JP2000073225A - 糸道規制具及び合成繊維の製造方法 - Google Patents

糸道規制具及び合成繊維の製造方法

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JP2000073225A
JP2000073225A JP10235413A JP23541398A JP2000073225A JP 2000073225 A JP2000073225 A JP 2000073225A JP 10235413 A JP10235413 A JP 10235413A JP 23541398 A JP23541398 A JP 23541398A JP 2000073225 A JP2000073225 A JP 2000073225A
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yarn path
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Katsumi Yamazaki
勝巳 山▲ざき▼
Yoji Matsuhisa
要治 松久
Takuji Sato
卓治 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高レベルの表面平滑性と硬度を有するセラミッ
クスを用いた糸道規制具を提供すること。及び高い品質
を有する合成繊維を、ローコストかつ操業性良く製造す
ること。 【解決手段】有効接触面の表面粗さRaが0.1以下で
あり、かつビッカース硬度が1400以上のセラミック
スを用いた糸道規制具を合成繊維の製造工程に適用する
こと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糸道規制具及びそ
れを用いた合成繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、合成繊維の製造能力の向上にはめ
ざましいものがあり、特に熱可塑性重合体では、その溶
融紡糸時の延伸を不要とし、かつ実用上の特性に優れた
製品を得るため、紡糸速度を3000m/分以上とした
新規な紡糸法が開発されている。この方法は、紡糸と延
伸を別々に行っていた従来のいわゆる2工程法と区別さ
れ、1工程法と呼ばれている。
【0003】1工程法の中には、口金から吐出された紡
出糸条を、一旦冷却した後、ホットチューブ状加熱帯域
で加熱しながら、高速(3000m/分以上)で搬送し
ながら熱延伸する、いわゆるホットチューブ法がある
が、この方法では、加熱帯域の導入部で繊維束を集束せ
しめる部位において繊維束が、その高い搬送速度に由来
する強い擦過力により損傷を受け、操業性が大きく損な
われることが多かった。
【0004】炭素繊維は、比強度、比弾性率に優れるた
め、その特長を生かして航空・宇宙分野をはじめ、スポ
ーツ用品分野などに広く用途展開がなされており、用途
によっては非常に高い引張強度が要求される場合があ
る。ところが炭素繊維は、本質的に脆性を備えた素材で
あるため、炭化処理して炭素繊維とする以前の前駆体繊
維の表面に、軽微なものであっても傷があると、炭素繊
維にしたときにこれが破壊の開始点となり、引張強度を
大きく低下させてしまうため、その前駆体繊維の製造工
程においては、傷や欠陥からの防護に細心の注意を払う
必要がある。
【0005】かかる傷や欠陥の発生を予防し、前駆体繊
維の品位を高め、得られる炭素繊維の引張強度を改善す
る方法には、数多くの提案がある。例えば、原料の清浄
化によるものとしては、特開昭59−88924号公報
と特公平4−12882号公報に、モノマー又はポリマ
ー原液のろ過を強化して、繊維束内部の異物・マクロボ
イドを減少させる方法が開示されている。また工程にお
ける擦過傷を低減させるものとしては、離型性、滑り性
に優れたシリコーン系油剤を付与する方法、及び特公平
3−41561号公報に開示されている、繊維束を搬送
する際に適用する糸道規制具の形状を工夫することによ
って、かかる規制具において繊維束に架かる張力を緩和
する方法がある。しかし、これらの方法では、傷や欠陥
の解消に十分な効果が得られず、得られる炭素繊維の引
張強度は未だ不充分であり、操業性についても満足され
るものでなかった。
【0006】一方、前駆体繊維の表面の傷や欠陥をその
発生後に除去する方法としては、前駆体繊維又は炭素繊
維を、後処理工程で濃厚無機酸中で加熱(特開昭54−
59497号公報、特開昭52−35796号公報)、
又は熱無機酸中で電解(特公平5−4463号公報)し
て、エッチング処理する方法がある。ところがこれらの
方法では、エッチング処理工程とその処理で生成した繊
維の表面の官能基を不活性化する工程が別途必要とな
り、附帯設備による所要コストの上昇を招いていた。
【0007】合成繊維の製造工程に、紡糸後の繊維束の
搬送方向を変更する、又は該繊維束の搬送幅を規制した
りするために適用される糸道規制具は、水膨潤繊維束、
乾燥繊維束、又は工程の途中で水分や散油剤などを付与
された繊維束など、様々な状態の繊維束との接触を強い
られる。かかる規制具に用いる材料によっては、湿潤状
態で搬送される繊維束と、その材料表面との摩擦係数が
極端に高くなったりし、これによって繊維束内で単繊維
間に乾湿度差があるときには、糸道規制具によって繊維
束が受ける擦過力に大幅な変動が生じることにより、糸
切れの原因となり操業性を悪化させてしまうことがあっ
た。
【0008】この点、セラミックスは、搬送される繊維
の乾燥、湿潤状態によって、搬送される繊維束とその材
料表面との摩擦係数の変動が少ない性質を有する材料で
ある。
【0009】したがって、合成繊維の製造工程において
は、搬送される繊維束と接触する面(以下、有効接触面
と略記)を担う部分にセラミックスを用いた糸道規制具
が適用されることが多いが、このとき糸道規制具の有効
接触面の表面凸凹が大きいと、搬送途上の繊維束が強い
擦過力を受けたときに、繊維束の表層が表面凹凸によっ
て削りとられ、微細な繊維屑が糸道規制具に堆積してし
まい、その結果、糸道規制具の有効接触面における、搬
送される繊維束との摩擦係数(以下、摩擦係数と略記)
が大きく変動し、得られる繊維束に強伸度特性、配向特
性などの物性のバラツキが生じたり、ワインダーのパッ
ケージ部位に、繊維束の毛羽やタルミが発生したりし
た。さらに搬送速度を増大させて生産する場合など、繊
維束がより強い擦過力を受けるようなときは、糸道規制
具の有効接触面における摩擦係数が大きく変動すること
により、糸切れを誘起し、得られる繊維束の品位の低下
を招くとともに、操業性を著しく悪化させることがあっ
た。
【0010】また、セラミックスは、金属材料など他の
材料と比較して硬度が高く、かつ耐磨耗性も良好な材料
であるが、前記した問題があるため、表面凹凸を低減さ
せ、表面平滑性を極力高くしたものが強く求められてい
る。しかし、硬度が高いために本質的に加工が困難であ
ることと、内部に微細なポアー(微細な空洞構造)が多
数存在するために、表層部分を研磨したときに内部のポ
アーが材料表面に浮き出て凹凸となってしまい、一定以
上の表面平滑性を得るに当たって非常な困難が伴い、従
来では表面粗さRaにして、高々0.1程度の表面平滑
性のものしか得られていなかった。
【0011】一方、糸道規制具の有効接触面自体が磨耗
を受けても、摩擦係数が変動することにより、上記同様
の問題を生じたため、磨耗を低減させる試みとして、特
開平7−278945号公報に、アルミナ/ジルコニア
系セラミックスによる糸道規制具が開示されているが、
耐磨耗性が不充分であり、かつ表面凹凸も大きく、実用
性に乏しいものであった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、有効
接触面の表面平滑性が良好で、耐久性の高い糸道規制具
を提供すること、及び品位の優れた合成繊維を、操業性
良くローコストで製造することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の糸道規制具は、以下の構成を有する。すな
わち、搬送される繊維束と接触する面の表面粗さRaが
0.1以下であり、かつ該接触面のビッカース硬度が1
400以上のセラミックス部分を有する糸道規制具であ
る。
【0014】また、本発明による合成繊維の製造方法は
以下の構成を有する。すなわち、重合体を紡糸して得ら
れる繊維束を、前記糸道規制具におけるセラミックス部
分に接触せしめて規制しつつ、搬送し、巻き取ることを
特徴とする合成繊維の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明について、さらに詳細に説
明する。
【0016】本発明の糸道規制具には、表面粗さRaが
0.1以下の、表面平滑性が良好なセラミックスを、有
効接触面を担う部分に用いることが必要である。この表
面粗さRaは、より好ましくは0.05以下が良く、さ
らに好ましくは0.02以下が良い。表面粗さRaが
0.1を超える場合、合成繊維の製造工程において、搬
送途上の繊維束が、糸道規制具と擦過されることによっ
て、その材料表面に擦過傷が付き易くなり、さらに連続
して100時間以上操業するときなどは、糸道規制具で
削り取られた微細繊維屑や繊維束に付与した油剤など
が、繊維束と接触する部位で堆積物となり、糸道規制具
の有効接触面における摩擦係数が変動することによっ
て、糸切れが頻発し、また糸道規制具に、搬送途上の繊
維束が巻き付くなどのトラブルの発生原因ともなり、操
業性を極端に悪化させるとともに、得られる繊維の品質
の低下も招いてしまい好ましくない。またこのとき、乾
湿式紡糸法によって紡糸され、平滑な表面構造を有する
炭素繊維用前駆体繊維は、強い擦過力を受けたときに繊
維の表面に傷が付き易くなり、この傷が炭化処理後の炭
素繊維において、炭素繊維の強度を著しく低下させてし
まうため好ましくない。なお、この表面粗さRaについ
ては、0.005程度有れば、本発明の効果を奏するに
十分であることが多い。また、かかる表面粗さRaは、
JIS B0601、B0651による、3箇所の測定
点の平均値である(測定装置:ミツトヨフォ−ムトレ−
サ−CS−400)。
【0017】また、本発明の糸道規制具における有効接
触面の硬度については、ビッカース硬度(JIS R1
610参照)で1400以上が必要である。かかる硬度
が、1400未満では、搬送される繊維束との長時間に
渡る接触により、糸道規制具の有効接触面が磨耗した
り、それを取り扱う際にも傷が付いたりして、表面平滑
性が損なわれ易いため好ましくない。また、かかる硬度
は、より好ましくは、ビッカース硬度で1900以上
が、さらに好ましくは2400以上が良い。なお、この
硬度については、4000程度有れば、本発明の効果を
奏するに十分であることが多い。
【0018】本発明の糸道規制具に用いるセラミックス
は、内部に存在するポアーが極めて微細であり、かつそ
の数も僅少であるため、研削、ラップ仕上げの後、ダイ
ヤモンド砥粒で材料表面を研磨することによって表面平
滑性に優れ、かつ高い硬度を有する材料表面を容易に得
ることができる。
【0019】かかるセラミックスとしては、摩擦係数が
小さい観点から、具体的には、アルミナ(Al23)、
窒化ケイ素(Si34)、窒化チタン(TiN)など、
又はこれらの混成物を挙げることができるが、中でもア
ルミナは耐久性が優れており、好ましく用いられる。ま
た、かかるセラミックスの一般市販品としては、日本セ
ラテック社製、”ポアフリー”セラミックス(型番:A
HPF、AJPF、SHPF、SLPF、GPF)など
がある。
【0020】本発明の糸道規制具は、合成繊維の製造工
程において、繊維束を集束、交絡、振動防止搬送及びそ
の方向の変更、拡幅又は油剤を付与する部位に適用され
る。溶融紡糸法などによる合成繊維の製造工程において
は、口金下を加圧、減圧する部分の導出ガイド、ホット
チューブ状加熱帯域の導入部ガイド(以下、アイレット
ガイドと略記)、繊維集束ガイド、油剤付与ガイド、エ
アー交絡ガイド、振動防止ガイド、ワインダー前部ガイ
ド、又はスパンボンド不織布製造の際の流体吸引装置の
導入部ガイドなどが、本発明の糸道規制具の適用部位と
して挙げられる。このような部位に、1部位又は複数部
位に同時に適用することによって、糸切れや巻き付き、
パッケージ部位の毛羽やタルミなどを大幅に低減させる
ことができ、操業性を大きく向上させるとともに、得ら
れる繊維の品位も向上するなどの改善効果が得られる。
上記部位の内、アイレットガイドには、かかる効果が大
きいことから、特に好ましく適用できる。また複数部位
に同時に適用するときは、適用する部位の数が多い程、
かかる効果が大きくなり、好ましい。
【0021】また、乾湿式紡糸法又は湿式紡糸法などに
よる炭素繊維用前駆体繊維の製造工程においては、凝固
浴で凝固せしめた後に浴中において、紡出糸条の方向を
変更する凝固浴中ガイドや、浴延伸後の水洗工程などで
繊維束を把持しながら拡幅する拡幅ガイド、油剤付与工
程において適度な擦過を与えながら繊維束に油剤を付与
する給油ガイド、乾燥及び緻密化処理後の加圧スチーム
延伸工程における出口部の圧力シール用ノズル、又はワ
インダーのトラバースガイドなどが、本発明の糸道規制
具の適用部位として挙げられる。このような部位に、1
部位又は複数部位に同時に適用することによって、繊維
束の擦過傷を大幅に低減し、操業性を大きく向上させる
とともに、炭化処理後に得られる炭素繊維の強度、弾性
率も向上するなどの改善効果が得られる。上記部位の
内、繊維束に大きな張力が架かる凝固浴中ガイドや、繊
維束が激しい衝突を強いられる圧力シール用ノズルに
は、かかる効果が大きいことから、特に好ましく適用で
きる。また複数部位に同時に適用するときは、適用する
部位の数が多い程、かかる効果が大きくなり、好まし
い。
【0022】なお、本発明の糸道規制具は、前述した部
位に限定して適用されるものではなく、繊維束の搬送方
向を変更する、又は搬送方向を変更はしなくとも、繊維
束が間欠的に接触して擦過されるような部位には、どの
部位に適用しても、また、搬送を受ける繊維束が乾燥状
態であっても、湿潤状態であっても、得られる繊維の品
位の改善や、操業性の安定化に寄与するものである。ま
た従来は、繊維束の損傷が激しく、回転式ローラしか適
用できなかった部位についても、本発明の糸道規制具で
あれば、固定方式のものでも繊維束に傷を付けることが
なく、省設備化を図りながら、ローラ巻き付きなどのト
ラブルを解消して操業性を大きく向上させるものであ
る。
【0023】本発明の糸道規制具の形態としては、適用
する目的によって適宜選択することができ、棒ガイド、
スリットガイド、スネルガイドやその変形のドックテイ
ルガイド、パイプガイドなど固定式のもの、その他回転
ローラ、ノズルなどいずれも適用することができる。
【0024】本発明の糸道規制具に用いるセラミックス
は、糸道規制具の有効接触面を適切に担う部分に用いら
れる限り、糸道規制具1基当たりに用いる量に制限はな
く、また有効接触面の形状についても、円球形状、楕円
体形状、梨形状など、ある程度、なだらかさや膨らみを
有したような形状であればどれも好ましく採用すること
ができる。かかるセラミックスの摩擦係数は、後述する
実施例を含め、測定対象となる繊維束とセラミックスに
よる5mmφ丸棒ガイド(表面粗さRa:0.05)を
使用して、両者を摺り合わせた状態で得た張力と面圧か
ら、下式で計算して求めたものである。
【0025】摩擦係数=張力(Pa)/面圧(Pa) ここでいう摩擦係数とは、いわゆる静摩擦係数の範疇に
属するが、静摩擦係数は、動摩擦係数より、一般に高い
数値を示し、同時に両者は高い正の相関関係を有する。
また、かかる摩擦係数の、繊維束の乾燥・湿潤状態、又
は搬送速度や有効接触面の形状による変動幅は±0.0
2程度である。
【0026】
【実施例】以下実施例により、本発明をさらに具体的に
説明する。これら実施例においては、得られた繊維の、
毛羽とタルミの総数は、東レ(株)製、毛羽計数装置D
T−104(検出部F型)を使用して測定した。
【0027】(実施例1)溶融紡糸法により、オルソク
ロロフェノール中25℃における極限粘度[η]が0.
66のポリエチレンテレフタレートを、孔径0.2m
m,孔深度0.3mm、孔数24の口金から、温度29
0℃条件下で吐出し、紡出糸条を口金下部2mの部位に
設置した全長2.5m、雰囲気温度200℃のホットチ
ューブ状加熱帯域に、アイレットガイドで導入して熱延
伸した後、給油ガイドにて油剤を付与しながら集束せし
めた。さらに交絡付与装置により交絡せしめ、回転ロー
ラで5000m/分の速度で引き取り、最後にワインダ
ーで巻き取った。
【0028】上記アイレットガイド(内径10mm)
に、表面粗さRaが0.05、ビッカース硬度が200
0のセラミックス(日本セラテック社製、”ポアフリ
ー”セラミックス(型番:AHPF))を、その有効接
触面を担う部分に用いた。
【0029】本例では、セラミックスとポリエチレンテ
レフタレート繊維束との摩擦係数は0.26とやや高め
であったが、約200時間連続して操業した後にも、ア
イレットガイドに堆積物は認められず、操業性が極めて
良好であった。
【0030】また、得られた繊維束の毛羽とタルミの総
数を、速度300m/分、張力0.1g/デニールの条
件下で測定した結果、n=5の平均値で繊維束100m
当たり10個と少なく、その品位は極めて良好であっ
た。
【0031】(比較例1)実施例1におけるアイレット
ガイドに、有効接触面の表面粗さRaが1.3、ビッカ
ース硬度が1400のセラミックス(日本セラテック社
製、型番:A921)を、その有効接触面を担う部分に
用いた以外は実施例1と同様にしてポリエチレンテレフ
タレート繊維を製造した。
【0032】本例では、セラミックスとポリエチレンテ
レフタレート繊維束との摩擦係数は0.2であり、約2
00時間連続して操業した後にアイレットガイドに堆積
物が認められた。
【0033】また、得られた繊維の毛羽とタルミの総数
を、実施例1と同条件で測定した結果、繊維束100m
当たり530個と多く、その品位は悪かった。
【0034】(実施例2〜4、比較例2〜4)アイレッ
トガイドの有効接触面を担う部分に用いたセラミックス
を種種変更し、またガイドの耐久性を短時間で評価する
ために、ポリエチレンテレフタレ−トに酸化チタンを3
wt%含有させて紡糸した以外は、実施例1と同プロセ
スでポリエチレンテレフタレ−ト繊維を製造した。下表
1にセラミックスの特性と、得られた繊維の毛羽、タル
ミの総数(測定方法は実施例1と同一)及び、約100
時間連続して操業した後のアイレットガイドの状態を示
す。
【0035】
【表1】 (実施例5)アクリロニトリル99.4モル%とイタコ
ン酸0.6モル%からなる共重合体を、ジメチルスルホ
キシドを溶媒として溶液重合法により重合せしめ、極限
粘度[η]が1.8、重合体濃度が18.5重量%の紡
糸原液を得た。ここで重合物の親水性を向上させるた
め、pHが8.0になるまで紡糸原液にアンモニアガス
を吹き込んだ。
【0036】その後、乾湿式紡糸法により、45℃に温
調した紡糸原液を、孔径0.15mm、孔数6000の
口金を用いて吐出し、紡出糸条を約4mmの空間を通過
させた後、15℃に温調した35重量%ジメチルスルホ
キシド水溶液からなる凝固浴に導いて凝固せしめた。
【0037】さらに凝固糸を水洗処理後、全4槽からな
る複数の延伸浴で、多段階浴延伸した。ここで各浴槽の
温度については、第4槽の温度が95℃となるように、
第1槽から第4槽迄、順を追って10℃ずつ温度を上昇
させた。また各浴槽における延伸倍率についてはそれぞ
れ2.5倍とした。なお、ここでは単繊維間の接着を防
止するため、浴槽の入側の搬送ローラを浴槽から外に出
した状態で繊維束を搬送しながら延伸した。
【0038】その後、この繊維束を、アミノ変性シリコ
ーン(オイル粘度:7500cSt)、エポキシ変性シ
リコーン(オイル粘度:10000cSt)及びエチレ
ンオキサイド変性シリコーン(オイル粘度:500cS
t)の混合物から成る濃度が2重量%のシリコーン系油
剤浴を通過させて、繊維束に油剤を付与した。
【0039】次に、150℃に温調した加熱ローラで乾
燥処理し、加圧スチーム延伸機で4倍の延伸倍率で延伸
後、180℃に温調した加熱ローラで再度乾燥処理し、
単糸繊度1デニールのアクリル系前駆体繊維を得た。
【0040】この製造工程において、表面粗さRaが
0.05、ビッカース硬度が2000のセラミックス
(日本セラテック社製、”ポアフリー”セラミックス
(型番:AHPF))を凝固浴中ガイド、圧力シール用
ノズル及びワインダーのトラバースガイドの有効接触面
を担う部分に適用したところ、糸切れも毛羽も発生せ
ず、品位の極めて良好なアクリル系前駆体繊維が得られ
た。この繊維束の側面を走査型電子顕微鏡(以下、SE
Mと略記)で観察した結果、その表面に傷は認められな
かった。
【0041】本例では、セラミックスとアクリル系繊維
束との摩擦係数は、0.15であり、約200時間連続
して操業した後にも、ワインダーのトラバースガイドに
堆積物は認められず、操業性が極めて良好であった。
【0042】得られた前駆体繊維を250〜280℃の
空気雰囲気中で延伸倍率を1として延伸しながら、安定
化処理することにより、耐炎化繊維(比重:1.34g
/cm3)に転換した。次に、この耐炎化繊維を窒素雰
囲気中、最高雰囲気温度が800℃の前炭化炉で、40
0〜500℃の雰囲気温度における昇温速度を100℃
/分、延伸倍率を1.05として前炭化処理し、次いで
窒素雰囲気中、最高雰囲気温度が1450℃の炭化炉で
1000〜1200℃の雰囲気温度における昇温速度を
200℃/分、延伸倍率を0.97として炭化処理し
て、炭素繊維を得た。
【0043】この後、炭素繊維1g当たり10クーロン
の電荷を与えることにより、炭酸アンモニウムの水溶液
中で陽極酸化処理を施した。こうして得られた炭素繊維
は毛羽が僅少で品位は極めて良好であり、また引張強度
も6.5GPaと良好であった。
【0044】(比較例5)実施例2における凝固浴中ガ
イド、圧力シール用ノズル及びワインダーのトラバース
ガイドに、有効接触面の表面粗さRaが1.3、ビッカ
ース硬度が1400のセラミックス(日本セラテック社
製、型番:A921)を、その有効接触面を担う部分に
用いた以外は実施例5と同様にしてアクリル系前駆体繊
維を製造した。
【0045】本例では、セラミックスとアクリル系繊維
束との摩擦係数は0.2であり、繊維が切断することは
なかったが、ワインダーのトラバースガイドに繊維屑と
ガム化したシリコーン油剤が堆積しており、単繊維切れ
による毛羽が発生した。
【0046】また、得られた繊維束の断面をSEMで観
察した結果、その表面に傷と微細な繊維屑が認められ
た。
【0047】このアクリル系前駆体繊維を、実施例5と
同プロセスで処理して炭素繊維を得た。ここでは、前炭
化処理工程で毛羽の発生が多く、得られた炭素繊維の引
張強度も5.1GPaと低めであり、品位が悪かった。
【0048】
【発明の効果】本発明により、表面平滑性と硬度が極め
て高いセラミックスを用いた糸道規制具が提供され、該
規制具を繊維製造工程に適用することにより、品位に優
れる合成繊維を、安定かつローコストで製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L045 AA05 BA03 BA60 CA25 CB09 CB13 CB16 DA08 DA09 DA15 DA42 DA48 DB12 DC04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】搬送される繊維束と接触する面の表面粗さ
    Raが0.1以下であり、かつ該接触面のビッカース硬
    度が1400以上のセラミックス部分を有する糸道規制
    具。
  2. 【請求項2】重合体を紡糸して得られる繊維束を、請求
    項1に記載の糸道規制具におけるセラミックス部分に接
    触せしめて規制しつつ、搬送し、巻き取ることを特徴と
    する合成繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】前記糸道規制具が、繊維束を集束、交絡、
    振動防止、搬送及びその方向の変更、拡幅又は油剤を付
    与する部位に適用されることを特徴とする請求項2に記
    載の合成繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】前記合成繊維が、炭素繊維用前駆体繊維で
    あることを特徴とする請求項2又は3に記載の合成繊維
    の製造方法。
JP10235413A 1998-08-21 1998-08-21 糸道規制具及び合成繊維の製造方法 Pending JP2000073225A (ja)

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