JPH0760505B2 - 磁気記録媒体および磁気記録方法 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録方法

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JPH0760505B2
JPH0760505B2 JP61157516A JP15751686A JPH0760505B2 JP H0760505 B2 JPH0760505 B2 JP H0760505B2 JP 61157516 A JP61157516 A JP 61157516A JP 15751686 A JP15751686 A JP 15751686A JP H0760505 B2 JPH0760505 B2 JP H0760505B2
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Description

【発明の詳細な説明】 I 発明の背景 技術分野 本発明は、磁気記録媒体、特に金属薄膜型の磁気記録媒
体と磁気記録方法とに関する。
先行技術とその問題点 ビデオ用、オーディオ用等の磁気記録媒体として、テー
プ化して巻回したときのコンパクト性から、金属薄膜型
の磁性層を有するものの開発が活発に行われている。
このような金属薄膜型の媒体の磁性層としては、特性
上、基体法線に対し所定の傾斜角にて蒸着を行う、いわ
ゆる斜め蒸着法によって形成したCo系、Co−Ni系等から
なる蒸着膜が好適である。
このような媒体では、小型化、長時間記録等のため、よ
り薄いフィルムを用いた媒体の研究が進められている
が、走行性、耐久性強磁性金属薄膜の強度等の点で問題
が生じる。
そこで、これらの不都合を解消するため、フィルム裏面
に金属薄膜補強層を設ける旨の提案(特開昭56−16939
号、同58−97131号、同57−78627号、同57−37737号)
あるいはフィルム表面に微粒子を配設してヘッドタッ
チ、走行面で改良をなす旨の提案(特開昭58−68227
号、同58−100221号)等がなされている。
また、耐久性や電磁変換特性を向上させるために、強磁
性金属薄膜層を2層以上の多層構成とする旨の提案も種
々行なわれている(特開昭54−141608号、特公昭56−26
892号、特開昭57−130228号等)。
しかし、現状では、走行性、耐久性、強磁性薄膜強度が
良好で、かつ電磁変換特性の面でも不都合の生じない技
術は未だ実現していない。
II 発明の目的 本発明の目的は、媒体の走行性が良好で、走行による磁
性層のクラックやケズレが少なく、さらにヘッド摩耗量
およびドロップアウトが少なく、特に高周波信号の出力
が高く、電磁変換特性の良好な金属薄膜型の磁気記録媒
体と磁気記録方法とを提供することにある。
III 発明の開示 このような目的は、下記の本発明によって達成される。
すなわち、第1の発明はプラスチックフィルム基体上に
Coを主成分とする強磁性金属薄膜層を有し、 この強磁性金属薄膜層が2層以上の層からなる多層構造
を有し、 強磁性金属薄膜層被着時の基体法線に対する被着物質の
最小入射角が基体側の最下層設層時は50゜以下、基体と
反対側の最上層設層時は20゜〜90゜であり、 最下層の基体側界面近傍の酸素濃度C2を最上層の基体と
反対側表面近傍の酸素濃度C1で除した値が0.3以下であ
り、 最上層に隣接する層の最上層との界面近傍での酸素濃度
C3を最上層の基体と反対側表面近傍での酸素濃度C1で除
した値C3/C1が0.2〜0.92であり、 C1が0.2〜0.7であり、 最上層および全層の平均酸素濃度がそれぞれ0.1〜0.5で
ある磁気記録媒体である。
また、第2の発明はプラスチックフィルム基体上にCoを
主成分とする強磁性金属薄膜層を有し、 この強磁性金属薄膜層が2層以上の層からなる多層構造
を有し、 強磁性金属薄膜層被着時の基体法線に対する被着物質の
最小入射角が基体側の最下層設層時は50゜以下、基体と
反対側の最上層設層時は20゜〜90゜であり、 最下層の基体側界面近傍の酸素濃度C2を最上層の基体と
反対側表面近傍の酸素濃度C1で除した値が0.3以下であ
り、 最上層に隣接する層の最上層との界面近傍での酸素濃度
C3を最上層の基体と反対側表面近傍での酸素濃度C1で除
した値C3/C1が0.2〜0.92であり、 C1が0.2〜0.7であり、 最上層および全層の平均酸素濃度がそれぞれ0.1〜0.5で
ある磁気記録媒体を用い、 5MHz以上の高周波領域の信号を主として前記上層が保持
し、0.75MHzないしその近傍の低周波領域の信号を主と
して前記下層が保持するように磁気記録を行い、 前記高周波領域の信号の出力を向上させる磁気記録方法
である。
IV 発明の具体的構成 以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
本発明における磁性層としての強磁性金属薄膜層は少な
くとも2層からなる多層構成を有するものである。そし
て、本発明に用いる強磁性金属薄膜層は、Coを主成分と
し、これにOを含み、さらに必要に応じNiおよび/また
はCrが含有される組成を有する。
すなわち、好ましい態様においては、Co単独からなって
もよく、CoとNiからなってもよい。Niが含まれる場合、
Co/Niの重量比は、1.5以上であることが好ましい。
さらに、強磁性金属薄膜層中には、Crが含有されていて
もよい。
このような場合、Cr/CoあるいはCr/(Co+Ni)の重量比
は0.1以下、特に0.001〜0.1、より好ましくは、0.005〜
0.05であることが好ましい。
さらに、本発明の強磁性金属薄膜中にはOが含有される
ものである。
強磁性金属薄膜中の層全体の平均酸素量Cは、原子
比、特にO/(CoまたはCo+Ni)の原子比で、最上層にお
ける平均酸素量C1 は0.1〜0.5、好ましくは0.1〜0.4で
ある。
平均酸素量C1 が、0.1未満では耐食性、走行性、磁性
層のクラック、ケズレ等の点で不充分であり、0.5をこ
えると、表面酸化物層が増大し、ヘッドとのスペーシン
グによる出力の低下等の問題を生じる。
そして、最下層のプラスチックフィルムとの界面近傍の
酸素濃度C2、特にO/(CoまたはCo+Ni)原子比を、最上
層のプラスチックフィルムと反対側の表面近傍での酸素
濃度C1特にO/(CoまたはCo+Ni)原子比で除した値C2/C
1は0.3以下、より好ましくは0.15以下であることが好ま
しい。
この場合、これら酸素濃度は、強磁性金属薄膜をAr等が
イオンミリングないしイオンエッチングしながら、オー
ジェ分光分析、SIMS(2次イオン質量分析)等を行い、
測定することができる。
すなわち、イオンエッチングを行ないながらO、Co、Ni
等をカウントし、その膜厚方向のフロファイルを比較す
る。
そして、プラスチックフィルムと反対側の強磁性金属薄
膜表面のO/(CoまたはCo+Ni)をC1とする。また、最下
層については、プラスチックフィルムまでエッチングが
行なわれ、Cがカウントされる直前のO/(CoまたはCo+
Ni)をC2とする。
イオンエッチングおよびオージェ分光分析ないしSIMSの
測定法は、常法に従えばよい。
このように最上層表面の酸素濃度を相対的に高くするこ
とにより、保磁力HCが高くなり、また最下層の酸素濃度
を相対的に低くすることにより、最大残留磁束φおよ
び角形比SQが高くなり、電磁変換特性がきわめて良好な
磁性層となる。また、本発明の磁性層としての強磁性金
属薄膜層では、最上層と隣接する層の最上層との界面近
傍の酸素濃度C3、特にO/(CoまたはCo+Ni)原子比で除
した値C3/C1は0.2〜0.92である。
この場合、プラスチックフィルムと反対側の強磁性金属
薄膜表面のO/(CoまたはCo+Ni)C1は前述と同様に測定
することができる。また、最上層に隣接する層の最上層
との界面近傍での酸素濃度C3については、最上層の膜厚
に対応するエッチング時のカウントからO/(CoまたはCo
+Ni)を算出し、これをC3とすればよい。ただ、各層に
おいては、通常の成膜条件下ではそのフィルム基体反対
面で酸素濃度が最大となる。このため、通常は、イオン
エッチングを行ないながらOをカウントしたとき、膜内
での極大値をC3とすればよい。
このように最上層表面の酸素濃度C1を相対的に高くする
ことにより、保磁力HCが高くなり、また最上層の表面よ
り下の、最上層に隣接する層との近傍までの部分の酸素
濃度を上記C1より相対的に低くすることにより、最大残
留磁束φrおよび角形比SQが高くなり、電磁変換特性が
きわめて良好な磁性層となる。したがって、中心周波数
5MHz程度以上の比較的磁界の浅い信号は、最上層で有効
に保持されるものとなる。
また、最上層に隣接する層の最上層との界面近傍での酸
素濃度C3を相対的に高くすることにより、この部分での
保磁力HCが高くなり、また、最上層に隣接する層の最上
層との界面近傍から下の部分の酸素濃度を上記C3より相
対的に低くすることにより、最大残留磁束φrおよび角
形比SQが高くなり、電磁変換特性がきわめて良好な磁性
層となる。したがって、中心周波数0.75MHz程度の比較
的磁界の深い信号は、最上層に隣接する層以下で有効に
保持されるものとなる。
そして、上記C1とC3との関係が前述のようにC3/C1が0.2
〜0.92となるときに、磁性層の電磁変換特性、耐食性等
が最もバランスの良い優れだ磁性層となる。
なお、表面近傍のO/(CoまたはCo+Ni)C1は、一般に0.
2〜0.7、好ましくは0.3〜0.6である。
したがって、フィルム界面近傍のO/(CoまたはCo+Ni)
C2は0.21以下、好ましくは0.18以下である。
また、最上層に隣接する層の最上層近傍のO/(Coまたは
Co+Ni)C3は0.07〜0.6、好ましくは0.1〜0.5である。
さらに、最上層の層全体でのO/(CoまたはCo+Ni)C1
は0.1〜0.5、より好ましくは0.1〜0.4であることが好ま
しい。また、最下層の層全体でO/(CoまたはCo+Ni)C2
は、0.5以下、より好ましくは0.3以下であることが好
ましい。また、最上層に隣接する層全体でのO/(Coまた
はCo+Ni)は0.5以下、より好ましくは0.3以下であるこ
とが好ましい。
このとき、電磁変換特性、耐食性、走行耐久性、磁性膜
強度等はきわめて良好となる。
この場合、3層以上の多層構造の場合、それらの各層の
層全体でのO/(CoまたはCo+Ni)は、一般に、0.5以
下、好ましくは0.3以下とする。
なお、この場合、強磁性金属膜層の各層の表面では、酸
素が強磁性金属(Co,Ni)と酸化物を形成している。
すなわち、各層の表面から100Å〜2000Å、より好まし
くは500〜1000Åの厚さの範囲には、オージェ分光分析
により、酸化物を示すピークが認められるものである。
本発明では、強磁性金属薄膜層表面とフィルム側界面と
の酸素濃度を規制するものであり、また、強磁性金属薄
膜層表面と、最上層に隣接する層の最上層近傍との酸素
濃度を規制するものであり、そのとき、本発明所定の効
果が実現するものである。
このため、強磁性金属薄膜の膜厚方向の酸素濃度プロフ
ァイルについては、通常少なくとも最上層と最下層に隣
接する層との界面に酸素分布のピークが存在するもので
ある。
なお、通常、強磁性金属薄膜は2層とすればよいが、必
要に応じ3層以上、特に3〜5層とすることもできる。
なお、このような強磁性金属薄膜中には、さらに他の微
量成分、特に遷移元素、例えばFe,Mn,V,Zr,Nb,Ta,Ti,Z
n,Mo,W,Cu等が含まれていてもよい。
このような強磁性金属薄膜層は、好ましい態様におい
て、上記したCoを主成分とする柱状結晶粒の集合体から
なる。
この場合、強磁性金属薄膜層の厚さは、総計で0.05〜0.
5μm、好ましくは、0.07〜0.3μmとされる。
そして、このような強磁性金属薄膜層の各層の厚さの比
は特に制限はないが、例えば2層構成の場合、上層と下
層の厚さの比は好ましくは0.1〜10程度が好ましい。
そして、柱状の結晶粒は、各層の厚さ方向のほぼ全域に
亘る長さをもち、その長手方向は、基体の主面の法線に
対する最小角度が、最上層では20〜90゜、より好ましく
は20〜50゜の範囲、最下層では50゜以下、より好ましく
は0〜40゜の範囲にて傾斜していることが好ましい。
この場合、3層以上の構成における中間に位置する各層
では、柱状結晶粒の基体主面法線に対する傾斜角度は、
通常、最上層と最下層における傾斜角度域内にあればよ
く、特に制限はない。
そして、この場合、相隣接する各磁性層の結晶粒の基体
主面法線に対する傾斜の向きは、媒体の長さ方向で同方
向であってよいが、好ましくは相対向する向きであるこ
とが好ましい。
このような、結晶粒の傾斜の向きを2層構成を例として
模式的に例示すると第1図および第2図のようになる。
第1図および第2図において、磁気記録媒体1は、基体
2上に強磁性金属薄膜下層部3および強磁性金属薄膜上
層部4とを有する。そして、強磁性金属薄膜下層部3内
の下層結晶粒5傾斜の向き、強磁性金属薄膜上層部4内
の上層結晶粒6の傾斜の向きは、第1図では媒体の長さ
方向aで相対向する向きであり、第2図では媒体の長さ
方向aで同方向である。
本発明では、第1図あるいは第2図のいずれの結晶粒傾
斜を有するものであってよいが、好ましくは、第1図に
示される結晶粒傾斜を有するものが好ましい。
なお、酸素は、表面部の柱状の結晶粒の表面に前記のと
おり化合物の形で存在するものである。
また、強磁性金属薄膜層の酸素の濃度勾配の如何には特
に制限はない。
また、結晶粒の短径は、50〜500Å程度の長さをもつこ
とが好ましい。
このように、強磁性金属薄膜層が多層構成をなすことに
より、柱状結晶粒の長さが小さいものとなるため強磁性
金属薄膜層の膜強度が向上する。
また、最上層の柱状結晶粒が基体主面法線に対し20〜90
゜の傾きを有し、特に50゜以上の傾きを有するものがあ
るため、例えば、比較的浅い磁界を有する中心周波数5M
Hz程度の信号は最上層にて保持され得るものとなる。
また、最下層の柱状結晶粒が基体主面法線に対し50゜以
下の傾きを有し、基体に対し立っている状態を呈してい
るため、例えば比較的深い磁界を有する中心周波数0.75
MHz程度の信号は最下層等の下層域にて有効に保持され
得るものとなる。
また、さらに、前述のように最上層の酸素濃度を高くす
ることにより、耐摩耗性に優れたCo,Ni等の酸化物が最
上層に形成されるため、多層構造との相乗効果により、
強磁性金属薄膜層の膜強度がより高いものとなる。
本発明の磁気記録媒体に用いられる基体の材質として
は、非磁性プラスチックであれば特に制限はないが、通
常は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6
−ナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイ
ミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、
全芳香族ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、
ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド等を用い
る。また、その形状、寸法、厚さには、制限はなく、用
途に応じたものとすればよい。
このようなプラスチックフィルムの磁性層が設けられて
いない他方の面上には公知の種々の裏地層の設層するこ
とが好ましい。
裏地層の材質については特に制限はないが、特に顔料と
放射線硬化型樹脂とを含有するものが好ましい。
裏地層の膜厚は、0.05〜1.5μm、より好ましくは0.07
〜1.0μmとされる。
本発明の磁気記録媒体の表面には、微細な突起が所定の
密度で設けられてもよい。
微細な突起は、30〜300Å、より好ましくは50〜250Åの
高さを有するものである。
すなわち、本発明の突起は、光学顕微鏡で観察でき、か
つ触針型表面粗さ計で測定できるものではなく、走査型
電子顕微鏡にて観察できる程度のものである。
突起高さが300Åをこえ、光学顕微鏡にて観察できるも
のとなると、電磁変換特性の劣化と、走行安定性の低下
をもたらす。
また、50Å未満となると、物性の向上の実効がない。
そして、その密度は1mm2あたり平均105個以上、より好
ましくは105〜109個、特に106〜108個である。
突起密度が105個/mm2未満となると、ノイズが増大し、
スチル特性が低下する等物性の低下をきたし、実用に耐
えない。
また、109個/mm2をこえると、物性上の効果が少なくな
ってしまう。
なお、突起径は、一般に200〜1000Å程度とする。
このような突起を設けるには、通常、基体上に微粒子を
配設すればよい。微粒子径は、30〜1000Åにすればよ
く、これにより微粒子径に対応した微細突起が形成され
る。
用いる微粒子としては、通常、コロイド粒子として知ら
れているものであって、例えばSiO2(コロイダルシリ
カ)、Al2O3(アルミナゾル)、MgO、TiO2、ZnO、Fe
2O3、ジルコニア、CdO、NiO、CaWO4、CoCO3、BaCO3、Co
CO3、BaTiO3、Ti(チタンブラック)、Au、Ag、Cu、N
i、Fe、各種ヒドロゾルや、樹脂粒子等が使用可能であ
る。この場合、特に無機物質を用いるのが好ましい。
このような微粒子は、各種溶媒を用いて塗布液とし、こ
れを基体上に塗布、乾燥してもよく、あるいは塗布液中
に各種水性エマルジョン等の樹脂分を添加したものを塗
布、乾燥してもよい。
また、樹脂分を用いる場合、これら微粒子にもとずく微
細突起に重畳してゆるやかな突起を設けることもできる
が、通常はこのようにする必要はない。
もし必要であるならば、強磁性金属薄膜層の最上層と最
下層との間に非磁性金属薄膜層を介在させてもよい。
本発明において、磁性層の形成はいわゆる斜め蒸着法に
よって形成されることが好ましい。
この場合、基体法線に対する蒸着物質の最小入射角は、
最下層設層時においては50゜以下、最上層設層時におい
ては20゜〜90゜、また、3層以上の構造の場合における
中間に位置する層の設層時においては20〜50゜とするこ
とが好ましい。
最小入射角がそれぞれ前記の入射角からはずれたものと
なると、電磁変換特性が低下する。
また、磁性層は一工程で2層以上を、連続して設層して
もよいが、通常は、各層毎に蒸着工程に流して設層する
ことが好ましい。
このように、磁性層の設層を各層毎に分けることによ
り、前述のように基体法線に対する磁性柱状結晶粒の傾
斜の向きが相隣接する各層間で、媒体の長さ方向で相対
向する向きとなる。
このような磁性層構成とすることにより、電磁変換特性
は極めて良好となる。
なお、蒸着雰囲気は、通常、アルゴン、ヘリウム、真空
等の不活性雰囲気に、酸素ガスを含む雰囲気とし、10-5
〜100Pa程度の圧力とし、また、蒸着距離、基体搬送方
向、キャンやマスクの構造、配置等は公知の条件と同様
にすればよい。
そして、酸素雰囲気での蒸着により、表面に金属酸化物
の被膜が形成される。なお、金属酸化物が形成される酸
素ガス分圧は、実験から容易に求めることができる。
なお、表面に金属酸化物の被膜を形成するには、各種酸
化処理が可能である。
適用できる酸化処理としては下記のようなものがある。
1)乾式処理 a.エネルギー粒子処理 特願昭58−76640号に記載したように、蒸着の後期に、
イオンガスや中性ガンにより酸素をエネルギー粒子とし
て磁性層にさしむけるもの。
b.グロー処理 O2,H2O,O2+H2O等とAr,N2等の不活性ガスとを用い、こ
れをグロー放電してプラズマを生じさせ、このプラズマ
中に磁性膜表面をさらすもの。
c.酸化性ガス オゾン、加熱水蒸気等の酸化性ガスを吹き付けるもの。
d.加熱処理 加熱によって酸化を行なうもの。加熱温度は60〜150℃
程度。
2)湿式処理 a.陽極酸化 b.アルカリ処理、 c.酸処理 クロム酸塩処理、過マンガン酸塩処理、リン酸塩処理等
を用いる。
d.酸化剤処理 H2O2等を用いる。
さらに、本発明の媒体は、磁性層上に表面層を設層し
て、走行性をより一層向上することもできる。
表面層としては、公知の種々のものが適用でき、例え
ば、各種高分子物質被膜、ないしはこれに潤滑剤、酸化
防止剤、界面活性剤、無機微粒子等を含有させたもの
や、各種潤滑剤の塗膜ないし気相被着膜等がある。
表面層の厚さは、5〜300Å程度とする。
V 発明の具体的作用効果 本発明によれば、磁性層が2層以上の層構成をなすこと
により、磁性柱状結晶粒の長さが小さいものとなるため
磁性層の膜強度が向上する。このため、走行安定性がき
わめて高く、また、走行による磁性層のクラックや磁性
面のケズレの発生がきわめて少なく、ヘッド摩耗量もき
わめて少ないものとなる。
また、最上層の柱状結晶粒が基体主面法線に対し、20゜
〜90゜の傾きを有し、特に50゜以上の傾きを有するもの
があり、同時に最下層の酸素濃度C2と最上層の酸素濃度
C1との比C2/C1が0.3以下であり、さらに、最上層に隣接
する層の最上層界面近傍の酸素濃度C3と最上層の酸素濃
度C1との比C3/C1が0.1〜3.0であることにより、最上層
では保磁力HCが相対的に高くなり、比較的浅い磁界を有
する中心周波数が5MHz程度の信号を有効に保持し、かつ
分解能が良好なものとなる。
さらに、最下層の柱状結晶粒が基体主面法線に対して50
゜以下の傾きを有し、基体に対し立っている状態を呈し
ており、また、同時に、最下層では最大残留磁束φr、
角形比が高く、さらに、最上層に隣接する層の最上層界
面近傍では、保磁力HCのピークが存在しているため、比
較的深い磁界を有する中心周波数0.75MHz程度の信号を
有効に保持するものである。
VI 発明の具体的実施例 以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳
細に説明する。
実施例1 下記表1に示す厚さのポリエステル(PET)フィルムを
円筒状、冷却キャンの周面に沿わせて移動させ、O2+Ar
(容積比1:1)を毎分800ccの早さで流し真空度を1.0×1
0-4Torrとしたチャンバー内で、Co80、Ni20(重量比)
の合金を溶解し入射角を表1に示す入射角として、斜め
蒸着により第1図に示されるCo−Ni−Oの2層薄膜を形
成した。
また、比較として、入射角30〜90゜の部分のみ斜め蒸着
し膜厚0.15μmのCo−Ni−Oの単層薄膜を形成した。
酸素は下層と上層との界面およびベースと反対側の表面
に多く偏在していた。また、ベースと反対側の表面はほ
ぼ酸化物のみで覆われていた。
Hc=1000 Oe。膜中の平均酸素量はCoとNiに対する原子
で40%であった。
表1にはArにてイオンエッチングを行ないながら、オー
ジェ分光分析を行なって得たO/(CoまたはCo+Ni)原子
比のうち、C1(表面)、C1 (上層平均)、C2(下層の
基体との界面)、C2 (下層平均)、C3(下層の上層と
の界面近傍)、C(層全体)が併記される。
なお、磁性層薄膜上には、ミリスチン酸イソプロピルの
表面層を膜厚25Åにて設層し、また、基体表面側には0.
5μm厚にてカーボン、シリカおよび放射線硬化型樹脂
を含む裏地層を設層した。
このようにして形成した下記表1に示す各サンプルにつ
き、下記の測定を行なった。なお、媒体走行方向と下層
の基体法線に対する傾きの方向とを同一方向とした。
1)耐久性 温度20℃、湿度60%RHの条件下、および温度40℃、湿度
80%RHの条件下でそれぞれ連続走行テストを行ない、出
力が2dB低下するまでのパス回数を求めた。
使用デッキ:SONY A−300 ヘッド:スパッタ センダスト 2)スチル耐久性 温度0℃の条件下で出力が6dB低下するまでの時間を求
めた。
使用デッキ:SONY A−300 (スチル解除機構をはずして使用した) ヘッド:スパッタ センダスト 3)電磁変換特性 中心周波数0.75MHzおよび5MHzの出力を測定し、サンプ
ルNo.10の出力を0dBとした時の値を求めた。
使用デッキ:SONY A−300 ヘッド:スパッタ センダスト モード:SPモード さらにまた、これら初期の出力の高低は、保存後の出力
に影響を与える。そこで、60℃、90%にて5日間保存し
た後の5MHzの出力も測定した。
表1に示される結果より本発明の効果は明らかである。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明の磁気記録媒体の1実施例の媒体方向
に平行な断面の模式図である。 第2図は、本発明の磁気記録媒体の他の実施例の媒体方
向に平行な断面の模式図である。 符号の説明 1……磁気記録媒体、2……基体、 3……強磁性金属薄膜下層部、 4……強磁性金属薄膜上層部、 5……下層結晶粒、6……上層結晶粒、 矢印a……媒体長さ方向

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチックフィルム基体上にCoを主成分
    とする強磁性金属薄膜層を有し、 この強磁性金属薄膜層が2層以上の層からなる多層構造
    を有し、 強磁性金属薄膜層被着時の基体法線に対する被着物質の
    最小入射角が基体側の最下層設層時は50゜以下、基体と
    反対側の最上層設層時は20゜〜90゜であり、 最下層の基体側界面近傍の酸素濃度C2を最上層の基体と
    反対側表面近傍の酸素濃度C1で除した値が0.3以下であ
    り、 最上層に隣接する層の最上層との界面近傍での酸素濃度
    C3を最上層の基体と反対側表面近傍での酸素濃度C1で除
    した値C3/C1が0.2〜0.92であり、 C1が0.2〜0.7であり、 最上層および全層の平均酸素濃度がそれぞれ0.1〜0.5で
    ある磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】プラスチックフィルム基体上にCoを主成分
    とする強磁性金属薄膜層を有し、 この強磁性金属薄膜層が2層以上の層からなる多層構造
    を有し、 強磁性金属薄膜層被着時の基体法線に対する被着物質の
    最小入射角が基体側の最下層設層時は50゜以下、基体と
    反対側の最上層設層時は20゜〜90゜であり、 最下層の基体側界面近傍の酸素濃度C2を最上層の基体と
    反対側表面近傍の酸素濃度C1で除した値が0.3以下であ
    り、 最上層に隣接する層の最上層との界面近傍での酸素濃度
    C3を最上層の基体と反対側表面近傍での酸素濃度C1で除
    した値C3/C1が0.2〜0.92であり、 C1が0.2〜0.7であり、 最上層および全層の平均酸素濃度がそれぞれ0.1〜0.5で
    ある磁気記録媒体を用い、 5MHz以上の高周波領域の信号を主として前記上層が保持
    し、0.75MHzないしその近傍の低周波領域の信号を主と
    して前記下層が保持するように磁気記録を行い、 前記高周波領域の信号の出力を向上させる磁気記録方
    法。
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