JPH0777600B2 - スチームアイロン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ベースの下面から適宜
スチームを噴出させることのできるスチームアイロンに
関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のスチームアイロンは水タンクを
備え、この水タンク内に収容した水を適宜ベースの蒸発
室内に滴下してスチームとし、このスチームをベースの
下面側に導びいて噴出させるようになっている。そして
近時、その水タンクに対する注水および排水の作業を容
易にするために、図４に示すように、水タンクａをアイ
ロン本体ｂと別個に構成し、使用時には水タンクａをア
イロン本体ｂに装着し、水タンクａに対する注排水時に
水タンクａをアイロン本体ｂから取外してその作業を行
なうことができるようにしたものが提供されている。

【０００３】水タンクａの底部にはノズルからなる通水
口ｃが、また上面にはその通水口ｃの開閉用の押しボタ
ン式の操作体ｄがそれぞれ設けられ、水タンクａをアイ
ロン本体ｂに取付けた状態のもとで上記操作体ｄを操作
して通水口ｃを開放することにより、水タンクａ内の水
をその通水口ｃを通してベースｅの蒸発室内に滴下する
ことができるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところがこのような従
来のスチームアイロンにおいては、操作体ｄの再操作を
忘れて通水口ｃが開放する状態のまま、水タンクａをア
イロン本体ｂから取外してしまうと、その通水口ｃから
水が漏れ、アイロン本体ｂやその周辺などを汚してしま
う難点がある。

【０００５】本発明はこのような点に着目してなされた
もので、その目的とするところは、水タンクをアイロン
本体から取外した際には、操作体の操作状況に何らかか
わりなく、常に自動的に水タンクの通水口を閉止するこ
とができ、かつ構成が簡単で強度的にも強いスチームア
イロンを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明はこのような目的
を達成するために、蒸発室およびこの蒸発室に連通する
噴出孔を有したベースとこのベースの上部に設けられた
ハンドルとを備えたアイロン本体と、このアイロン本体
の前部に着脱自在に設けられた水タンクと、この水タン
クの底部に設けられた通水口および上記アイロン本体か
ら水タンクを取外したときに上記通水口を閉状態とする
弁機構と、上記水タンクのアイロン本体に対する装着に
応じて上記通水口を開放保持する開放体と、上記水タン
ク内の水を上記通水口を通して上記蒸発室内へ導く導水
体とを具備し、上記水タンクはその底部の面積が所定の
大きさにありこの底部を下にして床面上に載置すること
が可能な形状をなし、上記開放体は上記導水体に一体に
設けられているとともに、上記導水体は上記開放体をほ
ぼ中心としてその外周側を包囲する弾性部材からなる円
筒状の接続部およびこの接続部に設けられ上記水タンク
の通水口と液密的に接続して水タンク内の水を導水体内
に流入させる接続口を有し、上記弁機構は上記通水口内
を挿通する弁杆と、この弁杆に取付けられた上記通水口
の開閉用の弁体とを有し、上記開放体が上記水タンクの
アイロン本体に対する装着に応じて上記弁機構の弁杆に
当接して上記弁体を押上げることにより上記通水口を開
放保持し、上記弁機構の弁杆の下端部が、水タンクをア
イロン本体から取外したときに、上記通水口の下端の開
口面と同一かそれより上方に位置するように設定し、か
つ上記開放体の高さを、上記通水口が上記接続口に対し
て液密的に接続してから上記弁杆に当接する高さに設定
するようにしたものである。

【０００７】

【作用】水タンクをアイロン本体から取外すと、この動
作に応じて自動的に弁機構が動作して通水口が閉止され
る。そして水タンクをアイロン本体に取付けると、弁機
構が開放体により操作されて通水口が開放され、水タン
ク内の水がこの通水口から導水体を通して蒸発室内へ導
入され、この水が蒸発してスチームとなる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図１および
図２を参照して説明する。図中１はアイロン本体、２は
水タンクで、この水タンク２が図１においてはアイロン
本体１の前端部に着脱自在に取付けられている。アイロ
ン本体１は、ベース３の上面をカバー４で覆い、このカ
バー４の上面に遮熱板５を設け、さらにこの遮熱板５の
上面にハンドル６を取付けてなる。ハンドル６はその上
部に握り部６ａを有し、この握り部６ａをアイロンの使
用者が手で握ってアイロン掛けの作業を行うものであ
る。

【０００９】ベース３にはヒータ７が鋳込まれていると
ともに、上面に蒸発室８が形成され、この蒸発室８内が
複数の案内室９…内に連通し、各案内室９…内がそれぞ
れ噴出孔１０…を介してベース１の下面側に連通してい
る。蒸発室８および各案内室９…の上面は蓋体１１によ
り気密的に閉塞され、この蓋体１１の上方側に導水体１
２が設けられている。

【００１０】水タンク２は合成樹脂により形成され、そ
の底部に通水口１３および弁機構１４が設けられてい
る。この水タンク２はその底部の面積が所定の大きさに
あり、この底部を下にして床面上などに載置することが
可能となっている。 上記弁機構１４は支持体１５に摺動
自在に支持された弁杆１６の中間部に円板状の弁体１７
を取付け、この弁体１７をスプリング１８を介して上記
通水口１３の配置側、つまり通水口１３を閉止する方向
に弾性的に付勢してなる。そして上記弁杆１６の下端部
が通水口１３内を挿通し、その下端の端面が常に通水口
１３の下端の開口面と同一かそれより上方に位置するよ
うになっている。

【００１１】水タンク２の背面上部には係合爪１９が一
体に突設され、この係合爪１９がハンドル６の前面上部
に設けられた係合部２０に弾性的に係脱自在に係合して
いる。水タンク２の前面上部には注水口２１が形成さ
れ、この注水口２１を介して水タンク２内に水を注入
し、また水タンク２内の不用の水を排出するものであ
る。なお、水タンク２の両側部からはその後方側に側壁
部２２（図２に一方のみを図示）が延出し、この側壁部
２２がハンドル６の前端側の側面部分に重合するように
なっている。

【００１２】導水体１２は樋形状の導水ベース２３の上
面に弾性部材からなるパッキングプレート２４を装着し
てなり、このパッキングプレート２４の一端側に円筒状
の接続部２５が一体に突出し、この接続部２５の端面に
接続口２６が形成されている。また導水ベース２３の内
底面からピン状の開放体２７が一体に突出し、この開放
体２７の先端が上記接続口２６の中心部分に臨んでい
る。そして接続口２６が水タンク２の通水口１３に液密
的に接続するとともに、開放体２７の先端が弁機構１４
の弁杆１６に当接して弁体１７をスプリング１８に抗し
て押上げて通水口１３を開放状態に保持し、これにより
水タンク２内の水が通水口１３を通して導水体１２内に
導入されている。導水ベース２３の他端側の底部には滴
下ノズル２８が設けられ、この滴下ノズル２８の先端が
蓋体１１を貫通してベース３の蒸発室８内に臨んでい
る。

【００１３】２９は上下動自在に設けられた開閉杆で、
この開閉杆２９はその先端側がパッキングプレート２４
を貫通して滴下ノズル２８の内側に臨み、その上下動作
により滴下ノズル２８のノズル孔３０を開閉するもので
ある。

【００１４】ハンドル６の前端上部には支持板３１が設
けられ、この支持板３１の上に支軸３２を介してカム盤
３３が回動自在に支持されている。このカム盤３３の上
方部はキャップ３４で覆われ、またカム盤３３からは操
作体３５が延出し、その先端の摘み３６がハンドル６の
上端前方部に臨んでいる。そしてこの摘み３６に対応し
て上記キャップ３４の上面に設定表示プレート３７が貼
着されている。

【００１５】カム盤３３の下面には、上記支軸３２を中
心とする円弧状の第１および第２のカム溝３８，３９が
形成されている。そして第１のカム溝３８内に上記操作
杆２９の上端部が介入し、スプリング４０の弾性力によ
りそのカム溝３８の内底面に当接している。

【００１６】４１は連動杆で、この連動杆４１の下端
は、ヒータ７の通電を制御してベース３の温度を調節す
る温度調節器（図示せず）に設けられた連動片４２に連
結し、上端部は上記第２のカム溝３９内に介入し、上記
連動片４２の弾性力でその内底面に当接している。第１
および第２のカム溝３８，３９は一端側から他端側に向
ってその溝の深さに高低差がつけられていて、カム盤３
３の回動に伴いその高低差により開閉杆２９および連動
杆４１が上下動するようになっている。次に作用につい
て説明する。

【００１７】操作体３５の摘み３６を介してカム盤３３
を回動操作し、その摘み３６を設定表示プレート３７に
施こされている「スチーム」の表示位置に合わせると、
連動杆４１を通して連動される温度調節器によりベース
３がスチームの発生に適する温度に調節され、また開閉
杆２９が上昇して滴下ノズル２８が開放される。この開
放により導水体１２内の水が滴下ノズル２８を通して蒸
発室８内に滴下し、ベース３の熱で気化してスチームと
なり、このスチームが各案内室９…内から各噴出孔１０
…を経て順次ベース３の下面側に噴出する。

【００１８】また、摘み３６を設定表示プレート３７の
「ドライ」の位置に合わせると、開閉杆２９が下降し、
滴下ノズル２８が閉止され、蒸発室８内への水の滴下が
止まり、スチームの噴出が停止する。

【００１９】一方、水タンク２内に水を補給したり、或
いはアイロン掛けの作業の終了により水タンク２内の不
用の水を廃棄する場合などにおいては、図２に示すよう
に係合爪１９と係合部２０との係合を外し、水タンク２
をアイロン本体１から取外す。

【００２０】この際、その取外し動作に伴って弁杆１６
と開放体２７との当接が外れるから、弁体１７がスプリ
ング１８の付勢力で下降し、通水口１３が閉止される。
そしてこの動作は操作体３５の摘み３６の位置が「スチ
ーム」，「ドライ」のいずれの位置にあってもそれとは
何らかかわりなく行なわれる。したがって水タンク２を
アイロン本体１から取外した場合には常に通水口１３が
確実に閉止され、不用意にその水タンク２内から水が洩
れ出るようなことがない。

【００２１】水の滴下およびその停止の操作を行う操作
体３５は、従来のように水タンク２側に設けられている
のではなくアイロン本体１側に設けられているから、そ
の操作の際の力が水タンク２に及ぶようなことがなく、
このため水タンク２ががたついて係合爪１９および係合
部２０とからなる係合機構部が早期に劣化するようなこ
とがなく、また操作体３５もがたつくようなことがない
から、この操作体３５に対する操作も容易に円滑に行う
ことができる。

【００２２】さらに操作体３５がアイロン本体１側に設
けられているから、この操作体３５がハンドル６の握り
部６ａに近づいて配置し、このためアイロンの使用中な
どにその握り部６ａを握った手の指先でそのまま操作体
３５を操作することが可能で、より一層使い勝手が向上
する。

【００２３】アイロン本体１から水タンク２を取外した
際には、弁体１７とともに弁杆１６が下降するが、この
弁杆１６の下端は図２に示すように、開放体２７との当
接が解除した状態でも通水口１３の下端の開口面よりも
上方に位置しており、このため水タンク２をその底部を
下にして床面上などに載置してもその床面に弁杆１６が
接触して水漏れが生じるというようなことがない。そし
て弁杆１６が常に通水口１３の内側に位置して機械的に
保護されるため、弁杆１６の損傷が防止され、また通水
口１３と接続口２６との着脱の際に弁杆１６に無理な力
が加わるようなことがなく、したがって通水口１３の閉
止を確実に行なえ、さらに通水口１３を接続口２６に接
続する際に弁杆１６の下端でその接続口２６の周辺部を
傷付けてしまうようなこともない。 そして上記開放体２
７の高さは、通水口１３が接続口２６に対して液密的に
接続してから、上記弁杆１６に当接する高さに設定され
ており、このため通水口１３を接続口２６に接続する際
に、通水口１３が接続口２６に液密的に接続してからの
ちに、弁杆１６の下端部が開放体２７の上端部に当接し
て通水口１３が開放され、したがってその接続時に水タ
ンク２内の水が通水口１３から接続口２６の外周側に漏
れるようなことがない。 さらに、前記接続口２６は弾性
部材からなる接続部２５に形成されているものであり、
したがってこの接続口２６に水タンク２の通水口１３が
確実に密着して液密的に接続するとともに、水タンク２
をアイロン本体１に装着するときに、水タンク２の弁機
構１４と、アイロン本体１の接続部２５との間に多少の
位置的なずれが生じていても、接続部２５の弾性的な変
形でそのずれを吸収して確実に弁機構１４を接続部２５
に接続させることができる。 また、弁機構１４を開放動
作させる開放体２７は導水体１２と一体に設けられてお
り、このため構成が簡単で、部品点数が少なく組立が容
易となり、かつ開放体２７を強い強度に保ってその破損
を防止することができる。

【００２４】図３は本発明の他の実施例を示し、アイロ
ン本体１に押しボタン式の操作体３５ａを設け、この操
作体３５ａにより開閉杆２９を介して滴下ノズル２８を
開閉するようにしたものである。すなわち、上記操作体
３５ａを図示の状態から下方に押込むと、開閉杆２９が
下降し、滴下ノズル２８が閉止され、この状態が操作体
３５ａとアイロン本体１との係合により保持される。そ
して操作体３５ａを再び押圧すると上記係合が外れ、操
作体３５ａがスプリング４３の付勢力でアイロン本体１
の上方側に突出し、かつ開閉杆２９がスプリング４０の
付勢力で上昇し、滴下ノズル２８が開放されるものであ
る。

【００２５】なお、水タンクに設ける弁機構は、水タン
クの通水口を常閉し、かつ水タンクをアイロン本体に装
着した際にそのアイロン本体側の開放体により開放保持
される構成であれば、上記実施例のような構成に限ら
ず、種々変形することが可能である。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、水
タンクをアイロン本体から取外した際に、その動作で自
動的に水タンクの通水口が閉じられるから、水タンク内
の水が不用意に漏れてアイロン本体やその周辺などを汚
してしまうようなことがない。そして水タンク内の水を
蒸発室内に導く導水体をアイロン本体に組込み、この導
水体に前記弁機構を開放させる開放体を一体に設けたか
ら、構成が簡単で、部品点数が少なく組立が容易とな
り、かつ開放体を強い強度に保ってその破損を防止する
ことができる。また、弁機構の弁杆の下端部が通水口の
下端の開口面から突出せず、このため水タンクを床面上
に載置した際の水漏れ、弁杆の損傷、通水口を接続させ
る接続口の傷付きを防止でき、さらに水タンクをアイロ
ン本体に装着する際に、水タンクの通水口がアイロン本
体の接続口に液密的に接続してからのちに、その通水口
が開放され、したがってその接続時に水タンク内の水が
通水口から接続口の外周側に漏れるようなことがなく、
しかも水タンクをアイロン本体に装着するときに、水タ
ンクの弁機構と、アイロン本体の接続部との間に多少の
位置的なずれが生じていても、接続部の弾性的な変形で
そのずれを吸収して確実に弁機構を接続部に接続させる
ことができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るスチームアイロンの断
面図。

【図２】そのスチームアイロンの水タンクをアイロン本
体から取外した状態を示す断面図。

【図３】本発明の他の実施例に係るスチームアイロンの
断面図。

【図４】従来のスチームアイロンの側面図。

【符号の説明】

１…アイロン本体 ２…水タンク ３…ベース ６…ハンドル ８…蒸発室 １０…噴出孔 １２…導水体 １３…通水口 １４…弁機構 ２７…開放体 ３５，３５ａ…操作体。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 聡 新潟県加茂市大字後須田2570番地１ 東芝 熱器具株式会社内 (56)参考文献 特開 昭56−112300（ＪＰ，Ａ) 実公 昭45−11593（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】蒸発室およびこの蒸発室に連通する噴出孔
   を有したベースとこのベースの上部に設けられたハンド
   ルとを備えたアイロン本体と、このアイロン本体の前部
   に着脱自在に設けられた水タンクと、この水タンクの底
   部に設けられた通水口および上記アイロン本体から水タ
   ンクを取外したときに上記通水口を閉状態とする弁機構
   と、上記水タンクのアイロン本体に対する装着に応じて
   上記通水口を開放保持する開放体と、上記水タンク内の
   水を上記通水口を通して上記蒸発室内へ導く導水体とを
   具備し、上記水タンクはその底部の面積が所定の大きさ
   にありこの底部を下にして床面上に載置することが可能
   な形状をなし、上記開放体は上記導水体に一体に設けら
   れているとともに、上記導水体は上記開放体をほぼ中心
   としてその外周側を包囲する弾性部材からなる円筒状の
   接続部およびこの接続部に設けられ上記水タンクの通水
   口と液密的に接続して水タンク内の水を導水体内に流入
   させる接続口を有し、上記弁機構は上記通水口内を挿通
   する弁杆と、この弁杆に取付けられた上記通水口の開閉
   用の弁体とを有し、上記開放体が上記水タンクのアイロ
   ン本体に対する装着に応じて上記弁機構の弁杆に当接し
   て上記弁体を押上げることにより上記通水口を開放保持
   し、上記弁機構の弁杆の下端部が、水タンクをアイロン
   本体から取外したときに、上記通水口の下端の開口面と
   同一かそれより上方に位置するように設定され、かつ上
   記開放体の高さが、上記通水口が上記接続口に対して液
   密的に接続してから上記弁杆に当接する高さに設定され
   ていることを特徴とするスチームアイロン。