JP3167129B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は磁気記録媒体に関し、さらに詳しくは、Coお
よびNiを主成分とするか、またはCo、NiおよびCrを主成
分とする強磁性金属薄膜を蒸着により非磁性基体に支持
させた水平記録型の磁気記録媒体に関する。
<従来の技術> 近年磁気記録媒体はますます高密度化しており、中で
もCoを主体としNi等を添加した強磁性金属薄膜を用いた
磁気記録媒体は、飽和磁束密度が大きくしかも保磁力が
高いので、盛んに研究されている。
この型の磁気記録媒体は種々の方法で製造されるが、
特に優れた方法としては、非磁性基体上に斜め蒸着法に
より強磁性金属薄膜を2層以上積層して多層構造とする
ことが提案されている。斜め蒸着法においては、強磁性
金属薄膜各層は、蒸着等の気相法により強磁性金属の蒸
気を非磁性基体の表面に特定の角度で差し向け、これに
より強磁性金属の柱状結晶粒を他の強磁性金属薄膜の柱
状結晶粒の成長方向と交差した特定の方向に成長させる
(特公昭56−26891、56−42055、63−21254および60−3
7528、特開昭54−603、54−147010、56−94520、57−32
33、57−30228、57−13519、57−141027、57−41028、5
7−141029、57−143730、57−143731、57−147129、58
−14324、58−50628、60−76025、61−110333、61−187
122、63−10315、63−10315、63−13117、63−14317、6
3−14320および63−39127号公報等)。これにより保磁
力その他の電磁変換特性、あるいは機械特性が向上する
が、なお不十分であった。
本発明者らは、これらのうちの水平記録用の磁気記録
媒体を種々の点から検討したところ、各強磁性金属薄膜
における柱状粒子の成長方向およびそれらの相互関係、
厚さおよびそれらの相互関係の検討が充分でなく、電磁
変換特性および耐久性が不充分であったことを見出し
た。
このような問題点を解決するために本出願人は柱状粒
子の成長方向が交差する2層のCo−Ni系強磁性金属薄膜
を有する磁気記録媒体において、上層を薄く下層を厚く
することにより電磁変換特性および耐久性を改善し、さ
らに走行性を改善した(特開昭63−9015号公報)。
しかし、このものは走行性と耐久性は向上するもの
の、電磁変換特性の向上が不十分である。
また、他の試みとして、同様な2層型磁気記録媒体に
おいて最小入射角(各強磁性金属薄膜の最終蒸着部分に
おける金属粒子の入射方向と非磁性基体の法線とのなす
角度)を調整することにより、電磁変換特性と耐久性を
向上させることを提案した(特開昭63−10314号公
報)。
しかし、上層の最小入射角が比較的大きいことおよび
2層であることにより耐久性とくに高温高湿下の耐久性
に劣り、また電磁変換特性が十分でなかった。
また、斜め蒸着型磁気テープの適用分野として注目さ
れている8ミリビデオでは、最近Hi−8規格が提案さ
れ、この規格では高域信号である輝度信号のキャリア周
波数が7MHzと極めて高く、一方、低域信号である色信号
の周波数は従来の8ミリビデオと変わらないため、極め
て広い帯域において高い電磁変換特性を確保する必要が
生じている。また、同時に高いC/Nも必要とされてい
る。
<発明が解決しようとする課題> 本発明はこのような事情からなされたものであり、多
層の強磁性金属薄膜を有する斜め蒸着型磁気記録媒体で
あって、高いC/Nと、広い周波数帯域に亙る高い電磁変
換特性とを有する磁気記録媒体を提供することを目的と
する。
<課題を解決するための手段> 上記目的は、下記(1)〜(7)の本発明により達成
される。
(1)非磁性基体上に斜め蒸着法により形成された磁性
層を有し、この磁性層が少なくとも2層の強磁性金属薄
膜から構成され、この強磁性金属薄膜がCo−Ni合金であ
るか、またはCo−Ni−Cr合金の柱状結晶粒子から構成さ
れている磁気記録媒体であって、 最下層の強磁性金属薄膜のCo含有率が70〜85at%であ
り、 最上層の強磁性金属薄膜のCo含有率が75〜90at%であ
り、 最上層の強磁性金属薄膜を構成する柱状結晶粒子の平
均最大径が、120〜300Åであって、 この平均径が最下層の強磁性金属薄膜を構成する柱状
結晶粒子の平均最大径を1としたとき、0.4〜0.7である
磁気記録媒体。
(2)最下層の強磁性金属薄膜のCo含有率が最上層の強
磁性金属薄膜のCo含有率よりも低い上記(1)に記載の
磁気記録媒体。
(3)蒸着時に強磁性金属が入射する方向と前記非磁性
基体表面の法線とがなす角度を入射角とし、入射角の最
大値をθmax、入射角の最小値をθminとすると、 最下層の強磁性金属薄膜が、最上層の強磁性金属薄膜
蒸着時のθmaxより小さいθmaxにて蒸着されたものであ
る上記(1)または(2)に記載の磁気記録媒体。
(4)蒸着時に強磁性金属が入射する方向と前記非磁性
基体表面の法線とがなす角度を入射角とし、入射角の最
大値をθmax、入射角の最小値をθminとすると、 最上層の強磁性金属薄膜が、最下層の強磁性金属薄膜
蒸着時のθminより大きいθminにて蒸着されたものであ
る上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の磁気記録
媒体。
(5)最上層の強磁性金属薄膜蒸着時のθmaxとθminと
の合計が、最下層の強磁性金属薄膜蒸着時のθmaxとθm
inとの合計よりも大きい上記(3)または(4)に記載
の磁気記録媒体。
(6)強磁性金属が入射する方向が前記非磁性基体の法
線を挟んで交差するように蒸着された2層の強磁性金属
薄膜を有する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載
の磁気記録媒体。
<作用> 本発明の磁気記録媒体は、少なくとも2層の強磁性金
属薄膜から構成されている磁性層を非磁性基体上に有す
る。この強磁性金属薄膜は、CoおよびNiを主成分とする
か、またはCo、NiおよびCrを主成分として含有する柱状
結晶粒子から構成されるものである。
本発明の磁気記録媒体は、斜め蒸着法により形成され
た強磁性金属薄膜を磁性層として有する。斜め蒸着法で
は、回転する円筒状の冷却ドラム表面に非磁性基体を添
わせて搬送しながら、定置された強磁性金属源に電子ビ
ーム等を照射して蒸着を行なう。
このとき、強磁性金属が入射する方向と非磁性基体表
面の法線とがなす角度を入射角と呼び、通常、蒸着開始
から終了まで入射角が漸減するように蒸着する。このた
め、強磁性金属薄膜を構成する柱状結晶粒子は、非磁性
基体側ではほぼ非磁性基体表面と平行であり、非磁性基
体表面から離れるに従って弧状に成長することになる。
この柱状結晶粒子が微細であればノイズが減少し、ま
た高いHcが得られる。また、柱状結晶粒子の径が大きけ
れば、Hcは低くなる。
本発明では、最上層の強磁性金属薄膜の柱状結晶粒子
の最大径を、最下層の強磁性金属薄膜の柱状結晶粒子の
最大径よりも小さくなるように磁性層を形成する。この
ため、本発明の磁気記録媒体は、最上層のHcが最下層の
Hcよりも高くなる。
ところで、磁気記録媒体の磁性層には、一般に低域信
号ほど深くまで記録され、高域信号は浅い領域に記録さ
れる。例えば、Hi−8規格のビデオ記録のように低域信
号(0.75MHzの色信号)と高域信号(7.0MHzの輝度信
号)とが重畳記録される場合、通常、最下層には主とし
て低域信号が記録される。
高Hcの強磁性金属薄膜は高域での電磁変換特性に優
れ、低Hcの強磁性金属薄膜は低域での電磁変換特性に優
れるため、本発明の磁気記録媒体は、高域および低域の
いずれにおいても電磁変換特性が良好であり、また、ノ
イズが少ないため、C/N比が高い。
そして本発明では、好ましくは、これらの強磁性金属
薄膜のうち、最下層、すなわち非磁性基体に最も近い強
磁性金属薄膜のCo含有率を最上層の強磁性金属薄膜のCo
含有率よりも低く構成する。
この理由は下記のとおりである。
非磁性基体は通常、酸素や水分を含み、これらが基体
表面から強磁性金属薄膜中に侵入する。このため、強磁
性金属薄膜は非磁性基体側から腐食が進行し易い。
そして、Coを主成分とする強磁性金属薄膜は、Co含有
率が低いほど耐酸化性は良好となるが、保磁力Hcは低下
する。
従って、最上層のCo含有率を高くして高いHcを得、こ
れにより高域信号の電磁変換特性を確保し、最下層のCo
含有率を低くして非磁性基体からの酸素や水分等による
腐食を防止し、かつ、これにより最下層のHcが低くなる
ので、低域信号の電磁変換特性を向上させることがで
き、本発明の効果はさらに向上する。
ところで、強磁性金属薄膜蒸着時の入射角の最大値お
よび最小値を、それぞれ最大入射角θmaxおよび最小入
射角θminと称する。なお、θmaxは90度以下であり、蒸
着効率はθmaxからθminにかけて増大する。
磁性層が面内方向に磁化される水平記録型の磁気記録
媒体では、θmaxは90度に設定される。これは、θmaxが
大きいほうが非磁性基体表面に対する柱状結晶粒子の平
均傾きが小さくなり、強磁性金属薄膜面内方向のHcが向
上するためである。
本発明において、最下層の強磁性金属薄膜を、最上層
蒸着時のθmaxよりも小さいθmaxにて蒸着すれば、すな
わち、最下層をθmax90度未満にて蒸着すれば、耐食性
はさらに向上する。
この理由は下記のとおりである。
本発明者らは実験を重ねた結果、θmax90度付近、す
なわち非磁性基体表面と平行に強磁性金属が入射した部
分では蒸着効率が低いため、柱状結晶粒子の径が小さく
なって各粒子間に空隙が生じていることを見いだし、こ
の空隙から非磁性基体中の酸素や水分が侵入し、腐食が
進行することを知見した。
そこで、最下層を上記のようなθmaxにて蒸着するこ
とにより前記空隙の発生を抑え、耐食性が極めて良好な
磁気記録媒体を得るものである。また、空隙が減少する
ので薄膜中の強磁性金属の充填率が向上し、高い飽和磁
化が得られる。
しかも、最下層を小さいθmaxにて蒸着すれば低いHc
が得られ、主として最下層に記録される低域信号に関す
る電磁変換特性は向上する。
さらに、最上層蒸着時のθmaxは最下層蒸着時のθmax
より大きくなるので、最上層では高いHcが得られ、高域
信号の電磁変換特性が向上する。従って、広い帯域にお
いて高い電磁変換特性が得られるという本発明の効果は
さらに向上し、しかも高い耐食性が実現する。
また、最上層の強磁性金属薄膜を、最下層の強磁性金
属薄膜蒸着時のθminより大きいθminで蒸着した場合で
も、本発明の効果はいっそう向上する。
θminも柱状結晶粒子の傾きに関与し、θminが大きい
と柱状結晶粒子の平均傾きは小さくなるのでHcが向上す
る。一方、θminが小さいと平均傾きは大きくなり、ま
た、柱状結晶粒子の大部分が高い効率で蒸着されるので
柱状結晶粒子の径が均一に近くなり、各柱状結晶粒子間
に空隙が生じにくくなって緻密な膜が得られる。
このため、最上層蒸着時および最下層蒸着時のθmin
を上記関係とすれば、最上層のHcを高くでき、さらに最
下層のHcを相対的に低くできるため、広い帯域に亙って
電磁変換特性を向上させることができ、しかも最下層の
耐食性を向上させることができる。
さらに、この場合、最下層蒸着時のθmaxと最上層蒸
着時のθmaxとが上記した関係であれば、電磁変換特性
および耐食性はさらに高いものとなる。
そして、上記各場合において、最上層の強磁性金属薄
膜蒸着時のθmaxとθminとの合計が、最下層蒸着時のθ
maxとθminとの合計よりも大きい場合、より高い電磁変
換特性および耐食性が実現する。
<具体的構成> 以下、本発明の具体的構成を詳細に説明する。
[非磁性基体] 本発明で用いる非磁性基体の材質に特に制限はなく、
強磁性金属薄膜蒸着時の熱に耐える各種フィルム、例え
ばポリエチレンテレフタレート等を用いることができ
る。
また、特開昭63−10315号公報に記載の各種材料が使
用可能である。
[磁性層] 非磁性基体上に形成される磁性層は、斜め蒸着法によ
り形成される2層以上の強磁性金属薄膜から構成され
る。そして、これらの強磁性金属薄膜は、CoおよびNiを
主成分とするか、またはCo、NiおよびCrを主成分とす
る。
これらの強磁性金属薄膜は、柱状結晶粒子から構成さ
れる。
本発明の磁気記録媒体は、最上層の強磁性金属薄膜を
構成する柱状結晶粒子の平均最大径が、最下層の強磁性
金属薄膜を構成する柱状結晶粒子の平均最大径よりも大
きい。
なお、この場合の平均最大径とは、柱状結晶粒子の成
長方向を含む面で強磁性金属薄膜を切断したときの強磁
性金属薄膜断面における各柱状結晶粒子の最大径の平均
値であり、この値は走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微
鏡等により測定することができる。
各層の柱状結晶粒子の平均最大径は、本発明の磁気記
録媒体が適用される規格や用途に応じて設計すればよい
が、最下層の柱状結晶粒子の最大径を1とすると、最上
層の柱状結晶粒子の最大径は0.4〜0.7である。各層にお
ける最大径をこのような関係とすることにより、本発明
の効果はさらに高いものとなる。
また、最上層と最下層とにおけるこのような関係は、
本発明をHi−8規格に適用する場合、また、2層または
3層構成の磁性層とする場合に特に有効である。
なお、強磁性金属薄膜中の柱状結晶粒子の平均最大径
は、120〜300Åの範囲内である。この範囲を外れると膜
強度が低くなり、耐久性に問題が生じる。
また、磁性層が3層以上の強磁性金属薄膜から構成さ
れる場合、最上層と最下層との間に存在する各中間層の
柱状結晶粒子の最大径に特に制限はなく、各中間層に記
録される信号の周波数に応じて最適の値を選択すればよ
く、例えば必要に応じて、中間層における最大径を最上
層における最大径よりも小さく設定してもよい。
なお、各柱状結晶粒子は六方晶結晶粒から構成されて
おり、このことはX線回折により確認することができ、
また、六方晶結晶粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡
により測定することができる。
そして、本発明では、柱状結晶粒子の最大径と同様
に、六方晶結晶粒の平均径についても、最上層の強磁性
金属薄膜におけるものが最下層の強磁性金属薄膜におけ
るものよりも小さいことが好ましい。
各強磁性金属薄膜の柱状結晶粒子の最大径を所定の値
とするためには、後述する斜め蒸着法により強磁性金属
薄膜を形成する際に、各種形成条件を制御する。
例えば、強磁性金属薄膜中への酸素導入量が多いほど
柱状結晶粒子の最大径は小さくなる。また、このとき、
六方晶結晶粒子の平均粒径も小さくなる。さらに、耐食
性が向上する。
また、後述する斜め蒸着法において、非磁性基体を添
わせる冷却ドラムの角速度を最上層と最下層とで変更し
たり、蒸着時に強磁性金属に投入するパワーを変えた
り、あるいはこれらを併用することによっても柱状結晶
粒子の最大径を変更することができる。また、これらの
場合、同時に各層の厚さを変更することができる。
いずれの方法を用いた場合でも、最上層の柱状粒子の
最大径と最下層の柱状粒子の最大径との関係が前記条件
を満足すれば、本発明の効果は実現する。
本発明では、最下層の強磁性金属薄膜のCo含有率を最
上層の強磁性金属薄膜のCo含有率よりも低く構成するこ
とが好ましい。
この場合、最下層の強磁性金属薄膜のCo含有率は、70
〜85at%、特に74〜80at%であることが好ましい。Co含
有率が前記範囲未満となると最下層に必要とされる保磁
力が得られにくく、前記範囲を超えると最下層に必要と
される耐食性が得られにくい。
最上層の強磁性金属薄膜のCo含有率は、75〜90at%、
特に79〜85at%であることが好ましい。Co含有率が前記
範囲未満となると最上層に必要とされる保磁力が得られ
にくく、前記範囲を超えると最上層に必要とされる耐食
性が得られにくい。
強磁性金属薄膜のCo以外の主構成元素は、Niである
か、またはNiおよびCrであるが、特開昭63−10315号公
報等に記載されている各種金属やその他の金属成分が必
要に応じて含有されていてもよく、また、成膜雰囲気中
に含まれるAr等が含有されていてもよい。これらの元素
の含有率は、強磁性金属薄膜の5at%以下であることが
好ましい。
NiとCrとの含有比率に特に制限はなく、目的に応じて
適宜設定すればよいが、強磁性金属薄膜中のCr含有率は
10at%以下とすることが好ましい。
さらに、必要に応じて少量の酸素を表面層に含有さ
せ、耐食性を向上させることもできる。
本発明では、最下層の強磁性金属薄膜が、最上層の強
磁性金属薄膜蒸着時のθmaxより小さいθmaxにて蒸着さ
れていることが好ましい。これにより耐食性および電磁
変換特性が共に向上する。
この場合、最上層蒸着時のθmaxは80〜90度、特に85
〜90度であることが好ましく、最下層蒸着時のθmaxは3
1〜89度、特に60〜84度であることが好ましい。
また、最上層の強磁性金属薄膜が、最下層の強磁性金
属薄膜蒸着時のθminより大きいθminにて蒸着されてい
ることが好ましい。このような構成によっても耐食性お
よび電磁変換特性が共に向上する。
この場合、最上層蒸着時のθminは20〜60度、特に31
〜60度であることが好ましく、最下層蒸着時のθminは1
0〜50度、特に10〜30度であることが好ましい。
さらに、上記各場合において、最上層の強磁性金属薄
膜蒸着時のθmaxとθminとの合計が、最下層蒸着時のθ
maxとθminとの合計よりも大きいことが好ましい。
この場合、最上層のθmaxとθminとの合計は100〜150
度、特に116〜150度であることが好ましく、また、最下
層のθmaxとθminとの合計は41〜139度、特に70〜114度
であることが好ましい。
また、強磁性金属が入射する方向が前記非磁性基体の
法線を挟んで交差するように蒸着された2層の強磁性金
属薄膜を有することが好ましい。この場合、これら2層
では、強磁性金属の柱状結晶粒子の成長方向が、非磁性
基体表面の法線を挟んで交差することになる。
このような構成とするには、非磁性基体の走行方向を
逆にして斜め蒸着すればよい。
この場合の2層としては、最上層およびその隣接層で
あるか、あるいは最上層および1層挟んで最上層と隣接
する層であることが好ましい。
このような構成とすることにより、最上層および他の
1層を、それぞれ高域信号記録および低域信号記録に好
適なHcとすることができ、全域に亙って電磁変換特性が
向上する。
強磁性金属薄膜の積層数に特に制限はなく、目的に応
じて2層、3層あるいは4層以上の構成を選択すればよ
い。
3層以上の多層構成とする場合、最上層と最下層との
間に存在する中間層は、記録信号の周波数帯域や各層の
厚さのどの各種条件を考慮して、最適なHcや耐食性が得
られるように蒸着時のθmax、θmin、厚さ、柱状結晶粒
の成長方向等を適宜設計すればよい。
例えばHi−8規格のように低域信号と高域信号とが重
畳記録される場合、各層に主として記録される信号の周
波数帯域を考慮して上記各条件を決定すればよい。
各強磁性金属薄膜の厚さは、約400〜1000Åであるこ
とが好ましい。最上層の厚さが400Åより薄くなると、
例えば7.0MHz程度の高域信号の記録が十分にできなくな
り出力が低下する。一方1000Åよりも厚くなると雑音が
増えて信号対雑音比が低下する。
なお、磁性層全体の厚さは、2000Å以上であることが
好ましい。これにより例えば0.75MHz程度の低域におけ
る出力を十分に大きくすることができる。
また、低域および高域の双方で高出力を得るために、
最上層から下層に向けて厚さが増加していることが好ま
しい。
各強磁性金属薄膜は、それぞれ斜め蒸着法により形成
される。斜め蒸着装置および方法は、前掲した各種の文
献に記載されているのでそれらのうちから任意のものを
採用すればよい。
斜め蒸着法は、例えば、供給ロールから繰り出された
長尺フィルム状の非磁性基体を回転する冷却ドラムの表
面に添わせて送りながら、一個以上の定置金属源から斜
め蒸着をし、巻き取りロールに巻き取るものである。こ
の場合、入射角は蒸着初期のθmaxから最終のθminまで
連続的に変化し、非磁性基体表面にCoを主成分とする強
磁性金属の柱状結晶粒子を弧状に成長させ、整列させる
ものである。
磁性層を多層構成とする場合は、この工程を繰り返し
行なう。
強磁性金属が入射する方向が非磁性基体の法線を挟ん
で交差するような2層の強磁性金属薄膜を形成する場
合、非磁性基体の走行方向を逆にして斜め蒸着を行なえ
ばよい。
本発明の磁気記録媒体の磁性層上には、磁性層の保護
および耐食性向上のために公知の種々のトップコート層
が設けられることが好ましい。また、テープ化したとき
の走行性を確保するために、非磁性基体の磁性層と反対
側には公知の種々のバックコート層が設けられることが
好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、高密度記録が必要とされる
各種磁気記録に好適であるが、Hi−8規格のビデオ記録
のように高域信号と低域信号とが重畳記録される場合に
特に高い効果を発揮する。
<実施例> 以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明をさらに
詳細に説明する。
[実施例1] 10-4TorrのAr雰囲気中で、供給ロールから厚さ7μm
のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを繰り
出して、回転する円筒状冷却ドラムの周面に添わせて移
動させ、強磁性金属を斜め蒸着して強磁性金属薄膜を形
成し、巻き取りロールに巻き取った。
次いで、この巻き取りロールを供給ロールとし、PET
フィルム表面の法線方向を挟んで上記斜め蒸着時の入射
方向と交差する入射方向にて強磁性金属を斜め蒸着し
て、2層構成の磁性層を有する磁気記録媒体を得た。
なお、蒸着時には、必要に応じ、雰囲気中に酸素ガス
を導入した。
上層蒸着時の酸素分圧と下層蒸着時の酸素分圧とを制
御し、下記表1に示される各サンプルを得た。
上層形成および下層形成に用いた強磁性金属の組成は
いずれも80at%Co−Niとし、各サンプルの上層の厚さは
900Å、下層の厚さは1100Åとし、上層および下層の強
磁性金属薄膜の蒸着時のθminは30度、θmaxは90度とし
た。
各サンプルの上層および下層について、柱状結晶粒子
の平均最大径を測定した。これらの測定は走査型電子顕
微鏡により行なった。
これらのサンプルをスリッタにて裁断してテープ化
し、Hi−8規格のビデオカセットとした。
各サンプルについて下記の評価を行なった。
結果を表1に示す。
(1)C/N 7MHzの信号を記録した時の出力を6MHzでのノイズで除
した値を求めてC/Nとし、基準テープのC/Nと比較した。
評価基準は下記の通りとした。
○:(C/N)=1dB △:−1≦(C/N)<1dB ×:(C/N)<−1dB (2)電特(0.75MHzおよび7MHzでの電磁変換特性) Hi−8規格VTRのSONY EV−S900を用い、0.75MHzの単
一信号および7MHzの単一信号を記録したときのRF出力を
基準テープのRF出力と比較し、下記の評価基準で判定し
た。
◎:(RF出力)≧2.0dB ○:0dB≦(RF出力)<2.0dB △:−1.0dB≦(RF出力)<0dB ×:(RF出力)<−1.0dB なお、測定の際の磁気ヘッドの相対的移動方向は、上
層の柱状結晶粒子の成長方向をRETフィルム表面に投影
した方向とした。
表1に示される結果から、本発明の効果が明らかであ
る。
すなわち、上層の柱状結晶粒子の平均最大径が下層の
それよりも小さいサンプルNo.1−2および1−3では、
C/Nが高く、また、0.75MHzおよび7MHzのいずれにおいて
も電磁変換特性が高い。
これに対し、上層および下層で柱状結晶粒子の平均最
大径が同じ比較サンプルでは、C/N、0.75MHでの電磁変
換特性および7MHzでの電磁変換特性の全てについて良好
な結果を得ることはできない。
[実施例2] 上層および下層の組成を下記表2に示されるものとし
た他は実施例1のサンプルNo.1−2と同様にしてサンプ
ルを作製した。
なお、表2に示されるサンプルNo.2−3は、上記表1
に示されるサンプルNo.1−2と同一のサンプルである。
これらの各サンプルについて、実施例1と同様な電特
評価および下記の耐食性評価を行なった。
(3)発錆 60℃・90%RHの環境で10日間保存後、テープの磁性層
側の変色度を目視で判定した。評価基準は下記のとおり
とした。
◎:変化なし ○:薄い黄色に変色 △:黄色に変色 ×:青色に変色 (4)カッピング 60℃・90%RHの環境で10日間保存した後、テープを平
面上に載置し、テープ幅方向端部のソリ高さhを測定し
た。評価基準は下記の通りとした。
◎:|h|=0 ○:0<|h|≦0.2mm △:0.2<|h|<0.5mm ×:|h|≧0.5mm なお、カッピングはテープ幅方向の変形の度合いを示
す指標であり、カッピングが大きいとテープと磁気ヘッ
ドとのスペーシングが一定に保てなくなり、出力変動を
生じる。
なお、上記表2に示されるサンプルNo.2−1および2
−3は比較用のリファレンスサンプルであり、上層と下
層との組成を全く同一に設定している。
上記表2において、最下層の強磁性金属薄膜のCo含有
率を最上層の強磁性金属薄膜のCo含有率よりも低く構成
したサンプルNo.2−2では、高い耐食性が実現し、しか
も、低域および高域のいずれにおいても高い電磁変換特
性が得られている。
このようなサンプルNo.2−2に対し、上層および下層
のいずれもがCo含有率の低い比較サンプルNo.2−1で
は、耐食性は良好であるが7MHzにおける特性が低い。
また、上層および下層のいずれもがCo含有率の高い比
較サンプルNo.2−3では、耐食性が低く、また、0.75MH
zにおける電磁変換特性が低い。
[実施例3] 上層および下層の強磁性金属薄膜の蒸着時のθminお
よびθmaxを変え、下記表3に示す各サンプルを得た。
なお、サンプルNo.3−1は、表1に示されるサンプルN
o.1−2と同じであり、他のサンプルのθminおよびθma
x以外の構成は、サンプルNo.3−1と同じとした。
これらの各サンプルについて、実施例2と同様な評価
を行なった。
結果を表3に示す。
上記表3において、サンプルNo.3−1、3−5および
3−8は比較用のリファレンスサンプルであり、上層と
下層との形成条件を全く同一に設定している。
下層のθmaxが上層のθmaxより小さいサンプルNo.3−
2では、下層のθmax以外の全ての入射角が同じである
サンプルNo.3−1に比べ耐食性が著しく向上し、また、
上層のθmax以外の全ての入射角が同じであるサンプルN
o.3−8に比べ電磁変換特性が著しく向上している。
また、上層のθminが下層のθminより大きいサンプル
No.3−3では、上層のθmin以外の全ての入射角が同じ
であるサンプルNo.3−1に比べ電磁変換特性が著しく向
上し、また、下層のθmin以外の全ての入射角が同じで
あるサンプルNo.3−5に比べ耐食性が著しく向上してい
る。
そして、これら両条件を満足するサンプルNo.3−4で
は、耐食性および電磁変換特性のいずれもが極めて高
い。
なお、表3に示す各サンプルの下層を、実施例2のサ
ンプルNo.2−2と同じ組成として上記と同様な評価を行
なったところ、耐食性がさらに向上し、0.75MHzでの電
特もさらに向上した。
[実施例4] 実施例1、2および3に準じて、3層の強磁性金属薄
膜から構成される磁性層を有する磁気記録媒体サンプル
を作製した。
これらの各サンプルについて、上記各実施例と同様な
評価を行なったところ、最上層および最下層における柱
状結晶粒子の最大径、組成、θminおよびθmaxに応じ
て、上記各実施例と同等の効果が得られた。
また、各層の蒸着方向(柱状結晶粒子の成長方向)
が、上層、中間層、下層の順で++−のものと+−+の
ものの双方について実験を行なった結果、ほぼ同等の特
性が得られた。なお、この場合の+とは、柱状結晶粒子
の成長方向をテープ表面に投影したときの方向がテープ
に対する磁気ヘッドの相対的移動方向と同方向のときで
あり、−とは逆方向のときである。
さらに、Co−Ni−Cr合金からなる多層磁性層を有する
磁気記録媒体においても、上記各実施例と同等の効果が
認められた。
<発明の効果> 本発明の磁気記録媒体は、低域信号から高域信号の広
い帯域に亙って電磁変換特性が極めて良好であり、ま
た、C/Nが高い。このため、周波数範囲の広い記録に特
に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−10315(JP,A) 特開 昭63−10314(JP,A) 特開 平1−317222(JP,A) 特開 昭64−60813(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性基体上に斜め蒸着法により形成され
    た磁性層を有し、この磁性層が少なくとも2層の強磁性
    金属薄膜から構成され、この強磁性金属薄膜がCo−Ni合
    金であるか、またはCo−Ni−Cr合金の柱状結晶粒子から
    構成されている磁気記録媒体であって、 最下層の強磁性金属薄膜のCo含有率が70〜85at%であ
    り、 最上層の強磁性金属薄膜のCo含有率が75〜90at%であ
    り、 最上層の強磁性金属薄膜を構成する柱状結晶粒子の平均
    最大径が、120〜300Åであって、 この平均径が最下層の強磁性金属薄膜を構成する柱状結
    晶粒子の平均最大径を1としたとき、0.4〜0.7である磁
    気記録媒体。
  2. 【請求項2】最下層の強磁性金属薄膜のCo含有率が最上
    層の強磁性金属薄膜のCo含有率よりも低い請求項1に記
    載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】蒸着時に強磁性金属が入射する方向と前記
    非磁性基体表面の法線とがなす角度を入射角とし、入射
    角の最大値をθmax、入射角の最小値をθminとすると、 最下層の強磁性金属薄膜が、最上層の強磁性金属薄膜蒸
    着時のθmaxより小さいθmaxにて蒸着されたものである
    請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】蒸着時に強磁性金属が入射する方向と前記
    非磁性基体表面の法線とがなす角度を入射角とし、入射
    角の最大値をθmax、入射角の最小値をθminとすると、 最上層の強磁性金属薄膜が、最下層の強磁性金属薄膜蒸
    着時のθminより大きいθminにて蒸着されたものである
    請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】最上層の強磁性金属薄膜蒸着時のθmaxと
    θminとの合計が、最下層の強磁性金属薄膜蒸着時のθm
    axとθminとの合計よりも大きい請求項3または4に記
    載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】強磁性金属が入射する方向が前記非磁性基
    体の法線を挟んで交差するように蒸着された2層の強磁
    性金属薄膜を有する請求項1ないし5のいずれかに記載
    の磁気記録媒体。
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