JPH077502B2 - 液体トナー組成物及びその製造方法 - Google Patents

液体トナー組成物及びその製造方法

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JPH077502B2
JPH077502B2 JP61051619A JP5161986A JPH077502B2 JP H077502 B2 JPH077502 B2 JP H077502B2 JP 61051619 A JP61051619 A JP 61051619A JP 5161986 A JP5161986 A JP 5161986A JP H077502 B2 JPH077502 B2 JP H077502B2
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スペクトラム、サイエンセズ、ベーヴェー
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Description

【発明の詳細な説明】 近年、生音楽、口述録音および映画ならびにテレビジヨ
ン放送の映像信号用のテープレコーダーが急増してき
た。さらにコンピユーターやワードプロセツサーがフロ
ツピーデイスクまたはハードデイスクの形でソフトウエ
アを必要とするためこれに拍車をかけている。これらは
通常磁性材料の懸濁液から製造される。磁性粒子の懸濁
を良好とするため、従来の方法では分散液はデイスク上
に吐出されて薄い被覆を形成する。被覆されたデイスク
は被覆が湿つているうちに磁場内に置いて磁性粒子を配
向させる。次に、通常複熱な熱サイクルによつてデイス
クを硬化させる。この方法による収率は非常に低かつ
た。
従来、磁性材料例えば微細な酸化第二鉄粒子を水に懸濁
して電気泳動によりテープ上に沈積し得ることが提案さ
れてきた。本発明者らは誘電率が低く抵抗率の高い他の
液状担体、特にイソパール(ISOPAR)類がこの目的に対
しより優れた材料であることを見いだした。電気泳動が
生ずるためにはトナー粒子は正しい極性で電荷されなけ
ればならない。これが電荷指向剤の役目である。イソパ
ールとトナー粒子と電荷指向剤とから成る液状トナー浴
は電気的にほゞ中性でなければならない。すなわち、電
荷指向剤はトナー粒子に電荷を導入するだけでなく、同
数の反対の電荷を結合した粒子(対イオンと呼ばれる)
を生ずる。対イオンは荷重した個々の分子イオン、鎖状
ポリマー、ミセル、その他の分子集合体であつてよい。
電荷指向剤がその機能を果すには二つの可能な方法があ
る。第一の方法では電荷指向剤はトナー粒子と混合され
るまでは中性のものから成つている。混合されると電荷
指向剤とトナー粒子との間のエンタルピー差により化学
反応が誘起され、トナーはある符号の電荷を、電荷指向
剤はもう一方の符号の電荷を帯びる。これは2種の粒子
間で電子が交換されるためまたはイオン性分子基が電荷
指向剤分子からトナー粒子に転移するために起ると考え
られる。電荷指向剤が機能する第二のより一般的な方法
は、これがトナー粒子との混合前、液状担体中のイオン
性溶液をなしているものである。トナーと電荷指向剤と
が混合されるとイオン種の一つが優先的にトナー粒子に
付着する。トナーに付着するイオンの符号は一般にトナ
ー粒子の表面の性質と電荷指向剤内のイオン種とによつ
て変化する。ある一つの電荷指向剤が一つのトナーを正
に別のトナーを負に電荷したり、また全く荷電しないこ
とがある。好ましいあり方は、二つのイオン種のうち大
きい方がトナーに付着し、従つて小さい、より動き易い
方が対イオンとして働くことである。
もしトナー懸濁液が電荷指向不足、すなわちイオン付着
確率が低く従つてトナー粒子1個当り付着している電荷
指向剤イオン(正しい符号の)が平均して1個より少い
場合にはトナー粒子は綿状凝集物を生じ易い。このフロ
キユレーシヨンの生ずる機構は、荷電したトナー粒子に
隣接する中性トナー粒子が誘起双極子を帯びて引力が生
じ粒子を結合させることによる。
浴中のトナー粒子はすべて同一の平衡化学ポテンシヤル
に到達するであろう。平衡において、ある一個の粒子上
の電荷はその半径が大きい程大きく(そのキヤパシタン
スが半径に反比例するため)またその表面の電荷指向剤
イオンの付着する部位(「フツク」と呼ばれる)の数が
多い程大きい。液体中における粒子上の粘性抗力もその
半径に比例する。このため、移動度(粒子当りの電荷に
比例し粘性抗力に反比例する)は、もし表面フツクの密
度がすべての粒子上で同じであれば粒子の大きさに無関
係となる傾向がある。このことは、粒子のフツク密度が
無統制の場合は粒子の電場への対応が異り、トーナーの
不均一な沈積が生じ易いことを意味する。その結果、移
動度最大のトナー粒子が最初に展開液から脱け出し、の
ろい粒子はあとに残ることになる。これが進むと、たと
え浴を補充してトナー粒子密度を一定に保つても、以後
の展開用分散液施用に際して粒子の沈積密度は低下し、
その分散液は「消耗している」と云われる。
もしトナー懸濁液が電荷指向過度であると、第二の、こ
れがイオン性溶液である場合には、浴中にはトナー粒子
と同符号の余分のイオンが存在することになるであろ
う。これは業界で、トナーが「連続相導電性」を持つ状
態と云われている。連続相導電性が存在する場合トナー
粒子と同符号のイオンはトナー粒子と競合して作像域に
到達する。その結果電荷された基体に到達するトナーの
密度は最適濃度より低くなる。連続相導電性はまた、プ
リント的用途においてトナーが最初に沈積した表面から
担体へ転移する効率に悪影響を与える。
本発明者らは強磁性粒子例えば酸化第二鉄の実質的に均
質なフイルムを、これを熱可塑樹脂内にカプセル化する
ことによつて製造し得ることを発見した。樹脂は液状分
散剤、例えばイソパール(エクソン社製の一連の低沸点
異性化脂肪族炭化水素液体の商標)に不溶でなければな
らない。さらに、この被覆すなわちカプセル化材は沈積
後溶融して平滑な表面を生じかつ強磁性粒子の配向を可
能とするものでなければならない。さらにカプセル化材
の表面は電荷指向剤を受入れるべき複数の官能性の部位
を有していなければならない。これによつて、調整可能
に電荷され移動度の等しい、カプセル化された強磁性粒
子例えば酸化第二鉄を製造することができる。かくし
て、電気泳動を生ずるように加えた電場が懸濁液の消耗
を起すことなく電気泳動的に可動性なトナー粒子を所定
の場所に移動させる。カプセル化材と電荷指向剤との関
係は、イオン交換ないし酸−塩基現象に類似したものと
考えることができる。
本発明は、強磁性材料をテープ、フロツピーデイスク、
ハードデイスク、または四角でプラスチツク製の保障用
カード等上に電気泳動的に沈積して高密度記録媒体を製
造する方法、ならびにこの方法の実施に有用な組成物に
関する。
特公昭50-28093には樹脂を磁性顔料と共に水中に乳化し
て得られるペイントの電着について開示されている。こ
のペイントは電気泳動的にアルミニウム円板上に施され
る。乳化液は乳化性アクリル樹脂40重量部、水溶性メラ
ミン樹脂4重量部、ガンマ酸化第二鉄160重量部、イソ
プロパノール10重量部、トリイソプロパノールアミン7
重量部、およびイオン交換水279重量部から成つてい
る。
特公昭52-25321には水溶性アクリル酸ポリマーの乳化を
助ける有機溶媒が乳化液に含まれる以外は上記と同様の
組成物が使用されている。好ましい例としてメチルイソ
ブチルケトンが挙げられている。
一般に、本発明では磁性顔料粒子と結合剤例えばワツク
ス、ワツクス状ポリマーまたはポリマー混合物とを、相
当な数の官能性部位を生ずるための助剤、例えば電荷指
向剤と共に乾式カプセル化する。このカプセル化はカプ
セル化された顔料がカプセル化と湿式摩砕との厳しい条
件下でも損傷を受けずに保たれるようなものでなければ
ならない。カプセル化材は分散媒に不溶でなければなら
ない。カプセル化は、カプセル化用ワツクスまたはワツ
クス状ポリマー混合物と官能性部位を生ずるための組成
物とを乾式摩砕することによって行なわれる。乾式摩砕
した材料は次に、摩砕機中でイソパール−G、イソパー
ルH、イソパール−Lまたはイソパール−Mと共に湿式
摩砕される。微細に摩砕された一次乾燥分散物を湿式摩
砕することにより均一にカプセル化された顔料分散物が
生成する。希釈工程中に追加のまたは異つた電荷指向剤
を添加してもよい。この電荷指向剤はコートされたトナ
ー粒子の官能性部位すなわちフツクに化学的に結合する
ことによりこれに所望の極性を均一に付与する。コーテ
イングが均一であるため、磁性顔料の不均一な性質が隠
され、従来の液状分散物の特徴であるトナーの消耗は防
止される。
本発明の目的の一つは、沈積層の厚さの調製がより良好
に行い得る。電気泳動的沈積法によつて磁気記録媒体を
製造する方法を提供することである。
本発明の他の一つの目的は厚さが均一でピンホールのな
い磁気記録媒体を製造する方法を提供することである。
本発明の目的はさらに、磁気記録媒体を迅速かつ連続的
に大量生産する方法を提供することである。
本発明の目的はさらに、カプセル化および摩砕の工程中
に破損することのない、カプセル化された針状強磁性粒
子の懸濁液を提供することである。
本発明の目的はさらに、被覆工程と配向工程とを分離し
た磁気記録媒体の製造方法を提供することである。
本発明の目的はさらに、皮膜が沈積された後、粒子の配
向を起させる磁場に置かれている間に溶融し得るような
適当な融点を有する結合剤を選定することである。この
配向は次に、温度が結合剤の融点以下に下げられた時に
凍結される。
本発明の目的はさらに、カプセル化用結合剤が官能的部
位をこれに与えるための組成物を含有している、カプセ
ル化された強磁性材料を提供することである。
本発明の目的はさらに、電子線によりまたは熱的に硬化
して記録用ヘツドが上を通過することによる摩耗に耐え
ることのできる硬い表面を生ずることのできる、カプセ
ル化用結合剤材料を選択することである。
本発明の目的はさらに、電場または磁場勾配またはその
両者、ならびに表面に直角方向の均一な磁場を使用し
て、針状磁性粒子を溶融結合剤中に配向させ、かつ粒子
に上部表面に対して適正な位置をとらせる方法を提供す
ることである。
本発明のその他の目的は以下の記述から明かとなるであ
ろう。
第1図について説明すると、カルナウバろう84g、A−C
540(エチレン−アクリル酸コポリマーに対するアライ
ドケミカル社の商標)42g、およびガンマ酸第二鉄〔Fe2
O3、フアイザー社からプフエロツクス(Pferox)の商品
名で販売〕392gを業界公知の2本ロールラバーミルに装
入する。さらにA−C201(エチレン−アクリル酸コポリ
マーのカルシウム塩に対するアライドケミカル社の商
標)42gをも加える。A−C540とA−C201とは電荷指向
剤として作用して、電荷指向剤が反応し得るための官能
性部位すなわちフツクを生ずる。官能性部位の調整のた
めの今一つの添加剤はステアリン酸である。A−C540は
それ自体結合剤として作用し得る。官能性部位調整のた
めのその他の添加剤はスチレン−アクリレートコポリマ
ー、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸プラスコポリマ
ー、酸化ポリエチレン、アクリルエステルポリマー、ア
クリルエステル−アクリル酸コポリマー、スチレン−ア
リルアルコールコポリマー、ポリエチレンオキシドポリ
マー、およびプロピレン−酸化エチレンコポリマーであ
る。これらのポリマーは結合剤の官能性部位調整のため
に添加されるが、それら自体も結合剤として作用し得
る。カルナウバろうは記録媒体が形成された後潤滑剤と
して働くので特に有用である。さらに、本プロセスの第
一工程で装入された材料はすべて、40℃以下でイソパー
ルに不溶ないし溶媒和不能である。磁性顔料、結合剤、
官能性部位調節剤をラバーミルで60℃、1時間混合する
と、この間に顔料は均一に分散する。なお顔料と結合剤
をラバーミルで130℃でも混合を行つた。高温度により
顔料の分散時間は短縮される。
冷却すると、カプセル化された磁性粒子はクレヨン状固
体となるので、次にこれを粉砕する。次に、粉砕工程か
らの粉末とイソパール−H2100gとを湿式摩砕工程に供給
する。この工程は摩砕機内で行なう。粉砕工程によつ
て、粉末の湿式摩砕に要する時間は短縮されるが、ラバ
ーミルからのクレヨン状固体は、摩砕機への装入が便利
なような形状となし得る任意の手段によつて小粒子に細
分化することができることは理解し得るであろう。
次にカプセル化された磁性粒子を5時間湿式摩砕する。
摩砕時間を長くすると分散が改善され平均粒径は小さく
なる。湿式摩砕工程に供給された粉末は、カプセル化さ
れた磁性粒子複数を含む球から成つている。プフエロツ
クス4230またはプフエロツクス2238cのいずれをも使用
することができる。これらは直径約0.03〜0.04ミクロン
でアスペクト比1:6ないし1:7である。これらの針状また
は樹枝状晶的な磁性粒子相当数が各球内に存在してい
る。適当な任意の強磁性材料が使用し得ることは理解し
得るであろう。
湿式摩砕使用される非極性液体分散媒は異性化された脂
肪族炭化水素、特にイソパール−G、イソパール−H、
イソパール−K、イソパール−Lおよびイソパール−M
である。これらのイソパール類は非常に純度の高いイソ
パラフイン系炭化水素の狭い留分である。例えばイソパ
ール−Gの沸点範囲は156〜176℃である。イソパール−
Lの中留点は約194℃である。イソパール−Mは引火点7
7℃、自然発火温度338℃である。製造規格は厳密に、例
えば硫黄、酸、カルボキシル、および塩化物は数ppmに
抑えられている。これらは実質的に無臭で非常に軽いパ
ラフイン臭を有するのみであり、臭いの安定性が優れて
いる。すべてエクソン社により製造されている。
液体分散媒はすべて体積電気抵抗109オームセンチメー
トル以上、比誘電率3.0以下であり、25℃における蒸気
圧は10hPa以下である。望ましいイソパールはイソパー
ルGで、タグ密閉式試験法により測定した引火点は40℃
である。イソパール−Lは同じ方法で測定した引火点61
℃、イソパール−Mはペンスキーマルテンス法で測定し
た引火点77℃である。以上は好ましい分散媒について記
述したが、本質的に重要な特性は体積抵抗と誘電率であ
る。分散媒のその他の特徴は、ASTM D 1133により測定
した27または28付近の、低いカウリブタノール価であ
る。
加えられた添加剤は官能性部位の調整の作用をなすのみ
でなくカルナウバろうの溶融粘度を増加させる。さらに
これらの材料は架橋されて沈積物を硬化して硬い耐久性
ある表面とすることができる。湿式摩砕工程から排出さ
れた材料は固形分対分散比約40%の液状濃縮物である。
この濃縮物を次に固形分対分散媒比約20%となるようイ
ソパールで希釈する。この分散物を以後の使用のために
貯蔵する。この溶液を使用して磁性被覆を基板上に沈積
し記録媒体として使用しようとする場合は、この貯蔵分
散物をイソパールで希釈して液に対する固形分含有量約
2%となるようにする。
電荷指向剤を乾式摩砕工程および希釈工程において添加
する例を示したが、望むならば電荷指向剤を湿式摩砕工
程において添加し得ることを理解すべきである。電荷指
向剤には明かに異なる2種類のものがある。第一の場合
には、イソパール中の電荷指向剤は1KHzで測定した電導
率が、それをトナー粒子と混合した場合の電導率より大
きい。レシチンおよびバリウムペトロナート(BaPet)
はその例である。第二の場合にはイソパール中の電荷指
向剤はほとんど導電性を持たない。しかしこれをトナー
粒子と混合するとかなりの導電性がある。スルホコハク
酸バリウム(BaOT)およびビストリデシルスルホサクシ
ネートの塩はこの場合の例である。
好ましい電荷指向剤は、トナー粒子不在の場合に導電性
のないものである。過剰の導電性があればそれは浴中に
存在するトナー粒子と同符号のイオンの存在によって生
ずる。これらの不必要なイオンはトナーを動かすのと同
じ電磁場に反応して顔料を含まぬ電荷を沈積させる。
トナー粒子(半径的0.5〜3.0μ)当りの電荷は測定の結
果100〜数百の範囲であつた。これらの電荷から生ずる
ゼータ電位は1Vのオーダーで、熱エネルギーに比して大
きい。このことは各トナー粒子当りの官能性部位の濃度
の高いこと(部位数約104〜106)および電荷指向剤分子
とそれらとの化学反応の性質とによつて可能となる。
トナー粒子当りの電荷が大きいと分散は安定化される。
粒子間の間隔が大きいときは同種荷電粒子間の反揆力が
粒子を互いに離れた状態に保ち、長い分子が緩衝材とし
て作用して(立体障害を生じて)、トナー粒子の表面同
士が誘起双極子吸引相互作用が有効となつて凝集を起す
程接近するのを防止する。クーロン相互反揆作用は粒子
間の距離に逆比例し、電荷に誘起される双極子吸引相互
作用は距離の四乗に逆比例する。粒子が十分離れている
限り相互反揆作用が主体となり分散は安定である。粒子
を凝集し始めるに任せるとそのキャパシタンスが変化、
粒子当り電荷が変化し浴の性質は劣化する。
カプセル化工程において電荷指向剤が添加されるが、追
加の電荷指向剤を湿式摩砕工程中にまたは沈積工程にお
いて分散物に添加することができる。湿式摩砕中に電荷
指向剤を添加すると分散は改善される傾向がある。電荷
指向剤の量の理想的であれば、顔料粒子の数と同数の負
の荷電体が生成するであろう。すなわち、過剰の遊離負
荷電イオンは存在しないであろう。負イオンの数が過剰
であると液の電導度が増加し、展開液に連続相電導度が
加わる。電荷指向剤の使用量の上限をきめる条件が今一
つある。対イオンの移動度はトナー粒子よりも大でなけ
ればならない。この場合、トナー粒子を基体の方へ駆動
する目的の外部電場が加えられると、より易動性の対イ
オンが最初に応答し、沈積基体に隣接して空間電荷枯渇
層を残して対極上に蓄積する。枯渇層の厚さは印加電圧
とキヤリヤー濃度により異なる。一旦枯渇層が生成する
と、そこはトナー粒子を基体上へ駆動すべき電場の存在
する唯一の領域となる。その場合トナー粒子は「空間電
荷により限定された電流」条件下で基体表面へ移動す
る。この状態は表面に到着する粒子の空間的分布がラン
ダムな粒子分布よりも均一であるため好ましい。得られ
るフイルムは均一、平滑でピンホールの無いものとなり
易い。もし電荷指向剤の量が多過ぎてトナー粒子の移動
度が対イオンの移動度より大きいと、空間電荷限定電流
条件下での沈積が生じない。
沈積工程は、電荷指向されたカプセル化磁性粒子約2重
量%を含有する浴中で行われる。被覆された磁性粒子の
粒度分布は変化し得る。しかし、小粒子と大粒子の移動
度は、フツク濃度が粒度と無関係であれば、ほゞ同じで
ある。大粒子はより多くの電荷を蓄積するが、小粒子よ
りも粘性抗力が大きい。逆に小粒子は荷電が少いが、液
状分散媒中を移動する際の粘性抗力が小さい。その結果
粒度は自体補償的に作用する。粒子のドリフト速度は加
えられる電場の関数であり、場が強い程ドリフト速度は
大きい。加える場の電圧を変化することにより沈積層の
厚さを調節することができる。例えば金属製円板上に沈
積する場合は、金属を陽極に接続して400ないし1000Vの
電圧を使用することができる。電場にかける時間は0.00
1ないし1秒の間で変えることができる。絶縁性担体例
えばマイラーテープ上に沈積したいときはテープ裏面に
陽極をあて、2000ないし5000Vの電圧を加える。この場
合も沈積の厚さは担体が電場内にある時間によつて調節
される。別の方法として、テープその他の絶縁体への沈
積は、先ず基体をコロナ放電工程にかけ、次に荷電され
た媒体を展開帯域に通しトナーをこれに付着させて行な
うこともできる。
電気泳動完了後、被覆された担体の表面は浴で濡れてい
る。浴には沈積しなかつた粒子が含まれているのでそれ
らを媒体の表面上に放置しておくことは望ましくない。
従つてこの表面を公知の方法によつて、例えばワイパー
ブレード、ドクターブレード、エアナイフ、スクイージ
コロナおよび掃除ローラ(リバースローラ等)によつて
洗浄にし新たに沈積した磁性層の表面上に薄い液体層を
残すようにする。
結合剤および添加剤のすべては140℃以下の温度で軟化
することが認められるであろう。例えばA−C540は108
℃で軟化し、140℃におけるブルツクフイールド粘度は5
00cpsである。沈積した被覆をのせた担体が乾いた泥状
のひゞわれ模様を呈するのを避けるためには、これを乾
燥前に配向工程に通すことが重要である。ひゞわれの無
い沈積物を得るためには、沈積物の表面は配向工程にお
ける加熱が開始される前に湿つていなければならない。
加熱中には磁性顔料粒子は何ら特別の配向を受けない。
磁性粒子の配向は縦方向にも、実質的に垂直方向にも調
節することができる。垂直の磁気記録は高密度充填がで
きるため好まれる。垂直配向粒子の場合高密度で、比較
的厚い媒体においてさえ消磁に何の問題も生じないため
磁化の強さが上下する領域間の転移は非常にシヤープと
なり得る。しかし市販の多数の記録およびこれら記録の
読取りヘツドには縦配向が必要である。
例1 先に第1図について述べた操作を、プフエロツクス4230
392g、カルナウバろう84g、A−C54042g、水酸化カル
シウム〔Ca(OH)2〕1.56gで部分的に中和されたA−C540
42g、およびイソパール−H2100gを使用して実施した。
例2 A−C540 42gを酸化マグネシウム〔MgO〕1.39gで部分的
に中和した以外例1と同様に操作した。
例3 ラバーミルにA−C540 168gを供給し、カルナウバろう
を使用しない以外例2と同様に操作した。さらに、プフ
エロツクス2228HC 329gを使用した。
例4 プフエロツクス2228HC392g、カルナウバろう135g、A−
C540 66g、およびA−C201 66gをラバーミルに装入し13
0℃で混合した。ラバーミルからクレヨン状の小片を取
出し微粉砕機で粉末化した。次にこの粉末を湿式摩砕工
程に供給した。この工程にはイソパール−H2500gを添加
した。摩砕機を5時間運転し懸濁液を得た。懸濁液の一
部を重量で10倍のイソパール−Hで希釈し沈積工程に送
つた。固形分5重量%から0.3重量%までの、濃度の異
る多数の浴を調製した。金属円板上の沈積量は電気泳動
の前後に円板を秤量して求めた。沈積物の重量は固形分
濃度の関数として変化することを見いだした。
例5 摩砕機を24時間運転した以外は例4と同様に操作した。
電荷指向剤はジトリデシルスルホコハク酸バリウム塩8.
4gであつた。
沈積工程は、先に記したように、電圧を加えることによ
つて電荷粒子を基体上に沈積させることによつて行つ
た。被覆の厚さは浴中の固形分濃度の関数であるばかり
でなく、電圧および時間の関数としても変化する。十分
な時間沈積を進行させることにより、展開電極と円形基
体との間の磁性粒子の浴を完全に消耗することができ
る。操作電圧を加える時間は0.1秒から2秒以上まで変
えることができる。
基体上への沈積は種々異なる方法によつて行つた。第2
図について説明すると、展開用電極2は基体4と平行に
0.1〜5mmの間隔をおいて置かれている。間隔は通常1mm
とする。次にこの組立部品を容器3内のトナー浴6中に
挿入し、スイツチ5を閉じて電圧源8からの電圧パルス
を所定時間加える。次に上記組立部品を浴から取出し、
展開電極を基体から離し、過剰の液を、基体を純イソパ
ールに浸したのち回転してこれを除きさらにエアナイフ
(図には示していない)を表面上を通過させて除去す
る。次に基体をまだ濡れているうちにヒーター(図には
示してない)上にのせ、温度を結合剤の融点まで上昇さ
せる。この加熱工程は、この部品を均一な磁場にかけな
がら実施する。次に、部品をなお磁場内に保つたまゝ、
温度を融点以下に下げて結合剤を固化させる。
このようにして磁性粒子の配向は軟化した固体中に固定
される。ハードデイスクまたはフロツピーデイスクに必
要な周波縦方向配向を達成するために、デイスクを結合
剤の融点以上に加熱しながら公知の配向方法を実施す
る。垂直配向は加熱サイクル中に基体をC−型磁石の極
片に平行に置いて達成される。
次に第3図について説明すると、可動テーブル12に乗せ
た金属円板上に沈積を行つた。この組立部品は通常トナ
ー浴6中に沈めてあり、1〜10インチ/秒の均一な速度
で浴から引揚げる。展開電極14により、第2図に示すよ
うにこれと基体円板10との間に電圧を加える。公知のリ
バースローラー16によつて過剰のトナーを除き、次に円
板10を前述の加熱および配向工程にかける。
第4図は連続テープ上に沈積物を調製するための装置の
一形状を示す線図である。巻いたテープ20を接地した金
属ドラム22の周囲を通して受けローラ24に巻く。接地ド
ラム22と受けローラ24との間を通過する部分のテープ21
は、その前にコロナ26の作用を受け、展開電極28と接地
金属ドラム22との間を通つている。ポンプ30によつてト
ナー液をトナー浴32から凹型電極28内のトナー溜め34に
送る。溜34からの溢出物はトナー浴32に帰る。金属ロー
ラ22は接地されているものとして示したが、必要ならば
地面から絶縁して電圧をかけてもよい。新たに被覆され
たウエブ部分21はトナー内に存在するポリマーすなわち
結合剤を軟化するために適当な発熱体40の間を通る。こ
ゝで「トナー」という用語は、結合剤、磁性粒子、希釈
剤例えばイソパール類の一つおよび電荷指向剤を分散含
有する展開用液体を指すものと理解すべきである。特記
しない限りトナー浴は第1図の最初の4工程に従つて調
製する。
本発明の開示は主として針状磁性粒子を対象とした。し
かし、垂直または縦方向の配向を有する針状磁性粒子が
好ましくはあるが、本発明は所望のいかなる形態の強磁
性または鉄含有粒子にも適用し得ることを理解すべきで
ある。
電気泳動によつてウエブ上に沈積されるのは結合剤およ
び磁性粒子である。軟化した結合剤を含有するウエブは
磁石により生ずる磁場を通過させる。この磁石の南極42
と北極44とを第4図に線図的に示す。磁性粒子は磁束に
より磁場の方向に応じて所望の方向に配向される。ウエ
ブ部分21の通過速度および磁場の長さは、被覆されたウ
エブが磁場から出る前にその温度が結合剤の軟化温度以
下に低下するようにする。次にウエブは図に46で線図的
に示す電子線硬化帯域を通過する。
針状磁性粒子で磁場方向が適正な場合垂直配向が生ずる
ことは業界でよく知られている。通常のスピン法または
電気泳動沈積法によつて沈積した磁性粒子は普通ランダ
ムに分布しランダムに配向している。磁場の効果によつ
て粒子にトルクが加わり、これによつて粒子は加えられ
た磁束の線と同一線上に配向する。粒子の中心が最初ラ
ンダムに分布しているため、配向後、粒子の頭はウエブ
の表面からランダムの距離に位置することになる。粒子
間の相互作用のため、ウエブ被覆の表面と粒子の頭との
自乗平均距離は増大する傾向がある。この現象は記録に
際しノイズを生ずる。垂直磁場によつて配向された粒子
を拡大して観察するとウエブ被覆の上表面から隣接する
粒子までの距離のこの変化がわかる。この様子は、ニユ
ーヨークの高い建物群のつくるスカイラインに類似して
いる。従つて、これは「マンハツタンビスタ(展望)」
効果と呼ばれている。このマンハツタンビスタ効果は、
磁場における配向プロセス中に、均一磁場によつて生じ
るトルクの他に、粒子の質量中心を移動させてすべての
粒子の頭がウエブ被覆表面から実質的に等距離になるよ
うにするような力を粒子に加えるならば、防止すること
ができる。
第5図にマンハツタンビスタ効果を減少させる方法を示
す。図の円板50は第3図の円板10と同様のものである。
この円板は、磁性粒子を含有するフイルム52で新たに被
覆されており、熱エネルギーを受けたばかりで軟化状態
にある。円板50と金属部品54との間に電圧を加える。部
品54は電導性であるが非磁性の材料で、ナイフエツジ56
を有している。円板50と金属部品54との間に電圧源60か
ら電圧をかけるとフイルム52の表面に電場勾配が加えら
れる。磁性粒子の誘電率はフイルムの結合剤よりも大き
いため、磁性粒子には、結合剤と相対的に粒子をフイル
ム表面方向へ移動させる正味の力が加わる。電場勾配は
また粒子の配向を若干乱す傾向がある。しかし、均一な
磁場の磁束の線と平行な配向も存在する。第5図のナイ
フエツジの代りに鋭い刃を持つた磁性材料製のくさびを
使用しても同様の結果が得られた。
前記した通り、磁場の方向によつて磁性粒子が垂直に並
ぶか水平に並ぶかゞ決定される。縦のすなわち水平の配
向の例を第6図に、直角のすなわち垂直の配向の例を第
7図に示す。これらの顕微鏡写真は走査電子線顕微鏡で
倍率22,500倍で撮影したものである。横棒は1ミクロン
の尺度を表わす。使用した電子線エネルギーは20KVであ
つた。写真は試料の上表面を真直ぐ見下して撮影した。
これは顕微鏡写真上「00」で示す。「S」は電子線顕微
鏡を二次電子捕集モードで操作したことを示す。この配
向工程はさらに、磁石が可視性固体をすべて浴から除去
するという利点をも有する。
本発明方法の最終製品は磁気記録テープ、フロツピーデ
イスク、またはハードデイスクであるので、被覆には潤
滑剤が含まれていることが望ましい。カルナウバろうは
優れた潤滑剤である。イオン性部位を生ずるためにステ
アリン酸が使用される場合はこれも潤滑剤として作用す
る。
トナー粒子の垂直配向によつて高密度記録が得られる。
これは針状磁性粒子のみでなく、酸化第一鉄バリウム小
板(BaFe12O19)によつて得ることができる。他の形態
の磁性粒子も同様に使用し得る。読取り書込みヘツドの
設計は記録体の形態および配向に合致させなければなら
ないことは当業者にとり理解し得るであろう。
配向工程においては、磁性粒子が磁場の影響下で配向し
得るようポリマーをその融点に加熱する。これは粒子の
配向を可能とするばかりでなく、粒子を被覆膜の表面に
接して配列させる傾向がある。配向工程後被覆を硬化す
る。A−C540結合剤は電子線によつて容易に硬化され
る。結合剤の性質に応じて任意の適当な硬化方法を使用
することができる。
上述した各実施例の種々の組成物を第1図に示す諸工程
にかけた結果優れた結果が得られたことは理解し得るで
あろう。
例6 A−C201の代りにアクリロイドDM-54 66gを使用する以
外は例4と同様に操作した。このものはロームアンドハ
ース社製のアクリル樹脂で電荷指向剤として作用する。
例7 プフエロツクス2228HC(フアイザー社製品)392g、カル
ナウバろう84g、A−C540 84gを使用する以外は第1図
について述べたと同様に操作した。さらにスルホコハク
酸ジトリデシルバリウム塩9gを電荷指向剤として乾式摩
砕工程において添加した。第1図の操作を希釈工程まで
続けて行つて固形分1.5%のトナー浴を得た。トナー粒
子は直径約1ミクロンで、未配向酸化第一鉄粒子数個が
結合剤中に包理されてできていた。次にこのトナー浴を
使用して磁性粒子の薄層をアルミニウム基体上に電気泳
々により沈積した。電気泳動的沈積工程は非常に迅速に
進行する。従つて、本発明の方法は磁性被覆を高速度で
動いているウエブ上に沈積するのに使用することができ
る。
従来の技術には磁性の鉄含有または強磁性粒子のカプセ
ル化について開示したものは存在しない。電荷指向剤の
存在で乾式摩擦砕を行うことにより官能性部位を与え、
または調節することができる。フオトコピー機用の現像
液の調製には、本方法の細分化、湿式摩砕、次に湿式摩
砕後のペーストの希釈の各工程を続けて行なう。
以上の通り本発明の目的は達成された。本発明者らは電
気泳動的沈積によつて磁気記録媒体を製造する、沈積層
の厚さの調整が容易である方法を提供した。本発明の方
法により、厚さが均一であるばかりでなく実質的にピン
ホールの無い、担体上の磁気記録被覆を製造することが
できる。本発明の磁気記録製造方法は迅速かつ連続的に
行うことができ、従つて大量生産に使用するに特に適し
ている。本発明により、針状強磁性粒子をカプセル化す
ることから成り摩擦砕工程中のこれら粒子の破損を減じ
得る本発明の方法の実施に有用な懸濁液が提供される。
本発明の方法によれば、磁性粒子に任意の配向を与え得
るよう被覆工程と配向工程とを分離して磁気記録媒体を
製造することができる。本発明の方法の実施に有用な、
磁性粒子その他の粒子を包み込むに適したカプセル化用
結合剤とこのカプセル化用結合剤に官能性部位を付与す
るための手段とを共に含有する組成物が提供される。こ
れらの官能性部位により結合剤に所望の極性の電荷を付
与することができ、これにより一定の印加電圧に対して
被覆の電気泳動的沈積速度を調節することができる。
ある有用な特徴および副組合せは他の特徴および副組合
せと関係なく使用し得ることは理解し得るであろう。こ
のことは本発明の請求範囲において考えられており、そ
の範囲内に属する。さらに本発明の趣旨を逸脱すること
なく請求の範囲内において種々の細部変更がなし得るこ
とは明らかである。従つて、本発明は以上に記述説明し
た特定の細部に限られるものでないことを理解すべきで
ある。
【図面の簡単な説明】
添付図面は本明細書の一部をなし、これと関連して理解
すべきものである。図において、各図面の類似部分を示
すには同じ参照番号を使用してある。 第1図は本発明を実施する方法の工程を示すフローシー
トである。 第2図は磁性粒子を基体上に沈積するための装置の一つ
を示す線図である。 第3図は磁性粒子を基体上に沈積するための別の装置を
示す線図である。 第4図は磁性粒子を連続ウエブ上に沈積するための装置
を示す線図である。 第5図は磁性粒子を沈積するための、「マンハツタンビ
スタ」効果を防止する別の装置を示す線図である。 第6図は縦方向に配向した粒子構造を示す磁性被覆の22
500倍拡大の走査電子顕微鏡写真である。 第7図は第6図と同様の直角方向に配向した粒子構造を
示す磁性被覆の22500倍拡大の走査電子顕微鏡写真であ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) 高抵抗を有する脂肪族炭化水素液
    体、 (b) 官能性部位を有する熱可塑性ポリマーを含んで
    成り、室温において前記液体中に実質的に不溶性であり
    そして少なくとも前記液体の存在下で70℃より高い温度
    で軟化可能である結合剤の中にカプセル化された複数個
    の磁性粒子、及び (c) 前記官能性部位を制御することのできる電荷指
    向剤を含んで成る、電気泳動現象に適した液体トナー組
    成物。
  2. 【請求項2】電荷指向剤を少なくとも部分的に結合剤中
    に含む前項(1)に記載の組成物。
  3. 【請求項3】ポリマーとして、70℃より高い温度で前記
    液体を溶媒和しそれによつて軟化するポリマーを使った
    前項(1)又は(2)に記載の組成物。
  4. 【請求項4】磁性粒子としてアスペクト比1:6以上のも
    のを使った前項(1)〜(3)のいずれかに記載の組成
    物。
  5. 【請求項5】(i) 多量の磁性粒子をある量の結合剤
    および少量の電荷指向剤と共に乾式摩砕してカプセル化
    された磁性粒子の固形小片を製造する工程、 (ii) 前記小片を粉砕して細片とする工程、及び (iii) 少量の前記細片を場合により追加の電荷指向
    剤を含むことのある多量の脂肪族炭化水素液体と湿式摩
    砕して懸濁液を製造する工程、 を含んで成る、磁性被覆をベース媒体の表面上に沈積す
    るに適する組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】磁性粒子として細長い形状を有するものを
    使用する前項(5)に記載の方法。
  7. 【請求項7】細長い磁性粒子としてアスペクト比1:6以
    上のものを使用する前項(6)に記載の方法。
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