JPH076356A - 磁気記録装置、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録装置、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法

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JPH076356A
JPH076356A JP14204093A JP14204093A JPH076356A JP H076356 A JPH076356 A JP H076356A JP 14204093 A JP14204093 A JP 14204093A JP 14204093 A JP14204093 A JP 14204093A JP H076356 A JPH076356 A JP H076356A
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JP
Japan
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magnetic
track
recording medium
recording
magnetization
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Application number
JP14204093A
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English (en)
Inventor
Yasutaro Kamisaka
保太郎 上坂
Yoshinori Hara
美紀 原
Kazuyoshi Yoshida
和悦 吉田
Akira Ishikawa
石川  晃
Yoshihiro Shiroishi
芳博 城石
Yuzuru Hosoe
譲 細江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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  • Magnetic Record Carriers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高密度な情報の記録再生が可能で信頼性の高
い磁気記憶装置を提供する。 【構成】 記録トラック内の保磁力とガ−ドバンド部の
保磁力が20%以上異なるように設定し、また記録トラ
ックの磁化容易軸方向をトラック方向から20〜70°
傾斜させる。 【効果】 狭トラック幅で高い媒体S/Nが得られる。
すなわち、記録トラック内のヘッド走行方向の保磁力の
分散を小さくできるので媒体雑音を低減できると共に、
オーバーライト特性を改善することができる。また、ガ
ードバンドへの書きにじみを低減することができるの
で、高いトラック密度を実現することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータの補助記
憶装置等に用いる磁気記憶装置及びそれに用いる磁気記
録媒体に関し、さらに詳しくは1平方インチ当たり60
0メガビット以上の高い記録密度を有する磁気記憶装
置、並びにこの高い記録密度を実現するのに好適な薄膜
磁気記録媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】情報化社会の進行により、日常的に扱う
情報量は増加の一途を辿っている。これに伴って、磁気
記憶装置に対する高記録密度・大記憶容量化の要求が強
くなっている。磁気ディスク装置を高記録密度化してい
った場合、記録ビットの当たりの媒体面積が小さくなる
ため、再生出力が低下し、再生が困難になる。このよう
な問題を解決するため、従来は1つの電磁誘導型磁気ヘ
ッドで記録と再生を行なっていたのに対し、記録と再生
とを別々の磁気ヘッドで行ない、再生用の磁気ヘッドと
して特開昭51−44917号公報、特開昭62−40
610号公報、特開昭63−117309号公報に記載
されているような磁気抵抗効果を利用した磁気ヘッドを
用いることが検討されている。この磁気抵抗効果型再生
ヘッドは高い感度を持つため、高記録密度化に適してい
る。
【0003】磁気ディスク装置に用いられる記録媒体と
しては、当初、酸化物磁性体の粉末を基板上に塗布した
塗布型媒体が用いられていたが、近年、金属磁性体の薄
膜を基板上にスパッタ蒸着した薄膜媒体が開発されてい
る。この薄膜媒体は、例えば特開昭58−7806号公
報や特開昭60−111323号公報に示されるよう
に、塗布型の媒体に比べて磁気記録層に含まれる磁性体
の密度が高いため、高密度の記録再生に適している。
【0004】薄膜媒体の基板にはアルミ合金、ガラス、
セラミックス、あるいは有機樹脂が用いられる。また、
ディスク基板の表面には硬度、平滑度等の加工成形性あ
るいは磁気特性向上の目的で、例えば厚さ約10μmの
Ni−Pメッキ層や陽極酸化膜が形成される。このよう
な基板表面上にスパッタ蒸着法等の手段により磁性膜を
形成すると、磁性膜中の結晶粒の磁化容易軸は種々の方
向を向き、一般に記録トラック方向に磁界を印加して測
定した磁気特性とトラック幅方向に磁界を印加して測定
した磁気特性の違いが小さい。このような記録媒体の出
力は小さく雑音は大きい。
【0005】これを改善することを一つの目的として、
先に述べた基板表面に、特許第4735840号、特開
昭61−29418号公報、特開昭62−146434
号公報、特開昭63−121123号公報、「アイ・イ
ー・イー・イー トランザクション オン マグネティ
クス」エム・エー・ジー22巻(1986年)、第57
9頁〔IEEE Trans. Magn., vol.MAG-22, p.579(198
6)〕、又は「アイ・イー・イー・イー トランザクショ
ン オン マグネティクス」エム・エー・ジー23巻
(1987年)、第3405頁〔IEEE Trans. Magn., v
ol.MAG-23, p.3405(1987)〕に記載されるように、微細
な溝を略磁気ヘッド走行方向(磁気ディスクの円周方
向)に形成することが考えられている。この溝はテクス
チャと称され、砥粒を用いて磁気ディスク表面を円周方
向に切削して形成され、溝の中心線平均粗さRaは従
来、約3〜10nmの範囲であった。このようなテクス
チャを形成すると、磁気ヘッド走行方向に磁界を印加し
て測定した磁性層の磁気特性、例えば保磁力Hc、残留
磁束密度Br、あるいは、保磁力角形比S*が、テクス
チャを形成しない場合の値に対して変化し、一般に記録
再生時のS/Nや分解能が向上する。これはテクスチャ
を形成することにより、磁化容易軸がヘッド走行方向を
向く磁性層中の結晶粒の割合が、磁化容易軸がトラック
幅方向を向く結晶粒の割合よりも多いためと考えられ
る。
【0006】しかしながら、テクスチャリングにより傷
をつけられた位置、あるいは傷のついていない位置と記
録トラック位置とは必ずしも対応していない。このた
め、同一トラック内でも、場所によりヘッド走行方向に
対する結晶粒の磁化容易軸の方向が異なると考えられ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、磁気記
録の高記録密度化に適した記録媒体及び高感度な磁気抵
抗効果型の再生ヘッドが開発されている。この磁気抵抗
効果型の磁気ヘッドは再生感度が高く、かつ、ヘッドの
抵抗が低いため発生する熱雑音が小さい。このため、従
来は電磁誘導型磁気ヘッドから発生する大きなノイズに
隠れていた磁気記録媒体に起因するノイズ(媒体ノイ
ズ)が、装置全体のノイズに対して大きな割合を占める
ようになる。従って、磁気抵抗効果型の磁気ヘッドを用
いて高記録密度化を実現するためには、媒体ノイズを低
減する必要がある。特に、ヘッド走行方向の記録密度、
すなわち線記録密度を高くするためには磁化遷移領域か
ら発生するノイズを低減することが必要である。
【0008】一方、記録密度を向上させるには線記録密
度を向上させることの他に、記録トラック幅方向の記録
密度を向上させることが有効である。しかし、記録トラ
ック幅方向の記録密度を向上させるには、記録ヘッドに
より記録媒体に記録を行なう際、記録トラック以外の領
域、すなわちガ−ドバンドへの書きにじみを少なくする
必要がある。
【0009】また、これまでの磁気記録媒体では、記録
トラック内の結晶粒の磁化容易軸の方向を記録トラック
方向としていた。これは、記録トラック内における磁化
容易軸の方向を記録トラック方向とすると、記録トラッ
ク内で高い保磁力が得られ、高密度記録が達成できるか
らである。しかし、この方式にはオーバーライト特性が
悪いという問題があった。
【0010】本発明の第1の目的は、磁気記録媒体の同
一トラック内のヘッド走行方向に対する結晶粒の磁化容
易軸の方向を選択することにより、ヘッド走行方向に測
定した保磁力を同一とし、媒体雑音を減少させ高線記録
密度の達成を可能にすると共に、オーバーライト特性を
改善することにある。本発明の第2の目的は、ガ−ドバ
ンドへの書きにじみを少なくすることにより、高トラッ
ク密度の達成を可能にし、また、書きにじみによるノイ
ズを低減することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の前記第1の目的
は、磁気記録媒体の磁性層中に形成される記録トラック
内の結晶粒の磁化容易軸方向を記録トラック方向に対し
て20°〜70°、典型的には45°傾斜させることに
より達成される。 また、本発明の第2の目的は、磁気
記録媒体の磁性層中に形成されるガ−ドバンド内の結晶
粒の保磁力と記録トラック内の保磁力を20%以上異な
らしめることにより達成される。
【0012】ガ−ドバンドにおける結晶粒の反転磁界を
記録トラック内の結晶粒の反転磁界とは異なるようにす
るには、ガ−ドバンド内の結晶粒の磁化容易軸の方向を
記録トラック内の結晶粒の磁化容易軸方向と異ならせ
て、トラック方向かあるいはトラック幅方向とすればよ
い。このうち、ガ−ドバンド内の結晶粒の磁化容易軸を
記録トラック方向に向けた場合のほうが雑音を小さくで
きる。ただし、磁気記録を行う前に、媒体全面あるいは
ガ−ドバンド全体を一方向に磁化しておく必要がある。
ガ−ドバンド内の結晶粒の磁化容易軸を記録トラック幅
方向に向けた場合には、磁気記録を行う前に、媒体全面
あるいはガ−ドバンド全体を一方向に磁化しておく必要
が無い。
【0013】前記ガ−ドバンド内の結晶粒の保磁力と記
録トラック内の保磁力を異ならしめることによりガード
バンドへの書きにじみを少なくする手段は、前記本発明
の第1の目的に沿う結晶粒の磁化容易軸方向をトラック
方向に対して20°〜70°、典型的には45°傾斜さ
せた方式だけでなく、磁化容易軸方向を略トラック方向
にした方式にも同様に適用することができる。いずれの
方式を用いるかは、記録ヘッドの特性により定める。記
録ヘッド用磁性材料として高飽和磁化材料を用いる場合
には、磁化容易軸方向を略トラック方向に向ければよ
い。記録ヘッド用材料としてNi−Fe合金のようにそ
れほど飽和磁化の高くない材料を用いる場合には、結晶
粒の磁化容易軸方向をトラック方向からほぼ45°傾け
た方向に向けるのが好都合である。
【0014】記録トラック内又はガードバンドの結晶粒
の磁化容易軸を記録トラック方向に対して所望の角度に
調整することは、一旦作製された磁性層の所望の位置を
加熱しながら所定の方向に磁界を印加することによって
行うことができる。加熱の方法としては、例えば電子線
照射法や光照射法がある。
【0015】
【作用】図1に、カ−効果により測定した、同一トラッ
ク内のヘッド走行方向の保磁力の100点の測定値の分
散と媒体雑音の関係を示す。媒体雑音は低密度の出力で
規格化した。なお、各点はほぼ同一の保磁力1.5kO
eの媒体に関するものである。図1から、保磁力の分散
が小さくなるにつれて媒体雑音が小さくなることがわか
る。
【0016】記録トラック内の結晶粒の磁化容易軸方向
をトラック方向からほぼ45°傾けることで個々の結晶
粒の保磁力をほぼ均一化でき、ヘッド走行方向に測定し
た保磁力が同一となるので、磁化遷移領域から発生する
ノイズを大幅に低減することができ、線記録密度を高め
ることができると共に、オ−バライト特性の優れた媒体
を得ることができる。
【0017】すなわち、従来のように記録トラック内の
結晶粒の磁界容易軸の方向が記録トラック方向であると
すると、磁化容易軸方向の記録トラック方向からの傾き
を0°とするつもりで例えば15°傾けてしまったとす
ると、双方の場合の反転磁界の違いは40%にも達す
る。この結果、トラック方向から傾いた方向に磁化容易
軸を有する結晶粒が他の結晶粒よりも弱い磁界で反転
し、この反転した結晶粒との相互作用によりその近傍の
結晶粒の反転が困難となる。すなわち、オ−バ−ライト
特性が悪くなる。
【0018】これに対して、記録トラック内の個々の結
晶粒の磁化容易軸の方向をトラック方向に対して約45
°傾斜させた場合には、45°傾けるつもりで20°し
か傾かない場合、あるいは70°も傾いてしまった場合
の反転磁界と、45°傾いた場合の反転磁界の違いはた
かだか15%であるので、オーバーライト特性がよい。
【0019】ただし、記録トラック内の磁化容易軸の方
向をトラック方向から略45°傾斜した方向に設定する
ようにした場合にも、高い線記録密度を得るためには、
ヘッド走行方向の保磁力をある程度以上の大きな値、望
ましくは1400 Oe以上、より望ましくは1800
Oe以上とすることが必要である。次に、ヘッド走行方
向に測定した記録トラック部とガ−ドバンド部の保磁力
を異ならしめることは、ガ−ドバンドへの書きにじみを
少なくする手段として有効である。図2に、記録トラッ
ク部とガ−ドバンド部の保磁力の比とビッタ法により測
定した書きにじみ量の関係を示す。双方の保磁力の違い
が大きくなるほど書きにじみ量が少なくなるが、違いが
20%程度になれば書きにじみ量はほぼ半分になり、書
きにじみ量低減の効果が大きいことがわかる。なお、図
2は記録トラック部の保磁力の方がガ−ドバンド部の保
磁力よりも大きい場合であるが、逆の場合でもほぼ同様
の結果が得られる。
【0020】
【実施例】本発明で用いた装置構成を図3〜図6により
説明する。図3a及び図3bは、磁気記録装置の平面図
及び断面図である。この周知の磁気記録装置は、磁気記
録媒体31、これを回転駆動する駆動部32、磁気ヘッ
ド33及びその駆動手段34、磁気ヘッドの記録再生信
号処理手段35を有する。
【0021】この磁気記録装置に用いた磁気ヘッドの構
造を図4に示す。磁気ヘッドは、基体48の上に形成さ
れた記録用の電磁誘導型磁気ヘッドと、再生用の磁気抵
抗効果型ヘッドを組み合わせた記録再生分離型ヘッドで
ある。磁気抵抗センサ41を下部シールド層42と上部
シールド層43で挟んだ部分が再生ヘッドとして働き、
コイル44を挟む下部記録磁極45と上部記録磁極46
が記録ヘッドとして働く。磁気抵抗センサ41からの出
力信号は、電極パタン47を介して外部に取り出され
る。
【0022】磁気抵抗センサ41の断面構造を図5に示
す。この磁気抵抗センサは、シールド層と磁気抵抗セン
サの間のギャップ層51の上に形成された強磁性材料の
薄膜磁気抵抗性導電層53、この薄膜磁気抵抗性導電層
を単一磁区とするための反強磁性磁区制御層52、上記
薄膜磁気抵抗性導電層の感磁部54における薄膜磁気抵
抗性導電層と反強磁性磁区制御層の間の交換相互作用を
絶ち切るための非磁性層55、感磁部に対するバイアス
磁界を発生できる手段として軟磁性層もしくは永久磁石
膜バイアス層57、軟磁性層もしくは永久磁石膜バイア
ス層と薄膜磁気抵抗性導電層の間の電流分流比を調節す
るための高抵抗層56を含む。
【0023】磁気記録媒体としては、図6に模式的に示
すような断面構造を持つ磁気記録媒体を用いた。この磁
気記録媒体はAl−Mg合金、化学強化ガラス、Ti、
Si、Si−C、カーボン、結晶化ガラスあるいはセラ
ミックス等からなる基板61、Al−Mg合金を基板と
して用いた場合にその両面に形成されたNi−P、Ni
−W−P等からなる非磁性メッキ層62、Cr、Mo、
W又はこれらのいずれかを主な成分とする合金からなる
下地層63、Co−Ni、Co−Cr、Co−Re、C
o−Pt、Co−P、Co−Fe、Co−Ni−Zr、
Co−Cr−Pt−B、Co−Cr−Al、Co−Cr
−Ta、Co−Cr−Pt、Co−Ni−Cr、Co−
Cr−Nb、Co−Ni−P、Co−Ni−Pt、Co
−Cr−Si等からなる磁性層64、カーボン、ボロ
ン、炭化シリコン、窒化シリコン、二酸化シリコン、タ
ングステン・カーバイト、(W−Mo)−C、(W−Z
r)−C等からなる保護層65、及びパーフロルオロア
ルキルポリエーテル等の潤滑層66を含む。
【0024】以下に、本発明の実施例を説明する。 〔実施例1〕本発明の一実施例による磁気記録媒体の作
製方法を説明する。外径95mm、内径25mm、厚さ
0.4mmのAl―4wt%Mg(原子記号の前に付し
た数字は当該素材の含有量を示す)からなるディスク基
板の両面にNi―12wt%Pからなるメッキ層を厚さ
が13μmとなるよう形成した。この非磁性基板の表面
を、ラッピングマシンを用いて表面中心線平均粗さRa
が1nm以下となるまで平滑に研磨し、洗浄、さらに乾
燥した。このように形成されたディスク基板を、マグネ
トロンスパッタリング装置内で250℃まで真空中で昇
温し、2mTorrのアルゴン圧の条件のもとで厚さ5
0nmのCr下地層を形成した。下地層の上にCo―1
6at%Cr―4at%Taからなる厚さ12nmの磁
性層を積層した。
【0025】引き続き、ディスクを10rpmの回転速
度で回転させながらガ−ドバンドに相当する部分に幅
0.25μm、長さ0.7μmの矩形形状の電子線を照
射しつつ、この部分の半径方向に5kOeの磁界を印加
した。磁界は電磁石により印加するため、ディスク全面
に印加される。この状態でディスクを10回転させた。
なお、電子線の幅方向とガ−ドバンドの幅方向は一致す
るようにした。次に電子線照射位置を次のガ−ドバンド
に移動させ、この位置でまたディスクを10回転させ
た。このようにしてすべてのガ−ドバンドに電子線を照
射した。
【0026】次に、ディスクを10rpmの回転速度で
回転させながら記録トラックに相当する部分に幅1.0
μm長さ1.0μmの電子線を照射しつつ、この部分の
円周方向に5kOeの磁界を印加した。この状態でディ
スクを10回転させた後、電子線照射位置を次々に移動
し全ての記録トラックに電子線を照射した。その後、磁
性層上に厚さ30nmのカーボン保護層を形成し、最後
に当該保護層上に吸着性のパーフルオロアルキルポリエ
ーテルの潤滑層を形成した。
【0027】こうして形成された磁気記録媒体をX線回
折により分析した結果、Cr下地層では(100)ある
いは(110)結晶面が基板と略並行となるように結晶
が配向成長し、磁性層は(110)面が基板と略並行と
なるよう配向成長していた。カ−効果を用いて、この磁
気記録媒体のディスク円周方向に磁界を印加して測定し
た保磁力Hc(θ)は、記録トラック部では1970
Oe、ガ−ドバンド部では650 Oe、残留磁束密度・
総磁性層厚積(Br×t)は132G・μmであった。
測定位置による保磁力の相違は150 Oeであった。
また、同じくカ−効果を用いて、ディスク半径方向に磁
界を印加して測定した保磁力Hc(θ)は、記録トラッ
ク部では680 Oe、ガ−ドバンド部では1950 O
eであった。媒体表面の磁気ヘッド走行方向に測定した
中心線平均粗さRa(θ)は0.2nmであった。
【0028】本実施例の磁気記録装置を用い、磁気ヘッ
ドスライダのヘッド浮上量70nm、線記録密度120
kBPI、トラック密度10kTPIの条件で記録再生
特性を評価したところ、1.2の装置S/N(振幅比)
が得られた。オ−バライト特性は−28dBであった。
また、磁気ヘッドの入出力信号に信号処理を施すことに
より、ヘッド浮上量70nmで1平方インチ当たり12
00メガビットの情報を記録再生することができた。し
かも、内周から外周までのヘッドシーク試験5万回後の
ビットエラー数は10ビット/面以下であり、平均故障
間隔(MTBF)で15万時間が達成できた。記録密度
を1平方インチ当たり600メガビットとした場合に
は、ヘッド浮上量110nmで記録再生することがで
き、MTBFで30万時間が達成できた。
【0029】〔実施例2〕実施例1と同様の構成を持つ
磁気記録装置において、磁気ヘッドの記録磁極にスパッ
タ法により作成したNi−Fe合金膜を用いた。媒体用
基板として、直径2.5インチ、厚さ0.4mmのガラ
ス基板を用いた。その上に、基板側の下地層として、2
mTorrのアルゴン圧の条件のもとで厚さ150nm
のZr層を形成した。さらに、その上に、実施例1と同
様のCr下地層及び磁性層を形成した。
【0030】引き続き、ディスクを10rpmの回転速
度で回転させながらガ−ドバンドに相当する部分に幅
0.25μm長さ0.7μmの矩形形状の電子線を照射
しつつ、この部分の半径方向に5kOeの磁界を印加し
た。磁界は電磁石により印加するため、ディスク全面に
印加される。この状態でディスクを10回転させた。な
お、電子線の幅方向とガ−ドバンドの幅方向は一致する
ようにした。次に電子線照射位置を次のガ−ドバンドに
移動させ、この位置でまたディスクを10回転させた。
このようにして全てのガ−ドバンドに電子線を照射し
た。
【0031】次に、ディスクを10rpmの回転速度で
回転させながら記録トラックに相当する部分に幅1.0
μm、長さ1.0μmの電子線を照射しつつ、この部分
の円周方向から半径方向に45°傾いた方向に5kOe
の磁界を印加した。この状態でディスクを10回転させ
た後、電子線照射位置を次々に移動し全ての記録トラッ
クに電子線を照射した。引き続き、カーボン保護層、及
び、潤滑層を順次形成した。
【0032】こうして形成された磁気記録媒体をX線回
折により分析した結果、Cr下地層では(100)ある
いは(110)結晶面が基板と略並行となるように結晶
が配向成長し、磁性層は(110)面が基板と略並行と
なるよう配向成長していた。カ−効果によって、この磁
気記録媒体のディスク円周方向に磁界を印加して測定し
た記録トラック部のHc(θ)は1450 Oe、ガ−
ドバンド部のHcは650 Oe、残留磁束密度・総磁性
層厚積(Br×t)は129G・μmであった。測定位
置による保磁力の相違は20 Oeであった。また、同
じくカ−効果を用いて、ディスク半径方向に磁界を印加
して測定した保磁力Hc(θ)は、記録トラック部では
1430 Oe、ガ−ドバンド部では1950 Oeであ
った。媒体表面の磁気ヘッド走行方向に測定した中心線
平均粗さRa(θ)は0.2nmであった。
【0033】本実施例の磁気記録装置を用い、磁気ヘッ
ドスライダのヘッド浮上量70nm、線記録密度100
kBPI、トラック密度10kTPIの条件で記録再生
特性を評価したところ、1.6の装置S/N(振幅比)
が得られた。オ−バライト特性は−35dBであった。
また、磁気ヘッドの入出力信号に信号処理を施すことに
より、ヘッド浮上量70nmで1平方インチ当たり10
00メガビットの情報を記録再生することができた。し
かも、内周から外周までのヘッドシーク試験5万回後の
ビットエラー数は10ビット/面以下であり、MTBF
で15万時間が達成できた。記録密度を1平方インチ当
たり300メガビットとした場合には、ヘッド浮上量1
10nmで記録再生することができ、MTBFで30万
時間が達成できた。
【0034】〔実施例3〕実施例2と同様の構成を持つ
磁気記録装置において、基板として直径2.5インチ、
厚さ0.4mmのSi−C基板を用いた。その上に、2
mTorrのアルゴン圧の条件のもとで厚さ50nmの
Cr下地層、磁性層として厚さ13nmのCo―16a
t%Cr―4at%Ta層を順次積層した。
【0035】引き続き、ディスクを10rpmの回転速
度で回転させながら、ガ−ドバンドに相当する部分に幅
0.25μm長さ0.7μmの長方形状の電子線を照射
しつつ、この部分の円周方向に5kOeの磁界を印加し
た。磁界は電磁石により印加するため、ディスク全面に
印加される。この状態でディスクを10回転させた。な
お、電子線の幅方向とガ−ドバンドの幅方向は一致する
ようにした。次に電子線照射位置を次のガ−ドバンドに
移動させ、この位置でまたディスクを10回転させた。
このようにしてすべてのガ−ドバンドに電子線を照射し
た。
【0036】次に、ディスクを10rpmの回転速度で
回転させながら記録トラックに相当する部分に幅1.0
μm、長さ1.0μmの電子線を照射しつつ、この部分
の円周方向から半径方向に45°傾いた方向に5kOe
の磁界を印加した。この状態でディスクを10回転させ
た後、電子線照射位置を次々に移動し全ての記録トラッ
クに電子線を照射した。さらに、その上に、実施例1と
同様のカーボン保護層と潤滑層を順次形成した。
【0037】こうして形成された磁気記録媒体をX線回
折により分析した結果、Cr下地層では(100)ある
いは(110)結晶面が基板と略並行となるように結晶
が配向成長し、磁性層は(110)面が基板と略並行と
なるよう配向成長していた。カ−効果を用いて、この磁
気記録媒体のディスク円周方向に磁界を印加して測定し
た記録トラック部のHc(θ)は1450 Oe、ガ−
ドバンド部のHcは1980 Oe、残留磁束密度・総磁
性層厚積(Br×t)は129G・μmであった。測定
位置による保磁力の相違は20 Oeであった。また、
同じくカ−効果を用いて、ディスク半径方向に磁界を印
加して測定した保磁力Hc(θ)は、記録トラック部で
は1430 Oe、ガ−ドバンド部では670 Oeであ
った。媒体表面の磁気ヘッド走行方向に測定した中心線
平均粗さRa(θ)は0.2nmであった。
【0038】本実施例の磁気記録装置を用い、磁気ヘッ
ドスライダのヘッド浮上量70nm、線記録密度100
kBPI、トラック密度10kTPIの条件で記録再生
特性を評価したところ、装置S/N(振幅比)は1.1
であった。オ−バライト特性は−34dBであった。ま
た、磁気ヘッドの入出力信号に信号処理を施すことによ
り、ヘッド浮上量70nmで1平方インチ当たり100
0メガビットの情報を記録再生することができた。しか
も、内周から外周までのヘッドシーク試験5万回後のビ
ットエラー数は10ビット/面以下であり、MTBFで
15万時間が達成できた。記録密度を1平方インチ当た
り600メガビットとした場合には、ヘッド浮上量11
0nmで記録再生することができ、MTBFで30万時
間が達成できた。
【0039】前記実施例においては、熱処理に用いる熱
源として電子線を用いたが、電子線の代わりに光線を用
いても同様の効果が得られる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、狭トラック幅で高い媒
体S/Nが得られる。すなわち、記録トラック内のヘッ
ド走行方向の保磁力の分散を小さくできるので媒体雑音
を低減できると共に、オーバーライト特性を改善するこ
とができる。また、ガードバンドへの書きにじみを低減
することができるので、高いトラック密度を実現するこ
とができる。
【0041】さらに、本発明ではテクスチャを用いない
ため、磁気記録媒体表面の凹凸が小さいので、安定した
ヘッドの浮上特性が得られ、また、高品位なヘッド位置
決め用サーボ信号が得られるので、1平方インチ当たり
600メガビットの高い記録密度で、15万時間以上の
平均故障間隔を実現できる。また、記録密度を1平方イ
ンチ当たり300メガビットとした場合には30万時間
以上の平均故障間隔を実現できる。さらに、ディスク基
板と磁気ヘッドスライダを高密度に実装できるので、小
型大容量の磁気記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】保磁力の分散と媒体雑音の関係を示す図。
【図2】記録トラック部の保磁力とガ−ドバンド部の保
磁力の比と、書きにじみ量の関係を示す図。
【図3】(a)は磁気記録装置の平面模式図、(b)は
そのA−A’断面図。
【図4】磁気ヘッドの断面構造の一例を示す斜視図。
【図5】磁気ヘッドの磁気抵抗センサ部の断面構造の一
例を示す模式図。
【図6】磁気記録媒体の断面構造の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
31…磁気記録媒体、32…磁気記録媒体駆動部、33
…磁気ヘッド、34…磁気ヘッド駆動部、35…記録再
生信号処理系、41…磁気抵抗センサ、42…下部シー
ルド層、43…上部シールド層、44…コイル、45…
下部記録磁極、46…上部記録磁極、47…導体層、4
8…基体、51…ギャップ層、52…反強磁性磁区制御
層、53…薄膜磁気抵抗性導電層、54…感磁部、55
…非磁性層、56…高抵抗層、57..軟磁性層もしくは
永久磁石膜バイアス層、61…基板、62…非磁性メッ
キ層、63…下地層、64…磁性層、65…保護層、6
6…潤滑層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 晃 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 城石 芳博 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 細江 譲 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも磁性層を含む磁気記録媒体に
    おいて、磁性層中の記録トラックの磁化容易軸方向がト
    ラック方向からトラック幅方向に対して20°〜70°
    傾斜していることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 少なくとも磁性層を含み、該磁性層中に
    ガードバンド部を間に介在させて複数の記録トラックを
    配列した磁気記録媒体において、 記録トラックの磁化容易軸方向がトラック方向からトラ
    ック幅方向に対して20°〜70°傾斜していることを
    特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記磁化容易軸方向がトラック方向から
    トラック幅方向に対して略45°傾斜していることを特
    徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 少なくとも磁性層を含み、該磁性層中に
    ガードバンド部を間に介在させて複数の記録トラックが
    配列された磁気記録媒体において、 記録トラック内のトラック方向の保磁力とガードバンド
    部のトラック方向の保磁力が20%以上異なっているこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 記録トラック内とガードバンド部とで磁
    化容易軸方向が異なっていることを特徴とする請求項4
    記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 記録トラック内の磁化容易軸方向が略ト
    ラック方向であり、ガ−ドバンド部の磁化容易軸が略ト
    ラック幅方向であることを特徴とする請求項5記載の磁
    気記録媒体。
  7. 【請求項7】 記録トラック内の磁化容易軸方向がトラ
    ック方向からトラック幅方向に対して20°〜70°傾
    斜し、ガ−ドバンド部の磁化容易軸方向が略トラック幅
    方向であることを特徴とする請求項5記載の磁気記録媒
    体。
  8. 【請求項8】 記録トラック内の磁化容易軸方向がトラ
    ック方向からトラック幅方向に対して20〜70°傾斜
    し、ガ−ドバンド部の磁化容易軸方向が略トラック方向
    であることを特徴とする請求項5記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 記録トラック内の磁化容易軸方向がトラ
    ック方向からトラック幅方向に対して略45°傾斜して
    いることを特徴とする請求項7又は8記載の磁気記録媒
    体。
  10. 【請求項10】 線記録密度が100kBPI以上及び
    /又は記録トラック密度が5kTPI以上であることを
    特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の磁気記録
    媒体。
  11. 【請求項11】 記録トラック方向に磁界を印加して測
    定した記録トラック部の保磁力Hc(θ)が1400エ
    ルステッド以上であることを特徴とする請求項1〜10
    のいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか1項記載の
    磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を駆動する駆動部
    と、記録部及び磁気抵抗効果型磁気ヘッドで構成された
    再生部を含む磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記記録
    媒体に対して相対的に運動させる手段と、前記磁気ヘッ
    ドに接続された記録再生信号処理手段とを有する磁気記
    録装置。
  13. 【請求項13】 記録トラック部又はガ−ドバンド部を
    局所的に加熱しながら該加熱部に所定の方向の磁界を印
    加することによって磁化容易軸方向を前記磁界の印加方
    向に設定する工程を含むことを特徴とする請求項1〜1
    1のいずれか1項記載の磁気記録媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記加熱は電子線照射又は光照射によ
    って行うことを特徴とする請求項13記載の磁気記録媒
    体の製造方法。
JP14204093A 1993-06-14 1993-06-14 磁気記録装置、磁気記録媒体及び磁気記録媒体の製造方法 Pending JPH076356A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090310254A1 (en) * 2008-06-17 2009-12-17 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic recording medium and magnetic recording/reproduction apparatus using the same

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US20090310254A1 (en) * 2008-06-17 2009-12-17 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic recording medium and magnetic recording/reproduction apparatus using the same

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