JPH076125B2 - 異方性熱収縮性を有する不織シート及びその製造法 - Google Patents

異方性熱収縮性を有する不織シート及びその製造法

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JPH076125B2
JPH076125B2 JP60008314A JP831485A JPH076125B2 JP H076125 B2 JPH076125 B2 JP H076125B2 JP 60008314 A JP60008314 A JP 60008314A JP 831485 A JP831485 A JP 831485A JP H076125 B2 JPH076125 B2 JP H076125B2
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岩崎  博文
寛 北村
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旭化成工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は異方性熱収縮性を有する不織シートに関する。
<従来の技術> 収縮性包装材として1軸方向により多く熱収縮するフイ
ルムが多く利用されている。これは、2軸方向に熱収縮
する収縮フイルムより加工性がすぐれているためであ
る。すなわち2軸方向に収縮するフイルムを用いる場合
は、密閉袋状にして、被構造体を袋の中に入れてから熱
処理しないと、フイルムだけが収縮してしまうので用い
ることができない。又袋状にする加工と被構造体を入れ
た後シートする工程と、加工工程が長く複雑になるの
で、加工性が悪くなりコスト高になるためである。
一方2軸方向に熱収縮するフイルムを用いて立体構造体
を収縮包装する場合、被包装体である立体構造体をフイ
ルム製袋の中にクリップ等で正しく位置決めしておく必
要がある。このような処理を施してから熱収縮させない
と収縮後のフイルムが立体構造体の周囲に均等に収縮付
着しないからである。このようなクリップ等を用いた位
置決めは収縮加工工程を複雑にし、コスト高を招くこと
になる。
前述のように2軸方向に熱収縮するフイルムは袋にした
り、クリップ等を用いるという手数を要するので、現在
加工食品保存用瓶の収縮包装には1軸方向により多く熱
収縮するフイルムが主として用いられている。
一方包装材としてのフイルムは引裂強力や引張強度が弱
く又衝撃に対するクッション性が弱い。そこで被包装体
の保護が特に重要な場合にはこれら物性において優れて
いる不織シートを用いることが要望されている。その場
合にも包装用不織シートが前述のように1軸方向により
多く収縮する性質すなわち異方性熱収縮性を有せば包装
工程を非常に効率良く実施することができることになり
好ましい。しかし現在そのような異方性熱収縮性を有す
る不織シートは出現していない。勿論不織シートの製造
時における繊維の分散状態を製造時における不織シート
のシート流れ方向(以下タテ方向という)とそのシート
流れ方向と直角方向(以下ヨコ方向という)を変えるこ
とによってタテ方向とヨコ方向とで熱収縮性を変えるこ
とはできる。例えば単繊維で20%程度の熱収縮性を有す
る繊維を用いて特定方向だけ10%程度の熱収縮率を有す
る不織シートは作れるがその場合繊維を極端に薄くしな
ければならず、その結果強力等の物性が悪くなって実用
性のある不織シートは得られない。
<発明が解決しようとする問題点> 従来公知の包装用不織シートの有する問題点を解決して
異方性熱収縮性を有する不織シートを提供することを目
的とする。
<問題点を解決するための手段> 前述の目的はポリエステル長繊維不織シートであって、
該不織シートの105℃乾熱収縮率が不織シートの製造時
におけるシート流れ方向と該シート流れ方向に直角方向
で異なり、一方の収縮率が10%以下、他方の収縮率が20
%以上60%以下であることを特徴とする異方性熱収縮性
を有する不織シートによって達成される。
前記異方性熱収縮性を有する不織シートは破断伸度100
%以上、熱収縮率(本明細書では105℃乾熱収縮率で示
す)20%以上のポリエステル長繊維から成るウェブを部
分的熱圧着、機械的交絡等により相互に繊維を接合させ
て不織シートを作り、この不織シートをリラックス熱処
理した後所定方向に熱をかけながら延伸することによっ
て得ることができる。
本発明の不織シートにおけるポリエステルとは、直鎖状
ポリエステル、及び、芳香族ポリエステルである。例え
ば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、及びその共重合体などが用いられる。特に潜
在的に20%以上の熱収縮性をもつ、未延伸ポリエチレン
テレフタレート繊維を用いると好ましい。
収縮包装する場合は、20%以上の収縮性が必要である。
すなわち、20%以下の時は包装される立体構造体を十分
密着包装することはできず、部分的に不完全な個所が発
生する。好ましくは、25〜60%熱収縮すると十分均一に
密着包装することができる。
他方の熱収縮率を10%以下にする必要は、包装ラベル等
に印刷されたものの活字が10%以上収縮するとゆがんだ
り変形して外観品位が悪くなるからである。10%以下に
するとその変形、ゆがみが目立たなくなる。好ましくは
5%以下である。
以下本発明の異方性熱収縮性を有する不織シートをその
製造手順の一例を追って以下に詳述する。
スパンポンド法にて、まずポリエステル長繊維ウェブを
形成させる。その単繊維の破断伸度は100%以上、105℃
乾熱収縮率が20%以上であり、かつ複屈折率が0.01以上
であることが必要である。尚織度は30デニール以下、好
ましくは0.5〜15デニールである。繊維は同一又は異繊
度の繊維を混用しても良い、又目付は10〜500g/m2のも
のが好ましく用いられるが特に限定はない。
前記ウェブを少なくとも一方の表面に凹凸模様を有する
一対のエンボスロールを用いてロール温度70〜150℃、
好ましくは90℃〜130℃の温度にて線圧5〜90kg/cm、好
ましくは20〜70kg/cmの下で部分的熱圧着を行ない不織
シートを得る。部分的熱圧着面積比率は5〜50%である
ことが好ましい。
一方機械交絡のニードルパンチにより繊維どうしの交絡
をして不織シートを得てもよい。ニードルパンチ回数は
50〜400回/cm2行うのがよい。
なお前記不織シートの製造に際して融着繊維を混用して
もよい。
次のステップでは上記不織シートを雰囲気温度70゜〜15
0℃好ましくは90゜〜130℃で10〜60%リラックス熱収縮
させる。好ましくは20〜50%である。その時、タテ方向
とヨコ方向を同程度リラックス熱収縮させるよりも、次
のステップで延伸する方向を他方より10〜30%多くリラ
ックス熱収縮させるのが次のステップの加工に好まし
い。
さらに次のステップには前記リラックス熱収縮した不織
シートを1軸方向に延伸する。この時低い温度で延伸し
た方が熱収縮性が保持できるが目付ムラの拡大、延伸張
力が大きいということから、雰囲気温度を70゜〜150
℃、好ましくは90゜〜130℃で延伸加工をすると目付ム
ラの拡大もなく延伸張力も小さくて延伸加工できる。又
熱収縮性もほとんど維持できる。延伸倍率は、リラック
ス熱収縮した不織シートに対して1軸方向に1.2倍以上
延伸することにより20%以上の熱収縮性が維持できる。
又、3.0倍以上延伸すると、不織シートの破断のおそれ
があるので、3.0倍以下にすることが必要である。好ま
しい範囲の延伸倍率は1.3〜2.5倍である。
このようにして1軸方向により多く熱収縮する異方性熱
収縮性を有する不織シートが得られ、収縮フイルムでは
物性的に問題があった分野に使用して優れた性能を発揮
する。
<実施例> 以下本発明の異方性熱収縮性を有する不織シートとその
製造法を具体的実施例に基づいて説明し、併せて比較例
との対比の上でその特性値を示す。
なお本明細書で用いられる前記特性値の定義およよび測
定方法を以下に総括して示す。
◎ 目付 試験片20cm×20cmを取り、その重量を測り、目付に換算
して表わす。
◎ 厚み 荷重100g/m2のダイヤルゲージを用いて少なくとも3点
以上測り、その平均値で表わす。
◎ 105℃乾熱収縮率 0.1g/d荷重下での試料長さL0とし、荷重を取り除き、10
5℃乾熱中に5分間処理した後、再度、同じ荷重下で測
定した試料長をLとし、乾熱収縮率を下記式で求める。
不織シートとしての乾熱収縮率は試料30cm×30cmを取
り、そのタテ方向、ヨコ方向に20cm間隔にマークして、
105℃乾熱処理を5分間行ない、前後の寸法変化から収
縮率を算出する。
◎ 強伸度 島津製作所Auto Graph DSS-2000型万能引張試験機に
より、把握長10cm、引張速度20cm/分で測定した。
◎ 引裂強力(ペンジュラム法) 6.5cm×10cmの試験片をタテ、ヨコ方向に各3枚以上採
取し、エレメンドルフ形引裂強さ試験機を用いて、引裂
き、引裂かれたときに示す最大荷重をタテ、ヨコ方向各
々の平均値で表わす。
◎ 耐摩耗性 タテ20cm×ヨコ3cmの試験片を、摩耗試験機II型(学振
型)を用いて荷重500gで100往復摩擦させた後、試験片
の外観変化を下記の判定基準に照らして判定し耐摩耗性
の目安とした。
(判定基準)A級 まったく毛羽立ちがない。
B級 少し毛羽立ちがあるが目立たない。
C級 毛羽立ちが目立つ。
◎ 通気性 JIS-L-1079のフラジュール形試験機で行う。
◎ クッション性 コンクリート床の上に厚さ2.0mmのガラス板を置き、そ
の上に試料を置いて重さ10gの鋼球を上方から落下させ
その時に下のガラス板が割れる高さでクッション性(c
m)を表わす。
実施例−1,比較例−1,2 孔径0.25mm、孔数1000個の矩型紡糸口金を用い、吐出量
850g/minで固有粘度0.75のポリエチレンテレフタレート
を溶融温度290℃紡出し、紡糸口金から索引用エアーサ
ッカーまでの距離を1000mmとして紡糸条を紡糸速度200m
/minを金網上に捕集して均一なウェブを取り出した。
上記ウェブ(構成する繊維の性能:繊度3d、破断伸度23
0%、△n0.03、単繊維熱収縮率53%、ウェブ目付50g/cm
2)を一方の表面に凹凸模様を有する一対のエンボスロ
ールを用いて、部分的熱圧着を行なった。尚、熱圧着面
積比率は12%、融着部面積は5mm2の長方形を千鳥状に配
列しているエンボスロールを用いて凹凸形状の深さを0.
6mmとする。上下ロール表面温度は上ロール105℃下ロー
ル95℃、ロールプレス圧、線圧20kg/cmである。(以下
シートAという)このシートAをショートループでリラ
ックス熱収縮を行なう。雰囲気温度110℃加工速度25m/
分、タテ方向を20%リラックス、ヨコ方向をフリーな状
態で行なう。(以下シートBという)シートAからシー
トBになると、寸法変化は次のようになる。タテ方向は
100cmが80cmになり、ヨコ方向は100cmが54cmとなる。更
にシートBをクリップテンターでヨコ方向の延伸加工を
行なう。雰囲気温度95℃、加工速度20m/分、タテ方向を
そのままの状態でヨコ方向を1.8倍延伸した。すると、
本発明の1軸方向に熱収縮する異方性熱収縮性を有する
不織シートを得る。(以下シートCという)シートBか
らシートCになると寸法変化は次のようになる。タテ方
向80cmが80cmのまま、ヨコ方向が54cmが95cmとなるこの
不織シートの特性値を第1表に示す。
比較例−1としてシートAの特性値を示す。
比較例−2として市販の1軸収縮のポリエチレンフイル
ムを示す。
前記実施例1と比較例2の収縮率特性を第1図に示す。
第1図および第1表に示すように実施例−1の本発明の
不織シートは、1軸方向に熱収縮する熱収縮異方性不織
シートであり、比較例−2の1軸収縮フイルムと同様の
収縮性を示し、且つクッション性、強靭性において優れ
ていることが判る。又、比較例−1の本発明の製造方法
を行う前の特性値が維持されている。
実施例−2 実施例−1の本発明の不織シートを印刷性改良の為に表
面を平滑化する。25℃ゲージ圧2.5kg/cm2でペーパーカ
レンダー加工を行ない。次にプリント印刷を行なった。
その結果を第2表に示す。
実施例−2の不織シートは表面は非常に平滑化され、プ
リント印刷もきれいにできた。しかし第2表に示すよう
にクッション性を除く他の物性は実施例−1の物性がほ
とんど維持されている。
実施例−3,比較例−3 孔径0.25mm孔数1000個の矩型紡糸口金を用い、吐出量85
0g/minで固有粘度0.75のポリエチレンテレフタレートを
溶融温度290℃で紡糸し、紡糸口金から索引用エアーサ
ッカーまでの距離を1000mmとして紡出糸条を紡糸速度29
00m/minを金網上に捕集して均一なウェブを取り出し
た。上記ウェブ(構成する繊維の性能:繊度10d、破断
伸度185%、△n0.05、単繊維熱収縮率48%、ウェブ目付
150g/cm2)をニードルパンチ加工を行ない交絡させた。
尚、ニードルパンチ回数は100回/cm2、針種36番フェル
ト針、つき深さ15mmである。(以下シートDという)こ
のシートDをビニチュターを用いてリラックス熱処理を
行なう。雰囲気温度130℃加工速度25m/minでタテ方向を
35%オーバーフィードさせヨコ方向を25%入れてリラッ
クス収縮させた。(以下シートFという)シートDから
シートFになると寸法変化は次のようになる。
タえ方向は100cmから65cm、ヨコ方向は100cmから75cmと
なる。更にシートFを1対のニップロール2組を用いて
ロール回転比をそれぞれ変えて延伸加工を行なう。尚、
雰囲気温度100℃、ロール間の距離100cm、ロール径250
φ、ロール速度比を1:1.6とし、1.7倍タテ方向に延伸し
た。(以下シートJという)すると、本発明の1軸方向
に熱収縮する異方性熱収縮性を有する不織シートが得ら
れる。
シートFからシートJになると寸法変化は次のようにな
る。
タテ方向は65cmから107cm、ヨコ方向は75cmから72cmと
なるこの不織シートの特性値を第3表に示す。
比較例としてシートCの加工前の特性値を示す。
第3表に示すように、実施例−3の不織シートは、特に
クンション性にすぐれていることが分った。更に、引裂
強力が非常に大きく破れにくい点が優れた異方性熱収縮
性を有する不織シートが得られた。
比較例−3に示した等方性収縮性不織シートから、ほと
んど収縮性が異方性に変化した外は、他の特性値は維持
されたままである。そのために、今迄フイルムでは展開
できない分野に多く活用できる。特にクッション性の大
きいことが望まれる破損し易い構造体の包装に有用に利
用できる。
<発明の効果> 本発明による異方性熱収縮を有する不織シートは、耐熱
性クッション性、通気性、強靭性等、フイルムにはみら
れない優れた性能をもっており且つ異方性熱収縮性を有
するので、収縮包装材料として、従来にない包装加工の
応用分野、特に工業資材、精密機械部品、ガラス、陶
器、等の分野に用いて収縮包装を効率良く実施すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による不織シートとポリエチレン収縮フ
ィルムの収縮率特性を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル長繊維不織シートであって、
    該不織シートの105℃乾熱収縮率が不織シートの製造時
    におけるシート流れ方向と該シート流れ方向に直角方向
    で異なり、一方の収縮率が10%以下、他方の収縮率が20
    %以上60%以下であることを特徴とする異方性熱収縮性
    を有する不織シート。
  2. 【請求項2】破断伸度100%以上、105℃乾熱収縮率20%
    以上のポリエステル長繊維からなるウエブを接合し、次
    いで、リラックス熱処理した後、1軸方向に延伸するこ
    とを特徴とする不織シートの製造方法。
JP60008314A 1985-01-22 1985-01-22 異方性熱収縮性を有する不織シート及びその製造法 Expired - Fee Related JPH076125B2 (ja)

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