JPH05275817A - 銅箔の製造方法 - Google Patents

銅箔の製造方法

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JPH05275817A
JPH05275817A JP21235592A JP21235592A JPH05275817A JP H05275817 A JPH05275817 A JP H05275817A JP 21235592 A JP21235592 A JP 21235592A JP 21235592 A JP21235592 A JP 21235592A JP H05275817 A JPH05275817 A JP H05275817A
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JP
Japan
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copper foil
zinc
coating
chromium oxide
rough surface
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JP21235592A
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Eiji Hino
英治 日野
Masanori Hayashi
正宣 林
Takashi Suzuki
孝 鈴木
Minoru Yamaguchi
稔 山口
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Eneos Corp
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Japan Energy Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 銅箔の粗面側について、印刷回路用途に要求
される特性をクロメート処理のみにより得られる場合よ
り更に改善すること。 【構成】 銅箔の粗面に亜鉛の被膜を形成し、次いで亜
鉛被膜の上にクロム酸化物の被膜を形成する2重被膜の
形成を行う。亜鉛被覆量は亜鉛量で表わして15〜15
00μg /dm2 としそしてクロム酸化物量はクロム量と
して表わして15〜30μg /dm2 とする。銅箔の平滑
な光沢面は亜鉛とクロム酸化物との2重被膜の形成を除
く処理をするかあるいは処理しないものとする。印刷回
路用銅箔の粗化面に要求される防錆性を損なうことなく
剥離強度を大巾に改善する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷回路用銅箔の製造
方法に関するものであり、特には防錆特性を始めとして
印刷回路用銅箔の粗面に要求される様々の特性を改善し
た印刷回路用銅箔の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】印刷回路用銅箔は一般に樹脂基材に高温高
圧下で積層接着される。その後、目的にあった回路を形
成するべくエッチング処理が施され、最終的に所要の電
気素子が半田付けされてテレビ、ラジオ等の一般家電用
の回路板あるいは電算機を含む各種電子機器用の精密制
御回路板が形成される。銅箔の樹脂基材に接着される表
面は接着目的のために粗化されておりそして積層回路板
上で露呈される他面は平滑状態とされている。従って、
印刷回路用銅箔には、以下に記載するような様々の特性
が要求される。
【0003】先ず、平滑な光沢面の側に要求される特性
としては、(1) 外観がきれいであること、(2) 防錆力が
適度にあり、美観を損わないこと、(3) 積層接着時に熱
変色しないこと、(4) 半田とよく濡れること等が挙げら
れ、他方粗面の側に要求される特性としては半田づけ前
後の剥離強度が大きいことおよび防錆力が適度にあるこ
とが特に重要である。更に、銅箔全体として要求される
特性としては、(1) エッチング速度が遅すぎたり、エッ
チング残を生じたりまたオーバーエッチングを生じるこ
とがないよう適正なエッチング処理を行いうること、
(2) 比抵抗が小さいこと等が主に挙げられる。このよう
に、印刷回路用銅箔には多様のしかも異質の特性が要求
され、しかも電子機器分野の進歩に伴い印刷回路板に要
求される品質は益々厳しいものとなっている。
【0004】印刷回路用銅箔の特性を改善するための方
法として従来から行われてきたものの一つとしてクロメ
ート処理法がある。クロメート処理法は、六価のクロム
イオンを含む溶液中に銅箔を浸漬する等して、銅箔表面
に酸化クロム層を形成するものであり、剥離強度、耐食
性等の面で銅箔の印刷回路用特性をかなり改善する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クロメ
ート処理銅箔は高温多湿時における防錆力が弱く、更に
銅箔平滑面に対しては半田濡れ性および積層接着時の熱
変色の点で問題があり、また銅箔粗化面についてもその
剥離強度が現在要求される水準に不足している。クロメ
ート処理銅箔は高温多湿環境では3日位で発銹するか
ら、処理ずみ銅箔に積層接着処理を施すまでの輸送や保
管中に早くも発銹を生じ、そのため剥離強度の低下やそ
の後の加工処理に支障を与えることが多い。クロメート
処理に当っては、浴中に添加剤を加えたりまた他の被覆
層の併用と云った試みも為されているが、まだ尚満足す
べきものは得られていない。
【0006】本発明の課題は、銅箔の粗面側について、
印刷回路用途に要求される特性をクロメート処理のみに
より得られる場合より更に改善することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、銅箔の粗面
側について印刷回路用途に要求される特性をクロメート
処理のみにより得られる場合より更に改善するべく検討
を重ねた。その結果、クロメート処理前に特定量の亜鉛
被膜層を形成しておくことが、銅箔の粗面側に有用であ
ることを見出した。すなわち、銅箔の粗面側に亜鉛およ
びクロム酸化物の2重被膜を形成することにより、銅箔
粗面側に要求される剥離強度に改善されまた防錆効果に
より積層接着時までの発銹防止が保証される。
【0008】銅箔の粗面側に上記2重被膜形成処理を行
うに当り、平滑面については、処理しないままとしても
よいし、上記2重被膜形成以外の別の処理、例えば平滑
面側に適した従来から知られる化成処理、有機剤処理等
を施すことも可能である。用途に応じて特別に要求され
る特性がある場合には、それに最適の処理を選択するこ
とができる。例えば、半田濡れ性が強く必要とされる場
合には、銅箔の粗面側に亜鉛およびクロム酸化物2重被
膜処理を行いそして平滑面側にキレート有機剤による処
理を施してもよい。
【0009】すなわち本発明は、銅箔の粗面に亜鉛の被
膜を形成し、次いで亜鉛被膜の上にクロム酸化物の被膜
を形成する2重被膜の形成を行う場合において、亜鉛被
覆量を亜鉛量で表わして15〜1500μg /dm2 とし
そしてクロム酸化物量をクロム量として表わして15〜
30μg /dm2 とし、他方銅箔の平滑な光沢面は亜鉛と
クロム酸化物との2重被膜の形成を除く処理をするかあ
るいは処理しないものとすることを特徴とする印刷回路
用銅箔の製造方法を提供する。
【0010】
【作用】本発明の処理の対象とする銅箔は圧延銅箔ある
いは電解銅箔の片面を粗化処理したものである。粗化処
理は、樹脂基材に接着する面の積層後の剥離強度を高め
ることを目的とするもので、銅箔の表面に銅の突起状の
電着層を形成するための所謂焼き電着により行われるの
が一般的である。粗化処理に使用される電解液組成、電
解条件、前処理ならびに後処理等については様々なもの
が既に公知されておりここでは説明を省略する。いずれ
にせよ、こうして得られる銅箔は、一側において平滑な
光沢面をそして他側において凹凸のある粗面を有してい
る。
【0011】本発明に従えば、銅箔の粗面に特定量の亜
鉛被膜と特定量のクロム酸化物被膜が被覆される。
【0012】粗面への亜鉛被膜の形成は、亜鉛電気めっ
きおよび無電解めっきいずれでも行いうるが、粗面片面
にのみ被膜を形成するためには亜鉛電解操作による方が
便宜である。また、厚さの精確な制御、厚さの一様性、
付着層の緻密化等の観点からも電解操作が好ましい。亜
鉛電解操作は、硫酸亜鉛めっき浴や塩化亜鉛めっき浴に
代表される酸性亜鉛めっき浴、シアン化亜鉛めっき浴の
ようなアルカリ性亜鉛めっき浴、あるいはピロリン酸亜
鉛めっき浴が使用しうるが、もっとも一般的に使用され
る硫酸亜鉛浴で充分である。硫酸亜鉛浴を使用した場合
の好ましい亜鉛電解条件は下記の通りである。 ZnSO4 ・7H2 O:50〜350g/l pH(硫酸):2.5〜4.5 浴温度:40〜60℃ 陰 極:銅箔 陽 極:亜鉛または不溶性陽極 陰極電流密度:0.05〜0.4A/dm2 時 間:10〜30秒
【0013】電解条件は所望の亜鉛被覆厚さを得るよう
選定されるが、後述する理由のために、15〜1500
μg /dm2 の亜鉛被覆量とすることが好ましく、特に好
ましくは15〜400μg /dm2 である。
【0014】亜鉛被覆量は、積層時の樹脂基板の種類に
よって異なる。例えばフェノール樹脂基板用は、15〜
60μg /dm2 とし、ガラスエポキシ樹脂基板用は60
〜1500μg /dm2 、特に好ましくは60〜400μ
g /dm2 とする。電解処理は、銅箔シートをその処理す
べき面を陽極に対面させて電解槽内を連続的に通す等の
方法で実施されうる。そして、所望の電着量を得るべ
く、電流密度、銅箔〜陽極面間距離、移動速度等が適宜
調節される。
【0015】上記操作で所定量の亜鉛被覆された銅箔は
その亜鉛被膜上に特定量のクロム酸化物被膜を形成され
る。この操作は、周知のクロメート処理即ち六価のクロ
ムイオンを含む溶液中に亜鉛被覆銅箔を浸漬し、銅箔表
面の亜鉛と六価のクロムイオンとの酸化還元反応により
酸化クロム層を被覆することにより行なう。浸漬法ある
いは電解法いずれも使用しうるが、亜鉛を被覆していな
い面へのクロム酸化物の付着を防止する為に浸漬法の場
合、光沢面に適宜のカバーを付す必要があるため電解ク
ロメート処理が好ましい。クロメート処理液は現在使用
されている様々の処理液いずれも使用しうるが、好まし
いクロメート処理条件例を以下に示す。 K2 Cr27 (あるいは :0.2〜20g/l Na2 Cr27 、CrO3 ) 酸:りん酸あるいは硫酸、有機酸 pH:1.0〜3.5 浴温度:20〜40℃ 電流密度:0.1〜0.5A/dm2 時間:10〜60秒 陽極:鉛板、Pt−Ti板、ステンレス鋼板
【0016】酸性が高すぎると、亜鉛の溶解度が大きい
ので、これを抑制して皮膜生成を容易にするべく硫酸カ
ルシウム等を添加してもよい。クロム酸化物付着量はク
ロム量として50μg /dm2 以下で充分であり、好まし
くは15〜30μg /dm2 とされる。
【0017】前述した通り、本発明においては、亜鉛被
覆量を亜鉛量で表わして15〜1500μg /dm2 、特
に好ましくは15〜400μg /dm2 としそしてクロム
酸化物量をクロム量として表わして15〜30μg /dm
2 とする。これは次のような理由による。フェノール樹
脂基板に積層した場合、亜鉛被覆量が15〜60μg/d
m2 の範囲に剥離強度の最大値(2.2kg/cm)が現わ
れ、またガラスエポキシ樹脂基板に積層した場合には亜
鉛被覆量が60〜1500μg /dm2 の範囲に剥離強度
(半田付け後)の最大値(2.0〜2.2kg/cm)が現
われる。また、クロム酸化物被膜中のクロム量が15μ
g /dm2 未満であれば、フェノール樹脂基板に対しては
剥離強度が1.5kg/cm以下となり、ガラスエポキシ樹
脂基板に対してはフェノール樹脂基板の場合ほど顕著で
ないが約0.2kg/cm低下する。またクロム量が30μ
g /dm2 を超えると防錆力は向上するがエッチング性が
低下する。
【0018】本発明における銅箔製造方法は、銅箔を水
洗、亜鉛めっき、水洗、クロメート処理、水洗、乾燥の
各ステージを順次連続的に通すことにより実施される。
銅箔表面に被覆された亜鉛は活性なものであり、水洗中
およびクロメート処理中溶解しやすいので、pH、液濃
度等の浴管理を厳密にする必要がある。
【0019】こうして粗面を2重被膜処理された銅箔
は、光沢面を必要に応じ処理する(但し、亜鉛被膜及び
クロム酸化物の2重被膜形成処理は除く)かあるいは処
理することなく、粗面に接着剤を塗布して基板に加熱圧
着することにより印刷回路用銅貼フィルムとされ、所定
の加工操作を経た後、印刷回路板として使用に供され
る。光沢面の処理方法としては、クロメート処理を含む
各種化成処理、銅とのキレート化反応を利用した有機剤
処理、銅より卑な金属ないし合金の被覆処理等その面に
おいて要求される特定水準に応じて適当なものが選ばれ
よう。
【0020】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示す。
【0021】(実施例1)あらかじめ片面に粗面化処理
を施してある厚さ35μの銅箔の粗面側に本発明に従う
亜鉛および酸化クロム2重被膜処理を施した。先ず、銅
箔の粗面に亜鉛被膜を形成するため、pH3.5及び浴
温度50℃の、200g/lのZnSO4・7H2 Oを
含有する硫酸亜鉛溶液中に銅箔をその粗面を亜鉛陽極に
対面して浸漬し、0.05〜0.19A/dm2 の電流密
度で15秒間亜鉛電解を行った。その後、銅箔を水洗
後、電解クロメート処理により亜鉛被膜上にクロム酸化
物被膜を形成した。その後、銅箔を水洗および乾燥し
た。電解クロメート処理は次の浴組成および条件によっ
て実施した。 (電解クロメート処理条件) 浴組成:1g/lのK2 Cr27 を含むりん酸溶液 pH:3.0 浴温度:30℃ 浸漬時間:30秒 電流密度:0.2〜0.4A/dm2
【0022】なお、被膜の厚さは、フェノール樹脂基板
用として亜鉛が20μg /dm2 そしてクロムが25μg
/dm2 、また、ガラスエポキシ樹脂基板用として、亜鉛
が360μg /dm2 、そしてクロムが30μg /dm2
なるよう条件を設定した。
【0023】(比較例1)実施例1と同様にして銅箔の
粗面側にのみ酸化クロム被膜を電解クロメート法により
形成した。被覆量はクロム45μg /dm2 とした。
【0024】(比較例2〜3)実施例1と同様にして、
銅箔の粗面側にのみ、亜鉛被膜を形成した。亜鉛被覆量
は、20μg /dm2 (比較例2)及び360μg /dm2
(比較例3)とした。
【0025】(比較例4〜5)実施例1と同様にして銅
箔の粗面側にのみ、酸化クロム被膜を電解クロメート法
により形成した。被覆量は、クロム25μg /dm2 (比
較例4)及び30μg/dm2 (比較例5)とした。
【0026】以上のようにして得られた実施例1および
比較例1〜5の生成銅箔をフェノール樹脂基板およびガ
ラスエポキシ樹脂基板上に加熱圧着した。剥離強度を測
定した。結果を下表に示す:
【0027】
【表1】
【0028】尚、表における剥離強度はフェノール樹脂
基板およびガラスエポキシ樹脂基板に銅箔を積層接着
し、剥離強度を測定して試験されたものである。
【0029】上の表1から、本発明の粗化面に(亜鉛+
クロム酸化物)被覆処理を施した銅箔は、比較例2及び
3の亜鉛単独被覆そして比較例4及び5のクロム酸化物
単独被覆と比較して、粗化面に要求される剥離強度が改
善されていることが判る。
【0030】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明により、印刷
回路用銅箔の粗化面に要求される防錆性を損なうことな
く剥離強度を大巾に改善するものであり、印刷回路用銅
箔の製造方法として斯界に寄与するところは大きい。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 銅箔の製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷回路用銅箔の製造
方法に関するものであり、特には防錆特性を始めとして
印刷回路用銅箔の粗面に要求される様々の特性を改善し
た印刷回路用銅箔の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】印刷回路用銅箔は一般に樹脂基材に高温高
圧下で積層接着される。その後、目的にあった回路を形
成するべくエッチング処理が施され、最終的に所要の電
気素子が半田付けされてテレビ、ラジオ等の一般家電用
の回路板あるいは電算機を含む各種電子機器用の精密制
御回路板が形成される。銅箔の樹脂基材に接着される表
面は接着目的のために粗化されておりそして積層回路板
上で露呈される他面は平滑状態とされている。従って、
印刷回路用銅箔には、以下に記載するような様々の特性
が要求される。
【0003】先ず、平滑な光沢面の側に要求される特性
としては、(1)外観がきれいであること、(2)防錆
力が適度にあり、美観を損わないこと、(3)積層接着
時に熱変色しないこと、(4)半田とよく濡れること等
が挙げられ、他方粗面の側に要求される特性としては半
田づけ前後の剥離強度が大きいことおよび防錆力が適度
にあることが特に重要である。更に、銅箔全体として要
求される特性としては、(1)エッチング速度が遅すぎ
たり、エッチング残を生じたりまたオーバーエッチング
を生じることがないよう適正なエッチング処理を行いう
ること、(2)比抵抗が小さいこと等が主に挙げられ
る。このように、印刷回路用銅箔には多様のしかも異質
の特性が要求され、しかも電子機器分野の進歩に伴い印
刷回路板に要求される品質は益々厳しいものとなってい
る。
【0004】印刷回路用銅箔の特性を改善するための方
法として従来から行われてきたものの一つとしてクロメ
ート処理法がある。クロメート処理法は、六価のクロム
イオンを含む溶液中に銅箔を浸漬する等して、銅箔表面
に酸化クロム層を形成するものであり、剥離強度、耐食
性等の面で銅箔の印刷回路用特性をかなり改善する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クロメ
ート処理銅箔は高温多湿時における防錆力が弱く、更に
銅箔平滑面に対しては半田濡れ性および積層接着時の熱
変色の点で問題があり、また銅箔粗化面についてもその
剥離強度が現在要求される水準に不足している。クロメ
ート処理銅箔は高温多湿環境では3日位で発銹するか
ら、処理ずみ銅箔に積層接着処理を施すまでの輸送や保
管中に早くも発銹を生じ、そのため剥離強度の低下やそ
の後の加工処理に支障を与えることが多い。クロメート
処理に当っては、浴中に添加剤を加えたりまた他の被覆
層の併用と云った試みも為されているが、まだ尚満足す
べきものは得られていない。
【0006】本発明の課題は、銅箔の粗面側について、
印刷回路用途に要求される特性をクロメート処理のみに
より得られる場合より更に改善することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、銅箔の粗面
側について印刷回路用途に要求される特性をクロメート
処理のみにより得られる場合より更に改善するべく検討
を重ねた。その結果、クロメート処理前に特定量の亜鉛
被膜層を形成しておくことが、銅箔の粗面側に有用であ
ることを見出した。すなわち、銅箔の粗面側に亜鉛およ
びクロム酸化物の2重被膜を形成することにより、銅箔
粗面側に要求される剥離強度に改善されまた防錆効果に
より積層接着時までの発銹防止が保証される。
【0008】銅箔の粗面側に上記2重被膜形成処理を行
うに当り、平滑面については、処理しないままとしても
よいし、上記2重被膜形成以外の別の処理、例えば平滑
面側に適した従来から知られる化成処理、有機剤処理等
を施すことも可能である。用途に応じて特別に要求され
る特性がある場合には、それに最適の処理を選択するこ
とができる。例えば、半田濡れ性が強く必要とされる場
合には、銅箔の粗面側に亜鉛およびクロム酸化物2重被
膜処理を行いそして平滑面側にキレート有機剤による処
理を施してもよい。
【0009】すなわち本発明は、銅箔の粗面に亜鉛の被
膜を形成し、次いで亜鉛被膜の上にクロム酸化物の被膜
を形成する2重被膜の形成を行う場合において、亜鉛被
覆量を亜鉛量で表わして15〜1500μg/dm
しそしてクロム酸化物量をクロム量として表わして15
〜30μg/dmとし、他方銅箔の平滑な光沢面は亜
鉛とクロム酸化物との2重被膜の形成を除く処理をする
かあるいは処理しないものとすることを特徴とする印刷
回路用銅箔の製造方法を提供する。
【0010】
【作用】本発明の処理の対象とする銅箔は圧延銅箔ある
いは電解銅箔の片面を粗化処理したものである。粗化処
理は、樹脂基材に接着する面の積層後の剥離強度を高め
ることを目的とするもので、銅箔の表面に銅の突起状の
電着層を形成するための所謂焼き電着により行われるの
が一般的である。粗化処理に使用される電解液組成、電
解条件、前処理ならびに後処理等については様々なもの
が既に公知されておりここでは説明を省略する。いずれ
にせよ、こうして得られる銅箔は、一側において平滑な
光沢面をそして他側において凹凸のある粗面を有してい
る。
【0011】本発明に従えば、銅箔の粗面に特定量の亜
鉛被膜と特定量のクロム酸化物被膜が被覆される。
【0012】粗面への亜鉛被膜の形成は、亜鉛電気めっ
きおよび無電解めっきいずれでも行いうるが、粗面片面
にのみ被膜を形成するためには亜鉛電解操作による方が
便宜である。また、厚さの精確な制御、厚さの一様性、
付着層の緻密化等の観点からも電解操作が好ましい。亜
鉛電解操作は、硫酸亜鉛めっき浴や塩化亜鉛めっき浴に
代表される酸性亜鉛めっき浴、シアン化亜鉛めっき浴の
ようなアルカリ性亜鉛めっき浴、あるいはピロリン酸亜
鉛めっき浴が使用しうるが、もっとも一般的に使用され
る硫酸亜鉛浴で充分である。硫酸亜鉛浴を使用した場合
の好ましい亜鉛電解条件は下記の通りである。 ZnSO・7HO:50〜350g/l pH(硫酸):2.5〜4.5 浴温度:40〜60℃ 陰 極:銅箔 陽 極:亜鉛または不溶性陽極 陰極電流密度:0.05〜0.4A/dm 時 間:10〜30秒
【0013】電解条件は所望の亜鉛被覆厚さを得るよう
選定されるが、後述する理由のために、15〜1500
μg/dmの亜鉛被覆量とすることが好ましく、特に
好ましくは15〜400μg/dmである。
【0014】亜鉛被覆量は、積層時の樹脂基板の種類に
よって異なる。例えばフェノール樹脂基板用は、15〜
60μg/dmとし、ガラスエポキシ樹脂基板用は6
0〜1500μg/dm、特に好ましくは60〜40
0μg/dmとする。電解処理は、銅箔シートをその
処理すべき面を陽極に対面させて電解槽内を連続的に通
す等の方法で実施されうる。そして、所望の電着量を得
るべく、電流密度、銅箔〜陽極面間距離、移動速度等が
適宜調節される。
【0015】上記操作で所定量の亜鉛被覆された銅箔は
その亜鉛被膜上に特定量のクロム酸化物被膜を形成され
る。この操作は、周知のクロメート処理即ち六価のクロ
ムイオンを含む溶液中に亜鉛被覆銅箔を浸漬し、銅箔表
面の亜鉛と六価のクロムイオンとの酸化還元反応により
酸化クロム層を被覆することにより行なう。浸漬法ある
いは電解法いずれも使用しうるが、亜鉛を被覆していな
い面へのクロム酸化物の付着を防止する為に浸漬法の場
合、光沢面に適宜のカバーを付す必要があるため電解ク
ロメート処理が好ましい。クロメート処理液は現在使用
されている様々の処理液いずれも使用しうるが、好まし
いクロメート処理条件例を以下に示す。 KCr(あるいは :0.2〜20g/l NaCr、CrO) 酸:りん酸あるいは硫酸、有機酸 pH:1.0〜3.5 浴温度:20〜40℃ 電流密度:0.1〜0.5A/dm 時間:10〜60秒 陽極:鉛板、Pt−Ti板、ステンレス鋼板
【0016】酸性が高すぎると、亜鉛の溶解度が大きい
ので、これを抑制して皮膜生成を容易にするべく硫酸カ
ルシウム等を添加してもよい。クロム酸化物付着量はク
ロム量として50μg/dm以下で充分であり、好ま
しくは15〜30μg/dmとされる。
【0017】前述した通り、本発明においては、亜鉛被
覆量を亜鉛量で表わして15〜1500μg/dm
特に好ましくは15〜400μg/dmとしそしてク
ロム酸化物量をクロム量として表わして15〜30μg
/dmとする。これは次のような理由による。フェノ
ール樹脂基板に積層した場合、亜鉛被覆量が15〜60
μg/dmの範囲に剥離強度の最大値(2.2kg/
cm)が現われ、またガラスエポキシ樹脂基板に積層し
た場合には亜鉛被覆量が60〜1500μg/dm
範囲に剥離強度(半田付け後)の最大値(2.0〜2.
2kg/cm)が現われる。また、クロム酸化物被膜中
のクロム量が15μg/dm未満であれば、フェノー
ル樹脂基板に対しては剥離強度が1.5kg/cm以下
となり、ガラスエポキシ樹脂基板に対してはフェノール
樹脂基板の場合ほど顕著でないが約0.2kg/cm低
下する。またクロム量が30μg/dmを超えると防
錆力は向上するがエッチング性が低下する。
【0018】本発明における銅箔製造方法は、銅箔を水
洗、亜鉛めっき、水洗、クロメート処理、水洗、乾燥の
各ステージを順次連続的に通すことにより実施される。
銅箔表面に被覆された亜鉛は活性なものであり、水洗中
およびクロメート処理中溶解しやすいので、pH、液濃
度等の浴管理を厳密にする必要がある。
【0019】こうして粗面を2重被膜処理された銅箔
は、光沢面を必要に応じ処理する(但し、亜鉛被膜及び
クロム酸化物の2重被膜形成処理は除く)かあるいは処
理することなく、粗面に接着剤を塗布して基板に加熱圧
着することにより印刷回路用銅貼フィルムとされ、所定
の加工操作を経た後、印刷回路板として使用に供され
る。光沢面の処理方法としては、クロメート処理を含む
各種化成処理、銅とのキレート化反応を利用した有機剤
処理、銅より卑な金属ないし合金の被覆処理等その面に
おいて要求される特定水準に応じて適当なものが選ばれ
よう。
【0020】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示す。
【0021】(実施例1)あらかじめ片面に粗面化処理
を施してある厚さ35μの銅箔の粗面側に本発明に従う
亜鉛および酸化クロム2重被膜処理を施した。先ず、銅
箔の粗面に亜鉛被膜を形成するため、pH3.5及び浴
温度50℃の、200g/1のZnSO・7HOを
含有する硫酸亜鉛溶液中に銅箔をその粗面を亜鉛陽極に
対面して浸漬し、0.05〜0.19A/dmの電流
密度で15秒間亜鉛電解を行った。その後、銅箔を水洗
後、電解クロメート処理により亜鉛被膜上にクロム酸化
物被膜を形成した。その後、銅箔を水洗および乾燥し
た。電解クロメート処理は次の浴組成および条件によっ
て実施した。 (電解クロメート処理条件) 浴組成:1g/lのKCrを含むりん酸溶液 pH:3.0 浴温度:30℃ 浸漬時間:30秒 電流密度:0.2〜0.4A/dm
【0022】なお、被膜の厚さは、フェノール樹脂基板
用として亜鉛が20μg/dmそしてクロムが25μ
g/dm、また、ガラスエポキシ樹脂基板用として、
亜鉛が360μg/dm、そしてクロムが30μg/
dmとなるよう条件を設定した。
【0023】(比較例1)実施例1と同様にして銅箔の
粗面側にのみ酸化クロム被膜を電解クロメート法により
形成した。被覆量はクロム45μg/dmとした。
【0024】(比較例2〜3)実施例1と同様にして、
銅箔の粗面側にのみ、亜鉛被膜を形成した。亜鉛被覆量
は、20μg/dm(比較例2)及び360μg/d
(比較例3)とした。
【0025】(比較例4〜5)実施例1と同様にして銅
箔の粗面側にのみ、酸化クロム被膜を電解クロメート法
により形成した。被覆量は、クロム25μg/dm
(比較例4)及び30μg/dm(比較例5)とし
た。
【0026】以上のようにして得られた実施例1および
比較例1〜5の生成銅箔をフェノール樹脂基板およびガ
ラスエポキシ樹脂基板上に加熱圧着した後、剥離強度を
測定すると共にオーバーエッチング(アンダーカット)
の有無を観察した。又、前記銅箔の防錆力等についても
測定を行った。結果を下表に示す:
【0027】
【表1】
【0028】尚、表における各評価事項は次の方法条件
の下で試験されたものである: (1)防錆力: (A)温度40℃、湿度80〜100%の雰囲気下で表
面を観察。 (B)10%多硫化アンモニア中に浸漬し変色するまで
の腐食時間を測定。 (2)熱変色:温度160℃の熱オーブン中に15分間
静置し表面の焼け状熊を観察。 (3)剥離強度:フェノール樹脂基板およびガラスエポ
キシ樹脂基板に銅箔を積層接着し、剥離強度を測定。 (4)オーバーエッチング:38%の塩化第2鉄原液に
所定時間浸漬しエッチング後、回路部を樹脂基板より剥
離しオーバーエッチングの有無を観察。
【0029】上の表1から、本発明の粗化面に(亜鉛+
クロム酸化物)被覆処理を施した銅箔は、比較例2及び
3の亜鉛単独被覆と比較して、防錆力、剥離強度が改善
され又オーバーエッチングもなくなっていることが判
り、又、比較例4及び5のクロム酸化物単独被覆と比較
して、防錆力、熱変色及び剥離強度が改善されているこ
とが判る。
【0030】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明により、印刷
回路用銅箔の粗化面に要求される防錆性、剥離強度等の
特性を大巾に改善すると共にオーバーエッチングがない
銅箔を得ることができ、印刷回路用銅箔の製造方法とし
て斯界に寄与するところは大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 稔 茨城県日立市宮田町3453番地日本鉱業株式 会社日立製錬所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅箔の粗面に亜鉛の被膜を形成し、次い
    で亜鉛被膜の上にクロム酸化物の被膜を形成する2重被
    膜の形成を行う場合において、亜鉛被覆量を亜鉛量で表
    わして15〜1500μg /dm2 としそしてクロム酸化
    物量をクロム量として表わして15〜30μg /dm2
    し、他方銅箔の平滑な光沢面は亜鉛とクロム酸化物との
    2重被膜の形成を除く処理をするかあるいは処理しない
    ものとすることを特徴とする印刷回路用銅箔の製造方
    法。
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