JPH0759567A - 生理活性物質固定化用担体 - Google Patents

生理活性物質固定化用担体

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JPH0759567A
JPH0759567A JP5209115A JP20911593A JPH0759567A JP H0759567 A JPH0759567 A JP H0759567A JP 5209115 A JP5209115 A JP 5209115A JP 20911593 A JP20911593 A JP 20911593A JP H0759567 A JPH0759567 A JP H0759567A
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JP5209115A
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Hideyuki Yokota
英之 横田
Masahiro Seko
政弘 世古
Kazunori Inamori
和紀 稲森
Masakazu Tanaka
昌和 田中
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生理活性物質の活性を保持したまま、簡便か
つ効果的に固定することができ、固定化生理活性物質の
遊離等不都合な事態を招くことのない生理活性物質固定
化用担体を提供する。 【構成】 支持体となる水不溶性固体表面に、ポリアル
キレン骨格を有する親水性スペーサーを介してアミノ基
が導入され、さらにその末端アミノ基に末端ジカルボン
酸を作用させて得られる構造から成る生理活性物質固定
化用担体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水不溶性固体表面に、ポ
リアルキレンオキサイド骨格を有する親水性スペーサー
を介して、−NHCO−R−COOHの構造から成る官
能基を持っていることを特徴とする生理活性物質固定化
用担体に関するものである。より詳細に述べると、支持
体となる水不溶性固体表面に、ポリエチレンオキサイ
ド、またはポリプロピレンオキサイド、またはポリテト
ラメチレングリコール等の骨格から成る親水性スペーサ
ーを介してアミノ基が導入され、さらにその末端アミノ
基に末端ジカルボン酸を作用させて得られる構造から成
ることを特徴とする生理活性物質固定化用担体に関す
る。本発明において生理活性物質とは、酵素、補酵素、
酵素阻害剤、ホルモン、抗菌剤、抗原、抗体、細胞、そ
の他機能を有する蛋白質、さらにこのような物質と親和
性を有する低分子化合物および(または)高分子化合物
を指し、これらをリガンドと称することもある。また、
本発明において生理活性物質を固定化する水不溶性固体
を単に支持体、もしくは担体と称することもあり、スペ
ーサーとは生理活性物質を担体表面から離して固定する
ための腕のことを指す。また、スペーサーのうち化1に
おいて−〔O・・・・O−と表示した部分、もしくはそ
の両端部分を含めて−Z・・・・Z’−NHと表示した
部分、あるいは支持体に導入した結果これらの構造にな
る原料を親水性スペーサー、CO−R3−COOHと表
示した部分、あるいは支持体に導入した結果この構造に
なる原料を両末端ジカルボン酸と呼ぶことがある。
【0002】
【従来の技術】生理活性物質を不溶性固体に固定し、得
られた生理活性物質固定化担体を化学反応触媒、分離精
製用特異的吸着材、臨床検査材料、医療用材料として利
用する方法は1960年代から活発な研究が開始され、
現在各国で盛んに研究が進められている。生理活性物質
を固体に担持させる方法は、物理的方法と化学的方法に
大別できる。前者はアガロースゲルなどに包み込んで閉
じこめる包括法や、非特異的な吸着力を利用した吸着法
などがある。後者には生理活性物質の官能基を利用して
化学結合させる共有結合法や、生理活性物質の持つ電荷
と反対の電荷を固体に付与して両者をイオン結合で結合
させるイオン結合法などがある。
【0003】生理活性物質の固定で最も重要な問題とな
るのはいかにしてもとの活性を損なうことなく、安定に
固定し、なおかつ使用に際して生理活性物質の遊離が防
げるかということである。物理的方法によって固定した
場合、包括法では生理活性物質を包み込んでしまうた
め、酵素そのものは活性を維持していても、反応溶媒と
の接触が妨げられ、もとの活性が充分に発揮されない可
能性が大きく、吸着法では使用中の生理活性物質遊離の
問題がある。従って、このような問題を解決するには、
化学的方法、なかでも共有結合法によって固定化を行う
ことが望ましい。
【0004】従来、共有結合法として採用されてきた方
法としては、臭化シアン法、エポキシ法が一般的であ
る。臭化シアン法は、担体上の水酸基と臭化シアン(C
NBr)を作用させてシアン酸エステル(ROCN)ま
たはイミドカーボネート((RO)2C=NH)を生成
させ、これにアミノ基を有する物質をイソウレア結合
(ROC(=NH)NH−L)やウレタン結合(RO
(CO)NH−L)で固定する方法である。(Rは固定
を行う担体、Lは生理活性物質)この方法は比較的容易
に固定化ができるので広く利用されているが、架橋部に
形成されるイミド基が帯電しているため、これとの静電
相互作用によって非特異吸着が起こる。また、固定化さ
れた生理活性物質と担体との結合が不安定であるため、
生理活性物質が遊離する可能性がある。リガンドが遊離
するという欠点は特に医療用材料、つまり、血液や血液
成分を接触させて含有される病因物質を吸着除去する吸
着材では致命的とも言える。さらに、臭化シアンはそれ
自体毒性を持った化合物であるため、未反応の臭化シア
ンが残存する可能性のあるこの方法は医療用材料には事
実上応用ができない。
【0005】エポキシ法は臭化シアン法のこのような欠
点を解消するために考案された方法のひとつである。こ
の方法は例えば、担体上の水酸基とエピクロルヒドリン
をアルカリ性条件のもとで作用させてエポキシ基を導入
し、これに水酸基を有する物質を作用させてエーテル結
合により固定化させるものである。この方法は、水酸基
の代わりにアミノ基を利用して固定する方法や、担体に
直接エポキシ基を導入するのではなく、両末端にエポキ
シ基を有する化合物をスペーサーとして担体の水酸基と
反応させ、もう一方のエポキシ基を利用して含水酸基物
質を固定する方法などのバリエーションも考案されてい
る。
【0006】エポキシ法では臭化シアン法と比べて (1)静電相互作用による非特異吸着がない。 (2)生理活性物質との結合部位にあるエーテル結合、
アルキルアミノ結合は安定であり、生理活性物質の遊離
が少ない。 などの利点を有する。しかし、このエポキシ法では生理
活性物質固定の際、アルカリ溶液で長時間の処理を要す
るという欠点があり、これは生理活性物質の失活を招く
恐れがおおいにある。
【0007】さらに別の方法としては、以下のような手
段が考案されている。 (1)含オレフィン化合物溶液と酵素溶液とを担体表面
に塗布し、これに電離性放射線を照射する方法(特公平
3−61426) (2)アミド化反応を利用して生理活性物質を固定する
方法(有機合成化学、第38巻、128〜138頁(1
980年);J.Biochem.、第87巻、535
〜540頁(1980年)) (3)両末端にアルデヒドを有する化合物をスペーサー
として導入し、これを介して生理活性物質を固定する方
法(特公平3−59080)
【0008】(1)の方法は包括法に分類されるもの
で、酵素水溶液およびビニル系重合性単量体から成る混
合物を多孔質粒子の表面に被覆した後電離性放射線を照
射して重合せしめ、酵素を固定するものである。この方
法では包括法の利点、すなわち活性の保持、複数成分か
ら成る複雑な酵素反応系をそのまま固定できることなど
を保ったまま、酵素の遊離が低く抑えられる。しかしな
がら、反応溶媒との接触が制限されてしまうことは避け
られず、また、固定化に電離性放射線の照射を要するの
で装置が大がかりなものとなってしまい、手軽に実施し
にくい。
【0009】(2)の方法は、エポキシ活性化担体をア
ンモニアでアミノ誘導体とした後、無水コハク酸で処理
し、スクシニルアミノ誘導体とし、これにカルボジイミ
ドとアミノ基を有する生理活性物質とを作用させて生理
活性物質の固定化を行うものである。しかしこの方法で
は、次に述べる(3)の方法と同じ理由で欠点を有す
る。
【0010】(3)の方法は、アミノ基を有する担体
(もしくはアミノ基を導入した担体)と、両末端にアル
デヒドを有する化合物を作用させ、シッフ塩基形成-還
元によってアルキルアミノ結合でこれを固定し、さらに
アミノ基を有する生理活性物質を同様にして結合させ
て、スペーサーを介して生理活性物質を担体に固定する
方法である。この方法は生理活性物質を固定するという
目的を達成するだけなら優れた方法であるが、使用時の
生理活性発揮について考えると、改善の余地がある。
【0011】この発明においては両末端にアルデヒドを
有する化合物、すなわちスペーサーについての考慮が充
分でない。スペーサーの効果は生理活性物質の運動性を
高めることによって、使用の際にその活性を充分に引き
出すということが挙げられる。ところが、特公平3−5
9080の方法に用いられるスペーサーはその鎖長が、
炭素数にしてわずかに2〜10となっている。このよう
に短いスペーサーでは生理活性物質の運動性向上に対す
る寄与は充分ではないと考えられる。
【0012】また、生理活性物質固定化担体は主とし
て、水系溶媒中で使用されることが圧倒的に多い。特公
平3−59080に挙げられたスペーサーは疎水性のメ
チレン鎖から成っているため水系溶媒中では充分に伸び
きったコンフォメーションをとるのが困難であり、スペ
ーサー鎖長と併せて考えると、本来スペーサーに期待さ
れる効果はほとんど発揮されないと言っても過言ではな
い。
【0013】生理活性物質固定化担体が医療用材料、す
なわち血液や血液成分を接触させて含有される病因物質
を吸着除去する吸着材として使用される場合には親水性
スペーサーの持つ意義はさらに大きくなる。すなわち、
血液中の血球成分や、被吸着物質でない蛋白の付着を防
止することである。親水性スペーサーはその周辺に水を
吸着している。このため吸着材表面は水の層に覆われ、
この水の層が血球成分の付着を防いでいる(排除体積効
果)。また、水の層を形成するスペーサーが運動するこ
とにより、さらに血球成分の付着は困難になり、付着し
た血球成分は脱離しやすくなる。また、凝固因子や補体
の活性化が抑制されるといった利点を有する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の欠点を解決し、種々の生理活性物質の固定を汎用的
に、充分な濃度で、安定に行うことができ、かつ生理活
性物質の活性を充分に引き出すことのできる生理活性物
質の固定化法を提供しようとしたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の生理活性物質固
定化用担体は、支持体となる水不溶性固体表面に、ポリ
エチレンオキサイド、またはポリプロピレンオキサイ
ド、またはポリテトラメチレングリコール等の骨格から
成る親水性スペーサーを介してアミノ基が導入され、さ
らにその末端アミノ基に末端ジカルボン酸を作用させて
得られる構造から成ることを特徴とするものである。具
体的な構造は化1に示した通りであるが、模式的に表示
すると[支持体]−[親水性スペーサー]−[アミド結
合]−[炭化水素鎖]−[カルボキシル基]となる。
【0016】本発明の生理活性物質固定化用担体は、支
持体がポリスチレン、ポリメタクリル酸およびその誘導
体或いはこれらの共重合体などの合成有機高分子化合
物、セルロース、キチン、キトサン等の天然有機高分子
化合物、またはアシルセルロース、アシルキチン等の改
質天然有機高分子化合物であることが好ましい。これら
の高分子化合物のうち、機械的強度、親水性スペーサー
導入の容易さ、親水性スペーサー導入後の水不溶性の保
持を考慮すると、適度に架橋したポリスチレン、ポリメ
タクリル酸およびその誘導体或いはこれらの共重合体、
アシルセルロース、セルロースやキチン、キトサンが望
ましく、さらに好ましくは架橋ポリメタクリル酸誘導
体、アシルセルロース、セルロースが望ましい。
【0017】本発明における親水性スペーサーは、化1
に示した構造を有する限りあらゆるものが使用可能であ
るが、なかでもポリエチレンオキサイド、ポリプロピレ
ンオキサイド、ポリテトラメチレングリコール骨格のも
のが望ましく、さらに好ましくはポリエチレンオキサイ
ド骨格が望ましい。
【0018】本発明において、親水性スペーサーと末端
のカルボキシル基を結ぶ炭化水素鎖部分は、化1に示し
た通り炭素数1〜10の直鎖、もしくは分枝状飽和アル
キレン基が利用されるが、なかでも直鎖炭化水素鎖が望
ましい。
【0019】本発明の生理活性物質固定化用担体には、
親水性スペーサーと疎水性の炭化水素鎖が共存している
ことがひとつの特徴である。親水性スペーサーの効果に
ついてはすでに述べたとおりであるが、固定化生理活性
物質が相互作用する物質(例えば、固定化生理活性物質
が抗体なら液中の抗原、酵素なら液中の基質)の相互作
用部位が水系溶媒中でつねに表面近傍に露出していると
は限らない。相互作用部位が疎水性リッチな場合、極性
の大きい水系溶媒中では表面から奥に入り込んでいるこ
とが考えられる。このような場合、水系溶媒中で固定化
生理活性物質を使用しても、親水性スペーサーの導入だ
けでは充分な効果が期待できるとは限らない。親水性ス
ペーサーの効果でリガンドの運動性が向上し、疎水性の
炭化水素鎖がスペーサーの末端近辺にあることによって
疎水的な環境にある相互作用部位との接近が容易になる
というふたつの相乗効果によって、より大きな効果が期
待される。
【0020】本発明の生理活性物質固定化用担体は最終
的に化1に示した構造を有していればよく、その製造法
については制限を受けるものではないが、支持体と親水
性スペーサーの結合は共有結合であることが必要であ
る。支持体となる水不溶性固体に適当な官能基が含まれ
ていない場合には適当な手段によって官能基を導入する
必要がある。その導入方法については特に制限されない
が、ポリスチレンを支持体として利用する場合、以下の
ような方法でクロロメチル基を導入する手段が利用され
得る。
【0021】ジビニルベンゼンを1重量%〜70重量
%、好ましくは2重量%〜35重量%含む架橋ポリスチ
レンにクロロホルムを加え、室温で15分以上、好まし
くは30分以上撹拌して充分に膨潤させた後、クロロメ
チルメチルエーテルと触媒を加え、25℃〜100℃、
好ましくは30℃〜60℃で30分〜12時間、好まし
くは2時間〜7時間窒素気流気下にて撹拌しながら反応
させると、クロロメチル基導入率10%〜100%、好
ましくは25%〜95%の架橋ポリクロロメチルスチレ
ンが得られる。上記触媒としては、塩化アルミニウムの
ようなアルミニウム系触媒、塩化錫のような錫系触媒、
塩化亜鉛のような亜鉛系触媒が挙げられる。触媒は反応
溶液中に0.3%〜5.0%、好ましくは0.4%〜
3.0%の含量で添加される。上記クロロメチル化反応
において、各成分の混合重量比は次の通りである。ポリ
スチレンとクロロホルムの重量比は2/1〜1/10、
好ましくは1/1〜1/7;ポリスチレンとクロロホル
ムの合計量とクロロメチルメチルエーテルの混合重量比
は30/1〜1/5、好ましくは15/1〜1/3であ
る。
【0022】セルロースを利用する場合、以下のような
方法でアルデヒドを導入する手法が利用され得る。過沃
素酸ナトリウムを0.1規定〜5.0規定、好ましくは
0.5規定〜1.5規定の硫酸に溶解した溶液に、粒状
多孔質セルロースを添加し、10℃〜50℃、好ましく
は20℃〜30℃で、5時間〜30時間、好ましくは1
0時間〜24時間反応させる。上記過沃素酸ナトリウム
-硫酸溶液の過沃素酸ナトリウム濃度は2重量%〜15
重量%、好ましくは4重量%〜10重量%である。ま
た、上記粒状多孔質セルロースの過沃素酸ナトリウム溶
液への浴比は10容量%〜50容量%、好ましくは15
容量%〜40容量%である。この反応混合物を濾過して
生成物を回収し、充分に水洗して、膨潤状態でアルデヒ
ド含量0.10meq/ml〜2.00meq/g、好
ましくは0.20meq/ml〜1.50meq/ml
のアルデヒドセルロースを得る。このアルデヒドセルロ
ースは下記(化2)に示すように、一部のグルコースユ
ニットが開環した構造をしている。
【0023】
【化2】
【0024】上記のようにして活性官能基を導入した支
持体に親水性スペーサー、および両末端ジカルボン酸を
作用させることによって、本発明の構造を有する担体が
得られる。最終組成物を合成する手順は本発明の制限を
受けるものではないが、具体的には2種類の経路が考え
られるであろう。第1に、支持体に、両末端に活性官能
基を有する親水性スペーサーを導入し、続いて両末端ジ
カルボン酸を導入する方法、第2に、あらかじめ両末端
ジカルボン酸を導入した親水性スペーサーを、支持体に
導入する方法である。
【0025】第1の方法によって支持体がセルロースか
ら成る担体を合成する場合、例えば次のような方法が利
用され得る。 (1)両末端アミノ基含有親水性スペーサーの導入 両末端にアミノ基を有する親水性スペーサーをpH9.
5の緩衝液に溶解させる。これにアルデヒドセルロース
を添加して撹拌しながら10℃〜50℃好ましくは20
℃〜30℃で、5時間〜30時間、好ましくは10時間
〜24時間反応させる。上記両末端アミノ基含有親水性
スペーサー-緩衝液の濃度は0.2重量%〜5.0重量
%、好ましくは0.4重量%〜3.0重量%、この溶液
へのアルデヒドセルロースの浴比は3容量%〜50容量
%、好ましくは5容量%〜25容量%であり、アルデヒ
ドセルロースに含まれるアルデヒドと両末端アミノ基含
有親水性スペーサーの混合モル比が3/1〜1/10好
ましくは1/1〜1/5となるよう適当に調整されるの
が望ましい。
【0026】この反応混合物を濾過して生成物を回収、
水洗し、これをpH9.0の緩衝液に分散させ、水素化
ホウ素ナトリウムを添加して10℃〜50℃好ましくは
20℃〜30℃で、5時間〜30時間、好ましくは10
時間〜24時間反応させてシッフ塩基の水素添加を行
う。含シッフ塩基[セルロース]−[両末端アミノ基含
有親水性スペーサー]の緩衝液への浴比は3容量%〜5
0容量%、好ましくは5容量%〜25容量%、含シッフ
塩基[セルロース]−[両末端アミノ基含有親水性スペ
ーサー]と水素化ホウ素ナトリウムの仕込比は20/1
〜3/2、好ましくは15/1〜3/1(いずれも容量
/重量比)である。こうしてアミノ基含量0.010m
eq/ml〜3.00meq/ml、好ましくは0.0
50meq/ml〜2.00meq/mlの[セルロー
ス]−[両末端アミノ基含有親水性スペーサー]を得
る。
【0027】(2)両末端ジカルボン酸の導入 環状ジカルボン酸無水物を塩基性溶媒に溶解させ、上記
(1)で得た[セルロース]−[両末端アミノ基含有親
水性スペーサー]を加えて0℃〜50℃好ましくは10
℃〜40℃で2時間〜30時間、好ましくは5時間〜2
4時間反応させて両末端ジカルボン酸の導入を行う。
[セルロース]−[両末端アミノ基含有親水性スペーサ
ー]の塩基性溶媒への浴比は3容量%〜50容量%、好
ましくは5容量%〜25容量%であり、[セルロース]
−[両末端アミノ基含有親水性スペーサー]に含まれる
アミノ基と両末端ジカルボン酸無水物の混合モル比が3
/1〜1/10好ましくは1/1〜1/5となるよう適
当に調整されるのが望ましい。
【0028】上記反応に用いられる塩基性溶媒はピリジ
ン、トリエチルアミンなどの第3級アミン、これら第3
級アミンと他の不活性有機溶媒もしくは水との混合物、
水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などの
アルカリ水溶液、種々のアルカリ性緩衝液等が挙げられ
る。
【0029】上記の例は両末端ジカルボン酸の導入方法
として環状ジカルボン酸無水物を使用しているが、この
ほか酸ハライド、活性エステル、直鎖状酸無水物などを
使用することも可能である。また、カルボジイミドなど
の縮合剤を用いてカルボキシル基とアミノ基を縮合させ
てもよい。しかし、反応の簡便性、両末端カルボキシル
基による架橋の回避などの点から考慮すると環状ジカル
ボン酸無水物を使用するのが好ましい。
【0030】両末端ジカルボン酸導入に使用される試薬
としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸等の直鎖両末端ジカルボン酸やこれらの
異性体、さらにこれらの酸ハライド、活性エステル、環
状無水物、直鎖状無水物などの誘導体が例示される。こ
のうち、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、
アジピン酸およびその誘導体が好ましく、なかでもマロ
ン酸、コハク酸、グルタル酸の環状無水物が特に好まし
い。
【0031】本発明に用いられる親水性スペーサーの鎖
長は、固定化される生理活性物質の種類、得られた生理
活性物質固定化担体の用途によって適当に選択されるこ
とが好ましい。例えば、生理活性物質として抗LDL
(低比重リポ蛋白)抗体を固定し、血液中のLDLを選
択的に除去する吸着材として用いる場合、両末端アミノ
基含有ポリエチレングリコール(以下PEOアミンと略
記する)をスペーサーに用いるのであれば、分子量(G
PC測定、ポリエチレングリコール換算)にして200
〜10000、好ましくは400〜5000が望まし
い。
【0032】第2の方法、すなわち、あらかじめ両末端
ジカルボン酸を導入した親水性スペーサーを支持体に導
入する方法を採用して支持体がセルロースから成る担体
を合成する場合、例えば次のような方法が利用され得
る。 (1)支持体へのアミノ基の導入 分子内にアミノ基を有する化合物をpH9.5の緩衝液
に溶解させる。これにアルデヒドセルロースを添加して
撹拌しながら10℃〜50℃好ましくは20℃〜30℃
で、5時間〜30時間、好ましくは10時間〜24時間
反応させる。上記アミノ基含有化合物-緩衝液の濃度は
0.2重量%〜10.0重量%、好ましくは0.4重量
%〜5.0重量%、この溶液へのアルデヒドセルロース
の浴比は3容量%〜50容量%、好ましくは5容量%〜
25容量%であり、アルデヒドセルロースに含まれるア
ルデヒドとアミノ基含有化合物の混合モル比が3/1〜
1/10好ましくは1/1〜1/5となるよう適当に調
整されるのが望ましい。
【0033】この反応混合物を濾過して生成物を回収、
水洗し、これをpH9.0の緩衝液に分散させ、水素化
ホウ素ナトリウムを添加して10℃〜50℃好ましくは
20℃〜30℃で、5時間〜30時間、好ましくは10
時間〜24時間反応させてシッフ塩基の水素添加を行
う。含シッフ塩基[セルロース]−[アミノ基含有化合
物]の緩衝液への浴比は3容量%〜50容量%、好まし
くは5容量%〜25容量%、含シッフ塩基[セルロー
ス]−[アミノ基含有化合物]と水素化ホウ素ナトリウ
ムの仕込比は20/1〜3/2、好ましくは15/1〜
3/1(いずれも容量/重量比)である。こうしてアミ
ノ基含量0.010meq/ml〜3.00meq/m
l、好ましくは0.050meq/ml〜2.00me
q/mlの[セルロース]−[アミノ基含有化合物]を
得る。
【0034】上記反応に用いられるアミノ基含有化合物
はアンモニア;ヒドラジン;エチレンジアミン;ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチ
レンペンタミンなどのエチレンジアミン縮合化合物;ジ
アミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、
ジアミノヘキサン、トリアミノプロパン、トリアミノブ
タン、トリアミノペンタン、トリアミノヘキサンなどの
ポリアミノアルキル;ジアミノシクロペンタン、トリア
ミノシクロペンタン、ジアミノシクロヘキサン、トリア
ミノシクロヘキサンなどのポリアミノシクロアルキル;
ジアミノベンゼン、ジアミノナフタレン、トリアミノベ
ンゼン、トリアミノナフタレンなどのポリアミノアリー
ル等が挙げられるが、アルデヒドへの求核反応が容易な
のは第1級アミノ基なので、第1級アミノ基が少なくと
もひとつ、好ましくはふたつ以上含まれる化合物が望ま
しい。なかでも、エチレンジアミンおよびジエチレント
リアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノヘキサン
(ヘキサメチレンジアミン)が特に好ましい。
【0035】 (2)両末端ジカルボン酸導入親水性スペーサーの合成 分子量(GPC測定、ポリエチレングリコール換算)1
00〜10000、好ましくは400〜6000のPE
Oアミンを塩基性溶媒に溶解し、これに環状ジカルボン
酸無水物の溶液を加えて0℃〜50℃、好ましくは10
℃〜40℃で2時間〜30時間、好ましくは5時間〜2
4時間反応させて両末端ジカルボン酸の導入を行う。上
記塩基性溶媒としてはピリジン、トリエチルアミンなど
の第3級アミン、これら第3級アミンと他の不活性有機
溶媒もしくは水との混合物、水酸化ナトリウム水溶液、
水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液、種々のア
ルカリ性緩衝液等が好ましい。PEOアミン溶液および
環状酸無水物の濃度は5重量%〜70重量%が望まし
く、さらに好ましくは10重量%〜50重量%が望まし
い。PEOアミンと環状ジカルボン酸無水物の混合モル
比は3/1〜1/10が望ましく、さらに好ましくは1
/1〜1/5が望ましい。この反応生成物は濃縮してそ
のまま支持体に導入することも可能であるが、濃縮した
後セルロース半透膜に入れて蒸留水もしくはイオン交換
水で透析することによって低分子量の不純物を除去する
ことができ、より好ましい。
【0036】(3)アミノ基含有支持体への両末端ジカ
ルボン酸導入親水性スペーサーの固定化 pH5.5の緩衝液に上記(2)の操作で得た両末端ジ
カルボン酸導入親水性スペーサーを溶解させる。酸もし
くはアルカリ溶液でpHを調節した後水溶性カルボジイ
ミドを加えて0℃〜30℃好ましくは0℃〜15℃で、
10分〜180分、好ましくは15分〜60分反応させ
てカルボキシル基を活性化させる。この溶液に上記
(1)の操作で得たアミノ基含有セルロースを加えて5
℃〜40℃、好ましくは10℃〜30℃で1時間〜36
時間、好ましくは4時間〜24時間反応させてアミド結
合を生成させて支持体への両末端ジカルボン酸導入親水
性スペーサー固定化を行う。上記両末端ジカルボン酸導
入親水性スペーサー−緩衝液の濃度は0.2〜20.0
重量%、好ましくは0.4〜10.0重量%、この溶液
へのアミノ基含有セルロースの浴比は3容量%〜50容
量%、好ましくは5容量%〜25容量%であり、アミノ
基含有セルロース由来のアミノ基と両末端ジカルボン酸
導入親水性スペーサー由来のカルボキシル基の混合モル
比が3/1〜1/10好ましくは1/1〜1/5となる
よう適当に調整されるのが望ましい。
【0037】こうして得られた生理活性物質固定化用担
体に生理活性物質の固定化を行う。この固定化方法はカ
ルボキシル基の負電荷を利用したイオン結合も利用でき
るが、より安定に固定化を行うためには生理活性物質に
含まれる求核性置換基を利用した共有結合による方法が
好ましい。なかでも、生理活性物質中のアミノ基との間
にアミド結合を作って固定化する方法がより好ましい。
【0038】本発明に使用される水不溶性固体の形状は
粒子状、繊維状、膜状等いずれの公知の形状も用いられ
得るが、固定化される生理活性物質の種類、得られた生
理活性物質固定化担体の用途によって適当に選択される
ことが好ましい。
【0039】例えば、生理活性物質として抗LDL(低
比重リポ蛋白)抗体を固定し、血液中のLDLを選択的
に除去する吸着材として用いる場合、粒子状担体の平均
粒径は10μm〜5mm、好ましくは30μm〜1m
m、さらに好ましくは50μm〜500μmの範囲にあ
ることが望ましい。これより粒径が小さくなると血液、
あるいは血液成分の流通抵抗が大きくなり、粒径が大き
くなると担体充填量の減少、ひいては有効表面積の減少
を招くこととなる。粒子形状については、細胞に損傷を
与えにくいことや、物理的外力に対する強度、さらに調
整の容易さから、球状であることが望ましい。同じ理由
から、繊維状担体の繊維直径は0.1μm〜50μm、
好ましくは0.3μm〜25μm、さらに好ましくは
0.5μm〜15μmが望ましい。
【0040】固定化される生理活性物質の種類、得られ
た生理活性物質固定化担体の用途によっては、有効表面
積を拡大するために担体表面に微小孔が存在することが
好ましい場合も多い。
【0041】例えば、生理活性物質として抗LDL(低
比重リポ蛋白)抗体を固定し、血液中のLDLを選択的
に除去する吸着材として用いる場合、粒子状担体では、
20Å〜20000Å、好ましくは100Å〜1500
0Å、さらに好ましくは1000Å〜12000Å、繊
維状担体では20Å〜3000Å、好ましくは100Å
〜2000Åの微小孔が存在することが望ましい。これ
より平均孔径が小さいと被吸着物質が微小孔内部まで到
達できず、これより大きいと有効表面積を拡大する効果
が不十分であり、また担体の強度低下を招く恐れがあ
る。
【0042】
【実施例】以下実施例を用いて本発明を説明する。 〈実施例1〉粒状多孔質セルロース(平均粒径50μ
m、平均孔径1500 )1000mlを、過沃素酸ナ
トリウム150gを1規定−硫酸3000mlに溶解し
た溶液に添加し、25℃で18時間反応させた後、濾
別、水洗し、アルデヒド含量0.55meq/mlのア
ルデヒドセルロース(CA-1)を得た。アルデヒドの定
量はオキシム法によって行った。すなわち、CA-1約
1.0mlを正確に秤量し(この量をV1 mlとす
る)、これに0.5規定塩酸ヒドロキシルアミン溶液
(塩酸ヒドロキシルアミン35gを水160mlに溶か
し、95%エタノールで希釈して1lとしたもの)10
ml、ピリジンブロムフェノールブルー溶液(4%ブロ
ムフェノールブルー0.25mlとピリジン20mlの
混合液を95%エタノールに希釈して1lとしたもの)
35mlを加えた。この懸濁液(以下サンプルと呼ぶ)
を、CA-1を入れずに0.5規定塩酸ヒドロキシルアミ
ン溶液10mlとピリジンブロムフェノールブルー溶液
35mlを加えたもの(以下ブランクと呼ぶ)と併せて
超音波洗浄器内に15分間放置した。サンプルとブラン
クを取り出し、サンプルの呈する色がブランクと同じに
なるまで0.1規定水酸化ナトリウム−メタノール溶液
を滴下した。この際滴下した水酸化ナトリウム量をW1
ml、力価をF1 とすると、アルデヒド含量x1 meq
/mlは次式によって得られる。 x1=(0.1×F1×W1)/V1
【0043】分子量1000(GPC測定、ポリエチレ
ングリコール換算)のPEOアミン275gをpH9.
5の炭酸緩衝液5000mlに溶解させておき、これに
上記で得たCA-1を250ml添加して撹拌しながら2
5℃で、18時間反応させた。この反応混合物を濾過し
て生成物を回収、水洗し、これをpH9.0の炭酸緩衝
液5000mlに分散させ、水素化ホウ素ナトリウム1
00gを添加して25℃で、18時間反応させてシッフ
塩基の水素添加を行った。こうしてPEOアミン由来の
アミノ基含量0.21meq/mlの[セルロース]−
[PEOアミン](CPEO−1)を得た。アミノ基の定
量は以下の方法によって行った。CPEO-1約0.1ml
を正確に秤量し(この量をV2 mlとする)、0.1規
定塩酸水溶液10ml(力価をF2 とする)を加え、こ
の懸濁液をジオキサンで希釈して全量で40mlにする
(この懸濁液を以下サンプルと呼ぶ)。サンプルを約3
0分撹拌した後、自動滴定装置(平沼産業製COMTI
TE101)を用いて0.1規定水酸化ナトリウム水溶
液(力価をF2’とする)で滴定を行う。サンプルを中
和するまでに要した0.1規定水酸化ナトリウム水溶液
の量をW2mlとすると、CPEO-1のアミノ基含量x2
meq/mlは次式によって得られる。 V2×x2+0.1×F2’×W2=0.1×F2×10
【0044】無水コハク酸8.4gをピリジン/アセト
ニトリル(1/9容量比)混合液1500mlに溶解さ
せ、上記で得たCPEOー1を100ml加えた。25℃で
約18時間撹拌して反応させた後生成物を回収、稀塩
酸、続いて水で充分に洗浄して[セルロース]−[PE
Oアミン]−[コハク酸](CPEOSA−1)を得た。
カルボキシル基含量は上記でCPEO-1のアミノ基含量を
求めたのと同様の方法で、0.1規定塩酸水溶液を0.
1規定水酸化ナトリウム水溶液に、0.1規定水酸化ナ
トリウム水溶液を0.1規定塩酸水溶液にそれぞれ替え
て、滴定により測定した。CPEOSA−1のカルボキシ
ル基含量は0.18meq/mlであった。
【0045】上記で得たCPEOSA-1を100ml取っ
て、pH5.5のリン酸緩衝液1500ml(容量)に
分散させておき、1−エチル−3−(3−ジメチルアミ
ノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(以下EDCと略
記する。)3.0gを加え、反応容器を0℃のアイスバ
スに20分間浸漬してカルボキシル基を活性化した。こ
れに抗LDL抗体のpH5.5リン酸緩衝液溶液(50
mg/ml)50mlを加えて25℃で18時間撹拌し
て反応させた。ここで用いた抗LDL抗体は、以下の方
法で得た抗ヒトLDL抗体である。すなわち、ヒトLD
Lを完全アジュバントとともに注射により投与し免疫し
たレグホンの鶏卵の卵黄部分を取り出し、その5倍量の
0.1%λカラギーナン水溶液を混合して1500×
g,10分遠心分離し、その上清をDEAEクロマトグ
ラフィおよび塩析により精製した。生成物を回収、洗浄
水がpH7.0になるまで充分にイオン交換水で洗浄し
て[セルロース]−[PEOアミン]−[コハク酸]−
[抗LDL抗体](CPEOSA−IgY−1)を得た。
【0046】上記で得たCPEOSA−IgY−1を80
ml取って100mlのカラムに充填し、100U/m
lのヘパリンを含む生理食塩液100ml、続いて1U
/mlのヘパリンを含む生理食塩液100mlでカラム
内、および血液回路内を洗浄した。一方、クエン酸加豚
血1lをビーカーにとり、カラムを通して再びこのビー
カーに戻すよう血液回路を組んだ。この装置を用いて血
液流量50ml/minで潅流実験を3時間連続して行
い、カラム前後の血中LDLの量を測定した。また、潅
流開始前後の全血液中のアルブミン量、総蛋白量、血小
板量を測定した。LDLの定量は和光純薬製β−リポ蛋
白C−テストワコーを用いてヘパリン沈澱・比色法によ
って行った。アルブミン量はブロムクレゾールグリーン
法、総蛋白量はビウレット法、血小板量は自動血球算定
装置を用いて定量した。結果は表1、表2に示した。な
お、LDLの量は実際の測定値(単位はmg/dl)、
アルブミン、総蛋白、血小板については残存率で表示し
た。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】〈実施例2〉実施例1で得たCPEOSA−
1を100ml取り、pH5.5のリン酸緩衝液150
0ml(容量)に分散させておき、EDC3.0gを加
え、反応容器を0℃のアイスバスに20分間浸漬してカ
ルボキシル基を活性化した。これに市販ヒトハプトグロ
ビン溶液(20U/ml;ミドリ十字社製)100ml
を加えて25℃で18時間撹拌して反応させた。反応混
合物を濾過して生成物を回収し、充分に水洗して、[セ
ルロース]−[PEOアミン]−[コハク酸]−[ハプ
トグロビン](CPEOSA−Hp−2)を得た。
【0050】上記で得たCPEOSA−Hp−2を80m
l取って100mlのカラムに充填し、100U/ml
のヘパリンを含む生理食塩液100ml、続いて1U/
mlのヘパリンを含む生理食塩液100mlでカラム
内、および血液回路内を洗浄した。一方、抗ヒトハプト
グロビン抗体を固定化した担体を用いて、ヒト全血から
ヒト遊離ハプトグロビンを除去したクエン酸加ハプトグ
ロビンフリー血に、ヒト遊離ヘモグロビンを50mg/
dl添加し、これを1lビーカーに取って、カラムを通
して再びこのビーカーに戻すよう血液回路を組んだ。こ
の装置を用いて血液流量50ml/minで潅流実験を
3時間連続して行い、カラム後の血中ヒト遊離ヘモグロ
ビン量を測定した。また、潅流開始前後の全血液中のア
ルブミン量、総蛋白量、血小板量を測定した。遊離ヘモ
グロビン量はテトラメチルベンジジン法により定量し
た。アルブミン量はブロムクレゾールグリーン法、総蛋
白量はビウレット法、血小板量は自動血球算定装置を用
いて定量した。結果は表3に示した。なお、アルブミ
ン、総蛋白、血小板(血小板のみは個/mlでの測定)
については残存率で表示した。
【0051】
【表3】
【0052】〈実施例3〉実施例1で得たCPEOSA−
1を50ml取り、pH5.5のリン酸緩衝液700m
l(容量)に分散させておき、EDC3.0gを加え、
反応容器を0℃のアイスバスに20分間浸漬してカルボ
キシル基を活性化した。これにバチルス属由来のアミラ
ーゼを6000単位(JISK−7001による糖化
力)添加して15℃で10時間撹拌して反応させた。反
応混合物を濾過して生成物を回収し、充分に水洗して
[セルロース]−[PEOアミン]−[コハク酸]−
[アミラーゼ](CPEOSA−Am−3)を得た。この
反応に用いたアミラーゼは、新規にスクリーニングを行
って得られたバチルス属由来のもので、耐アルカリ性を
有している(至適pHは8から9)。
【0053】上記で得られたCPEOSA−Am−3を、
可溶性デンプンを0.1%の濃度で溶解させた緩衝液に
分散させ、37℃で30分撹拌後、濾過を行い、濾液に
おける加水分解度によってCPEOSA−Am−3におけ
るアミラーゼ活性を測定した。活性測定は、反応溶液に
ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液を加え、その吸光度低下
率から算出した。結果は表4に示した。なお、固定化酵
素の活性は固定を行っていない遊離アミラーゼ(Fre
* )のpH8.5における活性を100として百分率
によって表示した。
【0054】
【表4】
【0055】上記で得られたCPEOSA−Am−3をp
H10の緩衝液に分散させて撹拌し、経過時間と活性と
の関係を測定した。結果は図1に示す。活性は、処理前
の遊離アミラーゼの活性を100として、相対値で表示
した。
【0056】〈比較例1〉ヘキサメチレンジアミン65
gをpH9.5の炭酸緩衝液5000mlに溶解させて
おき、これに実施例1で得たCA−1を250ml添加
して撹拌しながら25℃で18時間反応させた。この反
応混合液を濾過して生成物を回収、水洗し、これをpH
9.0の炭酸緩衝液5000mlに分散させ、水素化ホ
ウ素ナトリウム100gを添加して25℃で、18時間
反応させてシッフ塩基(−N=CH−)の水素添加を行
った。こうしてヘキアメチレンジアミン由来のアミノ基
含量0.50meq/mlの[セルロース]−[ヘキサ
メチレンジアミン](CHMDA−4)を得た。
【0057】上記で得たCHMDA−4を100ml取って
pH9.5の炭酸緩衝液2000mlに分散させてお
き、25%グルタルアルデヒド水溶液50mlを加え
た。炭酸ナトリウムと重炭酸ナトリウムを適当に加えて
pHを9.5に調節して、25℃で約18時間撹拌して
反応させた。生成物を回収、洗浄水がpH7.0になる
まで充分にイオン交換水で洗浄して[セルロース]−
[グルタルアルデヒド](CG-4)を得た。
【0058】上記で得たCG-4を100ml取ってpH
9.5の炭酸緩衝液2000mlに分散させておき、こ
れに抗LDL抗体3gを加えて25℃で6時間撹拌して
反応させた。ここで用いた抗LDL抗体は、実施例1で
用いたのと同じものである。生成物を回収、洗浄水がp
H7.0になるまで充分にイオン交換水で洗浄して含シ
ッフ塩基[セルロース]−[グルタルアルデヒド]−
[抗LDL抗体](s−CG−IgY−4)を得た。
【0059】上記s−CG−IgY-4を100ml取っ
てpH9.0の炭酸緩衝液2000mlに分散させてお
き、これに水素化ホウ素ナトリウム30gを加えて25
℃で4時間撹拌して反応させた。生成物を回収、洗浄水
がpH7.0になるまで充分にイオン交換水で洗浄して
[セルロース]−[グルタルアルデヒド]−[抗LDL
抗体](CG−IgY−4)を得た。
【0060】上記で得たCG-IgY−4のLDL吸着
能、アルブミン、総蛋白、血小板の残存率を実施例1と
同様の方法で評価した。結果は表1、表2に示した。
【0061】〈比較例2〉実施例1で得たCHMDA−4を
100ml取ってpH5.5のリン酸緩衝液1500m
lに分散させておき、EDC3.0g、抗LDL抗体の
pH5.5リン酸緩衝液溶液(50mg/ml)50m
lを加えて25℃で18時間撹拌して反応させた。ここ
で用いた抗LDL抗体は、実施例1で用いたのと同じも
のである。生成物を回収、洗浄水がpH7.0になるま
で充分にイオン交換水で洗浄して[セルロース]−[抗
LDL抗体](CHMDA−IgY−5)を得た。
【0062】上記で得たC−IgY−5のLDL吸着
能、アルブミン、総蛋白、血小板の残存率を実施例1と
同様の方法で評価した。結果は表1、表2に示した。
【0063】〈比較例3〉比較例1で得たCG-4を10
0ml取り、pH9.0の炭酸緩衝液2000部(容
量)に分散させておき、これに市販ヒトハプトグロビン
溶液(20U/ml;ミドリ十字社製)100mlを加
えて25℃で6時間撹拌して反応させた。生成物を回
収、充分にイオン交換水で洗浄して含シッフ塩基[セル
ロース]−[グルタルアルデヒド]−[ハプトグロビ
ン](s−CG-Hp−6)を得た。
【0064】上記s-CG-Hp-6を100ml取ってp
H8.5の炭酸緩衝液2000mlに分散させておき、
これに水素化ホウ素ナトリウム30gを加えて25℃で
4時間撹拌して反応させた。生成物を回収、これを充分
に水洗し、[セルロース]−[グルタルアルデヒド]−
[ハプトグロビン](CG-Hp−6)を得た。
【0065】上記で得たCG-Hp-6の性能を実施例2
と同様の方法で評価した。結果は表3に示した。
【0066】〈比較例4〉実施例1で得たCHMDA-4を
100ml取り、pH5.5のリン酸緩衝液1500m
lに分散させておき、EDC3.0g、市販ヒトハプト
グロビン溶液(20U/ml;ミドリ十字社製)100
mlを加えて25℃で6時間撹拌して反応させた。生成
物を回収、洗浄水がpH7.0になるまで充分にイオン
交換水で洗浄して[セルロース]−[ハプトグロビン]
(CHMDA−Hp−7)を得た。
【0067】上記で得たCHMDA−Hp−7の性能を実施
例2と同様の方法で評価した。結果は表3に示した。
【0068】〈比較例5〉比較例1で得たCG-4を50
ml取り、pH8.5の炭酸緩衝液700mlに分散さ
せておき、バチルス属由来のアミラーゼを6000単位
(JISK−7001による糖化力)を添加し、15℃
で10時間撹拌して反応させた。ここで用いたアミラー
ゼは実施例3で用いたのとおなじものである。生成物を
回収、充分にイオン交換水で洗浄して含シッフ塩基[セ
ルロース]−[グルタルアルデヒド]−[アミラーゼ]
(s−CG-Am−8)を得た。
【0069】上記s−CG-Am−8を50ml取ってp
H8.5の炭酸緩衝液700mlに分散させておき、こ
れに水素化ホウ素ナトリウム15gを加えて15℃で1
0時間撹拌して反応させた。生成物を回収、イオン交換
水で充分に洗浄し、[セルロース]−[グルタルアルデ
ヒドアルデヒド]−[アミラーゼ](CG-Am−8)を
得た。
【0070】上記で得られたCG-Am-8の性能を、実
施例3と同様の方法で評価した。結果は表4、図1に示
した。
【0071】〈比較例6〉実施例1で得たCHMDA−4を
50ml取り、pH5.5のリン酸緩衝液700mlに
分散させておき、EDC3.0g、バチルス属由来のア
ミラーゼを6000単位(JISK−7001による糖
化力)を添加し、15℃で10時間撹拌して反応させ
た。生成物を回収、洗浄水がpH7.0になるまで充分
にイオン交換水で洗浄して[セルロース]−[アミラー
ゼ](CHMDA−Am−9)を得た。
【0072】上記で得られたCHMDA−Am−9の性能
を、実施例3と同様の方法で評価した。結果は表4、図
1に示した。
【0073】表1〜4、および図1から明らかなよう
に、本発明の生理活性物質固定化用担体は生理活性物質
の持つ活性を充分に保持したまま簡便に固定化すること
が可能であることがわかった。これは親水性スペーサー
によってもたらされる効果が大きいと考えることができ
る。生理活性物質固定化担体が主として水系溶媒中で使
用されることに着目し、生理活性物質の溶媒中における
モービリティー向上を実現するために親水性スペーサー
を導入したことが妥当であったと考えられる。特に血液
処理の分野に本発明の生理活性物質固定化用担体を用い
た場合、親水性スペーサーの排除体積効果によってアル
ブミン、血小板等の吸着が抑制され、良好な血液適合性
が実現された。
【0074】
【発明の効果】本発明の生理活性物質固定化用担体は、
支持体に親水性スペーサーを介してアミノ基が導入さ
れ、さらにその末端アミノ基に末端ジカルボン酸を作用
させて得られる構造を有している。親水性スペーサーの
効果によって、水系溶媒中における生理活性物質のモー
ビリティーが増し、生理活性物質の持つ活性が充分に発
揮される。特に、本発明の生理活性物質の固定化法を血
液処理の分野に応用した場合、親水性スペーサーの排除
体積効果によって良好な血液適合性をも実現される。ま
た、本発明の生理活性物質固定化用担体に共有結合で固
定化された生理活性物質は、安定に固定されるため吸着
法や包括法でしばしば見られる生理活性物質の遊離もな
い。このようなことから、本発明により簡便な操作で効
果的に生理活性物質固定化担体を得ることができ、化学
反応触媒、分離精製用特異的吸着材、臨床検査材料、医
療用材料など広範な分野への応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】アミラーゼ固定化担体のPH10の緩衝液に対
する耐性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 昌和 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水不溶性の固体を支持体とし、かつ下記
    化1の構造を有することを特徴とする生理活性物質固定
    化用担体。 【化1】 化1において、l=1〜3 m=2〜400の整数であ
    る。R1、R2は水素原子またはメチル基で、それぞれ同
    じもしくは異なってもよい。R3は炭素数1〜10の直
    鎖、もしくは分枝状飽和アルキレン基である。ZはNH
    (CH2 n ,CH2 CH(OH)CH2 ,CO(CH
    2 n ,COR3 CONH(CH2n ,COR3 CO
    NHCH2 CH(OH)CH2 ,COR3 CONH(C
    2 n'NHCO(CH2 n のいずれか1種であり、 Z’は(CH2 n ,CH2 CH(OH)CH2 ,(C
    2 n CONH(CH2 n'のいずれか1種であり、
    nは1〜10、n’は0〜10の整数である。
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