JP2018094124A - アイロン - Google Patents

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均 高木
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Masato Kuribayashi
正人 栗林
晃一 庭山
Koichi Niwayama
晃一 庭山
浩文 笠原
Hirofumi Kasahara
浩文 笠原
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Abstract

【課題】噴出部から湯滴を残さずにスチームだけを噴出させ、衣類などを快適にアイロン掛けすることができるアイロンを提供する。【解決手段】本発明のアイロンは、加熱した気化室8の滴下受け部36に水を滴下させ、気化室8から噴出孔9を通して、外部にスチームを噴出させるものである。ここでは、気化室8の滴下受け部36から噴出孔9に至る通路44の内壁全体を親水性被膜45で被覆する。気化室8の滴下受け部36に水が速い速度で滴下しても、その水を通路44の内部で拡げて確実に気化させ、噴出孔9から湯滴を残さずにスチームだけを噴出させることができる。【選択図】図3

Description

本発明は、スチームを噴出させて衣類などのしわ伸ばしを行なうアイロンに関する。
従来、この種のアイロンとして、例えば特許文献1には、ヒータで加熱したベースに2つの気化室を区画して設け、一方の気化室は、タンクから直接供給される水を利用してスチームを発生させる通常スチーム用とし、もう一方の気化室は、タンクからポンプ装置を介して供給される水を利用してスチームを発生させる増量スチーム用として、それぞれの気化室から噴出部となる複数のスチーム孔を通して、衣類などにスチームを噴出させるものが知られている。
特開2007−202812号公報
特許文献1に示すアイロンにおいて、スチーム孔から細く長く勢いのあるスチームを発生させるには、スチーム孔の数を少なくして、気化室内の蒸気を押し出す圧力を高める必要がある。その場合、気化室内における水の流速が速く、水滴が気化室内で気化する前にスチーム孔から押し出されて、水が完全に蒸発しきれずに、湯滴の状態で噴出する虞があった。
また従来のアイロンは、通常スチーム用のタンクから気化室に至る導水路の途中に、弾性を有する弁体が設けられ、レバーなどの操作体を適宜操作することで、タンクの内部で弁体を開閉して、スチームとドライの切替を行なうようにしている。この弁体はタンクの底部をなす取付け部材となるタンクベースに装着され、別な押さえ部材をタンクベースの上側から超音波溶着で取付け固定することで、弁体をタンクベースに押付ける構造となっており、押さえ部材にはその他に、増量スチーム用のポンプ装置に通じる弾性体を密着して取付けるために孔が設けられている。しかし、押さえ部材とタンクベースとの溶着部が、押さえ部材の孔の近傍に位置していると、超音波溶着時に発生するフラッシュが、孔に内バリとして発生する可能性があり、弾性体に傷が付くなどの懸念を生じていた。
さらに従来のアイロンは、ベースの温度が低い状態で噴出部から水が流れ出ないように、気化室が気化可能な温度に加熱されるまでは、タンクから気化室への水の流通がバイメタルなどの感熱体で遮断されている。しかしこの状態で、増量スチーム用のボタンを押してポンプ装置を無理やり動作させると、ポンプ装置から押し出された水が行き場を失って、タンクの外部に漏れ出す虞があった。
本発明は上記問題点に鑑み、噴出部から湯滴を残さずにスチームだけを噴出させ、衣類などを快適にアイロン掛けすることができるアイロンを提供することを第1の目的とする。
本発明の第2の目的は、タンクの組立時に押さえ部材を取付け部材に超音波溶着する際に、フラッシュによる影響を効果的に抑制できるアイロンを提供することを第2の目的とする。
本発明の第3の目的は、タンクから気化室への液体の流通が遮断された状態で、ポンプ装置を動作させた場合でも、タンクの外部に液体が漏れ出さないアイロンを提供することにある。
本発明は、第1の目的を達成するために、加熱した気化室の受け部に液体を滴下させ、前記気化室から噴出部を通してスチームを噴出させるアイロンにおいて、前記気化室の受け部から前記噴出部に至る通路の内壁全体が、親水性被膜で被覆されることを特徴とする。
本発明は、第2の目的を達成するために、タンクに収容した液体を、加熱した気化室に導いてスチームを噴出させるアイロンにおいて、前記タンクは、気化室への導液路に設けられる弁体と、この弁体が装着される取付け部材と、前記取付け部材に溶着されていることにより、前記弁体を前記取付け部材に押し付ける押さえ部材と、を備え、前記押さえ部材は前記取付け部材に係合する凸部が形成され、前記取付け部材は前記凸部を受け入れる凹部が形成され、前記凹部の底面で前記押さえ部材との接合部が形成されることを特徴とする。
本発明は、第3の目的を達成するために、タンクに収容した液体を、加熱した気化室に導いてスチームを噴出させるアイロンにおいて、前記タンクは、前記気化室への液体の供給量を増加させる増量スチーム用のポンプ装置と、前記ポンプ装置から前記気化室への液体の流通が遮断された状態で、前記ポンプ装置を動作させたときに、当該ポンプ装置から吐出する液体を前記タンク内に戻す弁機構を備えたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、気化室の一部にだけでなく、気化室の受け部から噴出部に至る通路の内壁全体を親水性被膜で覆うことで、気化室の受け部に液体が速い速度で滴下しても、その液体を通路の内部で拡げて確実に気化させ、噴出部から湯滴を残さずにスチームだけを噴出させることができる。そのため、衣類などを快適にアイロン掛けすることが可能になる。
請求項2の発明によれば、気化室が第1気化室と第2気化室に区画され、第1気化室の受け部から第1噴出部に至る第1通路と、第2気化室の受け部から前記第2噴出部に至る第2通路の距離が十分確保できなくても、これらの第1通路や第2通路の内壁全体を親水性被膜で覆うことで、第1噴出部や第2噴出部から何れも湯滴を残さずにスチームだけを噴出させることができる。また、第1気化室に通じる第1噴出部からスチームを噴出させる一方で、別な第2気化室に通じる第2噴出部からスチームを噴出させることができ、必要に応じて異なる領域からスチームだけを確実に噴出させることができる。
請求項3の発明によれば、弁体を装着した取付け部材の凹部に押さえ部材の凸部を挿入して例えば超音波で溶着を行なうと、凹部の底面で取付け部材と押さえ部材との接合部が形成され、押さえ部材に弁体が押さえられた状態で、取付け部材に押さえ部材が取付け固定される。このとき、凸部を挿入した凹部内でバリがせき止められるので、タンクの組立時に押さえ部材を取付け部材に溶着する際に、フラッシュによる影響を効果的に抑制できる。
請求項4の発明によれば、押さえ部材にはポンプ装置に通じる弾性体を取付けるための孔も設けられているが、超音波溶着の際に凸部を挿入した凹部内でバリがせき止められるので、孔が接合部の近傍に位置していても、孔に内バリが発生せず、弾性体への傷付きを防止できる。
請求項5の発明によれば、押さえ部材に設けた2つ以上の孔に対応して、ポンプ装置から気化室に吐出される液体の吐出路がタンクの内部に複数あっても、押さえ部材と取付け部材との間で、本来はバリをせき止めるために設けた凸部を、一方の吐出路と他方の吐出路との間の液体の侵入を防ぐ仕切り壁として効果的に機能させることができる。
請求項6の発明によれば、ポンプ装置から気化室への液体の流通が遮断された状態で、ポンプ装置を無理やり動作させた場合でも、ポンプ装置から押し出された液体は、弁機構を通してタンク内に戻され、タンクの外部に液体が漏れ出さないアイロンを提供できる。
請求項7の発明によれば、ポンプ装置から押し出される液体の圧力が一定値以上に達すると、筒体の上端から溢れ出した液体をタンクの内部空間に戻すことができ、ポンプの内部に筒体を立設しただけの簡単な構成で、弁機構としての機能を十分に発揮させることが可能となる。
本発明の一実施形態のアイロンを示すアイロン本体の平面図である。 同上、アイロン本体の側面図である。 同上、図1に示すアイロン本体の縦断面図である。 同上、気化室蓋を取り外した状態のベースとその周辺の要部構成を示す部分平面図である。 同上、気化室蓋を取り外した状態のベースを上面側から見た全体平面図である。 同上、気化室蓋を取り付けた状態のベースを上面側から見た全体平面図である。 同上、ベースを構成する基体の下面側から見た全体底面図である。 同上、ベースを構成する掛け面部材の上面側から見た全体平面図である。 同上、ベースを構成する気化室蓋の下面側から見た全体底面図である。 同上、図6のA−A線断面を表したベースの斜め上方から見た斜視図である。 同上、ベースを構成する基体の斜め上方から見た斜視図である。 同上、ベースを構成する基体の斜め上方から見た斜視図である。 同上、ベースを構成する気化室蓋の斜め上方から見た斜視図である。 同上、タンク組立体の要部縦断面図である。 同上、タンク組立体の内部構成を示す要部平面図である。 同上、タンク組立体の内部構成を示す要部斜視図である。 同上、図16に外郭部材とカバー部材を取り付けた要部斜視図である。 同上、タンク組立体の内部構成を示す要部縦断面図である。 同上、組立前のタンクベースを斜め上方から見た斜視図である。 同上、組立前の押さえ部材を下面側から見た斜視図である。 同上、組立後の導流部とその周辺を斜め上方から見た斜視図である。 同上、組立後の導流部とその周辺を下面側から見た底面透視図である。 同上、タンクベースに押さえ部材を超音波溶着する前の要部縦断面図である。 同上、タンクベースに押さえ部材を超音波溶着した後の要部縦断面図である。 同上、別な変形例における組立後の導流部とその周辺を斜め上方から見た斜視図である。 同上、別な変形例における組立後の導流部とその周辺を下面側から見た底面透視図である。 同上、別な変形例におけるタンク組立体の内部構成を示す要部縦断面図である。
以下、本発明の好ましいアイロンの実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
まず、図1〜図3に基づいてアイロンの全体構成から説明すると、1はアイロン本体であり、このアイロン本体1は図示しない載置台に着脱自在に載置される。アイロン本体1の後部には凹状の受電部2が設けられ、アイロン本体1を載置台に載置して、受電部2を載置台の給電部(図示せず)に嵌合させたときに、載置台からの電源電圧が受電部2を通してアイロン本体1に供給される構成となっている。なお、本実施形態は載置台を中継してアイロン本体1に給電を行なうコードレス式のアイロンであるが、載置台を用いずに電源電圧をアイロン本体1に直接供給するコード付きのアイロンでも構わない。
アイロン本体1は、加熱手段としてヒータ3を埋設した金属製のベース4を下部に備えている。ベース4は、ダイキャスト成形品による基体5の底面に、プレート状の掛け面部材6が具備された構成を有し、掛け面部材6に固着された締結部材7によって、基体5に密着固定される。ベース4の内部には、ヒータ3の近傍に位置して蒸気室すなわち気化室8が形成され、この気化室8に連通する噴出孔9が、ベース4の下面をなす掛け面部材6に開口形成される。また、ベース4は金属板状の気化室蓋10を備え、基体5に取付け固定された気化室蓋10により、気化室8の上面が形成される。
11はベース4の上面側を覆うように設けられた樹脂製のカバーであり、12はカバー11の上方に固定して設けられ、側面から見て後端を開放した略U字状に形成された把手である。把手12の前方には、液体を貯留するタンクとしてのタンク組立体13が、アイロン本体1に対して着脱可能に設けられる。アイロン本体1に備えたタンク組立体13は、例えば合成樹脂で形成され、上面から見た形状が略U字状で、その両側が把手11の前端部側から後端部側にかけて跨るように配置される。14はタンク組立体13の前部に設けられた開閉自在な注水口蓋であり、ここからタンク組立体13内に液体である水を収容したり、タンク組立体13内の不要水を廃棄したりすることが可能になる。
アイロン本体1に対するタンク組立体13のロック機構は、タンク組立体13の一側面にやや突出してタンクロック釦15を設け、タンク組立体13の内部で上下動する昇降体16が、弾性部材であるスプリング17により常時下方に付勢され、昇降体16の上部に突設したロック部18が、把手12の前部に形成した孔部19に係止することで構成される。これにより、スプリング17の付勢に抗してタンクロック釦15を押動操作すると、昇降体16が押し上げられてロック部18と孔部19との係止状態が解除され、アイロン本体1からタンク組立体13を離脱させることが可能になる。なお、本実施形態では着脱式のカセットタンクとなるタンク組立体13について説明しているが、ロック機構を備えた固定式のタンクであってもよい。
タンク組立体13の前面には、注液口としての注水口21が開口形成され、この注水口21に臨んで、ヒンジ22を中心として回動する開閉可能な注水口蓋14が設けられる。注水口蓋14の上端部とタンク組立体13の前面との間には、注水口蓋14を指で開けやすくするのに凹状の指掛け部23が形成される。そして、この指掛け部23に指を差し入れて、ヒンジ22を中心として注水口蓋14をタンク組立体13の前方に回動させると、開放した注水口21からタンク組立体13の内部に水を適宜注入することができ、その後で注水口蓋14を反対側に回動させると、注水口蓋14が注水口21を密着状態で塞ぐことにより、注水口21からの水の漏出を防止する構成となっている。
25は、前記把手12と、把手12の上部に配置される把手カバー26との二部品からなる握り部である。棒状の握り部25は、アイロン本体1の腹部27との間に空洞28を有しており、握り部25の後部には、アイロン本体1の後部から空洞28に手を差し入れて、握り部25を手で握ることができるように、空洞28に連通する開口部29が開口形成される。つまり、ここでの握り部25は、その後部がアイロン本体1のどの部位にも連結せずに、開口部29を形成して開放した形状を有する。また、ここでいう腹部27とは、タンク組立体13の両側を除く握り部25に対向したアイロン本体1の平坦状の中央上面部を指すものであり、本実施形態では、カバー11上に取付けられる把手12の基部12Aとして形成される。把手12は、この基部12Aの他に、基部12Aの前側でU字状に立上がる連結部12Bと、連結部12Bより後側に延び、握り部25の下面部を形成する延設部12Cとからなり、延設部12Cを把手カバー26で覆うことで、アイロン本体1の握り部25が構成される。
31は、アイロン本体1の上部に設けられた操作部で、これはスチーム/ドライ切替レバー31Aや、増量スチーム用のショットボタン31Bや、霧吹き用のミストボタン31Cや、温度設定/切ボタン31Dや、増量スチーム時の集中/分散(集中/全面)切替レバー31Eにより構成される。また、握り部25の上部前側には、表示部として複数のLEDを並べた温度表示ランプ32が設けられており、温度設定/切ボタン31Dによる設定温度や、温度検知手段(図示せず)で検知されるベース4の温度などが温度表示ランプ32で表示される。
次に、図4〜図27を併せて参照しながら、アイロン本体1の細部構成について説明する。先ず、図4〜図13に基づいて、ベース4とその周辺の構成について詳しく説明すると、ベース4の基体5には、加熱手段となるヒータ3が上面から見て略U字状に屈曲して埋設され、基体5の上面側には、スチームを発生させるための気化室8として、第1気化室に相当する集中側気化室8Aと、第2気化室に相当する分散側気化室8Bが、それぞれ形成される。集中側気化室8Aと分散側気化室8Bは、何れも基体5の上側でラビリンス状の折返し部を有する通路空間として形成され、屈曲したヒータ3の一側近傍に集中側気化室8Aが配置され、ヒータ3の他側近傍に分散側気化室8Bが配置される。これにより、ヒータ3からの熱を2つの気化室8A,8Bに略等しく供給できる。
本実施形態では、基体5の上面に集中側ラビリンス凹部34Aと分散側ラビリンス凹部34Bをそれぞれ形成し、これらのラビリンス凹部34A,34Bの上面開口を共通の気化室蓋10で覆うことで、ベース4の内部で集中側気化室8Aと分散側気化室8Bをそれぞれ区画形成している。また、気化室8A,8Bの容積を増やすために、気化室蓋10には、基体5に形成した集中側ラビリンス凹部34Aと分散側ラビリンス凹部34Bにそれぞれ対向して、何れも上方に膨らんだ集中側ラビリンス膨出部35Aと分散側ラビリンス膨出部35Bが形成される。
集中側気化室8Aの一端をなす入口には、突起状の滴下受け部36Aが設けられ、集中側気化室8Aの他端をなす出口には、基体5と掛け面部材6との間の集中側蒸気空間37Aに連通する蒸気排出孔38Aが形成される。また、分散側気化室8Bの一端をなす入口には、複数の突起を有する滴下受け部36Bが設けられ、分散側気化室8Bの他端をなす出口には、基体5と掛け面部材6との間の別な分散側蒸気空間37Bに連通する蒸気排出孔38Bが形成される。集中側蒸気空間37Aは、基体5の下面に形成した集中側上凹部39Aと、この上凹部39Aに対向して、掛け面部材6の上面に形成した集中側膨出部40Aとにより、基体5の下側でベース4の前方寄りに形成される。また、分散側蒸気空間37Bは、基体5の下面に形成した分散側上凹部39Bと、この上凹部39Bに対向して、掛け面部材6の上面に形成した分散側膨出部40Bとにより、基体5の下側で集中側蒸気空間37Aを除くベース4のほぼ全体に形成される。そして、気化室8となる集中側気化室8Aと分散側気化室8Bとの間と同様に、蒸気空間37となる集中側蒸気空間37Aと分散側蒸気空間37Bとの間は、お互いに完全に区画されている。
掛け面部材6の裏面側には、図示しない布地などに当接する水平で略平坦なベース4の掛け面41と、掛け面41の後端から上方に傾斜する傾斜面42が形成される。掛け面41の先端側領域には、スチーム集中噴出部となる複数のスチーム集中噴出孔9Aが設けられる。これとは別に、掛け面41の先端側領域以外の周囲領域には、スチーム分散噴出部となる複数のスチーム分散噴出孔9Bが設けられる。スチーム集中噴出孔9Aは、全て集中側蒸気空間37Aに連通して開口形成され、スチーム分散噴出孔9Bは、全て分散側蒸気空間37Bに連通して開口形成され、何れも前述の噴出孔9に相当する。
本実施形態では、複数のスチーム集中噴出孔9Aが掛け面41の中央部前方寄り一箇所に集中して設けられ、この複数のスチーム集中噴出孔9Aの後方に分散して、掛け面41のほぼ全体に複数のスチーム分散噴出孔9Bが設けられる。ここでのスチーム分散噴出孔9Bは、掛け面41にだけ設けられているが、一部を傾斜面42に設けてもよい。また、スチーム集中噴出孔9Aとスチーム分散噴出孔9Bは、個々に全て同じ大きさと形状を有するが、掛け面41の部位に応じて異なる大きさや形状にしても構わない。
こうしたベース4の内部構造により、集中側気化室8Aの滴下受け部36Aに滴下した水は、集中側気化室8A内でヒータ3により加熱されてスチームとなり、そこから集中側蒸気空間37Aを通して、掛け面41の中心部のスチーム集中噴出孔9Aより集中してスチームが噴出される一方で、別な分散側気化室8Bの滴下受け部36Bに滴下した水は、集中側気化室8B内でヒータ3により加熱されてスチームとなり、そこから分散側蒸気空間37Bを通して、掛け面41の周辺部のスチーム分散噴出孔9Bより分散してスチームが噴出される。また、集中側気化室8Aに連なる蒸気排出孔38Aの開口面積を、分散側気化室8Bに連なる蒸気排出孔38Bの開口面積よりも小さくし、且つスチーム集中噴出孔9Aの一つを、蒸気排出孔38Aと隣接して蒸気排出孔38Aの真下に設けることで、蒸気排出孔38Aに集中して高い圧力で排出されるスチームを、そのままスチーム集中噴出孔9Aから増加した噴射圧で外部に噴出させることが可能になる。
本実施形態では、ベース4内でヒータ3により加熱される液体との親水性を高めるために、水が滴下される気化室8の滴下受け部36から、スチームが外部に噴出される噴出孔9に至る通路44の内壁全体に、より詳しくは、集中側気化室8Aの滴下受け部36Aから集中側噴出孔9Aに至る集中側通路44Aの内壁全体と、分散側気化室8Bの滴下受け部36Bから分散側噴出孔9Bに至る分散側通路44Bの内壁全体に、親水性被膜45が被覆形成される。ここで重要なのは、通路44の内壁の一部として、例えば基体5に形成したラビリンス凹部34A,34Bの内壁にだけでなく、それ以外の気化室蓋10に形成したラビリンス膨出部35A,35Bや、基体5に形成した蒸気排出孔38A,38Bおよび上凹部39A,39Bや、掛け面部材6に形成した膨出部40A,40Bおよび噴出孔9A,9Bなどを含めて、少なくとも通路44の内部で水やスチームが接触し得る全ての内壁表面に親水性被膜45を塗布形成する、ということである。
親水性被膜45は、ルドックス(Ludox:登録商標)、純水、コントレックス(Contrex:登録商標)を混合した混合液を、被覆部位に付着加熱させて得られるものである。ルドックス(型番:HS-40)は、コロイダルシリカ水分散体で防汚性、透明性、親水性に優れ、高温化であっても表面親水性を維持できるコーティング組成物であり、コントレックスは、その成分が500mlあたり、カルシウム234mg、マグネシウム37mgを含んだ硬水であり、通路44内での親水性を高めるために、カルキを付ける目的で添加される。これにより通路44の内壁表面全体には、密着性と親水性に優れた被膜45が形成される。
気化室蓋10の上面側には、タンク組立体13と気化室8A,8Bとの間を繋ぐ2つ通液路として、タンク組立体13から集中側気化室8Aに液体を流通する第1通液路としての集中側通水路46Aと、タンク組立体13から分散側気化室8Bに液体を流通する第2通液路としての分散側通水路46Bが各々並んで設けられる。集中側通水路46Aの流入口は、第1弁体となる集中側オートバルブ47Aに連通接続し、集中側通水路46Aの流出口は、集中側気化室8Aの滴下受け部36Aに臨んで開口している。また、分散側通水路46Bの流入口は、第2弁体となる分散側オートバルブ47Bに連通接続し、分散側通水路46Bの流出口は、分散側気化室8Bの滴下受け部36Bに臨んで開口している。
オートバルブ47A,47Bは、タンク組立体13をアイロン本体1から取り外したときに、カバー11の上面に露出する。また、集中側通水路46Aの流出口からの液体は、気化室蓋10に開口形成した集中側通水口48Aを通して、集中側気化室8Aの滴下受け部36Aに滴下され、分散側通水路46Bの流出口からの液体は、気化室蓋10に開口形成した分散側通水口48Bを通して、分散側気化室8Bの滴下受け部36Bに滴下される構成となっている。
ベース4には、気化室8が気化可能な温度に上昇していない状態で、滴下受け部36に液体が滴下されるのを防止するために、ベース4の温度を感知して変形する感熱押動体として、集中側オートバルブ47Aを開閉するバイメタル49Aと、分散側オートバルブ47Bを開閉するバイメタル49Bが設けられる。これらのバイメタル49A,49Bは、基体5の上面に設けた凹状の集中側バイメタル収納室50Aと分散側バイメタル収納室50Bにそれぞれ収納され、ベース4が液体の気化温度よりも低い場合は、バイメタル49A,48Bが復帰状態となって、オートバルブ47A,47Bを共に閉塞するのに対し、ベース4が液体の気化温度以上になると、バイメタル49A,49Bが反転状態となって、オートバルブ47A,47Bを共に開放し、集中側オートバルブ47Aを通過した水が、集中側通水路46Aを通って集中側気化室8Aの滴下受け部36Aに滴下され、分散側オートバルブ47Bを通過した水が、分散側通水路46Bを通って分散側気化室8Bの滴下受け部36Bに滴下される構成となっている。
次に、前述の図1〜図3並びに図14〜図24の各図に基づいて、タンク組立体13の内部構成を説明すると、51はスチーム/ドライ切替レバー31Aに連動する弁装置、52はショットボタン31Bに連動するポンプ装置、53はミストボタン31Cに連動するミスト噴出装置である。注水口21の下方にはミスト噴出装置53の噴出口54が配置され、ミストボタン31Cを押動操作する毎に、タンク組立体13内の水が霧状のミストとして噴出口54から噴出される。
タンク組立体13の内部には、注水口21からの水を収容する貯留室55と、温度設定/切ボタン31Dを除く操作部31やその可動機構を収容する機構可動室56とを上下に区画する仕切部材57が設けられる。液体の貯留空間となる貯留室55は、平面視で略U字状をなすタンクケース58と、このタンクケース58の下面開口を塞ぐ平板状のタンクベース59とにより形成され、タンク組立体13の前側で仕切部材57がタンクケース58と一体的に形成される。
弁装置51は、スチーム/ドライ切替レバー31Aの操作に伴い、タンク組立体13の内部で仕切部材57を水密状態で貫通して鉛直方向に可動するニードル機構61と、ニードル機構61の下端に位置して、タンクベース59に装着された弁体62とを主な構成要素とする。ここでは、ニードル機構61の上下動に伴い弁体62が開閉するようになっており、弁体62が開いた状態では、貯留室55に貯留する水が弁体62を通して分散側気化室8Bに送り出され、前述のようにスチーム分散噴出孔9Bから通常量のスチーム(通常スチーム)が噴出する構成となっている。
ポンプ装置52は、ショットボタン31Bの押動操作に連動して、一時的に多量の液体を集中側気化室8Aまたは分散側気化室8Bへ送り込む液体供給装置として、タンク組立体13の内部に設けられる。このポンプ装置52は、仕切部材57に形成した凹状のシリンダー保持部64に対して回動自在に収容保持される円筒状のシリンダー部材65と、シリンダー部材65の内部を水密状態で鉛直方向に摺動自在に設けられたピストン66と、ショットボタン31Bがタンク組立体13から常時突出するように、ショットボタン31Bの下部に当接するピストン66を上方に付勢するスプリングなどの弾性体67と、を備えている。
シリンダー部材65の開口した上部外周には、集中/分散切替レバー31Eに係合する係合片68と、係合片68とは別の位置に突出する爪69A,69Bがそれぞれ一体形成される。また、集中/分散切替レバー31Eは、使用者が指を押し当てることができる程度の大きさを有する摘み70と、この摘み70と一体に設けられ、シリンダー部材65の係合片68に係合する基部71とにより構成される。摘み70は、タンクケース58の左右両側に取付けられたタンク組立体13の外郭部材72から外部に露出しており、タンク組立体13の前後方向に摘み70の先端面を指で押しながらスライド操作すると、それに連動してシリンダー部材65が回動する構成となっている。このように本実施形態では、集中/分散切替レバー31Eのスライド操作により、シリンダー保持部64に対してシリンダー部材65が回動する二重筒構造が、タンク組立体13の内部に組み込まれており、上述したシリンダー部材65の上部外周と集中/分散切替レバー31Eは、ベース4の掛け面41からのスチームの噴出を、スチーム集中噴出孔9Aまたはスチーム分散噴出孔9Bの何れかに切替える手動操作が可能な切替手段として形成される。
なお、上述した係合片68の形状や数は、図15に示したものに限定されず、要は集中/分散切替レバー31Eとシリンダー部材65が連動すればよく、集中/分散切替レバー31Eとシリンダー部材65を一部品で構成してもよい。また好ましくは、指先が触れる摘み70の先端面は、凹凸状のローレット目を形成する。
73は、仕切部材57の上面を部分的に覆うように、当該仕切部材57に取付け固定されたカバー部材である。このカバー部材73は、爪69A,69Bにそれぞれ係脱可能なストッパー74A,74Bが、ブロック状の基体75から突出して一体に形成される。本実施形態のストッパー74A,74Bは、何れも爪69A,69Bよりも弾性変形しやすく、爪69A,69Bに向けて先端に突起を有する弾性片として形成されるが、一方のストッパー74Aは他方のストッパー74Bよりも長片状に形成され、その分容易に弾性変形するようになっている。こうした爪69A,69Bおよびストッパー74A,74Bの数や形状は特に限定されず、集中/分散切替レバー31Eの摘み70を指で押し当ててスライドさせたときに、シリンダー部材65が回動して爪69A,69Bにストッパー74A,74Bが当接すると、ストッパー74A,74Bが弾性変形して爪69A,69Bから係脱できる構造であればよい。
タンク組立体13の内部には、シリンダー部材65の回動を一方向に付勢するために、付勢体となるトーションばね76を備える。トーションばね76は、その一端がシリンダー部材65に巻装され、他端が仕切部材57に形成した突片77に連結される。なお、トーションばね76に代わる別な付勢体を用いてもよい。
図15に示すように、シリンダー保持部64の底面部には、一つの給水孔78と、2つの集中側吐水孔79Aおよび分散側吐水孔79Bが、所定の間隔を置いて各々開口形成される。給水孔78は、タンク組立体13の内部で貯留室55と連通している。また、タンク組立体13の内部で、集中側吐水孔79Aは集中側吐水路80Aに連通し、分散側吐水孔79Bは別な分散側吐水路80Bに連通しており、本体1の前部にタンク組立体13を装着すると、集中側吐水路80Aの先端開口と集中側オートバルブ47Aが水密状態で連通すると共に、分散側吐水路80Bの先端開口と分散側オートバルブ47Bも同様に水密状態で連通する構成となっている。なお図15では、集中側吐水孔79Aおよび分散側吐水孔79Bの開口領域を斜線で示している。
また、シリンダー部材65の底面部には、集中/分散切替レバー31Eの操作位置に拘らず、シリンダー部材65の内部と給水孔78とを連通可能にする1つの湾曲長孔81と、集中/分散切替レバー31Eを第1位置である「集中」側に切替え操作したときに、シリンダー部材65の内部と集中側吐水孔79Aとを連通可能にする集中ガイド孔82Aと、集中/分散切替レバー31Eを第2位置である「分散」側に切替え操作したときに、シリンダー部材65の内部と分散側吐水孔79Bとを連通可能にする分散ガイド孔82Bが、各々開口形成される。
図15は、集中/分散切替レバー31Eが「集中」側に位置しているときの、タンク組立体13内部の状態を実線で示し、集中/分散切替レバー31Eが「分散」側に位置しているときの、タンク組立体13内部の状態を一点鎖線で示している。集中/分散切替レバー31Eが「集中」側、すなわち摘み70が前方に位置している場合は、トーションばね76の付勢に抗してシリンダー部材65が一の方向に回動し、切替手段70の爪69A,69Bがストッパー74A,74Bを乗り越えて係合する。そのため、湾曲長孔81を通してシリンダー部材65の内部と給水孔78が連通すると共に、集中ガイド孔82Aと集中側吐水孔79Aとの孔位置が一致して、シリンダー部材65の内部と集中側吐水孔79Aが連通する。それに対して、集中/分散切替レバー31Eが「分散」側、すなわち摘み70が後方に位置している場合は、切替手段70の爪69A,69Bとストッパー74A,74Bとの係合が解除され、トーションばね76の付勢力によりシリンダー部材65が他の方向に回動する。そのため、湾曲長孔81を通してシリンダー部材65の内部と給水孔78が連通すると共に、分散ガイド孔82Bと分散側吐水孔79Bとの孔位置が一致して、シリンダー部材65の内部と分散側吐水孔79Bが連通する構成となっている。
図18にも示すように、シリンダー保持部64の底面部には、下方に延びる集中側筒部84Aと分散側筒部84Bが一体に形成される。これらの筒部84A,84Bは、共通するパッキン85に水密状態で装着され、集中側筒部84Aの内部からパッキン85の内部を貫いて、先端(下端)を開口した集中側吐水路80Aが形成され、分散側筒部84Bの内部からパッキン85の内部を貫いて、同様に先端を開口した分散側吐水路80Bが形成される。集中側吐水路80Aの基端側には、集中側吐水孔79Aを閉じる方向にスプリング86Aでボール弁87Aを常時付勢する集中側弁機構が設けられ、分散側吐水路80Bの基端側には、分散側吐水孔79Bを閉じる方向にスプリング86Bでボール弁87Bを常時付勢する分散側弁機構が設けられる。これらの弁機構により、ショットボタン31Bを押動操作してポンプ装置52を動作させない限り、ポンプ装置52からタンク組立体13の外部への水の吐出を防止できる一方で、弾性体67に抗してショットボタン31Bを押動操作すると、貯留室55からシリンダー部材65の内部に送り込まれた水が押し出され、集中/分散切替レバー31Eを「集中」側に位置させた場合は、スプリング86Aの弾性に抗してボール弁87Aが集中側吐水孔79Aを開いて、集中側吐水路80Aから集中側オートバルブ47Aに水が大量に吐出され、また集中/分散切替レバー31Eを「分散」側に位置させた場合は、スプリング86Bの弾性に抗してボール弁87Bが分散側吐水孔79Bを開いて、分散側吐水路80Bから分散側オートバルブ47Bに水が大量に吐出される構成となっている。
図19〜図22にも示すように、タンク組立体13の内部には、弁装置51やポンプ装置52を通して送り出される貯留室55内の水を、タンクベース59に露出して装着された集中側吐出口89Aと分散側吐出口89Bに導く導流部91が設けられる。導流部91は、タンク組立体13の内底面となるタンクベース59の上面に形成した取付け凹部92と、この取付け凹部92に適合する形状で、弁装置51やポンプ装置52に臨んで配設される板状の押さえ部材93とにより構成される。押さえ部材93はタンクベース59と同じ熱可塑性樹脂からなり、前述の弁体62をタンクベース59に押し付けるために、取付け凹部92に超音波溶着で取付け固定されている。また、タンク組立体1をアイロン本体1に装着した状態では、集中側吐出口89Aと集中側オートバルブ47Aが水密状態で連通すると共に、分散側吐出口89Bと分散側オートバルブ47Bが水密状態で連通する構成となっている。
タンクベース59の取付け凹部92には、前述の吐出口89A,89Bを各々受け入れるための孔94A,94Bや、弁体62を受け入れるための窪み95の他に、通常スチーム用の導流路として、弁装置51から流出する水を分散側吐出口89Bに導く導流溝96と、増量スチーム用の導流路として、集中側吐水路80Aの先端に臨んで、そこから滴下する液体を集中側吐出口89Aに導く集中側導流溝97Aと、分散側吐水路80Bの先端に臨んで、そこから滴下する液体を分散側吐出口89Bに導く分散側導流溝97Bが、それぞれ形成される。またタンクベース59は、押さえ部材93に対する係合受け部として、取付け凹部92の全周に形成される周囲溝98と、導流部91の内部を2つの集中側領域99Aと分散側領域99Bに区画するために、その間に曲線状に形成される仕切溝100とをそれぞれ備える。なお、導流溝95の途中には弁収容座101が形成される。
押さえ部材93には、前述した弾性体となるパッキン85を取付けるための孔として、集中側吐水路80Aが貫通する集中側受入れ孔102Aと、分散側吐水路80Bが貫通する集中側受入れ孔102Bがそれぞれ形成され、さらに弁装置51のニードル機構61が貫通する別な孔103と、取付け凹部92の窪み94に装着された弁体92に当接する当接片104がそれぞれ形成される。また押さえ部材93は、取付け凹部92との係合部として、周囲溝98に係合する形状で、押さえ部材93の全周に形成される周囲凸部107と、仕切溝100に係合する形状で、前述の集中側領域99Aと分散側領域99Bとの間に形成される仕切凸部108とをそれぞれ備える。111は、前述の弁収容座101の上部を覆う弁カバー部で、これらの弁収容座101と弁カバー部101との間に弁機構112(図14を参照)が収容される。弁機構112は、前述のスプリング86A,86Bとボール弁87A,87Bとの組み合わせと同じもので構成される。
前述のように、取付け凹部92に押さえ部材93を組み込んで構成される導流部91には、ポンプ装置52から送り出される水を、集中側吐出口89Aに導く第1領域としての集中側領域99Aと、弁装置51やポンプ装置52から送り出される水を、分散側吐出口89Bに導く第2領域としての分散側領域99Bが、それぞれ区画形成される。集中側領域99Aには、集中側孔94Aや、集中側導流溝97Aや、集中側受入れ孔102Aが配置され、分散側領域99Bには、分散側孔94Bや、分散側導流溝97Bや、分散側受入れ孔102Bの他に、窪み95や、弁収容座101と弁カバー部111を含む導流溝96や、孔103や、当接片104が配置される。
その他、図21に示すように、115は押さえ部材93の孔103に取付け固定される弁キャップ、116はパッキン85の側部に設けられ、シリンダー保持部64の給水孔78に連通する給水口で、この給水口116にはストロー状の給水パイプ117(図25を参照)が装着され、貯留室55内の水が給水パイプ117から給水孔78を通してシリンダー部材65の内部に吸込まれる構成となっている。パッキン85は、シリンダー保持部64の筒部84A,84Bと押さえ部材93との間に密着して挟持される。
ここで、導流部91の組立方法について説明する。図23は、押さえ部材93を取付け凹部92に超音波溶着する前の状態を示しているが、溶着前の押さえ部材93は、周囲凸部107の先端に突起状のビード121が設けられている。このビード121は、溶着バラつきを抑えるためのエネルギーダイレクタとして、タンクベース59の接合面となる周囲溝98の底面に当接する。また、ビード121は周囲凸部107だけでなく、仕切凸部108の先端にも設けられており、これもタンクベース59の接合面となる仕切溝100の底面に当接する。
組立に際しては、タンクベース59よりも弾性に富む集中側吐出口89Aと分散側吐出口89Bを、吐出口装着部となる集中側孔94Aと分散側孔94Bにそれぞれ装着し、同じくタンクベース59よりも弾性に富む弁体62を、弁体装着部となる窪み95に装着する。次いで、取付け凹部92の上面に押さえ部材93を被せて、周囲凸部107の先端に設けたビード121を周囲溝98の底面に接触させ、且つ仕切凸部108の先端に設けたビード121を仕切溝100の底面に接触させた後、図示しない溶接機のホーンで、押さえ部材93の上面側から加圧しながら超音波振動を加える。すると図24に示すように、周囲溝98や仕切溝100の内部でビード121が溶融して、周囲凸部107が周囲溝98に次第に入り込むと共に、仕切り凸部108が仕切溝100に次第に入り込み、周囲溝98や仕切溝100の底面で、周囲凸部107や仕切り凸部108との接合部122が形成され、押さえ部材93により吐出口89A,89Bや弁体62が取付け凹部92に押さえ付けられた状態で、押さえ部材93が取付け凹部92に溶着で取付け固定される。
この一連の組立作業では、弁体62を装着したタンクベース59の周囲溝98や仕切溝100に、押さえ部材93の周囲凸部107や仕切り凸部108をそれぞれ挿入した後に、超音波による溶着で、周囲溝98や仕切溝100の底面に取付け凹部92と押さえ部材93との接合部122を形成する過程で、周囲凸部107や仕切り凸部108を挿入した周囲溝98や仕切溝100の内部で、溶着時に発生するバリがせき止められるので、フラッシュによる周辺への影響を効果的に抑制できる。
また本実施形態では、ポンプ装置52に通じるパッキン85を取付けるために、押さえ部材93に集中側受入れ孔102Aと分散側受入れ孔102Bがそれぞれ設けられており、これらの受入れ孔102A,102Bの間を通るように、ビード121付きの仕切溝100が形成されているが、超音波溶接の際に仕切り凸部108を挿入した仕切溝100内でバリがせき止められるので、受入れ孔102A,102Bが接合部122の近傍に位置していても、受入れ孔102A,102Bに内バリが発生しない。そのため、次に受入れ孔102A,102Bにパッキン85を取付ける際に、パッキン85への傷付きを防止できる。
さらにここでは、集中側受入れ孔102Aを設けた集中側領域99Aと、他方の孔となる分散側受入れ孔102Bを設けた分散側領域99Bとを、仕切り壁となる仕切凸部108で区画し、互いの領域99A,99Bで液体が流通しないように、仕切溝100の底面に接合部122で接合されている。そのため、押さえ部材93に設けた2つ以上の受入れ孔102A,102Bに対応して、ポンプ装置52から気化室8に吐出される液体の吐出路、すなわち吐水路80A,80Bがタンク組立体13の内部に複数あっても、押さえ部材93とタンクベース59の取付け凹部102との間で、本来はバリをせき止めるために仕切り溝100に挿入される仕切凸部108を、一方の吐水路80Aと他方の吐水路80Bとの間の液体の侵入を防ぐ仕切り壁として効果的に機能させることができる。
次に上記構成において、製品完成後のスチーム機能に関する作用を説明すると、注水口蓋14を開閉して、所定量の水をタンク組立体13の内部に収容し、そのタンク組立体13をアイロン本体1の前方にセットする。続いて、アイロン本体1を載置台に載置し、アイロン本体1に電源電圧を供給している状態で、温度設定/切ボタン31Dを押動操作し、アイロン掛けの対象物となる布地などに合わせた温度を設定する。これによりアイロン本体1の内部では、温度検知手段で検知されるベース4の温度が、温度設定/切ボタン31Dで設定した温度に近付くように、ヒータ3を通断電制御して、集中側気化室8Aや分散側気化室8Bを含むベース4を加熱する。
ここで使用者がスチーム機能を利用する場合は、スチーム/ドライ切替レバー31Aを「スチーム」側に切替えると、それに連動して弁装置51のニードル機構61が上昇して弁体62が開き、導流部91に形成された導流溝96から、分散側吐出口89Bに密着する分散用オートバルブ47Bを通して、分散側通水路46Bへの水の流通が可能となる。なお、スチーム/ドライ切替レバー31Aを「ドライ」側に切替えると、ニードル機構61が下降して弁体62が閉じ、タンク組立体13内部から分散側通水路46Bへの水の流通が遮断され、この場合は全ての噴出孔9からスチームが噴出しないドライアイロンとして、アイロン本体1を使用できる。
ヒータ3によりベース4への加熱を開始した直後は、ベース4が水の気化温度にまで到達せず、ベース4に装着されたバイメタル49A,49Bは復帰状態にあって、オートバルブ47A,47Bは共に閉塞する。したがってこの場合は、スチーム/ドライ切替レバー31Aを「スチーム」側に切替えた状態でも、タンク組立体13内からの水の流通はオートバルブ47Bで遮断され、そこから先のスチーム分散噴出孔9Bから、アイロン掛け時などに気化されない湯滴が噴出するのを防止できる。
その後、ベース4が十分に加熱されて、水の気化温度以上に上昇すると、それまで復帰状態にあったバイメタル49A,49Bが反転状態に変形し、オートバルブ47A,47Bは共に開放する。したがってこの場合は、スチーム/ドライ切替レバー31Aを「スチーム」側に切替えた状態で、タンク組立体13内部の水がオートバルブ47Bを通して通水路46Bに導かれ、分散側気化室8Bで発生したスチームが、それに対応するスチーム分散噴出孔9Bから噴出できるようになる。
一方、スチームの噴出を一時的に増量させるいわゆるショット噴出を行なうには、タンク組立体13の上部に突出したショットボタン31Bを押動操作する。このとき、使用者が操作する集中/分散切替レバー31Eの位置に応じて、スチームの噴出を「集中」または「分散」の何れかに切替えることができる。
具体的には、タンク組立体13の一側部に突出した集中/分散切替レバー31Eの摘み70を、「分散」側から「集中」側に動かすと、トーションばね76の付勢に抗してシリンダー部材65が一の方向に回動し、爪69A,69Bがストッパー74A,74Bを乗り越えて、爪69A,69Bとストッパー74A,74Bが係合する位置に、シリンダー部材65および集中/分散切替レバー31Eが保持される。これにより、湾曲長孔81を通してシリンダー部材65の内部と給水孔78が連通すると共に、集中ガイド孔82Aを通してシリンダー部材65の内部と集中側吐水孔79Aが連通する一方で、分散側吐水孔79Bがシリンダー部材65の底面部で塞がれる。したがって、弾性体67の反発力によりショットボタン31Bと共にピストン66が押し上げられると、タンク組立体13の内部で、貯留室55に貯留した水が、給水パイプ117から給水孔78を通ってシリンダー部材65の内部に吸込まれ、次に弾性体67の反発力に抗して、ショットボタン31Bと共にピストン66を押動操作すると、シリンダー部材65の内部に吸込まれた水が、集中側吐水孔79Aから集中側吐水路80Aを通して吐出され、ベース4の上面側で集中側オートバルブ47Aから集中側通水路46Aに導かれる。
そのため、集中/分散切替レバー31Eが「集中」側に位置する場合は、集中側通水路46Aに導かれた水だけが一時的に増えて、集中側気化室8Aの滴下受け部36Aに滴下し、その集中側気化室8Aで気化されたスチームが、集中側蒸気空間37Aからスチーム集中噴出孔9Aに導かれて、掛け面41の一領域に設けたスチーム集中噴出孔9Aから、布地などに集中してスチームを噴出することができる。
また、集中側吐水路80Aに設けられたボール弁87Aは、シリンダー部材65の内圧に応じて可動し、シリンダー部材65の内部に水を吸込むときには、集中側吐水路80Aを閉じる一方で、シリンダー部材65の内部から水を吐出するときには、集中側吐水路80Aを開く構成となっている。
一方、集中/分散切替レバー31Eを、「集中」側から「分散」側の位置に動かすと、シリンダー部材65の爪69A,69Bとストッパー74A,74Bとの係合が解除され、トーションばね76の付勢力によりシリンダー部材65が他の方向に回動し、シリンダー部材65および集中/分散切替レバー31Eが所定の位置に保持される。これにより、湾曲長孔81を通してシリンダー部材65の内部と給水孔78が連通すると共に、分散ガイド孔82Bを通してシリンダー部材65の内部と分散側吐水孔79Bが連通する一方で、集中側吐水孔79Aがシリンダー部材65の底面部で塞がれる。したがって、弾性体67の反発力によりショットボタン31Bと共にピストン66が押し上げられると、タンク組立体13の内部で、貯留室55に貯留した水が給水孔78を通ってシリンダー部材65の内部に吸込まれ、次に弾性体67の反発力に抗して、ショットボタン31Bと共にピストン66を押動操作すると、シリンダー部材65の内部に吸込まれた水が、分散側吐水孔79Bから分散側吐水路80Bを通して吐出され、ベース4の上面側で分散側オートバルブ47Bから分散側通水路46Bに導かれる。
そのため、集中/分散切替レバー31Eが「分散」側に位置する場合は、分散側通水路46Bに導かれた水だけが一時的に増えて、分散側気化室8Bの滴下受け部36Bに滴下し、その分散側気化室8Bで気化されたスチームが、分散側蒸気空間37Bからスチーム分散噴出孔9Bに導かれて、掛け面41の広い領域に設けたスチーム分散噴出孔9Bから、布地などに分散してスチームを噴出することができる。
また、分散側吐出路80Bに設けられたボール弁87Bは、シリンダー部材65の内圧に応じて可動し、シリンダー部材65の内部に水を吸込むときには、分散側吐出路80Bを閉じる一方で、シリンダー部材65の内部から水を吐出するときには、分散側吐出路80Bを開く構成となっている。
本実施形態では、アイロンの使用用途に応じて、ショット噴出を「集中」と「分散」の何れかに切替えできる利点を有する。例えば、上述した「集中」側のショット(増量スチーム)噴出は、ハンガーに吊るした状態の衣服のしわ伸ばしや、衣類の頑固なしわ伸ばしや、ミスト機能の代替に最適である。一方、「分散」側のショット噴出は、アイロン掛けの状態での衣類のしわ伸ばしや、化学繊維などのしわになりにくい繊維のしわ伸ばしに最適である。
一般に、ハンガーに吊るしたままの衣類は、掛け面41を衣類に押し付けるプレスができないため、シワが伸びにくく、従来の掛け面全体からスチームを噴出させるものでは、その分スチーム圧が低下して、しっかりとしわを伸ばすことができない。しかし、本実施形態のような「集中」側のショット噴出では、掛け面41の一領域に集中配置したスチーム集中噴出孔9Aから、スチーム圧を上げてスチームを噴出するので、プレスの代替として衣類のしわ伸ばしを良好に行なうことが可能になり、「分散」側のショット噴出では、布地に対して広範囲に水分を与えることが可能になる。
なお本実施形態では、増量スチーム用のショットボタン31Bを押動操作したときに、スチームが「集中」または「分散」の何れかから噴出するが、スチーム/ドライ切替レバー31Aを「スチーム」側に切替え、ショットボタン31Bを押動操作しない通常のスチーム噴出時にも、「集中」または「分散」の何れかからスチームが噴出する構成としてもよい。
また本実施形態では、ベース4の内部で気化室8の滴下受け部36から噴出孔9に至る通路44の内壁面全体に、親水性被膜45を付着させているので、ショットボタン31Bを押す度に、ポンプ装置50から加熱された気化室8に水が速い速度で大量に滴下受け部36に滴下しても、そこから気化室8を含む通路44の内部のあらゆる箇所で、親水性被膜45に触れた水が、ラビリンス形状の気化室8や、気化室8に連なる蒸気空間37を通過しながら拡がることで、噴出孔9に達するまでの途中で確実に気化する。これにより、噴出孔9から湯滴を残さずにスチームだけを噴出させることができ、衣類などを快適にアイロン掛けすることが可能となる。
さらに、気化室8を集中側気化室8Aと分散側気化室8Bに区画して形成すると、集中側気化室8Aの滴下受け部36Aから集中側噴出孔9Aに至る集中側通路44Aと、分散側気化室8Bの滴下受け部36Bから分散側噴出孔9Bに至る分散側通路44Bの距離が十分確保できなくなる。しかし、集中側通路44Aや分散側通路44Bの内壁全体を親水性被膜45で覆うことで、集中側噴出孔9Aや分散側噴出孔9Bから何れも湯滴を残さずに、スチームだけを噴出させることができる。
次に、上記実施形態のアイロンに関し、好ましい変形例を図25〜図27に示す。この変形例は、例えばバイメタル49A,49Bが復帰状態にあって、ポンプ装置52から気化室8への液体の流通が遮断された状態であるにも拘らず、ショットボタン31Bを強引に操作してポンプ装置52を無理やり動作させたときに、ポンプ装置52から吐出する液体をタンク組立体13内の貯留室55に戻すために、タンク組立体13弁機構125を付加したことを特徴としている。したがって、弁機構125以外の構成や作用効果は、上述した実施形態と共通する。
弁機構125は、タンクベース59の取付け凹部92に形成され、ポンプ装置52の吐出孔の一つである集中側吐水孔79A、ひいては集中側導流溝97Aに連通するバイパス導流溝126と、押さえ部材93に形成される中空な筒部127とにより構成される。筒部127は、押さえ部材93の上面側に直立した状態で設けられ、その下端開口がバイパス導流溝126に連通し、上端開口が貯留室55に開放される。貯留室55の水が筒部127から集中側導流溝97Aに侵入しないように、満水時における貯留室55の水位よりも、筒部127の上端が高い位置となるように筒部127を形成する。また、同様の構造を、タンク組立体13の内部で集中側導流溝97Aにだけでなく、分散側導流溝97Bに設けてもよく、バイパス導流溝126を設けずに、集中側導流溝97Aや分散側導流溝97Bの直上に筒部127を設けてもよい。
上記構成において、集中/分散切替レバー31Eの摘み70が「集中」側に位置する場合に、前述のようにポンプ装置52から気化室8への水の流通が遮断された状態で、ショットボタン31Bを強引に操作すると、シリンダー部材65の内部から集中ガイド孔82Aに押し出された水の圧力が極端に上昇し、集中側吐水孔79Aから集中側吐水路80Aを通して導流部91の集中側導流溝97Aに流れ込んだ水が、バイパス導流溝126と筒部127を通って、タンク組立体13内の貯留室55に戻される。そのため、ポンプ装置52から押し出された水が行き場を失うことはなく、タンク組立体13の外部への水の漏出を防止できる。
一方、バイメタル49A,49Bが反転状態に変形し、ポンプ装置52から気化室8への水の流通が可能な状態では、ショットボタン31Bを操作しても、シリンダー部材65の内部から押し出される水の圧力が極端に上昇せず、集中側導流溝97Aに流れ込んだ水は筒部127を上昇することができない。したがってこの場合は、ポンプ装置52から押し出された水を、無駄なく気化室8に送り出すことができる。
また、集中/分散切替レバー31Eの摘み70が「分散」側に位置する場合に、ポンプ装置52から気化室8への水の流通が遮断された状態で、ショットボタン31Bを強引に操作すると、シリンダー部材65の内部から分散ガイド孔82Bに押し出された水が、シリンダー部材65とシリンダー保持部64との隙間から、集中側吐水路80Aを通して導流部91の集中側導流溝97Aに流れ込み、そこからバイパス導流溝126と筒部127を通って、タンク組立体13内の貯留室55に戻される。そのためこの場合もやはり、ポンプ装置52から押し出された水が行き場を失うことはなく、タンク組立体13の外部への水の漏出を防止できる。
このように本変形例では、煙突状の筒部127の高さを利用して、ポンプ装置52から押し出される水の圧力が一定値以上になると、その水をタンク組立体13の貯留部55に戻すことが可能になり、タンクベース59や押さえ部材93の形状変更だけで、部品点数を増やすことなく、ポンプ装置52の内部に筒体127を立設しただけの簡単な構成で、弁機構125としての機能を十分に発揮させることが可能となる。また、弁機構125の別な例として、弁体となるボール弁と、弾性体となるスプリングとの組み合わせとしてもよい。この場合、ポンプ装置52から気化室8への水の流通が可能な状態では、弾性体の付勢力により弁体を閉じ、ポンプ装置52から気化室8への水の流通が遮断され、ポンプ装置52から押し出される水の圧力が上昇すると、弾性体の付勢に抗して弁体が開いて、貯留室55に水を戻す構成とすればよい。
以上のように本実施形態では、ヒータ3により加熱した気化室8の受け部となる滴下受け部36に液体としての水を滴下させ、気化室8から噴出部となる噴出孔9を通して、外部にスチームを噴出させるアイロンにおいて、気化室8の滴下受け部36から噴出孔9に至る通路44の内壁全体を親水性被膜45で被覆している。
この場合、気化室8の一部にだけでなく、気化室8の滴下受け部36から噴出孔9に至る通路44の内壁全体を親水性被膜45で覆うことで、気化室8の滴下受け部36に水が速い速度で滴下しても、その水を通路44の内部で拡げて確実に気化させ、噴出孔9から湯滴を残さずにスチームだけを噴出させることができる。そのため、衣類などを快適にアイロン掛けすることが可能になる。
また本実施形態では、第1気化室となる集中側気化室8Aと第2気化室となる分散側気化室8Bが、気化室8として区画して設けられ、噴出孔9は、集中側気化室8Aに通じる第1噴出部としての集中側噴出孔9Aと、分散側気化室8Bに通じる第2噴出部としての分散側噴出孔9Bとを別々に設けて構成され、集中側気化室8Aの滴下受け部36Aから集中側噴出孔9Aに至る第1通路となる集中側通路44Aの内壁全体と、分散側気化室8Bの滴下受け部36Bから分散側噴出孔9Bに至る第2通路となる分散側通路44Bの内壁全体に、前述の親水性被膜45を形成している。
この場合、気化室8が集中側気化室8Aと分散側気化室8Bに区画され、集中側気化室8Aの滴下受け部36Aから集中側噴出孔9Aに至る集中側通路44Aと、分散側気化室8Bの滴下受け部36Bから分散側噴出孔9Bに至る分散側通路44Bの距離が何れも十分確保できなくても、これらの集中側通路44Aや分散側通路44Bの内壁全体を親水性被膜45で覆うことで、集中側噴出孔9Aや分散側噴出孔9Bから何れも湯滴を残さずにスチームだけを噴出させることができる。また、集中側気化室8Aに通じる集中側噴出孔9Aからスチームを噴出させる一方で、別な分散側気化室8Bに通じる分散側噴出孔9Bからスチームを噴出させることができ、必要に応じて異なる領域からスチームだけを確実に噴出させることができる。
本実施形態では、タンクに相当するタンク組立体13に収容した液体となる水を、ヒータ3で加熱した気化室8に導いてスチームを噴出させるアイロンにおいて、タンク組立体13は、気化室8への導液路となる導流部91に設けられる弁体62と、この弁体62が装着される取付け部材としてのタンクカバー59と、タンクカバー59に溶着されていることにより、弁体62をタンクカバー59に押し付ける押さえ部材93とを備え、押さえ部材93はタンクカバー59に係合する凸部として、周囲凸部107と仕切り凸部108が形成され、タンクカバー59は周囲凸部107と仕切り凸部108を受け入れる凹部として、周囲溝98と仕切溝100がそれぞれ形成され、周囲溝98と仕切溝100の底面で押さえ部材93との接合部122が形成されている。
この場合、弁体62を装着したタンクベース59の周囲溝98や仕切溝100に、押さえ部材93の周囲凸部107や仕切り凸部108をそれぞれ挿入して、好ましくは超音波でタンクベース59に対して押さえ部材93の溶着を行なうと、周囲溝98や仕切溝100の底面でタンクベース59と押さえ部材93との接合部122が形成され、押さえ部材93に弁体62が押さえられた状態で、タンクベース59に押さえ部材93が取付け固定される。
また、本実施形態のタンク組立体13は、気化室8への水の供給量を増加させる増量スチーム用のポンプ装置52と、このポンプ装置52に通じる弾性体となるパッキン85と、をさらに備え、押さえ部材93は、パッキン85を取付けるための孔として、受入れ孔102A,102Bを有している。
この場合、押さえ部材93にはポンプ装置52に通じるパッキン85を取付けるために、集中側受入れ孔102Aや分散側受入れ孔102Bも設けられているが、超音波溶着の際に仕切り凸部108を挿入した仕切溝100内でバリがせき止められるので、受入れ孔102A,102Bが接合部122の近傍に位置していても、受入れ孔102A,102Bに内バリが発生せず、パッキン85への傷付きを防止できる。
また本実施形態では、パッキン85を取付けるための孔を2つ以上有し、一方の孔となる集中側受入れ孔102Aを設けた第1領域となる集中側領域99Aと、他方の孔となる分散側受入れ孔102Bを設けた第2領域となる分散側領域99Bとを区画する仕切り壁として、周囲凸部107とは別に仕切凸部108を形成している。
この場合、押さえ部材93に設けた2つ以上の受入れ孔102A,102Bに対応して、ポンプ装置52から気化室8に吐出される液体の吐水路80A,80Bが、タンク組立体13の内部に複数あっても、押さえ部材93とタンクベース59との間で、本来はバリをせき止めるために設けた仕切凸部108を、一方の吐水路80Aと他方の吐水路80Bとの間の液体の侵入を防ぐ仕切り壁として効果的に機能させることができる。
本実施形態では、タンク組立体13に収容した液体となる水を、ヒータ3で加熱した気化室8に導いてスチームを噴出させるアイロンにおいて、タンク組立体13は、気化室8への水の供給量を増加させる増量スチーム用のポンプ装置52と、ポンプ装置52から気化室8への水の流通が遮断された状態で、ポンプ装置52を動作させたときに、ポンプ装置52から吐出する液体をタンク組立体13の内部に戻す弁機構125を備えている。
この場合、ポンプ装置52から気化室8への水の流通が遮断された状態で、ポンプ装置52を無理やり動作させた場合でも、ポンプ装置から押し出された水は、弁機構125を通してタンク組立体13の内部に戻され、タンク組立体13の外部に液体が漏出するのを防止することが可能になる。
また、本実施形態の弁機構125は、下端をポンプ装置52の吐出孔である集中側吐水孔79Aに連通し、上端をタンク組立体13の内部空間に開放して立設する筒体127で構成される。
この場合、ポンプ装置52から押し出される液体の圧力が一定値以上に達すると、筒体127の上端から溢れ出した液体をタンク組立体13の内部空間に戻すことができ、ポンプ装置52の内部に筒体127を立設しただけの簡単な構成で、弁機構125としての機能を十分に発揮させることが可能となる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば本実施形態のように、ベースに気化室が二つだけ設けられるものに限らず、気化室が三つ以上設けられるものや、スチーム集中噴出部やスチーム分散噴出部以外の別な噴出部が掛け面に存在するものでも、本発明のアイロンに含まれると解釈される。
8 気化室
8A 集中側気化室(第1気化室)
8B 分散側気化室(第2気化室)
9 噴出孔(噴出部)
9A スチーム集中噴出孔(第1噴出部)
9B スチーム分散噴出孔(第2噴出部)
13 タンク組立体(タンク)
36,36A,36B 滴下受け部(受け部)
44 通路
44A 集中側通路(第1通路)
44B 分散側通路
45 親水性被膜
52 ポンプ装置
59 タンクカバー(取付け部材)
62 弁体
79A 集中側吐水孔(吐出孔)
85 パッキン(弾性体)
91 導流部(導流路)
93 押さえ部材
98 周囲溝(凹部)
99A 集中側領域(第1領域)
99B 分散側領域(第2領域)
100 仕切溝(凹部)
102A 集中側受入れ孔(孔、一方の孔)
102B 分散側受入れ孔(孔、他方の孔)
107 周囲凸部(凸部)
108 仕切り凸部(凸部、仕切り壁)
122 接合部
125 弁機構
127 筒部

Claims (7)

  1. 加熱した気化室の受け部に液体を滴下させ、前記気化室から噴出部を通してスチームを噴出させるアイロンにおいて、
    前記気化室の受け部から前記噴出部に至る通路の内壁全体が、親水性被膜で被覆されることを特徴とするアイロン。
  2. 前記気化室として、第1気化室と第2気化室が区画して設けられ、
    前記噴出部は、前記第1気化室に通じる第1噴出部と、前記第2気化室に通じる第2噴出部とを別々に設けて構成され、
    前記第1気化室の受け部から前記第1噴出部に至る第1通路の内壁全体と、前記第2気化室の受け部から前記第2噴出部に至る第2通路の内壁全体に、前記親水性被膜を形成したことを特徴とする請求項1記載のアイロン。
  3. タンクに収容した液体を、加熱した気化室に導いてスチームを噴出させるアイロンにおいて、
    前記タンクは、気化室への導液路に設けられる弁体と、この弁体が装着される取付け部材と、前記取付け部材に溶着されていることにより、前記弁体を前記取付け部材に押し付ける押さえ部材と、を備え、
    前記押さえ部材は前記取付け部材に係合する凸部が形成され、
    前記取付け部材は前記凸部を受け入れる凹部が形成され、前記凹部の底面で前記押さえ部材との接合部が形成されることを特徴とするアイロン。
  4. 前記タンクは、前記気化室への液体の供給量を増加させる増量スチーム用のポンプ装置と、前記ポンプ装置に通じる弾性体と、をさらに備え、
    前記押さえ部材は、前記弾性体を取付けるための孔を有することを特徴とする請求項3記載のアイロン。
  5. 前記孔を2つ以上有し、一方の前記孔を設けた第1領域と、他方の前記孔を設けた第2領域とを区画する仕切り壁として、前記凸部を形成したことを特徴とする請求項4記載のアイロン。
  6. タンクに収容した液体を、加熱した気化室に導いてスチームを噴出させるアイロンにおいて、
    前記タンクは、前記気化室への液体の供給量を増加させる増量スチーム用のポンプ装置と、
    前記ポンプ装置から前記気化室への液体の流通が遮断された状態で、前記ポンプ装置を動作させたときに、当該ポンプ装置から吐出する液体を前記タンク内に戻す弁機構を備えたことを特徴とするアイロン。
  7. 前記弁機構は、下端を前記ポンプ装置の吐出孔に連通し、上端を前記タンクの内部空間に開放して立設する筒体で構成されることを特徴とする請求項6記載のアイロン。
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