JPH0762280B2 - チタン又はチタン合金の電解研磨法 - Google Patents

チタン又はチタン合金の電解研磨法

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JPH0762280B2
JPH0762280B2 JP2181582A JP18158290A JPH0762280B2 JP H0762280 B2 JPH0762280 B2 JP H0762280B2 JP 2181582 A JP2181582 A JP 2181582A JP 18158290 A JP18158290 A JP 18158290A JP H0762280 B2 JPH0762280 B2 JP H0762280B2
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隆裕 山田
清勝 工藤
一雄 有村
英紀 八木
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山口県
中国電化工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、チタン又はチタン合金の電解研磨法に関し、
特に平滑で光沢のある電解研磨面を容易に形成すること
ができるチタン又はチタン合金の電解研磨法に関する。
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
チタン又はチタン合金は軽くて耐食性に優れかつ高強度
なものであるため、原子力産業、航空機産業、あるいは
化学・石油化学工業等の材料として利用されてきた。 また、最近ではレジャー用品や装身具等にも需要分野が
広がっている。現在、チタン又はチタン合金製品の最終
仕上げにはバフ研磨が主として行なわれているが、平滑
さや光沢等に問題点を残している。 従来提案されている、チタン又はチタン合金の電解研磨
法は、過塩素酸−酢酸系、フッ化水素酸−エチレングリ
コール系、またはフッ化水素酸−無水クロム酸系の溶液
を用い、直流電流を用いて電解研磨を行うものである。 しかしながら、過塩素酸−酢酸系の溶液は爆発性を有す
るため工業的には殆ど採用されておらず、また、フッ化
水素酸を含有する溶液も、劇薬でありまた人体に対する
強有害性を有するために殆ど使用されていない。したが
って、安全で操作性の容易な電解研磨法の開発が待たれ
ていた。 そして上記従来法では、特に電解効率が低い欠点があっ
た。 すなわち、電解研磨のために電極に直流電流を印加する
と、被電解研磨体側電極のチタン又はチタン合金の表面
にたちまち薄い酸化膜が形成されてしまって電流が殆ど
流れなくなり、その結果それ以上電解研磨が進行しなく
なるため電解研磨効率が極めて低いものであった。
【課題を解決するための手段】
本発明らは上記課題に鑑み鋭意研究の結果、従来の電解
研磨法に比して、電解研磨効率が格段に向上し、かつ無
公害な電解液を使用する電解研磨法を開発した。 すなわち本発明は、プラス及びマイナス電流を交互に流
すパルス電解法により、フッ化水素酸を含有しない電解
液中でチタン又はチタン合金に電解研磨面を生成させる
ことを特徴とするチタン又はチタン合金の電解研磨法で
ある。 上記本発明においては、電解液が、還元剤(例えば次亜
リン酸塩と酒石酸塩の混合物)を含有してなるものであ
ることは好ましく、そして電解液は硫酸及び/又はリン
酸含有液であることが好ましい。 また、電解条件として、プラス及びマイナス電流を交互
に流すパルス電解法が、プラス及びマイナス電流を交互
に流す、周期0.01〜100msec、電流密度10〜1000A/dm2
パルス電解法であることは好ましく、電流波形としては
矩形波、正弦波、三角波等が採用されるが、矩形波が特
に好ましい。 電解液の液温は50〜70℃であることが特に好ましい。 本発明でいう「パルス電解法」は、「パルス波」すなわ
ち、一般に取り扱いの対象となる時間に対して、十分短
い限られた時間にだけ存在する電圧又は電流の繰り返
し、を適用する電解法を意味し、電流を規制するか電位
を規制して行われるもので、周期的電流中断法(断続
法)、周期的逆電流法、更には正弦波交流法、鋸歯状波
交流法等により行われるものである。 本発明において、従来法で用いる直流に代えて、パルス
波を用いる理由は以下のとおりである。 従来、電解液を用いてチタン又はチタン合金の電解研磨
作業を行うと、チタンは極めて酸化されやすい性質を有
しているため、直流電流による電解研磨法では安定な酸
化皮膜が直ちに生成して電流が流れなくなり、それ以上
電解研磨が進行しなくなり、よて電解研磨効率が著しく
低いものとなる。 そこで本発明では、電解研磨作業にプラス電流とマイナ
ス電流を交互に流すことの可能なパルス電解法を用い
る。すなわち、被電解研磨体側電極(アノード)に交流
電流の1サイクルにおけるプラス電流が流れる時間を調
整する。 この調整はアノードに安定な酸化皮膜が生成する直前で
電流をマイナス側に逆転させるようにして行う。この逆
転によって、それまでに生成したわずかな酸化皮膜を破
壊させる。その際に溶液中に、無機あるいは有機の還元
剤を添加混合しておくことは好ましく、するとその還元
剤は前記わずかな酸化皮膜の破壊を促進するのに役立
つ。以上のメカニズムによりチタン及びチタン合金表面
上に安定な酸化皮膜が生成するのを抑制し、安定かつ確
実な電解研磨を行い、平滑で光沢のある研磨表面を得る
ことのできるものである。 電解液として好ましいものは、硫酸濃度100〜400ml/l、
リン酸濃度170〜425ml/l、水分100〜500ml/lから成る組
成溶液1に、次亜リン酸ソーダあるいはクエン酸等の
還元剤を5〜100g添加したものが好ましい。この電解液
の温度は40〜80℃が好ましく、特に50〜70℃が好まし
い。これらの条件で、プラス電流とマイナス電流を交互
に流すことの可能なパルス電解法により矩形波、三角波
あるいは正弦波等の波形の交流波を用いて行う。交流と
しては、矩形波電流が特に好ましい。 被電解研磨体側電極は交流電流の印加により、アノード
電極とカソード電極に周期的に切換わる。 操作条件は、アノードピーク電流密度10〜500A/dm2、ア
ノードオンタイム0.1〜10msec、カソード電流密度10〜5
00A/dm2、カソードオンタイム0.1〜10msec、電解研磨処
理時間5〜30分間の電解条件下でチタン及びチタン合金
の電解研磨を行うことが好ましい。 ところで、チタン又はチタン合金は種々の水素化物を容
易に生成しやすく、その結果それらの機械的性質を劣化
させることが知れている。 本発明によるプラス電流とマイナス電流を交互に流すこ
との可能なパルス電解法では、チタンの酸化皮膜の生成
を抑制するためにカソード電流を流すために、周期的に
水素が発生することになる。したがって、被電解研磨体
であるチタン又はチタン合金に水素が吸蔵されるように
なることが予想される。しかしながら、本発明によるプ
ラス電流とマイナス電流を交互に流すことの可能なパル
ス電解法では、チタンあるいはチタン合金中に水素が法
吸蔵されることはなく、よって被電解研磨体の機械的性
質が劣化することはない。 以上の結果、本発明方法により、チタン又はチタン合金
の電解研磨を行えば、容易に電解研磨が行え、しかも機
械的強度の劣化もなく、平滑で光沢のある電解研磨面を
得ることが可能となる。
【実施例】
実施例1: [電解液組成] リン酸 400ml 硫酸 300ml 水 300ml 次亜リン酸ソーダ 30 g 上記の電解研磨液を使用して、浴温度60℃で以下に示す
パルス条件でチタン又はチタン合金の電解研磨を行っ
た。 [電解条件] 電流波形: 矩形波 アノードピーク電流密度:200A/dm2 アノードオンタイム: 0.5m sec カソードピーク電流密度:200A/dm2 カソードオンタイム : 0.5m sec 電解時間 :20min 上記の電解研磨浴及び電解条件でチタン又はチタン合金
の電解研磨を行うことにより、目視観察により平滑で光
沢のある電解研磨面が得られた。 実施例2: [電解液組成] リン酸 400ml 硫酸 200ml 水 400ml 酒石酸 10 g グルコン酸ソーダ 10 g 上記の電解研磨液を使用して、浴温度70℃で以下に示す
パルス条件でチタン又はチタン合金の電解研磨を行っ
た。 [電解条件] 電解波形: 三角波 アノードピーク電流密度:200A/dm2 アノードオンタイム : 0.5m sec カソードピーク電流密度:200A/dm2 カソードオンタイム : 0.5m sec 電解時間 :20min 上記の電解研磨浴及び電解条件でチタン又はチタン合金
の電解研磨を行うことにより、目視観察により平滑で光
沢のある電解研磨面が得られた。 実施例3: [電解液組成] リン酸 400ml 硫酸 200ml 水 400ml 次亜リン酸ソーダ 30 g クエン酸 40 g 上記の電解研磨液を使用して、浴温度70℃で以下に示す
電解条件でチタン又はチタン合金の電解研磨を行った。 [電解条件] 電解波形: 正弦波 アノードピーク電流密度:200A/dm2 アノードオンタイム : 0.5m sec カソードピーク電流密度:200A/dm2 カソードオンタイム : 0.5m sec 電解時間 :15min 上記の電解研磨浴およびパルス条件でチタン又はチタン
合金の電解研磨を行うこよにより、目視観察により平滑
で光沢のある電解研磨面が得られた。 実施例4: [電解液組成] リン酸 400ml 硫酸 200ml 水 400ml 上記の電解研磨液を使用して、浴温度70℃で以下に示す
パルス電解条件でチタン又はチタン合金の電解研磨を行
った。 [電解条件] 電解波形: 矩形波 アノードピーク電流密度:200A/dm2 アノードオンタイム : 0.5m sec カソードピーク電流密度:200A/dm2 カソードオンタイム : 0.5m sec 電解時間 :20min 上記の電解研磨浴及び電解条件でチタン又はチタン合金
の電解研磨を行うこよにより、目視観察により平滑では
あるが光沢の若干劣る電解研磨面が得られた。 比較例1: [電解液組成] リン酸 400ml 硫酸 300ml 水 300ml 次亜リン酸ソーダ 30 g 上記の電解液を使用して、浴温度60℃で以下に示す電解
条件でチタン又はチタン合金の電解研磨を行った。 [電解条件] 電流: 直流 電流密度:200A/dm2 上記の電解研磨浴及び電解条件により、チタン又はチタ
ン合金の電解研磨を行うと、電解研磨開始直後に試料表
面に安定な酸化皮膜を生成して電流が流れなくなり、そ
の後の電解研磨は不可能になった。
【発明の効果】
上記のとおり、本発明方法によれば、従来殆ど不可能と
いわれたチタン又はチタン合金の電解研磨を容易に実施
することができる。 しかも形成された電解研磨面は、平滑で光沢のあるもの
となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−167800(JP,A) 特開 昭56−16700(JP,A)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラス及びマイナス電流を交互に流すパル
    ス電解法により、フッ化水素酸を含有しない電解液中で
    チタン又はチタン合金に電解研磨面を生成させることを
    特徴とするチタン又はチタン合金の電解研磨法。
  2. 【請求項2】請求項1記載のチタン又はチタン合金の電
    解研磨法において使用される電解液が、被電解研磨側電
    極であるチタン又はチタン合金上に生成される酸化物皮
    膜の破壊を促進させるための還元剤を添加混合したもの
    であることを特徴とするチタン又はチタン合金の電解研
    磨法。
  3. 【請求項3】電解液が硫酸及び/又はリン酸含有液であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載のチタン又はチ
    タン合金の電解研磨法。
  4. 【請求項4】還元剤が、次亜リン酸と酒石酸塩の混合物
    であることを特徴とする請求項2又は3に記載のチタン
    又はチタン合金の電解研磨法。
  5. 【請求項5】プラス及びマイナス電流を交互に流すパル
    ス電解法が、プラス及びマイナス電流を交互に流す、周
    期0.01〜100msec、電流密度10〜1000A/dm2のパルス電解
    法であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
    に記載のチタン又はチタン合金の電解研磨法。
  6. 【請求項6】パルス電解法が、矩形波電流を採用して実
    施されることを特徴とする請求項5記載のチタン又はチ
    タン合金の電解研磨法。
  7. 【請求項7】パルス電解法が、正弦波電流を採用して実
    施されることを特徴とする請求項5記載のチタン又はチ
    タン合金の電解研磨法。
  8. 【請求項8】電解液の液温が50〜70℃であることを特徴
    とする請求項1ないし7のいずれかに記載のチタン又は
    チタン合金の電解研磨法。
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