JP4546592B2 - 金属パイプ曲げ加工方法および金属製曲がりパイプ - Google Patents

金属パイプ曲げ加工方法および金属製曲がりパイプ Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属パイプの曲げ加工技術ないし金属製曲がりパイプの製造技術の技術分野に属する。また、その製品たる金属製曲がりパイプの技術分野にも属する。金属パイプの材料としては、特に鉄系の金属が好適であるが、これに限定されるものではない。
【0002】
【従来の技術】
従来技術としての金属パイプの曲げ加工方法としては、パイプベンダーまたはプレス型等で金属パイプを曲げる粗い安価な方法(前者)と、バルジ加工とかハイドロフォーミングとか呼ばれる精密で高価な方法(後者)とがある。
【0003】
前者の方法では、例えば、特開平9−122763号公報に開示されたベンディング装置とよく似た構成のパイプベンダーが使われる。あるいは、スプリングバックを適正に見込んで成形された雄型と雌型との間に金属パイプが挟持され、雄型と雌型とによってプレス形成される。
【0004】
前者の方法は、加工に時間がかからず加工費も安価である点では優れているが、曲げ角度にばらつきが大きく出るので仕上がり精度が高くないという短所をもっている。すなわち、雄型および雌型の成形にはスプリングバックが見込んであるとはいうものの、金属パイプの材質や寸法のばらつきや加工条件の微妙な違いなどにより、経時変化も含めたスプリングバックの角度は必ずしも一定にならず、ばらつきが大きい。たとえば、鋼製の金属パイプを90°曲げた場合には、通常2〜3°程度のスプリングバックが生じるが、その際の曲げ角度のばらつきの範囲は、±3°程度にも及ぶ。
【0005】
一方、後者の方法は、金属パイプの内部から液圧をかけながら精密成形型の中で金属パイプを膨らませて塑性変形させ、所望の曲げ形状に曲がり部を成型する方法である。この方法は、曲げ角度のばらつきが少なく精密に仕上がるが、加工にかなり時間がかかり加工費もずっと高くなるので、安価な製品を効率よく生産することが要求される大量生産には不向きである。ちなみに、この方法で鋼製の金属パイプを90°曲げた場合に生じる曲げ角度のばらつきの範囲は、わずかに±0.2°程度である。
【0006】
また、後者の方法には、曲げ角度が大きくなったり曲率半径が小さくなったりすると、拡管率や内圧を上げなくてはならなくなるので、大きな曲げ角度や高い曲率での成型には不向きであるという制約が伴う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、短時間で加工ができ加工費も安価でありながら、曲げ角度の精度が比較的高い金属パイプの曲げ加工方法を提供することを解決すべき課題とする。併せて、安価でありながら曲がり角度精度が高い金属製曲がりパイプを提供することをも解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(金属パイプ曲げ加工方法)
本発明の金属パイプ曲げ加工方法は、金属パイプを概略の角度に曲げて該金属パイプに曲がり部を形成する粗曲げ工程と、同工程の後で行われる精密曲げ工程とからなることを特徴とする。この精密曲げ工程は、該曲がり部の曲率よりも曲率がきつい凹部を中央にもつ雌型を、該曲がり部の外周面に外接させ、該曲がり部よりも曲率がきつい凸部を中央にもち該凸部の軸長方向両側に該曲がり部よりも曲率が緩い一対の引っ張り部をもつ雄型を、該曲がり部の該外周面に内接させ、該型と該型とを互いに対向させて該金属パイプの該曲がり部をプレス成形する工程である。
【0009】
先ず、粗曲げ工程では、前述の従来技術と同様に、パイプベンダーによる曲げ加工やプレス成形による曲げ加工などの加工技術で金属パイプが概略の角度に曲げ加工され、金属パイプに曲がり部が形成される。その結果、中間製品としての金属製曲がりパイプが製造される。
【0010】
次に、精密曲げ工程では、前述の雄型と雌型とによって概略角度に曲げられた金属製曲がりパイプの曲がり部が挟持され、この曲がり部が精密な曲がり角度をもつようにプレス加工がなされる。この際に使用される雄型および雌型の形状には、次のような特徴がある。
【0011】
すなわち、金属製曲がりパイプの曲がり部の外周面に外接させられる雌型は、曲がり部の曲率よりも曲率がきつい凹部を中央にもつので、当然に軸長方向に沿った両側には金属製曲がりパイプに向かって突出する突出部が形成される。ここで、雌型の凹部の曲率は、金属製曲がりパイプの曲がり部に成形後に生じるスプリングバックをみこんで、曲がり部の外周面の外側の仕上がり曲率よりも適正にきつい曲率であることが望ましい。また、前述のように、雌型の中央部から軸長方向に沿った両側には、金属製曲がりパイプに向かって突出する一対の突出部が形成される。それゆえ、これら一対の突出部に押圧されて、仕上がった金属製曲がりパイプの曲がり部の軸長方向両端部には、外周面の外側に、求心方向に向かってへこんだ一対のへこみ部が形成される。
【0012】
一方、金属製曲がりパイプの曲がり部の外周面に内接させられる雄型は、曲がり部の仕上がり曲率よりも曲率がきつい凸部を中央にもち、この凸部の軸長方向両側に曲がり部の仕上がり曲率よりも曲率が緩い一対の引っ張り部をもつ。雄型の凸部の曲率は、金属製曲がりパイプの曲がり部に成形後に生じるスプリングバックをみこんで、曲がり部の外周面の内側の仕上がり曲率よりも適正にきつい曲率であることが望ましい。また、この凸部の両側の一対の引っ張り部の曲率は、同引っ張り部に当接する曲がり部の外周面の内側部分よりも曲率が緩いが、どの程度緩い曲率であるかというと、同内側部分に弾性限界近くにまで引っ張り変形を生じる程度であることが望ましい。ここで、引っ張り部の曲率は、曲がり部の当該部分の曲率と同部分の弾性限界とから決まるので、凸部の曲率に対して反転している場合もそうでない場合もあり得る。
【0013】
なお、金属製曲がりパイプの軸心を法線とする雄型および雌型の断面形状は、それぞれおおよそ半円状であって、雄型および雌型がプレス加工すると、金属製曲がりパイプの曲がり部全体を包み込むような形状であることが望ましい。雄型および雌型がこのような形状であれば、金属製曲がりパイプの仕上がり精度はより向上する。また、このような形状であれば、雄型の凸部は、立体的に形容すればサドル状の形状をしている。
【0014】
このような形状をもつ雄型および雌型によって金属製曲がりパイプがプレス成形されるので、精密曲げ工程でのスプリングバックが抑制されるとともに、スプリングバック角度のばらつきが低減される。それゆえ、仕上がった金属製曲がりパイプの曲がり部では、曲がり角度および曲がり寸法のばらつきが少なく、成形精度が高い。たとえば、曲がり部に90°の曲げを与える場合には、そのばらつきの範囲は、わずか±0.5°程度に収まる。
【0015】
ここで、精密曲げ工程を行うことにより金属製曲がりパイプの仕上がり精度が向上する理由について、発明者らは次のように解釈している。
【0016】
すなわち、仕上がった金属製曲がりパイプでは、前述のように曲がり部の両端部の外側に一対のへこみ部が形成される。それゆえ、精密曲げ工程のあとで雄型および雌型から金属製曲がりパイプを取り出すと、へこみ部とその付近に残った残留応力は、へこみ部を元へ戻そうとする方向に作用し、曲がり部の曲がり角度を深くする方向へ作用する。一方、雌型の凹部によってスプリングバックを見込んで深く曲げられた曲がり部の中央部に残った残留応力は、曲がり部の曲がり角度を浅くする方向へ作用する。すると、曲がり部の中央部ないし中間部に残った残留応力の作用(前者)と、曲がり部の両端部に残った残留応力の作用(後者)とが、互いに相殺する。そればかりではなく、素材としての金属パイプが軸長方向に均質であったとすれば、前者によるスプリングバックが大きければ、後者によるスプリングバックも大きいものと考えられるので、スプリングバックのばらつきも互いに相殺される。その結果、精密曲げ工程のあとでは、スプリングバックが相殺されるばかりではなく、スプリングバックのばらつきまでもが相殺されるので、仕上がった金属製曲がりパイプの曲がり部において、曲げ加工精度が向上する。
【0017】
一方、仕上がった金属製曲がりパイプの曲がり部において、曲げ方向の内側の中央部は適正なスプリングバックを見込んで深く曲げられており、その両側では引っ張り部によって残留応力が緩和されている。それゆえ、曲がり部の中央部は残留応力によって適正な仕上がり形状にスプリングバックし、その両側では残留応力が緩和されているので、ほとんどスプリングバックが生じない。曲がり部の中央部に生じるスプリングバックは、前述の外側のへこみ部に生じるスプリングバックによって相殺されるものと考えれば、スプリングバックのばらつきも、やはり相殺される。
【0018】
したがって、曲がり部の中央部に生じて曲率を減らすスプリングバックの大きさと相殺するだけ、曲がり部の両端部に曲率を増やすスプリングバックを生じるように、一対のへこみ部が金属製曲がりパイプに形成されることが肝要である。
そこで、精密曲げ工程での雄型および雌型の形状を適正に設定することが仕上がり精度向上のポイントであり、粗曲げ工程にはそれほどの精度が要求されないことがわかる。
【0019】
以上詳述したように、本発明の金属パイプ曲げ加工方法によれば、粗曲げ工程では、従来技術のうち前者と同様に安価で工数が少ないし、精密曲げ工程でも、ワンアクションのプレス成形で済むのでやはり安価で工数が少ない。その結果、前述のように曲げ角度の仕上がり精度が高い金属製曲がりパイプを、安価でスピーディーに生産することができるという効果がある。
【0020】
そればかりではなく、精密曲げ工程では、金属製曲がりパイプは曲がり部だけで雄型および雌型にプレスされて固定されるようにすることができる。それゆえ、その状態で曲がり部から外れた部分は露出させておくことができ、露出部分には孔開けなどの付帯加工を容易に施すことができるという効果がある。また、従来技術の後者と異なって、金属製曲がりパイプを形成する金属材料がもつ塑性変形(延び)の限界にまで加工することができるので、より大きな曲げ角度やよりきつい曲率で曲げ部を形成することができるという効果もある。
【0021】
(金属製曲がりパイプ)
本発明の金属製曲がりパイプは、所定の曲げ角度で曲げられた曲がり部を有する金属製曲がりパイプにおいて、該曲がり部は、軸長方向両端の外周面の外側に求心方向に向かってへこんだ一対のへこみ部をもつことを有することを特徴とする。
【0022】
すなわち、本発明の金属製曲がりパイプでは、通常のプレス成形によって曲げ加工された金属製曲がりパイプと異なり、曲がり部の軸長方向両端には、外周面の外側に求心方向に向かってへこんだ一対のへこみ部が形成されている。それゆえ、曲がり部の中央部ないし中間部が曲げを緩和する方向にスプリングバックする一方、一対のへこみ部が外方へ戻ろうとする作用により曲げを深めようとする方向にスプリングバックが生じる。
【0023】
その結果、曲がり部の中央部ないし中間部で生じるスプリングバックと曲がり部の両端部で生じるスプリングバックとは、互いに相殺される。そればかりではなく、両スプリングバックの大きさがほぼ等しいものとすれば、両スプリングバックのもつばらつきの大きさもおおむね等しくその方向は互いに逆であるから、両スプリングバックのばらつきも互いに相殺される。
【0024】
したがって、本発明の金属製曲がりパイプの曲がり部における曲がり角度の平均値は一定に近づき、曲がり角度のばらつきも小さく抑制されるので、曲がり角度精度が向上する。たとえば、曲がり部に90°の曲げが与えられている場合には、そのばらつきの範囲はわずか±0.5°程度である。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の金属パイプ曲げ加工方法および金属製曲がりパイプの実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
【0026】
[実施例1]
(金属パイプ曲げ加工方法の構成)
本発明の実施例1としての金属パイプ曲げ加工方法は、真っ直ぐな鋼製の金属パイプを概略90°の角度に曲げて、図1に示すように、金属パイプに曲がり部30を形成する粗曲げ工程と、同工程の後で行われる精密曲げ工程とからなる。この精密曲げ工程では、曲がり部30の曲率よりも曲率がきつい凹部を中央にもつ雌型が、曲がり部の外周面に外接させられる。並行して、曲がり部30よりも曲率がきつい凸部を中央にもちこの凸部の軸長方向両側に曲がり部よりも曲率が緩い一対の引っ張り部をもつ雄型が、曲がり部の外周面に内接させられる。そして、雌型1雄型2とを互いに対向させて金属製曲がりパイプ3の曲がり部30のプレス成形が行われる。
【0027】
先ず、粗曲げ工程では、前述の従来技術と同様に、パイプベンダーによる曲げ加工によって、同じく図1に示すように、素材の金属パイプが概略90°の角度に曲げ加工され曲がり部30が形成される。その結果、中間製品としての金属製曲がりパイプ3が製造される。金属製曲がりパイプ3は、所定の曲率で90°±1°に曲げ加工された曲がり部30と、その軸長方向両端に連続する一対の直線部34とからなる。
【0028】
次に、精密曲げ工程では、先ず、図2に示すように、概略90°に曲げられた金属製曲がりパイプ3の曲がり部30が、雄型2と雌型1とによって挟持される。この際、上下に可動な雌型1は下方で基台に固定されている雄型2の直上にあり、両者1,2はまっすぐに立てられていて、金属製曲がりパイプ3はヤジロベエのように雄型2の上で安定する。そして、雄型2に対して雌型1が押圧力をもって降下してきて、金属製曲がりパイプ3の曲がり部30が精密に90°の曲がり角度をもつようにプレス加工がなされる。
【0029】
(雄型および雌型)
前述のように、本実施例の金属パイプ曲げ加工方法では、精密曲げ工程に雄型2および雌型1が使用されるが、図3に示すように、雄型2および雌型1は左右対称であってその形状には次のような特徴がある。
【0030】
すなわち、金属製曲がりパイプ3(図1参照)の曲がり部30の外周面に外接させられる雌型1は、曲がり部30の曲率よりも曲率がきつい凹部11を中央にもつ。それゆえ、軸長方向に沿った曲がり部30の両側には、金属製曲がりパイプ3に向かって突出する一対の突出部12が形成される。ここで、雌型1の凹部11の曲率は、金属製曲がりパイプ3の曲がり部30に成形後に生じるスプリングバックをみこんで、曲がり部30の外周面の外側の仕上がり曲率よりも適正にきつい曲率である。また、前述のように、雌型1の中央部から軸長方向に沿った両側には、金属製曲がりパイプに向かって突出する一対の突出部12が形成されている。
【0031】
一方、雄型2は、前述のように、金属製曲がりパイプ3の曲がり部30の外周面に内接させられる。そして雄型2は、曲がり部30の仕上がり曲率よりも曲率がきつい凸部21を中央にもち、凸部21の軸長方向両側に曲がり部の仕上がり曲率よりも曲率が緩い一対の引っ張り部22をもつ。雄型の凸部21の曲率は、金属製曲がりパイプ3の曲がり部30に生じるスプリングバックをみこんで、曲がり部30の外周面の内側の仕上がり曲率よりも適正にきつい曲率である。また、凸部21の両側の一対の引っ張り部22の曲率は、引っ張り部22に当接する曲がり部30の外周面の内側部分よりも曲率が緩く、曲がり部30に弾性限界近くにまで引っ張り変形を生じる程度である。ここで、引っ張り部22の曲率は、凸部21の曲率に対して反転しており、引っ張り部22は、浅いへこみを生じている。
【0032】
なお、金属製曲がりパイプ30の軸心を法線とする雄型2および雌型1の断面形状は、それぞれおおよそ半円状であって、雄型2および雌型1がプレス加工すると、金属製曲がりパイプ3の曲がり部30を全体的に包み込む形状である。プレス加工時に、雄型2および雌型1が曲がり部30を包み込むので、金属製曲がりパイプ3の仕上がり精度はより向上する。ちなみに、雄型2の凸部21は、立体的に形容すればサドル状の形状をしている。
【0033】
(精密曲げ工程の作用)
先ず、精密曲げ工程では、粗曲げ工程で概略90°に曲げられた金属製曲がりパイプ3を、曲がり部30の中央が雄型2の中央の対称面にくるように雄型2にセットした後、雌型1を上方から下降させる。すると、図4に示すように、雄型2の中央の凸部21が曲がり部30の中央部31の内側面に当接し、雌型1の軸長方向両側の一対の突出部12が曲がり部30の両端部32の外側面に当接するに至る。
【0034】
続いて雌型1がさらに下降すると、図5に示すように、雌型1の一対の突出部12に押圧されて曲がり部30の曲率が増し、曲がり部30の両端部32の内側面も雄型2の両端部32に当接して、曲がり部30の曲率の増大はおおむね止まる。そしてさらに雌型1が下降すると、雌型1の両突出部12は曲がり部30の両端部32の外側面に食い込んで押しつぶし、一対のへこみ部33を形成するに至る。この際、曲がり部30の両端部32は、へこみ部33の背後(下方)から雄型2の両端部23によって支持されており、雄型2の両端部23には、金属製曲がりパイプ3に傷を付けないように適正なアールが付けられている。
【0035】
続いて、さらに雌型1が下降し、周方向両端部(図3参照)で雄型2と当接するに至ると、図6に示すように、金属製曲がりパイプ3の曲がり部30は、互いに対向して当接する雄型2と雌型1とによって、ぴったりと包み込まれる。この状態では、曲がり部30の中央部31はスプリングバックを見込んで仕上がり形状よりも1〜2°程度だけ深く曲げられている。また、曲がり部30の中央部31の軸長方向両側では、内側面側が雄型2のへこんだ引っ張り部22に当接して、金属製曲がりパイプ3の弾性限界近くまで弾性変形により延ばされており、当該部分での残留応力は緩和されている。
【0036】
なお、この状態では、金属製曲がりパイプ3は曲がり部30で雄型2および雌型1によってしっかりと保持されているとともに、曲がり部30の両側の直線部34は露出している。それゆえ、この状態で、両直線部34に孔開けや部品取付けなどの付帯加工を行うことは容易である。
【0037】
ちなみに、前述の図6に示した状態でプレスされている金属製曲がりパイプ3の曲がり部30は、図7に示すように、中央部31でやや深く曲げられており、両端部の外側には一対のへこみ部33が形成されている。また、へこみ部33と対向する内側面部分には、弾性変形の範囲で引っ張られて緩やかなバルジが形成されている。
【0038】
最後に、雌型1が上方に引き上げられて後退し、雄型2および雌型1から金属製曲がりパイプ3が取り外されて精密曲げ工程が終わり、本実施例としての金属パイプ曲げ加工方法が終了する。すると、金属製曲がりパイプ3の曲がり部30においては、中央部31がスプリングバックを起こして中央部31の曲率が減るが、逆に、へこみ部33が形成された両端部32もスプリングバックを起こして両端部32では曲率が増える。
【0039】
すなわち、再び図7に示すように、雄型2および雌型1から取り出されると、へこみ部33は矢印の方向にスプリングバックする。すると、矢印の方向に曲がり部30の外周面が軸長方向に伸びるので、曲がり部30の両端は矢印の方向に撓み、両端部32では曲率が増える。
【0040】
その結果、精密曲げ工程でのスプリングバックが互いに相殺されて抑制されるとともに、スプリングバック角度のばらつきも互いに相殺されてが低減される。
それゆえ、精密曲げ工程を終えて仕上がった金属製曲がりパイプ3の曲がり部30では、曲がり角度および曲がり寸法のばらつきが少なく、成形精度が高い。本実施例のように曲がり部30に90°の曲げを与える場合には、そのばらつきの範囲は、わずか±0.5°程度に収まる。
【0041】
なお、粗曲げ工程での曲げ角度が深すぎた場合には、図8に示すように、精密曲げ工程の初期においては、前述の場合とは逆に、雄型2の両端部23と雌型1の中央部11とから金属製曲がりパイプ3の曲がり部30に当接する。このような場合においても、おおよそ前述と同様に精密曲げ工程の作用効果が得られる。
すなわち、本実施例の金属パイプ曲げ加工方法では、精密曲げ工程での雄型2および雌型1の形状を適正に設定することが仕上がり精度向上のポイントであり、粗曲げ工程の精度はあまり要求されない。
【0042】
(金属パイプ曲げ加工方法の効果)
以上詳述したように、本実施例としての金属パイプ曲げ加工方法によれば、粗曲げ工程では、従来技術のうち前者と同様に安価で工数が少ないし、精密曲げ工程でも、ワンアクションのプレス成形で済むのでやはり安価で工数が少ない。その結果、前述のように曲げ角度の仕上がり精度が高い金属製曲がりパイプ3を、安価でスピーディーに生産することができるという効果がある。
【0043】
そればかりではなく、前述のように、精密曲げ工程では、金属製曲がりパイプ3は曲がり部30だけで雄型2および雌型1にプレスされて固定されるようにすることができる。それゆえ、その状態で曲がり部30から外れた直線部34は露出させておくことができるので、直線部34には孔開けなどの付帯加工を容易に施すことができるという効果がある。また、従来技術の後者と異なって、金属製曲がりパイプ3を形成する金属材料がもつ塑性変形(延び)の限界にまで加工することができるので、より大きな曲げ角度やよりきつい曲率で曲げ部30を形成することができるという効果もある。
【0044】
(金属製曲がりパイプの構成および効果)
本実施例としての金属製曲がりパイプ3は、前述の金属パイプ曲げ加工方法の製品であって、図9に示すように、曲げ角度90°で曲げられた曲がり部30を有する。本実施例の金属製曲がりパイプ3の特徴は、曲がり部30の両端部32において、外周面の外側に求心方向に向かってへこんだ一対のへこみ部33が形成されていることである。
【0045】
すなわち、本実施例の金属製曲がりパイプ3では、通常のプレス成形によって曲げ加工された金属製曲がりパイプと異なり、曲がり部30の軸長方向両端には、外周面の外側に求心方向に向かってへこんだ一対のへこみ部33が形成されている。それゆえ、曲がり部30の中央部31が曲げを緩和する方向にスプリングバックする一方、一対のへこみ部33が外方へ戻ろうとする作用により曲げを深めようとする方向にスプリングバックが生じる。
【0046】
その結果、曲がり部30の中央部31で生じるスプリングバックと曲がり部30の両端部32で生じるスプリングバックとは、互いに相殺される。そればかりではなく、両スプリングバックの大きさがほぼ等しいものとすれば、両スプリングバックのもつばらつきの大きさもおおむね等しくその方向は互いに逆であるから、両スプリングバックのばらつきも互いに相殺される。
【0047】
したがって、本実施例の金属製曲がりパイプ3によれば、曲がり部30における曲がり角度の平均値は一定に近づき、曲がり角度のばらつきも小さく抑制されるので、曲がり角度精度が向上するという効果がある。より具体的には、本実施例では曲がり部に90°の曲げが与えられているが、そのばらつきの範囲はわずか±0.5°程度である。
【0048】
そればかりではなく、本実施例の金属製曲がりパイプ3は、前述の金属パイプ曲げ加工方法によって製造することができるので、加工工数が少なく安価であって大量生産に好適であるとの効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1での粗曲げ工程後の金属製曲がりパイプの形状を示す正面図
【図2】 実施例1での精密曲げ工程の概略を示す模式図
【図3】 実施例1での精密曲げ工程に使用する雄型および雌型の要部形状を示す正断面図
【図4】 実施例1での精密曲げ工程の初期状態を示す模式図
【図5】 実施例1での精密曲げ工程の中期状態を示す模式図
【図6】 実施例1での精密曲げ工程の後期状態を示す模式図
【図7】 実施例1での精密曲げ工程の後期状態における金属製曲がりパイプの形状を示す正断面図
【図8】 実施例1での精密曲げ工程の他の初期状態を示す模式図
【図9】 実施例1としての金属製曲がりパイプの外形を示す正面図
【符号の説明】
1:雌型
11:凹部 12:突出部
2:雄型
21:凸部 22:引っ張り部 23:両端部
3:金属製曲がりパイプ
30:曲がり部 31:中央部 32:両端部 33:へこみ部
34:直線部

Claims (3)

  1. 金属パイプを概略の角度に曲げて該金属パイプに曲がり部を形成する粗曲げ工程と、
    該粗曲げ工程を終えた該金属パイプの該曲がり部に対し、該曲がり部の外側の外周面に雌型を外接させ、該曲がり部の内側の該外周面に雄型を内接させ、該金属パイプの該曲がり部に外接する該雌型と内接する該雄型とを互いに対向させて該金属パイプの該曲がり部をプレス成形する精密曲げ工程とを有し、
    前記精密曲げ工程で使用される前記雌型および前記雄型のうち、
    雌型は、前記金属パイプのうち前記曲がり部の前記外周面の前記外側の仕上がり曲率よりも曲率がきつい凹部を中央にもつとともに、該凹部から軸長方向に沿った両側に、該金属パイプの該曲がり部に向かって突出して形成された一対の突出部をもち、
    雄型は、該金属パイプのうち該曲がり部の仕上がり曲率よりも曲率がきつい凸部を中央にもつとともに、該凸部の軸長方向両側に、該金属パイプの該曲がり部を挟んで該雌型の両該突出部に対向する一対の引っ張り部をもち、
    該雄型の両該引っ張り部は、前記粗曲げ工程で形成された前記金属パイプの前記曲がり部のうち両端部の内側部分を延ばすべく、該精密曲げ工程で両該引っ張り部に当接すべき該金属パイプの該外周面の内側部分の該曲がり部よりも緩い曲率をもつ部分であり、
    前記精密曲げ工程で、
    前記金属パイプの前記曲がり部のうち前記両端部は、それぞれ前記雌型の両前記突出部と前記雄型の両前記引っ張り部とに挟まれてプレス成形され
    該雌型の両該突出部に押圧されて、該金属パイプの該両端部には該外周面の該外側に、求心方向に向かってへこんだ一対のへこみ部が形成されることを特徴とする、
    金属パイプ曲げ加工方法。
  2. 前記雄型のうち、両前記引っ張り部の前記曲率は前記凸部の前記曲率に対して反転しており、両該引っ張り部はへこみを生じている、
    請求項1に記載された金属パイプ曲げ加工方法。
  3. 請求項1および請求項2のうちいずれかの金属パイプ曲げ加工方法によって所定の曲げ角度で曲げられた曲がり部を有する金属製曲がりパイプであり、
    前記曲がり部のうち軸長方向両端部で、求心方向に向かってへこんだ一対のへこみ部を該曲がり部の外側の外周面に有することを特徴とする、
    金属製曲がりパイプ。
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