JP2782050B2 - 錫引きガイドダイス - Google Patents
錫引きガイドダイスInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、錫引きガイドダイスに
関する。さらに詳しくは、本発明は、電気伝導性の導体
線に錫メッキを施して表面改質を行うとき、錫メッキし
た導体表面を平滑にする目的で使用するガイドダイスに
おいて、錫やスラッジの付着による目詰まりがなく、長
時間安定して表面処理作業を行うことができる錫引きガ
イドダイスに関する。
関する。さらに詳しくは、本発明は、電気伝導性の導体
線に錫メッキを施して表面改質を行うとき、錫メッキし
た導体表面を平滑にする目的で使用するガイドダイスに
おいて、錫やスラッジの付着による目詰まりがなく、長
時間安定して表面処理作業を行うことができる錫引きガ
イドダイスに関する。
【0002】
【従来の技術】錫引きガイドダイスは、銅などの導体線
を溶融錫槽を通過させて、線材表面に錫メッキをする際
に使用されるダイスである。通常は、酸洗いされた導体
線が溶融錫槽内を通り、錫槽を出た直後に錫引きガイド
ダイスを通過する。その際、溶融錫表面のスラッジなど
の不純物が導体線に付着するため、不純物を除去し、錫
層の厚さを均一にし、錫層の表面を平滑にすることを目
的として、錫引きガイドダイスが使用される。錫は他の
金属と反応して合金を作りやすいので、超硬貴石チップ
を固定する台金にはチタンなどが使用される場合が多
い。図1は、従来の錫引きガイドダイスの断面図であ
る。従来の錫引きガイドダイスにおいては、超硬貴石チ
ップ1が固定用のダイス枠2の中央内部に埋め込まれて
いる。導体線が入る入口から導体線が超硬貴石チップに
向かうにつれて直径が狭くなるテーパーをつけた導入口
3がダイス枠の内部に設けられ、この導入口のテーパー
に円滑に連続する形状の超硬貴石チップの円形筒状通路
4が設けられている。超硬貴石チップの円形筒状通路の
中央部に、直径の最も小さい隘路部があり、隘路部を通
過すると直径は次第に大きくなり、ダイス枠の出口部の
次第に広がる出口通路5に円滑につながっている。従来
より、錫引きガイドダイスのダイス枠の材質には、強度
があり、錫が付着しにくい金属として、チタンがもっぱ
ら使用されていた。しかし、チタン製のダイス枠におい
ても長時間使用すると、導入口に錫や錫メッキ槽から持
ち込まれたスラッジが付着し、これが超硬貴石チップに
まで引き込まれて円形筒状通路に詰まり、作業中の連続
走行する導体線の振動が激しくなり、時には断線を生ず
ることもあるので、スラッジを除去するため作業を停止
して中断する必要があった。また、スラッジを除去する
には、針状の金属スティックなどで除去する以外に方法
はなく、このときにガイドダイスの表面を傷つけて、ガ
イドダイスを通過した錫引き導体線の仕上げ表面に線状
の傷がつく事故が発生することがあった。さらに、導体
線は錫メッキ前に酸洗浄を施され、酸切り工程で処理さ
れるが、導体線に微量の酸が同伴されて金属製のダイス
枠が徐々に腐食するという問題もあった。これらの問題
を解決するために、本出願人は先に超硬貴石チップをガ
イドダイスの入口部に設けた錫引きガイドダイスを提案
した(実開平7−9507号公報)。図2は、超硬貴石
チップをガイドダイスの入口部に設けた錫引きガイドダ
イスの断面図である。この錫引きガイドダイスにおいて
は、超硬貴石チップ1がガイドダイスの入口部に設けら
れているので、目詰まりが起こりにくく、線径の安定性
と導体線表面の平滑性を向上することができ、また、超
硬貴石チップの円形筒状通路がガイドダイス入口近くに
あるので、スラッジが付着しても除去が容易である。し
かし、このガイドダイスにおいても、導体線洗浄時の酸
がガイドダイス内に持ち込まれ、金属製のダイス枠が腐
食するという問題は残されている。本出願人は、さら
に、ダイス枠部分を耐熱樹脂製又はセラミックス製とし
た錫引きガイドダイスを提案した(実開平7−9508
号公報)。この錫引きガイドダイスでは、台金に相当す
る部分が耐酸性であるため腐食が生じにくく、スラッジ
などによる目詰まりも少なくなる。しかし、これらの材
料は価格が高く、樹脂の耐熱性にも限界がある。このた
め、錫やスラッジが付着しにくく、耐酸性があり、しか
も経済的に使用することができる錫引きガイドダイスが
求められている。
を溶融錫槽を通過させて、線材表面に錫メッキをする際
に使用されるダイスである。通常は、酸洗いされた導体
線が溶融錫槽内を通り、錫槽を出た直後に錫引きガイド
ダイスを通過する。その際、溶融錫表面のスラッジなど
の不純物が導体線に付着するため、不純物を除去し、錫
層の厚さを均一にし、錫層の表面を平滑にすることを目
的として、錫引きガイドダイスが使用される。錫は他の
金属と反応して合金を作りやすいので、超硬貴石チップ
を固定する台金にはチタンなどが使用される場合が多
い。図1は、従来の錫引きガイドダイスの断面図であ
る。従来の錫引きガイドダイスにおいては、超硬貴石チ
ップ1が固定用のダイス枠2の中央内部に埋め込まれて
いる。導体線が入る入口から導体線が超硬貴石チップに
向かうにつれて直径が狭くなるテーパーをつけた導入口
3がダイス枠の内部に設けられ、この導入口のテーパー
に円滑に連続する形状の超硬貴石チップの円形筒状通路
4が設けられている。超硬貴石チップの円形筒状通路の
中央部に、直径の最も小さい隘路部があり、隘路部を通
過すると直径は次第に大きくなり、ダイス枠の出口部の
次第に広がる出口通路5に円滑につながっている。従来
より、錫引きガイドダイスのダイス枠の材質には、強度
があり、錫が付着しにくい金属として、チタンがもっぱ
ら使用されていた。しかし、チタン製のダイス枠におい
ても長時間使用すると、導入口に錫や錫メッキ槽から持
ち込まれたスラッジが付着し、これが超硬貴石チップに
まで引き込まれて円形筒状通路に詰まり、作業中の連続
走行する導体線の振動が激しくなり、時には断線を生ず
ることもあるので、スラッジを除去するため作業を停止
して中断する必要があった。また、スラッジを除去する
には、針状の金属スティックなどで除去する以外に方法
はなく、このときにガイドダイスの表面を傷つけて、ガ
イドダイスを通過した錫引き導体線の仕上げ表面に線状
の傷がつく事故が発生することがあった。さらに、導体
線は錫メッキ前に酸洗浄を施され、酸切り工程で処理さ
れるが、導体線に微量の酸が同伴されて金属製のダイス
枠が徐々に腐食するという問題もあった。これらの問題
を解決するために、本出願人は先に超硬貴石チップをガ
イドダイスの入口部に設けた錫引きガイドダイスを提案
した(実開平7−9507号公報)。図2は、超硬貴石
チップをガイドダイスの入口部に設けた錫引きガイドダ
イスの断面図である。この錫引きガイドダイスにおいて
は、超硬貴石チップ1がガイドダイスの入口部に設けら
れているので、目詰まりが起こりにくく、線径の安定性
と導体線表面の平滑性を向上することができ、また、超
硬貴石チップの円形筒状通路がガイドダイス入口近くに
あるので、スラッジが付着しても除去が容易である。し
かし、このガイドダイスにおいても、導体線洗浄時の酸
がガイドダイス内に持ち込まれ、金属製のダイス枠が腐
食するという問題は残されている。本出願人は、さら
に、ダイス枠部分を耐熱樹脂製又はセラミックス製とし
た錫引きガイドダイスを提案した(実開平7−9508
号公報)。この錫引きガイドダイスでは、台金に相当す
る部分が耐酸性であるため腐食が生じにくく、スラッジ
などによる目詰まりも少なくなる。しかし、これらの材
料は価格が高く、樹脂の耐熱性にも限界がある。このた
め、錫やスラッジが付着しにくく、耐酸性があり、しか
も経済的に使用することができる錫引きガイドダイスが
求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、錫やスラッ
ジが付着しにくく、長時間にわたり安定して錫メッキし
た導体線表面の平滑化作業を連続して行うことができる
錫引きガイドダイスを提供することを目的としてなされ
たものである。
ジが付着しにくく、長時間にわたり安定して錫メッキし
た導体線表面の平滑化作業を連続して行うことができる
錫引きガイドダイスを提供することを目的としてなされ
たものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、超硬貴石チップを
ガイドダイスの入口側表面に露出した状態で設置し、ダ
イス枠の入口側表面又はダイス枠全体に錫非付着性物質
をコーティングすることにより、錫及びスラッジの付着
を防ぎ安定した作業が可能になることを見いだし、この
知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、超硬貴石チップをダイス枠の入口側表面に露
出した状態で固定し、入口側表面に錫非付着性物質とし
てチタン化合物又はセラミックスのコーティングを施し
たことを特徴とする錫引きガイドダイスを提供するもの
である。特に、チタン化合物が、窒化チタン又は炭化チ
タンであるもの並びにセラミックスが、アルミナ、窒化
ケイ素又はムライトである錫引きガイドダイスを提供す
るものである。
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、超硬貴石チップを
ガイドダイスの入口側表面に露出した状態で設置し、ダ
イス枠の入口側表面又はダイス枠全体に錫非付着性物質
をコーティングすることにより、錫及びスラッジの付着
を防ぎ安定した作業が可能になることを見いだし、この
知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明は、超硬貴石チップをダイス枠の入口側表面に露
出した状態で固定し、入口側表面に錫非付着性物質とし
てチタン化合物又はセラミックスのコーティングを施し
たことを特徴とする錫引きガイドダイスを提供するもの
である。特に、チタン化合物が、窒化チタン又は炭化チ
タンであるもの並びにセラミックスが、アルミナ、窒化
ケイ素又はムライトである錫引きガイドダイスを提供す
るものである。
【0005】以下に、図面により本発明を詳細に説明す
る。図3は、本発明の錫引きガイドダイスの断面図であ
り、図4は、本発明の錫引きガイドダイスの平面図であ
る。本発明の錫引きガイドダイスにおいては、ガイドダ
イスの入口側表面に超硬貴石チップ1を露出した状態で
固定する。超硬貴石チップの中心部には円形筒状通路4
が設けられ、この円形筒状通路は入口から中央に進むに
したがって通路の直径が小さくなり、円形筒状通路の中
央部の最小直径の隘路部を経由したのち、出口方向に進
むにしたがって直径がふたたび次第に大きくなる形状で
ある。超硬貴石チップの円形筒状通路の出口部の拡大す
る直径のテーパーの角度に円滑に連続するテーパーの角
度で広がる形状の出口通路5が、ダイス枠2の裏面の出
口部に形成されている。本発明の錫引きガイドダイスの
超硬貴石チップの材質には特に制限はなく、従来より錫
引きガイドダイスに用いられている材料を使用すること
ができ、このような材料としては、例えば、天然ダイヤ
モンド、人造ダイヤモンド、焼結ダイヤモンドなどを挙
げることができる。本発明の錫引きガイドダイスのダイ
ス枠の材質は、超硬貴石チップを固定しうる強度及び硬
度を有し、錫メッキされた導体線の温度に耐える耐熱性
を有し、錫非付着性物質をコーティングしうるものであ
れば特に制限なく使用することができる。このような材
料としては、例えば、チタン、超硬合金、ステンレス鋼
などの金属材料のほか、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリエーテルイミド、ポリアミドビスマレイミド、
ビスマレイミドトリアジン、ポリベンズイミダゾールな
どの耐熱性樹脂を使用することができる。本発明の錫引
きガイドダイスは、表面に錫非付着性物質をコーティン
グするので、従来の錫引きガイドダイスのごとくダイス
枠の材料として錫付着性の小さいチタンなどを必要とせ
ず、ダイス枠の材質を広く選択することができる。
る。図3は、本発明の錫引きガイドダイスの断面図であ
り、図4は、本発明の錫引きガイドダイスの平面図であ
る。本発明の錫引きガイドダイスにおいては、ガイドダ
イスの入口側表面に超硬貴石チップ1を露出した状態で
固定する。超硬貴石チップの中心部には円形筒状通路4
が設けられ、この円形筒状通路は入口から中央に進むに
したがって通路の直径が小さくなり、円形筒状通路の中
央部の最小直径の隘路部を経由したのち、出口方向に進
むにしたがって直径がふたたび次第に大きくなる形状で
ある。超硬貴石チップの円形筒状通路の出口部の拡大す
る直径のテーパーの角度に円滑に連続するテーパーの角
度で広がる形状の出口通路5が、ダイス枠2の裏面の出
口部に形成されている。本発明の錫引きガイドダイスの
超硬貴石チップの材質には特に制限はなく、従来より錫
引きガイドダイスに用いられている材料を使用すること
ができ、このような材料としては、例えば、天然ダイヤ
モンド、人造ダイヤモンド、焼結ダイヤモンドなどを挙
げることができる。本発明の錫引きガイドダイスのダイ
ス枠の材質は、超硬貴石チップを固定しうる強度及び硬
度を有し、錫メッキされた導体線の温度に耐える耐熱性
を有し、錫非付着性物質をコーティングしうるものであ
れば特に制限なく使用することができる。このような材
料としては、例えば、チタン、超硬合金、ステンレス鋼
などの金属材料のほか、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリエーテルイミド、ポリアミドビスマレイミド、
ビスマレイミドトリアジン、ポリベンズイミダゾールな
どの耐熱性樹脂を使用することができる。本発明の錫引
きガイドダイスは、表面に錫非付着性物質をコーティン
グするので、従来の錫引きガイドダイスのごとくダイス
枠の材料として錫付着性の小さいチタンなどを必要とせ
ず、ダイス枠の材質を広く選択することができる。
【0006】本発明の錫引きガイドダイスにおいては、
ガイドダイスの入口側表面6に錫非付着性物質7のコー
ティングを施す。必要に応じて、あるいは加工上の都合
からダイス枠の側面8、さらに、ダイス枠の底面9や出
口通路内面10に錫非付着性物質のコーティングを施す
ことも可能である。コーティングする錫非付着性物質に
特に制限はなく、導体線に伴われる錫又はスラッジとの
親和性が低く、錫又はスラッジが付着しにくいものを選
択して使用することができる。このような錫非付着性物
質としては、窒化チタン及び炭化チタンなどのようなチ
タン化合物並びにアルミナ、窒化ケイ素又はムライトな
どのようなセラミックスを使用することができる。窒化
チタンは、金属チタンを窒素気流中で加熱し、あるいは
酸化チタンと炭素の混合物を窒素気流中で強熱すること
により得ることができ、極めて硬く、耐熱性に優れた材
料である。炭化チタンは、金属チタンと糖炭を混合して
加熱し、あるいは酸化チタンと炭素の混合物を強熱する
ことにより得ることができ、極めて硬く、耐酸性に優れ
た材料である。本発明において、錫非付着性物質をコー
ティングする方法には特に制限はなく、例えば、熱CV
D法、プラズマCVD法、燃焼炎法などのCVD法や、
イオンプレーティング法、レーザPVD法、スパッタリ
ング法、真空蒸着法などのPVD法などを使用すること
ができる。CVD法によるコーティングは密着性に優
れ、PVD法によるコーティングは処理温度が低いので
超硬貴石チップへの影響が少なく、成長速度が比較的速
い。チタン化合物のコーティング層の厚さは0.1〜1
0μmであることが好ましく、1〜5μmであることが
さらに好ましい。セラミックスのコーティング層の厚さ
は100〜300μmであることが好ましく、150〜
250μmであることがさらに好ましい。本発明の錫引
きガイドダイスにおいては、内層に炭化チタンなどのチ
タン化合物をコーティングし、外層にアルミナのような
セラミックスをコーティングした多層コーティングとす
ることができる。このような多層コーティングとするこ
とにより、コーティングの密着性と耐酸性を向上するこ
とができる。本発明の錫引きガイドダイスにおいては、
入口側表面に錫非付着性物質のコーティングを施してい
るので、錫やスラッジの付着が少なく、付着物が蓄積す
る以前に自然に除去されることが多く、錫メッキした導
体線の錫引き加工を長時間にわたって安定して継続する
ことができる。また、錫やスラッジが付着した場合も、
超硬貴石チップがダイス枠の入口側表面に露出した状態
にあり、錫やスラッジとダイス枠の付着性が小さいの
で、極めて容易に除去することができ、錫やスラッジの
除去の際にガイドダイスを傷つけることがない。
ガイドダイスの入口側表面6に錫非付着性物質7のコー
ティングを施す。必要に応じて、あるいは加工上の都合
からダイス枠の側面8、さらに、ダイス枠の底面9や出
口通路内面10に錫非付着性物質のコーティングを施す
ことも可能である。コーティングする錫非付着性物質に
特に制限はなく、導体線に伴われる錫又はスラッジとの
親和性が低く、錫又はスラッジが付着しにくいものを選
択して使用することができる。このような錫非付着性物
質としては、窒化チタン及び炭化チタンなどのようなチ
タン化合物並びにアルミナ、窒化ケイ素又はムライトな
どのようなセラミックスを使用することができる。窒化
チタンは、金属チタンを窒素気流中で加熱し、あるいは
酸化チタンと炭素の混合物を窒素気流中で強熱すること
により得ることができ、極めて硬く、耐熱性に優れた材
料である。炭化チタンは、金属チタンと糖炭を混合して
加熱し、あるいは酸化チタンと炭素の混合物を強熱する
ことにより得ることができ、極めて硬く、耐酸性に優れ
た材料である。本発明において、錫非付着性物質をコー
ティングする方法には特に制限はなく、例えば、熱CV
D法、プラズマCVD法、燃焼炎法などのCVD法や、
イオンプレーティング法、レーザPVD法、スパッタリ
ング法、真空蒸着法などのPVD法などを使用すること
ができる。CVD法によるコーティングは密着性に優
れ、PVD法によるコーティングは処理温度が低いので
超硬貴石チップへの影響が少なく、成長速度が比較的速
い。チタン化合物のコーティング層の厚さは0.1〜1
0μmであることが好ましく、1〜5μmであることが
さらに好ましい。セラミックスのコーティング層の厚さ
は100〜300μmであることが好ましく、150〜
250μmであることがさらに好ましい。本発明の錫引
きガイドダイスにおいては、内層に炭化チタンなどのチ
タン化合物をコーティングし、外層にアルミナのような
セラミックスをコーティングした多層コーティングとす
ることができる。このような多層コーティングとするこ
とにより、コーティングの密着性と耐酸性を向上するこ
とができる。本発明の錫引きガイドダイスにおいては、
入口側表面に錫非付着性物質のコーティングを施してい
るので、錫やスラッジの付着が少なく、付着物が蓄積す
る以前に自然に除去されることが多く、錫メッキした導
体線の錫引き加工を長時間にわたって安定して継続する
ことができる。また、錫やスラッジが付着した場合も、
超硬貴石チップがダイス枠の入口側表面に露出した状態
にあり、錫やスラッジとダイス枠の付着性が小さいの
で、極めて容易に除去することができ、錫やスラッジの
除去の際にガイドダイスを傷つけることがない。
【0007】本発明の錫引きガイドダイスの形状は、処
理する導体線の太さ及び錫メッキの厚さや処理速度など
に応じて任意に選定することができる。超硬貴石チップ
の中央に円形筒状通路があり、この円形筒状通路は通路
中央に直径が最も小さい隘路部があり、両側よりその隘
路部に至るテーパーつきの通路となっている。隘路部に
至る通路のテーパーの角度は、60〜120度であるこ
とが好ましく、70〜90度であることがより好まし
い。テーパーの角度が60度未満であると、作業効率が
低下し、テーパーの角度が120度を超えると、導体線
の仕上げ表面の外観が悪くなるおそれがある。超硬貴石
チップの出口側の通路は、ほぼ同じテーパー角度を有す
るダイス枠の出口通路と円滑に連続している。本発明の
錫引きガイドダイスによれば、錫メッキ作業中の目詰ま
りによる導体線の振動や、導体線の断線が少なくなり、
また、錫及びスラッジなどの付着が少なくなることによ
り、作業効率が向上する。従来は、ガイドダイスの内部
はほとんど傷んでいないにもかかわらず、錫又はスラッ
ジの除去作業中にガイドダイスを傷つけ、使用不能にな
る場合も少なくなかったが、錫及びスラッジの付着が減
少し、付着した場合もその除去が容易になったことか
ら、錫引きガイドダイスの長寿命化につながる。
理する導体線の太さ及び錫メッキの厚さや処理速度など
に応じて任意に選定することができる。超硬貴石チップ
の中央に円形筒状通路があり、この円形筒状通路は通路
中央に直径が最も小さい隘路部があり、両側よりその隘
路部に至るテーパーつきの通路となっている。隘路部に
至る通路のテーパーの角度は、60〜120度であるこ
とが好ましく、70〜90度であることがより好まし
い。テーパーの角度が60度未満であると、作業効率が
低下し、テーパーの角度が120度を超えると、導体線
の仕上げ表面の外観が悪くなるおそれがある。超硬貴石
チップの出口側の通路は、ほぼ同じテーパー角度を有す
るダイス枠の出口通路と円滑に連続している。本発明の
錫引きガイドダイスによれば、錫メッキ作業中の目詰ま
りによる導体線の振動や、導体線の断線が少なくなり、
また、錫及びスラッジなどの付着が少なくなることによ
り、作業効率が向上する。従来は、ガイドダイスの内部
はほとんど傷んでいないにもかかわらず、錫又はスラッ
ジの除去作業中にガイドダイスを傷つけ、使用不能にな
る場合も少なくなかったが、錫及びスラッジの付着が減
少し、付着した場合もその除去が容易になったことか
ら、錫引きガイドダイスの長寿命化につながる。
【0008】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 天然ダイヤモンドに、隘路部の直径0.181mmのガ
イドダイス用の穴加工を行い、金属チタン粉末とともに
焼結し、さらにダイヤ表面が露出するように削り出して
図2に示す形状のガイドダイスを得た。その後、イオン
プレーティング法により、ダイス枠表面に厚さ3μmの
窒化チタンのコーティングを施した後、貴石チップの通
路側表面に付着したコーティング層をワイヤーラッピン
グ法で除去し、図3に示すガイドダイスを得た。この錫
引きガイドダイスを通常の方法で使用したところ、作業
中の断線がなくなり、ガイドダイスへの錫の付着及びス
ラッジなどの不純物の付着は少なかった。また、若干付
着した錫及びスラッジは容易に除去することができた。 実施例2 天然ダイヤモンドに、隘路部の直径0.181mmのガ
イドダイス用の穴加工を行い、金属チタン粉末とともに
焼結し、さらにダイヤ表面が露出するように削り出して
図2に示す形状のガイドダイスを得た。その後、レーザ
PVD法により、ダイス枠表面に厚さ200μmのアル
ミナのコーティングを施した後、貴石チップの通路側表
面に付着したコーティング層をワイヤーラッピング法で
除去し、図3に示すガイドダイスを得た。この錫引きガ
イドダイスを通常の方法で使用したところ、作業中の断
線がなくなり、ガイドダイスへの錫の付着及びスラッジ
などの不純物の付着は少なかった。また、若干付着した
錫及びスラッジは容易に除去することができた。
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 天然ダイヤモンドに、隘路部の直径0.181mmのガ
イドダイス用の穴加工を行い、金属チタン粉末とともに
焼結し、さらにダイヤ表面が露出するように削り出して
図2に示す形状のガイドダイスを得た。その後、イオン
プレーティング法により、ダイス枠表面に厚さ3μmの
窒化チタンのコーティングを施した後、貴石チップの通
路側表面に付着したコーティング層をワイヤーラッピン
グ法で除去し、図3に示すガイドダイスを得た。この錫
引きガイドダイスを通常の方法で使用したところ、作業
中の断線がなくなり、ガイドダイスへの錫の付着及びス
ラッジなどの不純物の付着は少なかった。また、若干付
着した錫及びスラッジは容易に除去することができた。 実施例2 天然ダイヤモンドに、隘路部の直径0.181mmのガ
イドダイス用の穴加工を行い、金属チタン粉末とともに
焼結し、さらにダイヤ表面が露出するように削り出して
図2に示す形状のガイドダイスを得た。その後、レーザ
PVD法により、ダイス枠表面に厚さ200μmのアル
ミナのコーティングを施した後、貴石チップの通路側表
面に付着したコーティング層をワイヤーラッピング法で
除去し、図3に示すガイドダイスを得た。この錫引きガ
イドダイスを通常の方法で使用したところ、作業中の断
線がなくなり、ガイドダイスへの錫の付着及びスラッジ
などの不純物の付着は少なかった。また、若干付着した
錫及びスラッジは容易に除去することができた。
【0009】
【発明の効果】超硬貴石チップを表面に露出させ、また
入口側表面に錫の付着しない物質をコーティングするこ
とにより、使用中の錫又はスラッジなどの不純物の付着
が少なくなり、付着した場合でも自然に除去され、ある
いは、不純物を容易に除去することができる。その結
果、錫メッキ作業の中断が少なくなり、作業効率が向上
する。また、不純物除去のためにガイドダイスを傷つけ
ることがなくなり、錫引きガイドダイスの長寿命化につ
ながる。
入口側表面に錫の付着しない物質をコーティングするこ
とにより、使用中の錫又はスラッジなどの不純物の付着
が少なくなり、付着した場合でも自然に除去され、ある
いは、不純物を容易に除去することができる。その結
果、錫メッキ作業の中断が少なくなり、作業効率が向上
する。また、不純物除去のためにガイドダイスを傷つけ
ることがなくなり、錫引きガイドダイスの長寿命化につ
ながる。
【図1】図1は、従来の錫引きガイドダイスの断面図で
ある。
ある。
【図2】図2は、超硬貴石チップをガイドダイスの入口
部に設けた錫引きガイドダイスの断面図である。
部に設けた錫引きガイドダイスの断面図である。
【図3】図3は、本発明の錫引きガイドダイスの断面図
である。
である。
【図4】図4は、本発明の錫引きガイドダイスの平面図
である。
である。
1 超硬貴石チップ 2 ダイス枠 3 導入口 4 円形筒状通路 5 出口通路 6 入口側表面 7 錫非付着性物質 8 側面 9 底面 10 出口通路内面
Claims (3)
- 【請求項1】超硬貴石チップをダイス枠の入口側表面に
露出した状態で固定し、入口側表面に錫非付着性物質と
してチタン化合物又はセラミックスのコーティングを施
したことを特徴とする錫引きガイドダイス。 - 【請求項2】チタン化合物が、窒化チタン又は炭化チタ
ンである請求項1記載の錫引きガイドダイス。 - 【請求項3】セラミックスが、アルミナ、窒化ケイ素又
はムライトである請求項1記載の錫引きガイドダイス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7135935A JP2782050B2 (ja) | 1995-05-09 | 1995-05-09 | 錫引きガイドダイス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7135935A JP2782050B2 (ja) | 1995-05-09 | 1995-05-09 | 錫引きガイドダイス |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08300033A JPH08300033A (ja) | 1996-11-19 |
JP2782050B2 true JP2782050B2 (ja) | 1998-07-30 |
Family
ID=15163289
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7135935A Expired - Fee Related JP2782050B2 (ja) | 1995-05-09 | 1995-05-09 | 錫引きガイドダイス |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2782050B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4070893B2 (ja) * | 1998-09-22 | 2008-04-02 | 三菱電機株式会社 | 半導体装置の製造方法 |
CN114262858B (zh) * | 2021-12-24 | 2023-02-03 | 江苏富川机电有限公司 | 用于硬铜单线连续生产的高速连续退火镀锡机 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0538516A (ja) * | 1991-08-01 | 1993-02-19 | Osaka Diamond Ind Co Ltd | 絞り用ダイヤモンドダイス |
-
1995
- 1995-05-09 JP JP7135935A patent/JP2782050B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH08300033A (ja) | 1996-11-19 |
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