JPH0774464A - 印刷回路用銅箔及びその製造方法 - Google Patents

印刷回路用銅箔及びその製造方法

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JPH0774464A
JPH0774464A JP5237181A JP23718193A JPH0774464A JP H0774464 A JPH0774464 A JP H0774464A JP 5237181 A JP5237181 A JP 5237181A JP 23718193 A JP23718193 A JP 23718193A JP H0774464 A JPH0774464 A JP H0774464A
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etching
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oxidation resistance
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Yoshio Kawasumi
良雄 川澄
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 300℃×30分の条件下で耐熱酸化性を有
する銅箔の光沢面の表面処理技術の開発。 【構成】 銅箔の光沢面に耐熱酸化処理層(例:Zn−
Ni,Zn−Co合金めっき)とその上のCr系防錆処
理層(例:クロメート皮膜、クロム酸化物と亜鉛及び
(又は)亜鉛酸化物との混合皮膜或いはそれらの組合
せ)とを備える印刷回路用銅箔において、光沢面にエッ
チング面を形成したことを特長とする。銅箔の光沢面を
エッチングすることにより光沢面全体の化学的活性が均
一になる。この均一性がその後の耐熱酸化処理による耐
熱酸化めっき層の均一性及び完全性を高め、耐熱酸化処
理層の長所を十分に生かす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷回路用銅箔及びそ
の製造方法に関するものであり、特には銅箔の光沢面の
耐熱酸化性(プリント基板等の製造時に適用される熱履
歴に対して酸化による変色を起こさないこと)を改善す
るために、耐熱酸化処理を行う前に銅箔の光沢面をエッ
チング面としたことを特徴とする印刷回路用銅箔及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】銅及び銅合金箔(以下、銅箔と称する)
は、電器・電子関連産業の発展に大きく寄与しており、
特に印刷回路材として不可欠の存在となっている。印刷
回路用銅箔は一般に、合成樹脂ボード、フィルム等の基
材に接着剤を介して或いは接着剤を使用せずに高温高圧
下で熱可塑性樹脂基材に積層接着され、その後目的とす
る回路を形成するべく必要な回路を印刷した後、不要部
を除去するエッチング処理が施される。最終的に、所要
の素子が半田付けされて、エレクトロニクスデバイス用
の種々の印刷回路板を形成する。印刷配線板用銅箔に対
する品質要求は、樹脂基材と接着される面(粗化面)と
非接着面(光沢面)とで異なる。
【0003】粗化面に対する要求としては、主として、
保存時における酸化変色のないこと、基材との引き
剥し強さが高温加熱、湿式処理、半田付け、薬品処理等
の後でも充分なこと、基材との積層、エッチング後に
生じる所謂積層汚点のないこと等が挙げられる。
【0004】他方、光沢面に対しては、外観が良好な
こと及び保存時における酸化変色のないこと、半田濡
れ性が良好なこと、高温加熱時に酸化変色がないこ
と、レジストとの密着性が良好なこと等が要求され
る。
【0005】ところで、銅箔の光沢面の耐熱酸化性に関
しては、年々要求が厳しくなっている。一つには、従来
なかった新しい製作方式(2層フレキ:ポリイミドワニ
スを直接銅箔上へ塗布し、フレキシブル基板とする方法
で、ポリイミド層と銅箔層の2層構造となっているた
め、2層フレキと呼ばれている。)及び高耐熱性の新規
樹脂の出現に伴い、銅箔が今までよりも高い温度に曝露
されるようになったためである。また、従来の積層方法
においても、加熱処理を行う積層及びキュアー工程のコ
スト削減のために今までの窒素雰囲気から大気中で行な
う傾向も見られ、この点からも銅箔光沢面の耐熱酸化性
の改善が要求されるようになった。銅箔光沢面は精密な
電気回路が印刷されるので酸化変色等はあってはならな
いとされている。具体的には、現在では、300℃×3
0分に保持した状態で変色のないことが要求されてい
る。
【0006】これまでは、光沢面の表面処理法として
は、上述した要件を全般的に満たすものとして亜鉛めっ
き+クロメート処理の方法が主として採用されてきた。
しかしながら、この方法では、例えば200℃×30分
程度しか耐熱酸化性が保持されない。亜鉛めっき量を増
大すれば、耐熱酸化性が向上するが、接着後黄色化(真
ちゅう化)する問題や耐酸性の低下による印刷性の低下
の問題が生じることが知られている。
【0007】上記亜鉛めっきに代えて、耐熱酸化処理層
として亜鉛−ニッケルめっき、亜鉛−コバルトめっき等
の亜鉛合金層を形成したのち、クロメート処理する方法
が考慮されている状況にあるが、これでもせいぜい24
0℃×30分或いは270℃×10分の高温条件での変
色に耐える程度であり、300℃×30分の耐熱酸化条
件には合格しない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、30
0℃×30分の条件下で耐熱酸化性を有して、酸化変色
を生ぜず、また黄色化が生じない銅箔を得るための銅箔
の光沢面の表面処理技術を開発することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、従来から
の耐熱酸化処理において300℃×30分の条件下で酸
化変色や黄色化が生じる原因を究明した結果、その原因
は耐熱酸化処理前の銅箔光沢面の化学的活性度の均一さ
の欠如にあるものと判断した。即ち、一般に銅箔は、平
滑な陰極面に銅を電着させ、電着物を剥離して製造され
ており、酸洗い及び水洗を行った後耐熱酸化処理を行う
ので、化学的活性度は充分に均一であると考えられてき
た。そのために、これまでこの点への問題認識がなされ
ていなかった。ところが、実際には、こうして製造され
た銅箔の光沢面に薄層Znめっき(0.001〜0.0
1μm)し、分布を線分析でみると大幅な偏析が存在し
ている。こうした均一さを欠如する光沢面にそのまま耐
熱酸化処理を行うと、耐熱酸化めっき層に光沢面の欠陥
が受け継がれ、耐熱酸化処理の長所を充分に活用できな
いのである。本発明者は、こうした銅箔光沢面自体の化
学的活性度の不均一さを解消する方法として光沢面にエ
ッチングを施すのが有効であることを確認した。
【0010】この知見に基づいて、本発明は、(1)銅
箔の光沢面に耐熱酸化処理層と該耐熱酸化処理層上のC
r系防錆処理層とを備える印刷回路用銅箔において、前
記銅箔の光沢面をエッチング面としたことを特徴とする
印刷回路用銅箔、及び(2)銅箔の光沢面に耐熱酸化処
理を行いそして後Cr系防錆処理を行う印刷回路用銅箔
の製造方法において、前記耐熱酸化処理を行う前に前記
銅箔の光沢面をエッチングすることを特徴とする印刷回
路用銅箔の製造方法を提供するものである。
【0011】
【作用】銅箔の光沢面をエッチングすることにより、酸
化銅は勿論、銅箔自体の溶解でもって清浄化が行われ、
全面にわたり化学的活性の均一化がもたらされる。この
均一性がその後の耐熱酸化処理による耐熱酸化めっき層
の均一性及び完全性を高めその長所を十分に活用するこ
とを可能ならしめる。
【0012】本発明において使用する銅箔は、電解銅箔
或いは圧延銅箔いずれでもよい。本発明自体は銅箔の光
沢面に関与するが、参考までに銅箔粗化面についても述
べておく。通常、銅箔の、樹脂基材と接着する面即ち粗
化面には積層後の銅箔の引き剥し強さを向上させること
を目的として、脱脂後の銅箔の表面に例えば銅のふしこ
ぶ状の電着を行なう銅粗化処理が施される。こうした銅
のふしこぶ状の電着はいわゆるヤケ電着により容易にも
たらされる。粗化前の前処理として通常の銅めっき等が
そして粗化後の仕上げ処理として通常の銅めっき等が行
なわれることもある。銅粗化処理の例としては、例えば
次の条件が採用され得る。 銅粗化処理条件: Cu : 10〜25g/l H2 SO4 : 20〜100g/l 温度 : 20〜40℃ Dk : 30〜70A/dm2 時間 : 1〜5秒
【0013】粗化処理後に、該粗化面にCu、Cr、N
i、Fe、Co及びZnから選択される1種乃至2種以
上の単一金属層又は合金層を形成するトリート処理を行
なうことが好ましい。合金めっきの例としては、Cu−
Ni、Cu−Co、Cu−Ni−Co、Cu−Znその
他を挙げることが出来る(詳細は、特公昭56−902
8号、特開昭54−13971号、特開平2−2928
95号、特開平2−292894号、特公昭51−35
711号、特公昭54−6701号等を参照のこと)。
こうしたトリート処理は、銅箔の最終性状を決定するも
のとしてまた障壁としての役割を果たす。
【0014】さて、本発明に従えば、銅箔の粗化面にト
リートを伴ってあるいは伴わずして酸洗い、水洗等の通
常の予備処理を施された銅箔の光沢面にエッチングが施
される。このエッチングにおいては、化学的活性が均一
な銅面が得られれば良いので、特にエッチングの浴種、
方法等を限定するものではない。エッチング方法として
は、乾式(ブラスト、イオン照射)と湿式(化学的方
法、電気化学的方法)に大別されるが、精度、経済性等
から、化学エッチングが最も便宜である。エッチング浴
種についても特に限定するものではないが、銅材等のエ
ッチング液として良く知られている過硫酸アンモンの水
溶液が好適である。エッチング量は過硫酸アンモンの濃
度、浴温、時間、撹拌状態等によって決まる。好ましい
エッチング量は、特に限定されるものではないが、エッ
チング浴中のCu量から求めた理論平均厚さの表示で、
0.005〜0.1μmである。0.005μm未満で
は化学的活性が完全に均一ではなく、又エッチング量は
多いほど耐熱酸化性を向上させるが、0.1μmを超え
ると銅箔自体の機械的特性を変化させる可能性があるの
で好ましくない。エッチング量は、より好ましくは、
0.01〜0.05μmである。このための過硫酸アン
モンの濃度、浴温、時間、撹拌条件は一義的には定めら
れないが、過硫酸アンモン濃度:10g/l、浴温:2
5℃、液撹拌線速:1m/秒、及びエッチング時間:5
秒の条件で、エッチング量は0.03μmとなる。
【0015】このエッチングによって、元の銅箔光沢面
に見られる薄層Znめっき(0.001〜0.01μ
m)時のZnの偏析(X線線分析結果)は認められなく
なることを確認した。
【0016】この後、エッチングした光沢面に従来通り
耐熱酸化処理を行い、そして後Cr系防錆処理が行われ
る。
【0017】耐熱酸化処理は、公知の方法のいずれをも
使用することができる。例えば、Zn−Ni合金処理、
Zn−Co合金処理のような亜鉛合金めっき処理が実施
される。本発明において、耐熱酸化処理は、大気中、1
00℃以上×30分、好ましくは200℃以上×30
分、特に好ましくは240℃以上×30分の条件の下で
酸化等の変色を防止するための処理として定義する。具
体的には、Zn又はZnとNi、Co、V、W、Mo、
Sn、Cr等から選択される1種以上の金属よりなるZ
n合金めっき処理等が例示される。
【0018】例えば、Zn−Ni合金処理を例にとる
と、これは、好ましくはZn−Ni電解めっき浴を使用
して、好ましくは50〜97重量%Zn及び3〜50重
量%Niの組成のZn−Ni合金層を100〜500μ
g/dm2 の付着量でごく薄く形成するようにして実施
される。Ni量が3重量%未満では耐熱酸化性の所要の
向上が得られない。他方Ni量が50重量%を超える
と、半田濡れ性が悪化すると共に、耐熱酸化性もまた悪
化する。Zn−Ni合金層の付着量が100μg/dm
2 未満では、耐熱酸化性の向上が得られない。他方50
0μg/dm2 を超えると、Zn等の拡散により導電性
が悪化する。Zn−Ni合金層は銅箔光沢面の耐熱酸化
性を高め、しかも半田濡れ性、レジスト密着性といった
他の特性を損なうことはない。付着量は外観が銅色とあ
まり変わらないようにするためにも上記のような薄いも
のとされる。
【0019】Zn−Co合金処理についても同じく、好
ましくはZn−Co電解めっき浴を使用して50〜97
重量%Zn及び3〜50重量%Coを含むZn−Co合
金層を100〜500μg/dm2 の付着量でごく薄く
形成するように実施される。Co量が3重量%未満では
耐熱酸化性の所要の向上が得られない。他方Co量が5
0重量%を超えると、半田濡れ性が悪化すると共に、耐
熱酸化性も悪化する。Zn−Co合金層の付着量が10
0μg/dm2 未満では、耐熱酸化性の向上が得られな
い。他方500μg/dm2 を超えると、Zn等の拡散
により導電性が悪化する。また、フラックスを使用しな
い工程では、半田濡れ性を悪化することも予想される。
付着量は外観が銅色とあまり変わらないようにするため
にも上記のような薄いものとされる。
【0020】Zn−Niめっき浴及びZn−Coめっき
浴の組成及び条件例は次の通りである: Zn−Ni(乃至Zn−Co)めっき浴条件: Zn :5〜50g/l Ni(乃至Co):1〜50g/l pH :2.5〜4 温度 :30〜60℃ 電流密度 :0.5〜5A/dm2 めっき時間 :0.1〜10秒
【0021】水洗後、こうした耐熱酸化処理層の上にC
r系防錆処理が施される。Cr系防錆層とは、(1)ク
ロム酸化物の単独皮膜処理或いは(2)クロム酸化物と
亜鉛及び(又は)亜鉛酸化物との混合皮膜処理或いは
(3)それらの組合せにより形成されたクロム酸化物を
主体とする防錆層を云う。
【0022】クロム酸化物の単独皮膜処理に関しては、
浸漬クロメート又は電解クロメートいずれでも良い。耐
候性が要求されるときには、電解クロメートが好まし
い。浸漬クロメート或いは電解クロメートの条件は斯界
で確立されている条件に従う。例えば、浸漬クロメート
及び電解クロメート処理の条件例は次の通りである: (A)浸漬クロメート処理: K2 Cr27 :0.5〜1.5g/l pH :1.4〜5.0 温度 :20〜60℃ 時間 :3〜10秒 (B)電解クロメート処理: K2 Cr27 (Na2 Cr27 又はCrO3 ) :2〜10g/l NaOH又はKOH:10〜50g/l pH :7〜13 浴温 :20〜80℃ 電流密度 :0.05〜5A/dm2 時間 :5〜30秒 アノード :Pt−Ti板、ステンレス鋼板等
【0023】クロム酸化物と亜鉛/亜鉛酸化物との混合
物皮膜処理とは、亜鉛塩又は酸化亜鉛とクロム酸塩とを
含むめっき浴を用いて電気めっきにより亜鉛又は酸化亜
鉛とクロム酸化物とより成る亜鉛−クロム基混合物の防
錆層を被覆する処理であり、電解亜鉛・クロム処理と呼
ばれる。めっき浴としては代表的に、K2 Cr27
Na2 Cr27 等の重クロム酸塩やCrO3 等の少な
くとも一種と、水溶性亜鉛塩、例えばZnO、ZnSO
4 ・7H2 O等少なくとも一種と、水酸化アルカリとの
混合水溶液が用いられる。代表的なめっき浴組成と電解
条件例は次の通りである: (C)電解亜鉛・クロム処理 K2 Cr27 (Na2 Cr27 又はCrO3 ) :2〜10g/l NaOH又はKOH :10〜50g/l ZnO又は ZnSO4 ・7H2 O:0.05〜10g/l pH :7〜13 浴温 :20〜80℃ 電流密度 :0.05〜5A/dm2 時間 :5〜30秒 アノード :Pt−Ti板、ステンレス鋼板
等 クロム酸化物はクロム量として15μg/dm2 以上そ
して亜鉛は30μg/dm2 以上の被覆量が要求され
る。粗面側と光沢面側とで厚さを異ならしめても良い。
こうした防錆方法は、特公昭58−7077、61−3
3908、62−14040等に記載されている。クロ
ム酸化物単独の皮膜処理及びクロム酸化物と亜鉛/亜鉛
酸化物との混合物皮膜処理の組合せも有効である。
【0024】水洗及び乾燥後得られた銅箔は、従来の亜
鉛めっき+クロメート処理の方法では、例えば200℃
×30分程度しか耐熱酸化性がなくまたこれまでのエッ
チングを行わずに直接耐熱酸化処理を行う場合には24
0℃×30分或いは270℃×10分の高温条件での変
色に耐える程度であったのに対して、300℃×30分
の耐熱酸化条件に耐えることができる。しかも、半田濡
れ性、レジスト密着性といった他の特性を損なうもので
はない。
【0025】最後に、必要に応じ、銅箔と樹脂基板との
接着力の改善を主目的として、防錆層上の少なくとも粗
化面にシランカップリング剤を塗布するシラン処理が施
される。塗布方法は、シランカップリング剤溶液のスプ
レーによる吹付け、コーターでの塗布、浸漬、流しかけ
等いずれでもよい。例えば、特公昭60−15654号
は、銅箔の粗面側にクロメート処理を施した後シランカ
ップリング剤処理を行なうことによって銅箔と樹脂基板
との接着力を改善することを記載している。詳細はこれ
を参照されたい。
【0026】この後、必要に応じて、銅箔の延性を改善
する目的で焼鈍処理を施すこともある。
【0027】
【実施例】本発明を例示する目的で以下に実施例及び比
較例を呈示する。得られた銅箔の光沢面について、表面
付着量、ベーキングテスト及び半田濡れ性について試験
を行なった。尚、表面分析は、粗化面をFR−4等の基
板材料でプレスしてマスキングし、酸に浸漬して光沢面
のみのZn及びNi又はCoを溶解させ、原子吸光法に
より分析した。ベーキングテストは、銅箔600mm巾
×100mm長さの試片を所定のオーブン中に300℃
×30分の加熱条件において投入し、取り出した後、光
沢面の変色の様相を観察した。半田濡れ性については、
フラックスとして山栄化学株式会社製JS64を使用し
て半田槽にプレスした基板を垂直に浸漬し、基板表面に
沿って吸い上げられた半田の濡れ角度を求めた。角度が
小さい程半田濡れ性が良い。
【0028】(実施例1)厚さ35μmの電解銅箔の光
沢面を酸洗い及び水洗を行なった後、液温:30℃、液
撹拌線速:1m/秒、そして濃度:10g/lの過硫酸
アンモニウム水溶液に5秒間浸漬し、エッチングした。
エッチング量は0.03μmであった。この処理面は薄
層Znめっき後のめっき面のZnの線分析で析出の均一
化が認められた。
【0029】引き続き、得られた光沢面を陰極としそし
て亜鉛板を陽極として、浴組成:20g/1Zn−5g
/1NiのZn−Ni浴において、pH:3.5、浴
温:40℃、陰極電流密度:2.0A/dm2 及び通電
時間:0.6秒の条件でZn−Ni合金めっきを行っ
た。得られためっき面を浴組成:CrO3 3.5g/
l、pH:4.8及び浴温:50℃のクロメート処理液
に浸漬することによりクロメート処理した。その後、直
ちに、水洗及び乾燥を行って耐熱酸化及び防錆処理光沢
表面を得た。この光沢表面は、Zn:200μg/dm
2 、Ni:25μg/dm2 そしてCr:15μg/d
2 を有するものであった。半田濡れ角度は42.7度
であり、濡れ性100%と良好であった。
【0030】得られた耐熱酸化銅箔は、300℃×30
分の加熱条件のベーキングテストで酸化変色や黄色化は
まったく認められなかった。
【0031】(比較例1)電解銅箔にエッチングなしで
Zn−Ni合金めっき及びクロメート処理を実施例1と
同様に行って耐熱酸化及び防錆処理光沢表面を得た。得
られた光沢面はこの光沢表面は、Zn:200μg/d
2 、Ni:25μg/dm2 そしてCr:15μg/
dm2 を有するものであった。得られた耐熱酸化銅箔
は、300℃×30分の加熱条件で島状ないし斑点状の
酸化変色が発生した。
【0032】(実施例2)厚さ35μmの電解銅箔の光
沢面を実施例1と同様にエッチングし、引き続き、得ら
れた光沢面を陰極としそして亜鉛板を陽極として、浴組
成:20g/1Zn−10g/1CoのZn−Co浴に
おいて、pH:3、浴温:40℃、陰極電流密度:2.
0A/dm2 及び通電時間:0.7秒の条件でZn−C
o合金めっきを行った。得られためっき面を実施例1と
同じクロメート処理液に浸漬することによりクロメート
処理した。その後、直ちに、水洗及び乾燥を行って耐熱
酸化及び防錆処理光沢表面を得た。この光沢表面は、Z
n:230μg/dm2 、Co:23μg/dm2 そし
てCr:30μg/dm2 を有するものであった。得ら
れた耐熱酸化銅箔は、300℃×30分の加熱条件で酸
化変色や黄色化はまったく認められなかった。半田濡れ
角度は41.6度であり、濡れ性100%と良好であっ
た。
【0033】(比較例2)電解銅箔にエッチングを施さ
なかったことを除いて実施例2と同様の処理を行った。
得られた耐熱酸化銅箔は、300℃×30分の加熱条件
で島状ないし斑点状の酸化変色が発生した。
【0034】
【発明の効果】本発明によりこれまで得られなかった3
00℃×30分の加熱条件で酸化変色や黄色化が生じな
い優れた耐熱酸化性を備える光沢面を有する銅箔が得ら
れ、以後のプリント基板製造時の熱履歴に対しても銅箔
光沢面の変色を防止し、しかも半田濡れ性、レジスト密
着性といった他の特性を損なうことがなく、これからの
プリント基板用銅箔の要求に対処しうる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅箔の光沢面に耐熱酸化処理層と該耐熱
    酸化処理層上のCr系防錆処理層とを備える印刷回路用
    銅箔において、前記銅箔の光沢面をエッチング面とした
    ことを特徴とする印刷回路用銅箔。
  2. 【請求項2】 銅箔の光沢面に耐熱酸化処理を行い、そ
    して後Cr系防錆処理を行う印刷回路用銅箔の製造方法
    において、前記耐熱酸化処理を行う前に前記銅箔の光沢
    面をエッチングすることを特徴とする印刷回路用銅箔の
    製造方法。
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WO2010074053A1 (ja) 2008-12-26 2010-07-01 日鉱金属株式会社 電子回路用の圧延銅箔又は電解銅箔及びこれらを用いた電子回路の形成方法
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