JPH07609U - 回転切削工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プルスタッドボルトで直接引き込んで、工具
ホルダに強固に固定できる回転切削工具を提供する。 【構成】 底刃１と外周ねじれ刃２を有する本体部と一
体成形されたスパイラルソリッドエンドミルのシャンク
３上にねじ穴５を有するテーパスリーブ４を焼き嵌めし
て取付ける。テーパスリーブ４を取付ける工具は図示の
エンドミル以外の工具でもよい。このスリーブのねじ穴
５にプルスタッドボルトをねじ込み、そのボルトで工具
ホルダのテーパ穴に工具を引込むとコレットによる締付
けとは比較にならない程強い力で固定が行われて使用中
の空回りが起こらない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ドリル、エンドミル、リーマ、タップ等の回転切削工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、マシニングセンタ等の普及に伴い、回転切削工具の加工機への装着をプ ルスタッドボルトによる引込み方式で行うことが多くなっている。

【０００３】 この場合、プルスタッドボルトは、周知のチャック機構を有する工具ホルダに 接続して工具ホルダのテーパシャンクを加工機の主軸に引込む方法ではボルト引 込み力が工具把持力としては何ら有効に働かないことから、工具ホルダ内のコレ ットに接続し、このコレットをホルダのテーパ孔に引込む方法が採られ出してい る。この方法によれば、プルスタッドボルトの引込み力でコレットが収縮するの で強い把持力が得られ、同時に、工具ホルダの簡素化、心出し精度の向上も計れ る。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

プルスタッドボルトによる引込みでは、締付リングでコレットを押込む一般的 なチャック機構よりも相当強い収縮力を働かせることができるが、コレットを介 しての締付けでは重切削になるとどうしても把持力が不足し、高送りするとスリ ップして空回りすることがある。

【０００５】 このため、工具のシャンクにプルスタッドボルトを直接連結することが考えら れている。しかしながら、高硬度材料から成る工具にプルスタッドボルトの係止 部等を直接形成するのは大変に手間がかかって実用的でない。また、工具径によ っては、シャンクを太くしないと連結部の設置が許容されないこともある。なお 、本体と一体のシャンクを太くすると高価な工具材料の使用量が増えるのでこれ も好ましくない。

【０００６】 そこで、本考案は、上の不具合を生じさせずにプルスタッドボルトによる回転 切削工具の直接引込みを可能ならしめることを課題としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するため、本考案においては、回転切削工具を、本体部と一 体に形成されたシャンク外周に、プルスタッドボルトのねじ込み穴を有するテー パスリーブを焼き嵌めして一体的に取付けた構成にしたのである。

【０００８】

【作用】

本考案の工具は、シャンク上に取付けたテーパスリーブにプルスタッドボルト を接続するねじ穴を設けているので、コレット無しで工具ホルダに装着できる。 テーパスリーブを、これに螺合させたプルスタッドボルトで工具ホルダのテーパ 穴に直接引込めば、テーパ嵌合面に生じる強力な摩擦力でテーパスリーブがホル ダに強固に固定される。

【０００９】 本考案の工具は、そのテーパスリーブが焼き嵌めされてコレットでの締付けと は比較にならないほど強い力でシャンクを掴み、一体成形物とさして変わらない 状態になっている。従って、高負荷切削でもテーパスリーブとシャンク間にスリ ップが生じることがない。

【００１０】 また、ねじ穴をテーパスリーブに設けているため、工具に直接設ける場合と違 って穴加工が容易であり、工具径による穴の設置制限等も無くなる。さらに、テ ーパスリーブを安価な通常の鋼材で形成してコストアップも抑制できる。

【００１１】

【実施例】

図１及び図２に、本考案の一具体例を示す。

【００１２】 例示の工具は、底刃１と外周ねじれ刃２を有する本体部の後方にシャンク３を 一体成形して設けたスパイラルソリッドエンドミルに鋼製のテーパスリーブ４を 取付けている。

【００１３】 シャンク３は、テーパシャンクよりも加工の手間が少なくて済むストレートシ ャンクが好ましい。

【００１４】 テーパスリーブ４は、工具ホルダのテーパ穴に適合して嵌まる形状、サイズに し、さらに、後端部にプルスタッドボルトをねじ込むねじ穴５を設けてシャンク ３の外周に焼き嵌めしてある。この焼き嵌めのための締め代はシャンク径の１／ １０００程度（シャンク３の外径が例えば２５mmとすると締め代は約０．０２５ mm）あれば、テーパスリーブ４がシャンク３の外周に強力に抱きつき、送りを従 来の３倍程度にまで高めても、スリップの無い安定した切削が可能である。

【００１５】 なお、ここでは、エンドミルを例に挙げたが、ドリル、リーマ、タップ等の他 の回転切削工具に適用しても同じ効果が得られる。

【００１６】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案の回転切削工具は、ねじ穴のついたテーパスリーブ をシャンク外周に焼き嵌めしてプルスタッドボルトによる工具ホルダへの直接引 込み固定を可能ならしめたので、コレットを用いたチャック機構で把持する場合 に問題になっていたスリップ回転をコスト面で有利に、また、工具径等による実 施規制を受けずに無くすことができ、高能率加工の安定化に寄与できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の工具の一例を示す斜視図

【図２】同上の工具の要部の断面図

【符号の説明】

１ 底刃 ２ ねじれ刃 ３ シャンク ４ テーパスリーブ ５ ねじ穴

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 本体部と一体に形成されたシャンク外周
   に、プルスタッドボルトのねじ込み穴を有するテーパス
   リーブを焼き嵌めして一体的に取付けた回転切削工具。