JPH0767593B2 - 高強度ステンレス鋼ボルトの製造方法 - Google Patents
高強度ステンレス鋼ボルトの製造方法Info
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- JPH0767593B2 JPH0767593B2 JP25633287A JP25633287A JPH0767593B2 JP H0767593 B2 JPH0767593 B2 JP H0767593B2 JP 25633287 A JP25633287 A JP 25633287A JP 25633287 A JP25633287 A JP 25633287A JP H0767593 B2 JPH0767593 B2 JP H0767593B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、特に野外等の腐食環境下や非磁性が要求され
る条件下の何れの場合にも使用可能で、角形頭部を有す
る高強度ステンレス鋼ボルトの製造方法に関する。
る条件下の何れの場合にも使用可能で、角形頭部を有す
る高強度ステンレス鋼ボルトの製造方法に関する。
(従来技術及び発明が解決しようとする問題点) 従来、建築用、自動車部品用のボルトとしては、低合金
構造用鋼よりなる高強度ボルトが使用されている。この
低合金構造用鋼は、炭素鋼に少量のCr、Mo、Niを添加す
ることより焼入性や焼き戻し軟化抵抗性を調節したもの
で、基本的には焼入処理により母相をマルテンサイト組
織とし、これを焼き戻して炭化物を析出、分散させて高
強度を得るようにしている。
構造用鋼よりなる高強度ボルトが使用されている。この
低合金構造用鋼は、炭素鋼に少量のCr、Mo、Niを添加す
ることより焼入性や焼き戻し軟化抵抗性を調節したもの
で、基本的には焼入処理により母相をマルテンサイト組
織とし、これを焼き戻して炭化物を析出、分散させて高
強度を得るようにしている。
ところが、上記低合金構造用鋼は耐食性が極めて低いた
め、腐食環境下での使用には耐えない。従って、高強度
の必要性からこの低合金構造用鋼を用いる場合には、ボ
ルト製造後にメッキや塗装等の表面被覆を施すことが必
要となるため、コストが上昇し、且つ、長期間使用時の
信頼性に欠けるという不都合がある。更に、低合金構造
用鋼ボルトは強磁性を示すので、例えば、VTR、各種コ
ンピュータ等の電子危機に使用されるボルト等、非磁性
が要求される用途に適用することができない。
め、腐食環境下での使用には耐えない。従って、高強度
の必要性からこの低合金構造用鋼を用いる場合には、ボ
ルト製造後にメッキや塗装等の表面被覆を施すことが必
要となるため、コストが上昇し、且つ、長期間使用時の
信頼性に欠けるという不都合がある。更に、低合金構造
用鋼ボルトは強磁性を示すので、例えば、VTR、各種コ
ンピュータ等の電子危機に使用されるボルト等、非磁性
が要求される用途に適用することができない。
従って、厳しい腐食環境下では、耐食性に優れたオース
テナイト系ステンレス鋼を使用しているが、オーステナ
イト系ステンレス鋼は強度が低いという問題がある。こ
のオーステナイト系ステンレス鋼に冷間加工を施すと強
度は上昇するものの、加工硬化が著しく、しかも加工誘
起マルテンサイトが生成してボルト成形が困難となり、
その上透磁率も上昇するという問題が生じる。
テナイト系ステンレス鋼を使用しているが、オーステナ
イト系ステンレス鋼は強度が低いという問題がある。こ
のオーステナイト系ステンレス鋼に冷間加工を施すと強
度は上昇するものの、加工硬化が著しく、しかも加工誘
起マルテンサイトが生成してボルト成形が困難となり、
その上透磁率も上昇するという問題が生じる。
一方、六角ボルト等角形頭部を有するボルトは、通常、
先ず頭部となる素材部を据え込み、偏平にした後、トリ
ミングダイスで頭部を角形に打ち抜く(トリマー方式)
ことにより製造されている。
先ず頭部となる素材部を据え込み、偏平にした後、トリ
ミングダイスで頭部を角形に打ち抜く(トリマー方式)
ことにより製造されている。
しかしながら、この方法では、材料の歩留りが悪く、頭
部の塑性変形の流れ(メタルフロー)を切断するので強
度的に充分でないという問題がある。しかも、頭部成形
時に大きな塑性変形が加わり加工硬化するので、高強度
の材料になるほどトリンミングが困難になり、ダイスの
寿命も短くなってしまう。従って、従来のトリマー方式
は引張強さが70kgf/mm2以上のボルト成形には、経済的
にみて適さない。このトリミングの問題を避けるため
に、頭部を角形に予備成形し、次工程で位置決め、型鍛
造する方法が提案されているが、しかし、位置決めが困
難であり、頭部形状を寸法精度よく成形することができ
ないという問題がある。
部の塑性変形の流れ(メタルフロー)を切断するので強
度的に充分でないという問題がある。しかも、頭部成形
時に大きな塑性変形が加わり加工硬化するので、高強度
の材料になるほどトリンミングが困難になり、ダイスの
寿命も短くなってしまう。従って、従来のトリマー方式
は引張強さが70kgf/mm2以上のボルト成形には、経済的
にみて適さない。このトリミングの問題を避けるため
に、頭部を角形に予備成形し、次工程で位置決め、型鍛
造する方法が提案されているが、しかし、位置決めが困
難であり、頭部形状を寸法精度よく成形することができ
ないという問題がある。
このように、従来は、高強度ボルトの素材として、低合
金構造用鋼は耐食性及び磁性の点で、又、オーステナイ
ト系ステンレス鋼は強度とオーステナイト相の安定性の
点で夫々問題を有しており、更に、従来のボルトの製造
方法は、高強度材に適用するには充分でないという問題
がある。
金構造用鋼は耐食性及び磁性の点で、又、オーステナイ
ト系ステンレス鋼は強度とオーステナイト相の安定性の
点で夫々問題を有しており、更に、従来のボルトの製造
方法は、高強度材に適用するには充分でないという問題
がある。
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、高
強度及び耐食性を備え、更に、非磁性が要求される用途
にも使用可能な高強度ステンレス鋼ボルトを高い歩留り
で低廉に製造する方法を提供することを目的とする。
強度及び耐食性を備え、更に、非磁性が要求される用途
にも使用可能な高強度ステンレス鋼ボルトを高い歩留り
で低廉に製造する方法を提供することを目的とする。
(問題点を解決するための手段および作用) 本発明者らは、高強度ボルトの素材及び製造工程の両者
につき検討を重ねた結果、先ず、高強度ボルトの素材と
して、本発明者らの先の出願にかかる非磁性高強度ステ
ンレス鋼(特開昭62−20855号)の各成分元素を更に特
定の範囲に限定すると、高強度ボルトとして必要な冷間
加工性と強度を確保できるということを見出した。即
ち、変形初期の強度が高く、伸線とボルト成形時の軽い
冷間加工により90kgf/mm2以上の引張強さが得られ、し
かも、加工硬化が小さいので大きな塑性変形が加わるボ
ルト頭部の強度はSUS304より低く、充分加工できるもの
である。そして、頭部強度は通常のSUSXM7より高いので
量産時のトリミング成形には困難性を伴うが、頭部程度
の変形量では、割れ等の問題はない。そこで、型圧造で
頭部を精度良く成形する、所謂「インデント方式」(特
願昭62−69553号)を採用したところ、90kgf/mm2以上の
引張強さと72kgf/mm2以上の0.2%耐力とを兼ね備えた高
強度ステンレス鋼ボルトを製造しうることが確認され
た。
につき検討を重ねた結果、先ず、高強度ボルトの素材と
して、本発明者らの先の出願にかかる非磁性高強度ステ
ンレス鋼(特開昭62−20855号)の各成分元素を更に特
定の範囲に限定すると、高強度ボルトとして必要な冷間
加工性と強度を確保できるということを見出した。即
ち、変形初期の強度が高く、伸線とボルト成形時の軽い
冷間加工により90kgf/mm2以上の引張強さが得られ、し
かも、加工硬化が小さいので大きな塑性変形が加わるボ
ルト頭部の強度はSUS304より低く、充分加工できるもの
である。そして、頭部強度は通常のSUSXM7より高いので
量産時のトリミング成形には困難性を伴うが、頭部程度
の変形量では、割れ等の問題はない。そこで、型圧造で
頭部を精度良く成形する、所謂「インデント方式」(特
願昭62−69553号)を採用したところ、90kgf/mm2以上の
引張強さと72kgf/mm2以上の0.2%耐力とを兼ね備えた高
強度ステンレス鋼ボルトを製造しうることが確認され
た。
即ち、本発明の高強度ステンレス鋼ボルトの製造方法に
よれば、重量%で、C:0.01〜0.05%、Si:0.1〜1.0%、M
n:1.0〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cu:1.0〜
4.0%、Ni:8〜16%、Cr:16〜22%、N:0.05〜0.35%、A
l:0.05%以下、Mg:0.001〜0.050%、Ca:0.001〜0.050%
を含有すると共に、V:0.03〜0.30%、Ti:0.03〜0.30
%、及びNb+Ta:0.03〜0.30%のうちの少なくとも1種
を含有し、残部実質的にFe及び不可避不純物からなり、
素材製造とボルト成形時の冷間加工量との関係が、次
式: Pα≦246exp(−0.269ε)−20 … (但し、 Pα=824−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn− 13.7Cr−29(Ni+Cu)−68(Nd+Ta) … であり、式中、C、N、…、Nb、Taは各元素の重量%
を示す。又、εは冷間加工歪(真歪で正の値にとる)を
示す。) を満足するように成分調整されたステンレス鋼よりなる
線材又は棒材に固溶化処理を施したのち、冷間加工を施
し、次いで該棒材を一定寸法に切断すると同時に該切断
された材料を圧造部へ移送してパンチとダイスとにより
鍛圧し軸部の一端に所定の頭部形状を有するボルト材を
製造する方法であって、該製造工程が、頭部となる部分
を残して軸部に前記素材製造時の冷間加工と合わせて減
面率で20%以上の絞り加工を施し当該軸部分の先端に円
筒頭部を成形する第1の工程と、該円筒頭部をダイス型
孔より突出するように据込んでパンチで叩打し先端が偏
平な円錐頭部とする第2の工程と、該第2の工程で得ら
れたボルト材を所定形状のダイス型孔に没入するように
パンチで据込んで頭部の頂面に凹みを形成すると同時に
頭部の外周を所定形状に張り出すように圧造する第3の
工程と、該頭部をダイス型孔より突出するように支持し
た状態で頭部の凹みを端面矯正する第4の工程とからな
り、更に、ねじ成形を行った後、300〜600℃で時効処理
を施すこととしたものである。
よれば、重量%で、C:0.01〜0.05%、Si:0.1〜1.0%、M
n:1.0〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cu:1.0〜
4.0%、Ni:8〜16%、Cr:16〜22%、N:0.05〜0.35%、A
l:0.05%以下、Mg:0.001〜0.050%、Ca:0.001〜0.050%
を含有すると共に、V:0.03〜0.30%、Ti:0.03〜0.30
%、及びNb+Ta:0.03〜0.30%のうちの少なくとも1種
を含有し、残部実質的にFe及び不可避不純物からなり、
素材製造とボルト成形時の冷間加工量との関係が、次
式: Pα≦246exp(−0.269ε)−20 … (但し、 Pα=824−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn− 13.7Cr−29(Ni+Cu)−68(Nd+Ta) … であり、式中、C、N、…、Nb、Taは各元素の重量%
を示す。又、εは冷間加工歪(真歪で正の値にとる)を
示す。) を満足するように成分調整されたステンレス鋼よりなる
線材又は棒材に固溶化処理を施したのち、冷間加工を施
し、次いで該棒材を一定寸法に切断すると同時に該切断
された材料を圧造部へ移送してパンチとダイスとにより
鍛圧し軸部の一端に所定の頭部形状を有するボルト材を
製造する方法であって、該製造工程が、頭部となる部分
を残して軸部に前記素材製造時の冷間加工と合わせて減
面率で20%以上の絞り加工を施し当該軸部分の先端に円
筒頭部を成形する第1の工程と、該円筒頭部をダイス型
孔より突出するように据込んでパンチで叩打し先端が偏
平な円錐頭部とする第2の工程と、該第2の工程で得ら
れたボルト材を所定形状のダイス型孔に没入するように
パンチで据込んで頭部の頂面に凹みを形成すると同時に
頭部の外周を所定形状に張り出すように圧造する第3の
工程と、該頭部をダイス型孔より突出するように支持し
た状態で頭部の凹みを端面矯正する第4の工程とからな
り、更に、ねじ成形を行った後、300〜600℃で時効処理
を施すこととしたものである。
以下に、本発明の製造方法に使用されるステンレス鋼の
成分元素の組成範囲の限定理由について説明する。
成分元素の組成範囲の限定理由について説明する。
C:0.01〜0.05% Cは、母相に固溶して基地を強化する一方、炭窒化物の
形成元素としても強力に作用する。しかし、オーステナ
イトを安定化し、加工誘起マルテンサイトを抑制する作
用が大きい。そこで、このような作用を得るために0.01
%以上とした。しかし、0.05%を超えると、冷間加工性
及び耐食性が著しく劣化するのでその上限を0.05%とし
た。
形成元素としても強力に作用する。しかし、オーステナ
イトを安定化し、加工誘起マルテンサイトを抑制する作
用が大きい。そこで、このような作用を得るために0.01
%以上とした。しかし、0.05%を超えると、冷間加工性
及び耐食性が著しく劣化するのでその上限を0.05%とし
た。
N:0.05〜0.35% Nは、Cと同様に基地の強化と加工誘起マルテンサイト
の抑制、並びに、耐食性及び耐孔食性の向上に寄与する
元素である。このような効果を得るためには、0.05%以
上添加することが必要である。しかし、多過ぎると鋼塊
溶製時の気泡生成が多くなると共に分塊時の加工性が低
下するため、その上限を0.35とした。
の抑制、並びに、耐食性及び耐孔食性の向上に寄与する
元素である。このような効果を得るためには、0.05%以
上添加することが必要である。しかし、多過ぎると鋼塊
溶製時の気泡生成が多くなると共に分塊時の加工性が低
下するため、その上限を0.35とした。
Si:0.1〜1.0% Siは、製鋼時の脱酸剤として炭化される元素であり、こ
のような作用を得るためには0.1%以上必要である。し
かし、1.0%を超えて添加すると、フェライトが生成し
易くなるのみならず、冷間加工性が低下するのでその上
限を1.0%とした。
のような作用を得るためには0.1%以上必要である。し
かし、1.0%を超えて添加すると、フェライトが生成し
易くなるのみならず、冷間加工性が低下するのでその上
限を1.0%とした。
Mn:1.0〜3.0% Mnは、製鋼時の脱酸及び脱硫剤として添加され、且つN
の溶解度を増加すると共に、加工誘起マルテンサイトを
抑制する効果がある。この効果を得るためには、1.0%
以上添加する必要がある。しかし、3.0%を超えると加
工硬化が増大し、冷間加工性を低下させ、しかも、耐食
性を劣化させるためその上限を3.0%とした。
の溶解度を増加すると共に、加工誘起マルテンサイトを
抑制する効果がある。この効果を得るためには、1.0%
以上添加する必要がある。しかし、3.0%を超えると加
工硬化が増大し、冷間加工性を低下させ、しかも、耐食
性を劣化させるためその上限を3.0%とした。
Al:0.05%以下 Alは、通常脱酸剤として使用されるが、多量に含有する
とAlNを形成し、有効なN量を減少させると共に、酸化
物系介在物として残留して熱間及び冷間加工性を阻害す
るので、その上限を0.05%とした。
とAlNを形成し、有効なN量を減少させると共に、酸化
物系介在物として残留して熱間及び冷間加工性を阻害す
るので、その上限を0.05%とした。
Mg:0.001〜0.050% Mgは、Alと共に脱酸剤として作用すると共に、有害なS
を固定して熱間加工性を向上させ、N添加による加工性
の劣化を補うのに資する元素である。しかし、0.001%
未満では充分な効果が得られず、一方、0.050%を超え
て添加してもその効果を飽和してしまうので、0.001〜
0.050%の範囲とした。
を固定して熱間加工性を向上させ、N添加による加工性
の劣化を補うのに資する元素である。しかし、0.001%
未満では充分な効果が得られず、一方、0.050%を超え
て添加してもその効果を飽和してしまうので、0.001〜
0.050%の範囲とした。
Ca:0.001〜0.050% Caは、被削性及び熱間加工性の向上のために0.001%以
上添加する必要があるが、0.050%を超えると効果が飽
和するので、その上限を0.050%とした。
上添加する必要があるが、0.050%を超えると効果が飽
和するので、その上限を0.050%とした。
P:0.03%以下 Pは、耐食性を劣化させる元素であるため極力少量に抑
えることが好ましく、その上限を0.03%とした。
えることが好ましく、その上限を0.03%とした。
Cu:1.0〜4.0% Cuは、耐食性を向上させ、しかも、加工硬化率を低下さ
せて冷間加工性を向上させるのに有効な元素である。こ
のような効果を充分に発揮させるためには、1.0%以上
添加する必要があるが、多過ぎると熱間加工性を阻害す
るので、その上限を4.0%とした。
せて冷間加工性を向上させるのに有効な元素である。こ
のような効果を充分に発揮させるためには、1.0%以上
添加する必要があるが、多過ぎると熱間加工性を阻害す
るので、その上限を4.0%とした。
Ni:8〜16% Niは、オーステナイト安定化元素であり、ステンレス鋼
をオーステナイト相とするための主要な元素であると同
時に、加工誘起マルテンサイトの抑制にも必要な元素で
ある。そして、これを8%以上含有させればオーステナ
イト単相の組織が得られ、含有量が多いほどオーステナ
イト相は安定となり、冷間加工性も向上するが、Niは高
価であるため経済性を勘案して8〜16の範囲とした。
をオーステナイト相とするための主要な元素であると同
時に、加工誘起マルテンサイトの抑制にも必要な元素で
ある。そして、これを8%以上含有させればオーステナ
イト単相の組織が得られ、含有量が多いほどオーステナ
イト相は安定となり、冷間加工性も向上するが、Niは高
価であるため経済性を勘案して8〜16の範囲とした。
Cr:16〜22% Crは、耐食性を向上させるのに寄与する元素であり、こ
のような効果を得るために16%以上含有させる必要があ
るが、多量に添加するとフェライトを生成するので16〜
22%の範囲とした。
のような効果を得るために16%以上含有させる必要があ
るが、多量に添加するとフェライトを生成するので16〜
22%の範囲とした。
V:0.03〜0.30% Vは炭窒化物を形成し、結晶粒を微細化して強化に寄与
する元素である。しかし、0.03未満ではこのような効果
が得られず、0.30%を超えるとその効果が飽和すると共
に冷間加工性が低下するので、添加量を0.03〜0.30%の
範囲とした。
する元素である。しかし、0.03未満ではこのような効果
が得られず、0.30%を超えるとその効果が飽和すると共
に冷間加工性が低下するので、添加量を0.03〜0.30%の
範囲とした。
Ti:0.3〜0.30% TiはVと同様に炭窒化物を形成し、結晶粒を微細化して
基地の強化に寄与する元素である。しかし、0.03%未満
ではこのような効果を充分に発揮させることができず、
一方、0.30%を超えるとその効果が飽和すると共に冷間
加工性が低下するので、添加量を0.03〜0.30%の範囲と
した。
基地の強化に寄与する元素である。しかし、0.03%未満
ではこのような効果を充分に発揮させることができず、
一方、0.30%を超えるとその効果が飽和すると共に冷間
加工性が低下するので、添加量を0.03〜0.30%の範囲と
した。
Nb+Ta:0.03〜0.30% Nb、Taは、Vと同様に炭窒化物を形成し、結晶粒の微細
化により基地の強化に寄与する。しかし、0.03%未満で
はこの効果を充分に発揮させることができず、一方、多
量に添加すると窒化物が介在物として残留し、冷間加工
性を阻害するので、特に強度が必要な場合にNb及びTaの
1種もしくは2種を添加する。但し、その上限は冷間加
工性を害さないように0.30%とする必要がある。
化により基地の強化に寄与する。しかし、0.03%未満で
はこの効果を充分に発揮させることができず、一方、多
量に添加すると窒化物が介在物として残留し、冷間加工
性を阻害するので、特に強度が必要な場合にNb及びTaの
1種もしくは2種を添加する。但し、その上限は冷間加
工性を害さないように0.30%とする必要がある。
本発明においては、上記のV、Ti及びNb+Taのうち、少
なくとも1種を含有する必要がある。
なくとも1種を含有する必要がある。
更に、上記した組成のステンレス鋼は、前述の式及び
を満足するように成分調整される。これは前述した特
開昭62−20855号公報に詳細に記載したように、冷間加
工性及び耐遅れ破壊性にとって有害である加工誘起マル
テンサイトの生成を抑制するために必要である。
を満足するように成分調整される。これは前述した特
開昭62−20855号公報に詳細に記載したように、冷間加
工性及び耐遅れ破壊性にとって有害である加工誘起マル
テンサイトの生成を抑制するために必要である。
次に、本発明の製造工程を添付図面に基づき、順を追っ
て説明する。
て説明する。
先ず、上記した成分組成のステンレス鋼よりなる線材又
は棒材に固溶化処理を施した後、脱スケールを行い、次
いで、潤滑被膜処理を施し、更に軽い冷間加工を施した
のち、この連続した線材又は棒材を送り装置によりコイ
ルの先端口へ間欠的に移送して当該先端口を横切るよう
に移動する可動ナイフで切断することにより一定の長さ
のボルト材1を得る(第1図(a)、第2図(a))。
は棒材に固溶化処理を施した後、脱スケールを行い、次
いで、潤滑被膜処理を施し、更に軽い冷間加工を施した
のち、この連続した線材又は棒材を送り装置によりコイ
ルの先端口へ間欠的に移送して当該先端口を横切るよう
に移動する可動ナイフで切断することにより一定の長さ
のボルト材1を得る(第1図(a)、第2図(a))。
このボルト材1は切断と同時に圧造部に送り込まれ、第
1の工程の圧造が行われる。この工程では、ダイス21の
直前に運ばれたボルト材1をパンチ11によりダイス型孔
21aに押し込んで叩打し、これによって軸部1aの前半が
絞られ残りの部分が頭部1bとなったボルト材1′が得ら
れる(第1図(b)、第2図(b))。本発明の製造方
法においては、この絞り加工の減面率を素材製造時の冷
間加工の減面率と合わせて20%以上となるように決定す
ることが必要である。この減面率が20%未満である場合
には、得られたボルトの引張強さが90kgf/mm2未満とな
り、強度的に充分とはならない。
1の工程の圧造が行われる。この工程では、ダイス21の
直前に運ばれたボルト材1をパンチ11によりダイス型孔
21aに押し込んで叩打し、これによって軸部1aの前半が
絞られ残りの部分が頭部1bとなったボルト材1′が得ら
れる(第1図(b)、第2図(b))。本発明の製造方
法においては、この絞り加工の減面率を素材製造時の冷
間加工の減面率と合わせて20%以上となるように決定す
ることが必要である。この減面率が20%未満である場合
には、得られたボルトの引張強さが90kgf/mm2未満とな
り、強度的に充分とはならない。
パンチ11が後退し、ダイス型孔21a内よりノックアウト
ピン31が突出して第1の工程のボルト材1を押し出す
と、それをトランスファチャックで掴んで第2の工程へ
移送する。
ピン31が突出して第1の工程のボルト材1を押し出す
と、それをトランスファチャックで掴んで第2の工程へ
移送する。
第2の工程では、第1の工程で得られたボルト材1′を
頭部1bが第2ダイス22の型孔22aから突出した状態で軸
部1aが据込まれるように圧入し、頭部1bを第2のパンチ
12で叩打すると、軸部1aはそのままで頭部1bが押圧変形
して先端が偏平な円錐頭部1cとなり、ボルト材1″が得
られる(第1図(c)、第2図(c))。
頭部1bが第2ダイス22の型孔22aから突出した状態で軸
部1aが据込まれるように圧入し、頭部1bを第2のパンチ
12で叩打すると、軸部1aはそのままで頭部1bが押圧変形
して先端が偏平な円錐頭部1cとなり、ボルト材1″が得
られる(第1図(c)、第2図(c))。
第3の工程では、角形頭部を圧造により成形するため、
第3ダイス23は軸孔23aとその入口側に角形孔23bとから
なるダイス金型が用いられ、対応する第3パンチ13は角
形孔23bを密閉するように嵌合する突軸13aを先端に有す
るものが用いられ、且つ突軸13aの端面に小球突起13bを
有するものが用いられる。
第3ダイス23は軸孔23aとその入口側に角形孔23bとから
なるダイス金型が用いられ、対応する第3パンチ13は角
形孔23bを密閉するように嵌合する突軸13aを先端に有す
るものが用いられ、且つ突軸13aの端面に小球突起13bを
有するものが用いられる。
この第3パンチ13により第2工程で得られたボルト材
1″を第3ダイス23に据込み圧入叩打すると、軸部1aは
そのままであるが頭部1cは一気に角形に圧造されて角形
頭部1dとなり、同時にその頭部1dの頂面に球状の凹み1e
が形成されたボルト材10が得られる(第1図(d)、第
2図(d))。
1″を第3ダイス23に据込み圧入叩打すると、軸部1aは
そのままであるが頭部1cは一気に角形に圧造されて角形
頭部1dとなり、同時にその頭部1dの頂面に球状の凹み1e
が形成されたボルト材10が得られる(第1図(d)、第
2図(d))。
この第3の工程における頭部頂面の凹み1eにより外周へ
の肉の張り出しが強くなり、且つ、それが密閉した空間
で行われるために一層角形が先鋭となる。又、この第3
工程では第2工程で得られたボルト材1″を第3ダイス
23へ据込む際には頭部1cは未だ円形であるため、方向性
を考慮する必要がない。
の肉の張り出しが強くなり、且つ、それが密閉した空間
で行われるために一層角形が先鋭となる。又、この第3
工程では第2工程で得られたボルト材1″を第3ダイス
23へ据込む際には頭部1cは未だ円形であるため、方向性
を考慮する必要がない。
第4の工程においては、第3の工程で得られたボルト材
10をノックアウトピン33で押し出してトランスファチャ
ックで第4ダイス24の直前に運び第4パンチ14によって
頭部整形を行う。
10をノックアウトピン33で押し出してトランスファチャ
ックで第4ダイス24の直前に運び第4パンチ14によって
頭部整形を行う。
第4の工程では第3の工程で形成された角形頭部1dの頂
部凹み1eを矯正するために第4ダイス24にボルト材10の
軸部1aを首下で支持するように据込み、パンチ側は型孔
14aの底部14bを平面にしたものが用いられる。又、この
場合のバンチ型孔14aは角形頭部1dの対角寸法を直径と
する円形に形成したものが用いられる。
部凹み1eを矯正するために第4ダイス24にボルト材10の
軸部1aを首下で支持するように据込み、パンチ側は型孔
14aの底部14bを平面にしたものが用いられる。又、この
場合のバンチ型孔14aは角形頭部1dの対角寸法を直径と
する円形に形成したものが用いられる。
このような第4パンチ14と第4ダイス24でボルト材10の
頭部1dを押圧叩打すると外周の角形はそのままで頂部の
凹み1eのみが平面となって正規の角形頭部1fとなり、ボ
ルト材完成品20が得られる(第1図(e)、第2図
(e))。尚、この工程における頭部の凹みの端面矯正
用パンチとしては、頭部の対角寸法に内接する円形孔パ
ンチもしくは対角寸法に内接する円形型孔で且つその周
縁にリード角をもつパンチを使用することが好ましい。
頭部1dを押圧叩打すると外周の角形はそのままで頂部の
凹み1eのみが平面となって正規の角形頭部1fとなり、ボ
ルト材完成品20が得られる(第1図(e)、第2図
(e))。尚、この工程における頭部の凹みの端面矯正
用パンチとしては、頭部の対角寸法に内接する円形孔パ
ンチもしくは対角寸法に内接する円形型孔で且つその周
縁にリード角をもつパンチを使用することが好ましい。
しかるのち、これをノックアウト34にて押し出し、別途
にその完成品20にねじ切りを行えば軸部1aの先端に角形
頭部1fをもち、且つ、軸部1aにねじ1gが刻設されたボル
ト製品30が得られる(第2図(f))。更に、これに30
0〜600℃の時効処理を施すと、引張強さが90kgf/mm以
上、0.2%耐力が72kgf/mm2以上のボルトが得られる。
にその完成品20にねじ切りを行えば軸部1aの先端に角形
頭部1fをもち、且つ、軸部1aにねじ1gが刻設されたボル
ト製品30が得られる(第2図(f))。更に、これに30
0〜600℃の時効処理を施すと、引張強さが90kgf/mm以
上、0.2%耐力が72kgf/mm2以上のボルトが得られる。
上記した製造工程において、角形頭部の圧造を最終2工
程で行い頭部頂面の凹み成形により角形の張り出しを1
回の圧造により確実に行い、しかも組織の流れに連続性
が損なわれないため強度が大幅に向上する。又、最終2
工程、特に最終工程において、ボルト材の方向性を問題
にしなくてもよいため、ボルトホーマによるボルトの圧
造を簡単にしかも高精度で行うことができる。
程で行い頭部頂面の凹み成形により角形の張り出しを1
回の圧造により確実に行い、しかも組織の流れに連続性
が損なわれないため強度が大幅に向上する。又、最終2
工程、特に最終工程において、ボルト材の方向性を問題
にしなくてもよいため、ボルトホーマによるボルトの圧
造を簡単にしかも高精度で行うことができる。
更に、最終工程ではトリマーパンチによるトリミングを
行わないため材料ロスが全く生じず、材料の節減を図り
コストを低減することが可能となる。
行わないため材料ロスが全く生じず、材料の節減を図り
コストを低減することが可能となる。
加えて、パンチ及びダイスの寿命が大幅に長くなり、生
産性並びに作業性を著しく向上させることができるとい
う利点がある。
産性並びに作業性を著しく向上させることができるとい
う利点がある。
尚、本発明の高強度ステンレス鋼ボルトの製造方法は上
記した六角形頭部を有するものに限らず、種々の形状、
例えば、四角、丸等の頭部を有するボルトに適用するこ
とが可能である。
記した六角形頭部を有するものに限らず、種々の形状、
例えば、四角、丸等の頭部を有するボルトに適用するこ
とが可能である。
(実施例) 第1表に示した各成分組成を有するステンレス鋼を大気
溶解、炉外精練により溶製した。しかるのち、分塊圧
延、線材圧延、線引及び固溶化処理の各工程を経て供試
材を得た。
溶解、炉外精練により溶製した。しかるのち、分塊圧
延、線材圧延、線引及び固溶化処理の各工程を経て供試
材を得た。
このようにして得られた各材料の室温圧縮試験における
変形抵抗(真応力)σと圧縮塑性歪(真歪)εとの関係
を第3図に示した。尚、各供試材の0.2%耐力及び引張
強さ、並びに、各供試材について、上記式の右辺及び
左辺の値を計算した結果、その関係が上記式を満足す
るものを○、満足しないものを×として第1表中に示し
た。
変形抵抗(真応力)σと圧縮塑性歪(真歪)εとの関係
を第3図に示した。尚、各供試材の0.2%耐力及び引張
強さ、並びに、各供試材について、上記式の右辺及び
左辺の値を計算した結果、その関係が上記式を満足す
るものを○、満足しないものを×として第1表中に示し
た。
第1表及び第1図からも明らかなように、各供試材とも
ボルト頭部の変形量に近いε=1.6まで変形したが、す
べての材料で割れは発生しなかった。尚、SUS304、SUS3
16及びSUS304N2は加工硬化量が大きく、ε=1.6で変形
抵抗が200kgf/mm2以上であり、頭部の変形には大きな加
工力を要し、またトリミングダイスへの負荷も大きいこ
とが確認された。加えて、SUS304とSUS316は強度も低
い。又、ボルトに多用されているSUSXM7は、加工硬化量
が小さく冷間加工性に優れているものの、強度が低い。
ボルト頭部の変形量に近いε=1.6まで変形したが、す
べての材料で割れは発生しなかった。尚、SUS304、SUS3
16及びSUS304N2は加工硬化量が大きく、ε=1.6で変形
抵抗が200kgf/mm2以上であり、頭部の変形には大きな加
工力を要し、またトリミングダイスへの負荷も大きいこ
とが確認された。加えて、SUS304とSUS316は強度も低
い。又、ボルトに多用されているSUSXM7は、加工硬化量
が小さく冷間加工性に優れているものの、強度が低い。
これに対して、本発明において使用するステンレス鋼A
〜Eは、何れも強度が高く、しかも、加工硬化量が小さ
い。又、ε=1.6の変形抵抗も150〜170kgf/mm2とSUSXM7
よりは高いものの、SUS304、SUS316及びSUS304N2に比べ
ると大幅に低い。従って、ステンレス鋼A〜Eは高強度
ステンレス鋼ボルトの素材として極めて有用であること
が確認された。
〜Eは、何れも強度が高く、しかも、加工硬化量が小さ
い。又、ε=1.6の変形抵抗も150〜170kgf/mm2とSUSXM7
よりは高いものの、SUS304、SUS316及びSUS304N2に比べ
ると大幅に低い。従って、ステンレス鋼A〜Eは高強度
ステンレス鋼ボルトの素材として極めて有用であること
が確認された。
次に、上記した本発明の鋼種のうち、鋼Aを用いて、冷
間加工減面率と頭部成形法とを変えてM12ボルトを製造
し、時効処理を施した時の結果を第2表に示した。表か
らも明らかなように、A鋼を用いて、インデント方式で
頭部の成形を行うと製造性が極めて良好となる。又、軸
部及びねじ部に、素材製造時の減面率とボルト成形時の
減面率との合計が20%以上のものは、90kgf/mm2以上の
引張強さを有していることが確認された。一方、従来材
であるSUSXM7では強度が低い。
間加工減面率と頭部成形法とを変えてM12ボルトを製造
し、時効処理を施した時の結果を第2表に示した。表か
らも明らかなように、A鋼を用いて、インデント方式で
頭部の成形を行うと製造性が極めて良好となる。又、軸
部及びねじ部に、素材製造時の減面率とボルト成形時の
減面率との合計が20%以上のものは、90kgf/mm2以上の
引張強さを有していることが確認された。一方、従来材
であるSUSXM7では強度が低い。
(発明の効果) 以上説明したように本発明によれば、重量%で、C:0.01
〜0.05%、Si:0.1〜1.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.03%以
下、S:0.03%以下、Cu:1.0〜4.0%、Ni:8〜16%、Cr:16
〜22%、N:0.05〜0.35%、Al:0.05%以下、Mg:0.001〜
0.050%、Ca:0.001〜0.050%を含有すると共に、V:0.03
〜0.30%、Ti:0.03〜0.30%、及びNb+Ta:0.03〜0.30%
のうちの少なくとも1種を含有し、残部実質的にFe及び
不可避不純物からなり、素材製造とボルト成形時の冷間
加工量との関係が、次式: Pα≦246exp(−0.269ε)−20 … (但し、 Pα=824−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn− 13.7Cr−29(Ni+Cu)−68(Nd+Ta) … であり、式中、C、N、…、Nb、Taは各元素の重量%
を示す。又、εは冷間加工歪(真歪で正の値にとる)を
示す。) を満足するように成分調整されたステンレス鋼よりなる
線材又は棒材に固溶化処理を施したのち、冷間加工を施
し、次いで該棒材を一定寸法に切断すると同時に該切断
された材料を圧造部へ移送してパンチとダイスとにより
鍛圧し軸部の一端に所定形状の頭部を有するボルト材を
製造する方法であって、該製造工程が、頭部となる部分
を残して軸部に前記素材製造時の冷間加工と合わせて減
面率で20%以上の絞り加工を施し当該軸部分の先端に円
筒頭部を成形する第1の工程と、該円筒頭部をダイス型
孔より突出するように据込んでパンチで叩打し先端が偏
平な円錐頭部とする第2の工程と、該第2の工程で得ら
れたボルト材を所定形状のダイス型孔に没入するように
パンチで据込んで頭部の頂面に凹みを形成すると同時に
頭部の外周を所定形状に張り出すように圧造する第3の
工程と、該頭部をダイス型孔より突出するように支持し
た状態で頭部の凹みを端面矯正する第4の工程とからな
り、更に、ねじ成形を行った後、300〜600℃で時効処理
を施すこととしたので、耐食性に優れた非磁性高強度ボ
ルトを安価に製造することが可能となる。従って、野外
等の腐食環境下で使用される建築用高強度ボルトや装置
の外装用ボルトに適用した場合、信頼性が向上し、塗装
等の表面被覆が不要となり、経済性が著しく向上すると
いう利点を有する。
〜0.05%、Si:0.1〜1.0%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.03%以
下、S:0.03%以下、Cu:1.0〜4.0%、Ni:8〜16%、Cr:16
〜22%、N:0.05〜0.35%、Al:0.05%以下、Mg:0.001〜
0.050%、Ca:0.001〜0.050%を含有すると共に、V:0.03
〜0.30%、Ti:0.03〜0.30%、及びNb+Ta:0.03〜0.30%
のうちの少なくとも1種を含有し、残部実質的にFe及び
不可避不純物からなり、素材製造とボルト成形時の冷間
加工量との関係が、次式: Pα≦246exp(−0.269ε)−20 … (但し、 Pα=824−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn− 13.7Cr−29(Ni+Cu)−68(Nd+Ta) … であり、式中、C、N、…、Nb、Taは各元素の重量%
を示す。又、εは冷間加工歪(真歪で正の値にとる)を
示す。) を満足するように成分調整されたステンレス鋼よりなる
線材又は棒材に固溶化処理を施したのち、冷間加工を施
し、次いで該棒材を一定寸法に切断すると同時に該切断
された材料を圧造部へ移送してパンチとダイスとにより
鍛圧し軸部の一端に所定形状の頭部を有するボルト材を
製造する方法であって、該製造工程が、頭部となる部分
を残して軸部に前記素材製造時の冷間加工と合わせて減
面率で20%以上の絞り加工を施し当該軸部分の先端に円
筒頭部を成形する第1の工程と、該円筒頭部をダイス型
孔より突出するように据込んでパンチで叩打し先端が偏
平な円錐頭部とする第2の工程と、該第2の工程で得ら
れたボルト材を所定形状のダイス型孔に没入するように
パンチで据込んで頭部の頂面に凹みを形成すると同時に
頭部の外周を所定形状に張り出すように圧造する第3の
工程と、該頭部をダイス型孔より突出するように支持し
た状態で頭部の凹みを端面矯正する第4の工程とからな
り、更に、ねじ成形を行った後、300〜600℃で時効処理
を施すこととしたので、耐食性に優れた非磁性高強度ボ
ルトを安価に製造することが可能となる。従って、野外
等の腐食環境下で使用される建築用高強度ボルトや装置
の外装用ボルトに適用した場合、信頼性が向上し、塗装
等の表面被覆が不要となり、経済性が著しく向上すると
いう利点を有する。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の各製造工程における圧造部の横断平面
図、第2図は本発明によるボルトの製造工程順を示す一
部破断側面図、第3図はオーステナイト系ステンレス鋼
の変形抵抗(真応力)と圧縮塑性歪(真歪)との関係を
示すグラフである。 1……材料、1′、1″、10、20……ボルト材、1a……
軸部、1b、1c……頭部、1d、1f……角形頭部、11、12、
13、14……パンチ。
図、第2図は本発明によるボルトの製造工程順を示す一
部破断側面図、第3図はオーステナイト系ステンレス鋼
の変形抵抗(真応力)と圧縮塑性歪(真歪)との関係を
示すグラフである。 1……材料、1′、1″、10、20……ボルト材、1a……
軸部、1b、1c……頭部、1d、1f……角形頭部、11、12、
13、14……パンチ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−235040(JP,A) 特開 昭62−20855(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】重量%で、C:0.01〜0.05%、Si:0.1〜1.0
%、Mn:1.0〜3.0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cu:
1.0〜4.0%、Ni:8〜16%、Cr:16〜22%、N:0.05〜0.35
%、Al:0.05%以下、Mg:0.001〜0.050%、Ca:0.001〜0.
050%を含有すると共に、V:0.03〜0.30%、Ti:0.03〜0.
30%、及びNb+Ta:0.03〜0.30%のうちの少なくとも1
種を含有し、残部実質的にFe及び不可避不純物からな
り、素材製造とボルト成形時の冷間加工量との関係が、
次式: Pα≦246exp(−0.269ε)−20 … (但し、 Pα=824−462(C+N)−9.2Si−8.1Mn− 13.7Cr−29(Ni+Cu)−68(Nd+Ta) … であり、式中、C、N、…、Nb、Taは各元素の重量%
を示す。又、εは冷間加工歪(真歪で正の値にとる)を
示す。) を満足するように成分調整されたステンレス鋼よりなる
線材又は棒材に固溶化処理を施したのち、冷間加工を施
し、次いで該棒材を一定寸法に切断すると同時に該切断
された材料を圧造部へ移送してパンチとダイスとにより
鍛圧し軸部の一端に所定の頭部形状を有するボルト材を
製造する方法であって、該製造工程が、頭部となる部分
を残して軸部に前記素材製造時の冷間加工と合わせて減
面率で20%以上の絞り加工を施し当該軸部分の先端に円
筒頭部を成形する第1の工程と、該円筒頭部をダイス型
孔より突出するように据込んでパンチで叩打し先端が偏
平な円錐頭部とする第2の工程と、該第2の工程で得ら
れたボルト材を所定形状のダイス型孔に没入するように
パンチで据込んで頭部の頂面に凹みを形成すると同時に
頭部の外周を所定形状に張り出すように圧造する第3の
工程と、該頭部をダイス型孔より突出するように支持し
た状態で頭部の凹みを端面矯正する第4の工程とからな
り、更に、ねじ成形を行った後、300〜600℃で時効処理
を施すことを特徴とする高強度ステンレス鋼ボルトの製
造方法。 - 【請求項2】前記第4の工程における頭部の凹みの端面
矯正は、対角寸法に内接する円形型孔のパンチで行うこ
とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の高強度ステ
ンレス鋼ボルトの製造方法。 - 【請求項3】前記第4の工程における頭部の凹みの端面
矯正は、対角寸法に内接する円形型孔で且つその周縁部
にリード角をもつパンチで行うことを特徴とする特許請
求の範囲第1項記載の高強度ステンレス鋼ボルトの製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25633287A JPH0767593B2 (ja) | 1987-10-13 | 1987-10-13 | 高強度ステンレス鋼ボルトの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25633287A JPH0767593B2 (ja) | 1987-10-13 | 1987-10-13 | 高強度ステンレス鋼ボルトの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0199740A JPH0199740A (ja) | 1989-04-18 |
JPH0767593B2 true JPH0767593B2 (ja) | 1995-07-26 |
Family
ID=17291202
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25633287A Expired - Lifetime JPH0767593B2 (ja) | 1987-10-13 | 1987-10-13 | 高強度ステンレス鋼ボルトの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0767593B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104325064A (zh) * | 2014-11-06 | 2015-02-04 | 苏州工业园区新凯精密五金有限公司 | 一种配重块冷镦成型工艺及其预镦大台阶的模具结构 |
Families Citing this family (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5257453A (en) * | 1991-07-31 | 1993-11-02 | Trw Inc. | Process for making exhaust valves |
JP2838134B2 (ja) * | 1993-05-25 | 1998-12-16 | 株式会社栗本鐵工所 | ステンレス鋼製のt頭ボルトの製造方法 |
US7721407B2 (en) | 2006-05-04 | 2010-05-25 | Brammall, Inc. | Method of manufacturing a security device |
JP4944525B2 (ja) * | 2006-07-18 | 2012-06-06 | 株式会社神戸製鋼所 | ボルトの製造方法、ボルト、ボルト用の形材、ボルト用の形材の成形装置及びボルト用の形材の成形方法 |
JP5062760B2 (ja) * | 2008-08-25 | 2012-10-31 | 第一工業株式会社 | ボルトの製造方法、ボルト製造装置およびボルト製造用金型 |
CN101767174B (zh) * | 2010-02-25 | 2012-05-30 | 无锡透平叶片有限公司 | 用于长棒料两端连续镦头的胎模镦粗装置 |
JP6091046B2 (ja) | 2010-11-10 | 2017-03-08 | 株式会社トープラ | アルミ合金ボルトの製造方法及びアルミ合金ボルト |
CN102240775A (zh) * | 2011-05-09 | 2011-11-16 | 江苏华灿电讯股份有限公司 | 一种馈线卡具车咀螺栓成型工艺 |
JP4975879B1 (ja) * | 2011-07-15 | 2012-07-11 | 株式会社ヤマザキアクティブ | 弛み止めボルト及びその製造方法 |
CN107475755A (zh) * | 2017-07-17 | 2017-12-15 | 南京工业大学 | 复合螺栓及其制备方法 |
JP7019389B2 (ja) * | 2017-11-21 | 2022-02-15 | 高周波熱錬株式会社 | ボルトの製造方法 |
KR102201980B1 (ko) * | 2020-01-22 | 2021-01-11 | 이윤배 | 다단접지구조를 갖는 접지장치용 볼트, 볼트를 제조하는 방법 및 그 볼트 제조 방법에 사용되는 금형 |
CN112548022A (zh) * | 2020-12-04 | 2021-03-26 | 上海奥达科股份有限公司 | 一种大盘头油槽螺栓的加工方法及装置 |
-
1987
- 1987-10-13 JP JP25633287A patent/JPH0767593B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104325064A (zh) * | 2014-11-06 | 2015-02-04 | 苏州工业园区新凯精密五金有限公司 | 一种配重块冷镦成型工艺及其预镦大台阶的模具结构 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0199740A (ja) | 1989-04-18 |
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