JPH07109611A - 紡糸用ノズルの表面処理方法 - Google Patents
紡糸用ノズルの表面処理方法Info
- Publication number
- JPH07109611A JPH07109611A JP25451493A JP25451493A JPH07109611A JP H07109611 A JPH07109611 A JP H07109611A JP 25451493 A JP25451493 A JP 25451493A JP 25451493 A JP25451493 A JP 25451493A JP H07109611 A JPH07109611 A JP H07109611A
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- Japan
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- spinning
- nozzle
- spinning nozzle
- hole
- alloy
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- Physical Vapour Deposition (AREA)
- Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 紡糸用ノズルの吐出側表面および紡糸用ノズ
ル孔内面の吐出側面に、溶融樹脂材料で濡れず、耐摩耗
性に優れるTi−N合金を密着性よく且つ迅速に被覆す
る方法を提供する。 【構成】 本発明の紡糸用ノズルの表面処理方法は、紡
糸用ノズルの吐出側表面1aおよび紡糸用ノズル孔3内
面の吐出側面に、アークイオンプレーティングによりT
i−N合金膜2を被覆するものである。
ル孔内面の吐出側面に、溶融樹脂材料で濡れず、耐摩耗
性に優れるTi−N合金を密着性よく且つ迅速に被覆す
る方法を提供する。 【構成】 本発明の紡糸用ノズルの表面処理方法は、紡
糸用ノズルの吐出側表面1aおよび紡糸用ノズル孔3内
面の吐出側面に、アークイオンプレーティングによりT
i−N合金膜2を被覆するものである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステルやナイロ
ン等の溶融樹脂を溶融紡糸する際に使用される紡糸用ノ
ズルの表面処理方法に関するものである。詳細には、紡
糸用ノズル表面や孔内面への樹脂の付着やノズル孔内面
の摩耗を抑制して、糸切れのない良好な紡糸を長期間行
なうことができる様な紡糸用ノズルの表面処理方法に関
するものである。
ン等の溶融樹脂を溶融紡糸する際に使用される紡糸用ノ
ズルの表面処理方法に関するものである。詳細には、紡
糸用ノズル表面や孔内面への樹脂の付着やノズル孔内面
の摩耗を抑制して、糸切れのない良好な紡糸を長期間行
なうことができる様な紡糸用ノズルの表面処理方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルやナイロン等の溶融樹脂を
溶融紡糸する際には、ドリルまたは放電加工により、耐
食性に優れたステンレス鋼等の材料に、複数個のノズル
を円周方向に1列あるいは同心円状に複数列となる様に
穿孔し、ノズル吐出側表面(以下、単にノズル表面とい
う)を鏡面または梨地面に仕上げた紡糸用ノズルが利用
されている。これらの樹脂の溶融紡糸温度は約300℃
であり、紡糸時には該樹脂から低分子量物質が揮発性ガ
スとなって発生する。そのため、この揮発性ガスが紡糸
用ノズル表面に付着固化したり、あるいは紡出された樹
脂が紡糸用ノズル表面やノズル孔内面の吐出側面(以
下、単にノズル孔内面という)に付着すると、ニーリン
グと呼ばれる樹脂糸条の曲がりが発生する。この様なニ
ーリングが原因となり、糸径の斑、紡出糸条の脈動、糸
切れが発生し、長時間に亘る安定した紡糸が不可能とな
る。このため、7〜10日間という短期間で紡糸を停止
して溶着物(上記付着物)を取り除く必要が生じ、操業
効率が低下するという問題がある。さらに別の問題とし
て、溶融樹脂中に含まれるルチルやアルミナによって、
紡糸用ノズル孔内面の縁が摩滅してノズル孔の径や形状
が変化する結果、糸の径や均質性にも悪影響を及ぼす様
になるため、約1年程度で新しいノズルと交換する必要
がある。
溶融紡糸する際には、ドリルまたは放電加工により、耐
食性に優れたステンレス鋼等の材料に、複数個のノズル
を円周方向に1列あるいは同心円状に複数列となる様に
穿孔し、ノズル吐出側表面(以下、単にノズル表面とい
う)を鏡面または梨地面に仕上げた紡糸用ノズルが利用
されている。これらの樹脂の溶融紡糸温度は約300℃
であり、紡糸時には該樹脂から低分子量物質が揮発性ガ
スとなって発生する。そのため、この揮発性ガスが紡糸
用ノズル表面に付着固化したり、あるいは紡出された樹
脂が紡糸用ノズル表面やノズル孔内面の吐出側面(以
下、単にノズル孔内面という)に付着すると、ニーリン
グと呼ばれる樹脂糸条の曲がりが発生する。この様なニ
ーリングが原因となり、糸径の斑、紡出糸条の脈動、糸
切れが発生し、長時間に亘る安定した紡糸が不可能とな
る。このため、7〜10日間という短期間で紡糸を停止
して溶着物(上記付着物)を取り除く必要が生じ、操業
効率が低下するという問題がある。さらに別の問題とし
て、溶融樹脂中に含まれるルチルやアルミナによって、
紡糸用ノズル孔内面の縁が摩滅してノズル孔の径や形状
が変化する結果、糸の径や均質性にも悪影響を及ぼす様
になるため、約1年程度で新しいノズルと交換する必要
がある。
【0003】この様な樹脂の溶着に関する問題を解決す
るために、種々の検討がなされている。例えば、特開昭
53−6613号公報では、紡糸用ノズル表面にガスや
蒸気を吹き付ける方法が提案されている。しかし、この
方法では、ノズル面が冷却されることによって糸径斑の
増大や糸切れが発生し、また紡出糸の細化過程にも悪影
響を及ぼすために十分な効果が得られていない。
るために、種々の検討がなされている。例えば、特開昭
53−6613号公報では、紡糸用ノズル表面にガスや
蒸気を吹き付ける方法が提案されている。しかし、この
方法では、ノズル面が冷却されることによって糸径斑の
増大や糸切れが発生し、また紡出糸の細化過程にも悪影
響を及ぼすために十分な効果が得られていない。
【0004】また、特開平1−282307号公報で
は、紡糸用ノズル表面および孔内面の耐ぬれ性を改善す
ることによって樹脂の耐溶着性が高められることを利用
して、金や白金をノズル表面および孔内面に蒸着する方
法が提案されている。しかし、この様にして形成された
蒸着膜はノズルとの密着性が悪いため紡糸時に剥離が起
こり、紡出糸条中に不純物が混入したり、ノズル孔の摩
耗を助長してしまうという問題がある。
は、紡糸用ノズル表面および孔内面の耐ぬれ性を改善す
ることによって樹脂の耐溶着性が高められることを利用
して、金や白金をノズル表面および孔内面に蒸着する方
法が提案されている。しかし、この様にして形成された
蒸着膜はノズルとの密着性が悪いため紡糸時に剥離が起
こり、紡出糸条中に不純物が混入したり、ノズル孔の摩
耗を助長してしまうという問題がある。
【0005】一方、金属コーティング繊維の溶融紡糸
(繊維表面に溶融金属をコーティングしながら紡糸す
る)に関しては、耐ぬれ性を改善して溶融金属の溶着を
防止するとともに、ノズル孔の耐摩耗性を改善するた
め、溶融金属に接するノズル部分をBN,SiC,Si
3 N4 等のセラミックス焼結体とする方法(特開昭63
−2837号、特開昭63−2838号)が提案されて
いる。しかし、これらのセラミックス焼結体は、従来材
のステンレス鋼に比べて硬度は高いものの、靭性不足に
より割れや欠けが生じてしまい、これらの焼結体により
作製されたノズルは、溶融金属に対しては優れた効果を
示すが、溶融樹脂中にルチルやアルミナが含まれる様な
ポリエステルやナイロン等の溶融樹脂に対してはあまり
効果が見られない。
(繊維表面に溶融金属をコーティングしながら紡糸す
る)に関しては、耐ぬれ性を改善して溶融金属の溶着を
防止するとともに、ノズル孔の耐摩耗性を改善するた
め、溶融金属に接するノズル部分をBN,SiC,Si
3 N4 等のセラミックス焼結体とする方法(特開昭63
−2837号、特開昭63−2838号)が提案されて
いる。しかし、これらのセラミックス焼結体は、従来材
のステンレス鋼に比べて硬度は高いものの、靭性不足に
より割れや欠けが生じてしまい、これらの焼結体により
作製されたノズルは、溶融金属に対しては優れた効果を
示すが、溶融樹脂中にルチルやアルミナが含まれる様な
ポリエステルやナイロン等の溶融樹脂に対してはあまり
効果が見られない。
【0006】さらに、ピッチ系炭素繊維の溶融紡糸にお
いては、紡糸用ノズル表面を溶融ピッチで濡れない材質
とする方法(特開平2−74620号)が開示されてお
り、具体的にはTiN,Al2 O3 ,TiO2 ,SiO
2 ,BN,Si3 N4 ,SiC,TiC等で紡糸用ノズ
ル表面を被覆することが提案されている。一般に、これ
らの材料の被覆には、ホロカソード(HCD)イオンプ
レーティングやスパッタリング法が用いられるが、これ
らの方法では大量処理が困難であり、成膜速度も遅いの
でコスト高になるとともに、紡糸用ノズルとの密着性が
悪いため、紡糸時に上記材料が剥離して紡糸条中に混入
してしまう恐れがある。
いては、紡糸用ノズル表面を溶融ピッチで濡れない材質
とする方法(特開平2−74620号)が開示されてお
り、具体的にはTiN,Al2 O3 ,TiO2 ,SiO
2 ,BN,Si3 N4 ,SiC,TiC等で紡糸用ノズ
ル表面を被覆することが提案されている。一般に、これ
らの材料の被覆には、ホロカソード(HCD)イオンプ
レーティングやスパッタリング法が用いられるが、これ
らの方法では大量処理が困難であり、成膜速度も遅いの
でコスト高になるとともに、紡糸用ノズルとの密着性が
悪いため、紡糸時に上記材料が剥離して紡糸条中に混入
してしまう恐れがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題を
解決するために行われたものであり、その目的は、紡糸
用ノズル表面および紡糸用ノズル孔内面に、樹脂の溶着
およびノズル孔の摩耗を防ぐことができるTiN合金を
密着性良く被覆し、かつ大量処理および高速成膜が可能
な方法を提供することにある。
解決するために行われたものであり、その目的は、紡糸
用ノズル表面および紡糸用ノズル孔内面に、樹脂の溶着
およびノズル孔の摩耗を防ぐことができるTiN合金を
密着性良く被覆し、かつ大量処理および高速成膜が可能
な方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の紡糸用ノズルの
表面処理方法は、紡糸用ノズルの吐出側表面および紡糸
用ノズル孔内面の吐出側面に、アークイオンプレーティ
ングによりTi−N合金膜を被覆することに要旨を有す
るものである。好適な実施態様では、本発明の表面処理
方法は、更に大気中で300℃以上、10時間以上の熱
処理が行われる。これらの方法により被覆されたTi−
N合金の膜厚は、1〜10μmであることが好ましい。
表面処理方法は、紡糸用ノズルの吐出側表面および紡糸
用ノズル孔内面の吐出側面に、アークイオンプレーティ
ングによりTi−N合金膜を被覆することに要旨を有す
るものである。好適な実施態様では、本発明の表面処理
方法は、更に大気中で300℃以上、10時間以上の熱
処理が行われる。これらの方法により被覆されたTi−
N合金の膜厚は、1〜10μmであることが好ましい。
【0009】
【作用】図1に、本発明により作製される紡糸用ノズル
の断面図の一例を示し、以下この図を参照しながら本発
明を詳細に説明する。本発明は、アークイオンプレーテ
ィングにより、紡糸用ノズル表面1aおよび紡糸用ノズ
ル孔3内面の吐出側面をTi−N合金膜2で被覆処理す
る点に特徴を有する。従って、本発明に用いられるTi
−N合金の組成や、紡糸用ノズルの材質については特に
限定されるものではなく、紡糸用ノズルとしてはステン
レス綱、工具鋼、セラミックス焼結体などの材料を使用
することができる。
の断面図の一例を示し、以下この図を参照しながら本発
明を詳細に説明する。本発明は、アークイオンプレーテ
ィングにより、紡糸用ノズル表面1aおよび紡糸用ノズ
ル孔3内面の吐出側面をTi−N合金膜2で被覆処理す
る点に特徴を有する。従って、本発明に用いられるTi
−N合金の組成や、紡糸用ノズルの材質については特に
限定されるものではなく、紡糸用ノズルとしてはステン
レス綱、工具鋼、セラミックス焼結体などの材料を使用
することができる。
【0010】上記アークイオンプレーティングは、被覆
したい物質をカソードとし、被処理材との間でアーク放
電させることにより該カソード物質をイオン化し、バイ
アス電圧により被処理材に吸着させる方法である。この
方法によれば、従来の気相めっきに比べて被処理材に対
する被覆物質の密着性が高められ、かつ大量処理や高速
成膜が可能である等の利点が得られる。
したい物質をカソードとし、被処理材との間でアーク放
電させることにより該カソード物質をイオン化し、バイ
アス電圧により被処理材に吸着させる方法である。この
方法によれば、従来の気相めっきに比べて被処理材に対
する被覆物質の密着性が高められ、かつ大量処理や高速
成膜が可能である等の利点が得られる。
【0011】上記方法により被覆されるTi−N合金膜
2は、溶融樹脂材料で漏れず、かつ耐摩耗性に優れてい
る。従って、紡糸用ノズル表面における汚れや濡れ;ニ
ーリングの発生;並びにノズル孔の摩耗を防ぐことがで
きる。この様な効果をより顕著に得るためには、上記T
i−N合金膜2の膜厚は1〜10μmであることが好ま
しい。
2は、溶融樹脂材料で漏れず、かつ耐摩耗性に優れてい
る。従って、紡糸用ノズル表面における汚れや濡れ;ニ
ーリングの発生;並びにノズル孔の摩耗を防ぐことがで
きる。この様な効果をより顕著に得るためには、上記T
i−N合金膜2の膜厚は1〜10μmであることが好ま
しい。
【0012】本発明の効果は、上記の様な被覆処理を行
うことによって充分発揮されるが、上記被覆処理を行っ
た後、更に約300℃の大気中で10時間以上の熱処理
を行うと、その効果がより顕著になる。
うことによって充分発揮されるが、上記被覆処理を行っ
た後、更に約300℃の大気中で10時間以上の熱処理
を行うと、その効果がより顕著になる。
【0013】以下、実施例を示して本発明を詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術的範囲に包含される。
するが、本発明はこれに限定されるものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術的範囲に包含される。
【0014】
【実施例】本実施例では、図1に示す紡糸用ノズルを用
いた。まず、ステンレス鋼(SUS316)からなる紡
糸用ノズル本体1に、ドリル加工により、ノズル孔の径
0.15mm,ランド3aの長さ0.6mmの紡糸用ノ
ズル孔3を同心円状に3列、合計250ホール穿孔した
後、紡糸用ノズル表面1aおよび紡糸用ノズル孔3内面
の吐出側面に、アークイオンプレーティングによりTi
−N合金膜2を被覆した。該合金膜2の膜厚は、0.
5,1,5,10,15μmと変化させた。各膜厚の合
金で被覆されたノズルを、更に300℃の大気中で、熱
処理時間を2時間,5時間,10時間,40時間と変化
させて熱処理を行った。また従来例として、ホロカソー
ド(HCD)イオンプレーティング、およびスパッタリ
ングにより、膜厚5μmのTi−N合金2を上記と同様
に被覆し、上記に示す種々の熱処理時間で処理した。
いた。まず、ステンレス鋼(SUS316)からなる紡
糸用ノズル本体1に、ドリル加工により、ノズル孔の径
0.15mm,ランド3aの長さ0.6mmの紡糸用ノ
ズル孔3を同心円状に3列、合計250ホール穿孔した
後、紡糸用ノズル表面1aおよび紡糸用ノズル孔3内面
の吐出側面に、アークイオンプレーティングによりTi
−N合金膜2を被覆した。該合金膜2の膜厚は、0.
5,1,5,10,15μmと変化させた。各膜厚の合
金で被覆されたノズルを、更に300℃の大気中で、熱
処理時間を2時間,5時間,10時間,40時間と変化
させて熱処理を行った。また従来例として、ホロカソー
ド(HCD)イオンプレーティング、およびスパッタリ
ングにより、膜厚5μmのTi−N合金2を上記と同様
に被覆し、上記に示す種々の熱処理時間で処理した。
【0015】この様にして作製された各ノズルを用い
て、ポリエチレン溶融樹脂を溶融紡糸し、ポリエチレン
繊維を製造した。すなわち、ポリエチレン溶融樹脂を一
定流量で紡糸用パックに供給し、該紡糸用パックから紡
糸用ノズルに送給した後、紡糸用ノズル孔3より紡糸
し、紡糸された糸を300mm/minの引取速度で巻
き取り、繊維径20μmのポリエチレン繊維を得た。な
お、紡糸用ノズル孔3の温度は300℃にコントロール
し、紡糸時のパック圧力は55kg/cm2 ・Gとし
た。
て、ポリエチレン溶融樹脂を溶融紡糸し、ポリエチレン
繊維を製造した。すなわち、ポリエチレン溶融樹脂を一
定流量で紡糸用パックに供給し、該紡糸用パックから紡
糸用ノズルに送給した後、紡糸用ノズル孔3より紡糸
し、紡糸された糸を300mm/minの引取速度で巻
き取り、繊維径20μmのポリエチレン繊維を得た。な
お、紡糸用ノズル孔3の温度は300℃にコントロール
し、紡糸時のパック圧力は55kg/cm2 ・Gとし
た。
【0016】この時の紡糸用ノズル表面の汚れや濡れの
発生を観察するとともに、糸切れ発生時間および糸切れ
回数を測定した。また、1000時間紡糸後のノズル孔
表面の径を測定し、径の増加の程度によりノズル孔の摩
耗量を調べた。これらの結果を表1〜表3に示す。
発生を観察するとともに、糸切れ発生時間および糸切れ
回数を測定した。また、1000時間紡糸後のノズル孔
表面の径を測定し、径の増加の程度によりノズル孔の摩
耗量を調べた。これらの結果を表1〜表3に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】これらの表から明らかな様に、上記紡糸用
ノズルの中でも、アークイオンプレーティングによりT
i−N合金膜を形成したもの(実施例)は、HCDイオ
ンプレーティングやスパッタリングによりTi−N合金
膜を形成したもの(従来例)に比べて、ノズル表面の汚
れや濡れの発生、糸切れの発生とも小さいことがわか
る。本実施例の中でも特に膜厚が1μm、5μmまたは
10μmであり、かつ熱処理時間が10時間または40
時間で作製された紡糸用ノズルを用いた場合には、この
範囲外のノズルを用いた場合に比べて、紡糸用ノズル表
面の汚れや濡れの発生の程度、並びに糸切れの発生の程
度が小さく、長時間に渡り安定に糸切れのない紡糸を行
うことができるとともに、摩耗によるノズル孔径の増加
も低減されることがわかった。
ノズルの中でも、アークイオンプレーティングによりT
i−N合金膜を形成したもの(実施例)は、HCDイオ
ンプレーティングやスパッタリングによりTi−N合金
膜を形成したもの(従来例)に比べて、ノズル表面の汚
れや濡れの発生、糸切れの発生とも小さいことがわか
る。本実施例の中でも特に膜厚が1μm、5μmまたは
10μmであり、かつ熱処理時間が10時間または40
時間で作製された紡糸用ノズルを用いた場合には、この
範囲外のノズルを用いた場合に比べて、紡糸用ノズル表
面の汚れや濡れの発生の程度、並びに糸切れの発生の程
度が小さく、長時間に渡り安定に糸切れのない紡糸を行
うことができるとともに、摩耗によるノズル孔径の増加
も低減されることがわかった。
【0021】また、これらの表には従来の紡糸用ノズル
を用いた場合の結果については示していないが、本実施
例の紡糸用ノズルを用いた場合は、従来の紡糸用ノズル
に比べても、紡糸用ノズル表面の汚れや濡れ、糸切れ発
生時間や回数、ノズル孔の摩耗のいずれの項目について
もはるかに優れている。
を用いた場合の結果については示していないが、本実施
例の紡糸用ノズルを用いた場合は、従来の紡糸用ノズル
に比べても、紡糸用ノズル表面の汚れや濡れ、糸切れ発
生時間や回数、ノズル孔の摩耗のいずれの項目について
もはるかに優れている。
【0022】
【発明の効果】本発明の方法により、紡糸用ノズル表面
および紡糸用ノズル孔内面に、溶融樹脂材料で濡れず、
かつ耐摩耗性に優れたTi−N合金を、密着性よく被覆
することができる。さらに、この方法によれば大量処理
および高速成膜も可能である。この様にして作製された
紡糸用ノズルは、紡糸時にその表面が長時間汚れること
なく、ニーリングの発生を抑え、長時間安定して糸切れ
のない紡糸を行なうことができる。また、ノズル孔内面
の摩耗も抑制されるので、ノズル交換頻度を少なくする
ことができる。
および紡糸用ノズル孔内面に、溶融樹脂材料で濡れず、
かつ耐摩耗性に優れたTi−N合金を、密着性よく被覆
することができる。さらに、この方法によれば大量処理
および高速成膜も可能である。この様にして作製された
紡糸用ノズルは、紡糸時にその表面が長時間汚れること
なく、ニーリングの発生を抑え、長時間安定して糸切れ
のない紡糸を行なうことができる。また、ノズル孔内面
の摩耗も抑制されるので、ノズル交換頻度を少なくする
ことができる。
【図1】本発明の表面処理方法により作製された紡糸用
ノズルの断面図の一例を示したものである。
ノズルの断面図の一例を示したものである。
1 紡糸用ノズル本体 1a 紡糸用ノズル表面 2 Ti−N合金膜 3 紡糸用ノズル孔 3a ランド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安永 龍哉 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 蔡 政憲 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 河田 和久 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 紡糸用ノズルの吐出側表面および紡糸用
ノズル孔内面の吐出側面に、アークイオンプレーティン
グによりTi−N合金膜を被覆することを特徴とする紡
糸用ノズルの表面処理方法。 - 【請求項2】 更に、大気中で300℃以上、10時間
以上の熱処理が行われる請求項1に記載の表面処理方
法。 - 【請求項3】 前記Ti−N合金膜の膜厚が1〜10μ
mである請求項1または2に記載の表面処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25451493A JPH07109611A (ja) | 1993-10-12 | 1993-10-12 | 紡糸用ノズルの表面処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25451493A JPH07109611A (ja) | 1993-10-12 | 1993-10-12 | 紡糸用ノズルの表面処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07109611A true JPH07109611A (ja) | 1995-04-25 |
Family
ID=17266110
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25451493A Withdrawn JPH07109611A (ja) | 1993-10-12 | 1993-10-12 | 紡糸用ノズルの表面処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07109611A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014001414A (ja) * | 2012-06-15 | 2014-01-09 | Nagoya Industries Promotion Corp | 窒化処理方法及び窒化処理装置 |
CN115434018A (zh) * | 2022-10-21 | 2022-12-06 | 江西嘉盛精密纺织有限公司 | 一种化纤喷丝板用防阻塞装置 |
-
1993
- 1993-10-12 JP JP25451493A patent/JPH07109611A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014001414A (ja) * | 2012-06-15 | 2014-01-09 | Nagoya Industries Promotion Corp | 窒化処理方法及び窒化処理装置 |
CN115434018A (zh) * | 2022-10-21 | 2022-12-06 | 江西嘉盛精密纺织有限公司 | 一种化纤喷丝板用防阻塞装置 |
CN115434018B (zh) * | 2022-10-21 | 2023-10-24 | 江西嘉盛精密纺织有限公司 | 一种化纤喷丝板用防阻塞装置 |
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