2基板、Ti基板、SiC基板、化学強化ガラス基板
でも同様に認められた。また、Cr、Mo、W、V、T
a、Nb、Zr、Ti、B、Be、C、Ni−Pの少な
くとも一つを主たる成分として、膜厚が0.5nm〜5
nmである非磁性中間膜により磁性膜を2膜以上に多膜
化すると、単膜の磁性膜に比べて媒体ノイズNdは約4
0%低減した。また、Cr、Mo、あるいはWを主たる
成分とし、Ti、Ta、Pt、Pd、Si、Fe、V、
Pのいずれか少なくとも1種の元素を添加した合金下地
膜を膜厚1nm以上、500nm以下となるよう形成し
た場合も、同様の結果が得られた。
【0056】〔実施例3〕実施例1と同等の特性を有す
る磁気記録媒体のカーボン保護膜表面に開口部のピッチ
が1〜100μmに分布している粒子状マスクを設置し
た。その後、マスクに覆われない部分のカーボン保護膜
を酸素プラズマエッチングにより深さ1nm以上、20
nm未満エッチングした。こうして得られた磁気記録媒
体の縦断面構造を図5に示す。図5において符号51は
磁気ディスク基板、52は非磁性第1下地膜、53は非
磁性第2下地膜、54は金属磁性膜、55は非磁性中間
膜、56は非磁性保護膜、57は保護膜エッチング部で
あり、保護膜表面にピッチ1μm以上、100μm以下
の凹凸が形成された。
【0057】本実施例の媒体を用いてヘッドの浮上性、
及び耐摺動信頼性を測定した。ロードアンロード方式に
よりヘッドを浮上した場合には、本媒体は実施例1と同
等の耐摺動信頼性を示したが、特に、コンタクト・スタ
ート・ストップ方式でヘッドを浮上させた場合には、実
施例1の媒体よりヘッドの粘着を低減することができ、
寿命は2倍に向上した。ヘッドの浮上性は実施例1の媒
体と同等であった。また、保護膜としてW−C、(W−
Mo)−C、(W−Zr)−C、SiC、(Zr−N
b)−N、Si34 、SiO2 、ZrO2 、ボロン、
4C、MoS2 等を用いた場合にも上記と同様の効果
が認められた。
【0058】〔実施例4〕再生部にMR素子を有する複
合型薄膜磁気ヘッドを、従来、スパッタリング法や真空
蒸着法等を用いていた薄膜形成プロセスを、実施例1と
同様の装置を用いたレーザー蒸着法により形成した。蒸
着源にはそれぞれの薄膜と同じ組成を有するターゲット
を用いた。また、パターン形成法、ヘッド切り出し法
等、薄膜形成プロセス以外の工程は従来と同じ方法によ
ってヘッドを形成した。
【0059】ヘッドを浮上面側から見た構造を図6に示
す。再生ヘッド部61は2枚の磁気シールド62に挾ま
れ、両端に電極63を設けた磁気抵抗効果素子64から
なる。記録ヘッド部65はメッキ法によるコイルを挾ん
だ、スパッタリング法によるCo−Ta−Zr、メッキ
法によるCo−Ni−Fe等の合金を用いた2つの記録
用磁極66からなる。記録用磁極はスパッタリング法、
メッキ法のいずれで形成してもよい。本実施例では記録
トラック幅は5μm、再生トラック幅は4μmとし、磁
気シールド及び記録磁極には膜厚2μmのCo系アモル
ファス膜、もしくはCo−Ni−Fe膜を用いた。66
と62は兼用してもよいことは言うまでもない。磁気抵
抗効果素子64には膜厚20nmのパーマロイを用い
た。また、パーマロイ素子の両端にはFe−Mn反強磁
性膜を設けて単磁区化し、さらにバイアス磁界を印加す
るために、図中には省略して示していないが、磁気抵抗
効果膜に隣接して膜厚15nmのTa導電膜、及び膜厚
20nmのNi−Fe−Rh−Co膜を設け、これに分
流した電流でバイアス磁界を印加した。磁気抵抗効果素
子の長さは15μm、高さは3μmとした。磁気抵抗効
果素子の上下に設けた絶縁膜には膜厚150nmのアル
ミナを使用した。磁気抵抗効果素子の両端に設けた電極
63には膜厚150nmの銅を用いた。さらに、ヘッド
スライダー部を加工した後、浮上面にスパッタリング法
によりカーボン保護膜を膜厚10nm形成した。Co−
Ta−Zr、Co−Ni−Fe、カーボン保護膜以外に
はAr、He、Ne、Kr、Rnの総量、もしくはP、
Sの総量は0.01at%以下しか認められなかった。
【0060】本方法により形成したMRヘッドは、従来
のスパッタリング法により形成したヘッドに比べ各層の
膜厚変動及び平坦性を1/2以下に低減することができ
た。このため、バルクハウゼンノイズの発生を完全に抑
えることができ、さらにスパッタリング法によるヘッド
に比べて1.5倍の再生感度が得られた。また、上記M
Rヘッドにおいて、レーザー蒸着法により磁気抵抗効果
素子のみを形成し、その他の部分を従来のスパッタリン
グ法等により形成した場合も、全ての部分を従来のスパ
ッタリング法等により形成したヘッドに比べ、バルクハ
ウゼンノイズの発生を完全に抑えることができ、さらに
スパッタリング法によるヘッドに比べて1.3倍の再生
感度が得られた。
【0061】さらに、素子部の表面に保護膜としてカー
ボン、W−C、(W−Mo)−C、(W−Zr)−C、
SiC、(Zr−Nb)−N、Si34 、SiO2
ZrO2 、ボロン、B4C、MoS2 等を本発明のレー
ザー蒸着法により形成することにより、従来のスパッタ
リング法により形成した場合に比べてヘッドが媒体に接
触した際のノイズの発生を1/2に低減でき、また、耐
食性も2倍に向上した。
【0062】〔実施例5〕再生部に巨大磁気抵抗効果膜
を有する複合型薄膜磁気ヘッドを、従来、イオンビーム
スパッタリング法による薄膜形成プロセスを、実施例1
と同様の装置を用いたレーザー蒸着法により形成した。
蒸着源にはそれぞれの薄膜と同じ組成を有するターゲッ
トを用いた。また、パターン形成法、ヘッド切り出し法
等、薄膜形成プロセス以外の工程は従来と同じ方法によ
ってヘッドを形成した。
【0063】本発明で形成した巨大磁気抵抗効果膜の断
面構造を図7に示す。基板71にはSi(100)を用
い、バッファ層72として厚さ5nmのHfを用いた。
磁性層73及び75には、厚さ3nmのNi−20Fe
(原子%)合金を用いた。非磁性層74には、厚さ2n
mのCuを用いた。また、反強磁性層76には、厚さ5
nmのFe−40Mn(原子%)合金を用いた。また、
保護層77には、厚さ5nmのHfを用いた。膜形成速
度は、0.1〜0.2nm/sである。また、膜中のA
r、He、Ne、Kr、Rnの総量、もしくはP、Sの
総量は0.01at%以下しか認められなかった。
【0064】本発明のレーザー蒸着法を用いて作成した
場合には、従来のイオンビームスパッタリング法等によ
り形成した場合に比べ、各層の膜厚変動及び平坦性を1
/2以下に低減することができた。このため、バルクハ
ウゼンノイズの発生を完全に抑えることができ、さらに
スパッタリング法によるヘッドに比べて1.4倍の再生
感度が得られた。
【0065】〔実施例6〕実施例1〜3に示した媒体4
枚と、実施例4〜5に示した再生部に磁気抵抗効果素子
を有する複合型薄膜磁気ヘッド7個と、Ni−Fe合金
を記録再生用磁極とするサーボ用の薄膜ヘッドとを組み
合わせた磁気記録装置を試作した。本装置は、図8に示
すように磁気記録媒体81、磁気記録媒体駆動部82、
磁気ヘッド83、磁気ヘッド駆動部84、記録再生信号
処理系85などの部品から構成される。
【0066】この磁気記録装置を使用し、スペーシング
0.05μmにおいてエラーが発生するまでの平均時間
を求めたところ、スパッタリング法などの従来の方法の
みを用いて製造した磁気記録部品からなる磁気記録装置
の場合の約2倍になり、信頼性が極めて高いことを実証
できた。また、本実施例で試作した磁気記録装置はヘッ
ド浮上量が低いため、信号の記録再生における位相マー
ジンが広くなり、比較例の媒体を用いた浮上量0.12
μmの装置に比べて面記録密度を3倍に高めることがで
き、小形で大容量の磁気記録装置を提供できた。本実施
例の装置を用いてトラック幅が5μm以下のMRヘッド
で再生した場合に100kBPI以上の高い記録密度に
おいてS/Nが4以上、さらに、オーバーライト(O/
W)特性が26dB以上の大容量磁気記録装置が得られ
た。特に、3.5kTPI以上の高記録密度時にも本実
施例の媒体はトラック幅方向の書きにじみが充分に行わ
れるため、高いS/Nが得られた。また、基板表面のテ
クスチャー形状が小さく、高密度であり、方向が無秩序
であるためサーボ信号の品位も高く、良好なヘッド位置
決めが可能であった。
【0067】前記実施例では、Co−Ni−Feもしく
はCo−Ta−Zr合金を磁極材とする薄膜磁気ヘッド
を用いた場合について説明したが、Ni−Fe、Fe−
Al合金磁性膜、もしくはこれらを用いた多層磁性膜等
を記録用磁極材とする録再分離型薄膜磁気ヘッド、Co
−Ta−Zr、Fe−Al−Si合金等をギャップ部に
設けたメタル・イン・ギャップ型(MIG)録再分離複
合磁気ヘッド、さらには誘導型薄膜ヘッド又はMIGヘ
ッドを用いた場合にも同様の効果が得られることを確認
した。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、下地膜、MR膜、磁気
記録膜、非磁性中間膜、保護膜等を結晶粒が小さく緻密
にして極めて薄い膜厚で、しかも優れた膜厚均一性で高
強度に、かつ不均一歪がなく形成することができ、S/
Nが極めて高く高密度記録が可能な磁気記録媒体、及び
膜厚の揺らぎに起因するMR膜と磁化バイアス膜との余
分な磁気的な相互作用や膜内の局所的な応力の発生を抑
制して再生出力感度を高めると共にバルクハウゼンノイ
ズを低減した薄膜磁気ヘッドを得ることができ、さらに
これらの磁気記録媒体及び磁気ヘッドを用いて小形で大
容量かつ高信頼性の磁気記録装置を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の薄膜型磁気記録媒体の縦断
面構造図。
【図2】本発明の一実施例のレーザー蒸着室の構造図。
【図3】本発明の一実施例のレーザー蒸着室の蒸発粒子
運動エネルギー制御部の構造図。
【図4】本発明の一実施例の基板加熱温度とS/Nの関
係を示す図。
【図5】本発明の一実施例の薄膜型磁気記録媒体の縦断
面構造図。
【図6】本発明の一実施例の複合型薄膜磁気ヘッドの構
造図。
【図7】本発明の一実施例の巨大磁気抵抗効果素子の断
面構造図。
【図8】本発明の一実施例の磁気記録装置の縦断面構
造。
【符号の説明】
11…磁気ディスク基板、12,12’…非磁性メッキ
層、13,13’…非磁性下地膜、14,14’…金属
磁性膜、15,15’…非磁性保護膜、21…レーザー
発振装置、22…集光走査レンズ系、23…非磁性下地
膜蒸着源、24…磁性膜蒸着源、25…非磁性保護膜蒸
着源、26…蒸着源移動系、27…シャッター、28…
基板、29…基板回転軸、31…磁場発生部、32…偏
向電極、51…磁気ディスク基板、52…非磁性第1下
地膜、53…非磁性第2下地膜、54…金属磁性膜、5
5…非磁性中間膜、56…非磁性保護膜、57…保護膜
エッチング部、61…再生ヘッド部、62…磁気シール
ド、63…電極、64…磁気抵抗効果素子、65…記録
ヘッド部、66記録用磁極、71…基板、72…バッフ
ァ層、73,75…磁性層、74…非磁性層、76…反
強磁性層、77…保護層、81…磁気記録媒体、82…
磁気記録媒体駆動部、83…磁気ヘッド、84…磁気ヘ
ッド駆動部、85…記録再生信号処理系、201…基板
加熱用赤外線ランプ、202…レーザー光、203…石
英窓、204…蒸着室、205…蒸発粒子、206…蒸
発粒子運動エネルギー制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/66 9196−5D 5/82 9196−5D (72)発明者 棚橋 究 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板上に直接又は少なくとも一層
    の下地膜を介して磁性膜を形成する工程と、更にその上
    に保護膜を形成する工程を含む磁気記録媒体の製造方法
    において、 真空排気した容器内に前記基板を配置すると共に前記基
    板面に蒸着用ターゲットを対向配置し、該ターゲットの
    前記基板対向面に光照射してターゲットを蒸発させ、蒸
    発したターゲット材料粒子を堆積させることによって前
    記基板上の前記下地膜、磁性膜、保護膜の少なくとも一
    種類の膜を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記光照射のための光源としてレーザー
    を使用することを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記レーザーとしてパルスレーザーを使
    用することを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ターゲットに照射するレーザー光の
    1パルスあたりのエネルギー密度を5J/cm2 以上、
    100J/cm2 以下とすることを特徴とする請求項3
    記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 レーザー光1パルスあたりの成膜量を
    0.001nm以上、0.1nm以下とすることを特徴
    とする請求項3又は4記載の磁気記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 レーザーの発振周波数を1Hz以上、1
    00Hz以下とすることを特徴とする請求項3、4又は
    5記載の磁気記録媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 ターゲット上のレーザー光照射位置を
    0.1mm/s以上、1cm/s以下の速度で移動させ
    ることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載の
    磁気記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 ターゲットと基板の間隔を5cm以上、
    30cm以下とすることを特徴とする請求項1〜7のい
    ずれか1項記載の磁気記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 成膜中に基板を250℃以上、550℃
    以下に加熱することを特徴とする請求項1〜8のいずれ
    か1項記載の磁気記録媒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 成膜中に基板に到達する帯電蒸着粒子
    の運動エネルギーが0.1eV以上、50eV以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の
    磁気記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 基板上に直接又は少なくとも一層の下
    地膜を介して磁性膜を形成する工程と、表面に保護膜を
    形成する工程を含む磁気ヘッドの製造方法において、 真空排気した容器内に前記基板を配置すると共に前記基
    板面に蒸着用ターゲットを対向配置し、該ターゲットの
    前記基板対向面に光照射してターゲットを蒸発させ、蒸
    発したターゲット材料粒子を堆積させることによって前
    記基板上の前記下地膜、磁性膜、保護膜の少なくとも一
    種類の膜を形成することを特徴とする磁気ヘッドの製造
    方法。
  12. 【請求項12】 再生部に磁気抵抗効果膜を形成するこ
    とを特徴とする請求項11記載の磁気ヘッドの製造方
    法。
  13. 【請求項13】 再生部に巨大磁気抵抗効果膜を形成す
    ることを特徴とする請求項11記載の磁気ヘッドの製造
    方法。
  14. 【請求項14】 前記光照射のための光源としてレーザ
    ーを使用することを特徴とする請求項11、12又は1
    3記載の磁気ヘッドの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記レーザーとしてパルスレーザーを
    使用することを特徴とする請求項14記載の磁気ヘッド
    の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記ターゲットに照射するレーザー光
    の1パルスあたりのエネルギー密度を5J/cm2
    上、100J/cm2 以下とすることを特徴とする請求
    項15記載の磁気ヘッドの製造方法。
  17. 【請求項17】 レーザー光1パルスあたりの成膜量を
    0.001nm以上、0.1nm以下とすることを特徴
    とする請求項15又は16記載の磁気ヘッドの製造方
    法。
  18. 【請求項18】 レーザーの発振周波数を1Hz以上、
    100Hz以下とすることを特徴とする請求項15、1
    6又は17記載の磁気ヘッドの製造方法。
  19. 【請求項19】 ターゲット上のレーザー光照射位置を
    0.1mm/s以上、1cm/s以下の速度で移動させ
    ることを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項記
    載の磁気ヘッドの製造方法。
  20. 【請求項20】 ターゲットと基板の間隔を5cm以
    上、30cm以下とすることを特徴とする請求項11〜
    19のいずれか1項記載の磁気ヘッドの製造方法。
  21. 【請求項21】 成膜中に基板を250℃以上、550
    ℃以下に加熱することを特徴とする請求項11〜20の
    いずれか1項記載の磁気ヘッドの製造方法。
  22. 【請求項22】 成膜中に基板に到達する帯電蒸着粒子
    の運動エネルギーが0.1eV以上、50eV以下であ
    ることを特徴とする請求項11〜21のいずれか1項記
    載の磁気ヘッドの製造方法。
  23. 【請求項23】 基板を回転可能に支持する支持手段、
    前記支持手段を回転駆動する手段、基板を所定温度に加
    熱する手段、複数の蒸着用ターゲットを支持すると共に
    選択されたターゲットを前記基板に対向配置させるター
    ゲット駆動手段、及び前記基板に配向配置されたターゲ
    ットと前記基板の間に位置し高エネルギーの帯電粒子を
    除去するための蒸着粒子運動エネルギー制御部を内部に
    収容し光学窓を有する蒸着室と、該蒸着室を真空排気す
    る手段と、レーザー光源と、光走査手段とを含み、 前記レーザー光源からのレーザー光を前記光走査手段を
    通した後、真空排気された前記蒸着室の光学窓を介して
    前記蒸着室に入射させ、前記基板に対向配置されたター
    ゲットの表面に集光させると共に前記光走査手段によっ
    てターゲット表面上を2次元的に走査させ、該ターゲッ
    トから蒸発した粒子を前記蒸着粒子運動エネルギー制御
    部を通過させた後、前記基板表面に堆積させることを特
    徴とするレーザー蒸着装置。
  24. 【請求項24】 蒸着粒子運動エネルギー制御部は運動
    エネルギーの高い帯電蒸着粒子を除去するための磁場発
    生部を有することを特徴とする請求項23記載のレーザ
    ー蒸着装置。
  25. 【請求項25】 蒸着粒子運動エネルギー制御部は運動
    エネルギーの高い荷電蒸着粒子を除去するための偏向電
    極を有することを特徴とする請求項23記載のレーザー
    蒸着装置。
  26. 【請求項26】 請求項1〜10のいずれか1項記載の
    製造方法により製造された磁気記録媒体であって、ヘッ
    ド走行方向と垂直の方向に測定した媒体表面の中心線平
    均粗さが0.3nm以上、3nm以下であることを特徴
    とする磁気記録媒体。
  27. 【請求項27】 請求項1〜10のいずれか1項記載の
    製造方法により製造された磁気記録媒体であって、非磁
    性ディスク基板とCoを主たる元素とする磁性膜との間
    にCr、Mo、W、Nb、Taのいずれか又はそれを主
    たる成分とする合金からなる膜厚1nm以上、500n
    m以下の下地膜を磁性膜に隣接して設けたことを特徴と
    する磁気記録媒体。
  28. 【請求項28】 請求項1〜10のいずれか1項記載の
    製造方法により製造された磁気記録媒体であって、C
    r、Mo、W、V、Ta、Nb、Zr、Ti、B、B
    e、C、Ni−Pの少なくとも一つを主たる成分とする
    膜厚0.5nm以上、5nm以下の非磁性中間膜により
    磁性膜を2膜以上に多膜化したことを特徴とする磁気記
    録媒体。
  29. 【請求項29】 請求項1〜10のいずれか1項記載の
    製造方法により製造された磁気記録媒体であって、磁性
    膜の磁化容易軸が実質的に基板面内の方向に配向してい
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  30. 【請求項30】 請求項1〜10のいずれか1項記載の
    製造方法により製造された磁気記録媒体であって、六方
    晶構造を有する磁性膜のc軸が実質的に基板面内の方向
    に配向していることを特徴とする磁気記録媒体。
  31. 【請求項31】 請求項1〜10のいずれか1項記載の
    製造方法により製造された磁気記録媒体であって、磁性
    膜がCo−Ni−Zr系、Co−Cr−Ta系、Co−
    Cr−Ni系、又はCo−Cr−Pt系の合金を主たる
    成分とすることを特徴とする磁気記録媒体。
  32. 【請求項32】 膜中に含有されるAr、He、Ne、
    Kr、Xe、Rnの総量、もしくはP、Sの総量のいず
    れもが0.1at%以下である薄膜を少なくとも1種含
    む磁気記録媒体。
  33. 【請求項33】 膜表面の微細中心線平均面粗さの波長
    が1nm以上、40nm以下である薄膜を少なくとも1
    種含む磁気記録媒体。
  34. 【請求項34】 請求項11〜22のいずれか1項記載
    の製造方法により製造された磁気ヘッド。
  35. 【請求項35】 膜中に含有されるAr、He、Ne、
    Kr、Xe、Rnの総量、もしくはP、Sの総量のいず
    れもが0.1at%以下である薄膜を少なくとも1種含
    む磁気ヘッド。
  36. 【請求項36】 膜表面の微細中心線平均面粗さの波長
    が1nm以上、40nm以下である薄膜を少なくとも1
    種含む磁気ヘッド。
  37. 【請求項37】 請求項26〜33のいずれか1項記載
    の磁気記録媒体と、磁気記録媒体駆動部と、請求項34
    〜36のいずれか1項記載の磁気ヘッドと、磁気ヘッド
    駆動部と、記録再生信号処理系と含み、磁気記録媒体表
    面に対する磁気ヘッドの浮上量が0.01μm以上、
    0.1μm以下であることを特徴とする磁気記録装置。
  38. 【請求項38】 磁気記録媒体と、磁気記録媒体駆動部
    と、磁気抵抗効果型再生部を有する磁気ヘッドと、磁気
    ヘッド駆動部と、記録再生信号処理系とを含む磁気記録
    装置において、請求項26〜33のいずれか1項記載の
    磁気記録媒体、又は請求項34〜36のいずれか1項記
    載の磁気ヘッドの少なくとも一つを備えることを特徴と
    する磁気記録装置。
  39. 【請求項39】 線記録密度が100kBPI以上であ
    る請求項26〜33のいずれか1項記載の磁気記録媒体
    と磁気抵抗効果素子を備える磁気ヘッドとを含むことを
    特徴とする磁気記録装置。
  40. 【請求項40】 記録トラック密度が3.5kTPI以
    上である請求項26〜33のいずれか1項記載の磁気記
    録媒体と磁気抵抗効果素子を備える磁気ヘッドとを含む
    ことを特徴とする磁気記録装置。
JP20333693A 1993-08-17 1993-08-17 磁気記録媒体及び磁気ヘッド並びにその製造方法及び製造装置 Pending JPH0757261A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007273000A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Hoya Corp 磁気記録媒体

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