JP4617685B2 - 溶融紡糸装置およびその製造方法ならびにそれを用いた溶融紡糸方法 - Google Patents

溶融紡糸装置およびその製造方法ならびにそれを用いた溶融紡糸方法 Download PDF

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本発明は、熱可塑性ポリマーの溶融紡糸装置およびその製造方法ならびにそれを用いた溶融紡糸方法に関する。さらに詳しくは、溶融紡糸装置を構成する溶融紡糸部材の表面が、耐腐蝕性、耐摩耗性に優れた高硬度の蒸着膜によって形成されている溶融紡糸装置およびその製造方法ならびにそれを用いた溶融紡糸方法に関する。
通常、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸する装置は、エクストルダー、ポリマー管、計量ポンプおよび紡糸パック等の溶融紡糸部材から構成される。エクストルダーとはペレット状の熱可塑性ポリマーを溶融する装置であり、該エクストルダーは一般的にスクリュー、バレル、シリンダー等の溶融紡糸部材から構成されている。そして、該エクストルダーで溶融された熱可塑性ポリマーは加熱、保温されたポリマー管を経て計量ポンプで熱可塑性ポリマーを連続的に計量しながら押出し、紡糸パックに配置される溶融紡糸口金で糸条に形成する。
ところで、溶融紡糸される熱可塑性ポリマーは種々の添加剤を含有している。例えば、ポリエステルには、重合触媒の三酸化アンチモン、耐熱剤のリン化合物および艶消し剤の酸化チタン、ナイロンでは、産業用繊維に用いられている熱酸化防止剤としての銅化合物、艶消し剤の酸化チタン等があり、また両ポリマーとも原着繊維用には顔料が添加されている。また高硬度の金属類である酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、酸化マグネシウム等も顧客の要求から添加する必要がある。
上述の高硬度の金属類をポリマーに添加し、エクストルダーで溶融押出しするとチップ供給部のスクリュー、バレル、シリンダーが著しく摩耗すると云う問題がある。エクストルダーは、チップを投入する供給部と徐々に加熱溶融する溶融圧縮部と溶融したポリマーを計量する計量部に機能分離できるが、チップを供給変動することなく押出すためには供給部でチップを溶融させないことが必要である。そのためにチップ供給部にはジャケット構造をしているバレルを用い、ジャケット内は常に通水され100℃以下になるようコントロールされている。また、チップはスクリューが回転することにより圧縮され粉砕するが、その圧縮率はチップ形状や熱可塑性ポリマー種類等によって異なり、供給部でスポット的に急圧縮し粉砕すると気泡等が溶融ポリマーに溶け込むことなく溶融できることが知られている。このようなことから高硬度の金属類を含む添加材の入る熱可塑性ポリマーを溶融紡糸すると、チップ供給部の急圧縮スポットでスクリュー、バレル、シリンダーが著しく摩耗する。
そこで、シリカなどの硬質の無機フィラーを多量に含む熱硬化性樹脂組成物を混練する際の混練機の各部材の摩耗を防止するために、さまざまな提案がなされている。特許文献1には、被膜硬度(常温HV)600以上の耐摩耗性材料、例えば耐摩耗性鋳鉄鋳造焼入品、工具鋼焼入品、28クロム鋳鉄などでスクリュー部を構成した混練機が提案されている。しかし、これらの材料の内の被膜硬度(常温HV)が600〜800と最も高い耐摩耗性鋳鉄鋳造焼入品を用いても、硬質の無機フィラーであるシリカの被膜硬度(常温HV)700〜1100を含有する樹脂組成物が接するスクリュー、バレル、シリンダーの表面の摩耗が激しく、また鋼材を窒化処理し表面硬化した被膜硬度(常温HV)1100の部材を用いても、この部材の硬化層が薄く、硬化層の摩耗に伴い短期間の内に硬度の低い母材にまで摩耗が進行する。特許文献2には、螺旋溝を形成する部分を取り換え可能なセラミック部品で構成した混練機用スクリューが提案されている。しかし、セラミック素材は本質的に脆く、割れやカケを生じやすい。また、一般的にセラミックは気孔率が悪いことから溶融ポリマーのガスがスクリュー、バレルおよびシリンダー母材にまで到達し、被膜と母材の接触面を腐蝕させ密着力を低下させるなどの問題が多い。特許文献3には、自由曲面にジルコニアセラミック製薄板をスクリュー本体に取り換え可能に貼付けた混練機のスクリューが提案されている。しかし、セラミック製の薄板をスクリューに貼付ける作業は煩雑であり、十分な貼付強度をもたせることも容易ではない。特許文献4には、メッキの施工が困難な螺旋翼の付け根部に耐摩耗材の溶射層を形成したのちに外周面全体に硬質クロムメッキを施した混練機用ロータが提案されている。しかし、部分的な耐摩耗材の溶射では全体としての耐久性に限度があるが、耐腐蝕と云う観点からは改善があった。特許文献5には、スクリュー、バレルが複硼化物系合金をコートし焼結したコート層または、タングステンカーバイドを溶射してなるコート層を施した混練機用ロータが提案されている。確かに耐摩耗性に優れた複硼化物系合金、タングステンカーバイドを被覆形成させていることから寿命延長は改善された。しかしながら、満足できる程の耐摩耗性は改善されていない。また、タングステンカーバイド溶射の被覆膜厚さが0.1〜1.5mmまたは谷部で0.5〜1.0mmと非常に膜厚さが厚い。スクリュー形状は、3次元的な螺旋形状からなるフライトと谷部が連続的に配置され、また容積およびフライト形状に変化を持たせたものが大半である。そのため、均一な膜厚さを維持しながらコート焼結や溶射は困難である。この膜厚さがフライトの如何なる部分でも一定でなければ被膜加工時の冷却固化スピードが均一にならない。溶融された被膜の冷却固化が同一でなければ最内層と最外層との間に応力歪みが内部応力として顕在化し、運転中の回転変動による負荷等で被膜が層間で剥離やクラックが発生してしまう、また上述したように溶射被膜は、気孔率が高いことから被膜と母材の接触面にガス腐蝕が起きることは解決されていない。またこのような問題はバレルやシリンダーでも同様である。
これらのようにエクストルダーの摩耗は、チップ供給部の急圧縮スポットに於いて著しく摩耗することから問題となる。特に、スクリューが回転運動のみならず、前後運動を伴う装置では、負荷のかかり方が複雑となり、翼の外周部及び先端部を中心に激しく摩耗が進行する。エクストルダーの部材として、耐摩耗性に優れているボロン又はタングステンカーバイドを単独で使用すると、脆く、比重が大きく、回転負荷が増すばかりでなく、回転時スクリューの芯振れが激しく摩耗促進及びチップ供給の不安定化の恐れがある。また、前記するような耐腐蝕性に優れる材質を用いても、その被膜形成方法が溶射等で行われると被膜の膜厚が厚いことから気孔が発生してしまい、溶融時のポリマーのガス腐蝕に侵されてしまい充分な機能を発揮できないと云う問題を抱えている。
特開昭58−55210号公報 特開昭61−241104号公報 特開平2−249621号公報 特開平4−14410号公報 特開平9−85739号公報
本発明は、上述した従来技術に於ける問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものである。
従って、本発明の課題は、熱可塑性ポリマーを溶融紡糸する際、溶融紡糸部材であるスクリュー、バレル、シリンダーに耐腐蝕性、耐摩耗性に優れた高硬度の蒸着膜を施したことで長寿命化が図れる溶融紡糸装置およびその製造方法ならびにそれを用いた溶融紡糸方法を提供することにある。
上記の課題を解決する本発明の溶融紡糸装置は熱可塑性ポリマーを溶融紡糸する装置であって、該装置を構成する溶融紡糸部材であるスクリュー、バレル、シリンダーの熱可塑性ポリマーと接触する表面の少なくとも一部がFHC(フローリックハードコート)、CFC(フッ化カーボンコート)、TiBN(窒化チタン硼素)、CrBN(窒化クロム硼素)、SiBN(窒化シリコン硼素)から選ばれた少なくとも1種からなる蒸着膜で形成されており、該蒸着膜の蒸着膜硬度(常温HV)が1500〜6000であることを特徴とする。
そして、本発明の溶融紡糸装置は次の(1)が好ましい態様として挙げられる。
(1)前記蒸着膜の膜厚が0.5〜15μmであること
また、本発明の溶融紡糸装置の製造方法は有機ガスを原料とする蒸着膜を蒸着する前記溶融紡糸部材の製造方法に於いて、該溶融紡糸装置を構成するエクストルーダーのスクリュー、バレル、シリンダーの少なくとも一部に、真空下で基材の加速電圧を−100〜−3kVの範囲にコントロールするとともに、CF系ガスまたはCF系ガスとCH系ガスの有機ガス成分をイオン化し、FHC(フローリックハードコート)、CFC(フッ化カーボンコート)から選ばれるいずれか一種である蒸着膜を形成することを特徴とする。
なお、次の(2)が好ましい態様として挙げられる。
2)前記FHC(フローリックハードコート)もしくはCFC(フッ化カーボンコート)のフッ素添加量が2%以上であること。
さらにもう一つの溶融紡糸装置の製造方法は、金属を原料とする蒸着膜を蒸着する溶融紡糸装置の製造方法に於いて、溶融紡糸装置を構成するエクストルーダーのスクリュー、バレル、シリンダーの少なくとも一部に真空下で基材の加速電圧を−50〜−2kVの範囲にコントロールするとともに、B(硼素)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Si(シリコン)から選ばれた少なくとも一種の金属成分をイオン化し、さらに窒素置換して、TiBN(窒化チタン硼素)、CrBN(窒化クロム硼素)、SiBN(窒化シリコン硼素)から選ばれた少なくとも1種からなる蒸着膜を形成することを特徴とする。なお、次の(3)が好ましい態様として挙げられる。
)前記B(硼素)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Si(シリコン)の不純物含有率が0.01%以下であること
また、本発明の溶融紡糸方法は熱可塑性ポリマーの溶融紡糸方法であって、前記の溶融紡糸装置を用いて溶融紡糸するか、前記溶融防止装置の製造方法により溶融紡糸装置を製造し、これを用いて溶融紡糸することを特徴とする。
本発明は、溶融紡糸装置の溶融紡糸部材であるスクリュー、バレル、シリンダーを高硬度の蒸着膜で被形成させることで、高硬度の金属類を含有した添加材からなる熱可塑性ポリマーを溶融紡糸しても、チップ供給部の急圧縮スポットでのスクリュー、バレル、シリンダーの摩耗進行を防止するものであり、また溶融ポリマーから発生するガスによる溶融紡糸部材の腐蝕防止である。
本発明に於ける熱可塑性ポリマーは、溶融紡糸可能な熱可塑性ポリマーであれば特に限定されないが、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル等、溶融紡糸可能な熱可塑性ポリマーであり、また、上記ポリマーを主成分とする共重合ポリマー、および上記2種以上のポリマーのブレンドまたは複合して用いられるポリマー等である。
本発明の熱可塑性ポリマーを溶融紡糸する装置は一般的な溶融紡糸装置と同じく、エクストルーダー、ポリマー管、計量ポンプおよび紡糸パック等から構成される。本発明の溶融紡糸装置は、エクストルーダーを構成している溶融紡糸部材であるスクリュー、バレル、シリンダーの熱可塑性ポリマーと接触する表面の少なくとも一部が蒸着膜で形成されており、該蒸着膜の蒸着膜硬度(常温HV)が1500〜6000であることを特徴とする。
また、熱可塑性ポリマーと接触する表面の少なくとも一部が蒸着膜で形成されているとは、溶融紡糸装置を構成する溶融紡糸部材、即ちスクリュー、バレル、シリンダー(摩耗の著しいチップ供給部を含む)の、未溶融もしくは溶融した熱可塑性ポリマーと接する部分(ポリマー接触表面)の一部または全部が蒸着膜で被覆形成されていることを云う。即ち、図1に於ける太線部分の少なくとも一部が蒸着膜形成されていればよい。なかでも、スクリュー、バレルおよびシリンダーそれぞれの熱可塑性ポリマー接触表面全てが蒸着膜で形成されていることが最も好ましい。なお、本発明の効果を損なわない限り、上記部分以外の部分が蒸着膜形成されていたとしてもかまわない。
次に、本発明にかかる蒸着膜の重要な特性は、非常に薄膜でありながら該蒸着膜は高硬度であると云うことが重要である。該蒸着膜の硬さは、蒸着膜硬度(常温HV)が1500〜6000である。好ましくは2000〜6000である。2000未満では、例えばエクストルダーでは、チップ供給部のスクリュー、バレル、シリンダーがチップの急圧縮により著しく摩耗し特に、酸化チタン、酸化マグネシウム、カーボンブラック、およびベンガラ等の無機の添加剤が含まれている場合に摩耗が顕著に起こる。なお、蒸着膜硬度は主に蒸着の製膜成分の種類で決定される。したがって、捲縮付与装置の蒸着膜形成部分の蒸着膜硬度を1500〜6000の範囲にするには、これに合った製膜成分の種類を選定することが重要である。
次に、本発明にかかる蒸着膜の厚みは好ましくは0.5〜15μm、さらに好ましくは1〜10μmである。0.5μm未満の厚みの蒸着は現時点では実用化が困難である。また打撲等機械的に損傷を受けたり、腐蝕に対する耐久性も不十分である。一方、10μmを越える厚みは、既に効果が飽和しており、蒸着コストが高くなるため、経済的効果の点からみれば不要である。
本発明の溶融紡糸装置の溶融紡糸部材であるスクリュー、バレル、シリンダーの蒸着膜の表面の特性は上記の通りであるが、具体的な蒸着膜成分および蒸着方法等は以下の通りである。
熱可塑性ポリマーと接触する溶融紡糸部材であるスクリュー、バレル、シリンダーを構成する基材は金属であれば特に限定されないが、好ましくは従来から用いられたステンレススチール、ステライト、SKD、SKH、SCM、ボロン等の金属である。そして、該溶融紡糸部材に蒸着形成させる蒸着膜の成分はフロン系、フッ素系化合物のFHC(フローリックハードコート)、CFC(フッ化カーボンコート)、硼素系のTiBN(窒化チタン硼素)、CrBN(窒化クロム硼素)、SiBN(窒化珪素硼素)、から選ばれた金属加工物類およびセラミック化合物類である。これらの蒸着膜は、熱可塑性ポリマーと酸やアルカリ水溶液などの耐腐蝕性に優れている。
本発明の溶融紡糸装置の溶融紡糸部材への蒸着は、PVD法(Phisical Vapor Deposition Process:物理的気相蒸着)またはCVD法(Chemical Vapor Deposision Process:化学的気相蒸着)のいずれかの方法によって行うことができる。しかしながら、PVD法(物理的気相蒸着)の方がCVD法に比べ蒸着時の処理温度が低いため、本発明の溶融紡糸装置の溶融紡糸部材に蒸着する方法としては好ましい。しかし、CVD法の中でもP−CVD法(プラズマCVD)に於いてはPVD法と同等の低温環境下での蒸着が可能であるので、PVD法同様に好ましい処理方法として用いられる。
本発明の溶融紡糸装置の溶融紡糸部材に蒸着膜を形成する具体的な方法は、例えば以下の通りである。まず、蒸着に先立つ金属基材の前処理として、金属基材の表面に蒸着膜を形成し易くするために基材の洗浄を行う。基材の洗浄にはエタノール、シンナー等の溶剤を用い、その後に水中で超音波洗浄して細孔部等に入り込んでいる異物を除去する。さらに仕上げ洗浄水には純水や整水を用いる。
上記前処理を適正に実施すれば、蒸着膜の密着力を損なうようなことはないが、さらに好ましい基材洗浄方法としてイオンクリーニングを行うと良い。真空炉を用い、炉内の真空度を10-2〜10-7Torrまで真空引きし、イオン源となるイオンガンや高周波(RF)またはDC電圧で基材や電極に印加し、その後アルゴンガス(Ar)を導入しプラズマを発生させる。アルゴンイオン(Ar)を基材に電位差で衝突させ、その衝突エネルギーで基材表面の酸化膜や付着物を除去する。
次に、蒸着加工時に使用する真空炉内も充分に清掃する。以前に蒸着処理した金属や金属酸化物が真空炉内に付着していると、蒸着時にベーパー化し不純成分として基材に蒸着されてしまうからである。それを防止するため真空炉内面に薄い金属板を張り付け蒸着後に取り替えるか、または真空炉内面に離型剤をコーティングして酸化物の付着防止等を行うなど清掃することが必要である。複雑形状でマスキング等ができない箇所にはサンドブラストでショットし物理的衝撃で前回の膜を除去する方法もある。
また、真空炉を真空引きする条件、即ち真空度に応じて真空ポンプタイプを選定しなければならない。真空度が高真空(10-1Torr以上)の環境下で用いる際は、油回転ポンプなのどの潤滑オイルが真空により炉内に逆流しないようにターボ分子ポンプやクライオポンプを用いるとよい。ポンプの整備状態もコーティングの品質に対しては極めて大きなウエイトを持つので充分に整備する必要がある。
本発明の溶融紡糸の溶融紡糸部材に形成する蒸着法について、PVD法およびCVD法について以下に詳述する。
(1)PVD法:主な装置としてイオン化蒸着装置、イオンプレーティング蒸着装置、スパッタリング装置、アークイオンプレーティング装置等を用いる。蒸着させたい金属基材に真空環境下でプラス電荷を帯びた原子をイオン状態にして、これを強い電位のエネルギーを利用してマイナス電圧を金属基材に印加し金属基材表面に高速でイオンを引き寄せ蒸着コーティングさせる。
PVD法で用いる装置は、真空炉によって真空環境下で処理を行うものであり、その真空度は一旦10-5〜10-7Torrに到達させて、Ti、窒素ガス、炭化水素系ガス(アセチレンガス)等の反応ガスもしくはキャリアガスとしてアルゴンガス等のガスを導入し、最終的には10-2〜10-4Torrで処理する。処理温度は100〜400℃、好ましくは100〜280℃である。この温度範囲で処理することにより、蒸着膜の機械的特性の劣化、熱変形、あるいは金属基材の複雑な形状部への応力集中による亀裂、破損などを防ぐことができる。また蒸着処理時間は蒸着の厚みにもよって変化させるが、通常は1〜5時間である。
(2)CVD法:PVD法と同じく真空炉を用い、例えば、熱CVD装置または直流プラズマCVD装置、高周波プラズマCVD装置などが用いられる。蒸着させたい金属基材に常圧、減圧容器内で高温に加熱し金属基材に原料ガスを接触させて化学反応によって金属基材表面に蒸着コーティングさせる方法である。この時の真空度は、先ず1〜10-5Torrに到達させた後、反応ガスを導入し最終的には常圧〜10-3Torrで処理する。熱プラズマ装置での処理温度は500〜1200℃、好ましくは500〜600℃である。また、直流プラズマCVD装置、高周波プラズマCVD装置での処理温度は100〜400℃であり、PVD装置と同等の低温成膜が可能である。蒸着処理時間は蒸着膜の厚みにもよって変化させるが、通常は1〜5時間である。
熱CVD装置は高温環境下で成膜処理するため機械的特性の劣化、熱歪みによる変形、複雑な形状の場合は応力集中による亀裂、破損等が起こり易い。従って、比較的簡単な形状、あまり精度を要求しない用途に使われる方法である。次に溶融紡糸の溶融紡糸部材の蒸着膜として7つの例について、その蒸着膜の製造方法を以下に示すが、本発明で用いるのはFHC(フローリックハードコート)、CFC(フッ化カーボンコート)、TiBN(窒化チタン硼素)、CrBN(窒化クロム硼素)、SiBN(窒化シリコン硼素)から選ばれた少なくとも1種からなる蒸着膜である
(1)FHC(フローリックハードコート):PVD法のイオンプレーティング装置で成膜処理する。真空炉の回転テーブルに溶融紡糸部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きし真空度を10-3〜10-6Torrにし、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10-2〜10-3Torrに制御しイオンクリーニングする。CF系ガス(CF4またはC38)を導入ノズルより真空炉内に導入する。熱フィラメントで電圧もしくは高周波をかけることでプラズマを発生させCF系ガスをイオン化する。活発に運動する熱電子に正の電圧をかけることで陽イオンとなった蒸発粒子は、直流の負電圧にバイアスされた溶融紡糸部材に向かって加速し衝突する。溶融紡糸部材表面に到達した蒸発粒子は急速に冷却されて固化し成膜する。また、処理時の真空炉の温度は100〜400℃、好ましくは100〜250℃で処理する。
(2)CFC(フッ化カーボンコート):CVD法のP−CVD装置で成膜処理する。真空炉の回転テーブルに溶融紡糸部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きし真空度を10-3〜10-6Torrにして、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10-2〜10-3Torrに制御しイオンクリーニングする。CF系ガス(CF4またはC38)とCH系ガス(C66、C22またはCH4)を導入ノズルより真空炉内に導入する。溶融紡糸部材に13.56MHzまたは27.12MHzの高周波もしくはDC電圧を印加し、あるいは、電極に高周波を印可し、さらに溶融紡糸部材にDC電圧を印可し溶融紡糸部材の周辺にプラズマを発生させCFガスとCH系ガスをイオン化する。CFガスとCH系ガスは直流の負電圧にバイアスされた溶融紡糸部材に向かって電界加速され直進する。溶融紡糸部材表面に到達した蒸発粒子は急速に冷却されて固化し成膜する。また、処理時の真空炉の温度は100〜400℃、好ましくは100〜250℃で処理する。
(3)DLC(ダイヤモンドライクカーボン):PVD法のイオンプレーティング装置で成膜処理する方法とCVD法のP−CVD装置で成膜する方法がある。まず該PVD法のイオンプレーティング装置で成膜処理する。真空炉の回転テーブルに溶融紡糸部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きし真空度を10-3〜10-6Torrにし、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10-2〜10-3Torrに制御しイオンクリーニングする。CH系ガス(C66、C22またはCH4)を導入ノズルより真空炉内に導入する。熱フィラメントで電圧もしくは高周波をかけることでプラズマを発生させCH系ガスをイオン化する。活発に運動する熱電子に正の電圧をかけることで陽イオンとなった蒸発粒子は、直流の負電圧にバイアスされた溶融紡糸部材に向かって加速し衝突する。溶融紡糸部材表面に到達した蒸発粒子は急速に冷却されて固化し成膜する。また、処理時の真空炉の温度は100〜400℃、好ましくは100〜250℃で処理する。 次にCVD法のP−CVD装置で成膜する方法では、真空炉の回転テーブルに溶融紡糸部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きし真空度を10-3〜10-6Torrにして、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10-2〜10-3Torrに制御しイオンクリーニングする。CH系ガス(C66、C22またはCH4)を導入ノズルより真空炉内に導入する。溶融紡糸部材に13.56MHzまたは27.12MHzの高周波もしくはDC電圧を印加し、あるいは、電極に高周波を印可し、さらに溶融紡糸部材にDC電圧を印可し溶融紡糸部材の周辺にプラズマを発生させる。CFガスとCH系ガスは直流の負電圧にバイアスされた溶融紡糸部材に向かって電界加速され直進する。溶融紡糸部材表面に到達した蒸発粒子は急速に冷却されて固化し成膜する。また、処理時の真空炉の温度は100〜400℃、好ましくは100〜250℃で処理する。
(4)TiBN(窒化チタン硼素):PVD法のアークイオンプレーティング蒸着装置(AIP)またはスパッタリング蒸着装置で成膜処理する。真空炉の回転テーブルに溶融紡糸部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きし真空度を10-3〜10-6Torrにし、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10-2〜10-3Torrに制御しイオンクリーニングする。電極に電圧を加えるとグロー放電が起き、スパッタガスにはアルゴン(Ar)を用い、硼素(B)と窒化チタン(TiN)の金属をターゲットを用いるか、TiB(チタン硼素)またはTiBN(窒化チタン硼素)の金属ターゲットを用いる。前記金属ターゲット表面をプラズマが激しくスパッタすることで金属ターゲットの原子をはじき出し蒸着粒子がイオンとなる。そこに窒素ガスを導入する。真空炉の温度は200〜400℃、好ましくは200〜250℃で処理する。これを強い電位のエネルギーを利用してマイナス電荷を溶融紡糸部材に流し金属基材表面に高速で原子を引き寄せ溶融紡糸部材表面に成膜する。
(5)CrBN(窒化クロム硼素):PVD法のアークイオンプレーティング蒸着装置(AIP)またはスパッタリング蒸着装置で成膜処理する。真空炉の回転テーブルに溶融紡糸部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きし真空度を10-3〜10-6Torrにし、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10-2〜10-3Torrに制御しイオンクリーニングする。電極に電圧を加えるとグロー放電が起き、スパッタガスにはアルゴン(Ar)を用い、硼素(B)と窒化クロム(CrN)の金属をターゲットを用いるか、CrB(クロム硼素)またはCrBN(窒化チタン硼素)の金属ターゲットを用いる。もしくは硼素(B)とクロム(Cr)ターゲットを用いる前記金属ターゲット表面をプラズマが激しくスパッタすることで金属ターゲットの原子をはじき出し蒸着粒子がイオンとなる。そこに窒素ガスを導入する。真空炉の温度は200〜400℃、好ましくは200〜250℃で処理する。これを強い電位のエネルギーを利用してマイナス電荷を溶融紡糸部材に流し金属基材表面に高速で原子を引き寄せ溶融紡糸部材表面に成膜する。
(6)SiBN(窒化シリコン硼素):PVD法のアークイオンプレーティング蒸着装置(AIP)またはスパッタリング蒸着装置で成膜処理する。真空炉の回転テーブルに溶融紡糸部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きし真空度を10-3〜10-6Torrにし、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10-2〜10-3Torrに制御しイオンクリーニングする。電極に電圧を加えるとグロー放電が起き、スパッタガスにはアルゴン(Ar)を用い、硼素(B)と窒化シリコン(SiN)の金属をターゲットを用いるか、SiB(クロム硼素)またはSiBN(窒化シリコン硼素)の金属ターゲットを用いる。もしくは硼素(B)とシリコン(Si)ターゲットを用いる前記金属ターゲット表面をプラズマが激しくスパッタすることで金属ターゲットの原子をはじき出し蒸着粒子がイオンとなる。そこに窒素ガスを導入する。真空炉の温度は200〜400℃、好ましくは200〜250℃で処理する。これを強い電位のエネルギーを利用してマイナス電荷を溶融紡糸部材に流し金属基材表面に高速で原子を引き寄せ溶融紡糸部材表面に成膜する。
(7)CrN(窒化クロム):PVD法のアークイオンプレーティング蒸着装置で成膜処理する。真空炉の真空度を10-6〜10-7Torrにし、そこに窒素ガスを導入する。真空炉の温度は200〜400℃、好ましくは200〜250℃で処理する。真空炉内のセンターにクロムを配置しアーク電源にてCrを局部的に溶融する。溶融されたクロムは真空環境下でベーパー化し、プラス電荷を帯びたクロム原子をイオン状態にして、これを強い電位のエネルギーを利用してマイナス電荷を溶融紡糸部材に流し金属基材表面に高速で原子を引き寄せ溶融紡糸部材表面に成膜する。
本発明の溶融紡糸方法は、本発明の溶融紡糸装置を構成する溶融紡糸部材であるエクストルーダーのスクリュー、バレル、シリンダーを用いることを特徴とする。
本発明の溶融紡糸方法に於ける紡糸温度は、220〜400℃である。紡糸温度はポリマーの融点より数十℃高い温度に設定されるため、通常300℃程度の高温であるが、ポリイミド、ポリエーテルケトンおよびポリエーテルニトリル等は320℃以上のより高温で紡糸される。従って溶融紡糸装置の溶融ポリマーが接触する溶融紡糸部材の表面は、高硬度の蒸着膜で形成されることから耐摩耗性に優れまた、高温下に長期間曝されても耐腐蝕性を保持でき、耐熱性を有することが必要であるが、本発明の上記蒸着膜を形成した溶融紡糸装置は充分な耐腐蝕性と耐熱性を兼備している。
また、溶融紡糸部材の溶融ポリマーが接触するスクリュー、バレル、シリンダーは紡糸が終った後、または何回か繰り返し紡糸を行った後、該溶融紡糸部材内に残る溶融ポリマー、溶融ポリマーの熱分解物および金属熱分解物や溶融紡糸部材内の堆積物を除去するため、洗浄再生する。洗浄再生方法は、通常紡糸後すぐに熱硬化性樹脂等をチップ供給口より供給し、スクリュー、バレル、シリンダー表面に付着した溶融ポリマー、溶融ポリマーの熱分解物および金属熱分解物や溶融紡糸部材内の堆積物を大まかに除去する。その後物理的にワイヤーブラシ等の回転体によりスクリュー、バレル、シリンダー表面の頑固な付着物を除去していく。また、スクリューは、3次元的な螺旋形状からなるフライトと谷部が連続的に配置され、また容積およびフライト形状に変化を持たせたものが大半であるため、機械装置で洗浄することは困難であることからハンドメイドでスクリューを清掃しなければならない。従って、溶融紡糸装置の溶融ポリマーが接触する溶融紡糸部材の表面は、洗浄再生時の物理的衝撃およびまたは耐摩耗性に対しても安定な材質であって、かつそれらの繰り返しに対する耐久性を有する溶融紡糸部材が求められていたが、本発明の溶融紡糸装置はそれらの要求を満足する。
次に本発明の蒸着処理した溶融紡糸装置を用いた溶融紡糸方法の一例として、ここでは産業用ナイロン66繊維について述べる。
ナイロン66チップをエクストルーダ型紡糸機に供給して溶融し、前記した本発明のスクリュー、バレル、シリンダー表面に耐腐蝕性、耐摩耗性に優れた高硬度の蒸着膜を施した溶融紡糸装置を用い、紡糸温度を280〜310℃とし、紡糸パックには15μmの金属不織布フイルターを用いて濾過したのち、口金孔を通して紡糸する。
紡出糸条は、口金直下に設置された長さ10〜50cmの加熱筒によって囲まれ、270〜350℃に加熱された高温雰囲気中を通過した後、常温の10〜25℃の冷風によって冷却固化される。ついで、糸条は平滑剤、静電剤、界面活性剤を主成分とする油剤を付与されたのち、引き取りロールに捲回され、所定の引き取り速度で引き取られる。引き取り速度は300〜3000m/min、通常は500〜2000m/minである。引取り糸条は一旦巻き取ることなく、順次高速で回転する複数の対ロールに捲回させ、該対ロールの速度差によって延伸する。通常は2段または3段延伸したのち、弛緩処理をして巻き取る。延伸はガラス転移温度以上で熱延伸を行い、最終の延伸および熱セット温度は230〜250℃の高温で行う。延伸倍率は2〜6倍の範囲で行われ、巻き取り速度は2000〜6000m/minある。
本発明の溶融紡糸装置を用いて紡糸することにより、溶融紡糸部材であるエクストルダーのスクリュー、バレル、シリンダーの長寿命化が図れ、糸切れや毛羽等の発生がなく、安定した製糸が可能である。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、以下の実施例に用いた各特性の評価方法を示す。
(1)蒸着膜硬度:蒸着膜形成部分をJIS−B7734のビッカース硬さ試験法で測定した。ビッカース硬さ試験機は(株)明石製作所製”MVK−E”を用いた。
(2)蒸着膜の厚み:(株)小坂研究所製の”Surfcorder”(SE1700)触針走査式粗さ測定器を用いて測定した。テストピースの一部にマスキングして於いて、蒸着真空炉にて蒸着加工を行う。蒸着処理後にテストピースを取り出し、蒸着部とマスキング部との段差を触針走査粗さ測定器で測定した。
(3)耐腐蝕性:溶融紡糸部材と同じ蒸着膜を施したテストピースを常温の5%水酸化ナトリウム水溶液に200時間浸積させた後、取り出して洗浄し、表面の腐蝕状態を観察した。下記のようにランクつけをした。
○○・・・腐蝕(変色)が全くない状態
○・・・・腐蝕(変色)が若干ある状態
△・・・・腐蝕(変色)が部分的にある状態
×・・・・腐蝕(変色)が全面的にある状態
(4)溶融紡糸部材寿命:スクリュー、バレル、シリンダーに施した蒸着膜の摩耗消滅状態を目視で定期的に観察し、一部でも摩耗消滅の部分が発見されるまでの延紡糸日数を算出し溶融紡糸部材の寿命とした。延紡糸日数とは「紡糸日数×紡糸回数」である。なお、従来技術による比較例1の寿命を1として本発明効果を相対的に示した。
(実施例1〜、比較例1)
酢酸銅を銅として67ppm、沃化カリウム0.1重量%および臭化カリウム0.1重量%を含む硫酸相対粘度3.7のナイロン66ポリマーを、溶融温度300℃で溶融紡糸した。紡糸機はエクストルダー型紡糸機を用いて溶融し、溶融紡糸パック中で15μmの金属不織布フィルターを通して濾過した後、溶融紡糸口金の口金孔から紡糸した。
溶融紡糸装置は図1に示す溶融紡糸装置であって、スクリュー、シリンダー、バレルの材質にSCM440を用い、該スクリューの表面および、シリンダー、バレルの内面の全てに表1および表2に示す種々の蒸着膜を施した溶融紡糸装置であり、紡糸口金は外径190φで、口金孔径が0.25φで204ホールの口金を用いた。紡糸口金から紡糸された糸条は、300℃に加熱された高温雰囲気を通過した後、冷風によって冷却固化され、油剤を付与された後、所定の速度で回転する引き取りローラーに捲回して引き取った。該引き取り糸は連続して、順次速度をアップしたネルソン型回転ローラーに捲回して延伸した。引き取りローラーは無加熱、フィードローラーは45℃、1段延伸ローラーは150℃、2段延伸ローラーは230℃として、2段熱延伸をした。熱延伸後の糸条は120℃に加熱した弛緩ローラーとの間で6%の弛緩を与えた後、3600m/minの速度引き取りワインダーで巻き取った。
Figure 0004617685
Figure 0004617685
Figure 0004617685
一方、比較例1は実施例と同様のナイロン66ポリマーを、同条件で溶融紡糸し、製糸したが、従来の溶融紡糸と同様の溶融紡糸装置を用いた。実施例1〜はいずれも表1および表2に示すように目的とする溶融紡糸部材の耐摩耗性および耐腐蝕性が従来技術の比較例1に比べ延長されていることが分かる。
本発明の溶融紡糸装置の一例である。
符号の説明
1:スクリュー
2:バレル
3:シリンダー
4:ポリマー管
5:計量ポンプ
6:紡糸パック
7:熱可塑性ポリマー供給口
8:冷却水出入り口

Claims (7)

  1. 熱可塑性ポリマーを溶融紡糸する装置であって、該装置を構成する溶融紡糸部材であるエクストルーダーのスクリュー、バレル、シリンダーの熱可塑性ポリマーと接触する表面の少なくとも一部がFHC(フローリックハードコート)、CFC(フッ化カーボンコート)、TiBN(窒化チタン硼素)、CrBN(窒化クロム硼素)、SiBN(窒化シリコン硼素)から選ばれた少なくとも1種からなる蒸着膜で形成されており、該蒸着膜の蒸着膜硬度(常温HV)が1500〜6000であることを特徴とする溶融紡糸装置。
  2. 前記蒸着膜の膜厚が0.5〜15μmであることを特徴とする請求項1の溶融紡糸装置。
  3. 有機ガスを原料とする蒸着膜を蒸着する溶融紡糸装置の製造方法に於いて、該溶融紡糸装置を構成するエクストルーダーのスクリュー、バレル、シリンダーの少なくとも一部に、真空下で基材の加速電圧を−100〜−3kVの範囲にコントロールするとともに、CF系ガスまたはCF系ガスとCH系ガスの有機ガス成分をイオン化し、FHC(フローリックハードコート)、CFC(フッ化カーボンコート)から選ばれるいずれか一種である蒸着膜を形成することを特徴とする溶融紡糸装置の製造方法。
  4. 前記FHC(フローリックハードコート)もしくはCFC(フッ化カーボンコート)のフッ素添加量が2%以上であることを特徴とする請求項記載の溶融紡糸装置の製造方法。
  5. 金属を原料とする蒸着膜を蒸着する溶融紡糸装置の製造方法に於いて、溶融紡糸装置を構成するエクストルーダーのスクリュー、バレル、シリンダーの少なくとも一部に真空下で基材の加速電圧を−50〜−2kVの範囲にコントロールするとともに、B(硼素)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Si(シリコン)から選ばれた少なくとも一種の金属成分をイオン化し、さらに窒素置換して、TiBN(窒化チタン硼素)、CrBN(窒化クロム硼素)、SiBN(窒化シリコン硼素)から選ばれた少なくとも1種からなる蒸着膜を形成することを特徴とする溶融紡糸装置の製造方法。
  6. 前記B(硼素)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Si(シリコン)の不純物含有率が0.01%以下であることを特徴とする請求項記載の溶融紡糸装置の製造方法。
  7. 熱可塑性ポリマーの溶融紡糸方法であって、前記請求項1〜のいずれか1項に記載の溶融紡糸装置を用いて溶融紡糸するか、前記請求項3〜6のいずれか記載の溶融防止装置の製造方法により溶融紡糸装置を製造し、これを用いて溶融紡糸することを特徴とする溶融紡糸方法。
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