JPH0760621A - 乾式研削加工法及び装置 - Google Patents

乾式研削加工法及び装置

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JPH0760621A
JPH0760621A JP23226393A JP23226393A JPH0760621A JP H0760621 A JPH0760621 A JP H0760621A JP 23226393 A JP23226393 A JP 23226393A JP 23226393 A JP23226393 A JP 23226393A JP H0760621 A JPH0760621 A JP H0760621A
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泰生 加藤
Tamotsu Tado
保 田戸
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の乾式研削法における研削焼け、研削割
れを生じやすい等の課題を解決し、乾式研削加工法の分
野拡大、能力の向上をはかる。 【構成】 加工雰囲気として不活性気体を用いることに
より、乾式研削法における非酸化、冷却、低加工抵抗の
各効果を実現できることを実験から確認し、本発明の乾
式研削加工装置1においては、研削加工部Gを覆った気
密室5に窒素ガス等の不活性気体を充填して、不活性気
体を用いた加工雰囲気を生成し、その不活性雰囲気下で
非加工物をディスク状研削砥石4により研削加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,加工雰囲気として窒素
ガス等の不活性気体を用い,非酸化効果,冷却効果,低
加工抵抗効果を実現する乾式研削加工法及び研削加工装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】研削加
工法は研削液を用いる湿式研削加工法と,大気中でその
まま実施される乾式研削加工法とに分けられる。従来,
乾式研削加工法は研削液を用いないため,加工面に研削
熱の影響を直接受けて研削焼け,研削割れを生じやす
い。また,湿式研削加工法は,冷却油又は水を用い,潤
滑効果,冷却効果,洗浄効果を得ているが,表面品位に
関わる加工面酸化が避けられない。そしてまた,微小機
械構造部品の加工においては,研削液の液圧の作用だけ
で加工物が損傷を受けるので,必ずしも満足な方法では
ない。また,湿式研削加工における研削液の使用は,ミ
ストの飛散等による作業環境の汚染も生じるが,これを
防止する好適な手段が開発されていない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題に鑑み
てなされたもので,その目的とするところは,冷却効
果,非酸化効果,低加工効果を実現する乾式研削加工法
及び装置を提供しようとするものである。上記課題は,
被加工物の乾式研削加工時における加工雰囲気として窒
素ガス等の不活性気体を用い,該不活性気体を非酸化,
冷却,低加工抵抗用の媒体として用いることにより解決
可能である。すなわち本発明は,被加工物の乾式研削加
工雰囲気として不活性気体を用いたことを特徴とする乾
式研削加工法であり,また該不活性気体を研削加工法に
おける冷却・非酸化・低加工抵抗用の媒体として用いた
ことを特徴とするものである。また,本発明の不活性気
体を用いた研削加工装置は,研削加工部を覆ってなる,
不活性気体を充満した気密室と,気密室内の不活性気体
の循環濾過装置とを備えてなることを特徴とするもので
ある。
【0004】
【作用】先ず,本発明の乾式研削加工法を実施するため
の被加工物の研削加工雰囲気として不活性気体を用いた
乾式研削加工装置の作用を,図1の実施例を示す構成説
明側面図を用いて説明する。平面研削盤M上の研削加工
部Gを覆った気密室5には,気体タンク7により窒素ガ
ス等の不活性気体が充填され,その不活性気体を用いた
加工雰囲気が生成され,その中で研削加工が実施され
る。気密室5内の不活性気体は循環濾過装置8により常
時循環濾過され,該装置8の濾過器8a,冷却器8b,送
風器8cを通って清浄冷却された不活性気体は再び気密
室5の砥石カバー部6に送り戻される。気密室5内で
は,ディスク状研削砥石4により不活性雰囲気下で被加
工物が研削加工される。
【0005】次に,かかる不活性気体を用いた加工雰囲
気で実施される本発明の乾式研削加工法において,不活
性気体が非酸化,冷却,低加工抵抗用の媒体として有効
に作用している点を,従来の大気中の乾式研削加工と比
較しながら説明する。本発明の乾式研削加工法では,不
活性気体を充満した雰囲気で乾式研削加工が実施できる
ので,大気中での研削加工時における酸素に起因する酸
化反応や表面性状の変質は回避される。この事実は,発
明者が行った,窒素ガスを用いた加工雰囲気中で炭素鋼
を研削加工する実験において,非酸化に対する作用効果
が明瞭に観察され,加工面には酸化物の生成が認められ
なかったことにより確認できた。
【0006】また,発明者らの炭素鋼(S45C)研削の
実験結果から不活性気体(窒素ガス)の冷却効果を説明す
る。発明者らは,光ファイバを用いた赤外線センサ放射
温度測定システムを試作し,炭素鋼の乾式研削加工時の
赤外線強度を測定することで,高速に変化する研削時の
砥石表面の微小領域温度の測定に成功した。図5は前記
の測定システムにおける研削温度測定の要部説明図であ
るが,被加工物(S45C)3の底面3bから研削表面
3aの下方160μmまで設けた直径2mmの細穴12
に光ファイバ13を挿入し,その受光面13aが細穴1
2の底部12aから100μmの位置で固定した。毎切
込み量20μmの乾式ワンパス平面プランジ研削を実施
し,光ファイバ13は被加工物3の細穴12の底部12
aから放射される赤外線を受光し,研削時の被加工物3
の研削表面3aの過渡的温度を測定した。なお,総切込
量160μmのとき研削表面3aに細穴12が貫通す
る。底部12aから80μmの位置に研削表面3aが達
したときの空気雰囲気の測定値は,同じ不活性気体雰囲
気の測定値とほぼ等しいが,それ以後の表面近傍の測定
値は,空気雰囲気のものが高温になっていた。両者の電
圧差を温度変換すると底部12aから40μmの位置に
研削表面3aが達したときの空気雰囲気での測定値と不
活性雰囲気での測定値には100℃の温度差があって,
空気雰囲気では酸化燃焼反応による温度上昇が認められ
た。これらの測定及びその他関係実験から,以下のこと
がわかった。 (1)空気雰囲気中でのS45C材の研削加工において測
定出力には加工発熱と切屑の酸化燃焼反応による発熱が
加味されている。 (2)定量的には加工発熱以外の酸化による発熱は,加工
発熱に比較して,加工直後からはるかに大きい熱量を発
生する。 (3)本測定システムによる砥石表面の測定出力は,砥石
研削点が光ファイバ直上に位置する場合,雰囲気に影響
されず表面に応じた出力をする。 (4)以上から,酸化反応を生起させない不活性気体雰囲
気による冷却効果が確認される。 また加工面には研削熱による研削焼け,研削割れの発生
が認められなかった。
【0007】また,同じく発明者の,ステンレス鋼(S
US304)研削の実験結果から不活性気体(窒素ガス)
の研削抵抗の低減効果を説明する。図2は不活性気体雰
囲気の場合,図3は空気雰囲気の場合のそれぞれの研削
主分力抵抗の測定出力波形図である。なお,これらの測
定データは圧電素子センサーを用いた研削主分力抵抗測
定装置(キスラ動力計)(キスラー社(スイス)製)を
用いて測定されたものである。被加工物(SUS304)
に対しワンパス当たりの切り込み量10μmの乾式平面
プランジ研削を多数回にわたるパスで実施したとき,8
パス目における「キスラ動力計」で研削加工時の研削主
分力抵抗(加工物接線方向の研削抵抗)を測定したもので
ある。図2,図3の出力波形は前記ステンレス鋼加工物
(長さ22〜24mm,幅10mm)の8パス目の測定値であ
る。図3の空気雰囲気での研削主分力抵抗値には,図2
の不活性雰囲気での測定値にはない過渡的な異常値が表
れている(点線Sで表示)。これは,8パス目での研削抵
抗でディスク研削砥石に片減りを生じ,砥石の被加工物
接触での強弱がそのまま研削主分力抵抗値に表れたと考
られる。これに対して,不活性気体雰囲気での研削加工
では,ディスク状砥石に片減りが見られないことから同
雰囲気における研削抵抗の低減効果が確認できる。以上
のごとく,加工雰囲気として窒素ガス等の不活性気体を
用いる本発明の乾式研削加工法においては,その不活性
気体が研削加工法における非酸化,冷却,低加工抵抗用
の媒体として作用していることが判る。通常の空気雰囲
気での乾式研削加工では,酸化反応により被加工物の表
面に酸化着色膜が生じる場合があるが,本発明によれば
そのような着色が生成せず,酸化が進行していないこと
が解る。
【0008】
【実施例】平面研削盤における,本発明の被加工物の研
削加工雰囲気として不活性気体を用いる乾式研削加工装
置を使用する実施例を図面に基づき説明する。図1は本
発明の乾式研削加工装置1の構成説明図である。図中,
Mは平面研削盤であり,2は平面研削盤Mのテーブルで
ある。3はテーブル2に取り付けられた加工物であっ
て,テーブル2と共に図面上の左右方向に往復移動す
る。また,4は正面方向の水平な砥石軸に取り付けられ
たディスク状の研削砥石であって,砥石4を高速回転さ
せて往復移動する被加工物3の平面を研削するものであ
る。また,前記の研削盤M上には,往復動するテーブル
2及び加工物3と,正面に向かって回転する研削砥石4
とを含む研削加工部Gを気密に覆ってなる,箱状の気密
室5が載設され,中央の研削砥石4の突出部分には砥石
カバー部6が突設されている。また気密室5の給気孔5
aと不活性気体タンク7とは開閉弁7aを介してパイプ連
結され,気密室5には該気体タンク7から窒素ガス等の
不活性気体が送給,充填され,研削加工部Gにはその不
活性気体が充満された加工雰囲気が生成されている。
【0009】また,加工装置1には,気密室5内で研削
加工に使用された不活性気体を循環し,清浄冷却するた
めの濾過器8a,冷却器8b,送風器8cからなる循環濾
過装置8が設置されている。気密室5の排気孔5bと前
記の循環濾過装置8とは,送りパイプ9aを介して連結
され,気密室5内の不活性気体を循環濾過装置8内に給
送する。該装置8内では,給送された不活性気体が濾過
器8a,冷却器8b,送風器8cの順に循環する。先ず濾
過器8aでは,研削加工のとき生成された微小研削屑,
砥粒屑等が回収され,不活性気体を清浄化する。次の冷
却器8bでは,研削加工熱,機械発熱等で加熱された不
活性気体の発熱分を回収冷却する。次の送風器8cで
は,清浄冷却された不活性気体を気密室5の砥石カバー
部6に送り戻している。9bはその戻しパイプで,砥石
カバー部6の側面の送気孔6aに連結される。
【0010】一方,砥石カバー部6内では,ディスク状
研削砥石4が高速回転している(図4) かくして,砥石4の研削加工点には,気密室5に充満さ
れた不活性気体の加工雰囲気が生成され,循環濾過装置
8により,清浄冷却された不活性気体は再度研削加工点
に放出され,常に本発明の乾式研削加工法が実施可能な
ように新鮮な不活性気体を用いた加工雰囲気を生成保持
する。
【0011】次に,かかる不活性気体を用いた加工雰囲
気で本発明の乾式研削加工法を実施したが,前述の
【作用】の欄で述べたごとく,不活性気体が非酸化,冷
却,低加工抵抗用の媒体として有効に作用していること
が確認できた。
【0012】
【発明の効果】本発明の被加工物の研削加工雰囲気とし
て不活性気体を用いた乾式研削加工法及び装置は,以上
詳記したように,従来の大気中における乾式研削加工法
と異なり,冷却効果・非酸化効果・低加工抵抗効果を実
現できるので,従来のような研削焼け,研削割れ及び酸
化物の生成を排除できる。特に,酸化を嫌う部品加工に
は本発明は好適である。また,湿式研削加工を採用する
研削液の液圧により損傷を受け易い微小機械構造部品の
研削加工分野に,本発明を適用すれば,そうした損傷を
受けることがないため,同分野に多大な貢献をなすもの
である。さらに,本発明の装置によれば従来の湿式研削
加工における研削液のミストの飛散による作業環境の汚
染は生じない。また,本発明による低加工抵抗効果によ
り,被加工物に対する研削能力を向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加工装置の構成説明側面図である。
【図2】不活性気体雰囲気における研削主分力抵抗の測
定出力波形図である。
【図3】空気雰囲気における研削主分力抵抗の測定出力
波形図である。
【図4】研削砥石の側面図である。
【図5】研削温度測定の要部説明図である。
【符号の説明】
1 乾式研削加工装置2 テーブル
3 被加工物 4 研削砥石 5 気密室 5a 給気孔 5c 排気孔 6 砥石カバー部 6a 送気孔 7 不活性気体タンク 7a 開閉弁 8 循環濾過装置 8a 濾過器 8b 冷却器 8c 送風器 9a 送りパイプ 9b 戻しパイ
プ 11 砥石軸 12 細穴 13 光ファイバ M 平面研削盤 G 研削加工

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工物の乾式研削加工雰囲気として不
    活性気体を用いたことを特徴とする乾式研削加工法。
  2. 【請求項2】 被加工物の乾式研削加工法において,非
    酸化,冷却,低加工抵抗用の媒体として不活性気体を加
    工雰囲気に用いたことを特徴とする請求項1記載の乾式
    研削加工法。
  3. 【請求項3】 被加工物の乾式研削加工装置において,
    研削加工部を覆ってなる,不活性気体を充満した気密室
    と,気密室内の不活性気体の循環濾過装置とを備えてな
    ることを特徴とする乾式研削加工装置。
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