JPH073549A - ガイド用部材 - Google Patents

ガイド用部材

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JPH073549A
JPH073549A JP14610593A JP14610593A JPH073549A JP H073549 A JPH073549 A JP H073549A JP 14610593 A JP14610593 A JP 14610593A JP 14610593 A JP14610593 A JP 14610593A JP H073549 A JPH073549 A JP H073549A
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潤 氏田
Takashiro Ootsubo
隆城 大坪
Hiroshi Hamashima
浩 浜島
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Abstract

(57)【要約】 【構成】母材1上にセラミックス被覆層2を形成すると
ともに、その表面の平均凹凸径を2〜20μmとし、か
つ表面粗さ(Ra)を0.2〜2.0μmとしてガイド
用部材を構成する。 【効果】摺動特性及び耐摩耗性に優れた各種ガイドを得
ることができ、特に紡糸機械のガイドにおいて、今後糸
が益々高品質化、ファインデニール化していく中で、求
められる耐久性と摺動特性を満足するガイド用部材を提
供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば紡績機械用糸ガ
イドや釣糸用ガイド、あるいはテープガイド等に用いら
れるガイド用部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、紡績機械用糸ガイドの材質と
しては、アルミナやチタニア等のセラミックス、あるい
は金属材にCrメッキを施したものが用いられてきた
(例えば、特公昭52−48647号公報、特開昭57
−102472号公報等参照)。また、近年では母材上
にセラミックスコーティングを施したガイドも用いられ
るようになった。
【0003】さらに、近年、繊維業界では糸速を大幅に
向上することにより生産性を上げ、コストダウンに対応
している。しかし糸速が速くなるほど糸ガイドは熱を持
ちやすくなるため、熱の影響による糸の品質低下が問題
となる。そこで糸ガイドに要求される特性として特に低
摩擦係数を有することが重要となってきた。
【0004】また、糸業界のもうひとつの流れとして、
糸の極細化による高品質化がある。具体的には従来の絹
や一般衣料用糸が1d(デニール)または1.5〜5.
6dであるのに対して、極細糸(ファインデニール)と
して0.1〜0.001dと糸の直径を1/50〜1/
5000とすることにより高品質化しようとするもので
ある。
【0005】この結果、次の二つの理由により低摩擦係
数を有することが重要となってきた。ひとつは糸が細く
なるために糸とガイド間の摺動特性が糸の品質に大きく
影響するためであり、もうひとつは糸が大幅に細くなる
ことから従来と同じ生産量を維持するために紡糸速度を
大幅に向上する必要があるため、糸と糸ガイド間の摺動
特性が更に厳しくなるためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの糸
ガイドに対する要求特性に対し、従来のセラミックス
材、セラミックスコーティング材とも低摩擦係数という
面で満足できない状況にあった。
【0007】まず、チタニアセラミックスは最も古くよ
り糸ガイドとして用いられており、材質的に比較的軟ら
かいため糸との馴染みがよい反面、摩耗しやすく耐久性
に劣るという欠点を持っていた。そのため、近年は硬度
が高く耐摩耗性に優れるアルミナセラミックスが幅広く
使用されている。しかし、アルミナセラミックスは焼結
体表面の結晶が角張っているため、糸の傷つき防止の為
にバレル研磨等にて加工し、または更にミガキ加工を施
して製品化していた。そのため、摺動面が平坦になりす
ぎて摩擦係数が高くなるという問題があった。
【0008】また、セラミックスコーティング材は、被
覆層が微粒より構成され表面が平坦となるため摩擦係数
が高かった。そのため、糸ガイドとして使用した場合、
低摩擦係数という面で満足する特性が得られず、特に厳
しい摺動特性が要求される場合には使用されなかった。
【0009】一方、Crメッキ材は低摩擦係数を有する
が、耐摩耗性に劣るという欠点を持っており、メッキが
剥がれやすいため長期使用できないという問題があっ
た。
【0010】このように、糸ガイドにおいて、耐久性と
低摩擦係数を共に満足する材料はなかった。
【0011】また、繊維以外の釣糸やテープなどのガイ
ド部材においても、同様に優れた耐摩耗性を維持したま
ま、摩擦係数を低くすることが求められているが、これ
らの要求特性を満たすことは困難であった。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記に鑑みて本発明者等
は、セラミックス被覆層の表面状態を制御することによ
り、摺動特性を向上できることを知見した。即ち、本願
発明によれば、母材上にセラミックス被覆層を形成する
とともに、その表面の平均凹凸径を2〜20μmとし、
かつ表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra)を0.2〜2.
0μmとしたことを特徴とする。
【0013】なお、本発明における平均凹凸径とは、図
1に示すように、母材1上のセラミックス被覆層2の表
面に存在する凹凸形状を、各凹部で区切ったときのそれ
ぞれの凸部の径xの平均値のことを言う。この平均凹凸
径は、通常の平均結晶粒子径の測定と同様に、表面の電
子顕微鏡写真をもとにして測定することができる。
【0014】このように、本発明では、大きな凹凸を持
ったセラミックス被覆層2を形成することが重要であ
る。つまり、従来のセラミックスコーティング材におけ
る被覆層は、極めて小さな結晶のものであるため母材の
凹凸を埋めてしまい、被覆層の表面状態が平坦となるも
のしか得られず、その結果摩擦係数が高かったのであ
る。この点に関し、本発明ではコーティング条件を調整
することにより、セラミックス被覆層2中に丸みを帯び
た大きな結晶を析出させることで、表面が小さな凹凸状
となり、耐摩耗性に優れるとともに優れた摺動特性を得
られるようにしたのである。
【0015】また、セラミックス被覆層2を形成するこ
とにより、丸味を帯びた凹凸形状が得られるため糸等に
ダメージを与えにくくすることができ、しかもセラミッ
クス被覆層2は高純度とできることから、不純物による
悪影響を防止できる。
【0016】そして、本発明のセラミックス被覆層2の
平均凹凸径は、2〜20μmの範囲内であることが必要
である。これは、平均凹凸径が2μmよりも小さいと表
面が滑らかになりすぎて低摩擦特性を示さなくなり、逆
に20μmより大きいと凹凸上面部にフラット形状が現
れることや、表面形状が不均一になりやすく低摩擦特性
を示さなくなるためである。特に、糸ガイドとして低摩
擦係数が要求される部位に使用される場合には、平均凹
凸径5〜10μmの範囲内のものが好ましい。これは、
摺動の際の接触点が少なく、非常に低い摩擦係数を示す
ためである。
【0017】また本発明は、セラミックス被覆層2の表
面粗さ(Ra)を0.2〜2.0μmの範囲とすること
が必要である。これは、表面粗さ(Ra)が0.2μm
よりも小さければ摺動の際の接触点が多くなって低摩擦
特性を示さなくなり、逆に表面粗さ(Ra)が2.0μ
mよりも大きくなれば、摺動の際形状的に引っかかりが
生じて低摩擦特性を示さなくなるためである。
【0018】なお、このようなセラミックス被覆層2を
得るためには、予め母材1の表面粗さ(Ra)を0.2
〜2.0μmの範囲内としておいて、この上に膜厚1.
0〜10μmの範囲内でCVD法やPVD法等の通常の
コーティング方法を用いてセラミックス被覆層2を形成
し、その条件をコントロールすることによって所定の平
均凹凸径、表面粗さとすることができる。例えば、プラ
ズマCVDを行う際の温度を低くすれば、凹凸を大きく
することができる。
【0019】また、本発明において、セラミックス被覆
層2の材質としては、Al2 3 、ZrO2 、Si
2 、TiO2 等の酸化物、SiC、TiC、ZrC、
TaC等の炭化物、Si3 4 、TiN、ZrN、Al
N、TaN等の窒化物、TiB2、ZrB等のホウ化物
のうち一種以上を用いる。また、母材1はアルミナ、ジ
ルコニア、炭化珪素、窒化珪素等のセラミックスや、サ
ーメット、超硬合金、あるいは金属材等を用いるが、高
剛性で熱膨張率が被覆層と一致するように、母材1もセ
ラミックスとすることが好ましい。
【0020】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。
【0021】Al2 3 またはSiCの母材1に、セラ
ミックス被覆層2としてAl2 3またはSiCを3μ
mの厚みでプラズマCVD法により被着した。このと
き、母材の表面粗さや、プラズマCVDの条件を変化さ
せることによって、表1に示すように、セラミックス被
覆層2の平均凹凸径や表面粗さをさまざまに変化させ
た。また、比較例として、従来の金属製母材上にCrメ
ッキを施したものなどを用意した。
【0022】それぞれ、被覆層の平均凹凸径、表面粗
さ、表面のビッカース硬度を測定し、表2に示す条件で
糸を摺動させた時の摩擦係数を測定した。結果は表1に
示す通りである。
【0023】なお、平均凹凸径は、表面の電子顕微鏡写
真上に任意に8cmの直線を3本引き、この線上にある
凸部の数をNとして 平均凹凸径(μm)=80×3÷562÷N により算出した。また表面粗さは、中心線平均粗さRa
(μm)を測定した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】表1より、No.8は従来のCrメッキ材
であり、摩擦係数は低いものの、ビッカース硬度が80
0kg/mm2 と低く耐摩耗性が悪いものであった。ま
た、No.7は従来のセラミックコーティング材である
が、被覆層の凹凸径が2μmよりも小さいために表面が
フラットとなり、摩擦係数が0.31と高かった。な
お、このセラミックコーティング材において、表面の粗
い母材を用いると、均一な表面が得られず摺動部材とし
て適さないものであった。
【0027】また、No.6は被覆層が大きな凹凸を持
っているが、表面粗さが0.1μmと小さく、表面がフ
ラットであるために高い摩擦係数となった。
【0028】これらに対し、No.1〜5に示す本発明
実施例は、表面粗さ0.2〜2.0μmの範囲内で、被
覆層の平均凹凸径が2〜20μmの範囲内であることか
ら、摩擦係数を0.27以下と小さくすることができ
た。特に表面粗さを1.0μm以上、平均凹凸径を5〜
10μmとしたNo.2、3、5の実施例では、摩擦係
数0.22以下と従来のCrメッキ材よりも優れた摩擦
係数であった。また、これらの実施例では、表面に高純
度のAl2 3 またはSiCよりなる被覆層があるた
め、ビッカース硬度が2000〜3000kg/mm2
と高く、優れた耐摩耗性を有することも確認された。
【0029】以上の実施例では、母材および被覆層にA
2 3 、SiCを用いたものを示したが、その他のZ
rO2 、Si3 4 、TiB2 等を用いても全く同様で
ある。さらに、本発明は糸ガイドに限らず、さまざまな
ガイド用部材として適用できることは言うまでもない。
【0030】
【発明の効果】このように本発明によれば、母材上にセ
ラミックス被覆層を形成するとともに、その表面の平均
凹凸径を2〜20μmとし、かつ表面粗さ(Ra)を
0.2〜2.0μmとしてガイド用部材を構成したこと
によって、摺動特性及び耐摩耗性に優れた各種ガイドを
得ることができる。したがって、特に紡糸機械のガイド
において、今後糸が益々高品質化、ファインデニール化
していく中で、求められる耐久性と摺動特性を満足する
ガイド用部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガイド用部材の断面を示す模式図であ
る。
【符号の説明】
1:母材 2:セラミックス被覆層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】母材上にセラミックス被覆層を形成すると
    ともに、該セラミックス被覆層表面の平均凹凸径を2〜
    20μmとし、かつ表面粗さ(Ra)を0.2〜2.0
    μmとしたことを特徴とするガイド用部材。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09143825A (ja) * 1995-11-21 1997-06-03 Toray Ind Inc 糸条の捲縮加工装置
KR20010067620A (ko) * 2001-02-23 2001-07-13 이해덕 플라즈마 용사법을 이용한 연사기용 스핀들 디스크 제조방법
JP2005036377A (ja) * 2003-06-27 2005-02-10 Toray Ind Inc 製糸用糸道部材およびその製造方法ならびにそれを用いた合成繊維の製糸方法
WO2008049825A1 (de) * 2006-10-26 2008-05-02 Oerlikon Textile Gmbh & Co. Kg Vorrichtung zur führung oder behandlung eines multifilen fadens sowie verfahren zur herstellung einer keramikoberfläche
JP2011089237A (ja) * 2009-10-26 2011-05-06 Tmt Machinery Inc 糸条交絡装置
US8435624B2 (en) 2003-10-13 2013-05-07 Imperial College Innovations Limited Wear-resisting surface structure

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