JP4734860B2 - 製糸用糸道部材およびその製造方法ならびにそれを用いた合成繊維の製糸方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題とするものである。 従って本発明の課題は合成繊維を製造する際、製糸用糸道部材であるガイドローラー、糸道規制ガイド、または糸条交絡付与エアーガイド等に汚れなどの離型性に優れ、耐腐蝕性、耐摩耗性に優れた高硬度の蒸着膜を施したことで、製糸糸道部品が長期間使用可能になり、また、糸条との摩擦抵抗が優れており、糸条へのダメージが少なくなるため糸切れや毛羽を発生を減少させ、長期に亘る操業運転が可能になる等、著しい効果をあげる製糸用糸道部材およびその製造方法ならびにそれを用いた合成繊維の製糸方法を提供することである。
(1)前記蒸着膜表面と水との接触角が65〜115゜であること。
(2)前記蒸着膜表面の糸との摩擦抵抗値が40〜70gfであること。
(3)前記蒸着膜の膜厚が0.5〜20μmであること。
(4)前記蒸着膜がFHC(フローリックハードコート)、CFC(フッ化カーボンコート)、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、TiBN(窒化チタン硼素)、CrBN(窒化クロム硼素)、SiBN(窒化シリコン硼素)、CrN(窒化クロム)から選ばれた少なくとも1種からなること。
(5)前記製糸用糸道部材がガイドローラー、糸道規制ガイド、および糸条交絡付与エアーガイドのうちのいずれか1種であること。
(6)前記蒸着膜がFHC(フローリックハードコート)、CFC(フッ化カーボンコート)、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)から選ばれるいずれか一種であること。
(7)前記FHC(フローリックハードコート)もしくはCFC(フッ化カーボンコート)中のフッ素含有量が2%以上であること。
(8)前記B(硼素)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Si(シリコン)の不純物含有率が0.01%以下であること。
(9)前記蒸着膜が、TiBN(窒化チタン硼素)、CrBN(窒
化クロム硼素)、SiBN(窒化シリコン硼素)、CrN(窒化クロム)から選ばれた少なくとも1種からなること。
(10)製糸用糸道部材がガイドローラー、糸道規制ガイド、および糸条交絡付与エアーガイドのうちのいずれか1種であること。
伸ローラーの配列が2段配列式でなく、それ以上の段数でも同様な現状が発生する。
本発明の製糸用糸道部材の製造方法は、有機ガスを原料とする蒸着膜を蒸着する製糸用糸道部材の製造方法において、製糸用糸道部材表面の少なくとも一部に、真空下で基材の加速電圧を−100〜−3kVの範囲に維持するとともに、CF系ガスまたはCH系ガスの有機ガス成分をイオン化し、蒸着膜を形成するかまたは、有機ガスを原料とする蒸着膜を蒸着する製糸用糸道部材の製造方法において、製糸用糸道部材表面の少なくとも一部に、真空下で基材の加速電圧を−100〜−3kVの範囲にコントロールするとともに、CF系ガスまたはCH系ガスの有機ガス成分をイオン化し、蒸着膜を形成する。
例えば蒸着膜の原料は有機ガス等のガス系や単一金属や合金からなる金属系に大別できるが、一般的にガス系をイオン化して蒸着させる方が蒸着膜表面の粗さが粗くなることなく蒸着膜表面の仕上げが反映される。なお、さらに蒸着後の蒸着膜表面の仕上がりを向上させるには、基材の加速電圧を−100〜−3kVの範囲にコントロールし、さらにフッ素添加量を2%以上に保つことがさらに好ましい条件である。なお、本発明において蒸着膜のフッ素添加量は、例えば島津製作所製EPMA−8705型の電子線マイクロアナライザーによる定量分析を、分析条件が加速電圧8kV、試料電流50nA、ビーム径φ100μmにて行うことにより測定することができる。
(1)PVD法:主な装置としてイオン化蒸着装置、イオンプレーティング蒸着装置、スパッタリング装置、アークイオンプレーティング装置等を用いる。蒸着させたい金属基材に真空環境下でプラス電荷を帯びた原子をイオン状態にして、これを強い電位のエネルギーを利用してマイナス電圧を金属基材に印加し金属基材表面に高速でイオンを引き寄せ蒸着コーティングさせる。
(2)CVD法:PVD法と同じく真空炉を用い、例えば、熱CVD装置または直流プラズマCVD装置、高周波プラズマCVD装置などが用いられる。蒸着させたい金属基材に常圧、減圧容器内で高温に加熱し金属基材に原料ガスを接触させて化学反応によって金属基材表面に蒸着コーティングさせる方法である。この時の真空度は、先ず1〜10−5Torrに到達させた後、反応ガスを導入し最終的には常圧〜10−3Torrで処理する。熱プラズマ装置での処理温度は500〜1200℃、好ましくは500〜600℃である。また、直流プラズマCVD装置、高周波プラズマCVD装置での処理温度は100〜400℃であり、PVD装置と同等の低温成膜が可能である。蒸着処理時間は蒸着膜の厚みにもよって変化させるが、通常は1〜5時間である。
(1)FHC(フローリックハードコート):PVD法のイオンプレーティング装置で成膜処理する。真空炉の回転テーブルに製糸用糸道部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きして真空度を10−3〜10−6Torrにし、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10−2〜10−3Torrに制御しイオンクリーニングする。CF系ガス(CF4またはC3F8)を導入ノズルより真空炉内に導入する。熱フィラメントで電圧もしくは高周波をかけることでプラズマを発生させCF系ガスをイオン化する。活発に運動する熱電子に正の電圧をかけることで陽イオンとなった蒸発粒子は、直流の負電圧にバイアスされた製糸用糸道部材に向かって加速し衝突する。製糸用糸道部材表面に到達した蒸発粒子は急速に冷却されて固化し成膜する。また、処理時の真空炉の温度は100〜400℃、好ましくは100〜250℃で処理する。
カーボンコート):CVD法のP−CVD装置で成膜処理する。真空炉の回転テーブルに製糸用糸道部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きし、真空度を10−3〜10−6Torrにして、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10−2〜10−3Torrに制御しイオンクリーニングする。CF系ガス(CF4またはC3F8)とCH系ガス(C6H6、C2H2またはCH4)を導入ノズルより真空炉内に導入する。製糸用糸道部材に13.56MHzまたは27.12MHzの高周波もしくはDC電圧を印加し、あるいは、電極に高周波を印可し、さらに製糸用糸道部材にDC電圧を印可し、製糸用糸道部材の周辺にプラズマを発生させCFガスとCH系ガスをイオン化する。CFガスとCH系ガスは直流の負電圧にバイアスされた製糸用糸道部材に向かって電界加速され直進する。製糸用糸道部材表面に到達した蒸発粒子は急速に冷却されて固化し成膜する。また、処理時の真空炉の温度は100〜400℃、好ましくは100〜250℃で処理する。
(3)DLC(ダイヤモンドライクカーボン):PVD法のイオンプレーティング装置で成膜処理する方法とCVD法のP−CVD装置で成膜する方法がある。まず該PVD法のイオンプレーティング装置で成膜処理する。真空炉の回転テーブルに製糸用糸道部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きし真空度を10−3〜10−6Torrにし、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10−2〜10−3Torrに制御しイオンクリーニングする。CH系ガス(C6H6、C2H2またはCH4)を導入ノズルより真空炉内に導入する。熱フィラメントで電圧もしくは高周波をかけることでプラズマを発生させCH系ガスをイオン化する。活発に運動する熱電子に正の電圧をかけることで陽イオンとなった蒸発粒子は、直流の負電圧にバイアスされた製糸用糸道部材に向かって加速し衝突する。製糸用糸道部材表面に到達した蒸発粒子は急速に冷却されて固化し成膜する。また、処理時の真空炉の温度は100〜400℃、好ましくは100〜250℃で処理する。次にCVD法のP−CVD装置で成膜する方法では、真空炉の回転テーブルに製糸用糸道部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きし、真空度を10−3〜10−6Torrにして、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10−2〜10−3Torrに制御しイオンクリーニングする。CH系ガス(C6H6、C2H2またはCH4)を導入ノズルより真空炉内に導入する。製糸用糸道部材に13.56MHzまたは27.12MHzの高周波もしくはDC電圧を印加し、あるいは、電極に高周波を印可し、さらに製糸用糸道部材にDC電圧を印可し製糸用糸道部材の周辺にプラズマを発生させる。CFガスとCH系ガスは直流の負電圧にバイアスされた製糸用糸道部材に向かって電界加速され直進する。製糸用糸道部材表面に到達した蒸発粒子は急速に冷却されて固化し成膜する。また、処理時の真空炉の温度は100〜400℃、好ましくは100〜250℃で処理する。
(4)TiBN(窒化チタン硼素):PVD法のアークイオンプレーティング蒸着装置(AIP)またはスパッタリング蒸着装置で成膜処理する。真空炉の回転テーブルに製糸用糸道部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きして真空度を10−3〜10−6Torrにし、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10−2〜10−3Torrに制御しイオンクリーニングする。電極に電圧を加えるとグロー放電が起き、スパッタガスにはアルゴン(Ar)を用い、硼素(B)と窒化チタン(TiN)の金属をターゲットを用いるか、TiB(チタン硼素)またはTiBN(窒化チタン硼素)の金属ターゲットを用いる。前記金属ターゲット表面をプラズマが激しくスパッタすることで金属ターゲットの原子をはじき出し蒸着粒子がイオンとなる。そこに窒素ガスを導入する。真空炉の温度は200〜400℃、好ましくは200〜250℃で処理する。これを強い電位のエネルギーを利用してマイナス電荷を製糸用糸道部材に流し金属基材表面に高速で原子を引き寄せ、製糸用糸道部材表面に成膜する。
(5)CrBN(窒化クロム硼素):PVD法のアークイオンプレーティング蒸着装置(AIP)またはスパッタリング蒸着装置で成膜処理する。真空炉の回転テーブルに製糸用糸道部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きして真空度を10−3〜10−6Torrにし、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10−2〜10−3Torrに制御しイオンクリーニングする。電極に電圧を加えるとグロー放電が起き、スパッタガスにはアルゴン(Ar)を用い、硼素(B)と窒化クロム(CrN)の金属をターゲットを用いるか、CrB(クロム硼素)またはCrBN(窒化チタン硼素)の金属ターゲットを用いる。もしくは硼素(B)とクロム(Cr)ターゲットを用いる前記金属ターゲット表面をプラズマが激しくスパッタすることで金属ターゲットの原子をはじき出し蒸着粒子がイオンとなる。そこに窒素ガスを導入する。真空炉の温度は200〜400℃、好ましくは200〜250℃で処理する。これを強い電位のエネルギーを利用してマイナス電荷を製糸用糸道部材に流し金属基材表面に高速で原子を引き寄せ、製糸用糸道部材表面に成膜する。
(6)SiBN(窒化シリコン硼素):PVD法のアークイオンプレーティング蒸着装置(AIP)またはスパッタリング蒸着装置で成膜処理する。真空炉の回転テーブルに製糸用糸道部材をセットし30〜100rpmで正逆転のいずれか一定方向に回転させる。真空ポンプにて真空引きし真空度を10−3〜10−6Torrにし、アルゴンガス(Ar)を導入し、真空度を10−2〜10−3Torrに制御しイオンクリーニングする。電極に電圧を加えるとグロー放電が起き、スパッタガスにはアルゴン(Ar)を用い、硼素(B)と窒化シリコン(SiN)の金属ターゲットを用いるか、SiB(クロム硼素)またはSiBN(窒化シリコン硼素)の金属ターゲットを用いる。もしくは硼素(B)とシリコン(Si)ターゲットを用いる前記金属ターゲット表面をプラズマが激しくスパッタすることで金属ターゲットの原子をはじき出し蒸着粒子がイオンとなる。そこに窒素ガスを導入する。真空炉の温度は200〜400℃、好ましくは200〜250℃で処理する。これを強い電位のエネルギーを利用してマイナス電荷を製糸用糸道部材に流し金属基材表面に高速で原子を引き寄せ、製糸用糸道部材表面に成膜する。
(7)CrN(窒化クロム):PVD法のアークイオンプレーティング蒸着装置で成膜処理する。真空炉の真空度を10−6〜10−7Torrにし、そこに窒素ガスを導入する。真空炉の温度は200〜400℃、好ましくは200〜250℃で処理する。真空炉内のセンターにクロムを配置しアーク電源にてCrを局部的に溶融する。溶融されたクロムは真空環境下でベーパー化し、プラス電荷を帯びたクロム原子をイオン状態にして、これを強い電位のエネルギーを利用してマイナス電荷を製糸用糸道部材に流し金属基材表面に高速で原子を引き寄せ、製糸用糸道部材表面に成膜する。
(1)蒸着膜の厚み:(株)小坂研究所製の”Surfcorder”(SE1700)触針走査式粗さ測定器を用いて測定した。テストピースの一部にマスキングしておいて、蒸着真空炉にて蒸着加工を行う。蒸着処理後にテストピースを取り出し、蒸着部とマスキング部との段差を触針走査粗さ測定器で測定した。
(2)蒸着膜硬度:JIS−B7734のビッカース硬さ試験法で測定した。ビッカース硬さ試験機は(株)明石製作所製"MVKーE"を用いた。
(3)糸/金属摩擦抵抗:図4に示す摩擦抵抗測定装置を用いて測定した。なお、テストピースは、φ20×80LでJIS−B0601:2001規定による表面粗さを、算術平均粗さRaが1.0μmのクロムめっきを施し且つ、形態の相対負荷長さRmrを表わす負荷長さ率(%)と切断レベル(%)との直行座標点(0,0)(100,100)を結ぶ直線aと負荷長さ率が0%の線と切断レベルが50%の線とに囲まれた三角総面積をA、該直交座標の切断レベル0〜50%の領域において、前記直線aと相対負荷長さ曲線bとに囲まれた総面積をBとするとき、その面積比B/Aが20±5%であるものを用い、その表面に種々の蒸着膜を施したものを用いた。
(4)水との接触角:糸条延伸装置の各部と同材質で製作したテストピース上に蒸留水2.5ccを滴下して、その接触角を接触角自動測定器にて測定した。測定は温度24±2℃、湿度60±5%の環境下で行った。接触角自動測定器は、”ACT−PRODUCTS”(VCA−OPTIMA装置)を用いた。
(5)ガイドローラーの交換周期(摩耗寿命):蒸着膜の耐摩耗性に指標として、糸とガイドローラーの摩擦抵抗の使用限界値70gfに至るまでの経過日数を測定し、従来技術による比較例3の寿命を1として本発明の効果を相対的に評価した。
(6)糸道規制ガイドの交換周期(摩耗寿命):蒸着膜の耐摩耗性に指標として、糸と延伸ローラーの摩擦抵抗の使用限界値70gfに至るまでの経過日数を測定し、従来技術による比較例3の寿命を1として本発明の効果を相対的に評価した。
(7)交絡付与エアーガイドの交換周期(摩耗寿命):交絡付与エアーガイドに施した蒸着膜の摩耗消滅状態を目視で定期的に観察し、一部でも摩耗消滅の部分が発見されるまでの延紡糸日数を算出し寿命とした。延紡糸日数とは「紡糸日数×紡糸回数」である。なお、従来技術による比較例3の寿命を1として本発明の効果を相対的に示した。
(8)単糸切れ発生:単糸切れの発生:10個の糸パッケージの表面を肉眼で観察し下記の評価基準でランク付けした。
B・・・毛羽が3個/糸パッケージ未満見られる
C・・・毛羽が3個/糸パッケージ以上見られる。
酢酸銅を銅として67ppm、沃化カリウム0.1重量%および臭化カリウム0.1重量%を含む硫酸相対粘度3.7のナイロン66ポリマーを、溶融温度300℃で溶融紡糸した。紡糸機はエクストルーダー型紡糸機を用いて溶融し、溶融紡糸パック中で15μmの金属不織布フィルターを通して濾過したのち、吐出孔から紡糸した。また、紡糸口金は外径190φで、吐出孔径が0.25φで204ホールの口金を用いた。紡糸口金から紡糸された糸条は、300℃に加熱された高温雰囲気を通過した後、冷風によって冷却固化され、油剤を付与された後、所定の速度で回転する引き取りローラーに捲回して引き取った。該引き取り糸は連続して、順次速度をアップしたネルソン型回転ローラーに捲回して延伸した。引き取りローラーは無加熱、フィードローラーは45℃、1段延伸ローラーは150℃、2段延伸ローラーは230℃として、2段熱延伸をした。熱延伸後の糸条は120℃に加熱した弛緩ローラーとの間で6%の弛緩を与えた後、巻取り速度は3500m/分、巻取張力を200gfの条件下で、巻取機で巻き取った。なお、上述した実施例の製糸用糸道部材であるガイドローラー、糸道規制ガイド、および交絡付与エアーガイドには、種々の蒸着膜を表1〜5に示す条件で形成させて製糸した。
2 糸道規制ガイド
3 ガイドローラー
4 フィードローラー
5 交絡付与エアーガイド
6 延伸ローラー
7 巻取機
8 糸パッケージ
9 基材
10蒸着膜 (太線部分)
11動滑車
12テストピース
13張力ピックアップ
W 荷重
Claims (14)
- 合成繊維を製造するための紡糸、延伸および巻き取り装置群からなる製糸プロセスにおいて用いられる製糸用糸道部材であって、繊維糸条と接触する部分が被膜硬度(常温HV)2300〜6000の蒸着膜で形成されており、前記蒸着膜のJIS−B0601:2001規定による表面粗さを、算術平均粗さRaが0.3〜5μmで且つ、形態の相対負荷長さRmrを表わす負荷長さ率(%)と切断レベル(%)との直交座標点(0,0)(100,100)を結ぶ直線aと負荷長さ率が0%の線と切断レベルが50%の線とに囲まれた三角総面積をA、該直交座標の切断レベル0〜50%の領域において、前記直線aと相対負荷長さ曲線bとに囲まれた総面積をBとするとき、その面積比B/Aが10〜35%であり、前記蒸着膜が梨地クロムめっき層の上に形成されていることを特徴とする製糸用糸道部材。
- 前記蒸着膜表面と水との接触角が65〜115゜であることを特徴とする請求項1に記載の製糸用糸道部材。
- 前記蒸着膜表面の糸との摩擦抵抗値が40〜70gfであることを特徴とする請求項1または2に記載の製糸用糸道部材。
- 前記蒸着膜の膜厚が0.5〜20μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製糸用糸道部材。
- 前記蒸着膜がFHC(フローリックハードコート)、CFC(フッ化カーボンコート)、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、TiBN(窒化チタン硼素)、CrBN(窒化クロム硼素)、SiBN(窒化シリコン硼素)、CrN(窒化クロム)から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製糸用糸道部材。
- 前記製糸用糸道部材がガイドローラー、糸道規制ガイド、および糸条交絡付与エアーガイドのうちのいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製糸用糸道部材。
- 有機ガスを原料とする蒸着膜を蒸着する製糸用糸道部材の製造方法において、製糸用糸道部材表面の少なくとも一部にイオンクリーニングを行い、真空下で基材の加速電圧を−100〜−3kVの範囲に維持するとともに、CF系ガスまたはCH系ガスの有機ガス成分をイオン化し、蒸着膜を形成することにより請求項5記載の製糸用糸道部材を製造することを特徴とする製糸用糸道部材の製造方法。
- 前記蒸着膜がFHC(フローリックハードコート)、CFC(フッ化カーボンコート)、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項7記載の製糸用糸道部材の製造方法。
- 前記FHC(フローリックハードコート)もしくはCFC(フッ化カーボンコート)中のフッ素含有量が2%以上であることを特徴とする請求項8記載の製糸用糸道部材の製造方法。
- 金属を原料とする蒸着膜を蒸着する製糸用糸道部材の製造方法において、該製糸用糸道部材表面の少なくとも一部にイオンクリーニングを行い、真空下で基材の加速電圧を−50〜−2kVの範囲に維持するとともに、B(硼素)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Si(シリコン)から選ばれた少なくとも一種の金属成分をイオン化し、さらに窒素置換して、蒸着膜を形成することにより請求項5記載の製糸用糸道部材を製造することを特徴とする製糸用糸道部材の製造方法。
- 前記B(硼素)、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Si(シリコン)の不純物含有率が0.01%以下であることを特徴とする請求項10記載の製糸用糸道部材の製造方法。
- 前記蒸着膜が、TiBN(窒化チタン硼素)、CrBN(窒化クロム硼素)、SiBN(窒化シリコン硼素)、CrN(窒化クロム)から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項10記載の製糸用糸道部材の製造方法。
- 前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の製糸用糸道部材を用いることを特徴とする合成繊維の製糸方法。
- 前記合成繊維糸条を繊度200〜3000dtex、強度6.0〜10.0cN/dtexであり、巻取速度2000〜6000m/分、巻取張力20〜300gfで巻き取ることを特徴とする請求項13記載の合成繊維の製糸方法。
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