JP5062760B2 - ボルトの製造方法、ボルト製造装置およびボルト製造用金型 - Google Patents

ボルトの製造方法、ボルト製造装置およびボルト製造用金型 Download PDF

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Description

本発明は、塑性加工によりボルトを製造するボルトの製造法、ボルト製造装置およびボルト製造用金型に関する。
従来から、機械部品などの締結に用いられる機械要素としてのボルトは、切削加工や塑性加工などにより製造されている。これらのうち、塑性加工は、切削加工などの他の製造方法に比べて生産性および経済性に優れていることから産業界において多用されている。一般に、塑性加工によるボルトの製造は、素材を冷間鍛造法などにより塑性変形させてボルトの形状を成形した後、熱処理を施してボルトの機械的性質の調整が行われている。この場合、ボルトの熱処理は、塑性加工による内部応力を除去してボルトに機械的強度および靭性を付加する極めて重要な工程である。
しかし、ボルトの製造工程における熱処理は、熱処理に必要な時間的負担および経済的負担が大きくボルトの製造効率を低下させるという問題がある。また、熱処理は、寸法変化や表面粗さの悪化が不可避的に生じるため、熱処理後の仕上げ加工が必須であり、更にボルトの製造効率を低下させるという問題があった。このため、例えば、下記特許文献1および下記特許文献2には、ボルトの素材の構成成分や組成を工夫することにより熱処理を行わずにボルトを塑性加工して製造する方法がそれぞれ提案されている。
特開平08−3640号公報 特開2003−321745号公報
しかしながら、上記した各ボルトの製造方法においては、焼入れや焼戻しなどの熱処理を行わない一方で、ブルーイング処理、ベーキング処理または析出処理などの各種処理が必須の工程とされている。この場合、ブルーイング処理は約200〜400℃の温度に成形したボルトを加熱する処理であり、ベーキング処理は150〜250℃の温度に成形したボルトを加熱する処理であり、析出処理は550〜700℃の温度に成形したボルトを加熱する処理である。すなわち、上記した従来技術に係る各ボルトの製造方法においては、従来の熱処理に準じた熱処理が行われており、熱処理に必要な時間的負担および経済的負担が十分に解消されていないという問題があった。
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、塑性加工によるボルトの製造方法において、熱処理を行うことなく必要な機械的性質を備えたボルトを製造可能にすることにより、ボルトの製造に掛かる時間的および経済的負担を軽減することができるボルトの製造方法、ボルト製造装置およびボルト製造用金型を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、軸状に形成された素材を塑性変形させて外径を小径化する小径化工程と、素材における一方の端部を塑性変形させてボルトの頭部を成形する頭部成形工程とを含むボルトの製造方法において、頭部成形工程は、小径化した素材の外径未満の内径に形成された規制筒内に素材を配置することにより小径化した素材の外径を更に小径化しながらボルトの頭部を成形することにある。この場合、前記ボルトの製造方法において、前記素材は、例えば、冷間鍛造用鋼線材、ステンレス線材または非調質線材を用いるとよい。
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、小径化工程により外径が小径化された軸状の素材を頭部成形工程において、素材の外径の拡大を規制した状態でボルトの頭部の塑性加工を行っている。すなわち、小径化工程によって加工硬化した素材の外径の拡大を防止した状態でボルトの頭部の成形が行われる。これにより、一旦縮小変形した素材の外径が拡大変形することによる素材の降伏点の低下、すなわち、バウシンガー効果を抑制した状態でボルトの頭部の成形が行われる。そして、ボルトの頭部が形成された素材(半製品)に対して従来技術による雄ネジの成形(例えば、転造加工や切削加工)を行うことによりボルトが完成する。すなわち、小径化工程で強化された素材の機械的性質を維持した状態でボルトの製造が行われる。この結果、熱処理を行うことなく必要な機械的性質を備えたボルトを製造することができ、ボルトの製造に係る時間的および経済的負担を軽減することができる。なお、この場合、熱処理には、焼入れ、焼戻しの他、ブルーイング処理、ベーキング処理または析出処理などの処理も含むものである。
また、本発明の特徴によれば、素材の外径を規制する規制筒の内径が、小径化した素材の外径未満に形成されている。このため、頭部成形工程においては、素材の端部にボルトの頭部を成形する際、小径化した素材の外径を更に小径化する塑性加工が行われる。これにより、素材に対して更に加工効果が生じて機械的性質が強化される。この結果、熱処理を行うことなく機械的性質をより強化したボルトを製造することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記ボルトの製造方法において、頭部成形工程は、2回以上の複数の工程で構成されて各工程ごとに小径化した素材の外径を小径化しながら段階的にボルトの頭部を成形することにある。これによれば、小径化した素材を加工硬化により更に硬さ、降伏点および引張り強さなどの機械的性質を向上させることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記ボルトの製造方法において、頭部成形工程は、ボルトの頭部を規制筒とは別体で同規制筒に対向配置されるパンチ内で成形されることにある。これによれば、軸状に形成された素材の小径化を規制筒で行うとともに頭部をパンチで形成するため、規制筒の加工負担を軽減することができる。

また、請求項4に係る本発明の他の特徴は、前記ボルトの製造方法において、規制筒は、小径化した素材を挿入する開口部に同小径化した素材の外径より大径に形成された案内部を備えることにある。これによれば、規制筒内に素材を挿入し易くなるため、精度よく素材を規制筒内に挿入でき、頭部成形工程における加工精度を向上させることができる。
また、本発明はボルトの製造方法の発明として実施できるばかりでなく、同製造方法を用いたボルト製造装置および同製造方法に用いられるボルト製造用金型の発明としても実施できるものである。
以下、本発明に係るボルトの製造方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1〜図3は、本発明に係るボルトの製造方法における主要な工程の加工状態を模式的に示す断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。
(製造用金型10,20,30の構成)
本発明に係るボルトの製造方法においては、主として、3つのボルト製造用金型10,20,30を用いる。ボルト製造用金型10は、図1(A),(B)に示すように、主として、ダイ11とパンチ12とを備えている。
ダイ11は、ダイス鋼(例えば、JIS−SKD11)で構成された略円筒状の金型であり、その中心部に軸状の素材であるワークWKを収容して塑性加工するための縮径加工孔13を備えている。縮径加工孔13は、ダイ11の上部側に形成された大径部13aと同ダイ11の下側に形成された小径部13bとが絞り部13cを介して互いに連通した状態で形成されている。これらのうち、大径部13aは、製造されるボルトの頭部の外径を予備成形する部分である。一方、小径部13bは、製造されるボルトの首下部分(軸部とネジ部)の外径を予備成形する部分である。本実施形態においては、呼び径がM10のボルトの製造を想定し、大径部13aの外径を11.03mmとし、小径部の外径を9.05mmとしている。なお、ダイ11の上面における大径部13aの開口部にはワークWKを挿入し易くするための面取り加工が施されている。
パンチ12は、ダイ11の図示上方に配置され、ダイ11の縮径加工孔13内に挿入されて同縮径加工孔13内に配置されたワークWKを押圧する金型である。すなわち、パンチ12は、ダイ11と同様のダイス鋼(例えば、JIS−SKD11)で構成されており、ダイ11の縮径加工孔13の内径に対応した外径の略円柱状に形成されている。なお、図1(A),(B)においては、パンチ12の下側部分のみ示し上側部分を省略している。
ボルト製造用金型20は、図2(A),(B)に示すように、主として、ダイ21とパンチ22とを備えている。ダイ21は、ダイス鋼(例えば、JIS−SKD11)で構成された略円筒状の金型であり、その中心部に軸状の素材であるワークWKを収容して塑性加工するための縮径加工孔23を備えている。縮径加工孔23は、ダイ21の上面に開口する案内部23aと、同案内部23aに連通する小径部23bとで構成されている。これらのうち、案内部23aは、小径部23b内にワークWKを挿入し易くするための部分であり、前記縮径加工孔13の小径部13bより若干大きな内径で形成されている。
一方、小径部23bは、製造されるボルトの首下部分の外径を更に小径化して予備成形する部分であり、前記ダイ11における小径部13bの内径よりも小さく形成されている。本実施形態においては、案内部23aの外径を9.07mmとするとともに深さを5.00mmとし、小径部23bの外径を9.02mmとしている。
パンチ22は、ダイ21の図示上方に配置され、ダイ21の上面上においてワークWKを押圧することによりワークWKの上端部を塑性変形させてボルトの頭部の外形を予備成形するとともに、同ワークWKを縮径加工孔23内に押し込むための金型である。すなわち、パンチ22は、ダイ21と同様のダイス鋼(例えば、JIS−SKD11)で構成された略円柱状に形成されている。そして、パンチ22の下面中央部には、ワークWKの上端部を圧縮変形させることによりボルトの頭部を予備成形するための頭部成形部24がパンチ22の下面から窪んだ状態で形成されている。なお、図2(A),(B)においては、パンチ22の下側部分のみ示し上側部分を省略している。
ボルト製造用金型30は、図3(A),(B)に示すように、主として、ダイ31とパンチ32とを備えている。ダイ31は、ダイス鋼(例えば、JIS−SKD11)で構成された略円筒状の金型であり、その中心部に軸状の素材であるワークWKを収容して塑性加工するための縮径加工孔33を備えている。縮径加工孔33は、ダイ31の上面に開口する案内部33aと、同案内部33aに連通する小径部33bとで構成されている。これらのうち、案内部33aは、小径部33b内にワークWKを挿入し易くするための部分であり、前記縮径加工孔23の小径部23bより若干大きな内径で形成されている。
一方、小径部33bは、製造されるボルトの首下部分の外径を更に小径化して予備成形する部分であり、前記ダイ21における小径部23bの内径よりも小さく形成されている。本実施形態においては、案内部33aの外径を9.05mmとするとともに深さを5.00mmとし、小径部33bの外径を9.00mmとしている。
パンチ32は、ダイ31の図示上方に配置され、ダイ31の上面上においてワークWKを押圧することによりワークWKの上端部を塑性変形させてボルトの頭部の外形を最終成形するとともに、同ワークWKを縮径加工孔33内に押し込むための金型である。すなわち、パンチ32は、ダイ31と同様のダイス鋼(例えば、JIS−SKD11)で構成された略円柱状に形成されている。そして、パンチ32の下面中央部には、ワークWKの上端部を圧縮変形させることによりボルトの頭部を最終成形するための頭部成形部34がパンチ32の下面から窪んだ状態で形成されている。なお、図3(A),(B)においては、パンチ32の下側部分のみ示し上側部分を省略している。
このように構成された3つのボルト製造用金型10,20,30は、図示しない鍛造装置においてダイ11,21,31にパンチ12,22,32が対向するとともにダイ11,21,31に向って進退可能な状態で配置されている。また、鍛造装置内に配置されるボルト製造用金型10,20,30のダイ11,21,31の下方には、成形後のワークWKを押返してボルト製造用金型10,20,30から排出するためのノックアウトピン(図示せず)がそれぞれ設けられている。
(ボルトの製造工程)
次に、このように構成されたボルト製造用金型10,20,30を備えた鍛造装置を用いてボルトを製造する各工程について説明する。本実施形態においては、ワークWKとしてステンレス材(JIS−SUS304)を用い、ねじ呼び径でM10のボルトを製造する工程について説明する。
まず、作業者は、直径が11.00mmのステンレス線材を、製造対象であるボルトの長さに対応する長さで切断してワークWKとする。本実施形態においては、約48.00mmの長さに切断する。この場合、作業者は、切断したワークWKの一方の先端部にテーパ加工(所謂、面取り加工)を施すことにより、ワークWKをボルト製造用金型10内にセットし易くしておく。
次に、作業者は、ボルト製造用金型10を用いてボルトの頭部Tの外径を予備成形するとともに、同ボルトの首下部N(軸部とネジ部)の外径を予備成形する。具体的には、作業者は、ワークWKの一方の先端部からダイ11の縮径加工孔13における大径部13a内に挿入して同大径部13a内にワークWKを配置する。次に、作業者は、鍛造装置を操作して、ボルト製造用金型10によるワークWKの鍛造加工を実行する。この操作に応答して鍛造装置は、パンチ12をダイ11の縮径加工孔13における大径部13a内に進入させるとともに、同パンチ12を絞り部13cの手前における所定の位置まで進入させる。
これにより、大径部13a内に配置されたワークWKの一方の先端部側は、絞り部13cを介して小径部13bに押し出されて外径が絞られる。この場合、小径部13bによって絞られたワークWKの首下部Nは、加工硬化により硬さや引張り強さなどの機械的性質が向上する。また、大径部13a内に配置されたワークWKの他方の端部側は、据え込まれることにより大径部13aの内径に対応する内径に拡大変形する。これにより、本実施形態においては、頭部Tの外径が11.03mmに成形されるとともに、首下部Nの外径が9.05mmに成形される。すなわち、このボルト製造金型10を用いたボルトの首下部N(軸部とネジ部)の外径を予備成形する工程が、本発明に係る小径化工程に相当する。そして、鍛造装置は、パンチ12を図示上方に退避させるとともに図示しないノックアウトピンにより成形されたワークWKをダイス11内から排出する。
次に、作業者は、ボルト製造用金型20を用いてボルトの頭部Tの外形を予備成形するとともに、同ボルトの首下部Nの外径を更に予備成形する。具体的には、作業者は、鍛造装置における図示しないワーク支持装置にワークWKを支持させて、同ワークWKを縮径加工孔23の同軸上に配置した状態でワークWKの首下部Nの下端部をダイ21の縮径加工孔23における案内部23a内に挿入する。そして、作業者は、鍛造装置を操作して、ボルト製造用金型20によるワークWKの鍛造加工を実行する。この操作に応答して鍛造装置は、パンチ22をダイ21の上面に向けて下降させて同上面を押圧する。
これにより、縮径加工孔23上に配置されたワークWKの首下部Nは、パンチ22に押されることにより小径部23b内に圧入されて外径が絞られる。この場合、小径部23bによって絞られたワークWKの首下部Nは、加工硬化により更に硬さや引張り強さなどの機械的性質が向上する。また、ワークWKの頭部Tは、ダイ21の上面に押し当てられた後、パンチ21の頭部成形部24とダイ21の上面とに押圧されて予備成形される。
この場合、ワークWKの首下部Nは、縮径加工孔23の小径部23b内において外径の拡大が規制された状態であるため、ワークWKの頭部Tの予備成形によって首下部Nの外径が拡大変形することはない。このため、頭部Tの予備成形において、一旦縮小変形したワークWKの首下部Nの外径が拡大変形することによる同首下部Nの降伏点の低下、すなわち、バウシンガー効果が生じることはない。これにより、ワークWKの首下部Nの機械的性質は維持される。このボルト製造用金型20における縮径加工孔23の小径部23bが本発明に係る規制筒に相当する。
なお、縮径加工孔23の案内部23aにおいては、ワークWKの首下部Nの外径の拡大を規制していない。このため、案内部23aに位置するワークWKの首下部Nは、頭部Tの予備成形に起因して外径が拡大変形してバウシンガー効果が生じ機械的性質が低下する。しかし、案内部23aによってワークWKの首下部Nの外径が拡大変形する範囲は極めて小さいこと、および次工程であるボルト製造用金型30による加工によって再度絞られることにより、製造されるボルト全体としての機械的性質には影響しない。
これらにより、本実施形態においては、頭部Tの外形が予備成形されるとともに、首下部Nの外径が9.02mmに成形される。なお、縮径加工孔23の案内部23aに位置したワークWKの首下部Nの外径は9.07mmに拡大する。すなわち、このボルト製造金型20を用いてボルトの頭部Tを予備成形する工程が、本発明に係る頭部成形工程に相当する。そして、鍛造装置は、パンチ22を図示上方に退避させるとともに図示しないノックアウトピンにより成形されたワークWKをダイス21内から排出する。
次に、作業者は、ボルト製造用金型30を用いてボルトの頭部Tの外形を最終成形するとともに、同ボルトの首下部Nの外径を更に予備成形する。具体的には、作業者は、鍛造装置における図示しないワーク支持装置にワークWKを支持させて、同ワークWKを縮径加工孔33の同軸上に配置した状態でワークWKの首下部Nの下端部をダイ31の縮径加工孔33における案内部33a内に挿入する。そして、作業者は、鍛造装置を操作して、ボルト製造用金型30によるワークWKの鍛造加工を実行する。この操作に応答して鍛造装置は、パンチ32をダイ31の上面に向けて下降させて同上面を押圧する。
これにより、縮径加工孔33上に配置されたワークWKの首下部Nは、パンチ32に押されることにより小径部33b内に圧入されて外径が絞られる。この場合、小径部33bによって絞られたワークWKの首下部Nは、加工硬化により更に硬さや引張り強さなどの機械的性質が向上する。また、前記ボルト製造用金型20による加工によって外径が拡大したワークWKの首下部Nの上部部分は、案内部33a内に圧入されることにより外径が絞られる。このため、案内部33aによって絞られた部分は加工硬化により再度機械的性質が向上する。
一方、ワークWKの頭部Tは、ダイ1の上面に押し当てられた後、パンチ32の頭部成形部4とダイ1の上面とに押圧されて最終成形される。この場合、ワークWKの首下部Nは、縮径加工孔33の小径部33b内において外径の拡大が規制された状態であるため、ワークWKの頭部Tの予備成形によって首下部Nの外径が拡大変形することはない。このため、前記と同様に、頭部Tの予備成形において、一旦縮小変形したワークWKの首下部Nの外径が拡大変形することによる同首下部Nの降伏点の低下、すなわち、バウシンガー効果が生じることはない。このため、ワークWKの首下部Nの機械的性質は維持される。このボルト製造用金型30における縮径加工孔33の小径部33bが本発明に係る規制筒に相当する。
これらにより、本実施形態においては、頭部Tの外形が最終成形されるとともに、首下部Nの外径が9.00mmに成形される。なお、縮径加工孔3の案内部3aに位置したワークWKの首下部Nの外径は9.05mmに成形される。すなわち、このボルト製造金型30を用いてボルトの頭部Tを最終成形する工程が、本発明に係る頭部成形工程に相当する。そして、鍛造装置は、パンチ32を図示上方に退避させるとともに図示しないノックアウトピンにより成形されたワークWKをダイス31内から排出する。
次に、作業者は、ボルトの頭部Tの外形が最終成形されるとともに、同ボルトの首下部分Nの外径が予備成形されたワークWKに対して雄ネジ部を成形する。この雄ネジ部の成形は、公知の方法によって行われる。すなわち、図4に示すように、ワークWKの首下部Nに対して転造加工または切削加工を用いて雄ネジSを成形する。これにより、ボルトBが完成する。
ここで、本発明に係るボルトの製造方法により製造したボルトと、従来の冷間多段鍛造法(熱処理なし)により製造したボルトの引張り試験結果を図5に示す。試験に用いたボルトの仕様は、呼び径がM10mm、首下長さが55mm、ねじピッチが1.25、素材がJIS−SUS304である。図5に示すように、従来の冷間多段鍛造法により製造したボルトの引張り荷重が約50kN(0.2%耐力)であるのに対し、本発明に係るボルトの製造方法により製造したボルトの引張り荷重は約56kN(0.2%耐力)であり、約1割ほど高い。この約56kNの引張り荷重は、従来の冷間多段鍛造法により製造したボルトに対してブルーイング処理を施したボルトの引張り荷重に相当する。すなわち、本発明に係るボルトの製造方法によれば、ブルーイング処理などの熱処理を施すことなくボルトを製造することができることを意味している。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、ボルト製造用金型10により外径が小径化されたワークWKに対して、ボルト製造用金型20,30によりワークWK(首下部N)の外径の拡大を規制した状態でボルトの頭部の塑性加工を行っている。すなわち、ボルト製造用金型10による小径化工程によって加工硬化したワークWKの外径の拡大を防止した状態でボルトの頭部Tの成形が行われる。これにより、一旦縮小変形したワークWKの外径が拡大変形することによるワークWKの降伏点の低下、すなわち、バウシンガー効果が抑制された状態でボルトの頭部Tの成形が行われる。また、ボルト製造用金型20,30による頭部Tの成形工程においては、ワークWKの首下部Nの外径を更に小径化させている。すなわち、ボルト製造用金型10,20,30による小径化工程で強化されたワークWKの機械的性質を維持した状態でボルトの製造が行われる。この結果、熱処理を行うことなく必要な機械的性質を備えたボルトを製造することができ、ボルトの製造に係る時間的および経済的負担を軽減することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、ワークWKに対してボルト製造用金型20,30を用いて2回の成形工程によって頭部Tの成形を行った。しかし、頭部Tの成形工程の数は、当然、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、ワークWKの首下部Nの外径の拡大を規制した状態で成形が行われれば、1回の成形工程で頭部Tを成形してもよいし、3回以上の成形工程によって頭部Tを成形するようにしてもよい。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
また、上記実施形態においては、ボルト製造用金型20,30の縮径加工孔23,33における小径部23b,33bの内径を、ボルト製造用金型10によって小径化されたワークWKの首下部Nの外径未満とした。これは、ボルト製造用金型20,30による頭部Tの成形工程において、首下部Nを更に小径化することにより加工硬化させて機械的性質を向上させるためである。しかし、本発明に係るボルトの製造方法によれば、頭部Tの成形工程においてワークWKの首下部Nの外径の拡大を規制すれば機械的性質の低下を抑制することができる。すなわち、ボルト製造用金型20,30の縮径加工孔23,33における縮径部23b,33bの内径は、ボルト製造用金型10によって小径化された首下部Nの外径以下であればよい。
また、上記実施形態においては、ボルト製造用金型20,30の上面における縮径加工孔23,33の開口部に案内部23a,33aを設けた。これは、小径部23b,33bの内径よりも大きい外径のワークWK(首下部N)を円滑に小径部23b,33b内に挿入するためである。したがって、ボルト製造用金型20,30の小径部23b,33bの内径がワークWK(首下部N)の外径に等しい場合などには、必ずしも必要ではない。これによれば、ワークWKにおける首下部Nの上部に案内部23a,33aによる外径の拡大が生じないため、首下部Nに生じる筋状の線を解消できるとともに、ボルト製造用金型10による小径化工程により向上した機械的強度を維持した状態で頭部Tの成形を行うことができる。
また、上記実施形態においては、ワークWKを構成する素材にステンレス線材(JIS−SUS304)を用いた。しかし、本発明に係るボルトの製造方法によって製造されるボルトの素材の種類は、当然、上記実施形態に限定されるものではない。具体的には、冷間鍛造用鋼線材、調質・非調質線材、アルミニウム線材など幅広い素材を用いることができる。
また、上記実施形態においては、作業者がボルト製造用金型10,20,30を備えた鍛造装置を各工程ごとに操作しながらボルトの製造を行った。しかし、本発明は、必ずしも各工程ごとに作業者が鍛造装置を操作することにより製造する必要はない。すなわち、コンピュータからなる制御装置を用いた自動制御によって、素材となるワークWKを連続的にボルト製造用金型10,20,30に供給するとともに、各ボルト製造用金型10,20,30における各加工を連続的に行うようにしてもよいことは当然である。
本発明の一実施形態に係るボルトの製造方法においてボルト製造用金型を用いてボルトの頭部および首下部を予備成形する加工状態を模式的に示しており、(A)はボルト製造用金型内にワークを投入した状態を示す断面図であり、(B)はボルト製造用金型内にてワークを押出し加工する状態を示した断面図である。 本発明の一実施形態に係るボルトの製造方法においてボルト製造用金型を用いてボルトの頭部および首下部を予備成形する加工状態を模式的に示しており、(A)はボルト製造用金型にてワークを加工する前の状態を示す断面図であり、(B)はボルト製造用金型内にてワークを塑性加工する状態を示した断面図である。 本発明の一実施形態に係るボルトの製造方法においてボルト製造用金型を用いてボルトの頭部を最終成形するとともに首下部を予備成形する加工状態を模式的に示しており、(A)はボルト製造用金型にてワークを加工する前の状態を示す断面図であり、(B)はボルト製造用金型内にてワークを塑性加工する状態を示した断面図である。 本発明に係るボルトの製造方法により製造されるボルトの外観を示す正面図である。 本発明に係るボルトの製造方法により製造したボルトと、従来の冷間多段鍛造法(熱処理なし)により製造したボルトの引張り試験結果を示すグラフである。
符号の説明
WK…ワーク、T…頭部、N…首下部、B…ボルト、10,20,30…ボルト製造用金型、11,21,31…ダイ、12,22,23…パンチ、13,23,33…縮径加工孔、13a…大径部、13b,23b,33b…小径部、23a,33a…案内部。

Claims (7)

  1. 軸状に形成された素材を塑性変形させて外径を小径化する小径化工程と、
    前記素材における一方の端部を塑性変形させてボルトの頭部を成形する頭部成形工程とを含むボルトの製造方法において、
    前記頭部成形工程は、
    前記小径化した素材の外径未満の内径に形成された規制筒内に前記素材を配置することにより前記小径化した素材の外径を更に小径化しながら前記ボルトの頭部を成形することを特徴とするボルトの製造方法。
  2. 請求項1に記載したボルトの製造方法において、
    前記頭部成形工程は、
    2回以上の複数の工程で構成されて各工程ごとに前記小径化した素材の外径を小径化しながら段階的に前記ボルトの頭部を成形することを特徴とするボルトの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載したボルトの製造方法において、
    前記頭部成形工程は、
    前記ボルトの頭部を前記規制筒とは別体で同規制筒に対向配置されるパンチ内で成形されることを特徴とするボルトの製造方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載したボルトの製造方法において、
    前記規制筒は、前記小径化した素材を挿入する開口部に同小径化した素材の外径より大径に形成された案内部を備えることを特徴とするボルトの製造方法。
  5. 軸状に形成された素材を塑性変形させて外径を小径化する小径化手段と、
    前記素材における一方の端部を塑性変形させてボルトの頭部を成形する頭部成形手段とを備えるボルト製造装置において、
    前記頭部成形手段は、
    前記小径化した素材の外径未満の内径に形成された規制筒内に前記素材を配置することにより前記小径化した素材の外径の拡大を規制した状態で前記ボルトの頭部を成形することを特徴とするボルト製造装置。
  6. 請求項5に記載したボルトの製造装置において、
    前記頭部成形手段は、
    2回以上の複数の工程で段階的に前記ボルトの頭部を成形するとともに、各工程ごとに前記小径化した素材の外径を小径化することを特徴とするボルトの製造装置。
  7. 軸状に形成された素材を塑性変形させて外径を小径化する工程と、前記素材における一方の端部を塑性変形させてボルトの頭部を成形する工程とを含むボルトの製造方法に用いられるボルト製造用金型であって、
    前記小径化した素材の外径未満の内径に形成され、同小径化した素材が配置される規制筒を備えることを特徴とするボルト製造用金型。

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