JPH0760885A - ヌバック調シート材およびその製造方法 - Google Patents

ヌバック調シート材およびその製造方法

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JPH0760885A
JPH0760885A JP23100393A JP23100393A JPH0760885A JP H0760885 A JPH0760885 A JP H0760885A JP 23100393 A JP23100393 A JP 23100393A JP 23100393 A JP23100393 A JP 23100393A JP H0760885 A JPH0760885 A JP H0760885A
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raised
nubuck
urethane resin
sheet material
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JP23100393A
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Katsumi Osawa
克己 大澤
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Achilles Corp
Original Assignee
Achilles Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 湿式法によるものと同等の外観や感触、ある
いは風合いを有するヌバック調シート材を、乾式法によ
り得る。 【構成】 少なくとも片面が起毛された繊維質基材1の
該起毛面1′側に、W/O型ウレタン系樹脂分散液を塗
布または/および含浸し、加熱乾燥してウレタン系樹脂
層2を形成する。この後、該樹脂層2をエンボス加工
し、次いで該エンボス加工面を起毛処理して、微細な凸
部21における起毛領域と微細な凹部22における非起
毛領域とを形成する。上記の繊維質基材1は、該基材の
起毛面1′が微多孔質状態のウレタン系樹脂で含浸され
たものであってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乾式法によるヌバック
調シート材とその製造方法に関し、特に、湿式法による
ヌバック調シート材と同等の外観や感触、あるいは風合
いを有する該シート材を得る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】ヌバック調の外観を有するシート材(以
下、「ヌバック調シート材」と記す)は、車両、家具
類、カバン、事務用品などの表面材、あるいは衣類や袋
物などとして広く用いられている。
【0003】このヌバック調シート材は、その製造方法
により、乾式法によるものと、湿式法によるものとに大
別される。乾式法によるものは、一般に、繊維質の基材
上に溶剤系または水分散系のウレタン系樹脂液を塗布あ
るいは含浸し、この塗布あるいは含浸層を乾燥させた
後、バフ掛けして起毛調の外観を持たせたものであっ
て、必要に応じてバフ掛けに先立ちエンボス加工を施す
こともある。
【0004】湿式法によるものは、一般に、繊維質の基
材上にウレタン系樹脂溶液を塗布ないしは含浸させ、こ
れをウレタン系樹脂に対する非溶剤中に浸漬して、塗布
ないしは含浸されているウレタン系樹脂溶液中の溶剤を
非溶剤中に移行させることにより、ウレタン系樹脂を凝
固させるとともに該樹脂層を多孔質のものとし(脱溶剤
部分が微孔として残る)、この後、該多孔質層をバフ掛
けして表面層のセル壁を一部破り、起毛調の外観を持た
せたものである。なお、湿式法によるものの場合も、必
要に応じてバフ掛けに先立ち、エンボス加工を施すこと
もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の乾式
法によるものの場合は、製造工程が単純で、低コストで
ある反面、風合い、感触ともにハードで、かつボリュー
ム感にも欠け、天然皮革のヌバックとは、程遠い外観や
感触となっている。
【0006】一方、上記の湿式法によるものの場合は、
風合い、感触ともにソフトで、かつボリューム感にも富
み、天然皮革のヌバックに、外観、感触とも近似したも
のとなっている反面、製造工程が煩雑であり、特に、非
溶剤への浸漬後にウレタン系樹脂層内に残存する非溶剤
および溶剤の除去に際し、作業環境、延いては地球環境
の汚染防止上の配慮が必要であり、製造コストを高騰さ
せる一つの大きな要因となってる。
【0007】そこで、本発明は、湿式法によるものと同
等の外観や感触、あるいは風合いを有するヌバック調シ
ート材と、このシート材を製造工程の単純な乾式法によ
り製造する方法とを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、(1)少なくとも片面が起毛された繊維
質基材の該起毛面側にW/O型ウレタン系樹脂分散液が
塗布または/および含浸されてなるウレタン系樹脂層が
形成され、該層に起毛領域と非起毛領域とが形成されて
なることを特徴とするヌバック調シート材、および
(2)少なくとも片面が起毛された繊維質基材の該起毛
面側にW/O型ウレタン系樹脂分散液を塗布または/お
よび含浸し、加熱乾燥後、該塗布または/および含浸面
をエンボス加工し、次いで該エンボス加工面を起毛処理
することを特徴とするヌバック調シート材の製造方法、
を要旨とする。
【0009】本発明における繊維質基材は、普通繊維
(単糸繊度が1デニール以上のもの)、極細繊維(単糸
繊度が0.5〜1デニールのもの)、超極細繊維(単糸
繊度が0.5デニール以下のもの)、特殊多孔繊維(普
通繊維の少なくとも一部の成分を溶解除去することによ
り得られる繊維)、極細束状繊維(極細繊維を束状にま
とめたものの少なくとも一部の成分を溶解除去すること
により得られる繊維)などで調製された織布、編布、編
織布、あるいはポリウレタンや合成ゴムなどの弾性重合
体が付与された繊維絡合不織布を主体とするものであ
る。
【0010】また、本発明の繊維質基材は、該基材の起
毛面に微多孔質状態のウレタン系樹脂を含浸させた後、
起毛処理または立毛処理を施したものであってもよい。
【0011】これらの繊維としては、例えば、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフ
ィン、ポリビニルアルコールなどの合成繊維、綿、麻、
絹、ウールなどの天然繊維、レーヨン、スフ、アセテー
トなどの再生繊維を、それぞれ単独で使用してもよい
し、2種以上の混合状態で、あるいは混紡繊維の形態で
使用することもできる。
【0012】このような繊維質基材は、少なくとも片面
が起毛されたものであるが、この起毛状態、あるいは起
毛方法などは、特に制限せず、どのようなものでもよ
い。ただし、本発明のヌバック調シート材を、天然皮革
のヌバックにより近似させるためには、特に、起毛(立
毛)を構成する繊維が1デニール以下の極細繊維で、し
かも起毛が短く(言い換えれば、毛足が短く)、かつ密
度の高いものが好ましい。
【0013】本発明のW/O型ウレタン系樹脂分散液と
は、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミドなどを
溶剤としたウレタン系樹脂液を、さらに有機溶剤および
水に分散させたものを言う。また、このウレタン系樹脂
とは、イソシアネート成分とポリオール成分とを、鎖伸
長剤の存在下で、反応させて得られるウレタン系弾性体
樹脂を言う。
【0014】上記のイソシアネート成分としては、具体
的に、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、
ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシ
アネート、あるいはブチレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシア
ネート、3,3,5−トリメチル−5−イソシアネー
ト、メチルシクロヘキサンイソシアネートなどの脂肪族
または脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0015】また、ポリオール成分としては、具体的
に、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル
系ポリオール、ポリエチレンアジペート、ポリブチレン
アジペート、ポリヘキサメチレンアジペートなどのポリ
エステル系ポリオールの他、ポリカプロラクトン系ポリ
オール、ポリカーボネート系ポリオールなどが挙げられ
る。
【0016】さらに、鎖伸長剤としては、例えば、エチ
レングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレン
グリコールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジオ
ールなどの脂環族ジオール、キシリレングリコールなど
の芳香族ジオール、エチレンジアミン、プロピレンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミンなどのジアミン、ヒドラ
ジン、ヒドラジド、アミノ酸ヒドラジドなどのヒドラジ
ン誘導体などが挙げられる。
【0017】これらの各成分の反応によって得られるウ
レタン系樹脂は、フィルム物性として、100%モジュ
ラスが10〜50kg/cmのものが好ましい。10
kg/cm未満では、製品シート材の風合いはソフト
となるものの、鞄、袋物、雑貨、サンダル、靴、家具、
車両などの素材に要求される表面強度などの物性が低下
し、また50kg/cmより大きいと、風合いが硬く
なる。
【0018】また、このようなウレタン系樹脂からなる
W/O型ウレタン系樹脂分散液は、無孔型のもの(該樹
脂によって成形される層やシートあるいはフィルムなど
が多孔質でないもの)と多孔型のもの(該樹脂によって
成形される層やシートあるいはフィルムなどが多孔質の
もの)とがあり、本発明では、いずれのものをも使用す
ることができる。ただし、車両用素材などのように強い
表面強度を必要とするものの場合は、無孔型のものを使
用するのが好ましく、ソフト感を高めるには多孔型のも
のを使用するのが好ましい。
【0019】なお、上記のW/O型ウレタン系樹脂分散
液には、必要に応じて、着色剤、充填剤、光安定剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤などの各種の添加剤を添加する
こともできる。
【0020】本発明のヌバック調シート材は、上記の繊
維質基材の起毛面に上記のW/O型ウレタン系樹脂分散
液を塗布または/含浸させてなるウレタン系樹脂層が形
成され、しかもこの樹脂層に起毛領域と非起毛領域とが
形成されたものである。この起毛領域と非起毛領域と
は、後述する本発明の製造方法に沿って、W/O型ウレ
タン系樹脂分散液により形成されるウレタン系樹脂層上
にエンボス加工を施し、次いでこの加工面を起毛処理、
例えばバフ掛けなどをすることによって、形成される。
【0021】すなわち、簡単に説明すると、エンボス加
工により凹凸面を形成し、該凹凸面をバフ掛けすると、
凸部は、バフ掛け効果が良好に発現して起毛された状態
(起毛領域)となり、凹部は、バフ掛け効果が発現しな
いか、発現したとしても極く僅かであるため、非起毛状
態(非起毛領域)のままで残存する。
【0022】この起毛領域と非起毛領域とが、本発明の
ヌバック調シート材を、天然皮革のヌバックに近似させ
る作用をなす。
【0023】以上のような構成を有する本発明のヌバッ
ク調シート材は、次のような本発明の製造方法によって
得ることができる。すなわち、先ず、前述の少なくとも
片面が起毛処理された繊維質基材の起毛面に、W/O型
ウレタン系樹脂分散液を、ナイフコーター、コンマドク
ター、ロールコーター、リバースロールコーターなどの
各種の手段で塗布または/および含浸する。
【0024】なお、本発明においては、繊維質基材にW
/O型ウレタン系樹脂分散液を塗布したものに限らず、
W/O型ウレタン系樹脂分散液中に繊維質基材を浸漬す
ることによっても得られるが、工程として湿式法と大差
なくなってしまうため、上記のように、塗布、含浸させ
るのが好ましい。
【0025】上記のW/O型ウレタン系樹脂分散液は、
前述したようにウレタン系樹脂液を水と有機溶剤との混
合液に分散させたものであり、この有機溶剤としては、
メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、アセトン、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、シクロヘキサノン、キシレン、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどが、
それぞれ単独で、あるいは2種以上を混合して使用され
る。ただし、これらの中で、水との溶解度が大きすぎる
ものや、水に溶解しないものの場合は、水との溶解度が
限界を有する範囲となるように他の溶剤と混合して使用
し、また沸点の高いものの場合は、使用量を少なくする
のが好ましい。
【0026】これらの有機溶剤と水との混合割合は、有
機溶剤が多すぎると、W/O型ウレタン系樹脂分散液が
繊維質基材中に染み込みすぎて風合いが硬くなり、少な
すぎると、水による粘度上昇が大きく、塗布または/お
よび含浸に不都合で、かつ水の乾燥に多くの時間を要す
るため、水:有機溶剤=20:80〜45:55(重量
部)程度とすることが好ましい。
【0027】また、分散液中のウレタン系樹脂の固形分
濃度は、作業性を考慮して8〜15(重量%)程度とす
ることが好ましい。
【0028】上記のW/O型ウレタン系樹脂分散液の塗
布または/および含浸量は、繊維質基材に対するウレタ
ン系樹脂の付着量で、1〜50重量%、好ましくは5〜
30重量%とすることが適している。1重量%未満であ
ると、製品シート材が、従来の乾式法によるものと同様
の外観となってしまい、湿式法によるもののような優れ
た外観を得ることができず、50重量%より多いと、風
合いが硬くなる。
【0029】上記のW/O型ウレタン系樹脂分散液を塗
布または/および含浸した後、加熱乾燥させて、ウレタ
ン系樹脂層を形成する。このときの加熱温度は、一定温
度としてもよいが、低温から高温へ温度勾配を付ける
と、脱水が徐々にかつ充分に行われるため、製品シート
材の風合いがさらにソフトなものとなり、好ましい。
【0030】次いで、該ウレタン系樹脂層をエンボス加
工して、該層に凹凸を形成する。このエンボス加工の手
法は、通常のウレタン系樹脂層をエンボス加工する手法
と同様である。ただし、このエンボス加工によって形成
される凹凸が、本発明のヌバック調シート材を、天然皮
革のヌバックに近似させる上で重要な要因となるもので
ある。
【0031】例えば、凹凸段差が小さすぎたり、凸部と
凹部の面積(あるいは、面積差)が小さすぎると、次の
起毛処理工程で、起毛処理の効果が全面に均等に及んで
しまい、全面が起毛されてしまい、逆に凹凸段差が大き
すぎたり、凹部と凸部の面積(あるいは、面積差)が大
きすぎると、人工的な感覚が強くなるため、適度な凹凸
段差と適度な面積(面積差)とを有するものであること
が好ましい。
【0032】したがって、本発明の製造方法では、上記
のような凹凸が形成され得るエンボス手法を採用する
(例えば、好適なエンボスロールの選択、エンボス時の
加圧力の調整、エンボス加工に先立つウレタン系樹脂層
の好適温度への加熱など)。
【0033】以上のようにしてエンボス加工が終了した
なら、このエンボス加工面に起毛処理を行う。起毛処理
は、通常のバフ掛けの他、櫛削り、ブラッシング、サン
ドブラスト、エメリ起毛機による処理など種々の処理方
法が採用される。
【0034】このような起毛処理により、前述したよう
に、エンボス加工によって形成された凸部が主として起
毛されて、起毛領域となり、凹部は起毛されないか、起
毛されたとしても極く僅かであり、非起毛領域のままで
残存する。このような起毛領域と非起毛領域との作用に
より、本発明の製造方法で得られるシート材は、従来の
湿式法で得られるヌバック調シート材と同等の優れた外
観を呈し、天然皮革のヌバックに近似した製品となる。
【0035】なお、本発明においては、繊維質基材とし
て、微多孔質状態のウレタン系樹脂で含浸されたものを
使用することもでき、このような繊維質基材は、通常の
湿式法によるウレタン系樹脂多孔質体の製造技術により
得ることができる。すなわち、少なくとも片面が起毛さ
れた繊維質基材に、ウレタン系樹脂溶液を含浸させ、こ
れをウレタン系樹脂に対する非溶剤中に浸漬して、該樹
脂溶液中の溶剤を該非溶剤中に移行させてウレタン系樹
脂を凝固させるとともに該樹脂層を多孔質のものとし、
水中で脱溶剤した後、起毛処理または立毛処理を施すこ
とにより得ることができる。
【0036】このときのウレタン系樹脂としては、通常
の湿式法でウレタン系樹脂多孔質体を得る際に使用され
る通常のウレタン系樹脂を使用することができる。
【0037】このような微多孔質状態のウレタン系樹脂
で含浸させた繊維質基材を使用する場合も、前述と全く
同様の工程を経て、本発明のヌバック調シート材を得る
ことができる。
【0038】
【作用】図1を参照して本発明の作用を説明する。先
ず、図1(A)において、少なくとも片面が起毛された
繊維質基材1を準備する。この基材1の起毛面1′に、
W/O型ウレタン系樹脂分散液を塗布または/および含
浸する。
【0039】この分散液は、図1(B)に示すように、
起毛されている繊維11と繊維11との間を浸透して起
毛の基部にまで到達し、起毛面1′全体が該分散液によ
り含浸された状態となる。
【0040】これを加熱乾燥させると、図1(B)に示
すように、繊維11を起毛(立毛)状態で内蔵した(埋
め込んだ)ウレタン系樹脂層2が形成される。このウレ
タン系樹脂層2は、加熱乾燥時に脱水され、上記のW/
O型ウレタン系樹脂分散液が多孔型の場合は、微多孔質
体となり、良好な風合いのものが得られ、無孔型の場合
は、微多孔質とはならず、表面強度などの物性の高いも
のが得られる。
【0041】次いで、このウレタン系樹脂層2面をエン
ボス加工して、該層2に図1(C)に示すような凹凸を
形成する。このエンボス加工により、ウレタン系樹脂層
2に埋め込まれた繊維11は、凸部21においては、起
毛(立毛)状態を維持する部分や、一部繊維が倒れて非
起毛状態となる部分があり、凹部22においては、大部
分繊維が倒れて非起毛状態となる。
【0042】最後に、この凹凸が形成されているウレタ
ン系樹脂層2を起毛処理する。すると、図1(D)に示
すように、起毛処理の効果は、主として凸部21に及
び、該部21のウレタン系樹脂が一部剥ぎ取られ、該部
21の繊維11が該樹脂による結束から開放されて起毛
状態となる。一方、凹部22は、起毛処理の効果が殆ど
及ばないか、極く僅かにしか及ばないため、非起毛状態
のままを維持する。したがって、凸部21が起毛領域2
1′となり、凹部22が非起毛領域22′となって、本
発明のヌバック調シート材が得られる。
【0043】このような本発明の製造方法により得られ
る本発明のヌバック調シート材によれば、上記の起毛領
域21′と非起毛領域22′との作用により、従来の湿
式法によるものと同様の優れた外観を呈し、天然皮革の
ヌバックに極めて近似したものとなる。
【0044】なお、上記の繊維質基材1として、微多孔
質状態のウレタン系樹脂を含浸したものを使用する場合
には、ウレタン系樹脂層は、該微多孔質状態のウレタン
系樹脂の上に形成されるため、起毛処理の効果は、ウレ
タン系樹脂層(の主として凸部)には及ぶが、微多孔質
状態のウレタン系樹脂には及ばない。したがって、微多
孔質状態のウレタン系樹脂は、そのままの状態で製品シ
ート材中に残存し、より一層ソフトな風合いを有して、
天然皮革のヌバックにより一層近似する。
【0045】
【実施例】
実施例1 0.7デニールのポリエステル繊維65重量%と1デニ
ールのレーヨン繊維35重量%との混合紡糸にて織成し
てなる綾織布を、グレーに染色し、片面を起毛させて、
厚味0.7mmの片面起毛布を準備した。
【0046】この片面起毛布の起毛面上に、ナイフコー
ターにて、表1に示す組成のW/O型ポリエーテル系無
孔型ポリウレタン分散液(大日精化社製商品名“ハイム
レンY−229”)の10%溶液を、塗布量がポリウレ
タン固形分で26g/m(繊維に対するポリウレタン
の付着量は10%)となるように、塗布した後、オーブ
ンにて、70℃で2分間、さらに120℃で2分間の熱
風乾燥を行い、ポリウレタン層を形成した。このように
してポリウレタン層を形成した後のシート状基体は、厚
味0.85mmで、柔軟性に優れるものであった。
【0047】
【表1】
【0048】次いで、上記のシート状基体のポリウレタ
ン層面に、皮絞模様のエンボスロールにて加熱加圧エン
ボス加工を行い、皮革様シート状物を得た。この皮革様
シート状物の表面を320メッシュのサンドペーパーに
て軽くバフィングして、厚味0.65mmのヌバック調
シート材を得た。
【0049】得られたヌバック調シート材は、図1
(D)に示すように、凸部が起毛領域となり、凹部が非
起毛領域となっており、これらの作用により、天然皮革
の持つサラッとした質感と、天然皮革に類似のスムーズ
感とを有し、しかも感触がナチュラルであった。このヌ
バック調シート材は、靴や袋物の素材として、あるいは
カバンの表面材などとして好適であった。
【0050】実施例2 フロント部に0.4デニールのマルチフィラメントから
なるポリエステル繊維を配し、ミドル部およびバック部
に2デニールのマルチフィラメントからなるポリエステ
ル繊維を配して、縦編みに編成してなる編布を、茶色に
染色し、フロント部を起毛させて、厚味0.65mmの
片面起毛布を準備した。
【0051】この片面起毛布の起毛面上に、ナイフコー
ターにて、表2に示す組成のW/O型ポリカーボネート
系無孔型ポリウレタン分散液(大日精化社製商品名“ハ
イムレンY−249”)の12%溶液を、塗布量がポリ
ウレタン固形分で32g/m(繊維に対するポリウレ
タンの付着量は12%)となるように、塗布した後、オ
ーブンにて、70℃で2分間、さらに130℃で1.5
分間の熱風乾燥を行って、ポリウレタン層を形成した。
このようにしてポリウレタン層を形成した後のシート状
基体は、厚味0.85mmで、柔軟性に優れるものであ
った。
【0052】
【表2】
【0053】次いで、上記のシート状基体のポリウレタ
ン層面に、実施例1と同様の加熱加圧エンボス加工を行
った後、実施例1と同様のバフィング処理を行って、厚
味0.65mmのヌバック調シート材を得た。
【0054】得られたヌバック調シート材は、実施例1
と同様に、凸部が起毛領域となり、凹部が非起毛領域と
なっており、これらの作用により、天然皮革の持つサラ
ッとした質感と、天然皮革に類似のスムーズ感とを有
し、しかも感触がナチュラルであるのみならず、適度な
伸縮性をも有していた。このヌバック調シート材は、衣
類の素材として、あるいは家具の表面材などとして好適
であった。
【0055】実施例3 0.5デニールのポリエステル繊維と0.5デニールの
ポリアミド繊維からなる絡合不織布(目付250g/m
)に、茶系着色剤を含むポネリカーボネート系ポリウ
レタンの15%ジメチルホルムアミド溶液を含浸させ、
20℃の13%ジメチルホルムアミド水溶液中で凝固さ
せた後、60℃の水中で脱溶剤、洗浄、乾燥して、絡合
不織布にポリウレタンが微多孔質状態で含有してなるシ
ート状物を得た。
【0056】次いで、該シート状物を、茶系分散染料と
酸性染料とで、高圧染色機にて茶色に染色した。このシ
ート状物の表面を、180メッシュのサンドペーパーに
より起毛処理を行い、厚味1.1mmの片面に起毛を有
する繊維質基材を得た。
【0057】この繊維質基材の起毛面に、ナイフコータ
ーにて、表3に示す組成のW/O型ポリカーボネート系
無孔型ポリウレタン分散液(大日精化社製商品名“ハイ
ムレンY−249”)の8.6%溶液を、塗布量がポリ
ウレタン固形分で12g/m(繊維に対するポリウレ
タンの付着量は5%)となるように、塗布した後、オー
ブンにて、70℃で1.5分間、さらに120℃で2分
間の熱風乾燥を行って、ポリウレタン層を形成した。こ
のようにしてポリウレタン層を形成した後のシート状基
体は、厚味1.2mmであった。
【0058】
【表3】
【0059】次いで、上記のシート状基体のポリウレタ
ン層面に、実施例1と同様の加熱加圧エンボス加工とバ
フィング処理とを行った後、タンブラー型揉み機にて9
0℃の雰囲気中で30分間の揉み処理を行って、厚味
0.95mmのヌバック調シート材を得た。
【0060】得られたヌバック調シート材は、実施例1
と同様に、凸部が起毛領域となり、凹部が非起毛領域と
なっており、しかも起毛および非起毛の両領域に微多孔
質状態のポリウレタンが含浸されており、これらの作用
により、天然皮革の持つサラッとした質感と、天然皮革
に類似のスムーズ感とを有するとともに、適度な艶消し
効果とナチュラルな感触とをも有しており、実施例1や
実施例2で得られるヌバック調シート材に比して、より
一層天然皮革のヌバックに近似する外観を有していた。
このヌバック調シート材は、靴、家具、あるいは車両の
表面材などとして好適であった。
【0061】実施例4 フロント部に0.6デニールのマルチフィラメントから
なるポリアミド繊維を配し、バック部に1デニールのマ
ルチフィラメントからなるポネリアミド繊維を配して、
縦編みに編成してなる編布を、フロント部を起毛させた
後、茶色に染色して、厚味0.55mmの片面起毛布を
準備した。
【0062】この片面起毛布の起毛面上に、ナイフコー
ターにて、表4に示す組成のW/O型ポリエーテル系多
孔型ポリウレタン分散液(大日精化社製商品名“ハイム
レンX−3040”)の10%溶液を、塗布量がポリウ
レタン固形分で25g/m(繊維に対するポリウレタ
ンの付着量は11%)となるように、塗布した後、オー
ブンにて、70℃で2分間、さらに120℃で1.5分
間の熱風乾燥を行って、ポリウレタン層を形成した。こ
のようにしてポリウレタン層を形成した後のシート状基
体は、厚味0.7mmで、柔軟性に優れるものであっ
た。
【0063】
【表4】
【0064】次いで、上記のシート状基体のポリウレタ
ン層面に、実施例1と同様の加熱加圧エンボス加工を行
った後、実施例1と同様のバフィング処理を行って、厚
味0.5mmのヌバック調シート材を得た。
【0065】得られたヌバック調シート材は、実施例1
と同様に、凸部が起毛領域となり、凹部が非起毛領域と
なっており、これらの作用により、天然皮革の持つサラ
ッとした質感と、天然皮革に類似のスムーズ感とを有
し、しかも感触がナチュラルであるのみならず、適度な
伸縮性をも有していた。このヌバック調シート材は、衣
類の素材として好適であった。
【0066】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
湿式法による場合と同等の優れた風合い、感触、外観な
どを有し、したがって天然皮革のヌバックに近似したヌ
バック調シート材を、乾式法によって得ることができ
る。乾式法は、湿式法による場合に比して、製造工程が
単純であるため、本発明にによれば、上記のように、天
然皮革のヌバックに近似した風合い、感触、外観などを
有するヌバック調シート材を、低コストで得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法における各工程の作用を、各
工程順に説明するための図である。
【符号の説明】
1 繊維質基材 1′ 繊維質基材の起毛面 2 ウレタン系樹脂層 11 起毛された繊維 21 凸部 22 凹部 21′ 起毛領域 22′ 非起毛領域

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも片面が起毛された繊維質基材
    の該起毛面側にW/O型ウレタン系樹脂分散液が塗布ま
    たは/および含浸されてなるウレタン系樹脂層が形成さ
    れ、該層に起毛領域と非起毛領域とが形成されてなるこ
    とを特徴とするヌバック調シート材。
  2. 【請求項2】 少なくとも片面が起毛された繊維質基材
    の該起毛面側にW/O型ウレタン系樹脂分散液を塗布ま
    たは/および含浸し、加熱乾燥後、該塗布または/およ
    び含浸面をエンボス加工し、次いで該エンボス加工面を
    起毛処理することを特徴とするヌバック調シート材の製
    造方法。
JP23100393A 1993-08-24 1993-08-24 ヌバック調シート材およびその製造方法 Pending JPH0760885A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016051711A1 (ja) * 2014-09-29 2016-04-07 株式会社クラレ 起毛皮革調シート及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016051711A1 (ja) * 2014-09-29 2016-04-07 株式会社クラレ 起毛皮革調シート及びその製造方法
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