JP5070516B2 - 歯車成形用金型および同歯車成形用金型を備えた押出し成形装置 - Google Patents

歯車成形用金型および同歯車成形用金型を備えた押出し成形装置 Download PDF

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本発明は、塑性加工、より詳しくは押出し加工によって歯車を成形するための歯車成形用金型、および同歯車成形用金型を備えた押出し成形装置に関する。
従来から、自動車やオートバイの変速機などに用いられる鋼製歯車を成形する塑性加工方法として押出し加工が知られている。例えば、下記特許文献1〜3には、被成形素材を押し当てることにより目的とする歯車の歯より小さい歯を成形する予備成形歯と、予備成形歯によって塑性変形した被成形素材をさらに押し当てることにより目的とする歯車の歯を成形する仕上げ成形歯とを備えた歯車成形用金型により、被成形素材を段階的に塑性変形させて外歯歯車または内歯歯車を成形する押出し成形装置が開示されている。
特開平07−9066号公報 特開平10−118739号公報 特開2003−117629号公報
ところで、自動車やオートバイの変速機などに用いられる鋼製歯車には、歯車表面の耐摩耗性を向上させる目的で、歯車の成形後浸炭焼入れなどの表面硬化処理が施される。浸炭焼入れは、厚さの厚い高硬度な硬化層を任意の厚さで形成し易い一方で、被加工物の表層に炭素を浸み込ませる浸炭工程、および浸炭された被加工物を焼入れ焼き戻しする熱処理工程においてそれぞれ所定の時間を要するとともに、各工程がバッチ処理で行われるため処理効率が悪いという難点がある。このため、歯車の製造効率が表面硬化処理によって低下するという問題がある。
この問題を解決するため、本発明の発明者らは、被成形素材に浸炭処理を施した後、上記押出し成形装置にて歯車の成形を行い、成形した歯車に高周波焼入れを行う手法を考案した。これによれば、歯車の成形後浸炭焼入れを行うよりも短時間に浸炭焼入れと同等の硬化層の形成が期待できる。そこで、本発明の発明者らは、図4(A)に示すように、円筒状に形成した被成形素材WKの表層に浸炭処理を施して浸炭層Cを形成した後、上記押出し成形装置で外歯歯車の成形を試みた。ここで図5(A)は、浸炭処理を施した被成形素材WKの表層断面の一部を示している。同図において、被成形素材WKの表層に浸み込んだ炭素の濃度を塗り潰した色の濃度で示している。
上記押出し成形装置による歯車の成形の結果、外観上精度良く歯車を成形できる一方で、図4(B)に示すように、多くの炭素が浸み込んだ浸炭層Cの厚さが歯車の歯先部分に比べて歯底部分(図において破線で囲んだ部分)が極めて薄いことが判明した。これは、被成形素材WKの塑性加工時において歯車の歯底部分を形成する被成形素材WKが歯先部分に向けて流動したためと考えられる。このため、成形した歯車に熱処理を行った場合、歯車の歯先部分に比べて歯底部分の硬化層の厚さが薄くなる。すなわち、歯車の歯先部分と歯底部分とで生成される硬化層の厚さにムラが生じ、歯車の強度および耐久性の低下が懸念されるとともに、歯底部分での耐摩耗性が不足するという問題が懸念される。
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、被成形素材を段階的に塑性変形させて歯車を成形する歯車成形用金型および同歯車成形用金型を備える押出し成形装置において、塑性変形時における歯車の歯底部分を形成する被成形素材の流動量を抑えることにより、歯車の強度や耐久性の確保、および歯底部分での耐摩耗性の確保を図ることができる歯車成形用金型、および同歯車成形用金型を備える押出し成形装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、被成形素材を押し当てることにより、目的とする歯車の歯より小さい歯を成形する予備成形歯と、予備成形歯によって塑性変形した被成形素材をさらに押し当てることにより、前記目的とする歯車の歯を成形する仕上げ成形歯とを備え、被成形素材を予備成形歯と仕上げ成形歯とによって段階的に塑性変形させることにより、前記目的とする歯車を成形する歯車成形用金型において、予備成形歯における歯先の厚さは、仕上げ成形歯における歯先の厚さよりも広いことにある。この場合、前記歯車成形用金型において、予備成形歯における歯先の厚さを、例えば、前記目的とする歯車の歯先からの丈が予備成形歯の歯丈に等しい位置での歯溝の幅に等しくするとよい。また、これに代えて、予備成形歯における歯先の厚さを、例えば、前記目的とする歯車の歯先からの丈が予備成形歯の歯丈に等しい位置での歯溝の幅より広くしてもよい。
このように構成した本発明の特徴によれば、被成形素材を予備成形歯と仕上げ成形歯とによって段階的に塑性変形させることにより目的とする歯車を成形する歯車成形用金型において、前記予備成形歯の歯先の厚さを仕上げ成形歯の歯先の厚さよりも広くしている。換言すれば、予備成形歯の歯先の平面の大きさを仕上げ成形歯の歯先の平面の大きさよりも大きくしている。このため、予備成形歯の歯先が押し当てられる被成形素材の流動性は仕上げ成形歯の歯先が押し当てられる被成形素材の流動性よりも小さい。すなわち、予備成形歯を用いて目的とする歯車の歯より小さい歯を成形する加工時においては、少なくとも仕上げ成形歯の歯先の厚さよりも厚い歯先に形成された予備成形歯を用いることにより同予備成形歯による塑性変形時における被成形素材の流動を抑えている。これにより、成形する歯車の歯底部分を形成する被成形素材の流動量を抑えることができ、歯車の強度や耐久性の確保、および歯底部分での耐摩耗性の確保を図ることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記歯車成形用金型において、予備成形歯は、被成形素材を徐々に目的とする歯車に形成するために直列に複数段で構成されていることにある。このように構成した本発明の他の特徴によれば、予備成形歯を直列に複数段(2つ以上)備えることにより被成形素材の形状を徐々に目的とする歯車に成形することもでき、上記と同様の効果が期待できるとともに、被成形素材の塑性変形時における面圧を抑えることができる。
具体的には、被成形素材を押し当てることにより、目的とする歯車の歯より小さい歯を成形する予備成形歯と、予備成形歯によって塑性変形した被成形素材をさらに押し当てることにより、前記目的とする歯車の歯を成形する仕上げ成形歯とを有する歯車成形用金型を備え、被成形素材を歯車成形用金型によって段階的に塑性変形させることにより、前記目的とする歯車を成形する押出し成形装置において、歯車成形用金型における予備成形歯の歯先の厚さは、仕上げ成形歯における歯先の厚さよりも広くすればよい。この場合、前記押出し成形装置において、歯車成形用金型における予備成形歯の歯先の厚さを、例えば、前記目的とする歯車の歯先からの丈が予備成形歯の歯丈に等しい位置での歯溝の幅に等しくするとよい。また、この場合、前記押出し成形装置において、歯車成形用金型における予備成形歯は、被成形素材を徐々に目的とする歯車に形成するために直列に複数段で構成するとよい。このように構成した押出し成形装置によれば、上記歯車成形用金型と同様の作用効果が期待できる。
具体的には、被成形素材を押し当てることにより、目的とする歯車の歯より小さい歯を成形する予備成形歯と、予備成形歯によって塑性変形した被成形素材をさらに押し当てることにより、前記目的とする歯車の歯を成形する仕上げ成形歯とを有する歯車成形用金型を備え、被成形素材を歯車成形用金型によって段階的に塑性変形させることにより、前記目的とする歯車を成形する押出し成形装置において、歯車成形用金型における予備成形歯の歯先の厚さは、仕上げ成形歯における歯先の厚さよりも広くすればよい。この場合、前記押出し成形装置において、歯車成形用金型における予備成形歯の歯先の厚さを、例えば、前記目的とする歯車の歯先からの丈が予備成形歯の歯丈に等しい位置での歯溝の幅に等しくするとよい。このように構成した押出し成形装置によれば、上記歯車成形用金型と同様の作用効果が期待できる。
以下、本発明に係る歯車成形用金型の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る歯車成形用金型100の構成および加工状態を模式的に示した断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表しているため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この歯車成形用金型100は、円筒状に形成された被成形用素材WKを押出し加工により塑性変形させて外歯歯車を成形する冷間押出し成形装置(図示せず)に用いられるものである。歯車成形用金型100は、コンテナ110を備えている。
コンテナ110は、SKD11やSKS3などの高硬度材料を略円筒状に形成した部材であり、冷間押出し成形装置におけるコンテナ支持台111上に垂直方向に起立した状態で配置されている。コンテナ110の中心に設けられた貫通孔112の内周面には、上部から中央部にかけて案内部113が形成されるとともに、同内周面における中央部から下部にかけて成形部114が形成されている。案内部113は、円筒状に形成された被成形素材WKの外周面に嵌合して、同被成形素材WKをコンテナ110の径方向の変位を規制しつつ同コンテナ110の軸線方向に案内する。すなわち、コンテナ110の案内部113の内径は、被成形素材WKの外径に対応している。
成形部114は、目的とする歯車を成形する部分であり、コンテナ110の貫通孔112が同貫通孔112の軸線に向かって絞られて形成されている。ここで、目的とする歯車とは、この歯車成形用金型100によって最終的に成形しようとする歯車である。この成形部114は、前記目的とする歯車の形状に対応する形状に形成されており、同目的とする歯車の外径を規定する外径規定部115と、同目的とする歯車の歯を成形する成形歯116とから構成されている。これらのうち、外径規定部115は、コンテナ110の案内部113の下方における貫通孔112の内周面が軸線に向かって徐々に絞られた後、一定の内径に形成されている。この外径規定部115の絞られた量、換言すれば、外径規定部115の内径は目的とする歯車の外径に対応している。
一方、成形歯116は、案内部113の下方における貫通孔112の内周面から軸線に向かって突出した状態で形成されている。この成形歯116は、目的とする歯車の歯溝の数に対応する数だけ形成されており、詳しくは図2(A)〜(C)に示すように、目的とする歯車の歯より小さい形状の歯を成形する予備成形歯117と、同目的とする歯車の歯を成形する仕上げ成形歯118とを備えている。ここで、目的とする歯車の歯より小さい歯とは、本実施形態においては、最終的に成形しようとする歯車と同一のモジュールであって、目的とする歯の歯先から半分程度の歯丈の歯である。
予備成形歯117は、案内部113の下端部から下方に沿ってコンテナ110の軸線に向かって徐々に突出しつつ、前記目的とする歯車の歯より小さい形状の歯の歯溝の形状に対応する形状に次第に変化する形状に形成されている。すなわち、予備成形歯117の最終的な突出量117aは、前記目的とする歯車の歯先から半分程度の歯丈に対応している。また、予備成形歯117の歯先の厚さ117bは、前記目的とする歯車の歯先からの丈が予備成形歯117の突出量117a(歯丈)に等しい位置(歯面)での歯溝の幅に等しい。
仕上げ成形歯118は、前記予備成形歯117の下端部から下方に沿ってコンテナ110の軸線に向かって徐々に突出しつつ、前記目的とする歯車の歯の歯溝の形状に対応する形状に次第に変化する形状に形成されている。すなわち、仕上げ成形歯118の最終的な突出量118aは、前記目的とする歯車の全歯丈に対応している。また、仕上げ成形歯118の歯先の厚さ118bは、同仕上げ成形歯118の歯先が成形しようとする前記目的とする歯車の歯底における歯溝の幅に等しい。換言すれば、仕上げ成形歯118の歯先の厚さ118bは、前記目的とする歯車の歯先から歯底に向かって突出量118aに対応する歯丈だけ離れた歯面(すなわち、歯底)における歯溝の幅に等しい。仕上げ成形歯118の下端部には、仕上げ成形歯118の歯先から凹んだ形状の逃げ部118cが形成されている。すなわち、これらの外径規定部115および成形歯116は、コンテナ110の内周面において目的とする歯車の歯数に対応した数で互いに交互に形成されている。
コンテナ110の貫通孔112内には、マンドレル120が配置されている。マンドレル120は、SKD11やSKS3などの高硬度材料を略円柱状に形成した部材であり、冷間押出し成形装置におけるマンドレル支持台121上に垂直方向に起立した状態で、かつ貫通孔112と同軸上に配置されている。このマンドレル120は、円筒状に形成された被成形素材WKの中心孔に嵌合して、同被成形素材WKをマンドレル120の径方向の変位を規制しつつ軸線方向(図示上下方向)に案内する。すなわち、マンドレル120の外径は、被成形素材WKの内径に対応している。
冷間押出し成形装置におけるコンテナ110およびマンドレル120の上方には、略円筒状に形成されたパンチ130が設けられている。パンチ130は、冷間押出し成形装置における図示しないプレス機構に支持されており、コンテナ110とマンドレル120との間に挿入される被成形素材WKを下方に押圧する。また、冷間押出し成形装置には、複数の被成形素材WKを保持しつつコンテナ110の案内部113とマンドレル120の外周面との間に形成された環状の孔に被成形素材WKを連続的に供給する図示しないワーク供給装置を備えている。冷間押出し成形装置における他の構成は、本発明に直接関係しないため、その説明は省略する。
次に、上記のように構成した歯車成形用金型100を含む押出し成形装置の作動について説明する。まず、作業者は、S15Cの鋼材を円筒状に形成した被成形素材WKを複数個用意する。次に、作業者は、これらの各被成形素材WKに浸炭処理を施す。具体的には、図4(A)に示すように、被成形素材WKの外周面の表層に所定の厚さhで炭素を浸み込ませ、浸炭層Cを形成させる。そして、作業者は、浸炭処理を施した各被成形素材WKをワーク供給装置にセットする。
次に、作業者は、冷間押出し成形装置における図示しない操作盤を操作して被成形素材WKの加工、すなわち、歯車の押出し加工を開始させる。この指示に応答して冷間押出し成形装置は、ワーク供給装置の作動を開始してコンテナ110の案内部113とマンドレル120の外周面との間に形成された環状の孔に被成形素材WKを挿入する。そして、冷間押出し成形装置は、パンチ130による被成形素材WKの押圧を開始する(図1における左図参照)。これにより、被成形素材WKは、パンチ130に押されてコンテナ110の貫通孔112内を下方に変位、すなわち成形部114に向かって変位する(図1における右図参照)。
成形部114に到達した被成形素材WKは、外径規定部115および成形歯116に押し当てられて塑性変形を開始する。具体的には、被成形素材WKの変位に伴って、外径規定部115によって被成形素材WKの外径が絞られるとともに、同被成形素材WKに成形歯116の予備成形歯117が押し当てられ歯車の歯の成形が開始される。そして、被成形素材WKには、予備成形歯117により目的とする歯車の歯より小さい形状の歯が成形される。この場合、予備成形歯117の歯先の厚さ117bは、前記目的とする歯車の歯先からの丈が予備成形歯117の突出量117a(歯丈)に等しい位置での歯溝の幅に等しい。すなわち、予備成形歯117の歯先は、目的とする歯車の歯における歯溝の幅に対応する平面で形成されている。このため、予備成形歯117の歯先が押し当てられる被成形素材WKの浸炭層Cは、外径規定部113側に流動し難い状態で貫通孔112の軸線に向かって圧縮される。
また、予備成形歯117の突出量117aは、仕上げ成形歯118の突出量118aの略半分である。これらにより、予備成形歯117を通過した被成形素材WKの外周面には目的とする歯車の歯より小さい形状の歯、すなわち、最終的に成形しようとする歯車と同一のモジュールであって、目的とする歯の全歯丈の半分程度の歯丈の歯が形成される。
予備成形歯117を通過した被成形素材WKは、パンチ130によって更に仕上げ成形歯118に押し当てられる。仕上げ成形歯118は、目的とする歯車の歯より小さい形状の歯が形成された被成形素材WKを更に塑性変形させて目的とする歯車を成形する。この場合、仕上げ成形歯118の歯先の厚さ118bは、同仕上げ成形歯118の歯先が成形しようとする前記目的とする歯車の歯底における歯溝の幅に等しい。すなわち、仕上げ成形歯118の歯先は、予備成形歯117の歯先より小さい平面、換言すれば、尖った形状に形成されている。
このため、仕上げ成形部118の歯先が押し当てられる被成形素材WKの浸炭層Cは、予備成形歯117による加工時よりも外径規定部113側に流動し易い状態で貫通孔112の軸線に向かって圧縮される。しかし、仕上げ成形歯118の歯先が押し当てられる被成形素材WKの浸炭層Cは、予備成形歯117によって外径規定部113側への流動が抑えられた状態で成形されているため、仕上げ成形歯118による外径規定部113への流動量は総量として少ない。このため、図3に示すように、仕上げ成形歯118によって成形された歯車の歯元の表層における浸炭層Cの厚さh(図において破線で囲んだ部分)は、加工前の浸炭層Cの厚さhに比べて薄く変形しているが、従来技術により成形した歯車の歯元の浸炭層Cの厚さh(図4(B)参照)に比べれば浸炭層Cの厚さhの減少量は少ない。
一方、冷間押出し成形装置は、パンチ130が可動範囲における下限に達した場合(図1における右図参照)には、同パンチ130を直ちに上昇させてコンテナ110およびマンドレル120の上方に退避させる。そして、冷間押出し成形装置は、前記と同様にしてワーク供給装置により次の被成形素材WKを歯車成形用金型100内にセットするとともに、パンチ130を再度下降させて歯車成形用金型100内にセットされた新たな被成形素材WKを押圧する。これにより、最初に投入された被成形素材WKが次に投入された被成形物WKに押されてコンテナ110の成形部114とマンドレル120の外周面との間に形成された環状の孔から下方に向けて排出される。この場合、排出された被成形素材WKは、コンテナ120の成形部114によって、目的とされる歯車の歯形状および外径に成形される。また、成形された歯車における歯元の浸炭層Cの厚さhは、従来例(図4(B))に比べて厚く形成されている。なお、本実施形態における断面減少率は約8%である。
また、次に投入された被成形素材WKは、最初に投入された被成形素材WKと同様にして、すなわち、更に新たな被成形素材WKが投入されることにより目的とされる歯車に成形されて排出される。すなわち、歯車成形用金型100に被成形素材WKを連続的に投入することにより、目的とする歯車を連続的に成形する。被成形素材WKの加工がすべて終了した場合には、作業者は冷間押出し成形装置の作動を停止させて歯車の成形作業を終了する。なお、作業者は、成形した歯車に高周波焼入れなどの熱処理を行う。これにより、成形した歯車の表層に形成された浸炭層Cが硬化して歯車表面の耐磨耗性が向上する。この場合、歯車表面に形成される硬化層は、浸炭層Cの厚さhに対応して形成される。すなわち、歯車の歯元部分の硬化層を従来例に比べて厚く形成することができ、同歯元部分の耐磨耗性を確保することができる。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、予備成形歯117の歯先の厚さ117bを仕上げ成形歯118の歯先の厚さ118bよりも広くしている。具体的には、予備成形歯117の歯先の厚さ117bを、前記目的とする歯車の歯先からの丈が予備成形歯117の突出量117a(歯丈)に等しい位置での歯溝の幅に等しくしている。すなわち、換言すれば、予備成形歯117の歯先の平面の大きさを仕上げ成形歯118の歯先の平面の大きさよりも大きい。このため、予備成形歯117の歯先が押し当てられる被成形素材WKの浸炭層Cの流動性は、仕上げ成形歯118の歯先が押し当てられる被成形素材WKの浸炭層Cの流動性よりも小さい。すなわち、予備成形歯117を用いて目的とする歯車の歯より小さい歯を成形する加工時においては、少なくとも仕上げ成形歯118の歯先の厚さ118bよりも厚い歯先に形成された予備成形歯117を用いることにより同予備成形歯117による塑性変形時における被成形素材WKの浸炭層Cの流動を抑えている。これにより、成形する歯車の歯底部分を形成する被成形素材WKの浸炭層Cの流動量を抑えることができる。この結果、成形した歯車に熱処理を施して硬化層を形成した場合であっても、形成される硬化層の厚さのムラを抑えることができ、歯車の強度や耐久性の確保、および歯底部分での耐摩耗性の確保を図ることができる。
なお、上記実施形態においては、成形した歯車を高周波焼入れすることにより歯車の表面における耐磨耗性を向上させている。一般に、鋼の表面硬化処理においては、浸炭焼入れは高周波焼入れに比べて浸炭層の存在により良好な硬化層が得られる一方で、処理(処理に付随する作業も含む)に時間が掛かる。しかし、本実施形態のように、被成形素材WKの段階で浸炭処理を行った後歯車の成形を行い、成形した歯車に対して高周波焼入れを行う工程によれば、歯車の成形後浸炭処理を経て焼入れ処理を行う従来の工程に比べて処理時間を短縮することができる。この結果、表面硬化処理も含めた歯車の製造効率を向上させることができる。特に、製造ラインで歯車を連続的に製造する場合においては、予め浸炭処理を施した被成形素材WKを製造ラインに投入できるメリットは大きい。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、予備成形歯117の歯先の厚さ117bを、前記目的とする歯車の歯先からの丈が予備成形歯117の突出量117a(歯丈)に等しい位置での歯溝の幅に等しい厚さとした。しかし、予備成形歯117の歯先の厚さ117bは、仕上げ成形歯118における歯先118bの厚さよりも広い厚さに形成すれば、これに限定されるものではない。すなわち、予備成形歯117の歯先の厚さ117bを、仕上げ成形歯118における歯先118bの厚さ以上、かつ前記目的とする歯車の歯先からの丈が予備成形歯117の突出量117a(歯丈)に等しい位置での歯溝の幅未満としてもよいし、同予備成形歯117の歯先の厚さ117bを、前記目的とする歯車の歯先からの丈が予備成形歯117の突出量117a(歯丈)に等しい位置での歯溝の幅よりも広くしてもよい。これらよっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。

ただし、本発明の発明者らによる実験によれば、予備成形歯117の歯先の厚さ117bは、目的とする歯車の歯厚を狭めない最大値である本実施形態における厚さ、すなわち、目的とする歯車の歯先からの丈が予備成形歯117の突出量117a(歯丈)に等しい位置での歯溝の幅に等しい厚さが好適である。また、予備成形歯117の歯先の厚さ117bを、目的とする歯車の歯先からの丈が予備成形歯117の突出量117a(歯丈)に等しい位置での歯溝の幅よりも広くした場合、予備成形歯117による加工により目的とする歯車の歯厚を狭めるため、仕上げ成形歯118による加工時において同歯厚を回復するように塑性変形させる必要がある。
また、上記実施形態においては、1段の予備成形歯117によって目的とする歯車の歯より小さい歯を1つだけ成形するように構成したが、これに限定されるものではない。すなわち、予備成形歯117を直列に複数段(2つ以上)備えることにより被成形素材WKの形状を徐々に目的とする歯車に成形することもできる。これによれば、上記実施形態と同様の効果が期待できるとともに、被成形素材WKの塑性変形時における面圧を抑えることができる。
また、上記実施形態においては、歯車成形用金型100は、マンドレル120を構成要素とした。しかし、マンドレル120は、被成形素材WKをコンテナ110の貫通孔112の軸線方向に案内するとともに、成形部114による被成形素材WKの成形性を向上させるものである。すなわち、マンドレル120は、本発明において必須の構成要素ではない。したがって、本発明の実施に当たっては、マンドレル120を省略することも可能である。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
また、上記実施形態においては、被成形素材WKの外周面に歯を成形する所謂外歯歯車の成形に本発明を適用した。しかし、本発明は被成形素材WKの内周面に歯を成形する所謂内歯歯車の成形にも適用できるものである。この場合、マンドレル120の外周面に成形部114を設けるようにすればよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
また、上記実施形態においては、S15Cの鋼材に浸炭処理を施して被成形素材WKとして用いたが、被成形素材WKの材質および前処理は、これに限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、比較的低い面圧(荷重)(1500MPa程度)で歯車の押出し加工が行えるため、従来では加工が困難であった材料を被成形素材WKとして用いることができる。例えば、SK材やSKS材などの高硬度材料や歯車を成形する材料に予め焼入れ焼き戻しを施した材料、または同材料の表面に硬化処理(例えば、窒化処理、高周波焼入れなど)を施して硬度を向上させた材料を被成形素材WKとして用いることができる。これらによれば、歯車の成形後に熱処理を施す必要がなく、歯車に充分な強度を与えつつ精度のよい歯車を成形することができるとともに、より一層、歯車の製造効率を向上させることができる。また、S15Cなどの低炭素の素材の外側にS55Cなどの高炭素の素材を一体的に形成した材料を被成形素材WKとして用いることもできる。これによれば、歯車成形前における浸炭処理の工程も不要となり、歯車の製造効率を一層向上させることができる。なお、本発明は、従来例のように、SS400やS45Cなどの材料を浸炭処理などの前処理を行わないで被成形素材WKとして用いることができるのは当然である。
また、上記実施形態においては、歯車の歯が軸に対して平行に形成された所謂平歯車の成形に本発明を適用した。しかし、本発明は、歯車の歯が軸に対して傾斜して形成された所謂はすば歯車にも適用できるものである。すなわち、成形部114を螺旋状に形成すればよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
また、上記実施形態においては、歯車を冷間押出し加工によって成形したが、当然、これに限定されるものではない。すなわち、温間押出し加工および熱間押出し加工などにも広く適用できるものである。
(A)は本発明の実施形態に係る歯車成形用金型の構成および加工状態を模式的に示す断面図である。 (A)〜(C)は図1に示した歯車成形用金型における成形歯の拡大図を示しており、(A)は同成形歯の斜視図であり、(B)は同成形歯の正面図であり、(C)は同成形歯の側面図である。 図1に示す歯車成形用金型で成形した歯車の表層の一部を拡大して示す一部拡大断面図である。 (A)は被成形素材の表層の一部を拡大して示す一部拡大断面図であり、(B)は従来技術により成形した歯車の表層の一部を拡大して示す一部拡大断面図である。
符号の説明
WK…ワーク、C…浸炭層、h…浸炭層の厚さ、100…歯車成形用金型、110…コンテナ、111…コンテナ支持台、112…貫通孔、113…案内部、114…成形部、115…外径規定部、116…成形歯、117…予備成形歯、117a…突出量、117b…歯先の厚さ、118…仕上げ成形歯、118a…突出量、118b…歯先の厚さ、120…マンドレル、121…マンドレル支持台、130…パンチ。

Claims (5)

  1. 被成形素材を押し当てることにより、目的とする歯車の歯より小さい歯を成形する予備成形歯と、
    前記予備成形歯によって塑性変形した前記被成形素材をさらに押し当てることにより、前記目的とする歯車の歯を成形する仕上げ成形歯とを備え、前記被成形素材を前記予備成形歯と前記仕上げ成形歯とによって段階的に塑性変形させることにより、前記目的とする歯車を成形する歯車成形用金型において、
    前記予備成形歯における歯先の厚さは、前記仕上げ成形歯における歯先の厚さよりも広いとともに前記目的とする歯車の歯先からの丈が前記予備成形歯の歯丈に等しい位置での歯溝の幅に等しいことを特徴とする歯車成形用金型。
  2. 被成形素材を押し当てることにより、目的とする歯車の歯より小さい歯を成形する予備成形歯と、
    前記予備成形歯によって塑性変形した前記被成形素材をさらに押し当てることにより、前記目的とする歯車の歯を成形する仕上げ成形歯とを備え、前記被成形素材を前記予備成形歯と前記仕上げ成形歯とによって段階的に塑性変形させることにより、前記目的とする歯車を成形する歯車成形用金型において、
    前記予備成形歯における歯先の厚さは、前記仕上げ成形歯における歯先の厚さよりも広いとともに前記目的とする歯車の歯先からの丈が前記予備成形歯の歯丈に等しい位置での歯溝の幅より広いことを特徴とする歯車成形用金型。
  3. 請求項1または請求項2に記載した歯車成形用金型において、
    前記予備成形歯は、被成形素材を徐々に目的とする歯車に形成するために直列に複数段で構成されていることを特徴とする歯車成形用金型。
  4. 被成形素材を押し当てることにより、目的とする歯車の歯より小さい歯を成形する予備成形歯と、
    前記予備成形歯によって塑性変形した前記被成形素材をさらに押し当てることにより、前記目的とする歯車の歯を成形する仕上げ成形歯とを有する歯車成形用金型を備え、前記被成形素材を前記歯車成形用金型によって段階的に塑性変形させることにより、前記目的とする歯車を成形する押出し成形装置において、
    前記歯車成形用金型における予備成形歯の歯先の厚さは、前記仕上げ成形歯における歯先の厚さよりも広いとともに前記目的とする歯車の歯先からの丈が前記予備成形歯の歯丈に等しい位置での歯溝の幅に等しいことを特徴とする押出し成形装置。
  5. 請求項4に記載した押出し成形装置において、
    前記歯車成形用金型における前記予備成形歯は、被成形素材を徐々に目的とする歯車に形成するために直列に複数段で構成されていることを特徴とする押出し成形装置。
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