JPH0419880B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明はベースの下面から適宜スチームを噴出
させることのできるスチームアイロンに関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

この種のアイロンは、ヒータを備えるベースの
上面に蒸発室を形成し、この蒸発室に滴下ノズル
を臨ませ、この滴下ノズルを開閉機構を介して開
閉操作し、その開放により滴下ノズルを通して蒸
発室に水を滴下し、その水をベースの熱で蒸発さ
せてスチームとし、このスチームを順次ベースの
下面側に導びいて噴出させるようになつている。
ベースの温度がスチームを発生させるに充分な温
度に適している場合には、滴下ノズルから滴下さ
れた水は速やかに蒸発してスチームとなる。

したがつてこのような状態のもとで滴下ノズル
を開放操作すれば問題がない。

ところが、ベースがスチームの発生適温に達し
ていない状態、すなわち例えばアイロンの不使用
時、ヒータへの通電直後の時、或いは使用途中に
電源コードが室内コンセントから抜き取られたよ
うな場合のもとで、滴下ノズルが開放操作され、
蒸発室に水が滴下されると、蒸発が適正に行なわ
れず、蒸発室内に水が溜まり、ベースの腐食を招
来したり、ベースの下面から水滴が漏れるなどと
いう不具合が発生する問題があつた。

〔発明の目的〕

本発明はこのような点に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、ベースがスチーム
の発生適温に達しない限り、蒸発室内に水が滴下
することのないようにしたスチームアイロンを提
供することにある。

〔発明の概要〕 本発明はこのような目的を達成するために、ベ
ースに蒸発室を形成し、ベースの上部に水タンク
を設け、この水タンク内を導水路を介して蒸発室
内に連通させ、この導水路を開閉する開閉機構を
設け、この開閉機構の動作をスプリングの付勢力
により拘束して導水路を常閉する拘束機構を設
け、ベースの温度がスチーム発生適温に達した際
にその温度を感知して動作する感熱応動体を設
け、この感熱応動体の動作で上記拘束機構を上記
スプリングに抗して動作させて上記開閉機構に対
する拘束を解除するようにしたものである。

〔発明の実施例〕

以下、本発明の一実施例について図面を参照し
て説明する。図中１はアイロン本体、２はアイロ
ン本体１の前端部に着脱自在に設けられたカセツ
ト式の水タンクである。アイロン本体１は、ベー
ス３の上面をカバー４で覆い、このカバー４の上
面に遮熱板５を設け、さらにこの遮熱板５の上面
にハンドル６を取付けてなる。ベース３にはヒー
タ７が鋳込まれているとともに、上面に蒸発室
８、分流室９、案内室１０が形成され、これら各
室８，９，１０の上面が共通の蓋板１１で気密的
に閉塞され、この蓋板１１の上方側に導水体１２
が設けられている。蓋板１１には分流室９に対向
して開口１３が形成され、この開口１３の上方に
弁ケース１４が設けられている。そして上記蒸発
室８は上記弁ケース１４から開口１３を通して分
流室９に連通し、また案内室１０に対しては直接
連通している。そして分流室９および案内室１０
にはそれぞれベース３の下面側に連通する噴出孔
１５，１６が設けられている。

水タンク２は例えば合成樹脂で形成され、上面
から見た形状がほぼＵ字状をなし、その両側部が
ハンドル６の前端側の両側部に跨がるように配置
している。水タンク２の底部には流出口１７およ
び弁機構１８が設けられ、弁機構１８は支持体１
９に摺動自在に支持された弁杆２０の中間部に円
板状の弁体２１を取付け、この弁体２１をスプリ
ング２２を介して上記流出口１７の配置側、つま
り流出口１７を閉塞する方向に弾性的に付勢して
なる。そして弁杆２０の下端が流出口１７の内側
中心部に突出している。

導水体１２は互いに連通する導入部２５および
導出部２６を有し、導入部２５の上面に導入口２
７が形成されているとともに、その内底部に押上
ピン２８が垂直に突設されている。水タンク２の
流出口１７には接続板２９が設けられ、この接続
板２９が上記導入口２７に着脱自在にかつ液密的
に嵌合して接続し、上記押上ピン２８が弁杆２０
に当接して弁体２１をスプリング２２に抗して押
上げ、流出口１７を開放状態に保持し、これによ
り水タンク２内に収容された水が流出口１７を通
して導入部２５および導出部２６に導入されてい
る。導出部２６には滴下ノズル３０が設けられ、
このノズル３０の先端が蓋板１１を貫通してベー
ス３の蒸発室８に臨み、このノズル３０および上
記導入部２５、導出部２６により水タンク２内を
蒸発室８内に連通させる導水路が構成されてい
る。導入部２６内には開閉杆３１が上下動自在に
挿入され、この開閉杆３１の上下動作で滴下ノズ
ル３０の先端のノズル孔３２が開閉されるように
なつている。

ハンドル６の前端上部には回動自在のカム盤３
５およびこのカム盤３５を回動操作する操作体３
６が収納され、操作体３６には操作摘み３７が一
体に設けられ、この操作摘み３７がハンドル６の
外部に突出している。ハンドル６の上面には表示
プレート３４が設けられ、この表示プレート３４
の周縁部に温度設定の指示表示やスチーム発生の
指示表示が施こされ、この周縁部に沿つて上記操
作摘み３７を移動させることができるようになつ
ている。カム盤３５には下面の周縁側にその周縁
に沿う円弧状の第１および第２のカム面３８，３
９が形成されている。これらカム面３８，３９
は、それぞれ一端側から他端側に向つて高低差を
有する傾斜状に形成されている。滴下ノズル３０
を開閉する開閉杆３１の上端側は、遮熱板５およ
びハンドル６のリブ４０をそれぞれ摺動自在に貫
通してハンドル６の内部上方に突出し、その上端
が連動杆４１の内孔４２に摺動自在に挿入されて
いる。連動杆４１はスプリング４３により上方側
に弾性的に付勢され、その付勢力で上端が上記第
１のカム３８に弾性的に当接している。４４は調
節杆で、この調節杆４４は、ヒータ７の通電を制
御してベース３の温度を調節する温度調節器（図
示せず）に設けられた連動片４５に連結し、上端
が上記第２のカム面３９に上記連動片４４の付勢
力で弾性的に当接している。

ベース３の上面には蒸発室８の近傍に位置して
凹所４７が形成され、この凹所４７内に感熱応動
体として例えば反転式のバイメタル４８が収納さ
れている。バイメタル４８には応動杆４９が当接
し、この応動杆４９の上端に規制板５０が固着さ
れ、この規制板５０の一端に透孔５１が形成さ
れ、この透孔５１に上記開閉杆３１が挿通してい
る。そして規制板５０の下方側に位置して開閉杆
３１に係止板５２が取付けられ、この係止板５２
に規制板５０が当接している。開閉杆３１にはス
プリング５３が設けられ、このスプリング５３に
よ開閉杆３１が上方側に弾性的に付勢されてい
る。また、上記応動杆４９にスプリング５４が設
けられ、このスプリング５４により応動杆４９が
下方側に弾性的に付勢されている。この応動杆４
９のスプリング５４は上記開閉杆３１のスプリン
グ５３よりもその弾性力が強く、したがつてこの
応動杆４９のスプリング５４により規制板５０を
介して開閉杆３１がスプリング５３に抗して押圧
され、これにより滴下ノズル３０のノズル孔３２
が常閉されている。

分流室９の上部に設けられた弁ケース１４に
は、開口１３に対向して弁体５５が設けられ、こ
の弁体５５は支軸５６を介して上下動自在に支持
されているとともに、スプリング５７により上方
側に弾性的に付勢されている。そして支軸５６に
操作杆５８が当接し、この操作杆５８はカム盤３
５の中心を摺動自在に挿通してその上端がハンド
ル６の上端部分に達している。ハンドル６の上端
には操作ボタン６０が設けられ、この操作ボタン
６０はほぼ上半部がハンドル６の上面からその上
方に突出し、下半部が操作体３６の内側に摺動自
在に収納されている。

そしてこの操作ボタン６０はスプリング６１，
６２を介して上方側に弾性的に付勢され、これら
スプリング６１，６２に抗して操作ボタン６０を
下方に押込むと、操作杆５８を介して支軸５６が
押圧され、弁体５５が下降して開口１３に衝合
し、これにより開口１３が閉塞され、この状態が
保持される。そして操作ボタン６０を再度押圧す
ると、操作ボタン６０が突出し、スプリング５７
の弾性力で弁体５５が上昇し、開口１３が開放さ
れるようになつている。

ハンドル６の前端上部には係止体６５がハンド
ル６の前後方向に沿つて摺動自在に設けられてい
る。この係止体６５は中間部に輪環状の基部６６
を有し、この基部６６の一端側に係止片６７が、
他端側に操作摘み６８がそれぞれ一体的に設けら
れている。そしてこの係止体６５はスプリング６
９によりハンドル６の前方側に弾性的に付勢され
ているとともに、輪環状の基部６６の内側に操作
体３６を遊合配置させ、係止片６７をハンドル６
の前方に突出させ、操作摘み６８をハンドル６の
上面からその上方に突出させている。水タンク２
の背面上部にはほぼ水平に突片７０が突出し、こ
の突片７０が、弁機構１８におけるスプリング２
２の弾性力に基づいて上記係止片６７の下面に圧
接し、これによりアイロン本体１に対する水タン
ク２の保持が図られている。

水タンク２の前面上部には注水口７２が形成さ
れ、さらにその前面の全体が窓フレーム７３で覆
われている。窓フレーム７３のほぼ上半部に上記
注水口７２と対向する注水窓７４が形成され、ま
た窓フレーム７３の内面に蓋板７５が上下に摺動
自在に装着されている。蓋板７５の上端縁には摘
み７６が一体的に突出し、この摘み７６が注水窓
７４を通して窓フレーム７３の前面側に臨んでい
る。また蓋板７５の背面には、上端および下端部
分に位置してそれぞれ凹所７７，７８が形成さ
れ、さらに水タンク２の前面中間部に板ばね７９
が設けられ、いま第１図および第６図においてそ
の板ばね７９が蓋板７５の下端側の凹所７８に弾
性的に嵌合し、これにより蓋板７５が窓フレーム
７３の上部側に保持され、注水窓７４が閉塞され
ている。

次に作用について説明する。操作摘み３７を介
して操作体３６を回動操作し、その操作摘み３７
を表示プレート３４の「スチーム」の位置に合わ
せると、ヒータ７が通電される。また操作体３６
の回動に伴つてカム盤３５も一体的に回動し、こ
の回動に応じてそれぞれカム面３８，３９の高低
差により連動杆４１および調節杆４４が上昇変位
する〔第７図ａ〕。そしてその調節杆４４により
温度調節器に対する設定操作が行なわれる。連動
杆４１は上述のように上昇するが、開閉杆３１は
規制板５０により拘束されており、したがつて開
閉杆３１は上昇せず、ノズル孔３２は閉塞された
ままの状態に保持される。ヒータ７の通電により
ベース３が徐々に温度上昇し、その温度がスチー
ムを発生するに充分な温度にまで達すると、それ
をバイメタル４８が感知し、反転する。このバイ
メタル４８の反転によりスプリング５４に抗して
応動杆４９および規制板５０が一体的に上昇し、
規制板５０による開閉杆３１の拘束が解除され、
この解除により開閉杆３１がスプリング５３の付
勢力で上昇し、ノズル孔３２が開放される〔第７
図ｂ〕。ノズル孔３２の開放により、水タンク２
の流出口１７を通して導水体１２内に導入された
水が順次蒸発室８内に滴下される。そしてこの水
がベース３の熱で蒸発してスチームとなり、この
スチームは弁ケース１４から開口１３を通して分
流室９に、また直接案内室１０にそれぞれ流入
し、さらにこれら両室９，１０からそれぞれ噴出
孔１５，１６を通してベース３の下面側に噴出す
る。ここで、操作ボタン６０を押圧し、弁体５５
を介して開口１３を閉塞すれば、分流室９の噴出
孔１５からのスチームの噴出は停止し、案内室１
０の噴出孔１６からのみスチームが集中して噴出
する。

操作摘み３７を「スチーム」の表示位置から外
し、例えば「中温」の表示位置に合わせると、カ
ム面３８，３９に押圧されてそれぞれ連動杆４１
および調節杆４４が下降変位する。そして調節杆
４４の下降により温度調節器がベース３の温度を
「中温」に保つように設定操作される。また、連
動杆４１の下降により開閉杆３１がスプリング５
３に抗して押圧され、ノズル孔３２が閉塞され、
これによりスチームの噴出が停止する〔第７図
ｃ〕。温度調節器による設定温度の切換りにより
ベース３の温度がスチーム発生時の温度よりも低
下すると、バイメタル４８が逆反転し、応動杆４
９および規制板５０がスプリング５４の付勢力で
下降し、規制板５０により開閉杆３１が拘束さ
れ、ノズル孔３２の閉塞状態が確実に保持され
る。このような動作は操作摘み３７を表示プレー
ト３４の「高温」、「低温」の表示位置に合わせた
場合も同様である。また、操作摘み３７を表示プ
レート３４の「スチーム」の表示位置に合わせた
状態のもとで、例えば電源コードのプラグを室内
コンセントから引抜いてヒータ７への通電を切つ
た場合においては、ベース３の温度低下に伴いバ
イメタル４８が逆反転し、操作摘み３７の位置に
拘りなく、開閉杆３１が規制板５０によりスプリ
ング５３に抗して強制的に押圧され、ノズル孔３
２が閉塞され、スチームの噴出が停止する。この
ようにベース３がスチームの発生に適する温度に
保持されていない限り、ノズル孔３２は常に強制
的に閉塞され、したがつて蒸発室８に不用意に水
が溜まるようなことがない。

水タンク２内に水を補給する場合には、その水
タンク２をアイロン本体１から取外すわけである
が、その手順について説明すると、まず、係止体
６５の操作摘み６８に指先を引掛けてその係止体
６５をスプリング６９に抗してハンドル６の後方
側に摺動させる。この操作により係止片６７が水
タンク２の突片７０から離脱し、これに伴い弁機
構１８のスプリング２２の弾性力により水タンク
２の全体がホツプするように浮き上り、したがつ
て水タンク２をアイロン本体１から容易に取外す
ことができる。また水タンク２が浮き上る際に
は、スプリング２２の弾性力で弁体２１が流出口
１７の配置側に移動し、その弁体２１により流出
口１７が閉塞され、したがつて水タンク２から水
が漏れるようなことはない。

アイロン本体１から水タンク２を取外したのち
には、蓋板７５の摘み７６の指先に引掛けてその
蓋板７５を下方に引下げ、注水窓７４を開放し、
この注水窓７４から注水口７２を通して水タンク
２内に水を補給する。蓋板７５の引下げに伴い、
板ばね７９が蓋板７５の下端の凹所７８から離脱
し、上端の凹所７７に嵌合し、したがつて蓋板７
５の下降位置が確実に定まり、注水窓７４の開放
状態が安定する。また、蓋板７５の周縁は窓フレ
ーム７３の周壁により囲まれて保護されているか
ら、この蓋板７５が不用意に損傷したり変形する
ようなことがない。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によれば、ベースが
スチームの発生適温に達しない限り、蒸発室内に
水が滴下することがなく、したがつて蒸発室内に
水が溜まつてベースを腐食させたり、ベースの下
面に水滴が漏れるなどという問題を確実に解消す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図はアイ
ロンの斜視図、第２図は同じく断面図、第３図は
その一部を分解して示す斜視図、第４図は表示プ
レートの平面図、第５図は窓フレームおよび蓋板
を示す斜視図、第６図は蓋板の装着部分の一部を
示す断面図、第７図は作用説明図である。 ８…蒸発室、３１…開閉杆、３６…操作体、４
８…バイメタル、４９…応動杆、５０…規制板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ベースに形成された蒸発室と、上記ベースの
   上部に設けられた水タンクと、この水タンク内を
   上記蒸発室内に連通させた導水路と、この導水路
   を開閉する開閉機構と、この開閉機構の動作をス
   プリングの付勢力により拘束して上記導水路を常
   閉する拘束機構と、上記ベースの温度がスチーム
   発生適温に達した際にその温度を感知して動作す
   る感熱応動体を有しこの感熱応動体の動作で上記
   拘束機構を上記スプリングに抗して動作させて上
   記開閉機構に対する拘束を解除する熱応動解除機
   構とを具備したことを特徴とするスチームアイロ
   ン。