JPH0772356A - 耐屈曲性に優れたプラスチック光ファイバケーブル - Google Patents

耐屈曲性に優れたプラスチック光ファイバケーブル

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JPH0772356A
JPH0772356A JP5221045A JP22104593A JPH0772356A JP H0772356 A JPH0772356 A JP H0772356A JP 5221045 A JP5221045 A JP 5221045A JP 22104593 A JP22104593 A JP 22104593A JP H0772356 A JPH0772356 A JP H0772356A
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JP
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optical fiber
protective layer
cord
cable
fiber cable
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JP5221045A
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English (en)
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Yoshimitsu Ito
良光 伊藤
Takehiko Watabe
武彦 渡部
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 プラスチック光ファイバ1、樹脂被覆層2
からなるコード、その外周に空隙4を介して形成された
保護層5からなるプラスチック光ファイバケーブルであ
って、コード引抜き強度が1.2〜120g/cm2
保護層の被覆厚みが0.1〜5.0mm、かつ、空隙4
の空隙率が2〜30%である。コードと保護層との間に
は抗張力繊維3が配されてもよい。 【効果】 高張力下での耐屈曲性に優れる。高温環境
下での透光損失増加が抑制できる。コネクター取付け作
業時のコード抜けトラブルが発生せず、コネクターを正
確かつ容易に取付けることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐屈曲性に優れたプラ
スチック光ファイバケーブルに関するものである。さら
に詳しくは、光ファイバケーブルをケーブル収納用リー
ル等に巻いたり、引き出したりする操作を繰返しても透
光損失の増加が殆どなく、産業用ロボット、クレーン、
大形プレス等の産業用機械に用いられる光伝送用プラス
チック光ファイバケーブルとして有用なプラスチック光
ファイバケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチック光ファイバは、石英系光フ
ァイバに比較して安価で加工性が優れているため、近
年、近距離用の光伝送体として多岐にわたり応用展開さ
れてきている。
【0003】その中にあって、耐屈曲性に優れたプラス
チック光ファイバケーブルとして、比較的強い張力下で
繰り返し屈曲運動が行なわれる条件下でも、長期間にわ
たって透光損失が増加しない光ファイバケーブルの開発
要求が高まってきている。
【0004】例えば、産業用ロボット、クレーン、大形
プレス等の産業機械で、伸び縮みするアームの先端に取
り付けられたセンサーから光信号を伝送する媒体とし
て、プラスチック光ファイバケーブルが使われるが、こ
の場合、アームの縮みに応じて余分な光ファイバケーブ
ルはリールなどに巻かれて収納され、逆にアームの伸び
に応じて不足する光ファイバケーブルはリールから繰り
出されて使われている。リールからのケーブルの出し入
れを円滑に行なうために、出し入れする時の光ファイバ
ケーブルには張力がかけられ、1000g以上のような
高張力をかけることがある。
【0005】そして、これら用途には、光ファイバの外
周に被覆層を複数層設けた光ファイバケーブル、或い
は、さらに必要に応じて抗張力繊維を介在させた光ファ
イバケーブルが、一般的に用いられてきている。
【0006】かかるケーブルの一例として、直径1mm
の光ファイバの外周をポリエチレンで1次被覆して直径
2.2mmのコードとし、更にその外周をポリエチレン
で2次被覆して直径3.0mmのケーブルとした光ファ
イバケーブルがある。この場合、1次被覆の樹脂層は、
加工時において光ファイバを外傷から保護するためのも
のであり、また、2次被覆の保護層は、施行時や使用時
における光ファイバ性能の保護のためのものである。こ
の際、光ファイバケーブルの耐久性の点からは、コード
と2次被覆の保護層とが密着していてコード抜けが生じ
難いほど好ましいので、2次被覆の保護層はコードの外
周に密着させて形成された光ファイバケーブルが、用い
られてきている。
【0007】また、1次被覆の樹脂層と2次被覆の保護
層との間に抗張力繊維を介在させた光ファイバケーブル
の場合でも、コード抜け防止のために、1次被覆、抗張
力繊維、2次被覆が順次密着された光ファイバケーブル
が用いられてきている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】1000g以上のよう
な高張力でリール等に巻かれる際の光ファイバケーブル
には、引張りや曲げの繰返し運動が加わるし、また、リ
ールに巻かれた状態では巻締まりの力が加わる。そのた
め、透光損失が経時的に増加していくので、光ファイバ
の使用寿命が短くなるという問題が生じていた。
【0009】さらに、夏場の屋外のような高温環境下で
は、その透光損失の増加が特に大きくなる傾向にあり、
さらに大きな問題となってきている。
【0010】この問題を改善するため、本発明者らは、
この透光損失の増加の問題を、光ファイバケーブルの構
造との関係から検討をすすめたところ、光ファイバケー
ブルを構成する保護層により光ファイバが締め付けられ
ることが大きな原因となっていることがわかり、1次被
覆の層と2次被覆の保護層との間に空隙を設けることに
より解決されることを見出した。
【0011】しかし、一方、1次被覆と2次被覆との間
の空隙が大きくなるほど、光ファイバケーブルをコネク
ターに取付ける際のコード抜けが頻発するので、コネク
ターを所定の位置に正確に取付けることができず、コネ
クターでの接続損失が増大するとともに、実際の使用中
にコネクターからコードが抜けて切断し光伝送不良とな
るという新たな問題が発生してくる。
【0012】そこで、本発明は、上記した問題がなく、
リールに巻いたり解除したりする動作を繰返し、100
0g以上のような高張力下での引張りや曲げという過酷
な負荷を繰返しかけても、透光損失の経時的な増加を十
分に抑制することができ、しかも、コネクター取付け時
や使用時においてコード抜けのトラブルが生じず、コネ
クターを所定の位置に正確に取付けることができ、使用
時においてもコード抜け、切断、光伝送不良というトラ
ブルの生じない、耐屈曲性に優れたプラスチック光ファ
イバケーブルを提供することを主たる目的とする。
【0013】さらに、夏場の屋外のような高温環境下で
過酷な屈曲条件下で使用しても、経時的な透光損失の増
加を十分に小さい水準に抑えることができる耐屈曲性に
優れたプラスチック光ファイバケーブルを提供するもの
である。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、請求項1の本発明は、プラスチック光ファイバ1及
び該光ファイバの外周に密着された樹脂被覆層2からな
るコード、及び、該コードの外周に空隙4を介して形成
された保護層5を有するプラスチック光ファイバケーブ
ルであって、該ケーブルからの前記コードの引抜き強度
が1.2〜120g/cm2 であり、前記保護層の被覆
厚みが0.1〜5.0mmであり、かつ、前記保護層5
よりも内側の部分に対して前記空隙の占める比率(空隙
率)が2〜30%であることを特徴とする。
【0015】また、請求項2の本発明は、プラスチック
光ファイバ1及び該光ファイバの外周に密着された樹脂
被覆層2からなるコード、及び、該コードの外周に抗張
力繊維3及び空隙4を介して形成された保護層5を有す
るプラスチック光ファイバケーブルであって、該ケーブ
ルからの前記コードの引抜き強度が1.2〜120g/
cm2 であり、前記ケーブルからの前記抗張力繊維の引抜
き力が0.3〜8kgであり、前記保護層の被覆厚みが
0.1〜5.0mmであり、かつ、前記保護層5よりも
内側の部分に対して前記空隙の占める比率(空隙率)が
2〜30%であることを特徴とする。
【0016】請求項1、請求項2の代表的なプラスチッ
ク光ファイバケーブルの断面図を、それぞれ、図1及び
図2に模式的に示す。
【0017】これら図1、2において、符号1はプラス
チック光ファイバ、2はその外周の樹脂被覆層、4はそ
の外周の空隙、5はその外周の保護層である。
【0018】また、図2の場合は、樹脂被覆層2と保護
層5との間に、抗張力繊維3と空隙4とが介在し、さら
に、保護層5の外周には別の保護層(最外保護層6)が
形成されている。
【0019】プラスチック光ファイバ1は一般的には透
明ポリマからなるコアと該コアより屈折率の低いポリマ
からなるクラッドとを有する芯鞘複合構造の光伝送繊維
であるが、連続的に屈折率分布をもつプラスチック光伝
送繊維であってもよい。
【0020】芯鞘複合構造の光ファイバの場合、コア成
分としてポリメチルメタクリレートを用い、クラッド成
分としてフッ化ビニリデン、フルオロアルキルメタクリ
レート、αーフルオロアクリレート、あるいは、Nーイ
ソプロピルマレイミド/フッ化メタクリレート系共重合
体を用いると、引張りや曲げの繰返しに対する抵抗に優
れた光ファイバとすることができるので、本発明の目的
を達成するために好適である。
【0021】光ファイバの外周に樹脂被覆層2を密着さ
せて形成することによって、光ファイバコードが形成さ
れる。
【0022】この樹脂被覆層2に用いる樹脂は、被覆加
工時に透光損失を増加させない樹脂であれば特に限定さ
れず、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリアミドあるいはこれらの共重合
体やエラストマなどのような樹脂から用途に応じて選択
すればよい。
【0023】ケーブルからコードを引抜く場合には、こ
の光ファイバ及び樹脂被覆層が一体となったコードの状
態で引抜かれるのであり、このコードの引抜き強度は、
次の方法によって測定される。
【0024】図3に示すように、長さ10cmの光ファ
イバケーブル11を、上端にケーブルが抜けない程度の
孔を開けた中空のケーブル支持台12の中に入れ、その
上端の孔からコード6のみを上方に引抜く。そのコード
の引抜きに要する力を、オートグラフ(図示せず)によ
り10cm/分の速度でコードを引張りつつ測定し、そ
の力の最高値を引抜き力(Xg)とする。そして、下記
式により、コードの引抜き強度(Tg/cm2 )を求め
る。
【0025】T=X/10πR なお、ここで、Rはコードの直径(cm)である。
【0026】コードの引抜き強度が1.2g/cm2
満たない場合は、コネクター取付けの際のコード抜けが
頻繁に生じ、コネクターを所定の位置に正確に取付ける
ことが困難であり、コネクターでの接続損失が増大す
る。しかも、実際の使用時にもコネクターからコードが
抜け易く、コードが切断して光伝送不良を起こし易い。
【0027】逆に、コードの引抜き強度が120g/c
2 を越えるほどに強固に固着されている場合には、1
000g以上の高張力下で引張ったり曲げたり、さらに
はリールに巻いたり引出したりする過酷な操作条件下に
おいて透光損失が大きく増加する。
【0028】従って、コードの引抜き強度は1.2〜1
20g/cm2 でなければならない。さらに、14〜7
5g/cm2 であることが本発明の効果をより発揮する
上で好ましい。
【0029】次に、コードの外周に、空隙4を介して、
或いは、抗張力繊維3及び空隙4を介して配される保護
層5は、その被覆厚みが0.1〜5.0mmであること
を要する。
【0030】その被覆厚みが薄すぎる場合は、コードへ
の締付けは小さくなるのでその締付けによるトラブルは
回避できるが、保護層の役目が十分に果たせなくなるか
ら不適当である。実際の被覆加工においても0.1mm
未満の厚みで安定して被覆加工することは技術的に極め
て難しい。
【0031】一方、5.0mmを越える場合は、コード
の引抜き強度が1.2〜120g/cm2 の範囲内であ
っても、コードの締付けが時間と共に大きくなるので、
経時的に透光損失の増加が大きくなり採用できない。
【0032】特に、その被覆厚みは0.3〜1.0mm
が好ましい。
【0033】この被覆厚みは、光ファイバケーブルを切
断しての顕微鏡測定により実測することができる。
【0034】樹脂被覆層2と保護層5との間に介在させ
る空隙の大きさは、空隙率が2〜30%でなければなら
ない。
【0035】ここで、空隙率(K%)は、前記保護層5
よりも内側の部分に対して前記空隙の占める比率であ
る。
【0036】図1のように、樹脂被覆層2と保護層5と
の間に抗張力繊維を介在させない場合は、保護層5の内
径(Mcm)、樹脂被覆層2の外径(Ncm)を測定
し、次式を用いて求めることができる。 K=[(M2 −N2 )/M2 ]×100
【0037】また、図2のように樹脂被覆層2と保護層
5との間に抗張力繊維を介在させる場合は、保護層5の
内径(Mcm)、樹脂被覆層2の外径(Ncm)、及
び、抗張力繊維の断面積(Scm2 )を測定し、次式を
用いて求めることができる。 K={[π(M/2)2 −π(N/2)2 −S]/π
(M/2)2 }×100
【0038】この空隙率が大きくなるほど保護層5は楕
円のような形となってくるが、この場合の保護層5の内
径は、最も長い内径と最も短い内径とを測定してその平
均値を用いればよい。
【0039】空隙率が2%に満たない場合は、コードの
引き抜き力が1.2〜120g/cm2 の範囲内かつ保
護層5の被覆厚みが0.1〜5.0mmの範囲内であっ
ても、特に夏場の屋外のような高温環境下でリールに巻
いたり引出したりする過酷な操作条件下における透光損
失を防止することができない。
【0040】逆に、空隙率が30%を越える場合は、光
ファイバケーブルの外径寸法公差を一定とすることがで
きず、コネクターに取付ける際にコネクターに入らなか
ったり逆に緩過ぎたりしてコネクター取付けが困難とい
う問題が発生する。
【0041】樹脂被覆層2と保護層5との間の空隙率
は、特に5〜25%が好適である。
【0042】実用面からは、より強力な引張りに対する
対処を可能にするために、樹脂被覆層2と保護層5との
間に抗張力繊維3を介在させることが好ましい。
【0043】この抗張力繊維3の引抜き力は、前述した
コード引抜き力の測定と同様に測定される。即ち、長さ
10cmの光ファイバケーブル11を、図4に示すよう
にケーブル支持台12の中に入れ、抗張力繊維3のみを
上方に引抜く。その抗張力繊維の引抜きに要する力を、
オートグラフ(図示せず)により10cm/分の速度で
抗張力繊維を引張りつつ測定し、その力の最高値を引抜
き力とする。
【0044】この抗張力繊維の引抜き力は0.3〜8k
gが必要であり、特に、1.0〜5.0kgが好まし
い。
【0045】抗張力繊維としては、アラミド繊維(例え
ば“ケブラー”など)、ポリエステル繊維(例えばポリ
エチレンテレフタレート繊維など)、ポリアミド繊維
(例えばナイロン6繊維やナイロン66繊維など)が好
ましい。
【0046】また、用途によっては、保護層5の外周に
さらに他の保護層(最外保護層)6を形成してもよく、
さらに、その最外保護層6を複数層とした光ファイバケ
ーブルとしてもよい。
【0047】保護層5や最外保護層6に用いる樹脂は、
被覆加工時に透光損失を増加させずに、かつ、目的とす
る保護機能のある樹脂であれば特に限定されず、用途に
応じた樹脂を用いればよい。例えば、ポリエチレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリア
ミドあるいはこれらの共重合体やエラストマなどを用い
ることができる。
【0048】本発明の光ファイバケーブルは、次のよう
な方法で製造すればよい。
【0049】まず、ダイス、ニップルを有する押出機を
用いた通常の方法で、プラスチック光ファイバの外周に
樹脂を被覆させて被覆層2を形成してコードとする。
【0050】次に、そのコードの外周を、ダイス、ニッ
プルを有する押出機を用いて保護層用樹脂で被覆して保
護層5を形成する。抗張力繊維3を介在させる場合に
は、この被覆の前に、通常の方法により抗張力繊維3を
コードの外側に引揃えて配すればよい。
【0051】本発明においては、樹脂被覆層2と保護層
5との間に適正な大きさの空隙を介在させることが必要
であり、この空隙は、例えば、ダイス孔径を大きくする
ことにより、ガムスペースを小さくすることにより、ま
た、ニップルの先端をパイプ状にしてパイプ状に樹脂を
押出すことにより、形成することができる。
【0052】その空隙の大きさ(空隙率)は、ダイス孔
径、ガムスペースの大きさ、ニップル先端のパイプ状の
径などを適宜調整することによって所望の値とすること
ができる。例えば、使用する押出機や保護層用樹脂の種
類やダイス孔を出た後の冷却速度などにもよるが、ダイ
ス孔径を0.1mm大きくすることで空隙率を20%程
度大きくすることができる。また、ガムスペースを小さ
くして空隙率を数十パーセント大きくすることも可能で
ある。
【0053】また、コードの引抜き強度は、空隙の大き
さやコード表面の大きさによっても調整できるが、ま
た、樹脂被覆層2を形成させたコードの表面の性状を変
化させることや、樹脂被覆層2を構成する樹脂の種類や
保護層5を構成する樹脂の種類を変更することなどによ
っても調整することができる。例えば、空隙が大きいほ
どコード引抜き強度を小さくできる。また、樹脂被覆層
2を形成する際の加工温度(被覆層用樹脂の押出温度)
を高くしてコードの表面を滑らかにするほど、コード引
抜き強度を小さくできる。
【0054】
【作用】保護層5を被覆した直後の光ファイバケーブル
では透光損失の増加速度はかなり小さいが、時間が経つ
に従い透光損失の増加速度は徐々に大きくなっていく。
特に、夏場の屋外のような高温雰囲気中では透光損失の
増加速度が大きい。
【0055】この透光損失の増加の原因は、光ファイバ
ケーブルを構成する保護層5の締付けにより光ファイバ
のコアとクラッドとの剥離が誘発され、この剥離により
透光性が悪化していくためとみられる。特に、30℃以
上、70%RH以上のように高温高湿となる夏場に、1
000g以上の高張力下でリールに巻き、引出す作業に
よって、保護層5が収縮を起こした場合、透光損失の増
加速度はさらに大きくなる。
【0056】この問題を解決するためには、樹脂被覆層
と保護層との間にある程度以上の空隙を設け、コードと
保護層との密着程度を小さくすることが効果的である。
具体的には、空隙率2%以上とすること、及び、かつコ
ード引抜き強度を従来(150g/cm2 程度)よりも
低い120g/cm2 以下とすることが必要である。
【0057】また、抗張力繊維を介在させる場合には、
同様な理由により、抗張力繊維の引抜き力を従来よりも
低い8kg以下とすればよい。
【0058】一方、樹脂被覆層と保護層との間の空隙が
大きくなるほど、光ファイバケーブルをコネクターに取
付ける際のコード抜けが頻発し、コネクターを所定の位
置に正確に取付けることができず、コネクターでの接続
損失が増大する。さらに、実際の使用中にコネクターか
らのコード抜けが生じ易く、その結果、光ファイバが切
断されて光伝送不良が発生するという新たな問題も生じ
る。
【0059】しかし、これら問題は、空隙の大きさを空
隙率30%以下に抑え、かつコード引抜き強度を1.2
g/cm2 以上とすることにより解決することができ
る。また、抗張力繊維を介在させる場合には、抗張力繊
維の引抜き力を0.8kg以上とすればよい。
【0060】従って、本発明による光ファイバケーブル
は、1000g以上のような高張力条件下で引張った
り、曲げたりしても、さらにリールに巻いたり解除した
りという過酷な条件での屈曲を繰返しても、透光損失の
増加速度は小さく、優れた耐屈曲性を有する。さらに、
透光損失の増加速度の経時的な増加が抑制され、夏場な
どの高温環境下でも透光損失の増加速度を十分に低い水
準に抑えることができる。
【0061】しかも、本発明で特定した程度の空隙やコ
ード引抜き強度水準としても、コネクター取付けの際の
コード抜けトラブルは発生せず、コネクター取付けが容
易であり、かつ、実際の使用時におけるケーブルからの
コード抜けもなく、コードが切断して光伝送不良となる
トラブルも発生しない。
【0062】
【実施例】
[実施例1〜2及び比較例1〜4]コアがポリメチルメ
タクリレートからなり、クラッドがフッ化ビニリデン/
4フッ化エチレン共重合体からなる直径1.0mmの光
ファイバに、樹脂被覆層2の被覆厚みが0.6mmとな
るように常法によりポリエチレンを被覆して、樹脂被覆
層2を有するコードとした。
【0063】次に、被覆厚みが0.4mmとなるように
ポリエチレンを被覆して保護層5を形成するとともに、
樹脂被覆層2と保護層5との間に空隙を形成させて光フ
ァイバケーブルを得た。この際、被覆加工に用いるダイ
ス、加工温度、ガムスペースを種々変更して、空隙の大
きさを表1に示す値とした。
【0064】得られた光ファイバケーブルからコードの
引抜き強度、光ファイバケーブルの耐屈曲性、及び、コ
ネクタ取付け性について、次の方法で評価し、その結果
を表1に示した。
【0065】ケーブルからのコードの引抜き強度: 前
述した方法で20回測定し、その平均値を用いた。
【0066】ケーブルの耐屈曲性(透光損失増加):
長さ40cmの光ファイバケーブルを1500gの張力
下で、20cmのリールに巻き次いで解舒するという屈
曲動作を40℃の環境下で100回繰返し、その後の透
光損失を測定した。そして、その屈曲動作の前の透光損
失と対比しての透光損失の増加を求めた。この値が小さ
い程、耐屈曲性は良好である。なお、透光損失は650
nmのハロゲン光を用い30m−2mのカットバック法
により求めた。
【0067】コネクタ取付け性(コード抜け発生回
数): 長さ100cmの光ファイバケーブルの端面の
保護層5を5cm剥がし、このコード部分をコネクター
に取付ける作業を50回繰返えした。この際の光ファイ
バケーブルからのコード抜け回数を調べた。この値が小
さい程、コネクタ取付け性は良好である。
【0068】
【表1】
【0069】本発明の光ファイバケーブルの場合(実施
例1、2)は、1500gの張力下でリールに巻き解舒
する屈曲動作を100回繰返しても、透光損失の低下は
小さかった。しかも、コネクタ取付け時のコード抜けが
全く発生せず、コネクターを正確に取付けることができ
た。
【0070】また、本発明のこの光ファイバケーブルを
産業用機械のケーブル収納用リールに巻いて用いたとこ
ろ、使用時にケーブルからのコード抜けやコード切断に
よる光伝送不良のようなトラブルは発生しなかった。
【0071】これに対し、引抜き強度が小さ過ぎる比較
例1、4の場合はコネクタ取付け時にコード抜けが頻発
した。また、比較例4は空隙率が大き過ぎたので、光フ
ァイバケーブルの断面が楕円となり、コネクター取付け
時にケーブルがコネクターのプラグケースに入り難いと
いう問題もあった。
【0072】逆に、引抜き強度が大き過ぎる比較例2の
場合は、リールに巻き解舒する屈曲動作の繰返しによ
り、透光損失が大きく増加した。
【0073】また、比較例3は空隙率が小さ過ぎ、屈曲
動作の繰返しによる透光損失の増加が大きかった。夏場
にこの屈曲動作の繰返しを行ったところ、透光損失の増
加は600〜800dB/kmと著しく大きかった。
【0074】さらにまた、夏場を想定し、85℃で10
00時間の条件で耐熱試験を実施したところ、光ファイ
バケーブルの透光損失の増加は、実施例1の場合が4d
B/kmと小さかったのに対し、比較例3の場合は23
0dB/kmと著しく大きかった。
【0075】[実施例3〜4及び比較例5〜6]実施例
1と同様な方法により直径2.2mmの光ファイバコー
ドを得た。さらに、樹脂被覆層2と保護層5との間の空
隙率が15%となるように、被覆加工に用いるダイス、
加工温度、ガムスペースを調整した。さらに、保護層5
用のポリ塩化ビニル樹脂の押出し量を変更して、保護層
5の被覆厚みが表2のとおり種々異なる光ファイバケー
ブルを得た。
【0076】得られた光ファイバケーブルのコード引抜
き強度を測定した。さらに、夏場の屋外を想定した85
℃、1000時間の耐熱試験を行い、透光損失の増加を
調べた。その結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
【0078】本発明による実施例3、4の場合は、耐熱
試験による透光損失の増加は小さく、実際に夏場で使用
した場合でも透光損失の増加は問題とならない水準であ
った。
【0079】これに対し、比較例5の場合は、保護層5
の被覆厚みが薄過ぎたので安定してケーブルを製造する
ことができなかった。また、比較例6の場合は、逆に被
覆厚みが厚過ぎたので85℃、1000時間の耐熱性試
験による透光損失の増加が大きく、実際に夏場で使用し
た場合、30日間で透光損失の増加は52dB/kmと
経時的な透光性悪化が著しかった。
【0080】[実施例5]実施例1と同様の方法により
直径2.2mmの光ファイバコードを得た。樹脂被覆層
2と保護層5との間に、5680デニールのアラミド繊
維“ケブラー”を周方向にほぼ均等になるよう配置した
後、被覆厚み0.4mmのポリエチレンの保護層5を形
成するとともに、空隙率18%の空隙を形成した。さら
にその外周に、被覆厚み0.2mmのポリアミドの最外
保護層6を形成し、光ファイバケーブルとした。
【0081】得られた光ファイバケーブルのコード引抜
き強度は48g/cm2 、アラミド繊維の引抜き力は4
kgであった。また、85℃、1000時間の耐熱試験
による透光損失の増加は6dB/kmと小さかった。実
際に夏場に、リールに巻き解舒する屈曲の繰返しを行っ
てみたが、透光損失の増加は極めて小さかった。
【0082】
【発明の効果】本発明によると、次の効果が得られる。
【0083】(1) 光ファイバケーブルを高張力下でリ
ールに巻いたり解舒したりする屈曲動作を繰返しても、
透光損失の増加を小さく抑えることができる。
【0084】(2) しかも、夏場のような高温環境下
で、高張力下の屈曲動作を伴う条件で使用しても透光損
失の増加を小さく抑えることができ、経時的な増加も少
ない。
【0085】(3) 光ファイバケーブル端面の被覆層を
剥がしたコードにコネクターを取付ける作業を行う際に
もコード抜けが発生せず、コネクターの正確かつ容易な
取付けが可能である。また、実際の使用時にコードが抜
けコード切断を生じるというトラブルも発生しない。
【0086】(4) 光ファイバケーブルの断面形状のひ
ずみが防止され、コネクター取付け時にケーブルがコネ
クターのプラグケースに入らないという問題も生じな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(請求項1)の光ファイバケーブルの一
実施態様におけるケーブル断面を模式的に示す断面図で
ある。
【図2】本発明(請求項2)の光ファイバケーブルの一
実施態様におけるケーブル断面を模式的に示す断面図で
ある。
【図3】光ファイバケーブルからのコードの引抜き強度
の測定方法を説明するための部分破断概略図である。
【図4】光ファイバケーブルからの抗張力繊維の引抜き
力の測定方法を説明するための部分破断概略図である。
【符号の説明】
1:プラスチック光ファイバ 2:樹脂被覆層 3:抗張力繊維 4:空隙 5:保護層 5′:他の保護層(第2保護層)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック光ファイバ及び該光ファ
    イバの外周に密着された樹脂被覆層からなるコード、及
    び、該コードの外周に空隙を介して形成された保護層を
    有するプラスチック光ファイバケーブルであって、該ケ
    ーブルからの前記コードの引抜き強度が1.2〜120
    g/cm2 であり、前記保護層の被覆厚みが0.1〜
    5.0mmであり、かつ、前記保護層よりも内側の部分
    に対して前記空隙の占める比率(空隙率)が2〜30%
    であることを特徴とする耐屈曲性に優れたプラスチック
    光ファイバケーブル。
  2. 【請求項2】 プラスチック光ファイバ及び該光ファ
    イバの外周に密着された樹脂被覆層からなるコード、及
    び、該コードの外周に抗張力繊維及び空隙を介して形成
    された保護層を有するプラスチック光ファイバケーブル
    であって、該ケーブルからの前記コードの引抜き強度が
    1.2〜120g/cm2 であり、前記ケーブルからの前
    記抗張力繊維の引抜き力が0.3〜8kgであり、前記
    保護層の被覆厚みが0.1〜5.0mmであり、かつ、
    前記保護層よりも内側の部分に対して前記空隙の占める
    比率(空隙率)が2〜30%であることを特徴とする耐
    屈曲性に優れたプラスチック光ファイバケーブル。
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Cited By (1)

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WO2001095002A1 (fr) * 2000-06-06 2001-12-13 Asahi Glass Company, Limited Cable a fibres optiques

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