JP4839250B2 - 筒状塑性加工体の製造方法 - Google Patents
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く製造されてきている。その場合の製造方法としては、上記歯形等を切削法により切り出
すことが多いが、近年、鋼管の一部に歯型等を押圧して所望の形状に塑性変形させる成形
方法が多用されている。この成形方法の方が部品全体として軽く、また、得られた歯形等
の強度が高いからであり、従来から多くの製造方法が紹介されている。
1からなる歯部52を成形する、いわゆるラックバーLの製造方法を提案している。
からプレス加工して中心方向に変位した平面部分53を形成する。(この工程を以下、平
潰し工程という。)
次に、図5(c)に示すように、図5(b)の鋼管50の全体を、下面にラック歯51
の歯型を有する雄型54と、この雄型が嵌り合う雌型55とでクランプした後、鋼管50
の内部から上記平面部53の裏面53aに、底部50aから裏面53aまでの高さh1よ
りも大なる高さh2(h2>h1)を有する断面が略欠円状のマンドレル56を強制的に
圧入する。そして、平面部53の肉厚を雄型53の歯型内に塑性変形させて食い込ますこ
とにより、平面部53上に歯部52を成形せんとするものである。
されている。すなわち、この文献2に記載の歯形成形方法は、歯形の成形原理は上記と同
様であるが、マンドレルを鋼管の両側から交互に圧入する点が異なるものである。
を加えないのに対し、平面部53は複数回にわたる塑性加工により鋼管軸方向に引き延ば
されるため、マンドレル55による圧入操作の進行と共に歯部52が軸方向に延び、結局
得られるラックバーの歯部52は図5(d)に示すように、上方に凸状に曲がり、右端部
の曲がり量をダイアルゲージ57で計測すると、基端部Oを通過する中心線Cに対してδ
だけ曲がったものとなる。
ており、本工程内での矯正が必要である。しかるに、この歯部52の曲がり量δは、ラッ
クバー全体の中の局部的な曲がりであるため、従来の通常の矯正手段では工程外に取り出
して別工程で行うなど、矯正工程の負担が大きいものとなっていた。
管の両側から交互に圧入する方法を採用する点を特徴としているとはいえ、鋼管の平面部
の裏面のみをマンドレルを強制的に圧入、加工して、当該平面部の肉を雄型内に塑性変形
させる点では全く同じ手法を採用しているので、特許文献1と全く同様の問題を惹起して
いた。
工程中において、成形工程中の曲がりの発生を容易に抑制できると共に、仮に曲がりが発
生した場合においても特別の矯正工程を要することなく、工程内で容易に矯正できる筒状
塑性加工体の製造方法を提供することを目的とする。
の外周上の加工対象部に対し、筒体軸と略直交する方向に雄型を押し込んで前記加工対象
部を前記筒体軸の中心方向に変位させた後、前記筒体の内部にマンドレルを押し込み、前
記加工対象部の裏面をしごいて前記加工対象部の肉厚を前記雄型方向に塑性変形させるこ
とにより、前記加工対象部に前記雄型に対応する表面形状を成形する筒状塑性加工体の製
造方法であって、前記筒体の加工対象部の裏面を、該裏面方向に突出した段差部を有する
マンドレルでしごいた後、さらに該加工対象部と反対側の筒体内周面を、該内周面方向に
突出した段差部を有するマンドレルでしごくことを特徴とする。
体の加工対象部の裏面をマンドレルでしごいた後、さらに該加工対象部と反対側の筒体内
周面をマンドレルでしごくので、両部分の応力バランスが保たれ、製造工程中で発生する
曲がりを容易に矯正することができる。
生した場合においても特別の矯正工程を要することなく、容易に矯正が可能であり、サイ
クルタイムが短くなると共に、製造コストの低減に寄与し得る。
する。
照して本実施例の製造方法を説明する。
な筒状塑性加工体を製造するに際し、まず筒状成形体の素材となるワークWを雄型1と雌
型2とからなる金型3にセットする。
Dを有する筒状の軸部4と、軸部4よりは小さな外径d1を有する筒状の歯部5とが一体
に構成された素管である。
が、本発明で言う「筒状成形体」とは、このようなラックバーに限られず、塑性加工対象
部の形状がねじ、その他の形状をも含む広い概念のものである。
歪みの他、三次元方向に発生する捻れや歪み等をも含む広い概念のものであり、これらを
総称して単に以下「曲がり」と称する。
硬い材質からなる金型であり、下面には長手方向に複数のラック歯1bが形成されている
ものである。また、図示しない例えば、油圧、水圧シリンダー等の適宜の流体プレス装置
により、雌型2の方向に移動してワークWを塑性変形させるに十分なプレス力と適宜の機
構を有している。
共に、上方は雄型1の投影平面が嵌入し得るだけ図示省略の空間が設けられている。雌型
2は、適宜の数に分割されて、ワークWを保持しやすいようになっていてもよい。
える。
クWに押し込むことにより、ワークWの歯部5の外周面の一部を塑性変形させて平潰し(
圧壊)し、歯部5の上面に平面部6を形成する。
力を保持したままで、ワークWの平面部6に対し、マンドレル7Aを図示しない油圧シリ
ンダ等の適当な手段で軸部4側から強制的に圧入して押し込み、平面部6の裏面6aをし
ごく。
坦面7aを有すると共に、下面がワークWの歯部5の内径d2と同一外径の外周面7bを
有する導入部7が形成されているものを用いる。
段差部でマンドレル7Aの圧入時に裏面6aをしごくことにより、平面部6の肉を雄型1
の歯溝内に塑性変形させる作用をする。なお、ここでいう「段差部」とは、本実施例のよ
うに階段状に高さが高くなった後においても、その高さが維持されるものを指すほか、部
分的に高さが高くなる凸状部も含む概念のものである。
すると、この段差部7cにより、ワークWの平面部6の肉が段差部7cの高さの差分(H
2−H1)だけ上方に塑性変形して押し込まれ、雄型1のラック歯1b間に食い込むこと
になる。本発明において、「しごく」とはこのような作用、効果が得られる操作を指すも
のである。
方向に引き伸ばされるので、仮に上型1を開いたならば、ワークWは上方が凸部となった
湾曲状態のものとなる。
Aの高さH2と同じ高さに形成されている。
態で、今度は逆方向からマンドレル7Bを強制的に圧入して歯部5の裏面6aをしごくの
である。
での高さが既にH2の高さに塑性変形されているので、導入部7の高さをH2とし、次の
段差部7dの高さを前述の高さH2よりは高いが平面部6の表面6bよりも低い高さH3
(H3>H2)となったものを用いる。
た分(H3−H2)だけ上方に押し上げられるので、この分、雄型1の歯間方向への塑性
変形による押し込みが進むことになる。
ておき、これらを交互に異なる方向から順次ワークWの歯部5に圧入して、歯部5の裏面
5aをワークの内部から複数回しごくことにより、最終的には歯丈が目標高さとなるラッ
ク歯1bを得る。
ルの圧入回数と、その圧入速度、マンドレルの材質と段差部の高さなどは、ワークWに加
えるべき塑性変形量である、例えばワーク材質とその平面部の肉厚、成形すべきラック歯
の高さ(モジュール)等を考慮して容易に、適宜決定することができる。
ル7A、7Bの軸方向に複数個を所定間隔で設けると、しごき工程のサイクルタイムが短
くなるので好ましい。
焼入れ加工を施すのがより好ましい。
6に対する塑性加工の程度がさらに進むため、歯型の完成度は高くなるが、ラックバーの
曲がりとしては上方がさらに凸状態に湾曲した、許容限界を超えたワークWとなる。
とにより、しごき工程中に発生したワークWの曲がりを許容限度範囲内にまで矯正する。
eを有するマンドレル7Cを用いて、今度はワークWの平面部6とは反対側の歯部2の底
部5aをしごくことを特徴とするものである。
本工程の金型及びワークの縦断面図、図2(b)は、図2(a)金型等のA−A矢視の断
面図、図2(c)は、図2(a)のマンドレルのA’−A’矢視の断面図、図2(d)は
、図2(a)のマンドレルのA−A矢視の断面図である。
裏面6aに当接する平坦面7fを有すると共に、下面がワークWの歯部5の内径d2と同
一外径の外周面7gを有し、両側面は削ぎ落とした形状の導入部7hが形成されている。
したがって、マンドレル7CのワークW内への圧入時には、当該導入部7hがガイド部と
なるので、スムーズに圧入できる。
7eが形成されており、マンドレル7Cの圧入時に今度は平面部6とは反対側の内周面5
aをしごく。
からその裏面6aまでの高さが既にH3の高さに塑性変形されているので、導入部7hの
高さをH3とし、次の段差部7eの高さを前述の高さH3よりも高くしたH4(H4>H
3)としたものを用いる。
を受け、最終的には曲がりが矯正される。
縦軸(Y)は、マンドレルの圧入による上下方向の曲がり量(δ)を示しており、下方に曲
線I〜IIIが存在するのは下方に曲がっていることを示している。
部5の曲がり量をダイアルゲージ57で測定した値を示しており、軸端に行くにしたがい
、曲がりが蓄積されて大きくなり、軸端では曲がり量はδ1となる。
曲がり量を同様にダイアルゲージ57で測定した値を示しており、曲がり量は第1回分に
今回分が加算されて同様に軸端に行くにしたがいさらに大きくなり、軸端での曲がり量は
δ2となる。
の曲がり量を示しており、ワークWの加工対象部である歯部5の反対側である内周面の下
部5aをマンドレル7Cの段差部7eでしごくので、加工対象部としごいた部分との応力
バランスが保たれ、歯の塑性加工中の曲がりの発生が矯正され、ラックバーの真直度は許
容限度内の曲がり量δ3に収まる。
り具合を考慮して適宜の回数に決定することができるが、本矯正工程の操作は、工程S3
、S4のような大きな塑性変形を伴うものではないので、複数回のしごき操作が必要とな
る前述のラック歯形成工程S1〜S4に比べて一回程度ですみ、容易に曲がりを許容限度
範囲内に矯正することができる。
7eでしごくことにより、歯部5の裏面6aとこの内周面上の底部5aとの応力や残留応
力との応力バランスが確保される結果、曲がりが矯正されるものと考えられる。
うので、平潰し工程を特別の工程を経ずして行うことが可能であると共に、以上に詳述し
た曲がり矯正工程も特別の矯正工程を要することなく可能であるため、サイクルタイムが
短くなると共に、製造コストの低減に寄与し得る効果を奏する。
bの歯列を有するラックバーが得られる。
[参考例]
それぞれ段差部7jと段差部7iとを設けたものであり、その他の雄型1、雌型2及びマ
ンドレル7Dの先端部等の構成については実施例1の場合と同様である。
面部6の裏面6aを内部からしごく。それと同時に歯部5の内周面の底部5aをも下方の
段差部7iでしごくので、実施例1の図1(d)のラック歯形成工程(S4)を省略する
ことができ、迅速な曲がり矯正作業を実現することができる。
るので、マンドレルの圧入時に圧入抵抗がかかる場合は、段差部の高さを適宜調整したり
、しごき中に潤滑油を注入することで圧入抵抗を軽減することができる。
2 雌型
3 金型
4 軸部
5 歯部
6 平面部(押し込み部分)
7d、7e、7i、7j 段差部
7A〜7D マンドレル
W ワーク(筒体)
Claims (1)
- 筒体の外周上の加工対象部に対し、筒体軸と略直交する方向に雄型を押し込んで前記加工対象部を前記筒体軸の中心方向に変位させた後、前記筒体の内部にマンドレルを押し込み、前記加工対象部の裏面をしごいて前記加工対象部の肉厚を前記雄型方向に塑性変形させることにより、前記加工対象部に前記雄型に対応する表面形状を成形する筒状塑性加工体の製造方法であって、
前記筒体の加工対象部の裏面を、該裏面方向に突出した段差部を有するマンドレルでしごいた後、さらに該加工対象部と反対側の筒体内周面を、該内周面方向に突出した段差部を有するマンドレルでしごくことを特徴とする筒状塑性加工体の製造方法。
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JP2007072152A JP4839250B2 (ja) | 2007-03-20 | 2007-03-20 | 筒状塑性加工体の製造方法 |
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