JPH0761764A - 超高層ビル等の建設工事に用いる天井走行クレーンの長尺レール取付治具とその解体方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 超高層ビル等の建設工事に用いる天井走行ク
レーンのレールの取付治具と、その解体方法に関するも
ので、建設工事終了後、安全で、しかも効率的な解体撤
去の作業ができる治具と、解体方法を提供することにあ
る。 【構成】 超高層ビル等の最上階の鉄骨構造部４の下面
と、この鉄骨構造部４の左右両端部に取り付けたはり出
し部３の下面とに、あらかじめ長尺レール１を長手方向
に移動自在に懸架支持する取付治具２を一定のピッチで
取り付け、この取付治具２を介して前記長尺レール１を
懸架支持させたのち固定し、解体に際しては、取付治具
に対する長尺レールの固定を解除し、解除した状態で、
長尺レールの中間部を適当長さをもって切断分割し、分
割した部分を直下の床上に荷下ろしし、残った長尺レー
ルを中央部側へ移動させ、以下、移動と分割切断と床上
への荷下ろしとを交互に繰り返し解体撤去することを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、超高層ビル等の建設
工事に用いる天井走行クレーンのガイドレールとして用
いる長尺レールの取付治具と、建設工事終了時における
その長尺レールの解体方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、ビル等の高層化にともなって、そ
の建設工法もセルフクライミング形式のタワークレーン
による工法をはじめ、ジブクレーンや天井走行クレー
ン、さらにはジャツアップ装置等を組み合わせ使用した
リフトアップないしジャッキアップ工法（別称Ｔ−ＵＰ
工法）などと呼ばれる新しい工法が開発されている。

【０００３】ちなみに、本発明者らは、ジャッキアップ
工法の１つとして高層ビル等の建設における資材の吊り
込み建て方方法（特願平４−２６７０１６号）を開発し
た。この建て方方法の特徴とするところは、図６で示す
ように、まず建設すべき高層ビル等の構造体の中心とな
る鉄骨構造部５０（以下、コア部と呼ぶ）を先行して構
築し、ついで最上階に相当する鉄骨構造部５１を地上で
組み立て、これを前記先行して組み立てたコア部５０に
ジャッキアップ装置５２を介して装架させ、装架した鉄
骨構造部５１上に、ジブクレーン５３を設置し、同じく
鉄骨構造部５１の下面には、複数基の天井走行クレーン
５４を装架させた構成とし、前記ジブクレーン５３によ
ってコア部５０の資材を吊り込み組み立て、前記天井走
行クレーン５４によって、コア部５０をかこむ下層階の
資材の吊り込みと組み立てを行い、所定の下層階の組み
立て作業が終了したところで、前記ジャッキアップ装置
５２を介して前記最上階の鉄骨構造部５１をジャッキア
ップし、以下、コア部５０の組み立てと、下層階の組み
立てと、ジャッキアップ作業とを交互に繰り返して、所
望高さの構造体に組み上げ建設することを特徴とするも
のである。なお、図６は５階層までの組み立てを終了し
たところを示す。

【０００４】以上、説明したように、本発明者らが開発
した工法は、最上階に相当する鉄骨構造部５１の上に設
置したジブクレーン５３でコア部５０を、同じく鉄骨構
造部５１の下面に装架した天井走行クレーン５４で下層
階の組み立てを行い、ジャッキアップ装置５２で最上階
の鉄骨構造部５１をジャッキアップして、全高の構造体
を構築するように構成したので、従来のタワークレーン
のみによる建設工法に比較し、飛躍的に工期の短縮を可
能とした工法として評価されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記工法に
おいて、コア部５０まわりの下層階の資材を吊り上げ組
み立て作業を行う天井走行クレーン５４は、当然のこと
ながら、それらの資材を建設中の構造体の外側から吊り
上げる必要がある。したがって、図６で示すように最上
階の鉄骨構造部５１の左右両端部には、あらかじめ揚重
作業のための仮設ブラケットからなるはね出し部５５を
設け、この左右はね出し部５５と、前記鉄骨構造部５１
の下面に前記天井走行クレーン５４のガイドとなる長尺
レール５６を取り付け、この長尺レール５６を介して天
井走行クレーン５４を装備させた構成としているもので
ある。

【０００６】つまり、天井走行クレーン５４の資材吊り
込み位置が建設すべき構造体の外周位置にとられるよう
に、長尺レール５６の左右両端部を、前記はね出し部５
５を介して左右に張り出した形にして取り付けた構成と
している。

【０００７】ところが、この構造体の左右に張り出した
長尺レール５６は、説明するまでもなく前記ブラケット
状のはね出し部５５とともに、建設工事の終了時には、
解体撤去しなければならないものである。そこで、従来
は、前記はね出し部５５を取り付けた最上階の鉄骨構造
部５１側に小形のクレーンを仮設するか、前記コア部５
０の資材吊り込みに用いたジブクレーン５３を利用して
フックを下ろし、そのフックを介して長尺レール５６に
玉掛けを行い、長尺レール５６の鉄骨構造部５１に対す
る固着部を切り離すとともに、長尺レール５６自体を所
定の長さに切断して地上へ吊り下ろし撤去するという方
法を採っている。

【０００８】したがって、解体作業にかなりの手間が掛
り、しかも、そのために特別な仮設足場や切断作業時に
発生する火花の養生手段などを必要とする問題点があっ
た。特にはね出し部５５側に延出された長尺レール５６
部分の解体は、危険性がともなうため、作業の安全制の
確保に万全の配慮が必要とされ、このジャッキアップ工
法のもつ有意性をさらに高める上での技術課題の１つと
されていた。

【０００９】この発明は、前記技術課題を解決し、さら
に作業の安全性と効率性を向上させる天井走行クレーン
を用いたジャッキアップ工法による超高層ビル等の建設
における長尺レールの取付治具と、その解体方法を提供
することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成する手段
として、この発明は、まず長尺レールを最上階に相当す
る鉄骨構造部の下面と、この鉄骨構造部の左右両端部に
取り付けたはり出し部の下面とに、あらかじめ長尺レー
ルを長手方向に移動自在に懸架支持する取付治具を一定
のピッチをもって取り付けた。そして、この取付治具を
介して長尺レールを懸架支持させたのち、固定し、前記
鉄骨構造部の下面と、その左右両端部のはね出し部の下
面に前記長尺レールを装備させる構成としたことにあ
る。

【００１１】次に、建設工事の終了後、前記長尺レール
を解体撤去する手段としては、次のような手順によって
行うようにした。 （１）取付治具に対する長尺レールの固定を解除する。 （２）長尺レールの中間部、具体的には最上階に相当す
る鉄骨構造部の中央部に対応する長尺レールを適当な長
さをもってガス切断法等によって切断分離するか、あら
かじめ設定されているレール継手部を解除して分離す
る。そして分離した部分は鉄骨構造部直下の作業床上に
荷下ろしする。 （３）取付治具側に残った長尺レールを中央部側へ移動
させ、前記同様、その長尺レールを適当な長さに切断す
るか、前記同様あらかじめ設定されているレール継手部
を解除して分離する。そして分離した部分は作業床上に
荷下ろしする。 （４）以下、前記（２）および（３）の作業を繰り返
し、全長の長尺レールを適当な長さに分割し、鉄骨構造
部の中央部下面の作業床上に荷下ろしし、解体撤去する
ようにしたことにある。

【００１２】

【作用】この発明は、以上説明したように長尺レールを
移動自在に懸架支持する特別な取付治具の複数をあらか
じめ準備し、これを長尺レールを装備する最上階に相当
する鉄骨構造部およびこの鉄骨構造部の両端に設けたは
ね出し部の下面に一定のピッチで取り付け、この取付治
具を介して長尺レールを装備するように構成したため、
前記したような手順（１）（２）（３）（４）を繰り返
せば、安全に、しかも効率的に長尺レールの解体撤去が
できるものである。つまり、最上階の鉄骨構造部および
その直下の床上で作業ができるので、安全性と効率性が
確保される。

【００１３】

【実施例】次に図面に示す実施例に基づいて、この発明
による長尺レールの取付治具と、その長尺レールの解体
方法をさらに具体的に説明する。まず、図１および図２
は、長尺レール１の取付治具２の構成と、この取付治具
２のはね出し部３の下面に対する取り付け手段を示す概
略図である。まず、取付治具２自体は、図１で示すよう
に、はね出し部３を形成する下弦部材３ａの下面に取り
付けた。具体的には図２で示すように、下弦材３ａの下
部フランジ３ｂの両側に、一対の取付耳片２ａおよび２
ａを設け、この双方取付耳片２ａおよび２ａの内側に、
それぞれガイドローラ２ｂおよび２ｂを枢支させた構成
とした。なお、図１では、取付治具２は１個のみ表示し
たが、前記下弦材３ａに沿って一定ピッチで複数個取り
付けた（図３参照）。

【００１４】そして、この取付治具２を構成するガイド
ローラ２ｂおよび２ｂ間に、長尺レール１を長手方向に
移動自在にして懸架支持させるようにした。つまり、長
尺レール１の上部フランジ１ａを前記ガイドローラ２ｂ
および２ｂに懸架させ、長尺レール１を長手方向に押す
なり引くなりすると、ガイドローラ２ｂ，２ｂを介して
長尺レール１は長手方向に移動可能な構成として懸架さ
せた。

【００１５】ついで、図３以下で示すように、前記はり
出し部３の下面に取り付けた取付治具２と同様な構成か
らなる取付治具２を最上階に相当する鉄骨構造部４の下
面に、一定のピッチをもって取り付けた。すなわち、最
上階に相当する鉄骨構造部４を構成する下弦部材４ａに
取り付けた。ちなみに、実施例においては、前記はね出
し部３を構成する下弦部材３ａも、前記鉄骨構造部４を
構成する下弦部材４ａも同一断面形状のＨ形鋼を用い
た。そして、左右のはね出し部３および３と、前記最上
階に相当する鉄骨構造部４の下面全長にわたって長尺レ
ール１を移動自在に懸架支持させた。なお、図３以下、
図５において、鉄骨構造部４の中央から右半分と、同じ
く右はね出し部３の下面に対する取付治具２の表示は省
略し、また長尺レール１に懸架支持させる天井走行クレ
ーンの表示も省略した。さらに、天井走行クレーンを長
尺レールに沿って走行移動させた場合、その長尺レール
１自体が左右のはり出し部３および３および鉄骨構造部
４の下面に取り付けた取付治具２，…，から脱落した
り、妄動してガイドレールとしての役割に支障を生じる
ことがないよう、図面上には表示していないが着脱形式
のクランプ金具を用い、長尺レール１は前記各取付治具
２，…，に対し着脱自在に固定させる構成とした。

【００１６】そこで、この長尺レール１に装架した天井
走行クレーンによって資材を吊り込み、しかるべき階層
の組み立て作業が終了すると、長尺レール１の解体作業
の準備として、まず、図３で示すように最上階の鉄骨構
造部４の中央部近辺の直下、すなわち作業床５上に仮設
の作業足場６を設置した。ついで、この作業足場６を利
用し、鉄骨構造部４側に、図面上には表示していない
が、簡易な電動式チェンブロックを設置した。

【００１７】他方、取付治具２に対する長尺レール１の
固定を解除し、つまり着脱式のクランプ金具を取り除
き、長尺レール１自体を長手方向に移動自在とした。そ
して、まず前記電動式チェンブロックのフックを長尺レ
ール１のほぼ中間部に玉掛けし、その中間部を適当長
さ、具体的には、電動式チェンブロックで操作可能な長
さに切断する。おな、長尺レール１自体をあらかじめ継
手部材で接続して長尺レールとしたものを用いた場合
は、その継手部材を取り外し、適当長さに分割する。

【００１８】ついで、その長尺レール１の中間部を適当
長さに切断ないし分割すると、電動式チェンブロックを
用いて作業床５上に荷下ろしする。１本目の長尺レール
の切断部分１ｂの荷下ろしが終了すると、図４で示すよ
うに、左側に残った長尺レール１を右側へ移動させる。
その長尺レール１は、すでに図２で説明したようにガイ
ドローラ２ｂ，２ｂを介して支持されているため、移動
はきわめて容易である。移動作業が終了すると、前記図
３で説明した要領で、長尺レール１を分割し、作業床５
上に荷下ろしする。図５は、その２本目の切断部分１ｂ
を荷下ろしした状態を示す。

【００１９】以下、前記手順を繰り返し、左右両側の長
尺レール１を作業床５上に解体撤去し、全長の長尺レー
ル１を取り外す。なお、長尺レール１の解体撤去の作業
が終了すると、左右のはり出し部３および３は、作業床
５側に引き寄せ、その作業床５上で解体し、天井走行ク
レーンの仮設機械として用いた長尺レール１およびはね
出し部３，３のすべてを取り外すことはもちろんであ
る。

【００２０】

【発明の効果】この発明は、以上実施例を通して説明し
たように構成したので、建設作業終了後における長尺レ
ールの解体作業が、建設中の構造体における中央部付近
の作業床上で行うことができ、その結果、従来の解体撤
去作業に比較し、その作業の安全性が確実に保障され、
しかも作業の効率性を飛躍的に向上させることができ
る。

【００２１】

【図面の簡単な説明】

【図１】長尺レールの取付治具の構成を示す概略側面図
である。

【図２】図１のＹ−Ｙ線縦断正面図である。

【図３】長尺レールの中央部を適当長さに分割し、作業
床上に荷下ろしした状態を示す側面図である。

【図４】長尺レールを中央部へ引き寄せた状態を示す側
面図である。

【図５】中央部へ引き寄せた長尺レールを適当長さ分割
し、作業床上に荷下ろしした状態を示す側面図である。

【図６】先に開発した高層ビル等の建設における資材の
吊り込み建て方方法の説明図である。

【符号の説明】

１……長尺レール（天井走行クレーン用） １ａ……長尺レールの上部フランジ ２……取付治具 ２ａ……取付耳片 ２ｂ……ガイドローラ ３……はり出し部 ３ａ……下弦部材 ３ｂ……下部フランジ ４……最上階に相当する鉄骨構造部 ４ａ……下弦部材 ５……作業床 ６……仮設の作業足場

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 超高層ビル等の最上階に相当する鉄骨構
   造部の下面と、この鉄骨構造部の左右両端部に取り付け
   たはり出し部の下面とに、あらかじめ長尺レールを長手
   方向に移動自在に懸架支持する取付治具を一定のピッチ
   をもって取り付け、この取付治具を介して前記長尺レー
   ルを懸架支持させたのち、取付治具に固定し、もって前
   記鉄骨構造部の下面と、その左右両端部のはね出し部の
   下面とに、天井走行クレーンのガイドレールとしての長
   尺レールを装備させたことを特徴とする超高層ビル等の
   建設工事に用いる天井走行クレーンの長尺レール取付治
   具。
2. 【請求項２】 超高層ビル等の建設工事に用いる天井走
   行クレーンの長尺レール解体方法であって、（１）取付
   治具に対する長尺レールの固定を解除する工程と、
   （２）長尺レールの中間部を適当長さをもって分割し、
   分割した長尺レールの部分を直下の床上に荷下ろしする
   工程と、（３）取付治具側に残った長尺レールを中央部
   側へ移動させ、その位置で適当長さに分割し、分割した
   長尺レールの部分を同じく直下の床上に荷下ろしする工
   程と、（４）前記（２）と（３）の工程を繰り返し、全
   長の長尺レールを最上階の鉄骨構造部の中央部直下の床
   上に荷下ろしして解体撤去することを特徴とする超高層
   ビル等の建設工事に用いる天井走行クレーンの長尺レー
   ル解体方法。