JPH0770809A - 紡糸用ノズル - Google Patents

紡糸用ノズル

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JPH0770809A
JPH0770809A JP13585194A JP13585194A JPH0770809A JP H0770809 A JPH0770809 A JP H0770809A JP 13585194 A JP13585194 A JP 13585194A JP 13585194 A JP13585194 A JP 13585194A JP H0770809 A JPH0770809 A JP H0770809A
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spinning
spinning nozzle
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discharge port
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Haruo Tomari
治夫 泊里
Yasuaki Sugizaki
康昭 杉崎
Toshiki Sato
俊樹 佐藤
Tatsuya Yasunaga
龍哉 安永
Masanori Sai
政憲 蔡
Kazuhisa Kawada
和久 河田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 これまでの技術の有する問題を悉く解消し、
ノズル吐出口近傍での樹脂溶着を生じ難くして耐溶着性
に優れると共に、ノズル孔の摩耗を生じ難くして耐摩耗
性に優れる紡糸用ノズルを提供する。 【構成】 溶融物質自体を溶融紡糸する紡糸用ノズル或
は繊維表面に溶融物質をコーティングしながら紡糸する
紡糸用ノズルであって、少なくともノズル吐出口近傍に
Ni基合金が被覆されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融樹脂(例えばポリ
エステルやナイロン等の溶融樹脂)等の溶融物質自体を
溶融紡糸する紡糸用ノズル、或は繊維表面に溶融金属等
の溶融物質をコーティングしながら紡糸する紡糸用ノズ
ルに関し、特に糸切れがなくて良好な紡糸性を有すると
共にノズル孔の耐摩耗性に優れた紡糸用ノズルに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】化学繊維の製造は、ポリエステルやナイ
ロン等の溶融樹脂を溶融紡糸する方法により行なわれ、
この溶融紡糸をするに際して紡糸用ノズルが使用され
る。かかる紡糸用ノズルとしては、耐食性に優れたステ
ンレス鋼等の材料に、複数個の孔(紡糸ノズル孔)を円
周方向に1列或いは同心円状に複数列、ドリルまたは放
電加工により穿孔し、該材料のノズル吐出口側の表面即
ち紡糸口金表面(以降、ノズル表面ということがある)
を鏡面または梨地面に仕上げたものが用いられている。
【0003】ところで、ポリエステルやナイロン等を溶
融紡糸するに際し、その溶融紡糸温度は約300℃の高
温であるため、溶融状態の樹脂から低分子量物質が発揮
性ガスとなって発生する。この様な発揮性ガスが紡糸中
にノズル吐出口近傍のノズル表面に付着固化したり、或
いは紡出された樹脂がノズル吐出口近傍のノズル表面や
ノズル孔内面に付着すると、ニーリングと称する紡出中
の樹脂糸条の曲がりが発生し、この樹脂糸条がノズル表
面に付着することがある。このニーリングに起因して、
糸径の斑、紡出糸条の脈動、糸切れ等が発生し、長時間
に亘り安定して紡糸することが不可能となる。そのた
め、7〜10日で紡糸を停止し、溶着物(上記付着した
物)を取り除く必要があり、操業効率が低下するという
問題が生じる。
【0004】また溶融紡糸する際の別の問題として、溶
融樹脂中に含まれるルチルやアルミナによる紡糸ノズル
孔の摩耗がある。即ち、ルチルやアルミナにより紡糸ノ
ズル孔のノズル吐出口側の縁が摩耗し、ノズル孔径や形
状が変化し、それに伴って糸の径や均質性に変化を来
す。そのため、現状では約1年程度で新しい紡糸用ノズ
ルと交換することが余儀なくされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記の様な問題を解決
する為に、これまで下記の如き様々な技術が提案されて
いるが、いずれも夫々問題を有している。例えば、特開
昭53−6613号には、前記溶着(付着)に係る問題
の解決する為に、紡糸口金表面(ノズル表面)にガスや
蒸気を吹き付ける方法が提案されている。しかしなが
ら、この方法では、ノズル表面の冷却による糸径斑の増
大や糸切れ、細化過程への影響等があって、充分な効果
が得られていない。
【0006】一般に耐溶着性はノズル表面での耐濡れ性
を改善すると向上すると考えられており、かかる観点か
ら、ノズル吐出口近傍のノズル表面に金や白金を蒸着す
る方法も提案されている(例えば、特開平1−2823
07号)。しかしながら、この方法では、金や白金の蒸
着膜は密着性不足のため紡糸時に剥離し、紡糸条中に不
純物として混入したり、ノズル孔の摩耗を却って助長し
てしまうという欠点がある。
【0007】また金属コーティング繊維の製造(繊維表
面に溶融金属をコーティングしながら紡糸する)に際し
て用いる紡糸用ノズルに関して、例えば特開昭63−2
837号や同63−2838号には、耐濡れ性を改善し
て溶融金属の溶着を防止すると共に耐摩耗性を向上して
摩耗に係る問題を解決することを目的として、溶融金属
に接するノズル部分をBN,SiC,Si34 等のセ
ラミックス焼結体とする技術が提案されている。しかし
ながら、これらセラミックス焼結体は前記したステンレ
ス鋼に比べて硬度は高いものの、靭性不足により割れや
欠けが生じ易いため、摩耗に係る問題を十分に解決でき
ないという欠点がある。
【0008】更に、ピッチ系炭素繊維の溶融紡糸におい
て、上記と同様の問題を解決することを目的とし、紡糸
口金表面(ノズル表面)、に溶融ピッチで濡れないTi
N,Al23 ,Ti02 ,SiO2 ,BN,Si3
4 ,SiC,TiC等のセラミックスを被覆することも
提案されている(例えば、特開平2−74620号)。
しかしながら、これらのセラミックスの被覆は、物理蒸
着法や化学蒸着法等の気相コーティング法でないと達成
できないので、一度に多量の処理ができ難く、製造コス
トが高く、且つ生産性が悪いという問題がある。
【0009】本発明は、このような事情に着目してなさ
れたものであって、その目的は、これまでの技術の有す
る問題を悉く解消し、ノズル吐出口近傍での樹脂溶着を
生じ難くして耐溶着性に優れると共に、ノズル孔の摩耗
を生じ難くして耐摩耗性に優れる紡糸用ノズルを提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明とは、溶融物質自体を溶融紡糸する紡糸用ノズル或
は繊維表面に溶融物質をコーティングしながら紡糸する
紡糸用ノズルであって、少なくともノズル吐出口近傍に
Ni基合金が被覆されたものである点に要旨を有するも
のである。上記紡糸用ノズルにおいて、前記Ni基合金
は、ノズル吐出口近傍の紡糸口金表面およびノズル孔内
面に被覆されることが最も効果的である。
【0011】また前記Ni基合金としては、P,Wおよ
びBよりなる群から選ばれる1種以上の元素を含有した
ものが挙げられ、該Ni基合金中におけるこれらの元素
の含有量は、単独または合計で0.5〜15重量%であ
ることが好ましい。更に、前記Ni基合金の被覆厚みは
1〜10μmであることが好ましく、該Ni基合金の表
面粗さは、Ra(平均粗さ)で0.7〜2.0μmであ
ることが好ましい。
【0012】
【作用】本発明者らは、上記の様な問題を解決すべく、
特に溶着が発生し易いノズル吐出口近傍に被覆する最適
な物質について様々な角度から検討した。その結果、ノ
ズル吐出口近傍にNi基合金を被覆したものでは、この
Ni基合金の性質に起因して、前記従来技術の有する問
題点を解消することができ、ノズル吐出口近傍での樹脂
溶着が生じ難く、且つノズル孔の摩耗が生じ難くなるこ
とを見い出し、本発明を完成した。上記構成を採用する
ことによって、上記の効果が得られた理由についてはそ
の全てを解明し得た訳ではないが、おそらく次の様に考
えることができる。
【0013】まずNi−P系等のNi基合金は、硬度が
高く且つ靭性に優れている。例えば、前記したステンレ
ス鋼等に比べると極めて高い硬度を有し、また前記のセ
ラミックス焼結体に比べると極めて靭性に優れている。
そのため耐摩耗性に優れると共に、前記セラミックス焼
結体の如き靭性不足による割れや欠けも生じ難く、紡糸
中のノズル孔の摩耗を効果的に防止することができる。
【0014】一方、Ni基合金等について、溶融樹脂等
の溶融物質に対する耐濡れ性を調べた結果、Ni−P系
等のNi基合金は耐濡れ性に優れ、溶融物質で濡れ難い
という知見が得られた。例えば、前記ステンレス鋼等に
比べると極めて耐濡れ性に優れ、また前記のセラミック
ス焼結体と略同等の耐濡れ性を有している。しかも、ス
テンレス鋼等のノズル基材へのNi基合金の被覆は、多
量処理が可能なめっきにより行なうことができるばかり
か、ノズル基材との密着性に優れているので、前記の金
や白金の蒸着膜の場合の如き密着性不足に起因する問題
や、TiN等の気相コーティング膜の場合の如き高製造
コスト等の問題点が生じ難い。
【0015】本発明に係る紡糸用ノズルは、溶融物質で
濡れず且つ紡糸中のノズル孔の摩耗を防止することので
きる様な性質を有するNi基合金が、少なくともノズル
吐出口近傍に被覆されているので、前記従来技術の有す
る問題点を解消し得、ノズル吐出口近傍での樹脂溶着が
生じ難く、且つノズル孔の摩耗が生じ難くなる。
【0016】前記Ni基合金の被覆部位に関しては、溶
着および摩耗が発生し易いところ、即ち上記の如く少な
くともノズル吐出口近傍とするが、具体的にはノズル吐
出口近傍の紡糸口金表面およびノズル孔内面とすれば最
も効果的である。それは、樹脂等の溶着が問題となるの
は前述の如くノズル表面のノズル吐出口近傍の紡糸口金
表面(ノズル表面)であり、また摩耗が問題となるのは
ノズル孔であって特にノズル吐出口近傍のノズル孔内面
の摩耗が糸の径や均質性の変化等の問題を引き起こすの
で、それらの部分にNi基合金を被覆しておけば本発明
の効果が発揮されるからである。但し、ノズル吐出口近
傍の紡糸口金表面だけに限らず、該紡糸口金表面全面に
亘ってNi基合金を被覆することを排除するものではな
く、この様な構成を採用することによって、本発明に係
る紡糸用ノズルの生産性が向上することになる。
【0017】本発明において、少なくともノズル吐出口
近傍に被覆するNi基合金としては、後記実施例で示す
Ni−P系合金の他、Pの代わりにまたはPと共にWや
B等の元素を含有した各種Ni基合金を挙げることがで
き、これらのNi基合金は耐濡れ性および耐摩耗性に優
れ、紡糸用ノズルの溶着および摩耗の問題を解決でき
る。
【0018】本発明で用いるNi基合金において、P,
W,B等の含有量は、単独または合計で0.5〜15重
量%にするのが好ましく、この含有範囲で紡糸用ノズル
の溶着および摩耗の問題を確実に解決できる。これらの
元素の含有量が0.5重量%未満になると硬度が低下し
て耐摩耗性が低下し、15重量%を超えると耐濡れ性が
低下する。
【0019】Ni基合金の被覆厚みは、1〜10μmで
あることが好ましく、この厚み範囲では紡糸用ノズルの
摩耗の問題を確実に解決でき、またステンレス鋼等のノ
ズル基材とNi基合金の被覆層との密着性に優れたもの
にできる。尚この被覆厚みを1μm未満にすると極微量
の摩耗であっても耐摩耗性上の寿命が短くなり、10μ
mを超えるとノズル基材との密着性が低下する傾向にあ
る。
【0020】Ni基合金の表面粗さは、Ra(平均粗
さ:以下「Ra」と略記する)で0.7〜2.0μmで
あることが好ましい。即ち、表面粗さが上記の範囲であ
ると、ノズル吐出口近傍の汚れ、濡れおよび糸切れ回数
が大幅に低減され、長時間に亘り安定して紡糸を行なう
ことができる。また摩耗によるノズル孔径の増加が最も
抑制されるのである。
【0021】尚Ni基合金を被覆する方法としては、前
述の如く多量処理が可能な各種めっき法を採用できる。
かかるめっき法としては、電気めっきや無電解めっきが
挙げられ、例えばNi−P系合金を被覆する場合には、
電気めっきでも良いし、無電解めっきでも良い。またこ
れらNi基合金が被覆されるノズル基材の材質として
は、特に制限されるものではなく、ステンレス鋼、工具
鋼、セラミックス焼結体等を使用することができるが、
Ni基合金めっきの密着性や電気めっき処理時の導電性
の点からするとステンレス鋼を使用することが最も望ま
しい。
【0022】本発明は各種紡糸用ノズルに適用でき、溶
融樹脂(例えばポリエステルやナイロン等の溶融樹脂)
等の溶融物質自体を溶融紡糸する紡糸用ノズル、或いは
繊維表面に溶融金属等の溶融物質をコーティングしなが
ら紡糸する紡糸用ノズルとして好適に使用できる。
【0023】以下本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定するものではな
く、前後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも
本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0024】
【実施例】図1は本発明に係る紡糸用ノズルの一構成例
の要部(一部のノズル)を示す縦断面図、図2はそのノ
ズル吐出口近傍を示す拡大図である。これらの図におい
て、1はステンレス鋼(SUS316)からなる紡糸用
ノズル本体、Aは紡糸用ノズルの吐出口側、2はノズル
表面(紡糸用ノズル本体1のノズル吐出口側Aの紡糸口
金表面)、3はノズル孔、4はノズル表面2に被覆され
たNi−P系合金めっき層、5はランド、6は吐出口近
傍のノズル孔2内面に被覆されたNi−P系合金めっき
層を夫々示す。
【0025】ここで、比較のために、従来の紡糸用ノズ
ルについてのノズル吐出口近傍の縦断面図を図3に示
す。図3に示した紡糸用ノズルは、上記のNi−P系合
金が被覆されていないが、この点を除いては、図1およ
び図2に示した本発明の紡糸用ノズルと同様の構成を有
するものであり、対応する部分には同一の参照符号を付
してある。図3に示す紡糸用ノズルにおいて、樹脂等の
溶着が問題となるのはノズル吐出口近傍のノズル表面2
aであり、また摩耗が問題となるのはノズル孔3であっ
て特にノズル吐出口近傍部Cのノズル孔内面である。
【0026】本発明に係る紡糸用ノズルは、次の様にし
て製作した。まずステンレス鋼(SUS316)かなら
る紡糸用ノズル基材に対し、径(ノズル孔2の直径):
0.15mm、ランド5の長さ:0.6mmのノズル孔
3を同心円状に3列で250ホールをドリル加工により
穿孔して設けた。次に、ノズル吐出口近傍のノズル表面
2およびノズル孔3内面に、Ni−P系合金めっき層
4,6を電気めっき法により被覆した。ここで、めっき
条件を変化させることによって、Ni−P系合金めっき
層4,6のP含有量を0.1〜30重量%の範囲で変化
させると共に、めっき時間を変化させることによって、
Ni−P系合金めっき層4,6の厚みを0.5,1,
5,10,15(μm)と変化させた。またステンレス
鋼(紡糸用ノズル本体1)の表面の仕上げを、鏡面仕上
げからショットブラスト仕上げまで変化させることによ
って、Ni−P系合金めっき層4,6の表面粗さをRa
で0.5,0.7,1.0,2.0,3.0(μm)と
変化させた。
【0027】溶融樹脂を溶融紡糸する装置の紡糸用ノズ
ルとして上記本発明に係る紡糸用ノズルを用い、下記の
如くポリエチレン樹脂について溶融紡糸し、ポリエチレ
ン繊維の製造を行った。即ち、ポリエチレン溶融樹脂を
一定流量で紡糸パックに供給し、該紡糸パックから紡糸
用ノズルに送給し、このノズル孔3のノズル吐出口より
吐出させることにより紡糸し、紡糸された糸(繊維)を
300mm/分の引取速度で巻き取り、繊維径:20μ
mのポリエチレン繊維を得た。このときノズル孔3の温
度は300℃となる様に制御した。また紡糸時のパック
圧力は55kg/cm2 Gであった。
【0028】上記紡糸の際に、ノズル孔3のノズル吐出
口近傍の汚れおよび濡れの発生状況、糸揺れの発生状況
等を観察すると共に、糸切れ回数の測定を行った。また
1000時間紡糸後におけるノズル吐出口近傍のノズル
孔3内面の直径(内径)を測定し、その径の増加の程度
より摩耗量を調べた。これらの結果を表1〜5に示す
(但し、糸揺れの発生状況を除く)。尚前記ノズル孔3
内面の直径の初期値は前述の如く0.15mmであり、
Ni−P系合金の表面粗さはRaで1.0μmである。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】表1〜5には従来の紡糸用ノズルを用いた
場合の性能水準については示していないが、その性能水
準に比べて、本発明に係る紡糸用ノズルを用いた場合は
各性能とも優れており、ノズル吐出口近傍の汚れおよび
濡れの発生の程度が小さく、それに伴って糸揺れの発生
の程度が小さく、また糸揺れ回数も少なく、一方ノズル
孔径の増加の程度が小さくて耐摩耗性に優れている。特
に、本発明に係る紡糸用ノズルは、Ni−P系合金めっ
き層の厚みが、1,5,10μmの場合、更にこの厚み
の場合にNi−P系合金めっき層のP含有量が0.5〜
15重量%であるとき、ノズル吐出口近傍の汚れおよび
濡れの発生の程度、糸揺れ発生の程度、糸切れ回数が大
幅に低減し、長時間に亘り安定して紡糸および引取を行
うことができ、また摩耗によるノズル孔内径の増加の程
度が大幅に低減していることが上記表1〜5より分か
る。
【0035】尚上記本発明に係るNi−P系合金めっき
層に代えて、Ni−W系合金(例えばNi−5〜20%
W合金)、Ni−B系合金(例えばNi−1〜3%B合
金)、Ni−P−W系(例えばNi−2〜6%P−5〜
20%W合金)、Ni−P−B系合金(例えばNi−2
〜6%P−1〜3%B合金)、Ni−P−W−B系合金
(例えばNi−2〜6%P−5〜20%W−1〜3%B
合金)等のNi基合金のめっき層とした場合も、上記と
同様の傾向の結果が得られた。
【0036】更に、上記Ni−P系合金めっき層に代え
て、TiN,Al23 等の気相コーティング膜を被覆
した紡糸用ノズルを比較例として作製し、これを用いて
上記実施例と同様の溶融紡糸、観察及び測定を行ったと
ころ、これらのコーティング膜(セラミックス層)は前
記したセラミックス焼結体と同様に、硬質は高いもの
の、靭性不足により割れや欠けが起こり、剥離してしま
うため、長時間の使用に耐えなかった。
【0037】膜厚が5μmで且つP含有量が1重量%
で、表面粗さをRaで0.5,0.7,1.0,2.
0,3.0(μm)と変化させた場合の結果を表6に示
す。表面粗さがRaで0.7,1.0,2.0の場合は
紡口近傍の汚れ、濡れ、糸切れ回数が大幅に低減し、長
時間に亘り安定して紡糸、引取を行なうことができる。
また、ノズル孔の摩耗による増加が最も抑制されること
が分かる。しかしながら表面粗さがRaで0.5,3.
0(μm)の場合には、改善効果が顕著でなかった。
【0038】
【表6】
【0039】
【発明の効果】本発明の紡糸用ノズルは、前述の如き構
成を有しており、ノズル吐出口近傍での樹脂等の溶着が
生じ難くて耐溶着性に優れると共に、ノズル孔の摩耗が
生じ難くて耐摩耗性に優れており、同時に従来技術の有
する問題点を解消し得る。従って、ニーリングに起因す
る糸径の斑、紡出糸条の脈動及び糸切れが発生し難く、
そのため長時間に亘り安定して紡糸することが可能とな
ると共に、操業効率を向上し得、またノズル孔径や形状
の変化による糸の径や均質性の変化が生じ難く、そのた
め新しいノズルと交換する必要が生じる迄の期間を延長
し得るようになるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る紡糸用ノズルの一構成例の要部を
示す縦断面図である。
【図2】図1に示した紡糸用ノズルのノズル吐出口近傍
を示す拡大図である。
【図3】従来の紡糸用ノズルのノズル吐出口近傍を示す
縦断面図である。
【符号の説明】
1 紡糸用ノズル本体 2 ノズル表面 3 ノズル孔 4,6 Ni−P系合金めっき層 5 ランド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安永 龍哉 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 蔡 政憲 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 河田 和久 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融物質自体を溶融紡糸する紡糸用ノズ
    ル或は繊維表面に溶融物質をコーティングしながら紡糸
    する紡糸用ノズルであって、少なくともノズル吐出口近
    傍にNi基合金が被覆されたものであることを特徴とす
    る紡糸用ノズル。
  2. 【請求項2】 前記Ni基合金が、ノズル吐出口近傍の
    紡糸口金表面およびノズル孔内面に被覆されたものであ
    る請求項1に記載の紡糸用ノズル。
  3. 【請求項3】 前記Ni基合金が、P,WおよびBより
    なる群から選ばれる1種以上の元素を含有したものであ
    る請求項1または2に記載の紡糸用ノズル。
  4. 【請求項4】 前記Ni基合金中におけるP,W,Bの
    含有量が、単独または合計で0.5〜15重量%である
    請求項3に記載の紡糸用ノズル。
  5. 【請求項5】 前記Ni基合金の被覆厚みが1〜10μ
    mである請求項1〜4のいずれかに記載の紡糸用ノズ
    ル。
  6. 【請求項6】 前記Ni基合金の表面粗さが、Ra(平
    均粗さ)で0.7〜2.0μmである請求項1〜5のい
    ずれかに記載の紡糸用ノズル。
JP13585194A 1993-06-17 1994-06-17 紡糸用ノズル Withdrawn JPH0770809A (ja)

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