JPH0774095B2 - 焼結体の製造方法 - Google Patents

焼結体の製造方法

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JPH0774095B2
JPH0774095B2 JP61296785A JP29678586A JPH0774095B2 JP H0774095 B2 JPH0774095 B2 JP H0774095B2 JP 61296785 A JP61296785 A JP 61296785A JP 29678586 A JP29678586 A JP 29678586A JP H0774095 B2 JPH0774095 B2 JP H0774095B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、優れた高温強度及び耐クリープ特性を有する
ムライト質焼結体の製造方法に関するものである。
[従来の技術および発明が解決しようとする問題点] ムライトは、アルミナとシリカからなる複合酸化物であ
り、その化学量論的な組成はアルミナが71.8重量%、シ
リカが28.2重量%からなる。この様な組成からなる緻密
なムライト焼結体は、例えば1000℃以上の高温で、従来
から知られている酸化物焼結体に比べて、その強度及び
耐クリープ特性が極めて優れていると考えられていた。
しかし、これまでの窯業的手法の技術では、カオリンと
アルミナ粉末やアルミナ粉末とシリカ粉末の混合物を固
相反応させて合成したムライト粉末を使用するために、
完全にムライト単相からなる焼結体は得られず、シリカ
を主体とするガラス相とアルミナ相の混在したムライト
であった。そのため、高温ではガラス相の軟化のために
強度の低下や特にクリープ特性の低下が著しいものであ
った。
そこで、これらの欠点を克服したムライト単相からなる
焼結体を得るために、化学的手法で合成したムライト粉
末を用いて、ムライト焼結体を得ることが検討された。
その代表的な合成方法として、アルコキシド法や噴霧熱
分解法などがある。この様な方法で合成した粉末を使用
して得られたムライト焼結体は、優れた高温機械的特性
を示すことが知られている。
しかしながら、ムライト焼結体を高温構造材料として使
用する為には、その強度特性以外に耐クリープ特性が重
要となる。なぜならば、セラミックの強度は、JIS R 16
02に規定されている様に曲げ試験によって測定される。
そのときの曲げて行く速度(0.5mm/min)がクリープ速
度に比較して非常に速く、このため強度測定の結果でク
リープ特性を評価することは不可能である。そこで、ク
リープ特性の測定は(1)破壊強度以下の小さな荷重で
サンプルを長時間引張り、又は曲げの状態で保持し、そ
の歪量を測定する方法(一定応力下でのクリープ)や、
(2)強度試験に比較して非常にゆっくりとした一定の
変形速度で変形させながら、曲げ応力を測定する方法
(一定歪速度下でのクリープ)がある。これらの方法を
用いてクリープ特性を評価すると、その材料が試験温度
で使用可能であるかどうか判断することが出来る。本発
明では、(2)の方法でクリープ特性を評価した。そし
て、これまでに知られているムライト焼結体についてク
リープ特性を評価したところ、次ぎのような問題点が明
らかになった。従来から使用されていたムライト磁器
は、1000℃以上でクリープ特性及び強度が急激に低下す
る。これは、粒界に存在するガラス相と不純物の影響と
考えられる。また、先に述べた合成粉末を使用したムラ
イト焼結体は、1300℃の高温でも50kg/mm2の強度を示す
ことが報告されているが、ゆっくりと変形させるクリー
プ試験の場合、そのクリープ破断強度は通常の強度に比
較して、低い値となってしまう。また、応力−歪曲線上
でも大きな塑性変形を観察でき、クリープ特性が充分で
ない。この原因は、高純度ではあるが粒界にガラス相が
存在するという焼結体組織に基因している。この高純度
のガラス相は、1300℃付近では未だ粘度が大きい為、速
い曲げ速度で測定する場合は強度の向上に寄与しうる
が、クリープ試験では、曲げ速度が遅いために粒界のガ
ラス相は塑性変形が可能であり、その結果、クリープ特
性を低下させる。
(発明の目的) 本発明の目的は、高温強度及び耐クリープ特性に優れた
ムライト焼結体の製造方法を提供することにある。
[問題点を解決するための手段及び作用] 本発明は、ムライト焼結体の組成とガラス相及びアルミ
ナ相の量を制御し、組成に応じた条件で熱間ガス圧成形
(以下、HIPという)処理することによって、先に述べ
たムライト焼結体の欠点を克服し、優れた高温強度と耐
クリープ特性を備えたムライト焼結体を製造する方法を
提供するものである。
すなわち、本発明は、酸化物で表示した組成が Al23/SiO2重量比 65/35〜78/22 であり、不純物相含有量が ガラス相 10重量%以下 アルミナ相 15重量%以下 である、主としてムライト質からなる予備焼結体を図1
に示した各々の点A(65/35,1400)、B(78/22,140
0)、C(78/22,1850)、D(75/25,1850)、E(65/3
5,1500)で囲まれた領域内の温度で、熱間ガス圧成形処
理することによる焼結体の製造方法を要旨とする。この
処理によって、焼結体のクラックや空隙等が消滅し、さ
らにクリープ特性に影響を与えるガラス相とアルミナ相
の量を減少させ、ないしは消滅させ高温強度と耐クリー
プ特性を向上させるものである。また、粒界にガラス相
が残存していても、HIPの効果によって粒界のガラス相
の厚さが非常に薄くなるため、耐クリープ特性が向上す
る。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
まず、予備焼結体のアルミナ成分とシリカ成分の重量比
(Al23/SiO2)が65/35〜78/28でなければならない。
その比が65/35を下まわると製品焼結体中のガラス相含
有量を、いっぽう78/22をこえるとアルミナ相を小さく
することができず、いずれの場合も強度および耐クリー
プ特性の優れた焼結体をうることができないからであ
る。また、予備焼結体中のガラス相およびアルミナ相
は、それぞれ10重量%以下および15重量%以下でなけれ
ばならないが、これはそれぞれの相が上記の範囲をこえ
るとHIP処理で充分に減少させることが困難になるから
である。また、その密度が2.95g/cc以上であることが望
ましい。これらの条件を満たしたムライト予備焼結体
は、後のHIP処理によってほぼムライト単相からなる焼
結体となる。
そこで、この条件を満たしたムライト予備焼結体を得る
ためには、以下の様な合成法を用いた粉末を使用するこ
とが好ましい。
ムライト粉末の原料として、アルミナ源とシリカ源を含
んだ水溶液、もしくは有機溶媒の溶液から粉末を合成す
る、湿式法を用いるのが望ましい。このアルミナ源とし
ては、水溶性アルミニウム塩、アルミナゾル、アルキル
アルミニウム、アルミニウムアルコキシド等が用いら
れ、またシリカ源としては、シリカゾルや;四塩化ケイ
素、トリクロロシラン、エチルシリケートなどの有機ケ
イ素化合物等が使用される。この様な湿式法では、加水
分解、共沈、蒸発乾固、噴霧熱分解などの方法で沈澱ま
たは固形物を得たのち、800℃から1600℃の温度で固形
物を焼成して原料粉末を得る。この原料粉末中に含まれ
る不純物の含有量は、焼結体の特性を支配する重要な因
子である。これは、焼結体中にガラス相が存在すると
き、不純物がガラス相に溶解し、高温での粘度を著しく
低下させ、強度,耐クリープ性などの高温特性を低下さ
せる為である。Na、Kなどのアルカリ金属が特に良くな
く、不純物の総量としては、酸化物として通常0.5重量
%以下、好ましくは、0.3重量%以下とする。
この様にして合成した粉末を成形し、ムライト予備焼結
体を得る場合、図2に示した各々の点F(65/35,155
0)、G(72/28,1550)、H(74/26,1600)、I(78/2
2,1600)、J(78/22,1855)、K(73/27,1850)、L
(65/35,1650)に囲まれた範囲内で予備焼結することが
好ましい。この範囲外で予備焼結した場合、ガラス相が
多量に生成し、HIPによる効果が生じなかったり、焼結
体密度が充分に上がらなかったりする。
このようにして、ガラス相10重量%以下、アルミナ相15
重量%以下、密度2.95g/cc以上、開気孔 0の予備焼結
体がえられる。
次に、この様にして得られた予備焼結体にHIP処理を行
う。この時のHIP処理温度は、図1に示された予備焼結
体の組成に対応した温度範囲で行う。この範囲をこえる
温度でHI1P処理した場合は、予備焼結体中のガラス相の
量を減少させることが出来ず、また、それより低い温度
では、クラックや空隙さらにアルミナ相の量を減少させ
ることが出来ないために、高温特性を改善することが不
可能である。
HIP処理におけるガス圧力は、100気圧以上であることが
好ましい。100気圧未満では、高温特性の改善が不充分
である。また、使用するガスの種類は、アルゴン、ヘリ
ウムなどの不活性ガスや窒素、さらには酸素を混合した
酸化性のガス等が用いられる。
HIPの処理時間は、最高温度で30分以上保持すれば充分
である。
この様にしてHIP処理されたムライト焼結体は、ガラス
相が消滅または減少しているため、1300℃付近での強度
の増加は少なくなる。しかしながら、低速で変形させて
測定されるクリープ強度は増加し、クリープ特性が向上
する。
ここで述べたムライトの組成分析は、通常の重量分析な
どの手法で可能である。また、焼結体中のガラス相の量
は、焼結体を0.1mm程度に粉砕し、濃度1重量%のフッ
酸に0℃で24時間浸けてガラス相を溶解し、その重量減
少から求めるか、または、焼結体の研磨面をフッ酸でエ
ッチングし、走査型電子顕微鏡でエッチングされたガラ
ス相の面積を求めることによって得られる。一方、焼結
体中のアルミナの含有量は、X線回析でえた測定結果
を、次の計算式と予め作成した検量線からもとまる。
I(A/A+M)= Ia(024)/{Ia(024)+Im(321,420)} I(A/A+M);回析強度で表したアルミナの含有量 Ia(024);α−アルミナの(024)面の積分強度 Im(321,420);ムライトの(321)面と(420)面の積
分強度の和 上式から求めたムライト焼結体のI(A/A+M)の値と
検量線と比較することによってアルミナの含有量は求ま
る。
[実施例] 本発明を以下実施例に従って具体的に説明するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 組成が、Al23/SiO2重量比で71/29になるように、硝酸
アルミニウム水溶液(Al23換算含有量9.0重量%)789
gとシリカゾル水溶液(SiO2含有量20.0重量%)145gを
混合し、5に希釈した。この水溶液に撹拌しながらア
ンモニア水を加え、pHを7.0にし、生成した沈澱を濾過
した後、エチルアルコールで洗浄した。この沈澱を80℃
で乾燥した後、1400℃で1時間焼成し、95gのムライト
粉末をえた。この粉末をエチルアルコールを溶媒とし
て、50時間ボールミル粉砕を行った。この粉末を2t/cm2
の圧力で静水圧成形し、50mm×40mm×6mmの板を得た。
この板を1650℃で4時間予備焼結した。この予備焼結体
の密度は、3.10g/ccであった。この予備焼結体を熱間ガ
ス圧成形装置を用いてHIP処理した。処理条件は、アル
アゴンガス圧1000気圧,加熱温度1500℃,加熱時間1時
間に設定した。えられてムライト焼結体の密度は、3.15
g/ccであった。HIP処理前後での特性の比較を行うた
め、室温,1300℃,1400℃の各温度で、予備焼結体と処理
後のムライト焼結体の3点曲げ強度(曲げ速度0.5mm/mi
n)を測定した。結果を表1に示す。さらに、1300℃と1
400℃では、一定歪速度によるクリープ特性の比較を行
なった。その結果を図3に応力−歪曲線として示す。一
定歪速度のクリープ試験は、強度測定と同じ装置を使用
して、曲げ速度を強度測定の100分の1の0.005mm/minに
して行った。これらの結果から明らかなように、この組
成のムライト焼結体では、HIP処理によってガラス相の
量が減少するため、高温強度は多少低下するが、図3に
示したようにクリープ特性が著しく向上する。また、高
温強度自体も従来のムライトに比較すると、2倍以上の
値を示すものである。
実施例2〜7 実施例1と同様にして、異なった組成とHIP条件で焼結
体を製造し、予備焼結体とHIP処理後のムライト焼結体
の特性を比較した。その結果を表2に示す。HIP処理等
のガス圧力は、いずれも1000atm、処理時間は1時間で
あった。また、表2のクリープ特性は、0.005mm/minの
曲げ速度で曲げ試験を行った時得られる、応力−歪曲線
上の最大応力で表現した。また、上段が予備焼結体の特
性、下段がHIP処理後の特性である。これらの結果から
明らかなように、実施例2から4で見られるとおり、HI
P処理後の1300℃と1400℃の強度は低下しているが、プ
リープ強度では向上している。また、実施例5から7で
は、強度及びクリープ強度の両方で向上が明らかであ
る。
[発明の効果] 本発明は、以上説明したように、優れた特性を持つムラ
イト焼結体をあたえる製造方法である。この発明の効果
を以下に説明する。
実施例でも明らかなように、室温から高温迄の強度が向
上し、さらに高温でのクリープ特性が著しく改善され
た。このため、ムライト焼結体を高温構造材料として使
用することが可能となった。このほかムライト焼結体
は、耐熱衝撃性、耐薬品性などに優れているため、以下
の用途への利用が可能である。ガスタービンエンジンな
どの燃焼室やケーシング及びタービン翼等の部材、レシ
プロエンジン部材、例えば副燃焼室、ピストンヘッド
等、その他炉材や高温で使用する治具など。ただしこれ
らの例は、本発明の用途範囲を限定したものではないこ
とは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明における予備焼結体のAl23/SiO2重量
比に対する熱間ガス圧成形処理温度範囲を示す図であ
る。図2は、本発明に適用するのに適した予備焼結体を
製造する際の原料成形体のAl23/SiO2重量比に対応す
る焼結温度を示す図である。図3は、実施例1において
えた予備焼結体およびHIP処理でえられた焼結体の耐ク
リープ性を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物で表示した組成が Al23/SiO2重量比 65/35〜78/22 であり、不純物相含有量が ガラス相 10重量%以下 アルミナ相 15重量%以下 である、主としてムライト質からなる予備焼結体を図1
    に示した各々の点A(65/35,1400)、B(78/22,140
    0)、C(78/22,1850)、D(75/25,1850)、E(65/3
    5,1500)で囲まれた領域内の温度で、熱間ガス圧成形処
    理することを特徴とする焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】予備焼結体密度が、2.95g/cc以上である、
    特許請求の範囲第1項に記載の焼結体の製造方法。
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DE102009052686A1 (de) * 2009-11-11 2011-05-12 Dekema Dental-Keramiköfen GmbH Brennhilfsmittel

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