JPH0769725A - セラミック製発熱素子 - Google Patents

セラミック製発熱素子

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JPH0769725A
JPH0769725A JP5212869A JP21286993A JPH0769725A JP H0769725 A JPH0769725 A JP H0769725A JP 5212869 A JP5212869 A JP 5212869A JP 21286993 A JP21286993 A JP 21286993A JP H0769725 A JPH0769725 A JP H0769725A
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ceramic
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Abstract

(57)【要約】 【構成】組成式が下記化1 【化1】 で表され、式中、AがSr、BaおよびCaの群から選
ばれる少なくとも1種、BはMg、Zr、Ce,Mn、
Fe,CoおよびNiの群から選ばれる少なくとも1種
であり、式中のx、y、z、kおよびmが0.01≦x
+y≦0.70、0<z≦0.1、0.90≦k≦1.
05、0≦m≦0.80を満足し、さらにAl、Si、
Ti等の金属不純物の総量が5重量%以下のセラミック
からなる発熱素子を提供する。 【効果】低電圧の印加により400〜1200℃の高温
まで発熱させることができ、しかも自己発熱型であるこ
とから局所発熱の起こりにくく、また長期使用において
変形等のない発熱素子を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合金属酸化物系セラ
ミックからなるセラミック製発熱素子に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】従来、セラミック製発熱素子としては、絶
縁性セラミックスであるアルミナ等の表面に白金(P
t)などの抵抗体を被着形成したり、セラミック絶縁体
の表面や内部にタングステン等の抵抗体を内蔵したもの
が一般に使用されている。
【0003】一方、チタン酸バリウム等に代表されるP
TCサーミスタと呼ばれる抵抗素子が知られている。こ
の素子は、電気抵抗が正の温度係数を有するとともにあ
る温度で電気抵抗が急激に増大する特徴を有する。通
常、チタン酸バリウムを主成分とし、これにNbやTa
等の半導体化のためのドナー成分やMn、Cu等の粒界
ポテンシャルバリア形成のためのアクセプター成分等が
微量加えられている。
【0004】前者の発熱素子は700℃程度までの比較
的高温域で、また、後者は350℃までの低い温度で使
用されており、これらの発熱素子は、通電初期には抵抗
が小さいのでわずかな時間で一定温度まで達する速応性
があること、また自己温度制御機能があることなどの利
点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、上記
酸化物系の発熱素子において、抵抗体を内蔵した発熱素
子では、発熱素子に対する電圧分布が不均一なため、局
所的な発熱が生じるという欠点がある。それに対して、
サーミスタ等は均一な発熱が可能であるが、使用限界温
度が350℃程度と低く、高温での発熱に利用できない
という問題点があった。
【0006】本発明は、上記のような従来品に比較して
使用限界温度が高く、自己発熱型の発熱領域の広い発熱
素子を提供することを目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明者は、酸化物系
セラミックスの抵抗体としての性能について検討を重ね
た結果、少なくともLa、CrおよびCaを含有するペ
ロブスカイト型複合酸化物が高温で発熱体としての適性
な抵抗を有するとともに、しかも高温での均一発熱性お
よび熱衝撃性に優れた材料であることを見いだし、本発
明に至った。
【0008】即ち、本発明のセラミック製発熱素子は、
組成式が化1
【0009】
【化1】
【0010】で表され、式中、AがSr、BaおよびC
aの群から選ばれる少なくとも1種、BはMg、Zr、
Ce,Mn、Fe,CoおよびNiの群から選ばれる少
なくとも1種であり、式中のx、y、z、kおよびmが 0.01 ≦ x+y ≦ 0.70 0 < z ≦ 0.1 0.90 ≦ k ≦ 1.05 0 ≦ m ≦ 0.80 を満足することを特徴とするものであり、さらに、金属
不純物の総量が5重量%以下であることを特徴とするも
のである。
【0011】本発明におけるセラミック製発熱素子の抵
抗体を構成するセラミックスは、それ自体0.02〜
0.17Ω−cmの電気抵抗を有するものであり、ペロ
ブスカイト型の結晶相を主相とするものである。本発明
においてセラミックの組成を上記の範囲に限定したのは
以下の理由による。x+y値が0.01より小さいと所
定の電気抵抗を有するLaCrO3 系固溶体を作製する
ことが出来ず、逆に0.7を越えるとアルカリ金属とC
rを主成分とする異相が析出して電気抵抗が大きくなり
発熱素子として機能しない。また、z=0では、焼成温
度が1700℃以上となり、zが0.1を越えるとCa
とCrを主成分とする異相が析出して電気抵抗が大きく
なるなる。さらに、kが0.90より小さくなると、C
r等を含む化合物が生成して電気抵抗が増大し、逆に、
1.05を越えるとLa2 3 が析出して材料が短時間
のうちに分解する。mについては0.8を越えると電気
抵抗が小さくなり発熱素子として使用出来ない。なお、
本発明における望ましい範囲は、0.10≦x+y≦
0.40、0.01≦z≦0.05、0.95≦k≦
1.00、0≦m≦0.6である。
【0012】また、発熱素子は長時間高温度に保持され
るため、変形や寸法変化が起こり得る。この問題は材料
固有の性質の他にセラミックス中に含有されるAl、S
i、Ti、Zr等の金属不純物に大きく影響される。即
ち、金属不純物量の総量が5重量%を越えると高温にお
ける耐クリ−プ性が悪くなり、また長時間の使用におい
て焼結がおこり所定の形状を保持しなくなることがわか
った。このため、金属不純物量としては5重量%以下、
特に2重量%以下が望ましい。
【0013】また、本発明における発熱素子は、そのセ
ラミックスは、耐熱衝撃性の点から開気孔率が45%以
下、特に1〜30%、平均結晶粒径が50μm以下、特
に30μm以下であることが望ましい。
【0014】本発明の上記組成の抵抗体を具備する発熱
素子は、例えば、図1に示すように、前記組成の焼結体
からなる円筒状の抵抗体1と、抵抗体1の両端に被着形
成された一対の電極2,3により構成され、電極2,3
に40V以下の電圧を印加することにより図2に示すよ
うに約400〜1200℃の温度にまで発熱させること
ができる。
【0015】
【作用】一般にLaCrO3 で表されるランタンクロマ
イトは本来絶縁体であるが、これにCaなどのアルカリ
金属を固溶させると、下記式
【0016】
【化2】
【0017】で表される反応により電子ホ−ルが生成す
る。このような(La,Ca)CrO3 固溶体はホ−ル
濃度が極めて低いため、印加電圧の高い発熱素子として
利用できる。また、(La,Ca)CrO3 のCrをM
g,Ni、Mn等で置換すると電気抵抗は減少し、印加
電圧の低い発熱素子として利用できる。
【0018】しかしながら、(La,Ca)CrO3
溶体を発熱素子として利用する場合の大きな問題とし
て、焼結が非常に難しいことが挙げられ、大気中180
0℃以上の高温で焼成する必要があった。ところが、C
aを含みかつLaサイト(Aサイト)のCrサイト(B
サイト)に対する原子比(A/B)を1より大きくする
ことにより焼結性が向上し、1600℃以下の温度でも
焼成出来ることがわかった。この理由は、Caを含みか
つ(A/B)原子比を1より大きくすると、1300℃
付近の温度で液相が生成して、成分イオンの拡散が促進
される結果、焼結性が向上する。しかし、その(A/
B)原子比が大きくなり過ぎると、液相成分がそのまま
残存して、低温でアルカリ金属とCrを主成分とする異
相として析出して電気抵抗を増大させてしまう。そのた
め、(A/B)原子比を前記範囲に設定するこにより、
低温で焼成することができるのである。
【0019】さらに、本発明の発熱素子は高温で使用さ
れるため、耐クリ−プ性に優れる必要がある。また、使
用中に焼結が進行して、発熱素子として寸法変化が生じ
てはならない。金属不純物に関して、その量が少ないと
結晶内に固溶され、クリ−プや焼結性に大きな影響は与
えないが、その量が粒界に析出すると陽イオンの粒界拡
散速度を高め焼結を促進する効果を有する。また、クリ
−プに関しては、粒子の粒界すべりを引き起こし耐クリ
−プ性を悪くする。特にAl,Si、Ti、Zr等は耐
クリ−プ性を劣化させると同時に焼結を促進し発熱素子
としての寸法変化を助長する。以上の理由から、所望の
発熱素子を提供する材料組成と材料中の金属不純物の総
量を規定した。
【0020】本発明において、抵抗体となるセラミック
スはそれ自体に通電することにより、自己発熱性を有
し、しかも均一焼結体(モノリシック体)であるため、
電気特性が抵抗体全体として均一であり局所的な発熱も
当然ない。しかも、通電により500〜1200℃の高
温での発熱が可能であり、これまで使用されていた自己
発熱型の発熱素子に比較して発熱温度を大きく向上する
ことができ、その利用分野を拡大することができる。よ
って、あらゆる形状の発熱体を容易に作成することがで
きるため、円筒形状、円筒スパイラル、平板形状あるい
はハニカム形状の発熱素子として利用することができ
る。
【0021】
【実施例】
実施例1 市販の純度99.9%のLa2 CO3 、SrCO3 、C
aCO3 、BaCO3、Mn2 3 、Cr2 3 、Ni
O、FeO、CeO2 、ZrO2 、CoO、MgOを出
発原料とし、これを表1および表2に示す組成に調合し
て、ジルコニアボ−ルを用いて12時間混合した後、1
200℃で5時間仮焼して、固相反応を行わせた。これ
を、ジルコニアボ−ルを用いてさらに24時間粉砕を行
った後、1450〜1500℃で5時間焼成して、大き
さ3×3×65mmの試料を作製した後、この試料の1
000℃、大気中での電気抵抗を測定し、その結果を表
1,2に示した。また、ICP分析からいずれの試料と
もAl、Si、Tiの金属不純物の総量は0.43重量
%以下であった。さらに、電子顕微鏡(SEM)により
平均結晶粒径を調べたところ、5〜8μmであり、アル
キメデス法により気孔率を測定したところ、4〜8%で
あった。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】表1および表2から明らかなように、x+
yが0.01より小さいかまたは0.7を越えると電気
抵抗が極めて大きく発熱素子として利用できない。xが
0.7を越えたものについては、EPMA分析の結果ア
ルカリ金属とCrを主成分とする異相が析出していた。
また、zが0.1を越えても電気抵抗が大きくなった。
kが0.90より小さいとCrを主成分とする第2相が
析出し、電気抵抗が増大した。また、kが1.05を越
えるとLa2 3 が析出して材料が短時間に風化した。
【0025】実施例2 実施例1の表1中のNo.3、34の混合粉末にAl、
Si、Tiを不純物として総量が0.37〜6.52重
量%の範囲になるよう酸化物粉末で添加した。
【0026】この粉末をジルコニアボ−ルを用いて24
時間粉砕を行った後、1440〜1500℃で5時間焼
成して大きさ外径7mm、長さ100mmの円柱状焼結
体と3×3×65mmの角柱状焼結体をそれぞれ作製し
た。角柱状焼結体については実施例1に従い1000℃
で電気抵抗を測定した。また、円柱状焼結体については
電気炉に支点間距離を80mmとなるように横置きに設
置し、大気中1000℃で200時間焼鈍して変形率と
外径の変化率(収縮率)を測定した。この際、変形率は
試料のたわみ量を支点間距離80mmで徐したものを用
いた。試料中の不純物量はICP分析により測定し、A
l、Si、Tiの合量を示した。測定の結果は表3に示
した。
【0027】
【表3】
【0028】表3から明らかなように、両組成ともA
l、Si、Tiの金属不純物量が5.0重量%を越える
と急激に変形率、収縮率とも大きくなった。また、電気
抵抗も不純物量とともに増加する傾向があった。
【0029】実施例3 上記実施例1において得られた焼結体に間隔が50mm
となるように白金端子を取り付け、印加電圧を変化させ
て、試料温度を測定した。その結果、いずれの試料とも
低電圧で800℃以上の温度まで20秒以内で加熱する
ことが可能であった。また、電極間の50mmの領域で
は温度はほぼ均一であった。表1および表2中、試料N
o.3,29,34について具体的に印加電圧と試料温度
との関係を図2に示した。これより、本発明のセラミッ
クスが高温度まで作動させることができる発熱素子とし
て利用することが可能であることが分かる。
【0030】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、低
電圧の印加により400〜1200℃の高温まで発熱さ
せることができ、しかも自己発熱型であることから局所
発熱の起こりにくく、また長期使用において変形等のな
い発熱素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるセラミック製発熱素子の一実施
例の概略図である。
【図2】本発明におけるセラミック製発熱素子の印加電
圧と試料温度との関係を示した図である。
【符号の説明】
1 抵抗体 2,3 電極

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】組成式が化1 【化1】 で表され、式中、AがSr、BaおよびCaの群から選
    ばれる少なくとも1種、BはMg、Zr、Ce,Mn、
    Fe,CoおよびNiの群から選ばれる少なくとも1種
    であり、式中のx、y、z、kおよびmが 0.01 ≦ x+y ≦ 0.70 0 < z ≦ 0.1 0.90 ≦ k ≦ 1.05 0 ≦ m ≦ 0.80 を満足することを特徴とするセラミック製発熱素子。
  2. 【請求項2】請求項1に関して、材料中の金属不純物の
    総量が5w%以下であることを特徴とするセラミック製
    発熱素子。
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